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K&Kさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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61.  チャーリーとチョコレート工場 《ネタバレ》 
“Charlie and the Chocolate Factory”邦題まま。原作の邦題は『チョコレート工場の秘密』だそうです。公開当時、劇中チョコレートの香りがするって演出があった記憶があります。劇場で観ときゃよかったかな。 今回久々に視聴したけど、ウンパ・ルンパ以外、内容ほとんど覚えてなかったです。個性的な4人の子供(ライバル?)、こんなの、居たっけ?  バイオレットなんて、後のヒットガールを彷彿とさせる雰囲気で、可愛くてカッコイイ。もっと記憶に残ってそうな気がするけど、登場は格好良かったけど、その後活躍もなく、青紫のまん丸状態になってフェードアウト。 他の子も同様で、一切活躍すること無く、行儀の悪い行いしてフェードアウト。みんな劇中チャーリーとそんなに絡むこと無く、勝手に自滅して勝手に退場して、その後が語られること無くそれっきりだったから、きっと記憶に残らないんだわ。 でも、子どもたちのフェードアウトは、結構原作通りだったので、案外再現度は高いのかもしらん。  ゴールドチケットの獲得方法。①食いしん坊だからたくさん食べてて②父親の財力を活用③勝つために好物のガムをチョコに変えて④統計取って一発獲得と、個性的なメンバーに対し、⑤チャーリーは拾ったお金で、店員おじさんが渡したチョコが当たるという、なんか一番モヤモヤする当選方法。 そもそも工場見学のチケットにそこまでの魅力を感じるか疑問だけど、優秀な子も多いのに、有り得ない方法で勝手に自滅していく様子が楽しめるかどうかがキモだろうか。'71年の映画とかミュージカルとか、派生作品も多いみたいで、バージョンの違いを楽しむのも良いかも。
[地上波(吹替)] 6点(2024-01-05 19:36:15)
62.  キャノンボール 《ネタバレ》 
“The Cannonball Run”訳すなら砲弾レースでしょうか。'70年代にアメリカで実際に開催された、非合法の大陸横断レースの映画化です。公道を警察に捕まらないように工夫しつつ、ゆる~くゴールを目指すレースで、同様のレースは'80年代以降も開催されていたけど、回を重ねる毎に、スピードとテクニック重視の、いわゆる“しょっぱい内容”になっていったようです。 映画は同レース初期のコンセプトに沿っているため、正攻法のスーパーカーもあれば、忍者のようなハイテク四駆やボンドカー、警官が止めにくい救急車なんて各チーム工夫のあとが出てます。  子供の頃この映画が大好きで、ゴールデン洋画劇場で放送される度に観てました。ジャッキーがコミカルに活躍するのが嬉しいし、カッコいいムーア・ボンド本人が三枚目を演じるのもイイ。ドクターが顔は不気味だけどお茶目なところとか、キャプテン・ケイオスの登場シーンなんて、こういう明るいおじさん、子供は大好きなんです。 ピチピチ衣装の美女コンビ&黒いカウンタックの組み合わせが最高だけど、それ以上にノーブラ童顔のファラ・フォーセットがエロ可愛い。  スーパーカー、豪華俳優陣、セクシーな美女。オープニングからワクワクする要素が詰まりまくったこの映画。レンタルレコード(当時そういうのがあったのよ)で借りてもらったサントラをカセットにダビングして、あのオープニングをステレオ(ラジカセでしたが)で聞いたら、もうテンション爆上がり。 またエンディングののNG集が、撮影現場のゆる~い空気を感じさせてくれて、ホンワカしていい感じです。今回DVDを安く手に入れたところ、嬉しいことに吹替版が入っていて、懐かしい超豪華声優陣に感動してしまいました。アドリブ満載。意訳たっぷり。吹き替え現場もきっと、撮影現場並みにホンワカ・ゆる~く楽しく録ってたんでしょう。 あのカッコいい映画ポスターもゆるくて、何故か美女コンビのピンク(タラ・バックマン)の衣装を着たファラ・フォーセットが真ん中でババ~ンと…カウンタックも赤だし…もう見栄えが良ければ何でもアリです。  バート・レイノルズにはトランザムに乗ってほしかったけど、カッコいいJ.J.と明るいビクター、天然ボケのパメラと変態ドクター。レースより4人の珍道中がメインなので、この映画では救急車で正解でした。当時は気が付かなかったけど、J.J.ほとんど運転してないのね。9割ビクターが運転してたわ。 ジャッキーは「ニホンの~イチバンの~カーレーサー」です。ジャッキー&日本車と言えば三菱のイメージだけど、本作ではハイテク装備のスバルレオーネ。あんな小さい車体に四輪駆動って、当時はまだ珍しい先端技術だったんですね。 最後まで三枚目のボンド。画面に出る度に助手席のボンドガールがコロコロ変わってるのが芸が細かい。「すご~い!私がジョージ・ハミルトンの車に乗ったなんて!!」を吹替版では「ショーン・コネリー」に変えてるのがもう100点満点! 思い入れたっぷりだから映画は7点!サヨナラ~!バイバイ!!
