61. 博奕打ち 総長賭博
ネタバレ 無駄のない展開で、あっという間に映画が終わる。 悪役が、本当に分かりやすいのも、この映画を面白くしている。 筋を通す、それは大事だが、その落とし前にお命頂戴が、令和の今では、受け入れられない話だが、 でもそれ以外は、整理された話に驚きます。 いや、でも最後はこうなるんだろうな、って分かりやすい分野の映画だから、 ここまで整理されてるのかな・・ 話作りの際、現代の会社組織の人間関係にも、使える展開じゃないかな、この映画。 アクションで興味深かったのは、若山富三郎が座頭市みたいに現れるシーンが良かった。 [DVD(邦画)] 7点(2025-02-18 21:02:46) |
62. ひめゆりの塔(1953)
ネタバレ 有名な結末を知っているだけに、 彼女らの歌う歌の音を聞いてると、グッとくるものがある。 ただ米兵の姿は、最後まで出しませんでした。 銃を撃ってくる何者かがいる、という描写で、米兵のリアルな姿は出しませんでした。 これは、彼女らがか弱い女性なので、彼女らを容赦なく殺す人間像が 生身の俳優では演じきれないからでしょう。 今井正の演出に、感じるものがあります。 自決する手りゅう弾を渡され、青酸カリの取り合いにジャンケンし、 最後の夜に彼女らが歌って踊るシーンに、女性とはこういうものなのかなぁと思いました。 少なくとも、発狂する女性は一人もいない。 自然の中で育った女性は強いのかもしれないですね。 [DVD(邦画)] 7点(2025-02-16 20:25:43) |
63. 東京キッド
ネタバレ チャップリンのキッド・・子役の光る映画だが、その日本版である。 美空ひばりが、あの映画よろしく、ハンチング帽をかぶった男の子に扮する。 どっちのキッドも最高である。 ここまでの「キッド」を創った日本もやるなぁと思う、マジで。 エノケンや花菱アチャコまで引っ張り出して、日本総力で挑んだ作品かもしれないですね。 令和の「キッド」は、どんなんだろう。だれか創ってくれまいか(笑) ひばり級の天才子役、なかなか出てきませんね。 最近で思い出すのは「舞妓はレディ」で、上白石が頑張ってましたが・・ ネット上には、子供が歌って踊る動画が多いのだが、 やっぱり戦後の暗い日本に光をもたらした美空ひばりは、 国民が待ち望んでいた歌声だった。 奇跡にも近い。 [ビデオ(邦画)] 7点(2025-02-14 21:45:45) |
64. エノケンの法界坊
ネタバレ 小っちゃな体とどうにも憎めない愛嬌で、 画面狭しと動き回るコミカルなアクション、そしてミュージカルっぽい歌で聞かせる会話など どうにも楽しいエノケン一座の喜劇である。 それを松竹の斎藤寅次郎とタッグを組んで、本作に挑んでいる。 望まれぬ結婚から女性を救い出そうとする法界坊だが、肝心の彼がこの女性に惚れてしまうとこが面白い。 最後は、黒幕にやられて、幽霊になって、本当に好きな人と結婚させるという痛快な話。 エノケンは、白黒ゆえに目鼻立ちのはっきりした顔が受けたのだろう。 現代のお笑いタレント、岡村隆史を思い出した。小さい体、機敏な運動神経、大づくりの顔立ち。 彼を白黒映画で、エノケンばりの喜劇を撮ったら、案外面白いかも・・ [ビデオ(邦画)] 7点(2025-02-13 20:19:08) |
65. ロシアン・ブラザー
ネタバレ これは興味深い。 アメリカの娯楽映画は大量に入ってくるが、ロシアの娯楽映画は、あまり観る機会がない。 タルコフスキーとかミハルコフとか、真面目に考察している映画ばかりだ。 だから、本作はロシア人の娯楽を支える映画として、実に興味深かった。 映画が、その国の威嚇を意味するものだとは、思っていたが、 本作は、普通のロシア人の青年が、殺し屋をやるという話。 普通に面白かった。 音楽に飢えてる殺し屋。実に普通の青年だ。 ロシアの青年は、こんなに恐いと思わせる意味じゃ、十分すぎる。 多分、アメリカも、ロシアの娯楽映画をどこかから大量に入手して、研究してると思う。 案外、普通のアメリカ人青年顔のマットデイモンがスパイ役をやったボーンシリーズは、 こういうとこから影響受けてるのかもしれない。 [DVD(字幕)] 7点(2025-02-12 00:11:05) |
