701. パターソン
《ネタバレ》 ジャームッシュが好きだ。 彼がいるから、また生きていける、そういう感じだ。 彼の映画がまた観られるから、また生きていけるとも言える。 もの言わぬ隣人のような映画だ。 あの「事件」が起きて、最後、永瀬正敏が天使のように現れるとこなんか 最高だ。 また好きな映画ができた。 今宵はジャームッシュの昔の作品でも観てみるか、という気持ちになった。 [DVD(字幕)] 8点(2018-06-09 21:12:20)(良:2票) |
702. 散歩する侵略者
《ネタバレ》 黒沢清の救いのない展開は、前回の「クリーピー」を観てたので、 多少免疫があった。 だから最後はバッドエンドなのかと思いながら観てた。 そうなんです。この監督「岸辺の旅」や「トウキョウソナタ」でいささか薄められた感じはしてたけど、 元々が「CUREキュア」の監督なので、油断してると、不安のどん底に突き落とされかねない監督なんです。 しかし今回は長澤まさみが世界を救っちゃうんですよね~。 また彼女、いい演技してるんです。 概念を引っこ抜くという発想の面白さ。引っこ抜かれた人の在り方。 宇宙人の特殊能力でしたが、この設定で、アイデア次第ではもっと話の膨らみ方が可能な感じですね。 概念とは、環境の創るもの。 だから環境を変えない限り、引っこ抜かれた概念は、もとに戻っていくのかもしれません。 長澤ちゃんが、「愛」を取り戻すとこまで観ていたかったなぁ。 [DVD(邦画)] 7点(2018-06-08 14:08:26) |
703. 帝一の國
《ネタバレ》 いや~楽しめた。 娯楽作品もここまで来たか! 弾が主人公になるのが今までの漫画だったのに、帝一が主人公というのが今風なんだね。 しかし帝一の武器は光明じゃん!って気もする。 特に才覚があるわけじゃないんだよね。 ただ気持ちは誰にも負けてない!最終目標が総理になって自分の國をつくって、 ピアノを自由に弾けるようにするって(笑) 進学校でのパワーゲーム。 でもテストで高得点取るのって楽じゃないのに、ピアノまでひけて・・ やはり漫画だよな~(ため息) 女の子の出番が少なかったけど、エンドロールでの可愛い女の子でバランスがとれてる。 面白いぞ!日本映画! [DVD(邦画)] 8点(2018-06-03 12:32:18) |
704. フェリーニのアマルコルド
《ネタバレ》 特にストーリーらしきものはない。 群像劇かというとそうでもない。 フェリーニの子ども時代の思い出を映画にしたような感じだ。 これは「道」や「甘い生活」のフェリーニというより、 「81/2」に近い。 画面のどこかに映画的仕掛けがあり、それで最後まで観せるという映画だ。 何よりニーノロータの音楽がいい。 僕は青春時代、「81/2」と「アマルコルド」の彼の曲を先に聞いて、どんな映画なんだろうと 胸をワクワクさせていた。 ついに観る機会を得たときの気持ちは舞い上がるようなものだった。 映画の楽しみは、こういうところもある。 [DVD(字幕)] 7点(2018-06-02 15:02:11) |
705. 八日目の蝉
《ネタバレ》 これは3.11の後にNHKのドラマで同じ原作のがあってたんですよね~。 そっちは壇れいが誘拐犯役で・・ 最後のセリフで涙がワッと出ました。 「その子は、その子は、」 「私の子どもです」と言うかと思ったら、「まだご飯を食べてません!」って。 もう母親の愛がここ一番のときに口から出るんですよね。 やられた~って感じで涙腺一気に開きました。 この映画もよく出来てます。 「母」子が引き裂かれると分かってて、なお島の愛情たっぷりの生活が描かれる。 あ~切ないなぁと思って、どうしようもない気持ちになる。 永作博美がまたいい笑顔してるんだよね。 犯罪者の顔じゃないよ!この人が逮捕されるって何かが間違ってるよ! そうなんです。男がいい加減なんだね。 このお父さんが井上真央に裁かれるラストかと思いきや、違うんだね。 もうこの手の男には何を言っても仕方ないと思ったか・・ 井上真央が生まれてくる子をいい表情で迎えようというとこで話は終わるんだよね。 田中泯の写真屋が良かった。 浮かび上がる写真に井上真央が何とも言えない気持ちになる。 そして、やはり誘拐犯の「母」への愛を確信する。 もうね、身勝手な男は3.11以降、置いていこうという感じだよね。 日本の生まれ変わった時期に、ふさわしい一本だよね。 NHKのドラマも負けずに良いですよ~♡ [DVD(邦画)] 8点(2018-06-02 00:03:31) |
706. 忍びの国
