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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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41.  ボビー・フィッシャーを探して
子に才能があるのならその才能を伸ばしてやりたいと思うのが親の常。でもそのせいで才能を壊しちゃうことだってある。才能を開花させたとしてもそれがその子にとっての幸せに繋がるとは限らない。これ、ぜひうちのヨメさんに見せたい(子の習い事にのめりこむところがある)。でも映画見ない人なので見てくんない。これと『武士道シックスティーン』は見事に「好きこそものの上手なれ」を見せてくれてるんだけどなあ。まあとにかく、仮に少年に対してひどいことをやってたとしても、みんなこの少年に対しては真剣なのだ。またこの子がそのことを重々承知しているところが健気で泣けてくる。何気に映し出される情景の一つ一つがまた素晴らしい。公園のストリートチェスをする人たちの描写ひとつとってもそのシーンごとにかもし出されるのは幸福感であったり躍動感であったりあるいは疎外感や郷愁感であったりとさまざまな顔を見せる。季節の移ろいをことさらに目立たすこともなく、あくまで背景として、それでもはっきりと脳裏に印象付けているのもいい。何もかもがシーンに、少年の心情に、ぴったりとはまる背景のように感じられた。
[DVD(字幕)] 7点(2011-08-26 13:41:46)(良:2票)
42.  恋はデジャ・ブ 《ネタバレ》 
死んだって次の日はやり直せるってシーンもあったのだから町中の人たちを助ける意味なんてないように思う。だって誰かが怪我したって、それこそ死ぬことになったってその日はまたやってくるんだから。でもたぶん、同じ日を生きるうちに助けられずにいられなくなるんだと思う。人のために何かするってのは元来気持ちのいいことだから。逃げられないならいかに有意義に生きるかしか行く方向ないもんね。そこに行き着くまでの過程の描き方がうまい。これだけ同じ日を何度も何度も繰り返されるといいかげん飽きそうなもんだが全く飽きないってところも凄い。その同じ日がバラエティに富んでるってだけじゃなく、見せ方がうまいんだと思う。全く同じシーンを繰り返すことで生まれる笑いはもちろん確保しながらも省略短縮しながらテンポよく見せることで弛ませない。そして何よりこの人が恋をしているってところがミソ。楽しい映画です。
[DVD(字幕)] 7点(2011-06-17 14:49:40)
43.  棒の哀しみ 《ネタバレ》 
神代監督の遺作。ちゃかさないハードボイルドを根底に置きながら一人の男のドラマを描き出す。奥田瑛二サイコーなんですけど。永島暎子も素晴らしい。ヤクザ映画だと今なら断然北野武(黒塗りの車が連なって走るシーンは『アウトレイジ』を彷彿させる!)なんだけど、武にあの永島暎子は撮れないんだろうなあ。そう思うとこれが遺作だなんて惜しいよなあ。奥田の延々と淡々と続く独り言が映画を牽引しているんだけど、それダメじゃんってことにならない。その独り言を徹底することで独特の世界観を作っている。しかも奥田以外は台詞が必要最低限ってところもミソ。一匹狼で組を持つこと自体いやがってるのに組長となり、自ら傷をおうことをいとわない破滅型なのに死は向こうから遠のいてゆき、掃除も洗濯も傷の手当も自分のことは自分でするのに誰もがタバコの火をつける。そうなるしかないことのいわゆる人生の諦めみたいなものが独り言によく表れていると思う。
[映画館(邦画)] 7点(2011-02-15 16:20:48)
44.  ブレーキ・ダウン 《ネタバレ》 
主人公のわき見運転によって危うく事故りかける。その些細なミスが不条理なまでの恐怖の発端のように映される。スピルバーグ『激突!』である。スタンドでの会話、先で回転して止まるトラック。主人公夫婦とともに我々も不安でたまらない。しかしその後夫婦に訪れる恐怖の源は冒頭のわき見運転ではないことが判明する。中盤あたりでほぼ真相がはっきりとする。薄気味の悪い不安感が廃されてしまう。実にもったいない。映画史に残る傑作になり得たかもしれないのに自ら拒んでしまった。ところがここからもけしてつまらなくはならない。むしろカート・ラッセルには不似合いだった普通のおっさんが、いよっ!待ってました!と声をあげたくなるような本来のカート・ラッセルの顔になり、その後のほぼお決まりの、それでいて見応えのあるアクションを堪能できる。前半の不条理を痛快に撃破するカート・ラッセル。実に気持ちのいいアクション映画だった。そして冒頭で見せていた夫婦の関係はもちろんより強固となって一件落着。シンプルなオチが心地良い。
