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なんのかんのさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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61.  ワイルド・アット・ハート
オズの魔法使いがベースになってるよう。「虹の彼方に」や黄色いレンガ、“靴をキュッキュッ”があるけど、空気はルイス・キャロルに近かった。クレージーな人々の中を旅していく二人組。母親がトランプのクイーンの貫禄。小さな火と燃え盛る炎が繰り返される。煙草の火のように抑えた情熱と、めらめらといく火事の炎。その二種類の火の間の狂気の世界。…てなふうに頭ではまとめたものの、もひとつ彼の世界に徹底できなかったと言うか。ユーモアの質が、この人のユーモアとは違う気がした。昔のポピュラーソングはこの人のよく使うものだけど、「ラヴミー・テンダー」はなんか違った。フェイントの笑いであって、この人のはもっと「本気がとんでもない方向に発揮されてる笑い」なんじゃないか。
[映画館(字幕)] 7点(2014-01-14 09:26:25)
62.  男はつらいよ 柴又慕情
渥美・おいちゃん(ここでは松村達雄になってしまったが)・おばちゃんの演技と、倍賞・前田の演技の質の違いをうまく使ってるんだなあ。こういう異質な要素が混在するって、コメディを作るときは難しいと思うんだが、それをうまく使っている。寅がヒロシをからかうと「ひどいこと言うなあ、にいさんは」なんてあたり。ヒロシのマジメくささを微笑ましく見せるような笑いの場に変えて、二つの世界のズレを生かしている。たぶん前田吟は「若者たち」の山本圭に連なるキャラクターで、60年代だったらそのままで堂々と主役を張れたはずだ、マジメさだけを売り物に。ところが69年に断層が出来、プログラムピクチャーの本通りが東映の仁侠映画から寅さんシリーズに移ったように、マジメがマジメだけじゃ使えなくなってしまった。マジメの前田吟を、異質な要素としてときにからかい・ときに逆にとらやの人たちを対象化する存在として、とらやに呼び込んだよう。寅の恋の物語としては、ベースの形を味わえる。「また来るって、また来るって」とか「ヨシッ」とかウキウキするかと思うと、二人っきりになるとオロオロしてしまい、さくらが帰ってくるとホッとしてすがるあたり。ほんと子ども。だから大人の相談に入れてもらえない。本シリーズでは『七人の侍』の面々が、“男らしさを無理に貫く寂しい人”として登場するが(あと志村喬や三船敏郎)、今回の宮口精二も良かった。監督の『七人の侍』へのオマージュであり、また批評でもあるんだろう。
[映画館(邦画)] 8点(2014-01-13 09:40:14)(良:1票)
63.  バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3
ディズニーランドに、開拓の国があるのが子どものころは不思議で、「おとぎ」と「冒険」と「未来」は並列できるが、「開拓」ってのはなんか違うジャンルの世界なのじゃないか、「ひとつ仲間外れが混ざっているのを選べ」という問題みたいだ、と思っていた。その後アメリカ映画を見るようになって、あの国にとって開拓時代ってのがほとんど神話なんだと納得するようになったが、本シリーズでも最後に開拓時代を置いているのは、そういう重石になるからなんだろう。ブラウン博士は歴史を変えてはいかんと言いながら、ストーリーではどんどん歴史を改変していくのがアメリカ精神の発露で、『素晴らしき哉、人生!』と同じ「未来は変えられる」という基本態度だ。ちゃんとダンスパーティも行なわれる。最後には20世紀末の映画っぽいスペクタクルが用意され、機関車の煙の色の変化で緊迫感を煽るのが、趣向。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-01-12 09:29:13)
64.  バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2