[地上波(吹替)] 7点(2024-01-05 12:56:52)
63.  新・明日に向って撃て! 《ネタバレ》 
“Butch and Sundance: The Early Days”『ブッチとサンダンス:若かりし日々』。前作のタイトルが2人のフルネームだったのに対し、名前だけになってます。 公開から10年後の続編、しかも前日譚だから役者さんも変わってます。トム・ベレンジャーがポール・ニューマンに似てるか?なんて考えたことなかったけど、まぁ案外違和感は感じません。  ブッチもキッドも実在した人物だけど、前作で作り上げられた陽気な義賊といったイメージが強く、その創られたキャラクターをモトに、さらに軽い性格にしたように観える。 若いだけに軽くても良いんだけど、ストーリーは行き当たりばったり。出所したらO.Cに仲間を売ったと勘違いされ、ひょんな事からサンダンスと組んで、雪道をスキー履いて血清を届け、ブッチの家に寝泊まりして…このツギハギの集合体のようなお話は、どこに向かってるんだろう?って、あの有名な『明日に向かって撃て!』に向かってるから観ていられる内容。最後が列車強盗だから何となく納得して終わる。  この当時、相当下火になっていたであろう西部劇映画。誰もが知る名作のキャラを出して、今風の軽いノリの青春映画にしたら、こんな風になりました。って感じ。…ネガティブな書き方になってしまっているかもだけど、前作に特段の思い入れがなければ、また気持ちをリセットして観ることができれば、案外普通に楽しめる作品でした。暇な深夜にボ~~~ッと観るのに最適。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-01-03 23:06:17)
64.  クライマーズ・ハイ(2008) 《ネタバレ》 
歴史に残る大事故を地元新聞社の中から観る。当時の空気、あの時の夏の暑さを追体験する作品としてとても良く出来ていて、グイグイ引き込まれ、最後まで飽きることなく観られました。 日航機墜落事故は“夏休みの終わりの方の大事件”として覚えてます。多くの人とともに坂本九が亡くなったこと。生存者がヘリに釣り上げられる映像のインパクト。垂直尾翼の無い123便の写真。大人が読む週刊誌には生々しい現場の写真が多数載っていたとか。 ネットのない時代、いわゆるスクープ写真の載った雑誌が売れた時代。当時の報道の過熱ぶりが本作からも感じられました。  でも本作のメインは墜落事故自体ではなく、事故を取材する新聞社の内側。劇中何度もでる“大久保・連赤”は14年も前の事件で、社内上層部にはいわゆる当時の“レジェンド”たちがデカい顔をしている。等々力が若手に“読者は記者の姿を見ている”ことを延々と語っている、あの面倒くさい空気。そんなの良いから無線機入れろよって言えない環境。気に触った一言をいつまでも引っ張って設けた宴席、土下座の蒸し返し。昭和っぽい暑苦しさが良く出てました。 事故自体の経緯を俯瞰して観せてくれる作品ではなく、あくまで記者目線で事件を追う。私は事故の全体像を当時の記憶で補完出来たけど、若い人には説明不足に思えるかもしれない。『大統領の陰謀』もそんな創りだったなぁ。あっちは基礎知識がないからチンプンカンプンだったわ。 佐山の「…出来すぎじゃないですか?」から抜きネタ不掲載の流れ。悠木の信念「チェック、ダブルチェック」の結果として不掲載は納得だけど、社長じゃないけど恥の上塗りから辞表。乗客の手記でおしまいって、そこから先描かないんだ。最後のテロップ、隔壁じゃないなら何なのか、何を隠してるのかも、匂わすだけでも知りたいところだけど…  息子から「僕のかわりに」と渡される石。現代パートの悠木が大事に持っている石。悠木が空港で子供と別れてからの事故。乗客名簿の子供の名前で手が止まるとこ。なんだろうこの流れ。『子供が死んだのか?』って思って観てしまった。私のようなポンコツには説明が足りなかったか、ミスリードにハマったのか解らないけど、ストーリーに集中できなくなってしまった。 集中できないもう一つに要因が、話の流れと無関係に挿入される現代パートの登山部分。最後にまとめて入れても良かったと思うし、何なら無くても良かった。息子は事故と無関係だし、息子のことは最初と最後しか出てこない。一緒に山を登るのが安西の息子というのも説明不足に思える。 あと社長のセクハラと安西の病状。悠木の母親の話も、中途半端に掘り下げる必要性もね。社長が悠木を犬として扱っている描写、佐山に悠木の陰口を漏らすとことか、145分も尺使って書ききるつもりも無いなら、入れなくても良かったかも。 むしろ日航機事故に特化した映画にしたほうが良かったんじゃないかなぁ。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-01-03 11:52:05)
65.  男はつらいよ 寅次郎恋愛塾 《ネタバレ》 
シリーズ35作目。ポヨンポヨワァ~~ン♪ビインヨヨョ~~ン♪何なんでしょうね?『ここ笑うところですヨ!』とでも言いたいんだろうか、アホみたいな効果音がとても目立つ一作です。男はつらいよは、そういう安直な笑いに逃げず、ちょっとした間とか、テンポの良さとかで、じんわりと笑えてくる作風だと思っていたので、この効果音攻撃は結構ツラいです。  タイトルがもう『恋愛塾』と来たから、寅は恋をしないだろうってことで、マドンナ若菜と民夫の恋の行方を見守るんだけど、民夫が若菜に惚れたのはわかり易い程わかる。けど若菜が民夫のどこが良かったのかイマイチわからない。寅が仮病のドタキャンで二人をくっつけるのがキッカケにはなってるけど、このデートがあってもなくても、今回も上手くいく恋愛模様。寅必要なかったじゃん。  若菜の部屋で眠ってしまった民夫への、「終わりだよ!!」寅の当たりのキツさ。「惚れた女の部屋で居眠りするなんてな!」ここ、あじさいの恋とかでタヌキ寝入りしてた寅が『どの口が言う』って笑うところなのか、最後「死ぬんだよ!」で終わらせるところが、笑いとして厳しいものになってる。 山奥で睡眠薬?で服毒自殺を笑いに結びつけるのは強引に思えるし、最後のリフトで捜索・発見からの若菜の告白も、何もあんな場所でなくても…って感じ。 以前失恋からのガス自殺でとらやを吹き飛ばした『頑張れ!』事もあったし、ぬいぐるみの熊『夜霧にむせぶ』なんてのもあったけど、馬鹿馬鹿しさでは群を抜いている一作かも?
