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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1252
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  SLAP HAPPY 《ネタバレ》 
こういう奴を応援したいというのが映画の趣旨のようだが、それにしては何とも救いがない。昔であれば、これも一生のうちのこの時期だけの苦悩であり、いずれは“あんな時代もあったね”と振り返る時が来るだろうと思えたかも知れない。しかし今になってみれば、もう30代後半になっているはずの主人公がまだこういう状態を引きずっている恐れもあるように思われて、まことに洒落にならない映画と感じられる。 当然ながら自分としても覚えがないわけではないが、今さらこの主人公に共感しようという気にはならず、見てよかったとも思えない。だからといって無用な映画と切り捨てることもできず、どう扱えばいいか困るというのが実感である。ラストの音楽が変に耳に残るのも困る。
[DVD(邦画)] 4点(2013-09-09 19:57:54)
42.  On Your Mark CHAGE & ASKA 《ネタバレ》 
最初と最後の巨大な構築物は石棺というものだろうか。道路標識がロシア語(「危険」「路肩」)なのはチェルノブイリのイメージかも知れないが、今となってはちょっと洒落にならない。警察の徽章は日本のものであり、制服の胸にも「NEO KOENJI」と書かれているので日本の都市(NEO TOKYOとか?)なのだろうが、やたらに近隣外国人が流入しているのはこの時代らしい近未来表現にも思われる。”GOD IS WATCHING YOU”の中文訳は「上帝凝視」であるらしい。  それでストーリーとしては何が言いたいのかよくわからないが、破滅願望とも取れる一方「やり直しはきく」「最後は何とかなる」という破れかぶれの確信のようなものも感じられ、閉塞感を破ろうとする“若さ”が表現された短編とはいえるかも知れない。また別れ際、少女が聖女のように穏やかな笑顔を見せるのは印象的で、もしかすると彼女がこの世界にとっての希望なのかと思わせるものがあった。 以上、これで映画一本見た扱いにしていいのだろうか。
[DVD(邦画)] 6点(2013-08-26 21:36:50)(良:1票)
43.  耳をすませば(1995) 《ネタバレ》 
もうほとんど語り尽くされたような感じで、特に付け足すことはない。このアニメは嫌いでない、と書いて終わりにすればそれまでである(大好きだ、とは恥ずかしくて言えない)。  それでもとりあえず何か書いておくことにすると、自分が最初に見たのは30代の頃だろうが、その後に若い連中(男)がこれを見て死にたくなるという話が出て来たときには笑った。気持ちは大変よくわかるが、対象年齢を大きく外れてしまえば初めから自分とは関係ないものとして距離も置ける。ご老人が目を細めて“若い人はいいねえ”と言っている感覚で見れば微笑ましく見られるだろう。 ただそのようにいってはみても、実際こんなことは年齢にかかわらず自分などにはありえない/ありえなかったのであって、まともに考えてしまえば悲しくもなる。もう人生の半分を過ぎてしまうと、いっそ今回の人生は終わりということにして、また新しいところから始めればと思ったりもするが、それだと結局は死にたくなる連中と同じになっている。いい歳してまったく情けない。  ところで、ここまであえて誰も書いてないだろうことをわざわざ書くと、今後この二人がそれぞれの夢を実現すればするほど、二人の進むコースは離れていく気がする。この話は、主人公の人生の極めて初期に、たまたま出会った人間に背中を押されて未来を方向付けられた瞬間を描いたものであり、従って将来を含めたハッピーエンドを期待するようなものではない。中学生の「結婚してくれ」など、その程度の結果にしかならないだろう。 しかし、そんな一瞬の出来事であっても主人公にとっては人生の輝くような宝物になるのだろうから、はたから見ていて羨ましいのは間違いない。…そうしていちいち自分のことと引き比べて考えたりしなければ、大好きな映画だと素直に言いやすいわけだが。
[DVD(邦画)] 8点(2013-08-26 21:01:25)(良:1票)
44.  生きていた信長 完全版 《ネタバレ》 
