541. ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男
かつてテニス界にボルグという圧倒的強者がいて、マッケンロ-という前代未聞の悪童がいた、ぐらいのイメージしかなかったので、そこそこ楽しめました。ボルグもマッケンローと同根だったというのは意外。 しかし全体として超マジメな作り方なので、まるでドキュメンタリーを見ている感じ。だったらいっそ本人たちや関係者の声を集め、実際の試合映像なども使ってドキュメンタリーに仕上げたほうが、もっと真に迫った作品になった気がしないでもありません。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-06-13 03:32:11) |
542. キリング・フィールド
ネタバレ 超久しぶりに再見。かなり昔に見たときは「怖!」と感じるばかりでしたが、今回はちょっと違いました。印象に残ったシーンは大きく2つ。 1つは、クメール・ルージュに全員捕まって妙な施設に連れて行かれたとき、プランが先方の幹部らしき人物に必死に食い下がって助命嘆願するシーン。すぐ脇ではあまりにもあっさり処刑が行われていて、彼自身も次の瞬間にズトンと殺れれてもおかしくなかったはず。演出だとわかっていても、仲間のために危険を顧みない姿はグッと来ます。 もう1つは、マルコヴィッチがプランの写真の現像に失敗して怒り狂うシーン。やはり演出ですが、仲間のためにここまで真剣になる姿は美しい。ある程度年齢を重ねて汚れてくると、こういう純粋な行動原理につい涙腺が緩みます。 それに比べ、意外に印象が薄いのが主人公。ニューヨークに帰って写真をばら撒くことしかできなくて、一方で賞を取って講演をして、プランの生存を知って現地へ飛んで抱擁。演出の意図は違うでしょうが、いずれもシラけた空気が漂います。ちょっと美味しいとこ取りが過ぎる気が。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-06-10 02:11:10)(良:1票) |
543. クリミナル 2人の記憶を持つ男
ネタバレ ケヴィン・コスナーが凶悪犯として登場する時点で、いつか善人に変身するんだろうなあと容易に予想できます。仕掛けがバレバレの手品を見ている感じ。一方でゲイリー・オールドマンの役柄は「誰にでもできる簡単なお仕事」で役不足な感じ。いっそこの両者が入れ替わったほうが、「何が起きるかわからない」という意味で期待できたかもしれません。 とはいえつまらないわけではなく、けっこう楽しめました。医学の発展で可能になるのかどうかは知りませんが、死者の記憶を何らかの形で保存することはあり得る気がします。 しかし残念なのはラスト。ここまで強引なハッピーエンドになるとは予想外でした。善人化にもほどがある。生命倫理上もどうなのか。奥さんも子供もいつか精神を病んでしまうのではと心配になります。 [インターネット(字幕)] 5点(2020-06-07 03:43:32) |
544. 座頭市二段斬り
ネタバレ 結局、「二段斬り」というのは悪人2人を同時に成敗するという意味? 一方で三木のり平&小林幸子をいっさい咎めないあたり、越えられない壁のある格差社会を見せつけられている感じ。もっとも、この2人まで「二段斬り」していたら、その後のシリーズはなかったかもしれませんが。 例によって座頭市は無双状態ですが、唯一対抗できそうな加藤武にもう少しがんばってほしかったかなと。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2020-06-03 02:12:21) |
545. 飢餓海峡
ネタバレ タイトルのイメージから、格差だ貧困だ今こそ共産主義だ的な説教臭い作品ならイヤだなと思っていたのですが、さにあらず。最初から最後まで重厚でサスペンスなエンターテイメントでした。 とにかく、1つ1つのシーンやセリフにまったくムダがない感じがいい。すべて有機的に絡み合い、重みがあり、リアリティもあって、結末までグイグイ引っ張ってくれます。特に、何を考えているかよくわからない三國連太郎と、正義感溢れる高倉健のやりとりには迫力があります。 プロット的には「砂の器」とよく似ていますが、かの作では加害者の父親役だった加藤嘉が、本作では被害者の父親役。こういう枯れた老人役で、右に出る人はいないんじゃないでしょうか。今ならMr.オクレくらいかなと。 ただし、肝心の「飢餓」の意味が今ひとつよくわからない。貧しいといえば日本人全員が貧しかったわけで。三國連太郎の生い立ちもセリフだけで済まされたので、「それがとうした」という感じ。このあたりが、「砂の器」とちょっと違うところです。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2020-06-02 02:00:42) |