[CS・衛星(邦画)] 4点(2024-01-01 17:45:28)
66.  シザーハンズ 《ネタバレ》 
“Edward Scissorhands”登場人物のフルネーム。 雪が降るなか灯りが落ちた夜の20世紀FOXロゴ。ちょっと不気味さのあるオープニング。小さな女の子の「雪はどうして降るの?どこから降るの?」って素朴な疑問から始まるおとぎ話。その答えの何とも悲しいこと… パステルカラーの家々、車、住人の服装。なんともポップでお洒落な町と、この町に似つかわしくない黒くて禍々しいお城。孤独に生きてきたエドワードが受けるカルチャーショック。手がハサミの奇妙な人物によって変わっていく町の変化が面白い。そのままの延長でハッピーに終わっても、きっといい映画だったと思うけど、ティム・バートンらしい“闇”が良い味付けになっている。  手より先に心が創られる悲劇。心を創られる前のエドワードは、工場の隅っこでセロリか何かを刻んでた。工場(というか博士の趣味)がクッキー作りになってから、エドワードは用済みになってたんだろう・・・ってあれ?博士がエドワードに本を読んで教育してる奥に、セロリのロボットいるぞ!?ふたりは別人??ってことは、博士はエドワードをゼロから、敢えてハサミの手を持たせて、創った??博士ひょっとして、そういう悪趣味な一面があった?  博士が亡くなってからのエドワードは、1人孤独に、誰も見る人のいないトピアリー(って言うんだと)を造り続けてきた。他にしてきたことは、ベッドのまわりに雑誌か何かの切り抜きを貼ることくらい(※『生まれつき目のない少年が手で字を読む』記事を貼ってるところがバートンらしい)。 好奇心旺盛なエドワードは頼まれてもいない犬のトリミングを初め、女性のヘアカット、遂には氷の彫刻創りへと、独創的なセンスを発揮する。  ほんの僅かな数日間、人と触れ合うことで広がってきたエドワードの創作意欲、新しい発想。お城に戻ったエドワードは、1人孤独に、あの一時の思い出だけを胸に、クリスマスに氷のキムを創り続ける。キムがお婆ちゃんになるまで、何年も何年も。 雪の降らなかった町に雪が降る理由を知りつつ、あの街で孫が出来るまで、何年も何年も暮らし続けるキム。 このロマンチックだけどアンハッピーな所も、おとぎ話として良く出来たクリスマス映画ですね。
[ビデオ(字幕)] 9点(2024-01-01 12:43:46)
67.  男はつらいよ 寅次郎真実一路 《ネタバレ》 
シリーズ34作目。怪獣だぁ。そのうち出るだろうって思ってたけど、ギララっていうのか。コレ当時の特撮の使い回しかなぁ?撮り直しだとしたら、お金掛かってるなぁ。 マドンナは大原麗子が再登場。だけど同一人物で別人のマドンナ役ってのは“シリーズ初”?  今回やたらと東京の風景が多い。今まで柴又と地方が舞台だったせいか、随分と時代が進んだ印象を受けてしまった。第一作から15年も経っていて、寅もとらや一家も柴又も当時と全然変わらないのが馴染んでしまっていて、急に東京が近代化してたような、そんな印象を。大都会の証券会社で働く富永にスポットが当たったのもあって『あれ?これ“男はつらいよ”だったよな?』なんて思ってしまった。差し入れのバナナのシーンは寅さんっぽくなかったけど面白かった。  マドンナが失踪した夫を心配する人妻。しかも夫は一緒に飲んだ仲ということもあり、寅でなくても全力で恋が出来ない、居心地の悪さを感じる。二人っきりの枕崎旅行も、どこか後ろめたさが先立って、観てる側としても純粋に応援できない状況。寅の恋愛成就を応援できない回って、初めてかもしれない。 冨永が家庭に戻り、寅がそのまま旅に出ることを察したさくらとの電話「良かったねお兄ちゃん」『あぁ、良かったよ』「ホッとした?」『あぁ…ホッとした』。自分の幸せのために、冨永の不幸を望むような男にならなかったことを、さくらは喜び、寅の心の底の気持ちを引き出してあげる兄妹愛が美しい。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-12-24 00:22:32)
68.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
“Gran Torino”『フォード・トリノの一部車種の愛称』。日本だとスカイラインの、GT-Rじゃなくジャパンとか鉄仮面だと思う。 ウォルトはアメリカの輝かしい時代を生きた世代だ。'50年代に青春を過ごし、朝鮮戦争で戦ったのちフォードの工場で働き、愛する奥さんと二人の息子。郊外のニュータウンに一戸建てを持った男の余生、成れの果て。 2000年代、アメリカは様変わりしていた。ニュータウンは寂れて老朽化し、残っているのは老人とヨーロッパの移民系。金のある白人はもっと利便性の良い地域に移り住み、代わりに入ってくるのはアジア人。若者は移民や黒人のギャング。奥さんに先立たれ、息子はトヨタに勤めていて、孫はみんな馬鹿。  当時イーストウッドは78歳。いつ死んでもおかしくない年齢の男から観たアメリカの小さな街。あの街はアメリカの縮図。ウォルトは決して裕福ではない。広いとは言えない建売りの家をピカピカにして、小さな庭の芝を刈り、欠かさず国旗を掲揚している。グラン・トリノも当時大人気のマッスルカーってほどではなく、燃費の悪い中型のアメ車。ウォルトはアメリカの中流家庭の、プライドの塊のような男。  また'50年代の白人文化を過ごしてきた世代からの警告のカタチも取っている。白人中心のアメリカ社会も、アメリカ中心の世界も、今後更に変わっていく。 奇しくも公開年に起きたのが、サブプライム・ローン問題を起点としたリーマン・ショック。今の時代のウォルトのような中流以下の住宅ローン債務が焼き付いて、大手銀行が破綻するまでのダメージに発展し、アメリカ経済がどん底に落ちていった最中の公開。  この街の若い白人は、スーの友達のようなナヨナヨした白人しかいない。移民たちを受け入れて行くしかない現実がある以上、どんな人達と共に生きていくかを考えなくてはいけない。世界の警察だったアメリカは、他民族に銃を向けるのではなく、他の方法で解決をしなければいけない。 ギャングと戦う決意をしたウォルトは、白人の誇り高いスピリットは神父に残し、アメリカの輝かしいプライド(グラン・トリノ)はタオに残した。 最後ウォルトの手に残ったのはジッポーライター。これもまた、アメリカが世界に誇った古き良きアメリカ製品の象徴であり、消えゆくタバコ文化の象徴。