「四月物語」の前座として見たが、これはひどい。どう突っ込めばいいのかわからない。 この信長は先見性というより何かよほどのズルをしている。ひそかに山川の歴史教科書でも入手したのか。こんな歴史操作が許されるなら、一向宗が信長を滅ぼしても文句は言えないだろう。そうなれば次は一向宗の天下だ(うちの寺は真宗)とも思ったが、この信長はあくまで歴史の正統性を盾にしているため対抗しにくいところがある。どうも小狡さの感じられる男だ。 こんな信長は尊敬できないので、悪いがいい点はやれない。だいたいこれで映画一本見たことにしていいのか。
[DVD(邦画)] 2点(2013-07-31 19:56:47)
45.  Love Letter(1995) 《ネタバレ》 
もともと中山美穂という人に関心がなかったので、これほど魅力的に見える女優だったことにこの映画で初めて気づいた。とにかくきれいだし可愛い(若い!)が、同じ顔で二人の女性を演じ分けているのも素直に評価したい。ストーリーに関しても、手紙のやり取りを通じて男の思いが明らかになっていく(しかし書いている本人は気づかない)構成は巧みと思える。個人的には、学校を訪ねて写真を撮って、それから後輩と出会って…という一連の部分に特に愛着を覚える。  しかし一方、終始出る関西人の男はどうにもイラつくので、神戸のヒロインを素直に祝福してやっていいのかどうかが怪しく思える。ほか無駄にコミカルな場面が多いが笑えるわけでもなく単に不快であり、またロケ地と劇中の設定との関係がでたらめで(彼氏が死んだ山へ行くには余市駅で降りて歩くのか?)、最初から最後まで関係者全員が小樽にいたようにしか見えないのも変だ。周囲の風景がどうでも観客の方が頭を切り替えろというのでは無理がある。 それからストーリーも終わってみればいかにも作り物で、劇中の設定や出来事を全て製作上の思惑通り都合よく作り込んだようで鼻白むものがあり、その上に世間の常識や周辺社会や自然現象までをもねじ曲げるような強引さが感じられる。特に救急車の件については、そもそもが積雪寒冷地なのに窓にチラチラと雪がかかる程度の天候で、それも都市部で1時間かかるなどということは想像もできず、仮にそうだとすれば流しのタクシーなどいるはずもないだろう。その上、いつの間にか時間が40分以内とかいう問題にすり替えられてしまい、外気温が何度なのかといった考慮もなされないまま、吹雪の中で傘をさして走ったりする支離滅裂さはさすがに受忍の限度を超えている。一体どこまで観客に寛容さを求めようというのか。  そのようなことで、愛憎相半ばする映画、というのが正直な印象である。評判がいいのでベタ褒めしたかったのだがそうもいかない。難点を美点でカバーして不問に付すという状態にならなかったことからすれば、結果的にこの映画は性に合わなかったということになると思われる。 ただそれでも、ラストシーンに問答無用で泣かされてしまうのは悔しいが認めざるを得ない。これに免じて、評点は少しいい方にしておく。
[DVD(邦画)] 7点(2013-07-15 18:48:54)(良:1票)
46.  不機嫌な果実 《ネタバレ》 
8年前に投稿が4件あっただけで、以後は全くない。まるで存在していないもののような扱いだが、世間には何かこの映画を忘れてしまいたい理由があるのだろうか。男の立場としてはとにかく主演女優をじっくり見るための映画であり、その点だけなら損はないだろう。そのほか主人公の幼馴染み役が颯爽としていたのも好印象だった。 それでストーリーについては、原作は当然読んだことがないが、映画を見た限りではわりと素直に受け取れる。不倫礼賛の妄想映画に終わるわけでもなく、登場人物を終始冷やかに眺めているような雰囲気も感じられ、また最後は地べたにはたき落とされるような結末になっていて勧善懲悪的ともいえる。 結論としては男への依存を否定する一方、女の幸せはやはり子どもにあるということらしく、結局それがオチかという気がした。別にそれでもいいのだが、とりあえず少子高齢化への対策として、今後ともシングルマザーの就労支援や育児支援をしっかりすべきなのだろうと思った次第である。 自分としては劇中のどの立場でもないので、特に共感できるものはない(しいていえば庭で水やりをしていたオヤジ)。個人的には毛嫌いするほどの事情はないが特に面白くもないので、それ相応の評価としておく。
[DVD(邦画)] 2点(2013-06-03 20:51:01)
47.  忠臣蔵外伝 四谷怪談 《ネタバレ》 