[DVD(字幕)] 7点(2010-05-18 14:26:16)(良:1票)
45.  パリのランデブー 《ネタバレ》 
ロメールらしいかわいい恋愛コメディ3篇。 ■「7時の約束」 会うはずのない3人が出会うべくして出会う。そんなアホな!な偶然。この「偶然」ってのがロメール映画の重要な鍵。さらに他人の財布を拾って直接届けにきて意気投合しちゃう女二人ってのがいかにもロメール映画のリアル。「偶然」がドラマを作り人生を豊かにしてゆく。 ■「パリのベンチ」 ああ、ここでも言ってる恋愛哲学。日を変え場所を変え延々と続く会話の中に女の哲学が明示される。そして言ってることに思いっきり矛盾する行動というオチ。この無情なオチに愕然とする男は私でもある。 ■「母と子」 母と子の話ではなく、展示されているピカソの作品「母と子」をナンパの(正確にはナンパ前の準備段階)道具にする下心全開男の話。といってもロメールの男たちはたいてい下心全開なのだ。けっきょく何も得るものがなかった男が最後にぼそっと言う。「それでも無駄ではなかった」と。このセリフは3つの短編全てを締める言葉でもある。もっと言うとロメール作品全てに当てはまる。無駄ではない。いや、無駄なんてものは元々無い。何がしかの教訓を得た。そう思うことでまた楽しい人生が始まるのだ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-05-13 14:16:02)(良:1票)
46.  クレーヴの奥方(1999)
オリヴェイラの映画は自由だ。と、そんなことぐらいしか言えないんだな。そこが一番凄いところなんだけど。この人にとって映画のストーリーがリアルかどうかなんて関係ないってのは確か。それでもそのリアルじゃない世界で生きている登場人物たちがその世界でリアルな存在でいるから不思議だ。オリヴェイラの映画ってどれもリアルであろうなんてこれっぽっちも考えた形跡がないのにその世界の中の人たちはその世界限定でリアルなのだ。ポルトガルで高名なアーチストが本人役で登場してもそれは変わらない。いろんなことがドラマチックに起こっているのに何も起こっていないような錯覚に陥る映画でもある。そのドラマチックさまでも、この世界限定でリアルになってる。事象は激しくても事象に伴う行動が映されないからそう感じるのだろうか。行動が映されなくてもストーリーは間違いなく進行している。これって映画だから出来るんだろうな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-03-31 15:23:12)
47.  アラジン(1992)
ジーニー最高!『リトル・マーメイド』と同じ監督とは思えないほどの躍動感あふれる動きとアニメーションならではの奔放な表現が素晴らしい。活き活きとした絨毯の動きも擬人化された動物たちの動きも古き良き時代のディズニーアニメを彷彿させていい。アラジンが王子に化けてやってくるミュージカルシーンはディズニーアニメの本領が発揮されている。加えてディズニーアニメの中でもユーモアが質・量ともにピカイチ。もちろんそれらユーモアは全てジーニー絡みだ。ジーニーのキャラクターが出来上がった時点でこの作品はほぼ成功を勝ち得ている。声ではロビン・ウィリアムスもいい仕事をしているが日本語吹き替え版も負けてはいない。七色の声を持つ男・山寺宏一にはいちいち驚かないが羽賀研二には驚いた。じつにしっくりと馴染んでいる。
[DVD(吹替)] 7点(2010-01-21 14:01:02)
48.  双生児
原作からは「双子の成り代わり」というシチュエーションだけを借りただけの全くのオリジナルストーリーなんだけど、正直、原作よりも面白い。しかも乱歩小説の映画化の際にこぞって描こうとする乱歩的世界観を、いくら原作から逸脱しているとは言え、はなから作り出そうとしていないってところが素晴らしい。塚本晋也はメジャー作品であろうが、監督・脚本・撮影・編集をこなすことで思い通りの作品に仕上げてゆく。貧民窟に住む者たちのド派手な衣装もまた監督のアイディアなのだろうか。色彩豊かな衣装が良い意味での荒唐無稽さを出している。「成り代わり」から発するサスペンスを軸にしながら、復讐と愛憎のドラマは見事に純愛へと昇華する。84分か。テンポがいいなあとは思ったけど、凄い。