[DVD(字幕)] 8点(2023-12-23 11:24:57)
69.  男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎 《ネタバレ》 
シリーズ33作目。本サイトでは寅さんシリーズ・ワースト3に入るくらい低い点に警戒する反面、私の好きな登が久々に登場する回(※事前に調べてた)ともあって、複雑な思いで観始めました。 当時私は中原理恵さんが大好きでした。欽ドン!毎週観てました。綺麗で可愛くて面白くて、こんな人が私のママンだったらなぁ…なんて思ったこともありましたよ。欽ちゃんブームが下火になった辺りから、彼女もあまり観なくなりましたね。今回久しぶりに彼女を観られて、そしてやっぱり綺麗な人で、なんかすごく当時を思い出せて嬉しかったです。 更に釧路(うわっ都会だ!)に根室(…田舎だ)に霧多布に中標津と道東てんこ盛りな回で、それもまた嬉しかった。あの樽の中をぐるぐる回るオートバイ・サーカス。札幌はじめ北海道の夏祭りの花形イベントでしたが、最後の一座もコロナの最中に人知れずひっそりと閉業されたそうです。  登の再登場は良かったけど、あの別れ方は悲しかったなぁ。だけど、カタギになった登と、時代に取り残された寅のフーテンぶりを敢えて観せる演出と思えば納得です。悲しいけどね。タコ社長の娘のあけみ。むか~し社長一家が出た時に、わらわら居た子供の一人なのかな?なんかぶっ飛んだキャラクターで好きです。美保純かぁ。味があるなぁ。トニー。名前からして住む世界が違う人です。ハーフ役かな?あだ名かな?思わせぶりなセリフを最後に出なくなるのは、確かにモヤモヤする。栄作。欽ドン…じゃないか、でも欽ちゃんファミリーの懐かしい顔。こちらも退場のしかたがちょっとだけど、面倒くさい旅の仲間っぷりが良いアクセントになってたわ。  マドンナ・フーテンの風子。中原理恵が好きなせいもあるけど、この後先考えずに憎まれ口叩いてしまう性格なのは、作中自分で言ってる通り。とらや&寅連合VSマドンナって図は初めてかも?最後のとらやでの言い方に怒りを覚える気持ちも解ります。みんなで優しくしたのに掌を返すようなやり方でって。その気持も解るけど、弾かれ者だった風子が、同じ境遇のトニーを嫌いになれない気持ちも解るなぁ。  最後の熊。モロぬいぐるみのニセモノ熊には失笑だけど、前作でレオナルド熊がニセモノ寅を演じた繋がりってことで、最低マドンナの烙印押されてる風子共々、許してやっちゃ、くれないだろうか? ちなみに私の中の最低マドンナは高見歌子(吉永小百合)です。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-12-17 23:00:15)(良:1票)
70.  ギルバート・グレイプ 《ネタバレ》 
“What's Eating Gilbert Grape”『何でそんなに苦しんでるの?ギルバート・グレイプ』。他にも『~イライラしてるの?』や『~悩んでるの?』なんて訳もある。そうだったんだ、モトのタイトル、主人公の名前だけじゃなかったんだ。 私の中の第二次映画鑑賞ブームで出会い、こんな繊細な内容のアメリカ映画もあることに驚きました。 時代のプリンス・ディカプリオが知的障害者の子供を。幸薄い役ばっかりだったジュリエット・ルイスがキラキラ輝いてるのも印象深い作品。  このエンドーラって町の閉塞感。ギルバートはまるでこの町に閉じ込められてるように観えます。実際、家を出た兄を除いてグレイプ家の3兄妹は、過食肥満の母と知的障害者のアーニーの面倒を見るため、町を出ることが出来ません。物語はアーニーが18歳を迎えるまでの6日間のお話です。 不思議なことにギルバートの周りは、この町で死んでいく年寄りと小さな子供しか居ません。買い物も巨大なショッピングモールと潰れそうな食料品店。極端な話、“生”と“死”しかない町で、中間が無いんですね。 友達もバーガー屋(=食べること=生きること)を夢見るタッカーと、葬儀屋(ズバリ死)のボビーの間で、ギルバートは未来の選択を迫られています。 選択と言っても、家族も周囲の人たちも、みんなギルバートに頼って生きています。食料品店の店長なんて、フードランドの勢いに恐怖しながら、ギルバートに慰められて商売を続けてます。 この町にはどうしてかギルバートと同年代の女性が居ないので、若い人妻ベティとの不倫のスリルを楽しんでいます。ベティもまた、この町で年老いて死んでいく側の人でした。そこに新たな存在ベッキーが町の外からやってきて…。    お母さんは最後どうして??ですが、彼女は最後、アーニーを無事18歳にしたことと、ギルバートがベッキーとの未来を見せたことで、ギルバートに頼る生き方をやめる決意をしたんでしょう。それが、2階のベッドで人間らしく寝ることだったんでしょうね。彼女が前向きに生きる決意をした矢先の事故死。