546. 夜の訪問者
最初のうちだけ「何が始まるんだ?」と緊張感がありましたが、早々に「訪問者」の正体がわかって以降は弛緩するばかり。どこかマヌケな犯罪者たちに囲まれて、チャールズ・ブロンソンはいかにも楽しそう。 それはともかく、チャールズ・ブロンソンが流暢なフランス語を喋っているのかと最初は驚いたのですが、全員吹き替えだったようで。どうしてこんな面倒くさいことをしているんだろうと、ストーリーよりそちらのほうが気になります。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-05-30 01:19:00) |
547. ロンドン・ブルバード -LAST BODYGUARD-
ネタバレ キーラ・ナイトレイって、他の作品ではすごく美人に見えたのですが、この作品ではそうでもない。アゴが出っ張っていて、むしろ男っぽく見えます。唯一の楽しみが失われたので、もう見る価値はないかなと。 ストーリーはわりとどうでもいい感じ。大方の予想どおりの結末を迎えます。やたら大物ぶって登場するボスが、後半に行くにしたがって小物ぶりを発揮するあたり、作品の残念ぶりを助長しています。 [インターネット(字幕)] 3点(2020-05-23 02:03:08) |
548. チャップリンの殺人狂時代
いかにもチャップリン風のコメディシーンはあるものの、全編を通してほとんど笑えません。どんな意味づけをされようと、とにかく我欲のために人を騙して殺してカネを得るというキャラだけに、ちょっと距離を置きたくなるというか。 結局、最終盤のセリフを言いたいがためだけにがんばったのかな、という気もしますが、何ら説得力を持ちません。「目くそ鼻くそを笑う」の一語に尽きます。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-05-20 02:12:04) |
549. スポットライト 世紀のスクープ
これこそ本来の新聞記者や弁護士の仕事という感じ。まったく地味だし、まさに「闇の中を歩き回る」ような不安な日々だろうし、場合によっては多くの敵を作ることにもなります。特に最終盤、マイケル・キートンの「俺たちはどうなんだ?」以降のやりとりにはシビれました。こういう真摯な姿勢から良質な記事は生まれるんだろうなという気がします。憶測やイデオロギーありきだったり、取材対象者の発言の意図を捻じ曲げたり、まして間違いを指摘されてもロクに訂正も反省もしないような新聞では、読者の信頼を失うだけですよね。どこのこととは言いませんが。 まったく余談ながら、スタンリー・トゥッチに髪の毛があることに驚き。ジェイソン・ステイサムに次ぐ「世界で2番目にカッコいいハゲ」と思っていたのですが。もともと生えてたんでしょうか、それともズラ? 全編にわたって地味な作品ですが、彼の初登場シーンには衝撃を受けました。 [インターネット(字幕)] 9点(2020-05-16 07:00:43) |
550. 幕末純情伝
幕末の経緯をある程度知らないと、何を騒いでいるのかさっぱりわからないと思います。デタラメのフィクションなので、ある程度知っていてもさして参考にはなりませんが。 遠い昔に読んだ原作では、龍馬はもっと無様で、だからこそもっとカッコよかった覚えがあります。ケンワタナベの龍馬はふつうにカッコいいだけ。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2020-05-15 01:18:14) |
551. ライフ(2017)
