781. アフターショック
ネタバレ 最初は災害パニック映画と思わせて、最終的には、“実はコイツが真犯人でした”的なヤツと、“最後に生き残った一人”とが対峙する、という、13金っぽいスリラーに落ち着く、という趣向。もちろんオチも含めて、随所に「災害」は顔を出すけれど、刑務所から脱走したならず者集団とか、自衛のために主人公たちに銃を突きつけるオバチャンとか、危機にバリエーションを持たせ、展開の意外性が作品の売りになってます。 前半、主人公の一行のウダウダとした様子をウダウダと描き(しかしだからと言って飽きさせる訳でもなく)、ちゃんと彼ら一人一人を丁寧に印象付けているのも、その後の展開に、効いています。何しろ、この作品のもう一つの売りは「悲惨な死」。残酷、と言っても、映像そのものの残酷さより、彼らが辿る運命の残酷さ、ってのを前面に押し出して、それをエンターテインメントにしよう、ってなワケで。 ま、悪趣味と言えば、悪趣味。 しかし、一番生き残って欲しいヒトがちゃんと終盤まで生き残ってくれる(笑)ので、その点はイイかな、と。 という考え方が一番、残酷なんでしょうけどね。で、このオチ。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-03-13 14:42:10)(良:1票) |
782. 宇宙からのメッセージ
映画全編に横溢する、この手作り感・・・なんか、落ち着きますなあ。ちょっと、ノスタルジー。 わざわざ、スターウォーズにあやかって、はっきり云やあスターウォーズをパクって、こんな映画を日本で作らなくても、とは思うのですが、これって一種の地産地消みたいな考え方なんですかね??? 手作りっぽさ、要するにチープ、ではあるのですが、見てると、ミニチュアも含め潤沢にセットが準備され、メーキャップも顔を銀色に塗ってるだけとは言えこれもそれなりに手間がかかるはず、何だか意外に金がかかっちゃってそうな雰囲気も。もしかして、おカネのかけ方、少し間違えましたかね。 この数年後に製作された『里見八犬伝』の先駆けみたいに、勇者が徐々に集まってくるオハナシですが、そのせいで、登場人物の誰一人として目立たない、という副作用が。真田サンはひたすら軽いノリでヒロイズムのカケラも感じさせず(彼の相方その他、誰だかよくわからん外国人俳優たちもほぼ同様)、ではヴィック・モローくらいは何とか存在感を示すのかというと、これも何だか、やる気があるんだか無いんだか。千葉真一もかなり微妙。 大体、あの皆が有難がっている木の実も、ただのクルミにしか見えんのだけど、ロボットまでが有難がっているのを見ると・・・なんか、落ち着きます、かねえ? そんな中、やたらと丹波哲郎だけは、やたらとしっくり来ている。さすがは大霊界、だね! とにかく、これはもう明らかにパクリ企画の、珍品の類の映画、なんですが(何も音楽までショスタコの5番をパクらんでも)、こういうのを作っちゃうノリの良さ、というか、どうせやるならハチャメチャやっちゃえ的な図々しさ、というか、とにかく勢いみたいなものを感じさせて。「宇宙空間で音がするのか?」とか、「宇宙服を着ないで宇宙遊泳して大丈夫なのか?」とか言う以前に、「宇宙空間でホントに手を搔いて泳いでるぞ!」というのが、ここまでくるとちょっと惚れ惚れしてしまいます。 まあ、正直、ヒドい作品だとは思うんですけどね。 ただ、いくらパクリ企画とは言え、さすがに志穂美悦子はキャリー・フィッシャーよりも美人だと思うぞ。 [インターネット(邦画)] 5点(2021-03-13 12:47:33)(良:2票) |
783. 宇宙大怪獣ギララ
ネタバレ いずみたく先生の主題歌。だもんで、音楽が妙に明るく、妙に陽気。いきなり宇宙に飛び出したはいいけれど、UFOを目撃しても誰も慌てず騒がず驚かず、宇宙で入浴とか、どうでもいいシーンばかりが登場し、一向に怪獣が出てこない。もしかして、こんなタイトルだけど、これは怪獣が出てこない映画なんじゃないか、と諦めかけたその時。 さんざん待たせて、ようやく出てきたのがオマエかよ。 とは言いたくなるものの、まあ確かにこの造形、宇宙っぽいっちゃあ、宇宙っぽい。 特撮の方も、最初はどうかと心配させられるものの、以外に頑張ってる。松竹にも作れちゃうのが、怪獣映画。 怪獣が暴れ出すと、あんなに陽気だった音楽が一転、ひたすら単調で地味なテーマに。まるで盛り上がらない。 で、せっかく大暴れしてた怪獣も、例によって、ツマラナイ弱点があり、結局は塩をかけられたナメクジのごとき最期を迎えて。 対象年齢不明の映画でした。 [インターネット(邦画)] 5点(2021-03-11 23:31:00) |
