761. 太陽の少年
《ネタバレ》 印象的なシーンが三つ。 一つ目は、彼女が髪を洗うのを手伝うシーン。 キラリと光るうなじと、そこに滴るお湯が印象的。 二つ目は、彼女を家へ見送るシーン。 不良少年ながらも、女性を好きになると、こうも純粋になるものか。 心清らかになる美しいワンシーンだ。 三つ目は、ラストのプールでのシーン。 水から上がろうとするが、昔の仲間からけり落とされる。 ものすごい疎外感。 ただ全体的にしまりが良くない。 もう少し切れ味鋭くできなかったか。 映像も凡庸なのが残念だ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-05-05 19:28:58) |
762. 死の谷
終り方はともかく、素直に楽しめる西部劇。 [DVD(字幕)] 7点(2008-05-01 00:18:28) |
763. ガートルード
《ネタバレ》 登場人物がそれぞれアサッテの方向を向いて会話する。 そんなダイアローグが延々と続く拷問の様な映画。 冒頭、冷え切った関係にある夫婦のダイアローグから始まる。 妙な長回しで、なんか観ていて妙な疲れが出る。 それが嫌というくらいに続いた後で、屋外のシーンへ。 ここで一瞬ホッとするも、そこでも閉塞的な会話が続けられ、一瞬の解放感は間違いだったと気付く。 その様な息の詰まるシーンが脈々と続いていく・・・ 「緊迫感」というテーマを主題に置いているんじゃないかというくらいに、緊迫感、圧迫感、閉塞感を終始感じた。 楽しさは皆無で、ひたすら目の前に広がる観たことのない映画世界に吸引されるのみ。 観ているこちらとしては、強引に受身にさせられる。 本作は決して楽しい映画ではなく、苦しい映画だ。 だがしかし、他に類をみない独自の緊迫感を持った作品であった。 [映画館(字幕)] 7点(2008-04-27 00:35:43) |
764. 担え銃
戦争という重いテーマを扱いながらも、笑いと平和への願いとを絶妙に配した傑作短篇。 冒頭のガニ股行進の時点で、爆笑。 木の格好をして敵を次々にやっつけるところや、水浸しになったベッドでの寸劇は素晴らしいの一言。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-04-26 13:01:13) |
765. 人間魚雷回天
《ネタバレ》 『雲ながるる果てに』を観た後では、残念ながら同じ展開に少し飽きがきたのは事実。 しかし、凄まじいまでの反戦映画だ。 現代の人間はこの様な反戦映画をもっと観るべき。 どんな説教や授業なんかよりも、よほど真に迫るものがある。 戦争がいかに残酷で無用なものかを、ここまでハッキリと観る者に訴えかけてくる作品はそうにない。 こういった救いようのない話は、個人的好みには合わない。 しかし、一度は観るべき作品として、皆様に推奨したい作品である。 そういった救いようのない話の中で、唯一、純粋に心打たれたのが、木村功の海辺での最後のロマンス。 これにはまいった。 あまりに哀しすぎる。 平和な時代に生まれた有り難味を、非常に実感することができた。 愛する人を大切にしたい。 生きていることの喜びをもっと堪能したい。 明日への活力をそういった意味で得ることができた。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-04-19 19:38:02) |
766. 黄金の馬車
《ネタバレ》 最後は素晴らしいまでの大円団。 とてもよく出来た脚本だ。 アッパレ。 それにしても、主演のアンナ・マニャーニがどうしても魅力的に見えない。 他の作品でも何度か観たことのある女優だが、どうしても魅力を感じない。 3人の男をここまで手玉に取るほどの魅力があるんだろうか。 女優としての魅力なのか? よく解らない。 この部分が解らないと、男性として感情移入するのは難しい。 そこが個人的な本作の難点だった。 テクニカラーの映像はとても美しい。 やっぱりジャン・ルノワールという監督は、画的に見栄えのする作品を撮らせたら天才だ。 『ピクニック』のモノクロ映像も素晴らしかったが、『河』や本作の様なカラー映像も素晴らしく美しく撮る。 それが凄い。 モノクロで美しい映像が撮れる監督でも、カラー作品を撮った途端、凡庸な映像がしか撮れなくなってしまう監督が多い中、これは凄いことだ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-04-19 16:12:00)(良:1票) |
