61. Shall we ダンス?(1995)
社交ダンスにまったく関心のなかった人にもちょっとやってみようかという気にさせる映画。 草刈民代のような人に教えてもらえるなら。 [地上波(邦画)] 7点(2014-03-11 17:40:55) |
62. マイ・フレンド・フォーエバー
《ネタバレ》 泣かせる映画というのがすぐにわかるベタな設定だが、子どもっぽい無茶な冒険や騒動を交えて「スタンド・バイ・ミー」を彷彿させるようなところもあり、ウェットな演出に走らないのが良い。 ストーリーは二人の友情に二人の母親を絡めながら淡々と進んでいく。 エリックの浅慮でデクスターが毒草を飲まされたり無理な旅行を強いられたり、かえって病状を悪化させているように見えるが、デクスターの母は決してエリックを責めたりしない。 我が子へ、そしてエリックへの深い慈愛に、母の大きさを感じさせる。 一つ強い違和感を覚えたのは、死んだフリの悪戯を二人が繰り返したところ。 最初に成功して笑っていた二人に、「いつかこうなることはわかっていた」との看護師の言葉が蘇ってしんみりとした雰囲気に。 この時、間もなく訪れる死が実感をもって二人に突きつけられたはずなのに、その後も何度も死んだフリの悪戯を繰り返すのはありえない。 この悪戯が現実になってしまうんだろうなと展開がはっきり見えてしまい、その時点で少し白けてしまった。 泣かせようとするあざとさが露呈してしまった感じで、結局泣けず。 ただ、棺に入れたシューズのくだりは秀逸。 涙をほとんど見せない主人公だから余計に効いていて、そこだけはぐっとくるものがある。 男の子によくある残酷さで命を粗末に扱うような遊びをしていた主人公の成長がうかがえる物語でもある。 [ビデオ(吹替)] 7点(2014-03-10 18:17:53) |
63. トト・ザ・ヒーロー
《ネタバレ》 大切なものすべてを失っていったトマの人生は悲惨に見える。 すべてをアルフレッドのせいにして憎悪を募らせていたが、エヴリーヌと幸せになるチャンスはあったのに。 冒頭の死体で主人公の殺人をサスペンスタッチで臭わせておいて、現在・過去・空想の間を行き来しながら予想外の展開へと運んでいく構成はなかなかお見事。 何の価値も見出せなかった人生が最後に意味のあるものへ、否定から肯定へと反転したラストは、明るい音楽とともに余韻が残る。 一度きりの人生、できればもっと早く気付けば良かったんだろうけど、後悔だけで終わらなかったのが救いか。 未熟で不器用で愚かな生き方をしていたトマが切なく、ちょっと愛おしい気持ちにさえなる。 身代わりで撃たれることが人生の肯定につながるのは、うまく騙されているような気がしないでもないが、不思議と気に留めてしまう作品。 自分自身の人生について振り返ってしまうからだろうか。 ブン♪ [DVD(字幕)] 7点(2014-03-07 05:42:49)(良:1票) |
64. 秘密(1999)
《ネタバレ》 『転校生』の二番煎じかと思ったが、ストーリーテラー東野圭吾の原作だけあって究極の選択を迫られる展開がおもしろい。 魂は妻とはいえ娘の体と交わるわけにはいかない夫の戸惑い。 ついに藻奈美として生きていくことを決意した直子の判断は一番賢明なのだろう。 電話の盗聴までされるようになっては仕方がない。 それでも平介の心情を思うと切ない。 夫に抱いてもらえない直子も切ない。 直子に体を乗っ取られた藻奈美も切ない。 娘になりきった元妻を平介はどんな思いで送り出したのだろう。 運命のいたずらに苦悩しながらも前を向いて精一杯生きようとする姿が救いで、コミカルなシーンも交えているのも重苦しくならずに好感が持てる。 全盛期の広末のかわいさが光る作品。 [ビデオ(邦画)] 7点(2014-03-03 18:46:36) |
65. 素肌の涙
