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ユーカラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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41.  海の沈黙
居間の暖炉で小さく揺れる炎、ルームランプの落ち着いた灯りが人物の表情を厳粛に浮かび上がらせ、画面に重厚感を与える。光と影のコントラストが極めて印象深い端正な屋内撮影と、パリ市内や農村地区の風光を瑞々しく捉えた屋外撮影の対比が素晴らしい(撮影アンリ・ドカエ)。視覚のみならず、モノローグや時計音やピアノを効果的に活かし静寂と緊張感を最後まで持続させる至芸といい、三者を演じるキャストの存在感といい、感嘆すべきメルヴィルの長編第一作。三人が集う最後の夜。姪はようやく編みあがったスカーフを肩から掛けている。そこに刺繍された図柄(お互いに差し伸べあう二つの手)が彼女の内なる思いを雄弁に語っている。独仏融和の絶望を語るドイツ軍将校に対し、始めて視線を送る姪。その彼女を真正面から捉える、最も機能的で純粋なクロースアップの美しさ。慈愛と悲しみの交じり合うような深い眼差しが胸を打つ。ラストショットのシルエットの静謐さも味わい深い。
[映画館(字幕)] 10点(2010-03-24 21:26:46)
42.  歌行燈(1943)
能における「幽玄」や「妙」(柔和、優艶、優雅)の映画的表現ともいえるのが「松風」を伝授する松林の場面における自然光の傑出した美しさだろう。木立を縫って緩やかに下降するクレーンショットの情調。かすかに揺れる木漏れ日の光。山田五十鈴の無心の舞。明け方の路地を歩むショットとの的確なオーヴァーラップとその反復。それらが渾然一体となった絶品のシークエンスである。撮影担当の中井朝一氏、照明の岸田九一郎氏は、同じく能の様式を取り入れた黒澤作品『蜘蛛巣城』などでも優れたスタッフワークを見せる。岸田氏は『ゴジラ』を始め、数々の東宝怪獣映画も手がけることになるが、超自然的存在を照明術によって映画の中に浮かび上がらせるという意味で、能の世界を主題とした本作と相通ずるものがある。  
[映画館(邦画)] 9点(2009-12-25 18:43:10)
43.  拳銃魔(1949)
走るキャデラックの後部座席に据え置かれたカメラがフロントガラス越しに進行方向の市街路と前席の主役二人の対話を捉える。路肩に駐車すると、運転席の男は右手の建物に素知らぬ風に入っていく。奥の角から警官が現れ、助手席の女は慌てて車を降り世間話で彼の気を引く。突然、男がドアから飛び出し、女は素早く警官を一撃する。警報が鳴る中、車を急発進させ逃走する二人、、。屋外の一ショットで銀行強盗の一部始終を捉えきった長廻しショットが実に圧巻である。人工照明のない即興風の画面感覚と、同時録音の臨場感によって描写はひたすら生々しい。長廻しによる静的な空間が警報によって一変し、主役二者の機敏な連携アクションが突発的に起動する。カメラは定位置のまま二人の主観に同調するようにフロントの光景が荒々しく流れすぎていく、その緩急の感覚と迫真性が素晴らしい。この後に展開する逃避行の場面はいずれもそのラフな疾走感がただならない迫力を生んでいる。広角クロースアップでひずんだ不安定な構図が合間合間に短く差し挟まれ、二人の顔面を狭いフレームの中に押し込める形の画面処理がまさに追い詰められていく二人の息詰まる閉塞状況を的確に印象づけていく。冒頭の過剰な雨と、それに対応するラストの過剰な朝靄の視覚的インパクト、一旦は別方向に別れた二人が車をターンさせ一台に乗り込むシーンの自然光線の鮮烈さと二人の表情なども忘れがたい。
[DVD(字幕)] 9点(2009-10-24 20:25:22)
44.  市民ケーン
当時の慣習的な映画話法を尊重しつつ、同時に技法的革新性を模索するパイオニア精神の発露こそ、この映画が時代を超えて支持される所以だろう。音響・撮影・美術・編集・俳優・脚本、諸々のパートが織り成す複雑精妙な知的魅力によって観るたびに新たな発見を与えられ、飽きることがない。  ケーンのポジティブな前半生は順光を基本とした照明、スキャンダル発覚から後半の晩年期および現在期は逆光と陰影を多く取り入れた表現主義的照明で対比させる画面設計。 構図をガラス玉等の小道具やアングル選択、カメラ移動で不安定に歪ませる特異で大胆な感覚。「拍手」のショットを挟んだ場面転換によって多重の意味を付与する秀逸な編集。終盤での、複数の鏡面とそこへの虚像の反映を用いた主題提示の鮮やかさ。幻想的なタッチが強調されたザナドゥの重厚な美術と音響設計(エコー)。複数の役者たちによって矢継ぎ早に交わされる台詞の応酬のスピード感と活劇性。朝食の場面にみられる見事な時間省略法。  語りきれないほど充実したこれらの要素をさらにドラマ的効果として高めたのが、撮影監督G・トーランドの貢献だろう。被写界深度の浅い画面が主流の当時、ストーリーに寄りかかる映画が大半である中、ルノワールら一部の監督が用いていたディープ・フォーカスと長廻しを基本とする撮影をドラマとより密接に連関させることでウェルズは自らのルーツといえる舞台的自由空間を提示する。これによって画面の奥行きを引き出しつつ、手前と奥で同時並行するドラマ対比によって物語の奥行きをも醸成している(母親と、窓外で遊ぶ少年時代のケーン等)。  舞台的演出と映画的演出。それぞれの優位を同時に尊重し、融合させ、発展させているのがこの映画のなによりの美質だ。
