tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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プロフィール
口コミ数 2116
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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721.  ラヂオの時間 ネタバレ 
場が職場であれ町内会の会合であれ学級会であったとしても、人が集まると異論噴出して調整不可、なんてこと誰でも経験あるんじゃないですかね。ラジオドラマ制作現場で勃発するそんな「あるある」。笑いました。「ああー分かるわー○○が気の毒」「○○が折れろよ」等、観る者等しく共感を誘う見事な脚本です。(○○には観る人によって違う人物が入るでしょう)。 誇張されたトラブルの数々は次々と畳み掛けるように発生し、役名変更を発端にどこまで展開できるのかが見どころでありますが、シナリオから音響までこうもたくさんバラエティに富むとは、三谷氏の才気に感嘆しました。 ごたついた現場で光り輝くのは現状をせめてベターに着地させようとする者。ここで一番尊いのはラストの花火を見事に演出した警備員のおひょいさんでしょうな。あ、「客」としての存在である渡辺謙も大事なキャラクターですね。外からの評価が、最後にスタッフにもたらされたのです。あまり平均的な感想とは思えないですけどね笑。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2019-05-20 17:58:53)
722.  ラッキーナンバー7 ネタバレ 
サスペンスが好き、でも勘は悪いという(つまり私だが)タイプはとても楽しめると思います。いやーわかんなかったな。前半までのJ・ハートネットの善良ぽさにまんまと騙された、とも言えるし L・リューが彼女らしくない普通の女子を演ってるのが違和感だったのでスパイかも、と思ったり あげくB・ウィリスの不思議な佇まいに人外の存在かもしれない(彼の別作品が影響した)とお門違いに勘ぐったりで、それら全部外しても楽しかったな。 伏線に嘘や無理やり感がないんですよね。筋としては極めてシンプルだから。言われてみれば大して込み入ってない話なんだけど逆再生のように組み立てたことで謎がいっぱいあるように見える。よくある作りではあるけど、目まぐるしく挿入されてきた過去映像もとりこぼさず説明してくれる丁寧さは観客に親切だし、ずらーっと並ぶ重鎮演者の顔ぶれはいやでも重厚感漂わすし、良かったですよこれ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-05-16 23:35:59)(良:1票)
723.  コロニア ネタバレ 
実話だというから文句も言わず我慢して観ましたけれども。エマ演じるレナの向こう見ずすぎる行動の数々には疑問だらけでありました。いくら恋愛絶頂期といえど、単身危険なカルト団体に飛び込むというのは軽率に過ぎませんかね。二度と戻れない状態になることも充分考えられるのに、万一に備えて母国ドイツの担当機関なり友人なりに行き先を残しておくこともしてないでしょう?彼女。 同室の女の子が酷い目に遭わされたことを知っていながら、自ら男の集会に呼び出されるよう仕組むのも、意味わかんなかった。結果彼氏はいない上、半殺しになるところじゃないですか。一体何をやってるんだ。たとえそこに彼氏がいたところで、あの場ではどうしようもないじゃないか。 エマの演技はやや棒だし中盤まではなんだかなあと思ってましたが、終盤の逃走劇のサスペンスフルなことはなかなか。ウルセラのエプロンのひもが引っかかったりと、手に汗でした。 でもなあーラストがまたちょっとね。半年近く無断欠勤してたCAを社員待遇であっさり機内に受け入れるなんてあるのかしら。自国の大使館に敵方に売られそうになるし。ほんとなの?実話なんですよね?