《ネタバレ》 『レザボア・ドッグス』でオレンジを演じたティム・ロスの初監督作品。 仲睦まじく見えた家庭だったが、弟が姉と父との異常な関係に気付いたことから崩壊へと向かう。 赤ちゃんが産まれたばかりだというのにとんでもない父親で、姉を慕う弟が殺したくなる心情もわかる。 真実を突きつける弟に逆ギレして罵倒する父親の姿は、おぞましく呆れかえるばかり。 姉弟の前でヌケヌケとシラを切る醜態には、親の責任や尊厳は微塵も感じられない。 終始静かで重い空気の中、進んでいく物語は、緑の大地に覆いかぶさるような曇天とマッチしている。 海岸沿いの寂寥感あふれる風景が、禁忌の生々しい傷をリアルに浮かび上がらせるかのよう。 それまで演技経験のなかった18歳の新人ララ・ベルモントが瑞々しくて魅力的で、大抜擢されたのも納得の存在感。 映画界でもっと活躍してもいい素材に思えるのに、以降これといった作品に出ていないのがもったいない。 たまたま街でスカウトされたらしいが、本人に女優としてやっていく意志がそれほど強くなかったのだろうか。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-11 23:37:21) |
66. シラノ・ド・ベルジュラック(1990)
元が戯曲だけあってセリフ回しも演劇的で、やっぱり舞台のほうが合っている。 映像にすると舞台なら気にならないようなデフォルメされた部分が嘘っぽく感じられる。 シラノの心意気はフランスの寅さんのよう。 [DVD(字幕)] 7点(2013-11-14 20:06:58) |
67. ターミネーター2
《ネタバレ》 どこまでも追いかけてくるT-1000が夢に出てきそう。 作品世界に取り込まれて思わず力が入って疲れてしまうほど。 エンターテイメントの要素がぎっしり。 1にあった恋愛色の代わりに、少年とターミネーターとの間に生まれた友情が胸を打つ。 [地上波(吹替)] 7点(2013-10-02 21:30:09) |
68. フェイク
《ネタバレ》 潜入捜査官とマフィアの悪党の間に生まれた友情にいつしか感情移入してしまう。 冴えないマフィアのアル・パチーノが醸し出す哀愁と裏切られて死を覚悟した潔さが印象的。 ジョニー・デップもかっこよく、FBIとしての使命と友情との葛藤で苦悩する姿も様になっていた。 マフィア映画は裏切りや報復などをドライに描くものが多いが、これはウェットな感じで珍しい。 [DVD(吹替)] 7点(2013-09-14 00:46:10) |
69. 生きてこそ
《ネタバレ》 元になっている実話を思うとただ凄いとしかいいようがない。 ただ、映画では実話の凄まじさは薄れているようには感じる。 最後まで顔にあまり汚れや疲れが見えないキレイな人物もいたが、実際はもっとボロボロになっていたはず。 死人の肉を食べる決断よりも、あの山を越えて自力で救助隊を呼べたことがすごい。 その生命力の逞しさには心うたれる。 [DVD(字幕)] 7点(2013-08-22 19:45:44) |
70. 北の国から '98時代 前編・後編<TVM>
《ネタバレ》 別れた男の赤ん坊を産むことを決意する蛍。 蛍は溌剌とした昔の面影はなく常に気だるい感じなので、蛍がシーンにからむと重苦しい。 純とシュウがしばらく離れる理由が、二人とも大人なのに説得力がなく必然性もない。 なんといってもこの回は草太の魅力に尽きる。 思い入れのある人物が死ぬとドラマとはいえ喪失感を覚える。 死ぬのが全然予想されないときはなおさらだ。 正吉と蛍の結婚式で流れる草太の録音テープと回想シーンは年月の重みを感じてぐっとくる。 [DVD(邦画)] 7点(2013-07-27 23:22:59) |
71. 北の国から '92巣立ち 前編・後編<TVM>
《ネタバレ》 五郎のいる富良野をいつも素通りして彼氏のもとへ通う蛍。 れいと遠距離恋愛しながら東京で女の子を妊娠させてしまう純。 親不孝な二人にも嫌な顔をしない五郎が不憫になる。 菅原文太の「誠意ってなにかね?」が何度もパロディになるところに、このシリーズの人気がうかがえる。 ラブホテルでのタマコの言動は支離滅裂で、そんなヤツいるかよレベルのキャラ。 吹雪の中、丸太の下敷きになった五郎の前に現われる令子の幻影って、ベタすぎてちょっと引くような演出だった。 [DVD(邦画)] 7点(2013-07-26 22:24:47) |
72. ザ・ロック