「東海道四谷怪談」がもともと「仮名手本忠臣蔵」のサイドストーリー的な設定だったというのは前に聞いたことがあり、江戸時代には2つの劇を同時進行の形で上演したこともあったようだが、現代の映画でそれを再現するというのは面白い趣向で、退屈せずに見られた。白塗りの面々が出るのはおバカな印象もあるが、忠臣蔵の方のストーリーが極めて真面目なので安心して見ていられる。また討入りの場面でゆうれいが吉良邸内をウロウロするのはどうかとは思うものの、ラストはちゃんと話が収斂していたのでまあ満足だった。赤穂浪士は今に伝わる名誉の死だが、脱落者もいわば恋女房との道行きなら不足はないだろう。 ところで以前、90年代頃にTVか何かでこれを見たとき、高岡早紀が着物を脱いでいる場面で唖然とした憶えがあり、今回はその感動を再びという不純な動機で見たのだが、改めて見るとその場面はもちろん、お岩さまが可愛く美しいので感心する。それから荻野目慶子の演技に圧倒されるのは多くの人も同じだろうが、個人的には渡辺えり子氏の首が飛ぶという思いがけない展開に大笑いしてしまった。そういうわけで、とにかく面白く見られる映画だったと思う。
[DVD(邦画)] 6点(2013-05-27 19:43:50)(良:1票)
48.  ガメラ3 邪神<イリス>覚醒 《ネタバレ》 
この映画では前作の設定を引き継いで、ガメラの行動原理についてうまく整理をつけた印象がある。そしてガメラはやはり人間の味方だったことがわかるが、正確には、自分を助けてくれる人間がいるからガメラも人間を守るということらしい。 一般論として、仮にガメラが災害出動したとすれば(しないだろうが)、一方的な人助けなので万人に感謝されるだろう。しかしギャオスのような外敵と国内で戦闘すれば今回のように巻き添えが出たり、一般民を見殺しにせざるを得なくなる場面もある。それでも可能な限り個別の人助けもするだろうし、特に年少者を守ろうとするのは人情として当然のことである。たとえ被害者が出るとしても、ガメラがいない方がいいというのは本末転倒であり、いなければ外敵を利し、被害者は増えるばかりということになる(劇中では、ガメラがいるからギャオスが来るのだ、という屁理屈までは出なかった)。それが人々を守るということの現実だろう。そういう自分も、身内が死ねばガメラを恨み、怒りは一生消えないかも知れない。しかしガメラの立場がわからないほど理性に欠けてはいない。 劇中では、大人っぽくなった浅黄ちゃんがあくまでガメラを信じ、ガメラもそれに応えていたが、自分もこのガメラを信じる。彼は強い意志と力を持つだけでなく、人間同様の心を持った誠実な生き物であり、最後まで“ぼくらのガメラ”だった。これにより平成ガメラ(映画でなくキャラクターとしての)に対する個人的評価が確定できる。 上記のほか、女性鳥類学者の「生物は最後の瞬間まで生きようとします」という台詞には共感できた。人類はきっと生き延びるだろう。また元警部補がどこまでも逃げようとして逃げ切れず、最後に立ち向かう覚悟を決めた場面も好感が持てる。  評価できるのは以上である。映像面は、現代の映画ならこの程度で当然ともいえる。渋谷の場面は、破壊衝動を満足させたい観客のニーズに応えるためか徹底しすぎで、これをやるなら昭和ガメラの第一作に戻るか別映画ですべきだった。 また京都を火の海にした新キャラクターの面々は、こうなる前に全員死んでもらいたかった。というか映画が始まる前に死んでいろ。バカにしか見えない少年も一緒に死ねば本望だったろう。一体何を作っているつもりなのか。
[DVD(邦画)] 3点(2013-01-20 08:46:38)(良:1票)
49.  ガメラ2  レギオン襲来 《ネタバレ》 
敵生物のデザインやスピリチュアル風の要素など気に食わない点はあり、90年代の素朴な環境観に基づくラストの警句も陳腐に感じられる。しかし前作よりマンガっぽさは薄れており、低レベルの突っ込みどころは多くない。また社会描写の現実感は増しており、映像面でも前作同様の感動がある。マイナス面は小さくプラス面が最大限に発揮されていて、大人向け(一応)のガメラ映画としては総合的に高水準の内容を実現しているように思う。 特に、前作では邪魔ばかりしていた人間側が今回は大活躍なのは素直に嬉しい。当初はほとんど絶望的な戦いだったが、ガメラと共闘を決めた後はちゃんと効果的な支援ができていた。隊員が普通の人間の心を持っている(当然だが)ことを示す場面や、ともに戦った仲間としてガメラに敬意を表する場面があったのは、わざとらしくもあるが心温まる情景だった。 また霞目飛行場でのガメラが具体的行動として人間を守ろうとしていたのは印象的で(振り返ってヘリを見ていた)、ちゃんと“ぼくらのガメラ”的性質を持っているのは一応安心できる。浅黄ちゃんの「ガメラも血を流したんです」の台詞で泣けて来たのは他人には言えない。 ほか特筆すべき点として、今回はヒロインが可愛い(前作が可愛くないとまでは言わない)。