本作は未来篇ということになっているが、実質上のお楽しみは後半のダンスパーティで、一作目のややこしいパーティにさらにもう一本ストーリーを絡めたギュウ詰めのおかしさがたまらない。私はここが本シリーズで一番楽しんだところ。両親の若かりしころを現代の息子が眺めるというパーティだったのを、さらにもう一つの視点から見ていくその視線の絡まり具合がハンパでない。父がビフを車で殴りだしているのをマーティが窓越しに目撃する、とか(だからこれは1の記憶がまだしっかりしているうちに見るのが正しく、公開時もひとつピンと来なかったのは仕方がない)。時間と空間を飛び回っているようでいて、同一場所・同一家族(先祖・子孫)・同一脇メンバー、からはみ出さない「一座の芝居」という決まりを守っているのも良い。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-01-11 09:39:54)(良:2票)
65.  バック・トゥ・ザ・フューチャー
笑いの中心は85年と55年の時代差によるもので、スラングの変遷なんかはアメリカ人ほどストレートに笑えないのがもどかしい。救命胴衣とかレーガンならOKだが。現代と過去とで同じモチーフが繰り返されることの面白さは(主に両親に関して)生きている。叔父さんが檻に入っているところまで。そういう言葉で説明できる笑いを軸に、ぐんぐん押していったコメディだ。その「ぐんぐん」のリズム感のよさが、20世紀末の明るさだろう。母親が恋心を抱いてしまい慌てる面白さは、ちょっと間違うと粘ついてしまいかねない微妙な危うさを含んでいるのに、こういうところをきれいにクリアできるのがアメリカ映画の良さ。つまりそれを承知で笑いの種に出来るのが、アメリカだと言い換えてもいい。最後に天気が崩れてきてクライマックスへ盛り上げていくうまさも、(これはあの時代に限らないが)アメリカが一番得意としている気がする。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-01-10 10:14:45)
66.  ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女
硬質な肌触り、それでひんやりしている。とりわけヒロインのアナイスとジューンの凝視。相手を見抜いてやろうという凝視と、そう簡単に理解されないわよ、と気を張っているために見返す凝視でもあるか。自分の輪郭を絶対侵させまいとする誇りのようでもあり、傷ましくもある。とにかく日本にはない視線。この視線のドラマの迫力が強烈で、ジューンなど「尽くしたのに捨てられる哀れな女」という新派的な弱い存在になりかねないところなのに、彼女が残った二人を裁いているドラマでもあった。彼女、その後社会奉仕の仕事に入ったそう。この閉じた人々の物語で、世の中が姿を垣間見せるのは、ドイツのラジオとこの社会奉仕のナレーションのとこだけ。社会が確実にこの人々を閉じ込めつつある中で、ジューンだけは主体的に社会との関係を回復していく。音楽や映画が同時代の動向を示している。登場する人々がみな毅然としている。駄目な旦那でさえも。
[映画館(字幕)] 8点(2014-01-09 09:23:22)(良:1票)
67.  どっちもどっち
松田聖子は喜劇やれる人じゃないんだ。とりわけはしゃぐシーンは、バラエティ番組のおふざけコントになってしまい無惨。沢口靖子は、お嬢さんでかまわない役どころだけど、やり直しが利くと思っていた若さで不意に死んじゃって、その恨みを多食で晴らすというやりがいのある設定なのに、惜しい。なら代わりに誰が出来るか、となると、ま難しいんですけど(当時の日記には、もう少し若ければ石田えりあたりでどうか、と記している)。各種スポーツ中継をめぐる趣向。飛んでるときの東京の夜景が美しい。沢口靖子がさんまの部屋で、でぶでぶと言うとこがおかしい。隣室の夫婦はただ目撃するだけじゃなくて、もっと積極的に関わってきてもよかったんじゃないか。
[映画館(邦画)] 5点(2014-01-08 08:48:04)
68.  マルホランド・ドライブ