《ネタバレ》 英国の凄腕諜報部員と戦闘は専門外の化学者がテロに立ち向かうハメに。 反目しながら次第に相手を認め、苦難を乗り越えて目的を果たして最後は友情が芽生えるという王道パターン。 定番すぎる物足りなさは少し感じるが、迫力満点のカーアクションやサスペンス性に引き込まれる。 [DVD(吹替)] 7点(2013-07-17 21:02:18) |
73. 羊たちの沈黙
クラリスとレクター博士の会話に漂う奇妙な緊張感。 サスペンス性が高く、レクター博士が不気味で何をするのか予測がつかない面白さ。 [地上波(吹替)] 7点(2013-07-09 21:52:48) |
74. スモーク(1995)
《ネタバレ》 ストーリーに一本の太い幹があるわけではなく、幾つかのエピソードによってできたオムニバス形式の映画。 起承転結のはっきりした盛り上がりのある映画ではないので、ちょっと苦手なタイプ。 でも、人間が立体的に描かれて体温を感じるような映画になっている。 人間はウソをつかずには生きていけない生き物だ。 ちょっとした見栄でついついてしまうものや、相手を思いやってのものなど、種類はさまざま。 ウソがキーワードになっていて、人と人とが触れ合いぶつかる中で、裏側にある隠れたものが見えるたびに、その人の人生が感じられる。 ブルックリン版「人間交差点」のよう。 ラストのオーギーとポールの会話は、言葉の裏にあるものが深くて、最初は意味が汲み取れなかった。 お婆さんとオーギーがお互いウソだとわかっていながらの交流は、温かくてほろ苦くてなんだか胸に迫る。 [DVD(吹替)] 7点(2013-07-06 22:52:52) |
75. 變臉~この櫂に手をそえて~
《ネタバレ》 火事に誘拐による冤罪と、老人にとって少女が災いの元となっていて、観ているこちらも腹立たしさを覚えてくる。 それが、老人を助けようとするひたむきな少女に次第に怒りを溶かされる。 そうして、老人が少女に御主人様ではなくおじいさんと呼ぶことを許し、少女がおじいさんと連呼して抱き合う姿にやられてしまう。 少女に最初から悪気はなかったし、男の子を連れて行ったのも良かれと思ってやったこと。 これだけベタであざとい演出だとシラケるリスクもあるが、主役二人の名演技がそれを補って余りある。 影があるから光が引き立つ。 少女の大人に媚びるさまはそれだけ苛酷な環境で育ったことを示しているし、人身売買や女性蔑視など社会的問題を含んでいる。 そうした社会の暗部を背景にしてこそ、思いやりや義理人情といった光が眩しく映り、ハートウォーミングな作品となった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2013-06-30 21:21:13) |
76. 12人の優しい日本人
《ネタバレ》 タイトルからわかる通り『十二人の怒れる男』をパロっていて、日本人だったらどうなるかを示したようで興味深い。 狩猟民族と農耕民族の違いを見るようだった。 妻が夫を走ってくるトラックへ突き飛ばしたとのおばさんの証言もあったが、暴力夫に悩まされていた美人妻への同情もあって、おばさんの証言よりも妻の証言が信用されている。 そうした無罪濃厚の状況から有罪の可能性を探っていくわけだが、12人のキャラが立っていてそのやりとりに引き込まれる。 三谷幸喜はこうしたキャラの書き分けがはっきりしていてわかりやすいのが特長。 そこが苦手という人もいるようだが、こうした12人にほぼ均等にセリフのある設定では、区別しやすくなるので混乱しなくて済む。 ただ、本家の迫力には到底及ばず、インパクトは少し弱い。 コメディ要素を入れて笑いを取ろうとしているために、軽くなっている印象。 議論が人間の本質的なものを抉り出す人間ドラマになるのではなく、推理ゲームの要素が強くなっているせいもある。 最初から有罪を強硬に主張し続ける会社員も妻に捨てられたことが理由というオチがかなり前からわかってしまうのもマイナス。 オチが見えてからはどうしても興味が少し削がれてしまった。 [地上波(邦画)] 7点(2013-06-19 23:05:40) |
77. 心の旅