767. ビルマの竪琴(1956)
市川崑監督の代表作に恥じない高いレベルの作品でした。 桟橋において、あの距離でかつての同志とすれ違ったなら、さすがに気付くでしょうに、ってツッコミは置いておいて、2時間たっぷり楽しめました。 [DVD(邦画)] 7点(2008-04-14 00:18:42) |
768. 彼岸花
《ネタバレ》 “メタボ”佐分利信。 星野仙一バリ、田中角栄バリのカミナリ親父ぶりを十二分に発揮。 最初は悪役に回り、最後は従順な一面を見せて、父親としての理解を示す。 まあ、小津作品を見慣れた人ならすぐに予想できる内容です。 しかしながら、内容が読めるとか読めないとか、そんなことは小津作品を観るに当たっては、さして重要なことではありません。 小津ならではの様式美に支えられた画面の中で、ゆっくりと進行する人情劇に気持ち良く身を委ねれば良いのです。 それにしても、会話のシーンがとても個性的というか、ぎこちないというか。 もちろん、小津監督は狙って演出しているのですが、これは何度観ても、なかなか慣れることができません。 というか、いつから小津監督の撮る作品は、こんな感じになったのでしょうか。 完成された小津様式といったところなんでしょうが、画面がセリフごとに忙しなく入れ替わる、あの撮り方は一体、どんな意図があるんでしょうか。 まあ、それはそれとして、小津監督の後期カラー作品は、色鮮やかでとにかく綺麗です。 あんなカラー映像を撮れる監督は、世界広しと言えど、小津監督しかいないでしょう。 本作は、遺作である『秋刀魚の味』と似たテイストの作品ですが、個人的には、テンポ良く、小気味良く進んでいく『秋刀魚の味』の方が好きですね。 本作はさすがにゆったり過ぎたような気もします。 でも久我美子を、あんなチョイ役に使うだなんて、なんて贅沢な作品なんでしょう・・・ [DVD(邦画)] 7点(2008-04-11 22:18:39) |
769. 私は貝になりたい(1959)
《ネタバレ》 これは真に迫った物凄い作品だ。 日本軍の末端たる二等兵が、上官からの命令により人を殺し、その罪が問われて死刑に処せられる。 縦社会の日本軍内で、上官に逆らうことなどできようはずもない。 つまり、フランキー堺演ずる主人公は、死刑というものから逃れようもなかったわけだ。 何たる悲劇。 戦争の愚かさと残酷さを、深刻に考えさせられた。 だが、何分、後味が悪すぎる。 戦争の何たるかについて真剣に考えさせられるし、フランキー堺の名演もあって、素晴らしい作品だが、とにもかくにも後味が悪すぎる。 あー、辛い。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-04-10 23:41:12) |
770. 川の流れに草は青々
内容はベタだし、最後は都合良くまとめ過ぎだし、題名通り「青臭い」内容なんですが、これがまた心がとても和む作品です。 まるで『男はつらいよ』シリーズを観ている時の様な、落ち着いた良い気分になれます。 やはりホウ監督の作品は音楽が良いです。 台湾の田舎を舞台に爽やかな人々の日常風景が映し出され、そこに爽やかな音楽がタイミング良く流れます。 ホウ監督は後に作風を変えますが、ホウ監督初期のこういった作品群もまた別の意味で良いですね。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-04-10 17:26:22) |
771. わが町(1956)