困った。映画見たときは、これはいいと確信した記憶があり、確認のためDVD見たら、よく分かんない映画になっていた。そういう時は最新の観賞記録で登録するようにしているのだが、今回は9点のほうを生かしたい。たんにナオミ・ワッツが好きなだけなのかも。ハリウッドに出てスターになる、という夢を持った女の子の物語。常に嘘が忍び込んでくる。オーディション二態。あるいは深夜の劇場での音楽。青い箱までが提示部で、そのあと役がすれてくる。ベティがダイアンに、リタがカミーラに。どうやらハリウッドを夢見た女の子の滅びの物語だと分かってくる。スポンサーの横やりによってヒロインの座を盗られた女の子の物語。『マルホランド・ドライブ』って『サンセット大通り』の裏通りなのでは。ハリウッドに到着したときに励ましてくれた老夫婦が、嘲笑とともに訪れるラストへと至る(期待の重さ)。この監督の映画で唯一澄明な哀切を感じた作品。
[映画館(字幕)] 9点(2014-01-07 09:40:58)
69.  運命の逆転
ちょっと前に実際にあった事件もの。当事者がまだ生きてるうちの映画化ってのは、それで盛り上がってたアメリカ人には面白かったでしょう。こういうナマの面白さは映画にとって大事だと思ってるんだが、それを知らなかった異国のものにとっては、疎外感はあります。真実がどんどん分裂していく面白さ、といった「形而上学的」興味を無理に味わうしかない。形而下の楽しみも味わいたかった。金持ちには金持ちなりの不幸があるんだなあ、とは思った。「上流社会の奇人」って独特の世界を造れちゃうからいい。ルートヴィヒのように道楽で城を建てられる。日本にも金持ちがニ笑亭って珍妙な家を作っちゃった話があった。この映画では回想シーンの庭園に虎の子が出てくる。
[映画館(字幕)] 6点(2014-01-06 09:27:02)
70.  東京流れ者
小津映画の同窓会メンバーの常連、北龍二がやくざの親分だ。ただし気が弱い。そういえばあっちでも若い細君を気にしすぎてたりして、そんなキャラクターだった。異様に清潔なセット。原色で。この監督の、というか美術の木村威夫の好みを表わすのに、「ステージ性」って言葉はどうか。活劇のステージとしての簡潔な清潔さ。日本の家屋でも格子などが強調されていて、演歌の舞台背景のようになっている。佐世保のドンチャン騒ぎでも、どこかステージ性が意識されている。この人のセットの特徴として「ステージっぽさ」という言葉を当てはめてみた。本来記録するものだったフィルムに、舞台の不自然さを強引に持ち込んでみた、ということか。
[DVD(邦画)] 7点(2014-01-05 09:52:49)
71.  ミート・ザ・フィーブルズ/怒りのヒポポタマス
子どもに夢を与えるはずの人形劇で、どこまでえげつなくできるか、その相性の悪さを楽しんでいる映画。コマ撮りじゃなくて指人形やぬいぐるみの形。だからセットの外に出てる全身のシーンになると(たとえばゴルフ場とか)しらけてしまう。マスコミの銀バエがうんこをむしゃむしゃ食べてるとこが一番えげつなかったか。あとウサギのステージでの嘔吐なんてのもあった。蝿がトイレの水タンクの中で想像してんのは面白かった。狐のソドミーのうた。ベトナムもの映画のパロディ。えげつなさを楽しんでる映画ではあるが、えげつなさの拠って来たる所以とかいったものには興味を示さない。そういうものを究明する映画ではないが、それにしてもなぜ私たちは「えげつないもの」を顔をしかめつつも好きなんだろう。監督のなかから本作や『ブレイン・デッド』の要素が消えてしまうのは惜しい気がする。
[映画館(字幕)] 6点(2014-01-04 09:48:48)
72.  遺産相続 《ネタバレ》 
『お葬式』に『マルサの女』的な情報を盛り込んで“二倍楽しめます”を狙ったようなのだが…。旦那が死ぬまでぐずぐずしていて、人情と合わない法律の冷たさを妾の側から描くのかと思っているとそうでもなく、政治家を絡めると社会性を出せたって気分になるのも困ったものである。三階ぶちぬきのセットが面白かったが、うまく使いこなせていなかった。佐久間良子が風間杜夫の弁護士に土下座するとこで職員がみな見下ろしたり見上げたりしている俯瞰のカットがあって、あの次に横からの三階ぶちぬきのカットが入ると思ったのだが。小川真由美が出てくると締まる。野々村真が出てくると緩む。最後は五分五分で人情で手打ち。どうして冒険をしてくれないのだ、邦画は。