自殺ではありません。「光り輝く甲冑を着た王子様」の話は、彼女の遺言ではなく、近々出ていくギルバートへの“贈る言葉”だったんでしょう。アーニーにも何か言葉を贈ろうとしましたが、その前に彼女は力尽きてしまいました。  何ともあんまりな話ですが、この町では死は滑稽なカタチでやってきます。元気だったカーヴァーさんは子供用プールで溺れ死にました。もちろんベティによる他殺ではありません。お母さんの死はそれと一緒。※余談だけどカーヴァーさんが子供に買い与えたトランポリンがアーニーの誕生会の場に置いてあるのがなんか微笑ましい。ベティからアーニーへのプレゼントだったんでしょう。 奇遇にもベティもギルバート兄妹も、自分を縛る存在(夫・母親)が死ぬことで、エンドーラを出て新しい生き方を始めます。 母の死からから1年後。少しも変わらないアーニー。少し髪が伸びたベッキー。なんてワクワクする終わり方でしょう。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2023-12-17 21:51:32)
71.  男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎 《ネタバレ》 
シリーズ32作目。夢の中のニセ寅を観て、この人知ってるけど、誰だっけ?ってなったわ。あぁレオナルド熊か、懐かしい。 博のお父さんの墓って話が出たとき全然ピンとこなくて。あぁ、“ん゛ん゛一郎”さん亡くなってたんだ。その作品のみの登場人物で亡くなった人はいたけど、過去に出た人で亡くなったのって、飃一郎さんが初かなぁ?でも三回忌の年のお話として、湿っぽくならない創り方が上手い。 坊主に扮する寅。どんなミスするかワクワクしてたら上手いこと乗り切ってしまうのが逆に面白い。お経をどう乗り切ったか不明だけど、その後の御法話に人相の啖呵売を混ぜるのがさすが。その後の飃一郎の法事は思い切った悪ノリっぷり。青い顔のさくらと困ってる博。「兄さん」「「ん~??」」に吹き出してしまったわ。  当時の杉田かおるは、ホントあどけなくて可愛い。ひろみが寅に相談した後、滑って落っこちそうになるシーンの、二人の動きの大きさが名人芸。精一杯のおしゃれをして東京に出てくる姿もまた可愛い。この当時の杉田かおるの作品をもっと観たかったけど、本作以降しばらく映画には出て無いそうで、後から知った芸能界の闇が怖い。キスシーンはあったけど、そこから先はおいちゃんにストップさせたのが、山田監督による彼女の使い方の良心に思えたわ。 竹下景子の“町で評判の美人”っぷりが良い。表向きの顔と、父との会話からチラチラ観える内面が彼女の魅力を引き出している。 とらやに来た朋子が積極的で、これだけ自分の気持ちを出してくれる中、柴又駅での延長戦は手に汗握った。距離を置くさくら。『頑張れ寅!ここは頑張れ!』って応援してしまった。佃煮だのと逃げ道を探す寅にヤキモキしながら、あぁ、冗談にしてしまうのか。と落胆。東京駅で更なる延長戦もあるのか?って思ったところの試合終了。さくらの横を素通りせず「ヘヘへ…と言うお粗末さ…」と言い出す寅の背中が切ない。  タコ社長と博の経営方針の違い。飃一郎の死。一道が持つひろみの写真はカラーで、寅が持つ朋子の写真はモノクロ。世代の違いと時代の流れを感じさせる一作でした。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-12-17 14:09:46)
72.  キック・アス 《ネタバレ》 
“kick ass”ケツを蹴る≒『ボコる』って名前のヒーロー名。 特殊能力を持たないへなちょこヒーロー映画。まぁ痛みを感じないのも特殊能力と言えばだけど。 映画観る前にYou Tubeでヒットガールのアクション動画を観てしまったわ。躍動感のあるスピーディな銃撃戦とクロエのカッコ可愛さに魅了されました。 “本編はもっと凄いんじゃないか?”って思って観た結果、やっぱオイシイところはヒットガールが持って行ってしまったかな?  主役のキックアス。マーベル&DC系ヒーローとは違って、普通の人が普通のままヒーローになるっていうのが、なんかすごく馴染める設定。日本はアメリカ以上にヒーロー大国。ライダーとか戦隊とか以外にも、地方自治体や企業のマスコットとして、ゆるキャラ並みにたくさんのご当地ローカルヒーローが存在する。私の地元だとホワイト・ストーンズってのが…まぁそんなローカルヒーローと、ビッグダディたちリアルヒーローが融合する妙は楽しめました。ギャングにボコられるチンピラを勇気を出して助ける姿はカッコよかったわ。普通の人らしいカッコいい戦い方。 キックアスが、最後まで努力と勇気だけで悪に挑むへなちょこヒーローだったら…私はそっちを期待していたんだろうか?  凄い可愛い彼女と普通にラブラブしてるデイブ。ゴミ箱にティッシュの山を作るオタク丸出しのオープニングからは想像できないリア充っぷりに、なんか調子が狂ってしまった。事前に観てしまったヒットガールの活躍は本作の最後を飾るメインアクションとも言えるシーンで、ここにどうキックアスが絡んでくるか期待したところ、まさかの空飛ぶガンキャノン。もう普通のヒーローじゃん。これビッグダディ(脇役)の登場のしかただよなぁ。メイン(キックアス)とサブ(ヒットガール)の活躍のしかたが入れ替わってる。 へなちょこヒーローが本当の(悪く言えば普通の)ヒーローになってしまうと、やっぱ『ヒットガールが良かったね』って感想に落ち着いてしまうかな。
[DVD(字幕)] 6点(2023-12-16 15:13:02)
73.  キングダム/見えざる敵 《ネタバレ》 