《ネタバレ》 父と娘のビンタの応酬。 これには思わず声をあげてしまった。 その後、父は街で若者にからまれ大怪我を負う。 病床にて、父は言う。 「娘から殴られたのが何より痛かった。」 この言葉には感動した。 川島雄三っぽさは比較的薄い本作だが、非常に完成度の高い人情劇だ。 それにしても、南田洋子の若い頃って美しいなぁ。 それを再認識した。 [DVD(邦画)] 7点(2008-04-08 13:15:08)(良:1票) |
772. 一日の行楽
チャップリンのボクシングまたもや炸裂! 手をクルクル回して、相手のパンチをよけまくる! あのパフォーマンスが見られただけでも満足だ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-04-07 13:11:43) |
773. キートンの隣同志
《ネタバレ》 うわぁぁぁ・・・なんじゃコリャー! 人間って、こんなことできるんか?! 三人立ち車の上に、一番上のキートンが女性をお姫様だっこ。 これを観られただけでも満足。 [DVD(字幕)] 7点(2008-04-02 23:01:54) |
774. キートンのスケアクロウ(案山子)
《ネタバレ》 今まで観たキートン作品の中では一番すごかった。 何よりキートンの動き、運動神経、危険きわまりないスタントがすごい。 逆立ち河渡りに、犬の追いかけっこがすごい。 あの犬は面白かった。 っていうか、あの犬の運動神経もすごい! 比較が難しいが、キートン以上にあの犬はすごいと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2008-04-02 22:59:38) |
775. 地獄門
カンヌで最高賞を取った作品を是非観てみたい!ということで鑑賞。 まず長谷川一夫。 私はこの人が苦手。 下膨れだし、大げさだし、オカマっぽい。 そして京マチ子。 私はこの人も苦手。 下膨れだし、気味も悪い。 つまりは、私にとって最悪のキャスティング。 だけど、楽しめた。 これは自分でも驚き。 まず極彩色のイーストマン・カラーが素晴らしい! まばゆいほどの色鮮やかさ。 そして、そのカラーに映える衣装の数々。 また、音楽も素晴らしい。 重厚で迫力のある音楽。 本作で音楽を担当している芥川也寸志って、今まであんまり好きじゃなかったんだけど、かなり見直した。 ストーリー自体はとってもシンプルで、どこかで見聞きした様な型通りのものだったが、映像と音楽による効果がそれを非凡なものに変えた。 この時代の日本映画はやっぱり凄かった。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-04-02 01:32:32) |
776. へそくり社長
森繁久彌がふざけまくると思いきや、意外や根は真面目な役だった。 社長挨拶なんて真面目そのもの。 喜劇のイメージがあったので、とても意外だった。 後に加東大介が加わるこのシリーズだが、本作ではまだ出演しておらず、そこが少し物足りない。 しかし、その後のドル箱シリーズとなる第一作目とあって、なかなかの完成度。 そつなく楽しませる良作だった。 でもなぁ・・・ なんか仕事を思い出してしまうのがネックだ。 サラリーマン社会の辛さ哀しさも散りばめられているからだ。 それが良いと言えば良いのかもしれないが、どうも観ていて仕事を思い出してしまうなぁ。 [DVD(邦画)] 7点(2008-04-01 19:17:02) |
777. 太陽を盗んだ男
後半の緊迫感はかなりのもの。 『青春の殺人者』同様、パワー漲った作品だった。 1970年代の東京。 それも西新宿や渋谷東急などが舞台となっており、興味を持って観ることができた。 この監督が、本作以後、全く監督業をしていないのが残念だ。 それにしても、長谷川和彦監督は映像センスと音楽センスがどうもなぁ。 緊迫感重視で、最後まで力で持っていく監督だ。 最初はそのパワーにグイグイと牽引されるものの、観ているうちにそのパワーに慣れてしまい、後半が間延びしていると感じる御仁も多いことだろう。 欠点もあるが、愛すべき監督である。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-03-29 10:12:10) |