[映画館(邦画)] 5点(2014-01-03 09:43:22)
73.  歌麿をめぐる五人の女(1946)
道具としての女、その女が男を刺すこと。なんか大枠だけ捉えると、溝口っぽさが感じられなくはない。田中絹代のアップの凄味が変に印象に残っている。あんまりアップで捉えたことなかったんじゃないか。時代が変わって、何かやってみたってことなのか。時代と言えば手ぐさりをめぐるエピソードなんか「戦後」を思った。自由に描ける時代になったんだ、って気分が底にあったのでは。自発的なテーマと言うより、そういうことをテーマとする時代になったんだ、という手探りのような。ま原作ものなので、あまり物語から監督の狙いを探っても意味はない。溝口と言うとまず明治で、江戸時代だとそれまでは侍階級だった(『元禄忠臣蔵』とか)。やがて西鶴や近松に惹かれていく彼が、江戸時代の町人階級を扱ったのはこれあたりかららしい。
[DVD(邦画)] 6点(2014-01-02 08:51:57)
74.  パシフィック・ハイツ 《ネタバレ》 
ワタナベ夫人は面白かった。日本のおばさんらしさがよく出ていた。控え目に振舞いながら喋りまくってる感じ。で話のほうだが、法律を悪用する犯人てのが、サスペンス映画の材料としては向かないんだ。こういう人間がいるという情報としては面白いんだけど。サスペンスの悪人にふさわしいのは、犯罪組織の人間とかサイコ系がいい。それも理解不能のきちがいではなく、我々が共通に持っている心の暗い細部を思いっきり拡大したようなサイコね。このマイケル・キートンもラストで「家族の面子が立たないじゃないか」と興奮しているあたりは、そういういい悪人になりかかっている。警察に電話入れといてから殴られにいくの。ピストルで撃ってから正当防衛のための凶器を握らせる。
[映画館(字幕)] 5点(2014-01-01 09:28:14)
75.  男はつらいよ 寅次郎夢枕 《ネタバレ》 
長期にわたったシリーズもののベストを判断するのは難しいが、それぞれの作品を観たときのトキメキの記憶で比べてみると、私は本作で一番ときめいた。寅の恋路がうまくいくってのの最初で、恋路でもないんだよな、ラッキョは緊張しないでいられる女性だったわけ、そして他人(米倉斉加年)の恋を優位に立ってクスクス笑いながら見ていた寅が、突然当事者になってしまいガクガクッとなってしまう。この転換に唸りましたな。パターンの引っくり返しでありながら、ただそれだけでなく、すごくキャラクターとして納得がいく。寅の悲劇の核がここにある。寅という人物がしっかり確立された一編であり、また八千草薫でなければならないマドンナだった。彼女のほうもすんなり納得できる。ラストのとらやで「あたしが振られたのよ」とか言って、まわりが冗談だと笑っていると「なんでおかしいの」と言うその語り口が(あくまで社交の範囲内の会話でありながら、本当にどうして理解されないのか、と思っているのが半分、理解されないことに対する苛立ちが半分)絶品だった。八千草さんてテレビの「岸辺のアルバム」では、スルッと不倫に走ってしまう貞淑な人妻をリアリティみっちりで・しかも不潔感皆無で奇跡のように演じたし、だいたい「ちょっと普通でない人」をやらせると凄いんです。
[映画館(邦画)] 9点(2013-12-31 09:31:52)(良:1票)
76.  エレファント
長回しで校舎の中をひたすら巡っていく。ときにスローモーションになるが、ドキュメント性。「地獄になるぜ」の注意の前と後とで校舎の緊張が違って見えてくる。ゼロ時間へ向けてカウントを始めたような。同じ場所が視点を変えて反復され、塗り重ねられていく。「イジメの暴発」と単純化させない。犯人にも被害者にも同等の資格を与えている。最初の被害者はダサーイと言われている女の子だった。天上から聞こえてくる「月光」を最初に聞き取ったことの意味は? ここでドキュメントからはっきり飛躍している。あくまで事件を知っている観客を予定しているわけで、まあ映画にはそういう同時代の観客用という面はいつもあるし、その「ナマモノ感」が大事な気がする。