“The Kingdom”『王国』。…なんだけど、自然界を三大区分(動物界、植物界、鉱物界)した『界』という意味があるんだと。 アメリカとイスラム。どっちが偉いとか、どっちが正しいとかでなく、お互いに交われない存在って意味なんだろうなぁ。 アメリカとサウジの関係を綺麗にまとめたオープニングが秀逸。情報量が多いから何度も見返したくなるけど、センス良い。  お気軽な戦闘アクション映画だと思っていたら、事件勃発がエゲツナイ。無抵抗で非武装の市民を標的にするなんて、観ていて気持ちの良いものではないわ。攻撃第2段もまたエゲツナく、被害の大きさ&観ている私の犯人への怒りがデカくて効果絶大。首謀者アブ・ハムザが安全なビルの屋上で一連の事件の経緯を孫に見せるのも、私達と彼らイスラムの住む世界の違いを感じさせる。  映画だから主人公側に感情移入するように創られているのは解るけど、イスラム側があまりに非常識な悪の世界として描かれている。 テロリストを撃ったハイサム軍曹は味方から拷問を受け、ファリス大佐はFBIの越権行為にも協力する。映画の流れからつい『イスラム教徒にもイイ奴いるんじゃん』って思ってしまう。いやいや、そもそも主人公たちの行動原理が“仲間のフランを殺された復習”で、『フランを殺した連中をぶっ殺す』っていう、個人的な恨みを晴らす戦いなんだよなぁ。 カメラワークは切り替えが激しく揺れも強めで苦手なタイプ。最初のテロの衝撃と地味だけど緊張感がある捜査。最後の銃撃戦から急にトトトンと達成フラグが立っていく。前半と後半で作品の色が結構変わる作品。
[DVD(字幕)] 6点(2023-12-12 00:07:10)
74.  男はつらいよ 旅と女と寅次郎 《ネタバレ》 
シリーズ31作目。マドンナが都はるみ。チラッと出てくる細川たかし。ターゲットの若年化は諦めたのかな?ってくらい、中高年が喜びそうなゲスト回です。 前回のジュリー回がそれなりに手応えがあったのか、今回はもっと思い切りよく、マドンナの職業が人気演歌歌手。ヒット曲もそのまんま。名前がまんま京はるみ。歌の時間も長いです。更にお話がよくある『ローマの休日』ベースのお手軽脚本なのも含め、あまり力が入ってない回に思えます。こういうのも、たま~になら良いでしょうけどね。  でも見方を変えると、都はるみのプライベートビデオの風合いがあります。中高生に人気のアイドルだったら解るけど、中高年に人気の演歌歌手だと、こういうの無かった時代だったと思うなぁ。 ニッセイのおばちゃん!あの歌と共に自転車乗ってたなぁって記憶があったけど、本作でも自転車乗ってて嬉しかったわ。  プライベートコンサートで盛り上がるとらやメンバーと、一人2階で失恋を噛みしめる寅が切ない。 3枚のリサイタルチケット。なんで3枚?しかも寅とさくら夫婦でとご指名付き。とらや一家全員呼べば…なんて思う部分もあるけれど。はるみはステージのあと、自分を含めた4人での宴席でも考えていたのかもしれない。歌手とファンの関係じゃない、プライベートな席。 ステージで寅との思い出を語った後に歌ったのは、楽しい思い出『佐渡おけさ』ではなく、失恋の旅路の唄『おんなの海峡』。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-12-09 20:02:40)
75.  キューティ・ブロンド 《ネタバレ》 
“Legally Blonde”『法律的金髪女』って、なんか中国の怪しい店みたいな。アメリカにはブロンド・ジョークってのがあるくらいで、金髪女ってだけで頭が空っぽって意味になるそうです。なので、天才バカボンっぽいニュアンスのタイトルでしょうかね?でも日本では金髪女にそんなイメージがないから、分かり易い邦題にして正解だと思います。  ゆったり気軽に観られる、お洒落なコメディ。キャーキャー言いながらドレスを買いに行って、ズルい店員を知識で言いくるめるスカッと展開から、頭はいいけど馬鹿でドジなエルのキャラが良く伝わります。失恋を糧に猛勉強してハーバード大学にギリギリ合格。知識は身についても服装も趣味もギャルのままなのは変わらず。あぁ漫画っぽいなって思ったら実話ベースの小説原作なのに驚き。まぁ東大とかにもすごい格好の人って居るからなぁ。 エルは学生のまま本物の裁判に参加して成果を上げるけど、プール係の秘密や、最後のアリバイ崩しなんか、終始女の子らしい着眼点を貫き通していて、一つの作品として上手くまとまっていたと思います。  リース・ウィザースプーン。日本人が考える定番の金髪美人ではないかもしれません。喜怒哀楽がハッキリしていて、角度や表情によってエリザベス・モンゴメリーやシガニー・ウィーバー、時にはウィレム・デフォーにも観えて面白い人です。
[DVD(字幕)] 5点(2023-12-08 21:11:38)
76.  男はつらいよ 花も嵐も寅次郎 《ネタバレ》 