[DVD(邦画)] 7点(2009-07-31 16:52:40)(良:1票)
49.  アメリカン・ビューティー 《ネタバレ》 
始まってしばらくして不穏な空気を感じた。不穏な空気の原因が最初はわからなかったのだが、両端に夫婦、真ん中に娘が座るダイニングテーブルのシンメトリーな構図を見て確信した。異様なほどの画面の美しさとあまりに完璧すぎてかえって不自然な構図こそが私が感じた不穏な空気の正体であった。これはドライヤーの『ガートルード(ゲアトルーズ)』で感じたものと同種のものだ。ただこの作品はその部分をコメディで濁している。なぜ濁すのか。そこが重要だからだろう。物質主義に彩られカタチだけは立派な家庭の内情はドラッグ、ゲイ、DV、リストラ、不倫等々の諸問題を抱えていた。アメリカンビューティという名のバラの美しい花弁がトゲを覆い隠しているように。人にどう思われるかが重要である登場人物たちは肉体改造に勤しみ、新しいマイホームだけに注力し、整形手術を夢見る。隣人はゲイであることを隠し、娘の友人は遊び人を装う。娘はありのままを盗み見られることで本当の自分を見出してゆく。ラストにはそれぞれの皮が剥ぎ取られてゆき、同時にその副作用が容赦なく飛び込んでくる。そこには大団円的心地よさと何かが終わりを告げたときの寂しさが同居する。つまり素晴らしい終焉があった。   
[DVD(字幕)] 7点(2009-07-13 14:34:01)(良:2票)
50.  こねこ 《ネタバレ》 
最近、生後約1ヶ月の子猫を拾って飼いだしました。そんなときに観たもんだからたまりません。めちゃくちゃかわいいです。寝ていると足の指を噛まれたり、初めてのおトイレに拍手したり、棚に置いてあるあらゆる物を落とされたり、いちいちウチのかわいいかわいい子猫ちゃんと同じ。猫好きの義父が猫をして「神の作ったもののなかの最高傑作」と言っていたが、たしかにこの可愛さを目の当たりにすれば納得のお言葉。トラックの幌の上に乗ったまま寒空の中を遠くはなれた場所まで運ばれてゆくのだが、このときのあきらかな合成にはショボさよりも愛を感じる。大人の猫たちが人間顔負けの演技をするのは、まあわかるのだが、主人公の子猫ちゃんの危なっかしい素振りは演技じゃないから出せる本能を刺激するかわいさが充満している。ラストも感動的です。お父さんが音楽家であることがラストシーンへの伏線としてちゃんと活かされている。これはたぶん猫好きじゃなくても楽しめますよ。
[映画館(字幕)] 7点(2008-10-27 13:53:32)
51.  ニンゲン合格
自らがこの世界に存在する意味や価値を問う。『大いなる幻影』『叫』そして『トウキョウソナタ』へと繋がるテーマの源流がここにある。あるいは『アカルイミライ』を経て『トウキョウソナタ』に結実する「家族」という特別な人間関係の本質が描かれる最初の作品でもある。その方法として黒沢清は主人公を10年間眠らせる。10年間存在を消す。10年間家族からひとつのピースを削る。家族の見た目の崩壊と再生が繰り返されることで最初から崩壊も再生もしていないことが露呈されてゆく。黒沢清が描く現代の家族はフォードや小津の映画のような父が守り続ける家族とは対称の位置にある。しかしその悲しい現実を黒沢映画は深く受け入れる。深く受け入れたところから今を描く傑作が生まれるのだ。「オレ、存在した?」この直接的な問いかけが心に染みる。この場合、問いかけというより確認かもしれない。ちゃんと存在したことを確認できた者はそれだけで人間として合格なのだ。
[ビデオ(邦画)] 7点(2008-10-23 15:28:38)
52.  蜘蛛の瞳