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-05-15 23:44:52)
724.  フォエバー・フレンズ
うまいなー、と思うのは女同士の友情を描くうえでいかにリアルを演出するか、そこんとこの押さえがちゃんとできているということ。特徴的なのは二人の女優が美人じゃない点。特にベット・ミドラーなんかは平均的アメリカ人(よりちょっと下かな)の女の顔なのでその敷居の低さゆえの人気だったのかな。 喧嘩も言葉が激しいなあ。ちょっと引くくらい。日本人からしてみればこんなに相手を罵っておいて友情が続くなんて考えづらい気がするけれど、この二人は適度に距離と年月を経ることで日薬が効いたのかもね。 二人の人生描写は駆け足気味だけど、おざなり感が無い丁寧さが感じられたのは好感が持てました。国は違えど、女の人生いろいろあるわねえ、としみじみ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-05-12 00:12:28)
725.  ジュリエッタ ネタバレ 
突然姿を消した娘に囚われ続ける母親。わけも分からず去られる辛さは想像つくし、男との約束を反故にしてまで”母であること”に執着するノイローゼ気味の行動も、まあ理解できるような気はします。 けどこの映画娘からの視点が一切無いんですよね。不気味な家政婦が一枚噛んでいるのは分かるけど。あんなに健気にお母さんを支えていた(ように見えた)のにふいっといなくなる。その心の内が描かれなくて、ドラマとしてはちょっと物足りなかった。 ジュリエッタ役を二人の女優で回すのもどうだろうか。印象がけっこう違いませんかこの二人。私はなじめなかったな。 「大好きな仕事に戻りたい」宣言をしていた若きジュリエッタがいつしかべったり子供依存症に。このあたりの変化も台詞で説明されただけ。 色彩感覚が独特なアルモドバル仕様で、巷の高評価の理由は大半がそのセンスを高く買っているみたい。でも人の気持ちを深く掘り下げたドラマが好きな小うるさい客(=ワタシ)には今ひとつでした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-05-08 17:29:44)
726.  ディアボロス/悪魔の扉 ネタバレ 
なるほど20世紀に人間がこんなに堕落したのは悪魔の仕事がはかどったからなのか。大きい目をさらに見開いてすごい笑顔を見せるアル・パチーノ悪魔がとても恐いです。人間が敵うわけないよな。キアヌが自死して一矢報いたかと思えばそれすら悪魔の掌の上のこと。この終わり方って二転返しで、あまり好まないんだけど今作では効きました。 なんでもこなすアル・パチーノは悪魔にドはまり。キアヌは相変わらずキアヌ・リーヴスだ。セロンも平凡な奥様役ではちょっと役不足。と思うのはその後の彼女の仕事ぶりを見ているからで、この当時のこのレベルの仕事で納得しなかった彼女はあっぱれ。これで終わっていたら誰の記憶にも残らない女優だったかも。
[DVD(字幕)] 6点(2019-05-02 23:30:22)(良:1票)
727.  柔らかい殻 ネタバレ 
神々しいほどに美しい映像と構図、でも気が遠くなるほどに救いの無いストーリー。画と話の両軸がかけ離れているが故に強烈に記憶に残る一本。 大人側の世界、まあ見事なまでに陰気な材料ばかりだ。荒んだ母親、焼身自殺の父親、兵役から帰還した兄は原爆症の疑いが濃く、そのうえ子供が被害者の連続殺人が発生するときたもんだ。 大人が全員暗い目をしている。なんで誰も彼もがどうかしちゃってるんだろう。ぶつぶつ言いながら道を往く二人組のおばさんは勘弁してほしいくらい怖かった。 病んでる大人の世界は子供の無垢なフィルターを通すと様子は違ってくる。ヤバイ未亡人は吸血鬼で、白蝋化した誰かの中絶胎児は天使なのだ。セスにとってはそうなのだ。自分の世界が優先するから大人の浮き世の騒ぎはピンと来ないんだ。警察に目撃した車のことを言うことなんかより、兄を吸血鬼から守ることの方が断然大事なことなのだ。 だけどラストにフィルターは崩壊し、現実のその意味が降りかかる。8歳の子が悟るその残酷なこと。 シュールで苛烈なまでの不条理が金色の小麦畑に展開する。美しくて怖い白昼夢のようだ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-04-26 16:55:22)