また日本テレビの関谷アナウンサーが懐かしい。この人がまだ現役の時代と思えば、けっこう前の映画なのだなと実感する。  なお以下は余談になるが、今回は東京以北の都市が舞台なのは怪獣映画としては珍しい。しかし仙台に関しては、「白松がモナカ」の看板は何度も映るものの仙台らしい特徴的な風景があまりなく、学生時代に住んでいた者としては不満もある。またキャッチコピーが「消滅するのは日本か、レギオンか」であるのに、結果的には日本でなく仙台だけが消滅してしまったのは理不尽だ。こんな深い穴があいてしまっては復興どころではなく、一体どうしてくれるのかと思う。 ただ些細なことだが個人的に注目したのは、宮城県が設置した救護所のテントに「名取市役所」と書いてあったことで、これは仙台市の被災により隣接の名取市が緊急的な支援を行っていることを示している。これも映画のリアリティに寄与しているが、その後の震災のことを考えれば複雑な心境にもなる(両市とも沿岸部の津波被害が甚大だった)。現実の悲惨さに接してみれば、怪獣映画も呑気に見ていられない。
[DVD(邦画)] 7点(2013-01-20 08:46:33)
50.  ガメラ 大怪獣空中決戦 《ネタバレ》 
他の人々と同様、自分としてもこういう怪獣映画が見たかった、という希望がやっとかなえられたという感慨があった。福岡ドームからの回転ジェットの飛翔、吊橋を越えて敵を粉砕するプラズマ火球、それから遠景の巨大怪獣と近景のリアルな生活空間を組み合わせた画面づくりなどは見ていちいち感動する。 また、これは旧作も基本的に同じなのだが、毎度のように傷つきながら奮闘するガメラの姿には愛しさを覚える。「ガメラは味方です」の台詞にも感動した。ゴジラにはある程度冷淡な態度を取ることができても、やはりガメラは昔も今も特別扱いである。自分が子どもだった時代に、ガメラはぼくらの味方、というのが刷り込まれているからだろう。  ところでここから苦情になるが、登場人物のふるまいがマンガのようなのは昭和ガメラと別の意味で子どもじみており、これはいったい何歳児が何歳児に向けて作ったのかと呆れる。女性鳥類学者の言動が変なのは役者の持ち味?かも知れないが、政府機関が2種類の希少動物のうち片方だけを執拗に敵視する理由がわからず(役人の体面の問題ということ?)、劇中人物の胡散臭さと相まって現実味が著しく削がれている。 また昭和ガメラが特に動機なく子どもの味方だったのに対して、この映画では新たな(屁)理屈を考えようとしており、うちアトランティスまでは旧作にもある要素なので許容すべきかも知れないが、直接関係ない勾玉だのエトルリアだのルーン文字だの引っ張り出して来てトンデモオカルト説のようになっているのは何とかしてくれと言いたい。浅黄ちゃんの言うファンタジーだから信憑性度外視でも可ということなのか。まったくいつになったら大人が突っ込まずに見られる怪獣映画ができるのかと思う。 というわけで絶賛するわけには全くいかないが、まあ見て感動したのは間違いないので、ぼくらのガメラに免じて点数は少し高い方にしておく。  なお今回見て気づいたのは、劇中に出ていたルーン文字はでたらめではなく、ラテン文字に転写した文章(画面で下に書いてある)を現代アイスランド人に見せれば普通に読めるだろうということである。ここでギャオスの表記がGyaosでなく、ゲルマン語風にGjaosと書いてあるのはほめてやってもいい。が、全体がマンガのようなのに妙なディテールにこだわるのもオタクっぽい。
[DVD(邦画)] 6点(2013-01-20 08:46:29)(良:1票)
51.  生きない(1998) 《ネタバレ》 
最後の笑いの解釈にもよるのだろうが、何を意図した映画なのかは結局わからなかった。劇中で女子大生が言っていたことはまさに正論で、この人物でこの年齢ならそれで十分なわけだが、こういうのを叩きのめすのが目的だとすれば大人気ない。生きることの意味、存在の意味に疑念を抱く立場との間で相対化するなら納得できるとしても、ラストは結局後者のみを支持しているように見え、それなら一人で勝手にやれよと言いたくなる。あるいは単に破滅願望を満足させたいだけのようでもあり、それも世間的には一定のニーズがあるだろうが、他人を巻き込まなければ気が済まないというなら個人的には全否定する。 それから、世の中普通にしていても交通事故に遭わない人間の方が圧倒的に多いわけで、都合よく一度に全員死亡などというのは作為しか感じられず、TVの短編ドラマ並みの安易さである。これではとても世の無常などには考えが及ばず、死人の山ができて大喝采というようにしか受け取れない。シリアスな話でこれはないだろうと思うが、それとも最初からこの映画はブラックコメディだったのか? 何にせよ意図がよくわからない映画である。 以上、もしかすると優れた映画なのかも知れない(そのように取る人がいるのもわかる)が、クソ映画の懸念も払拭されないので念のため低評価にしておく。舞台版というのはまた違うのかどうか。 なお女子大生、及びその他の脇役の面々は好印象だった。映像面も音楽も悪くない。