784. 昆虫大戦争
『スウォーム』の10年も前にこんな映画を撮ろうと思った事自体はエライと思いますけれども。しかし何も10年も前にここまでヒネらなくてもよかったんじゃないの、と。 あるいは、ここまでヒネくれなくても、と。 昆虫は人間の事を、一応、オコってるらしいのだけど、何だかそんなことはどうでもよくって、映画は「人間の愚かさ」ばかりを描こうとする。というのが余りにも見え透いていて、いささかゲンナリしてきます。 ただ、この迷走ぶり(ラストシーンには、まさに絶句)と、あちこちに見られる珍妙なセリフは、本作の珍品としての価値を高めては、おります。 それとも、ここは素直に「つまらん」と言っといた方がいいのかな。 [インターネット(邦画)] 4点(2021-03-10 23:26:44) |
785. 昭和残侠伝
映画の前半は「挨拶の仕方大全集」みたいなノリで、池部良が仁義を切ってみせるのをフルバージョンで描くのに始まって、復員してきた健さんも挨拶しまくり頭下げまくり。いやあ、やっぱり礼儀って大事だよね、見てて気持ちいいよね、と。 あまり礼儀が出来ていない若き日の松方弘樹や梅宮辰夫も、威勢がよく茶目っ気もあって、これはこれで見てて気持ちがいい。 しかし例によって例のごとく、対立する悪辣なる一味から散々、悪辣なるイヤガラセと攻撃を受け、ついに堪忍袋の緒が切れた健さんが、殴り込みをかける。 そこで、やっぱり、池部良。 物静かな雰囲気がかえって、次に来るであろうクライマックスの修羅場を予感させて。 イイですねえ。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-03-09 22:55:34)(良:1票) |
786. 南へ走れ、海の道を!
今では岩城滉一と言ったらジャワカレー食べてるおじさん、というイメージが強いけど(そうでもない?)、昔はトンがってて、その頃はこんなにカッコよかったんだよ、という映画。正確には、何とか落ち着いてきた頃、と言うべきかもしれませんが。 長髪に口髭、引き締まった体で拳銃を操り、その姿はまさに、歩くハードボイルド。 撃たれた安田成美を気遣いつつ、敵に立ち向かおうとするシーンの、どっち付かずの中途半端な仕草が、残念でしたが。 あと、主人公が浮世離れし過ぎているのも、ちょっと違和感があって。いや、この同じ役をもしも松田優作とかが演じてたら、「このヒト、どうやって生計立ててるんだろう」などという下世話なギモンが観てる最中に脳裏をよぎることも無かったんじゃないかな、と。 それが、松田優作とジャワカレーおじさんとの違い、なんですかね。 おそらくは潤沢な製作費など準備出来ないのだろうけど、沖縄ロケに、銃撃戦、血糊をふんだんに使ったバイオレンス描写など、数々の見どころを手際良くさばいてみせ、制作陣の熱い思いが伝わってくる作品となっています。 [インターネット(邦画)] 6点(2021-03-07 13:52:53) |
787. 江戸川乱歩の陰獣
この作品の頃というと、犬神家のヒットで横溝ブーム到来、ってコトになるのかな。犬神家やら八つ墓村やらが、一種の社会現象、ドリフのネタにもなって当時は子供にも馴染みがあった、と言う記憶があるのですが、その頃作られた、乱歩原作のこの映画。ヘンタイ要素もあって、ちと分が悪い。 でも、画面に視点を惹きつける力、ってのは、むしろ一連の市川&石坂作品よりもコチラの方が上では。 謎解き作品として見れば、乱歩の原作が、妖しさを秘めつつも中篇というコンパクトな設計の中に見事に論理を張り巡らた乱歩屈指の傑作であったのに比べると、映画の方は間延びした感、無きにしもあらず。ですけど、この映画は、謎解きよりも妖しい雰囲気の方に、主眼を置いていて。 だから、終盤は、真相解明のカタルシスよりも、ヘンタイ度アップで盛り上がります。 シリーズ化しそうな感じが全くしないのも、イイじゃないですか。 [インターネット(邦画)] 8点(2021-03-07 08:32:56) |
788. 悪魔の毒々モンスター東京へ行く