ネタバレ 内容がさっぱり予想できないシンプルなタイトルな上、序盤はほのぼのシーンが長くてなかなか物語が始まりません。これはハズレかなと思った矢先、微小な生命体が蠢き始めてからは一気に引き込まれました。とにかく前半の怖いこと怖いこと。それは得体の知れない生命体だからではなく、現実の記憶が蘇ってきたから。そう、ゴキブリです。密室の中ですばしこく動き回って神出鬼没、火炎放射(殺虫剤)を浴びせても影に隠れてなかなか仕留められない。まして、あんなものが手だの足だのに顔だのにへばりついてきたら、生きた心地がしません。もうトリハダものの恐怖でした。 しかし中盤以降に巨大化してからは、ゴキブリというより単なるエイリアン。つまり現実世界からスクリーンの世界に戻ってくれたわけで、逆に落ち着いて見ることができました。とはいえラストシーンまで見ごたえは十分です。 [CS・衛星(吹替)] 8点(2020-05-10 22:29:22) |
552. ファンシイダンス
娑婆の世界の服装とか店とかクルマとか、いかにもバブル全盛な感じ。懐かしいような気恥ずかしいような気分になります。 しかし作品としてはダメ。とにかく下品で汚らしい。私は宗教にまったく無縁の人間ですが、修行僧や宗教儀式を貶めて笑い飛ばそうという姿勢が気に入らない。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2020-05-08 01:08:21) |
553. ミッドナイト・イン・パリ
大人の童話という感じ。別に大人が鬼退治に行ったり、お姫様に会ったりしたらダメという法はないので、これはこれで面白いかなと。 しかし個人的には、リアルパートの知識をひけらかす米国人教授がツボ。私の周囲にヘミングウェイやダリやピカソはいませんが、こういう輩はけっこういます。しかし浅学ゆえに反論できず、悔しい思いをすることも多々。はなから次元の違う人々が集う童話の世界に浸りたくなる気持ちもわかります。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-05-07 01:42:32) |
554. 座頭市鉄火旅
「鉄火旅」というタイトルがカッコいい。鉄火場のシーンはそんなに多くはないけれど。頼みの剣にまつわるエピソードもそそります。相変わらず白黒はっきりしすぎた勧善懲悪ドラマで、傷一つ負うことのない大立ち回りが待っているわけですが、秀逸はラスト。これだけ正義のためにがんばったのに、誰に感謝されることもなく、夕暮れの中を1人去っていく姿が美しい。人生とはこんなもの、と教えられるようでした。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-05-03 22:41:24) |
555. ハスラー2
今さらながら初見。要するに年寄りの冷や水的な話だったんですね。ムダのないストーリーで、最後はちょっとひねくれていますが、希望を持たせて終わるあたりはいい感じ。若~いフォレスト・ウィテカーがいい味出してます。 で、若いといえば当然ながらトム・クルーズも若い。ちょっと調べたら「トップガン」の公開も同じく1986年とのこと。戦闘機の操縦桿を握りつつキューさばきも特訓したのかと思うと、なかなか感慨深いものがあります。 ついでに言うと、若いトム・クルーズは若いチャーリー・シーンにそっくりで、むしろキャラ的にはチャーリー・シーンのほうが合っていたんじゃないかとも思います。それでこちらもちょっと調べたら、「プラトーン」の公開も1986年。大豊作の年だったようで、恐るべし1986年。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-01 01:46:24) |
556. マージン・コール
これは傑作。序盤のケヴィン・スペイシーの涙ですっかり心を奪われました。部下の大量解雇を嘆いているのかと思えば、さにあらず。飼い犬の病気とバカ高い治療費が原因とか。このスタンスが、全編にわたって貫かれています。 とにかく他人のことはどうでもいい。自分の地位と収入がすべて。責任も損も誰かに押し付けたい。それも新入社員からトップまで全員同じ。むしろケヴィン・スペイシーが1番良心的だったりします。ヒーローもヒロインも不在の物語なんて、なかなか珍しいんじゃないでしょうか。 ついでに言うと、高層ビルの窓越しにニューヨークの街を映し出すシーンが何度も登場しますが、そのイヤミ加減がまたいい。いかにも「世間を見下して仕事してます」という感じ。当然、私は見下される側の人間ですが、ここまで徹底されるともう快感です。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-04-27 01:40:21)(良:1票) |