《ネタバレ》 銃撃後の記憶障害で全く別の人格となってしまったことによる周囲との関係性の変化や以前の自分への違和感をうまく描いている。 以前の自分の姿を知れば知るほど幻滅し、最後は良心に従って以前の自分とは真逆の行動を起こす。 いかにもハリウッド映画らしい、家族を大切にするヒューマニズムにあふれたわかりやすい作品。 ベタなので展開も読めてハッとすることもないが、「いい話」として安心して楽しめる。 [ビデオ(吹替)] 7点(2013-06-09 02:22:30) |
78. 大誘拐 RAINBOW KIDS
《ネタバレ》 お婆ちゃんが誘拐犯の身代金を吊り上げるのが面白い。 途中から少し頼りない三人組に知恵を与え、犯行を主導するお婆ちゃん。 黒澤映画の名作『天国と地獄』は社会性が高かったが、岡本喜八監督の本作はエンターテイメント性が高い。 体重激減からガンかもしれないと思い込み、死んだら自分の財産が国に奪われることに思いが至る。 戦争で三人の子供を国に奪われたことが伏線となっており、誘拐されたのを利用して国へのリベンジともいえる。 犯人は三人とも欲がなく分け前を放棄したり堅実な生き方歩き出したり、誰も傷つくことのないハッピーエンドなメルヘンに仕上がった。 北林谷栄ありきの映画で、その存在感はすばらしい。 [ビデオ(邦画)] 7点(2013-06-07 00:17:01)(良:2票) |
79. 愛を乞うひと
《ネタバレ》 原田美枝子が両極端な二役を好演、まるで別人に見えた。 豊子は虐待するなら孤児院から引き取らなければよかったのに、去っていった男に対する執着が歪んだ形で表れたのか。 強姦されてできた子だから産みたくなかったと言い放つが、それも事実とは異なることで、照恵を徹底的に傷つける意図が見える。 その理由がはっきりとは描かれていないが、豊子も虐待された経験があったのかもしれない。 虐待を受けながらもひたすらに母の愛を求め続けたいたいけな姿が胸を打つ。 髪をすくのが上手だとたった一度ほめてもらったことが、鬼畜のような母を憎みきれなかった要因か。 老いた母との美容院での再会シーンは緊張感が漂う。 額の傷に受けた傷が伏線となっていたが、結局老母から娘に向けた言葉はなく、親子としての会話は交わされなかった。 照恵は虐待の理由をそれまで何度何度も考えてきただろうが、理由なんて今さら意味をなさないし理解する必要もない。 母への執着にピリオドを打ち、娘の深草の愛で癒されることで、愛に彷徨していた自身の思いは完了できたのだろう。 照恵が父の遺骨探しに奔走するのは、母が捨てたものを全部拾っていくことを決意したから。 つらい時や困った時にはいつもそれを誤魔化すように笑みを浮かべてしまう照恵は、なかなか正直に自分の気持ちを表現できない。 小さい頃から抑圧されてきたために本当の自分を見失っている照恵にとって、遺骨探しは自分探しの旅でもあった。 最後に拾ったのは自分自身ともいえる。 あれほど虐待した親を許せるものなのかどうかは想像がつかない。 再会しても恨み言の一つもぶつけずにはいられないのではと思ってしまうので、そうしなかった照恵が不思議にも思える。 ただ、娘の存在なくしては、母への思いがいつまでも決着のつかなかったことは想像に難くない。 当時は邦画も捨てたものじゃないと思わせた映画で、長らく不振だった邦画の復活を感じさせた。 [ビデオ(邦画)] 7点(2013-06-06 00:12:18) |
80. ナビィの恋
《ネタバレ》 沖縄の風情たっぷりに素朴でのどか、音楽も効果的に使われ南国らしく陽気で楽しい。 方言が柔らかく人を包み込みようで耳に優しい。 サイレント映画のような回想も味のある演出だ。 ユタの占いで結婚できずに引き裂かれるという前近代的な風習がそもそもの原因とはいえ、ナビィが50年連れ添った夫を捨てるとは…。 これが標準語で都会だともっと非情な印象を与えるだろうが、あの方言とナビィのキャラクターでずいぶん緩和される。 愛する人のために黙って送り出してやるおじいはこれぞ日本男児で立派だけど、なんとも切ない。 [ビデオ(邦画)] 7点(2013-06-06 00:08:37)(良:1票) |