778. 星願 あなたにもういちど
《ネタバレ》 内容がファンタジーすぎたなぁ・・・ しかし、そういったリアリティの欠如という点を差して引いても、素晴らしい作品。 とにかく印象的なセリフが多い。 しかし、どうなんだろう。 自分がもし亡くなったら、後に残った愛すべき人の幸せを素直に祈るんじゃないかなぁ。 嫉妬なんてしないと思う。 早く新しい人と出会い、幸せになって欲しいと思うはずだ。 そういう点からみても、いまいち感情移入は難しい。 このようにストーリーは問題だらけだが、ロマンチーな演出はかなりの出来。 もう少しリアリティのある内容で、この雰囲気なら文句なしの傑作だと感じたことだろう。 それにしてもヒロインのセシリア・チャンが美しすぎる! なんという透明感。 演技もうまい。 下着や水着姿、ナース服などサービスも盛り沢山。 とにかく色白美肌が素晴らしい。 脚も綺麗! あー・・・ 顔は決して好みじゃないが、何故かその魅力に引き込まれてしまう。 それだけの存在感を持った女優だ。 [DVD(字幕)] 7点(2008-03-26 23:37:38) |
779. 蛇イチゴ
《ネタバレ》 不思議と最後まで観てしまう力を持った作品だ。 それだけ観る者を作品世界へ吸引する力を持った作品と言えるであろう。 表層的にいたって平凡で幸福な家庭が、ある日突然ガタガタと音をたてて崩壊していく。 その様を、非常に緻密に巧く描いている。 この巧さは、今日の日本映画界において傑出している。 そして女性を美しく撮る監督さんだ。 女性なのに、何故か男性が興奮するような女性の撮り方をする。 興奮とは言っても、決してエロティックな意味ではなく、純粋に女性を美しく撮るのだ。 「なんて美しいのだろう」 と、観ているこちらは興奮するわけである。 女性が女性を美しく撮ったというものではなく、それは明らかに男性目線の美しさ。 この監督って、レズビアンなんじゃないか?と疑ってしまう程に、驚くほど男性が女性を撮るような形で、女性を美しく撮るのだ。 ところで本作だが、少々解りにくさが無いわけではない。 最後の終わらせ方も、明解というわけではなく、観るものの想像に委ねる様な形の終わらせ方。 でも、これが余韻を残し、なかなか良い。 本当に、巧い監督さんだなぁ、と感心してしまった。 脚本家としての巧さ、監督としての女性を美しく撮る巧さ。 それらを併せ持った天才女流監督だ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-03-25 23:39:58) |
780. 妻(1953)
《ネタバレ》 成瀬映画に上原謙との取り合わせ。 これだけでもう、ハズレなんかあり得ません。 上原謙のダメ男ぶりも観ていて気分が良くなるくらいハマっています。 しかしまぁ、 高峰三枝子が・・・ 元々、あまり好きな女優さんではないのですが、その嫌なイメージを増幅させる役を演じています。 煎餅をボリボリ、お茶でうがい。 こりゃ、夫としてはたまりません。 上原謙のごとく、観ている私までイライラしてきました。 ここまでイラつく「妻」を演じた高峰三枝子は、ある意味凄い。 彼女の演技の成せるワザなのか? それとも単なる地か? いずれにしてもウザ過ぎます! しかし、本作を観ていて少しシックリこなかった部分がありました。 それは上原謙が浮気をして、結局、浮気相手の女性にフラれてしまう部分です。 これがどうも唐突ですし、理由が良く解りません。 なんか強引に、「元のサヤに戻る夫婦」という成瀬映画のパターンに持っていった様な気がします。 これが強引すぎて、どうも最後はシックリとこなかったのです。 上原謙をはじめ、雰囲気は非常に“成瀬していて”で良いのですが、このストーリー展開の無理が気になりました。 それでも十分楽しめるところは、さすが成瀬監督ですね! [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-03-21 21:10:11) |