61. リング(1927)
《ネタバレ》 映像だけでストーリーを読むというのはやっぱり面白い。 彼女が腕輪を隠す、腕輪を指から腕に戻す、腕輪をリングサイドに放る。これだけで心理状態が解るのですから。 そして、ヒッチコックの映画を観ていると、背筋が凍るほどゾッとすることがよくありますが、こんな初期の頃の作品でも随所にそういったシーンが出てきます。いろいろある中でも、結婚式での指輪交換のときに指輪を奥まで挿入した瞬間、ボブから貰った腕輪が手首のところまでズルッと落ちてきたところが最高に好きですね。また、最初のジャック対ボブの対決で、ダウンしてカウントをとっているときまではどちらがダウンしてるのかわからないのですが10カウントくらいになって手前の男が消えたことによって勝者がボブだということを見せるという演出もかなり好き。 ただ、友人たちが集まって祝杯を挙げようと奥さんを待っているときにそこで一気にトーンダウンしてしまったところがすごく残念でした。画面の中で登場人物がファイトしてるときはこちらも熱くなるし、ドキドキしているときはこっちもドキドキする、待ちくたびれて寝てしまっているところを見るとこっちまで眠くなってきてしまうのです。あのシーンは何とかならなかったのかなぁ。 [ビデオ(字幕)] 6点(2005-08-27 12:24:39) |
62. アンダルシアの犬
序盤の、あまりにショッキングな映像に正直驚いた。しかもグロくない。それどころか、妙なセンスの良さを感じるのは何故だろう。 点数をつけるのがものすごく難しかった。いろいろ調べたところ、この作品はブニュエルとダリが見た夢を映像にしたものだそうですが、もし本当にそうだとしたら本作は明らかに自己満足映画となるでしょう。21世紀の現代にも、監督の自己満足を満たすべく作られた作品がありますが、何かが違います。明らかに違う。歴然とした違いがあるのだけど・・・わからない。私が思うのは、価値観の多様化してしまっている現代人がこのような自分の妄想を映像にした異端な作品を作っても、観る側の人間がその嗜好を理解するのはかなり困難なのでは、ということです。しかし、1928年に作られたこの作品はどうでしょう。約80年経過した現在でも映画史上に残る傑作としての威光を放ち続けている。つまりブニュエルとダリの考えるところの芸術というのは、それくらいのどのような外風にも揺るがない強固な芯の通ったものということなのかもしれません。 傑作度評価(そんなものはないですが)は間違いなく10点なのですが、本作を観て大変勉強になったとも思うのですが、やはり私にとっての評価はこんな点数です(涙) [ビデオ(字幕)] 6点(2005-02-23 23:18:33) |
63. ラヴ・パレイド
《ネタバレ》 全体的に間が悪い印象。 特にミュージカルシーンではそれが顕著で、室内のシーンが多いというのもあるかもしれませんが、唄い終わるまでカメラはほとんどフィックスの状態で、画面が切り替わるのも1度くらいしかないため、ややこじんまりとした感じを受けましたし、ルイーズ王女の歌声が喋る時の声とかけ離れていたりしたのも自分としては気になってしまい、どうもミュージカルを撮るのに慣れていないんじゃないかという気がして、後世に作られたミュージカル映画と比べるとどうしても見劣りしてしまいます。 むしろ、小間使いたちのミュージカルシーンの方が歌と同時にモーションが加わったということもあってか、彼らのシーンの方がより引き立っていたように感じられました。 ストーリーの中でも、カットを入れるタイミングが遅いことが何度かあったりしてテンポが悪く感じましたし、物語の中身においても、女王の婿になれば苦労するのは目に見えていたこともあって特にそれを裏切るような変化もないまま終わってしまい、観ている間は退屈に思えました。 また、結婚直後の女王夫婦の部屋を覗いて様子を実況したり、婿にあてた手紙の追伸の内容もルビッチらしからぬ品位のなさを感じました。 [映画館(字幕)] 5点(2012-08-22 22:34:27) |
64. キートンの鍛冶屋
《ネタバレ》 この映画のメインは、車をハチャメチャに壊したりする様を楽しむところにあるのかもしれないですが、自分にとってはあまり面白いとは思えませんでした。 キートン自身が他人の物を壊したりするよりも、キートンが濡れ衣を着せられて追い掛け回されたり、間一髪であれよあれよと難を逃れたりする方が素直に楽しめるような気がします。 最初の方に出てきた馬の蹄をつけるシーンで、馬に鏡を見せて品定めをしてもらう時の馬の演技が可愛くて可笑しかったです。 [映画館(字幕)] 5点(2010-12-17 23:45:55) |
65. 裁かるゝジャンヌ
《ネタバレ》 ストーリーが重い。重すぎて、とてもじゃないけど入り込めませんでした。 また、序盤から同じようなジャンヌのアップばかり。同じような表情、同じようなアングル、しかも司教との問答も特に進展がなく、チョット退屈だったかなぁと・・・。 けど、サイレントだったからまだ雰囲気が出ていて良かったものの、これがもしトーキーだったら・・・ここまで評価される作品にはならなかったでしょう。 クラシック映画好きの自分としても、この映画だけはムリでした。 [映画館(吹替)] 5点(2007-09-30 02:04:59)(良:1票) |
66. 戦艦ポチョムキン
だめだ。意味がわからない。階段シーンにも何も感じるところはなかった。この映画で俺は相当な馬鹿だと自覚した。乳母車よりも子供の母親の表情が印象的だった。 この監督の作品は自分には合わないらしい。「ストライキ」も同じ日に観たが、あちらは不覚にも寝てしまった。澤登センセイ、ごめんなさい。 [映画館(字幕)] 5点(2005-10-30 03:32:08) |