728.  オー・ブラザー! ネタバレ 
いやあー、馬鹿ばっかり笑。コーエン兄弟の、世間一般とややズレてる周波数な感性と合う人なら楽しめること請け合い。ワタシは彼らのコメディに反応する体質らしくて、ホメロスのオデュッセイアは未読だけどとても楽しかったな。 だいたい主演3人の顔が皆いいもんね。良い「ボケ」の顔をしている、という意味で。なんと二枚目G・クルーニーまでがのびのびと間抜け面をさらしているのが素晴らしい。ファイティング・ポーズ虚しく、相手のパンチ受けっぱなしじゃないですか。いや素晴らしい。 シュールにすっとぼけながら、さくさくとエピソードを展開してゆくスピードがちょうど良いのと、金色に輝く木々が心に沁みるアメリカ南部のロケーションの美しさ、それに音楽も素敵だときては全体に漂うなんとなく散漫な感じを差し引いても、この点数になりました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-04-24 19:54:20)
729.  コーラス ネタバレ 
ストーリーはとてもオーソドックスな上、細部に突っ込みたい所が色々あります。ヨーロッパの感性との違いでしょうか、一人の子どもを譜面持ちにさせっ放しとか、凶悪な問題児に特に対応しないんかい、とか校長の横暴ぶりがてんで甘い、とか。紆余曲折もなしに合唱の仕上がりが県優勝レベルに上手い、とか感激してるわりに生徒の手紙を全員分拾わない、とか。モランジュったら人生を変えてくれた恩師の名前を忘れてるって、そりゃないだろうよ、とか。そもそも回想式にする意味あんのか、とか。 ところがですね、こんだけ文句を言いつつも、全編に流れるユルイ空気はなんとなく心地よくさせるのです。ジェラール・ジュニョ演じるマチュー先生、この手のお人よしで善良なキャラクターに私はめっぽう弱くて、彼の苦労が報われてほしいと願わずにいられませんでした。悪ガキらに先生の素朴な愛情が伝わるのを見るのは嬉しいものです。 それに、プロ合唱団による美麗なコーラスは耳を介しての至福そのもの。アマチュアの歌声じゃないじゃん、というプロット上の齟齬についても、まあいいじゃないかという気持ちになります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-04-21 00:25:13)
730.  地下に潜む怪人 ネタバレ 
閉所恐怖症なら10分と見ていられない極狭空間の中をPOV形式で進むもんだから、今何が起きているのかわからない、ということが多々あります。でも大局的には問題ありません。なんか気味悪いことがあったんだろうなーぐらいに押さえて進まないと置き去りにされてしまうし。そんなとこでそんなのやだし。 なかなかセンスのある監督で、密室空間に潜む邪悪な気配を演出するのに効果的なアイデアを使います。地下に鳴り響く電話の音があんなにぎょっとするものだとは。あからさまに怪しい死んだはずの友人登場(しかも幽霊だろどうせという前提を壊すレベルの長さで普通にいる)やら地下空間に炎上する車やら、独特のホラー感性を感じます。 B級ホラーではあるけれど、イベント会場でオバケ屋敷に入るくらいのノリでいけば料金分は楽しめると思います。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-04-18 23:46:05)
731.  二ツ星の料理人 ネタバレ 