66. 駅前旅館
ネタバレ 面白い!渥美清レベルの俳優が、こんなにいたのかと驚いた。 森繁久彌とフランキー堺。 僕らの世代にとっては、年を取った彼らしか知らなかったから、 こんなに活き活きとした二人を観ると、なるほど有名な人はやはり凄いとしか言いようがない。 時代とともに、活き活き働いてる人たちをリストラしていく旅館。 現代でも当てはまりそうだ。 話は、冗長だが、一場面一場面、とにかく楽しい。 映画を見る楽しみとは、こういうものだったのかもしれない。 追伸)藤子不二雄の漫画「21エモン」は、駅前シリーズが元ネタだったのかと発見。 [ビデオ(邦画)] 7点(2025-02-11 12:42:44) |
67. ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間
ネタバレ リンチが亡くなった。 それで、と言うわけではないが、有名なタイトルの本作を観た。 テレビシリーズは未見。 まぁとにかく、怪しい人物が次々出てくると聞いてたので、とまどいは最初の内は無かった。 ストーリーがあって、ないようなものというのは、ほかの作品で承知済み。 俺(リンチ)はこういうのが面白いだぜって、悪夢みたいなシーンが次々出てくる。 ネットで、絵画のフランシスベーコンが好きだと知った。 なるほどなぁと合点。 あの人のは、常識がはげた時、世界はどうなるかという「叫び」だろうなと、思った。 [DVD(字幕)] 7点(2025-02-08 21:13:14) |
68. 不良少年(1961)
ネタバレ この年、黒澤監督の「用心棒」が上映された。 しかし、キネマ旬報ベストワンに輝いたのは、本作である。 ドキュメタリー畑からの殴り込みだった。 久里浜少年院での生活を描いている。 戦争で父を亡くし、母とも連絡取れず。 就職したものの長くは続かず、ぶらぶらしているところを補導されたのだ。 戦後間もないころ、こんな少年は多かったと思われる。 映画も、本当に非行歴のある少年を使っているという。 鑑賞後、少年のまっすぐな瞳に、 いい大人になっていてほしいと思わずにはいられない。 そんな世の中であってほしいとも思う。 [DVD(邦画)] 7点(2025-02-07 22:44:03) |
69. パリ、テキサス
ネタバレ 学生のころ、映画館で観た。年取って、再鑑賞。 自由恋愛って、こんなに燃えるのか! 愛って、こんなに熱いものなのか! いや~、最近の若い人たちって恋愛しないみたいだけど、 皆さん、こんなに熱くなれる経験、できるんなら、した方がいいかも、デス。 若いころは気づかなかったが、 赤と青の映像で、白黒映画ならぬ、赤青映画。 ナスターシャキンスキーの美しさに、うっとり。 苦味のテイストながら、ラストはやった!という感じ。 弟夫婦がかわいそうではあるが・・ [ビデオ(字幕)] 8点(2025-02-07 00:04:27) |
70. 浪花の恋の物語