シリーズ30作目。オープニングは子供の頃ザ・ベストテンなんかで観たジュリーのショータイム。アメリカンな衣装を着たとらやのみんなが、なんかシュール。 いつもひっそり、とらやの背景を演じてきたお向かいさん・江戸家さん。挨拶以上の絡みを観せたのも、親父さん登場も、今回初かな?そんな江戸家さんから、ついにマドンナ登場!しかも派手派手な朝丘雪路って力の入りよう。この一瞬で花咲いて一瞬で終わる恋を入れたのは、この先寅さんが完全に恋の脇役に徹するからだろうか? 『シートベルト着用運動参加車』なんて書いてるけどシートベルトしない三郎青年。まぁ、友人に借りた車だしね。今回、大分県がスポンサーなのかな?温泉街、お寺、神社、グライダー、サファリパーク、ホーバークラフトと、いつもより観光色が強く、そこに割く時間も長め。  二枚目だけど恋に不器用な三郎青年。寅が青年に恋のアドバイスする回は過去にもあったけど、どうにも上手くいく気配がないのも珍しい。デートでもチンパンジーのベベの話しかしない三郎との時間に退屈してしまう螢子。寅とだったらいつまでも一緒に入られるのに。って素直な気持ちが辛い。 観覧車デート。あぁやっぱりここでもチンパンジーの話か…って、退屈そうな螢子がいい味出してる。 「子供のように思ってたベベが、螢子さんに出会ってからもう、ただの動物でしか無い」ここで求婚に飛ぶけど、螢子の中できっと『三郎さんのチンパンジーへの思いは、私の寅さんへの思いと一緒なんだ』って思ったんじゃないかな。三郎が好きだと言ったら説教した寅と、三郎に好きな女がいるのを感じて引っ掻いたベベ。居心地の良かった相手と、好きで結婚する相手の違い。だから螢子も一歩踏み出す決心ができて、結婚を受け入れたんだろうなぁ。  寅にしてみれば、三郎は最後フられて終わるところ。だって自分がずっとそうだったから。でも三郎が上手く行ったのは、自分と違って二枚目だから。って、寅の中の結論がまた痛々しい。ここのところ4作続けて寅の心を抉るような、可哀想な結末だなぁ。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-12-03 13:35:17)
77.  ELEVATED(エレヴェイテッド) 《ネタバレ》 
“ELEVATED”『上昇』。ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の最高傑作がCUBEなら、本作は次点。 CUBEのDVDの特典映像に入ってるんだけど、あれ?私はコレいつ観たんだ??CUBEのビデオにも本作入ってるんだっけ? まぁ、前情報無しにあんな凄いモノ(CUBE)観せられて、そのあとこんなの(ELEVATED)入ってたら、嬉しさ2倍以上だよね。 CUBEから箱を1つに減らして、登場人物も半分に減らした本作。 制作順はこちらが先だけど、観る順番としてCUBEの後に本作を観るのがベストだと思います。  最上階の44階から最下層の地下4階に降りるエレベーター。38階でエレンが乗り、22階?(不明)でベンが乗る。ハァハァ言って怪しいベン。そもそもペンか何かでボタンを押そうとしたのが、指紋残さない為みたいで怪しい。4階でハンクが乗って、エレベーターが上昇して、物語が動き出す。 ベンが悪いやつかは解らない。ハンクが信用できるか解らない。そんな箱の中のシチュエーションをエレン目線で描く。さぁ39階で止まったけど、どうする? エレンがゆらりと回転したり、刺すところでサブリミナル映像?入れたり、ミュージックビデオみたいな実験要素が盛り込まれている。 この内容で普通の長さの映画ならダレるかもしれないけど、アイデア勝負の短編だから勢いも感じられて面白い。
[ビデオ(字幕)] 6点(2023-12-02 12:47:56)
78.  CUBE 《ネタバレ》 
“CUBE”『立方体』。この映画も私の中の『第二次映画鑑賞ブーム』の時に、衝撃を与えてくれた作品です。こんな低予算で、ここまで面白い映画が創れるんだ!って。 オープニングの前に、男が目覚め、周り(置かれた状況)を見回し、扉を開けてみてその先に何があるのかを観せ、残酷に殺して観せる。ここまで説明もセリフも一切なし。だけど、何が起きてるかが伝わる。『わかんない状況に置かれているぞ!?』って状況が伝わる。 オープニング後も自分がどうしてここに居るのか解らず、周りの人が誰かも解らず、ただ目的はシンプル(ここから出たい)で、限られた時間の縛り(食料がない)があって、移動するたびにワナがあって、まるで自分も一緒にキューブの中に入ってしまったような、そんな作品。 前置きなしに“この世界に放り投げられた感”は、同じ低予算なのもあってか、私には『激突!』以来の衝撃で、続けて4回くらい観たと思います。  主人公は頼れる男クェンティンか、ヒロイン・ポジションのレブンだと思って観たと思います。脱出の希望と思えたレンがアッサリ退場する絶望感。絶望の後に希望あり。数字に意味があることで前進できる。そして行き詰まる。 徐々に観えてくるクェンティンの裏の顔。レブンも自分が頼れる存在だと知ると、少し横柄になります。極限状態に置かれた人間がどれだけ変わっていくか。ルールのないコミュニティで、人はどんな対応をするのか。観ていてどんどん引き込まれたわ。自分だったらどうするか?どう変わっていくのか?そんな事考えながら。物語は『どうトラップを回避するか?』から『コイツ信用できるのか?』に変わっていく。人間の敵は人間。些細な言い合いから徐々に壊れていく人間関係。小さなコミュニティはエゴのぶつかり合いに。  最後の部屋(通路)を赤にしたのも上手い。色々ある部屋の色で、やっぱり赤が一番禍々しい。カザンが赤が嫌いなのも、観る人に赤=悪いものの印象を植え付けてる。赤が強調されてるから、その対比として出口の眩しい光が映える。 そして自分が助からないのを知った人が最後に選んだのは『誰を生かし、誰を殺すか』。それもまた人間社会に対するエゴなんだよな。 シンプル故に色々なことを考えさせられる映画。
[ビデオ(字幕)] 10点(2023-12-02 12:06:36)
79.  男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋 《ネタバレ》 