[ビデオ(字幕)] 10点(2009-10-11 14:27:54)
45.  鉄腕ジム
J・フォードと共に、いわゆる「男性派」監督として並び称されるラオール・ウォルシュもやはりアイルランド系。この映画での初期ボクシング、家族愛、喧嘩、お祭り騒ぎ、仲間同志の連帯感といった要素はいずれも映画では馴染み深い典型的アイリッシュのアイデンティティである。これらのモチーフは一見、固有の民族像を描出しながらも、その人間関係の奥底から醸される叙情性は幅広い普遍性を獲得している。会う度に反目し、喧嘩してしまうエロール・フリンとアレクシス・スミスだが、最後には二人の恋愛が成就するであろうことを誰も疑わないだろう。ライバルとなるチャンピオンとの挑発合戦も同様、最後には胸の熱くなる和解の場面が用意され、原題である『紳士ジム』のキャラクターに深みを与えている。(二者を重層化する大鏡の演出が秀逸。)アイリッシュ的要素の数々は同時に映画的活劇性にも満ちており、特に港の桟橋を舞台とした拳闘試合の喧騒が大いに映画を盛り上げていている。
[DVD(字幕)] 9点(2009-09-27 20:57:44)
46.  死の接吻(1947)
カーテンのライン、柱といった垂直のラインを多用して人物を狭所に配置し、夜の闇と人物の影によって黒の領域を大きくとった画面設計。そこに周囲の雑音を無音レベルまで消した録音効果が組み合わさり、息詰まるような焦燥感と切迫感が生まれている。その効果は序盤の高層ビルエレベーター内の場面、リチャード・ウィドマークがカーテンの隙間から目を光らせるレストランの場面、そのレストランの外で主人公ヴィクター・マチュアを待ち受ける黒塗り車の場面において絶大である。その異常な静けさが緊張を最高度に高めている。後半、ヴィクター・マチュアが裏切り者として狙われる側となってからの展開は特にサスペンス感に溢れ画面から目が離せない。これがデビュー作となるリチャード・ウィドマークの悪役像も強烈な印象度だ。
[DVD(字幕)] 8点(2009-09-22 14:24:43)
47.  婦系図(1942)
石灯籠が並ぶ月夜の湯島天神境内の風情が麗しい。夜霧の漂う中、軟らかなライティングで梅の花の白が美しく滲んでいる。ここで主税(長谷川一夫)がお蔦(山田五十鈴)に別れ話を切り出すのだが、梅の木の幹に沿った上昇~下降~寄りの滑らかなクレーン撮影が醸しだす情感が二人の芝居とシンクロし、絶品である。これと同じ移動撮影が第二部後半同じセットで反復されるが、全く同様のカメラワークが今度は逆に舞い散る枯葉と寒々しい風音といった差異を際立たせ、彼女の孤独をより強調する効果をあげている。また美術的見どころとして第一部クライマックスである新橋駅の場面も素晴らしい。駅全景から改札そしてホームの人込みまでを延々と横移動で捉えた美術セットのスケール感、エキストラの規模は実景ロケと見紛うほどであり、別れの場面を細かいモンタージュを駆使して最高潮に盛り上げる演出も圧巻である。映画版の独創であるラストも優れた照明技術によって情緒に満ちた名場面だ。
[映画館(邦画)] 9点(2009-08-30 16:59:53)
48.  過去を逃れて
特に夜間場面におけるモノクローム撮影術の見事さは、『キャット・ピープル』のジャック・ターナー&ニコラス・ムスルカのコンビならではのもの。人物のシルエット、シェードランプやカーテンの揺れが十分に使いこなされ官能的ムードに満ちた屋内撮影はノワール様式の充実ぶりを示す。一方で、黒塗り車の光沢が醸しだす夜の街路の妖しさやアカプルコ~タホ湖近辺の自然景観など、屋外ロケの充実も作品世界をより豊かにしている。ロバート・ミッチャムの一貫して動じない物腰とポーカーフェイスの魅力、ジェーン・グリアのミステリアスな美貌。さらに不敵なカーク・ダグラスも絡んだ駆引きのサスペンスと展開の圧倒的スピード感によって、最後までドラマの緊張が途切れない。さらに注目すべきは、夜の山小屋でのスピーディな殴り合いの迫力。作中ほぼ唯一の身体アクションの場面だが、これほどのスピード感に満ちた拳闘アクションはなかなか見られない。
[DVD(字幕)] 9点(2009-08-21 21:12:55)
49.  最後の切り札(1942)
ジャン・ルノワールとの深い親交で有名なジャック・ベッケル。そのジャンルにとらわれない多彩さ、熱烈なアメリカ映画志向といった二人の共通項を改めて再確認させる傑出した処女作。南米が舞台のためか日中の場面は明るい日差しの印象が強烈で、同じ犯罪ものながら後の同監督作『現金に手を出すな』(1954)とは趣きが大きく異なっている。それでも、一般にフランス製フィルム・ノワールとして有名な『現金に~』の10年以上前にその萌芽とも取れる夜間ロケによるカーチェイスやトンネルの暗闇での銃撃戦を登場させているのが興味深い。小道具(ライター)を二度三度と活用する手腕。それを外線へ細工する場面の的確な描写。交換手のネタをきっちり三段で落とす秀逸なギャグ。何よりもその疾走感に満ちたきびきびした映画感覚が心地よく、ひたすらに痛快である。
[映画館(字幕)] 9点(2009-08-09 18:24:36)
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