[DVD(邦画)] 2点(2012-09-02 19:52:38)
52.  ナースコール 《ネタバレ》 
タイトルからして通俗的な印象だが、「わたしたちは天使じゃない」などというキャッチコピーを見ても、今どきそんなこと初めから誰も思ってないだろうと脱力感を覚える。ストーリーはとりあえずキャッチコピーの通りに展開し、やがてモンスター患者が出てきてさんざん駄々をこねるが見ていて同情心がわかず、思わず他の入院患者の立場になって、看護婦さん方も人間なのだから自分だけの守護天使を求めるな、と突き放したくなる。  最後の場面はまたいかにも安易な感じのエピソードで、実際こんなことは病院内ではありえないだろうし、また心をこめたメッセージのように見えても、どうせ担当看護師がどうすれば格好付くかだけ考えて適当にこなした仕事だろう、という皮肉な感情がわく。 しかし、そうは思いながら不覚にも、もし自分が入院患者の立場でこれをやられたら、この時ばかりは目の前の看護師が天使に見えるかも知れない、と思えた。天使は、われわれ一人ひとりのことを(いつもではないが)ちゃんと見ていてくれるらしい。そう思うと、もうこの映画を悪くいえなくなってしまった。個人的にこういうのに弱いようだ。  なおこの映画の脚本家は看護師の経験者ということで、病院での勤務実態の描写のほか、ベテランが新米とは別の陥穽にはまるといったあたりも現実的なのだろう。コメディ要素もあるが控え目で、全体として極めて真面目な映画である。
[DVD(邦画)] 8点(2012-06-02 09:57:01)
53.  フロントライン 戦略特殊部隊 《ネタバレ》 
第二次世界大戦中で、フィンランド史上の「継続戦争」(1941.6-1944.9)の開戦直後の話である。原題は「ルカヤルヴィの道」で、劇中の師団が攻略予定だった村(及び湖)の名前が題名になっているが、ストーリーは師団が駐屯していたレポラの付近で展開しており、ルカヤルヴィそのものは出て来ない。ただし史実ではその後(1941.9.17)実際に師団がルカヤルヴィを占領しており、この映画はそこに至る過程の一エピソードを描いたものということになる。ラストで主人公の分隊は半減以下になってしまい、残った人々も疲れ切った顔をしていたが、まだ戦争は始まったばかりである。  ところで冒頭に「皆、冬戦争(注:1939.11-1940.3)でソ連に奪われた領土を取り返すのだという、強い決意に満ちていた」との説明があったが、前回の戦争で奪われたのは主に南方のカレリア地峡とラドガ湖北岸であり、この映画の場所は実はそうではない。師団のいたレポラ地区と隣接のポラヤルヴィ地区だけは以前にフィン=ソ間の係争地だった経過があるものの、それ以外の東カレリア(ルカヤルヴィを含む)は歴史的にロシアの版図に属しており、あくまで独ソ戦開始直後の勢いに便乗して攻め込んだだけの場所である。その後は敗戦により当然のようにソ連に奪還されたわけで、もしかすると従軍した人々にとっても結果的に徒労感の大きかった戦場なのではないかと想像する。  ただソ連領とはいえ、主に住んでいるのはフィンランド人と同系のカレリア人である。分隊の目的地はいかにも狩猟・漁労で生計を立てているような貧しげな村だったが、かつてエリアス・レンロートが民族叙事詩「カレヴァラ」の材料となる民族詩を採集して回ったのもこのような場所だったのではないかと思わせるものがあった。いわばフィンランド人の心の故郷ともいえる場所だったはずなので、この点は他人事ながら一応弁明しておく。  それで映画の内容は、主人公とその恋人が上記のような戦線へ出たばかりに、微妙に悲惨で何ともやるせない境遇に陥ってしまった、という話である。戦争の行方を左右するエリート部隊の活躍を描く、というような戦争映画では全くなく、戦争に翻弄される個人の運命、という感じの人間ドラマなのだが、そういう映画にこういう邦題をつけて売るのは看板の偽りも甚だしい。しかし、そうしなければ邦訳付きのDVDが国内で見られなかったのだろうから、まあ仕方ない。
[DVD(吹替)] 8点(2012-05-09 23:10:14)
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