シリーズ29作目。寅さんでスズメのアニメーション(白組作画!)が観られるとは。まるでメリー・ポピンズみたいになめらかな動き。 オープニングの歌の間に台詞のある本編ドラマが入っているのも新しい。 そして前作に引き続き、どこか哀愁のあるメロディ。う~ん、今回も悲しい終わり方するんだろうな。 片岡仁左衛門さんは歌舞伎役者か。映画主演作がほぼ無い中、劇中に馴染んだ演技を見せてくれる。貴重な茶碗をもらった寅の雑な扱いにワタワタする姿が面白い。寅が高齢になるにつれ、年齢の釣り合いの取れる(&お客さんの関心を集められる)マドンナとなると選択肢が減ってくるんだろうなって思う中、ゲストで豪華さを見せるのも上手いところ。 あといしだあゆみと吉岡秀隆の北の国から親子共演に思わずニヤニヤしてしまう。  そのマドンナいしだあゆみが、シリーズに異色な印象を見せる。顔より先にカメラが捉えるのは足。加納の家で寝込んで、朝方寅の寝室に入るかがりの足。丹後の実家で再会の時も、階段から降りてくるかがりの足から入る。寅とサシ飲みの俯瞰図もかがりの足がきれいに収まり、子供を寝かしつける時のふくらはぎは、寅でなくてもついドキッとしてしまう。そして階段を登る足。どうしちゃったんだろう?寅さんにこんなにエロ要素入れてくるなんて。 でもね、寅の寝室に入る時は意図的に足を映さないの。もう全身からフェロモン出てるから足は映さないの。寝たフリをしてやり過ごす寅。かがりが出ていく時にようやく足を映すのも上手い。徐々に盛り上がって、頂点迎えて取り逃して、クールダウン。ここで寅の恋は終わってます。  かがりから誘われたあじさい寺デートは、あまりに寅が可哀想な展開。そしてとらやの寅と旅先の寅の描き分けがハッキリしていて、一応旅先に含まれるあじさい寺に、とらやの満男を連れて行ったらどうなるかが初めて観られた。あぁ、こうなってしまうんだ。 そして、こうなることが解っていて、満男を連れて行ったのは、やっぱり丹後で燃え尽きていた自覚があったからなんだろうな。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-12-02 10:56:58)
80.  カラー・オブ・ハート 《ネタバレ》 
“Pleasantville”『プレザントヴィル』ってドラマのタイトル。地名で『愉快な町』とかって意味で、実際アメリカに幾つか同名の町があるので、きっとよくある田舎町の名前。 現実から異世界に行く&小さな町が主人公の影響で変わっていく映画というと、もう結構出尽くした感があったけど、こんなのも創れるんだって、かなりショックを受けました。私はケーブルテレビで遅れて観たけど、この作品、公開当時はどれくらい話題だったんだろう?もっと認知度高くても良いような、そんな印象です。  BTTFのように過去に行く物語の亜種として、視覚的にはカラーからモノクロの世界に行くんだけど、過去のドラマの“中の”世界。というのは面白い着目点です。紙は燃えないし、本は真っ白だし、メインストリートの先はメインストリートの始点。“本当の赤”みたく、お互いにモノクロなのも理解してます。カラーになったベティをファンデーションで助けるなんて、この世界観だからこそのアイデア。 デイビッドはバッドを演じ、ジェニファーはメアリー・スーを演じます。パターンとして、二人が時間が止まってる世界を壊さないように役を演じて、あれこれトラブルが有りつつも、最後は自分たちもモノクロ世界も壊さずに、無事現実に帰ってくるのが定石…だと思ってたところ、どんどんカラーが入ってきて、取り返しの付かない展開になっていきます。それも最初はカラーになっていくのがスカッと爽快で、だけどどんどん歪みが生まれていくのも上手いです。最初から最後まで『この先どうなっていくんだろう?』の連続でした。  最後も綺麗でした。古き良き'50年代から、世界が広がる'60年代へ。銀色の都市間高速バスが時代の変化を感じさせます。その後は退廃の'70年代に向かうのが想像できるけど、ドラマの世界の彼らはそんなこと知りません。一人残ったジェニファーも、たぶん詳しくは知りません(※今まで勉強してなかったのと、あの世界に未来の本は無いから)。だけど彼らの世界は私たちの世界とは違うので、同じ道を辿るとは限りません。プレザントヴィルがデイビッドが暗記するほど観てきたドラマの通りにならなかったように、彼らが向かう世界は素晴らしい'70年代かもしれない。 そして現実に戻ったデイビッドも成長しているのも嬉しいおまけで、あんな世界を体験しただけに、そこに説得力もあります。消えたジェニファーをどう説明するのか。あっちの世界もこっちの世界も、先のことはわかりません。だけどとても希望に溢れた終わり方でした。  結構完璧な作品です。完璧過ぎてアラが少ないのが、かえって“創りもの感”を感じます。エンディングのジョージがビルに変わるとことか、こういうのリメイク作でやるなら解るけど、ちょっと捻り過ぎかも。 あのテレビ修理の爺さんが何度か出てくるのは蛇足だった気がします。「おめーがリンゴ食ったからだー!」って言われても、いまいちピンときません。最初すぐ現実に戻ろうとしたけど戻れなくて、最後アッサリ戻ってしまうのは、リモコンの問題でなく爺さんの気分次第?1~2週間経ったから?う~ん… 『この先どうなるかわからない』映画なんだから。爺さんは最初と最後(帰っていくところ)だけで、あとは自分たちの選択した結果にしてほしかったかな。 ゲイリー・ロスの初監督作品。そのため力が入りすぎて、作品愛が溢れてしまったんだと思うところ。かなり好きな映画です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2023-12-02 09:50:10)
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