コメディなのか人間ドラマなのか軸足がはっきりしないために、なんだかすっきりしませんでした。 B・クーパーの誇張した横暴さ、ヒステリックぶりは喜劇みたいですが、周囲の人間がまともに傷ついているので笑えたものではありません。かといってドラマとして見ようにも、アダムその人の人間性の描写が暴れん坊の部分が強調されるばかりで浅いのです。友人の台詞で「アイツは家族がいなくて一人で苦労してきた」と言い捨て、だから彼の過去については忖度しろよと客に想像させるのは映画のやり方ではありません。人物像がぐっとこちらに迫り、その人に興味を持てなければドラマは成立しないのです。  最終的には「仲間を信じよう」といった青春モノみたいなオチで締めるのも凡庸な脚本に感じました。 B・クーパーは頑張ってますけど不必要についてる筋肉のせいもあって料理人には見えないし、何に苦悩してんのか私にはついに不明でした。やたらとキレて皿や食材を破壊するヤバイ奴、という印象だけが残る作品でありました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-04-17 19:39:30)(良:1票)
732.  わたしを離さないで ネタバレ 
たしかに原作と大きく話はずれていないし、順を追って映像化すればこうなるのでしょうが・・。残念なことに人間の持つ感情のひだ、逡巡や葛藤といった情感を収め切れなかったせいでカズオ・イシグロの精緻な描写はざっくり削られ、「あらすじで知る名作」になってしまっています。 やはり三人の関係の核になっているヘールシャム時代を描き足りていないことが大きい。キャシー・ルース・トミーが青年期の入り口まで過ごしたヘールシャムでの日々は原作ではそれは瑞々しく、青春期の学園小説として読んでも一級品の「十代あるある」なのです。だから読者は彼らの友人となり得るし、彼らの人生を大きなクエスチョンを抱きつつ見守ることになるのでした。映画ではこの疑問の回答も早々とばらしてしまうんだもんなあ。ああそれにテープのエピソードもざっくりカットされたのにもがっかり。あのテープは本作のタイトルであり、ヘールシャムではルースの性格の多面性に気付かせ、ロスト・コーナーでのトミーとの思い出に繋がる、キャシーの人生にとって非常に大きなアイテムであるのに。 というわけで鑑賞後の感想は芳しくないのだけれど、キャスティングは三人を含め校長もマダムもルーシー先生も原作の世界観を損なわない理想的なものでした。舞台となるヘールシャムやコテージ、ルースのポシブルを探しに行った街角や船が打ち上がった海岸等、映像は原作のイメージそのままに哀しい美しさです。脚本はともかく、キャストと美術スタッフさんには満点を差し上げます。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-04-13 23:51:18)
733.  マドモアゼル ネタバレ 
自分の情欲や憤懣やらを周囲に撒き散らかしておいてお天道様からも成敗されない妖女のお話。うへえー、となりました。 男を破滅させてしまう女の話とくれば、日本製の人情話なら女側にもそれなりの事情なり、汲んでやりたくもなるいきさつを抱えてそうなものですが、フランス女にはそんなもの無いんだねえ。ただただ悪い。冒頭からいきなり水門開けて村の民家水浸し。理由は特に無し(!)。 顔が仏頂面のJ・モロー。教師として生徒にアカハラする場面などはただのおっかない中年女なのですがイタリア人の林業労働者の男と情交にふける終盤は色欲全開。艶っぽいというレベルを超えてもはや禍々しさすら感じましたね。いやオソロシイ話でした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-04-10 16:02:13)
734.  真実の行方
殺人事件と真犯人探しのミステリー、さらに法廷劇の要素もあって濃い脚本ではあります。描くことが多いわりにはちゃんと整理されてテンポの良い展開も見易い。面白かった、と思います。 だけどこんなに手をかけているわりに、この映画猟奇系ジャンルの「羊」や「セブン」ほどの格を獲得していない(個人の感想)のは、妙に軽い喉ごしだからでしょうか。そしてその”軽さ”の責任はほぼR・ギアにあるような。ローラ・リニーの肩に力入りすぎの演技もちょっとどうかなと思うけど、とにかくギアが敏腕弁護士に見えないのがつらい。女と見ると目じりを下げてべたべたしたがる。これではいつものリチャード・ギアじゃないか。こうへらへらされては事件の深刻さが三割減してしまいます。 E・ノートンとF・マクドーマンドのキャスティングはそのままに、検察と弁護側の二人を別キャストで撮り直してはいかがでしょうか。どちらも男性でいいと思う。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-04-06 17:15:51)(良:1票)