《ネタバレ》 いや、これは面白かった! キネ旬で評価が高かったので観たが、面白かった。 嵐というグループの大野くんの個性が分かった。 なるほど、こういうキャラを任せるとドンピシャな人なんだね。 平成の時代劇という感じで、トップの人柄も仕える側の考え方も今風でとても 新しい時代劇という感じがした。 今の若者が忍びのように人でないのかどうかは分かりかねるが(劇中そのようなシーンもあるが)、 僕は今の子にピッタシのドラマの在り方が分かったという感じで、とても勉強になった。 アクションシーンも見事で、合戦シーンも今風で、魔法など使わなくても 充分、新しい時代劇ができるんだと興奮しました。 [DVD(邦画)] 8点(2018-05-26 19:05:09) |
707. 彼女の人生は間違いじゃない
《ネタバレ》 彼女の生き方をどうこう言うことなどできない。 3.11を経験した地域でこのような悲鳴が聞こえているのだ。 彼女の傷ついた心と体は誰がケアするのか。 ただ悔しくてならない。 [DVD(邦画)] 7点(2018-05-26 16:49:36) |
708. 世界の終わりという名の雑貨店
《ネタバレ》 平成の今、台頭する女性監督たちの瑞々しい女性映画を多く鑑賞した後では 本作は凡庸な作品としか感じられない。 しかし3.11を経験する前の、不況で騒然としていた日本を思い出した。 まだSNSもない頃、自分も将来の見えぬ自分を客観視してたような頃である。 自分探しのフリーターが多かった。 本作の若者は、今どこで何をしているのだろうか? ミニスカートに寄り過ぎのカメラの前では、不自然な表情になっても仕方がなかろうとは 思うが、彼女らの硬い表情に、ふとそんなことを考えた。 [ビデオ(邦画)] 5点(2018-05-24 23:01:32) |
709. 繕い裁つ人
《ネタバレ》 三島監督、いいですね~。 大事なことを言ってると思います。 消費重視の仕事に忙殺される人が多い、この国で心を届ける映画だと思います。 「しあわせのパン」をさらに掘り下げた感じです。 どこか「森崎書店の日々」のような雰囲気で、僕は好きです。 原作は未読ですが、主人公と藤井くんはいい仲になりそうなんですね。 でもこの映画では、せっかくの団子を嫌いと言ってのける藤井くんになってて、 際どい人物描写でハラハラします。 この映画のいい感じの雰囲気が、神戸だというのが味噌ですよね。 横浜でも、札幌でもない、神戸だというのが、なんとなくうなずけちゃいます。 三島監督の母校のあった場所とのこと。 特別な作品なのでしょうね。 [DVD(邦画)] 8点(2018-05-19 22:53:55) |
710. しあわせのパン
《ネタバレ》 三島監督に興味を持ったので、鑑賞。 採算度外視のメルヘンパン屋さん。 心地いい2時間でした。 こんな絵本みたいな映画もたまにはいいもんです。 [DVD(邦画)] 7点(2018-05-17 07:29:25) |
711. ドリーム
《ネタバレ》 人種差別と戦いながらも、頭角を現していく黒人女性たち。 とにかく頼りになる! 話の好展開にやった!という気にはなるのですが、 何故か観終わった後、世の中悪くなって、ざまぁみろという感じが湧き起こってきた。 う~む、これは抑圧された側の呪いだろうか? にしても、頭のいい映画(勉強に役立つ映画とでもいうか・・)。 こういうのを観て育つ子たちも、頭良くなるんだろうな~。 [DVD(字幕)] 7点(2018-05-12 22:08:01) |
712. 幼な子われらに生まれ
《ネタバレ》 これは女性監督にしか撮れない映画ですね。 男性だと、女性の潔癖症の前で、怯えるか、逃げるか、暴力を振るうか、とか そんな内容になってしまう。 でもこの映画は、嘘だらけの家が、心を取り戻す過程を描いてる、大変な映画です。 それも二人の長女がカギなんですよね。 再婚相手の長女とうまくいかず、前の奥さんの間の長女が新しい父親の死に動揺する。 無責任な言い方ですが、二人の長女が、浅野さんのなかで一つになったとき、 浅野は心を取り戻す、という内容です。 こんなこと、現実に起きるかどうかはともかく、浅野の再婚理由に邪心がなかったからだと思います。 宮藤官九郎の寂しさも堪えました。 名作です。ちょっと泣きました(笑) [DVD(邦画)] 8点(2018-05-12 15:06:02) |
713. 関ヶ原
《ネタバレ》 甲冑をしての合戦映画でこれほどリアルなものははじめてだ。 常日頃、あんな重そうな甲冑をして、戦などとはと思っていたので、勉強になった。 政争劇に終わりそうなところを、三成と初芽のロマンスを入れて、 非常に観やすい時代劇となっている。 原田監督の手腕である。 実際、広い原野での合戦をイメージしやすいが、野をかけ、山をかけ、本当の合戦とはこんなもんだったんだろうと思う。 とてもリアルで、見応えがあった。 [DVD(邦画)] 7点(2018-05-12 11:08:32) |
714. 静かなる決闘