『蛇の道』は一目でとんでもない傑作を見てしまったという感慨に襲われたが、この、『蛇の道』とは別個の話でありながら姉妹品のような位置を持つ『蜘蛛の瞳』にはただひたすら戸惑うのみであった。北野武映画の常連が占めていることもあってかどうも北野映画の模倣のような印象があって、しかも微妙にはずしている。違和感という言葉がしっくりくる。この作品を観てからずいぶん経つが、この違和感がどうにも気になってしょうがなく、いつのまにかこの違和感こそがこの作品の魅力なんじゃないかと思うようになってきた。違和感の最たるシーンが哀川翔と菅田俊の追いかけっこなのだが、「追いかけっこ」という躍動する動きを全く無視して、追いかけっこする二人が黒い点になるくらいの超ロングで撮っている。通常ではありえない撮り方。そういえばその後の『カリスマ』『ドッペルゲンガー』でも型にはまらない、というよりあえて型に合わない演出をしてみせている(『ドッペルゲンガー』のレビューにも以前書きましたが)。これは映画はこう作らなきゃいけないという間違ったルールへの反抗なのか。とにかくところどころのこういった違和感、あるいは破綻がオリジナリティへと変貌し、独自の魅力を発散している。菅田俊が化石を「一度死んだものが別のものとなって生きる」と評する。ここは『蛇の道』で描いた死者が別の場所で生者となることに通じている。そして黒沢清が描き続ける「幽霊」のとらえ方が表れている。
[ビデオ(邦画)] 7点(2008-10-22 13:54:23)
53.  天使の涙
過剰にデコレートされた映像にくどさを感じたと思ったら、夜の街の電車が画面右側を手前に奥に走るめちゃくちゃかっこいい画が何度も飛び込んできて私をこの映画に引き戻してくれる。金髪女がちょっとバカっぽすぎると思ったけど、そのバカっぽさゆえに号泣する姿に涙を誘われる。金城武の押し売りがしつこいよと思ってたのに毎度餌食にされるお兄さんの登場に大笑いする。じっくりとミッシェル・リーの顔を眺めていたいのに落ち着いた画を全然用意してくれなくてイライラするも、ふくよかな唇のアップが何度となく映されまたまた画面に釘付けにされる。極めつけは映画を締めるそのミッシェル・リー演じるエージェントの内心を語る言葉。泣けてくる。
[DVD(字幕)] 7点(2008-04-02 14:38:52)
54.  ガッジョ・ディーロ 《ネタバレ》 
ひとりのフランス人青年がロマの音楽に惹かれ、次第にロマの文化や生き様にまで共感してゆく。共に生活してゆくなかで集めていった音楽の記録(テープ)をラストで破棄してしまうのは『僕のスウィング』の死んだ者の持ち物を燃やしてしまう行為と同じで、今を生きる、過去よりも未来よりも今が大事なのだという思想の表れなんだと思う。ロマを描くことを使命としているかのように描き続けるトニー・ガトリフの映画は、ロマと切っても切り離せない「音楽」がこれでもかってくらい前面に出ているので、音楽そのものが趣味に合わない人にはちょっとしつこく感じるかも。さらにロマについてのアレコレをけっこう詰め込んだこの作品はガトリフ作品の中でもしつこさを感じさせる方になると思う。しかし青年が想いを寄せるロマの女のその堂々ぶりというか圧倒的な存在感が映画をかなり魅力的なものにしている。「女=生命の源」ってかんじの女。こんなに魅力的な女を描けるんだから、その後に女を主人公にした『トランシルヴァニア 』が生まれるのは必然と言える。
[DVD(字幕)] 7点(2008-03-18 17:04:13)(良:1票)
55.  菊次郎の夏
連れてゆくという目的を果たした後の後半部分が「いい!」という人と「ダメ!」という人が見事に割れてますねー。私は「いい!」という人。子供を元気づけるためのギャグのひとつひとつは正直面白くないんですが、面白くなくたっていいわけです、この場合。すべってようが面白くしようと必死になってる姿がいいんです。むしろすべってるほうが良かったりして。その笑わせ方も『監督・ばんざい!』でも書いたのですが、徹底して言語不要、画面だけで笑わせる。北野映画が海外で受けるのはけして日本的なものを外国向けに見せているからではなく、言葉が解からなくとも理解できるというまさに「映画」であるからなのだ。北野武の究極の癒しムービー。なんて言うと監督はいやがるだろうけど。
[DVD(邦画)] 7点(2007-11-07 15:22:21)(良:2票)
56.  マザー、サン
家族愛を描いた三部作(現時点では2作)の1本目。たった二人の登場人物。死を迎えようとする母と静かに寄り添う息子が映されるだけの映画。しかしそこには生まれたときから愛し合うことを決定されているともいえる家族愛の究極を見ることができる。母と子のあいだにしかない唯一無二の愛、そしてその人の喪失による孤独と深い哀しみが映される。人物が森と一体になった(実際、人が動き出して初めて人がいることに気づいた!)シーンの絵画的美しさはこれまでのソクーロフ作品にはないもの。ゴダールの『アワーミュージック』や『ゴダールの決別』に匹敵する美しさ。ということは世界一を争う美しさ!物語は、まあ無いに等しいので、美しい絵画を観るつもりでご鑑賞ください。