557. エリジウム
ネタバレ なんとも殺伐とした世界観。格差云々というより、恨みつらみ・妬みだけで成り立っている気がします。いろんな意味で痛々しい場面が多々あり、見ていて気分のいい映画ではないですね。お決まりのハラハラドキドキはありますが、「それがどうした?」という感じ。 で結局、革命が起きてしまうわけですが、この後で確実に「医療崩壊」の惨劇が待っていると思います。2150年代ぐらいの設定でしたが、彼らは2020年の人類の経験を教訓にしなかったようで。 それから他の方も指摘していますが、ジョディ・フォスターは何のために出演したんですかね。まったく中途半端で見どころのない役でしたが、暇だったんでしょうか。それとも干されてた? そちらの〝ドラマ〟のほうが気になります。 [CS・衛星(吹替)] 2点(2020-04-24 22:47:56) |
558. ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ
前作に続き、地鳴りのようなBGM(効果音?)が印象的。その音に象徴されるように、ジョークの1つもありません。それがかえってドキュメンタリーのようなリアルさを感じさせてくれます。 CIAの質量ともに圧倒的な戦力を見せつつ、それだけではどうにもならない国境線の攻防がなかなか見事。セリフのやりとりがサラッとしていて、何が起きたのが掴みにくい場面もありますが、銃撃やヘリのシーンはさすがに迫力があります。 しかし最終盤の〝処刑〟シーンは、まるでコント。「トムとジェリー」かよと。それを意地でもお笑いにしないあたり、なかなか気骨があります。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-04-23 03:02:22) |
559. パッセンジャー(2016)
ネタバレ 設定が面白い。まったく荒唐無稽なSFでありがなら、身につまされるというか、少なくとも前半は良質なサスペンスを見ているようでした。犯罪者が、その経緯を隠して被害者に寄り添い、どこまで嘘をつき通すかという展開はけっこうハラハラ。遠い昔、そんな話を『ブラックジャック』で読んだような気がします。 ところが中盤にあっさりバレて以降は、よくある宇宙ものに落ち着いていきます。宇宙船に重大なトラブルが起きて、とにもかくにも協力せざるを得なくなるというのは、ちょっと出来すぎじゃないですかね。 ラストもちょっとあざといですが、選択としてはなかなか秀逸。考えようによっては、120年先に目覚めてナンチャラ星で5000人とともに人生を再開するのも、30年で目覚めて誰もいない巨大な宇宙船内で悠々自適な生活を送るのも、さして大差はないような気がします。人生に刺激を求めたのだとすれば、後者のほうがむしろ刺激的でしょう。周囲に人がいないことが、そんなにストレスなのかなと。 それはともかく、主な登場人物はたった4人(正確には3人と1体)。舞台はほぼ架空の宇宙船の中のみ。つまりCG等でいろいろ処理できるわけで、案外低予算な作品かもしれません。それでも面白さは十分。知恵とはこうやって絞るものだと教えられた気がします。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2020-04-18 02:27:24) |
560. ワイルド・スピード/スーパーコンボ
しばしコロナを忘れて脳筋映画に浸ろうと思ったのですが、ウイルスの話でした。しかも最強最悪を想定したであろう架空のウイルスより、コロナのほうがよほどやっかいで強力な様子。「事実は映画より奇なり」といった感じです。 それはともかく、期待どおりの快作でした。徹頭徹尾バカバカしいのですが、あらゆるシーンが迫力に満ちています。2人とももう50歳に近いはずですが、だからこそ、力任せではない熟練の美ようなものを感じます。ヴィン・ディーゼルがどう思っているかは知りませんが、このシリーズの今後は、もうこの2人が中心でいいんじゃないかと。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-04-17 02:40:49) |