735.  マシニスト
クリスチャン・ベール、激ヤセと激太りを繰り返してスクリーンに登場するこの人を見てると、正直役者根性というよりは珍奇な執着性質を感じてしまうのは私だけか。 画は暗いし汚いし、訳はわからなくしてあるしで、まー気色の良くない映画だけど気色悪さの八割方はベールその人が請け負っているような。そんなにアバラを強調すべく裸にならんといてください。怖いなあ。 むしろ役者としてあっぱれと思ったのはJ・J・リーの方。年増の娼婦を演ってますが、くたっと崩れた感じのまあ巧いこと。元々「キレイな」役なんか受けない演技達者な女優ですもんね、乳出しも厭わず、えらいです。 話は皆さん言ってるとおり、オチがえ、こんなもんかと思うくらいシンプル。肩透かしな気分になりましたが考えようによってはリンチ監督みたいに迷宮に置き去りにされるよりは、謎全部氷解の方がストレスなくて良いのかも。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-04-03 16:45:58)
736.  沈黙 ーサイレンスー(2016)
原作未読なのですが、ああこれはむごい場面に耐えなきゃならない映画だろうなあとの予想通り、迫害される切支丹たちの姿がてんこ盛りの中盤までの長いこと。つらい。 空気ががらりと変わってくるのは中盤以降。イッセー尾形演じるイノウエ様の意外や滋味溢れる人格や、役人のくせに私情をだだ漏れさせる浅野忠信の人間味が観る者にじわじわと来ます。そして真打ちリーアム・ニーソン登場への展開はまさに一気呵成、流れるような脚本力でした。 私が瞠目したのは日本人の生来の信仰概念を西洋人のそれと比較し、違いを指摘してみせたフェレイラ神父の分析力です。信仰という一筋縄では解析できない難解な心のありようを説明する、その言葉に説得力を持たせるには苦悩が知的に顔に刻まれた役者L.ニーソンでなくてはならなかった。ほんとそう思いました。着物も似合ってましたし。 そして特筆すべきことに、外国人監督による日本舞台の作品でありながら本作は目に違和感を覚えることが一切ありませんでした。西洋人のフィルターを通したばかりに細かいところで突っ込みを入れたくなる作品がごまんと存在しますが、スコセッシ監督は井上の屋敷においても上座を一段高く上げて床の間の壁を真っ赤にしつらえ、でかい甲冑を置くなどというミステイクはしませんでした。百姓らの着衣、町人の風俗、小物、街並。とりあえず私の日本史認識レベルでは「これはどこの国だ」というストレスを感じず観賞することができたのは、大変ありがたいことでした。 音楽を排し、せみの声や波音だけを耳に残すことで静寂を感じさせる。日本の情感を丁寧に表現した監督に敬意を表します。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-03-30 12:37:31)(良:1票)
737.  ワールド・オブ・ライズ ネタバレ 
ディカプリオ、ラッセル・クロウ、マーク・ストロング。三者ともまるきり個性の違う存在感を創出してて上手いけれど、いやこれ頭一つ飛びぬけてるのはラッセル・クロウでしょ。地味で小太りの。この男はね、片手でわが子をあやしながらもう片方の手で人を殺すんです。顔色ひとつ変えず。物を食べながら衛星ではるか上空から敵を捕捉し、撃つ。そして何も感じない。 ディカプリオは現場にいる。前時代的に生身で戦って傷を負い、同僚を目の前で殺される。無実の者を陥れる残酷なプランを立てはするけど、肉体的な痛みや良心の呵責が機能しているので完全に捨て駒にすることができない。 M・ストロングのレバノン人もしかり。現場の人間は殴られれば痛いということを身体でわかっている。 しかしラッセル・クロウ演じるCIAの上級職はずーっと死んだ魚のような目をしながら子供の写真を撮り、そのかたわら証人を見殺せと指示を滑らかに出すのだった。この非人間的なこと、心の死んでいること。自らを世界平和の掌握者と言い切る傲慢さは近代のアメリカそのものに感じる。嘘ばっかりの世界で一人勝ちしている(と思っている)アメリカ=CIA、その寒々しさを座った目つきと鈍重な所作で演ってのけたラッセル・クロウにすっかりびびった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-03-24 22:59:31)(良:2票)