[映画館(字幕)] 7点(2007-10-19 12:58:48)
57.  静かなる一頁
あまみさんのレビューを読んで、ドストエフスキーの『罪と罰』が描かれていることを知った。前知識なしで観たとはいえ、殺人者はたしかにラスコーリニコフだし、少女は間違いなくソーニャなのに、全く気づかなかった(なんてこったい!)。でもまあ、それほどに映像が物語を超越してしまっているということなんだと思うことにする。実際、これは単純に紙に書かれた二次元のものを三次元に置き換えたものなんかじゃなく、『罪と罰』という小説の世界、けして二次元ではなく脳内で描かれる次元を超えたもの(もちろん物語ではなく世界)を映画というこれも単純に二次元といえない媒体を通して見せるという試みなのだと思う。ソクーロフの映画はドキュメンタリーも含めて実に虚実が同居(交錯ではなく)しているが、この作品は虚構性がより強く描かれており(歪みの真意はわかりませんが、虚構性に強く貢献していることは確かだと思う)、それは小説の虚構性に追随した結果なのだと思う。 思ったことをちゃんと書こうと( )を連発してよけいわかりにくい文章になってしまったような・・。
[ビデオ(字幕)] 7点(2007-10-17 19:06:48)
58.  無能の人 《ネタバレ》 
話が淡々と進んでいるだけのようであっても、一つ一つのシーンを活かせるための工夫がちゃんと成されている。二度見せることによって二度目をより印象的にしたり、意味の無いシーンを意味のあるシーンにしたり。例えば古本屋での会話、妻が出て行った一度目の会話と妻のおならが聞こえる二度目の会話。会話そのものとは関係のない、妻がいないからいるに変わるシチュエーションがそのまま映画のテーマである「夫婦」を語る。例えば石売りをバカにしていた男の二度目の登場は鳥をバカ高い値で買おうとする。人それぞれの価値観の差異を滑稽に描く。鳥男の登場も二度。サングラスの男も二度。競輪場のあのシーンも二度。そして極めつけは息子の迎えに来る一言。同じ言葉が二度目には感動の言葉に。そして手を繋ぐ親子の後姿を映し出す画面の端っこからスッともう一人の手が。やるじゃん、竹中直人。
[ビデオ(邦画)] 7点(2007-09-25 12:44:09)(良:2票)
59.  萌の朱雀 《ネタバレ》 
炊事場の正面の窓の光や障子の眩しいくらいの白がとても美しく、常に映される大自然が人工の光を自然の光に化けさせる。新人監督のコントロールできないところで「照明」と「撮影」が映画を飛び越えて美しすぎる映像を作り上げる。作品を超越してしまったその技がかろうじて、そして奇跡的に河瀬監督のこれまでの生い立ちと短編ドキュメンタリーで培われた独自の視点との融合を成している。劇映画としてはたしかに説明不足な感はあるかもしれないが、男の子と女の子が兄弟ではないことは途中でわかるし、それ以上の関係性の説明など、さして重要だとは思えない。この家族は窓を開ければ常に山が見えるところに住んでおり、どこへ行くにも、どこへ行かなくとも、この山々とともに生きてきた。それがわかればいいのだ。家族の崩壊は、この山々とともにあった生活とのお別れへと直結するのだから。容赦なく時は流れ、けして流れに逆らうことはできない。崩壊の摂理の無常さがよく描かれていると思う。
[DVD(邦画)] 7点(2007-09-07 10:12:14)(良:1票)
60.  伴奏者
主人公の伴奏者としての葛藤を軸にしているものの、戦時下のナチスが絡んだ政治的背景やらオペラ歌手の不倫やらと物語も散漫になりがちなうえ、リシャール&ロマーヌの親子共演という以外はいまひとつ話題性の欠けるおとなしめの作品なのに、なんともいえない余韻を残してくれるのはロマーヌの少女と大人、素直さと反抗心、憧れと嫉妬の両者を見事に内に共存させた表情のせいだろうか。彼女の演技もいいが、セリフを少なくし、オーバーアクトさせずに、その表情を引き出した監督の手腕がお見事ということなのだろう。大きな出来事に負けていない、ロマーヌの小さな表情の変化がこの映画の全てと言ってもいい。
[ビデオ(字幕)] 7点(2007-07-19 12:05:09)
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