《ネタバレ》 黒澤監督の医者映画第2弾。 今回は理性対欲望という、男なら非常に共感の多い映画だ。 こんな映画は平成になっても映画を観続けた自分が、未だかつてお目にかかってない。 でも文学では頻繁に取り上げられる題材だ。 黒澤監督は分かりやすく、話にダレがなく、一気に見せてくるので、楽しみやすい。 看護婦の千石規子が魅力たっぷり。 どこか有働アナに似ている。 さわやかなラストに救われる。 [ビデオ(邦画)] 8点(2018-05-09 07:49:53) |
715. 素晴らしき日曜日
《ネタバレ》 黒澤監督のアイデアと映画愛の詰まった一作である。 世のアベックに言いたい。 男女のカップルに正解、不正解はないだろうと思う? でも、この映画の二人のように、音楽の聞こえる二人になろうよ! 是非、カップルで観てほしい一本。 [ビデオ(邦画)] 8点(2018-05-06 23:16:12) |
716. 影武者
《ネタバレ》 ここまで映画を観てきたから、言える。 黒澤監督ほど、創る映画が全部、傑作な監督は世界を探したって、いない。 しかも同じことは2度やらない監督で・・ 日本が誇る大巨匠である。 昭和といって、食わず嫌いをする平成のクリエイターに言いたい! 黒澤明を観ないと、人生損ですよ! 影武者は、自分の中では黒澤監督のシェイクスピアへのリスペクトかな?と思ってた節がある。 でも、それは「乱」「蜘蛛巣城」だった。 本作は、日本の戦国史の、日本国民への黒澤監督からのプレゼントだ。 これは是非、国民みんな観るべきだ。 黒澤時代劇は、観ておかないと!ホンットに!! [DVD(邦画)] 10点(2018-05-06 23:11:52) |
717. 白痴(1951)
《ネタバレ》 さすが黒澤監督、圧巻である。 4時間ほどの映画を短くしたことに対する不満もあるが、 短くなったおかげでクライマックスの原節子と久我美子の対決がより鮮明になった気がする。 原節子の演技がこの映画の命だ。 とくにクライマックスでの表情は、小津さんなどの映画に出ている原節子とは全く違う。 ここまで女優がむき出しの演技をしている映画はあまりないのではないか? ラスト、主人公の青年はどうなったのだろうか? 伝言少年の嘆き「あの人のいいとこだけを思い出に・・」とか言ってたが・・ 三船が気がふれてきた場面から一体何が起こったのだろう・・う~む これは原作を読むべきかもしれない・・ いずれにせよ、この作品のおかげでドストエフスキーに興味をもった。 黒澤監督がラブストーリーを撮らないのは、これ一本でもう十分だからだろうなぁ。 いや、唸った。唸った一本だ。 10点満点だが、縮小版のため、この点数。 [DVD(邦画)] 9点(2018-05-05 10:04:24) |
718. 黒部の太陽
《ネタバレ》 三船敏郎、石原裕次郎!監督は熊井啓! この日本映画の全力投球ぶり! すごいっよね~! ゼネコン土建屋の現場の凄まじさが分かる。 まるで戦場のような緊迫感。 束ねる人間も半端じゃ務まりっこない。 破砕帯との戦いがメイン。 死闘する現場に、上の者も命がけで打開策を探す。 平成の今はよく知らないが、この頃はトップも猛者が揃ってたんだね。 もうただただ頭が下がります・・ [DVD(邦画)] 7点(2018-05-03 15:10:51) |
719. 橋のない川(1992)
《ネタバレ》 非常に正攻法な演出で、分かりやすい。 日常的な差別がさらりと描かれていて、観るものにズシリとくる。 特に二人の女の子とのエピソードが心に残る。 一人は差別とも、愛情ともとれる微妙な事件の女の子。 もう一人は、同じ境遇の中、戦いに身を投じていく女性。 宣言文との結婚式のシーンは圧巻である。 原作者の住井すゑさんの次の言葉が好きだ。 「文化というのは、簡単に言って、命を大事にする事。 これが文化なんです。命を大事にする事が、つまり文化国家なんです。」 [DVD(邦画)] 7点(2018-05-02 00:28:29) |
720. スター・ウォーズ/最後のジェダイ
《ネタバレ》 最終話を観るため、おさらいで観ました。 (新3部作がはじまるという噂も・・(笑) 第7話から元帝国軍ファーストオーダーは増々勢力を強め、 武力で共和国を圧倒しようとしてました。 そこに抵抗するのは、かつて共和国からの支援でレジスタンスをしてた、 レイア率いる組織。 多勢に無勢なのですが、彼らはフォースの権威、ジェダイのルークに望みをかけます。 そこで第8話が始まるのです。 再見して思うにジェダイは美少年軍団だったんだね。 ジャーニーズみたいなもの。 ルークは生涯、美中年で逝ってしまわれた。 男同士だから、ドロドロしてくる。 そこにレイという健康的に育った女の子が悪の美少年に対峙する。 さぁ最終話どうなる? これはひょっとしてスカイウォーカー家の嫁取り騒動なのかもしれない。 [DVD(字幕)] 8点(2018-04-29 11:32:58) |