[DVD(字幕)] 7点(2013-12-30 09:14:42)
77.  名刀美女丸
敵討ちものの体裁を取っているのは戦争も押し詰まった年に映画を撮るための方便だったのか、実質は刀鍛冶の職人道の世界ね。得意の芸道ものにも繋がりそうだから(川口松太郎・脚本)こういうものなら何とかなると思ったのかもしれない。敵討ちのための刀を作る話になっている。いちおうチャンバラもあって、幕末の尊王と重ねて、時代の気分にも配慮。そういった「うまくいくかもしれない」要素を何とか掻き集めて撮ってみたが、結果ヘンテコな映画になっただけだった。まあお金や時間や機材の足りなさもありましょう、そういう中で何とかこういう映画を撮っていたのか、と知ることが一番の収穫。チャンバラの気合いの「はいらなさ」が半端でない。
[DVD(邦画)] 5点(2013-12-29 09:42:16)
78.  素晴らしき哉、人生!(1946) 《ネタバレ》 
これ、スモールタウンでくすぶっている若者の鬱屈が底に流れている。世界に出たいけど、この町にとどまっていて、弟は軍で栄光を浴びている。そこらへんの隠し味の苦みが、終盤で金を紛失したおじさんを口汚くののしる緊迫の場の下地になっているんだろう。そういう薬味が理想主義の甘味を締めている。自分がいなかった世界の夢が映画の眼目で、映画ならではの楽しみに満ち、面白くはあるんだけど、でもちょっと…とのめり切れない。鬱病の人だったら、自分がいなかった世界がパラダイスになっている夢を見て、やっぱり僕なんかいないほうが…とさらに鬱をこじらせるだろう。そう嫌味に見てはいけない映画で、あくまでファンタジーとして評価すべきだろうが、戦前の『スミス都へ行く』では、大衆からの電報の束という薬味がゾクッとするほど効いていたのに、こっちでは大衆がニコニコと寄付金を募らせてきて、いささか甘味料過剰に思える。大恐慌の記憶がまだ生々しかった戦前と、戦勝直後の気分の違いが出たのか。悪の駆動がバリモア一人に集中してしまっているのも弱い。…などとブツブツ言いながらも終盤で号泣している自分が許し難いのだが。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-12-28 10:04:09)
79.  続・座頭市物語
緊迫の場では音楽を鳴らさない、という当たり前のことが邦画では嬉しい。漠然とした印象で言ってしまうが、邦画ではすぐに音楽がうるさく鳴っていた気がする。仁侠映画の健さんは黙って仕事をしていたが、いくつかのアクション映画ではやたら金管楽器が吹き鳴らされて迷惑した。音楽を伴わないと迫力が出ないアクションは、アクションの敗北であろう。アクションは本来身体で聞かせる音楽として映画のカナメだったはずだ。この続編のシリーズ二作目までが白黒で、湖畔の場など美しい。もうしばらくモノクロでいけたんじゃないか。城健三朗時代の若山富三郎。
[DVD(邦画)] 6点(2013-12-27 10:18:49)
80.  スキ!
このヒロイン、屈託がなくて天真爛漫、って造形なのかもしれないが、はた迷惑な愚鈍にしか見えなかった。その「はた迷惑」ぶりを中心に持ってくれば安部公房の「友達」になったかもしれない(そういう狙いの映画じゃないのは分かるけど)。90年代の「友達」は、隣人愛じゃなくカワイイとかテンシンランマンでやってくるんだ。追い出されたとき、嘘泣きじゃなくって、本当にしくしく泣いてたほうがもっと怖いんだけど。人の迷惑を考えないってことが素直さの表われってのは幼児まででしょ。エレベーターが停まるとちゃんとロウソクを用意してあったり、階段でつまずいて転ぶと「いつもだったら骨折だった」と喜んだり、のあたりは楽しい。モノトーンのこの世に色を塗っていくのは、そう、君自身なのだよ、という話。山下洋輔の「乙女の祈り」が流れる。
[映画館(邦画)] 4点(2013-12-26 09:40:59)
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