ネタバレ 「冥途の飛脚」、つまり飛脚の物語なのだ。 有名な題だが、やっとその意味が分かった。 小生、一時期、郵便配達をしていたことがあったが、 その研修で現金書留に手をつけると犯罪と、何度も教えられたが、 江戸のころの、飛脚にもこんなリスクがあったと、改めてびっくり。 この映画のユニークなとこは、心中物で有名な近松門左衛門が、 この事件を見聞きし、新作のネタにしようとする点。 ラストが決まらない近松は、二人をなんとか幸せにしたいと考える。 そこで、運送途中のお金で、芸者を身請けして、逃走途中、 故郷に立ち寄り、父親がせめて自分の見えないところで捕まってくれと言い、 二人は逃げるというラストにしている。 これは、元の話では、男が捕まって、幕らしいが、 浄瑠璃や歌舞伎で、この話は何回も再構成、上演されることにより、 ラストが、逃げて終わりとか、捕まって終わりとか、いろんなバージョンができたらしい。 面白い!ただ近松を映画化するだけじゃなく、 近松がラストをどうするかというスリリングな要素を付け加えている内田監督の 力技に脱帽! [DVD(邦画)] 8点(2025-02-05 00:10:40) |
71. 安城家の舞踏会
ネタバレ 時代の転換期に起きる出来事と言ってしまえば、そうだが、 戦後のGHQによる解体により、華族が地位を奪われた。 ネットで調べると、結構苦労された方々もいるという。 何より驚きなのが、日本映画に、このような歴史が刻印されていること。 古い日本映画を訪ねると、日本の歴史もよく分かる。 原節子は、やはり女優なのだなぁと感心。 小津さんに可愛がられている彼女しか知らないと、原節子を分かったことにはならない。 現実を見て、崩れ落ちる一族を支え、毅然と対応していく強い女性。 そんな女性も、やまとなでしこの一面なのだ。 ラストのホールでの父親とのダンスが、切なく悲しく、そして美しい。 [DVD(邦画)] 7点(2025-02-03 21:58:38) |
72. 出来ごころ
ネタバレ サイレントの小津は、冴え渡っているねぇ・・ 親子と工場仲間と飲み屋のおかみ。そこに世話になる女性が一人。 これだけの界隈で、人情噺が爆裂する。 もう笑いあり、涙ありとは、この映画のこと。 この頃のサイレントの小津さんを知らないで、小津を語るなという話。 近年、小津さんのサイレント何本かをリメイクした短編集みたいな映画が 出ているが、冗談じゃない!小津さんは、本物を観なきゃいけないです! 余談)古谷三敏という漫画家による「ダメおやじ」という漫画があるが、 あれは、本編の坂本武が元ネタじゃないだろうか? そっくりなんだよね、顔が・・ [ビデオ(邦画)] 8点(2025-02-01 23:36:11) |
73. レ・ミゼラブル(2012)
ネタバレ フランス文化の代表みたいな作品。 ジャンギャバンのを、小学生のときに、体育館で上映してて、 えらくインパクトを受けて、この話は、小生に刷り込まれてる話です(笑) ジャンバルジャンが、どうやって生計を立てていたのかが不思議なのですが、 それ以外は、完璧! 特に本作のミュージカルのは、革命のときに子どもが重要な役目を果たすのが、 ミュージカルならでは・・ 警部とジャンバルジャンの二人の個性の強い男を軸に話が展開します。 警部は、法律による統治を革命で勝ち取ったフランスの権化みたいな存在。 法の番人をラッセルクロウが好演してます。 [DVD(字幕)] 7点(2025-02-01 19:13:41) |
74. 古井戸
ネタバレ チャンイーモウが、俳優として出演。 後の彼の「初恋のきた道」につながるような女の子も出てくる。 井戸を掘りあてなければ、村の存亡にかかわる。 村の人たちが必死に井戸を掘りあてようとする。 しかし、思うようにはならない。 ここで、落盤事故で、旺才という青年が死ぬ。 そこで少女は悲しさのあまり、愛し合うのだが、その相手が死んだ旺才? この辺から意味が分からなくなる。 中国特有のファンタジーなのかもしれない。 その後、旺才は名前を変えて、いつものようにみんなと井戸を掘る。 これは、旺才が神になったということではないか? それで少女は村を出る。 観たことない展開である。 [ビデオ(字幕)] 7点(2025-02-01 12:06:33) |