738.  アメリカン・スナイパー ネタバレ 
凄惨な戦場での体験が退役後も兵士の心を蝕むというテーマの作品はこれまでいくつも観てきました。主人公らは皆心を再生不能なまでに壊され、その再起のいかに困難なことかを思い知らされるものが圧倒的に多かった気がします。 本作の主人公カイルは伝説のスナイパー。160人を殺めてきた彼もPTSDに悩むことになりますが、回復がかなり早く描かれているのにちょっと驚きました。このことは彼が幼少の頃から受けてきた「番犬であれ」という教育が大きく影響しているのかなと思いました。番犬たること、「悪」である狼を退治することは神の意に添った「善」である。この岩のような信念がカイルをして「人殺しの理由を神に説明できる」と言わしめ、心の回復を早めたのでしょう。そしてこの「米国は世界の警察」な意識はアメリカ人の平均的な考え方であるとずっと感じてきたことでもあります。自らの価値観を善だと信じ、他国の紛争に手出し口出ししてきた結果、大使館爆破も9・11も誘発したのだとは彼らは考えない。同胞が攻撃されている、そのショッキングな映像に奮い立ち、戦場に自ら向かうクリスは極めて普通の感覚のアメリカ人です。 しかし非米国人の私は、他国の兵士に家に踏み込まれ、あげく凶暴なテロリストらに蹂躙されるイラクの一般市民の痛みの方に強く共感します。戦地で生きる市民にとって、禍の度合いはテロリストも米軍も大差ないのだよと冷徹に描かれており監督のフラットなバランス感覚がうかがえます。 けれど人間が戦場で心を喪うということ、その惨たらしさについてはイーストウッドといえども同テーマの他作品より抜きん出ているとは言い難く、平均的な出来の作品と思いました。
[DVD(字幕)] 6点(2019-03-16 15:17:32)(良:1票)
739.  潮風のいたずら
いや上手いなあゴールディ・ホーンが。富豪夫人を演ったらはっきりしたんだけど、彼女キツ目の美人なんですよね。劇中、29歳の設定でも違和感の無い美貌の持ち主(このとき42歳!)ながら、コメディエンヌを自然体でこなします。ギャグを受け止め、ある時は投げ返すといった身体動作がなめらかなのです。大きな口と良く動く目もコメディエンヌには大切な要素ですし、前述したように綺麗なので日本の女お笑い芸人らが不細工を売りにするがゆえの痛々しさとも無縁です。野暮ったいカート・ラッセルをも包み込んでしまう彼女の懐の深さも合わせて感じられ、観ててほんとに気持ちよく、あははと笑ってさっぱりと楽しい気分になるコメディでした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-03-10 23:03:17)
740.  ジュラシック・ワールド ネタバレ 
いやこれワタシ良くできていると思います。これは今の子どもらの「ジュラシック・パーク」なんですよ。30年前にジュラパを経験した大人にはそりゃ当然物足りない。同じだもの。 でも「ワールド」が恐竜ムービー初体験だったら、そんな10才が私はとても羨ましい。映画ってすごいな楽しいなと思うだろうな。まず訪れたテーマパークの造型が素晴らしいじゃありませんか。客を飽きさせない最先端の観光地。千葉にディズニーランドができるずっと前、少女雑誌でフロリダのディズニーランドの記事を読んだ時に感じたときめきを思い出しました。行きたいなあジュラシック・ワールド。お土産たくさん買ってしまうだろうな。もっとも、本物を再現できるのに恐竜のホログラムはいるのか?とは思いましたが。 肉食恐竜のおっかなさを余すところ無く描き、子どもにはちょっと刺激が強いくらい。人がなかなかえげつない死に方しますよね。いい塩梅にユーモアも散りばめてますし、娯楽大作の看板に偽りなしです。
[DVD(字幕)] 7点(2019-03-07 17:19:06)(良:1票)
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