75. 東京物語
ネタバレ この映画、若いころに何度か観たが、 小津さんのサイレントやトーキー初期の作品を最近、よく観てて、 それで改めて、本作を見返したら、色々発見があった。 やはり思うのは、小津さんの「一人息子」があっての「東京物語」だろうということ。 「一人息子」のほうは、母親が上京してきて、競争社会の東京に失望を覚えた息子を母親が 𠮟り飛ばす話なのだが、それでも息子には人情があって、それが何よりもの親孝行だという話である。 本作「東京物語」は逆だ。それなりに東京で生活をしている子どもたちの、 いつしか親のことを事務的にこなす子供の変貌ぶりに、父親の笠智衆が落胆する話だ。 「一人息子」とは真逆だ。 この話の続き(京子と父親の話)が「晩春」になるのだろう。 小津さんの中で、映画で描いた家族は、現役時代、ずっと生きていたのだろう。 [DVD(邦画)] 7点(2025-01-26 22:44:15) |
76. ヴェラクルス
ネタバレ 舞台が西部ではない西部劇。 二人のカーボーイが、メキシコの内戦に参戦する。 友情も感じつつ、油断ならない関係の二人。 そこに陛下側と革命側のどちらかにつくかのやりとりが交差する。 そしてそれぞれの思惑を持つ女たち。 設定はこれだけである。 あとは、めまぐるしい状況の中で、男たちがどう動くか・・ そういう男の映画である。 珍品の西部劇である。 バー十ランカスターの男臭が、映画を引き締めている。 [DVD(字幕)] 7点(2025-01-21 09:56:20) |
77. 恋愛睡眠のすすめ
ネタバレ ミシェルゴンドリー、好っきだなぁ! 若き天才発明家の恋愛模様。 戀愛にウブなんだけど、なにせ発想が異常! そんな青年を、徐々に受け入れる女性に好感♪ ミュージックビデオ畑からの才能なので、 夢のシーンは、おもちゃ箱ひっくり返したような場面が多く、楽しい。 [DVD(字幕)] 8点(2025-01-19 20:32:40) |
78. チャーリング・クロス街84番地
ネタバレ 好みです。 ロンドンの古書店とNYの作家の、本のやり取りを通じて、 いつしか互いにとって大事な存在になっていくという話。 英国文化の気品を感じさせる作風。 フランス映画ともイタリア映画とも違う、 「炎のランナー」にも感じられた気品あふれる映画でした。 人生、ふりかえってみれば、こんなやりとりが、 心に残る時間だったと思うのでしょう・・ ホプキンスが「日の名残り」のような感じのいい初老の人を演じている。 [DVD(字幕)] 8点(2025-01-19 14:29:09) |
79. ミラノの奇蹟
ネタバレ ま、あれだろうな・・ 前作2作が「自転車泥棒」と「ウンベルトD」だもん。 世の中、悲惨だよねっていう映画をいくら撮ったところで、 世の中、一向によくならない。 ならば、いっそ奇蹟でも起きねえかなっという内容。 こんな映画でも観なきゃやりきれねぇ!という叫びでしょ。 [DVD(字幕)] 7点(2025-01-15 23:53:06) |
80. 裁きは終りぬ
ネタバレ ルメットの「十二人の怒れる男」が1957年なので、明らかにこの映画が元ネタと思われる。 陪審員の群像劇で、様々な陪審員の生活が、最後の評決への発言とつながる仕組みだ。 フランスらしく、サロン文化の地であるだけに、軽快なおしゃべりが楽しい。 ただ、7人の陪審員の生活が描かれるので、ちょっとごちゃごちゃしてくる。 しかし、この時代に、この良作がすでに撮られてたことは驚きで、 映画の成熟は、映写機の出現から、かなり早い時期に到達していたと思われる。 映画文化に法廷ドラマというジャンルを作り出した、映画黎明期の作品。 [DVD(字幕)] 7点(2025-01-13 19:53:31) |