こんな下品で不謹慎で愚にもつかない映画を観てゲラゲラ笑ってられる人がいるだなんて、とても信じられません。 と憤っているそこのあなた。 すみません、私はつい、笑ってしまいました。 それにしても、クールジャパンも一皮剥けば、こんなもの。トロマの悪ノリにもこうやって喜んで付き合ってあげる、という独自の国民性。いや、無許可っぽいシーンも多いけど。それも気がついたら結果的に受け入れてしまっている、という・・・。 我々はこの国民性を、誇るべきなのか、諦めるべきなのか。心のどこかに「トロマにも相手にされなくなったらどうしよう」という不安まであったりして。 それはともかく、この作品。アホらしいと言えばとことんアホらしいけど、後半は次々に謎のヘンテコ刺客が現れ、毒々クンと死闘をひたすら繰り広げる、このスピード感。トロマヴィル帰ってからもなお、カーチェイスがこれでもかと展開され、まさに圧巻。 これを面白がる自分にはやはり、逆らえません。 しかし、日本に来た毒々クン、パチンコやら食品サンプルやらに興味を示しており、それって、『東京画』でヴィム・ヴェンダースが示していた関心と同じだよなあ、などと思うと、こういった感覚は世界共通、これぞクールジャパンの真骨頂、ってなところでしょうか。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-03-07 08:09:57) |
789. 放射能X
登場する巨大な蟻は、要するにハリボテなんだけれど、だから動きもイマイチなんだけれど、銃で蜂の巣にされてガクッと絶命してみせたり、火炎放射で焼かれて炎に包まれながら悶えてみせたり、といった描写が、モンスターに魂を吹き込んでいます。 砂漠での騒動が、都市へと舞台を移動して広がりを見せていくのもワクワクさせるし、軍の描き方とか、戒厳令の発令とかには、第二次大戦後から冷戦に向けての、今とは違った時代の雰囲気を感じさせるものもあります。 ただ、ラストはちょっと物足りないですかね。これで危機は去った、というのを説明ゼリフで示しただけ、という形になっちゃってるので。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-03-06 21:45:27) |
790. リメインズ 美しき勇者たち
何となく、「よくわかんないけど千葉チャンが何かやりたいらしいから、一回だけみんな協力してあげようよ」とか言って誰も止める人がいないまま作られちゃったんじゃないか、と思えてくるのが、この映画。作品の出来がイマイチであればあるほど、逆に千葉真一というヒトの人徳みたいなものを感じてしまう。 吉村昭の小説「羆嵐」は読んでてエラく怖かったのだけど、同じ実際の事件をテーマにしているとは、とても思えないくらい、ちっともコワくって、どうも張り合いが無い。 菅原文太がマタギのリーダーで、デンと構えた姿がショッカーの怪人みたいなら、真田サン以下の若手が身軽に散開してみせる姿は、ショッカーの構成員のよう。 肝心のヒグマは一部ホンモノを使ってガンバってるけど、ここぞというシーンではキグルミ感溢れるキグルミなもんで、コイツが暴れているとヒグマまでショッカーの怪人に見えてきてしまう。 さすがに姿をハッキリ撮し過ぎ、ですかね。 ヒロインの復讐譚としても弱く、盛り上がりに欠ける、というのが正直なところ。 ただ、雪原をロングで捉え、人物が小さくなってしまっても敢えてこの大自然をカメラに収めようとしているのは、見どころになっているのではないかと。 皆さん、よく見たら体張ってるんですけどね。何せ写りが小さいもんで。 [インターネット(邦画)] 5点(2021-03-06 12:21:39) |
791. フィギュアなあなた
柄本佑演じる主人公のダメ男っぷりが、物語が進むにつれて、何だか妙に愛おしく感じられてきたり。 映画終盤で、女のコが下半身丸出しのまま宙を漂い続けているのを見ていると、さすがにそろそろパンツくらい、穿かせてあげてよ、という気持ちにもなってくるのですが、当の本人がまるでそんなことを気にしてないような晴れやかな表情で飛び続けるもんで、だんだん、アソコだのパンツだのといったことが、些細なことのように思えてきちゃいます。 そんなこと気にしなくていいんだ、自由なんだ、と。 であるなら、これは、「許し」の物語であったのか。 ダメ男にとってそれは、儚い「許し」に過ぎないものではあるけれど。 ・・・しまった。最後をダジャレでシメてしまった。穿かない=儚い、ってか。お後がよろしいようで。 [インターネット(邦画)] 8点(2021-03-06 11:31:12) |
792. バタリアン
かつてはこんな映画でも金曜ロードショーとかで放送されてたわけですが。それでも水曜ロードショー時代よりはナンボかマシにはなってたんでしょうけど。で、本作の終了後、例によって解説の水野晴郎さんが、「さ、この映画の作者は、何を伝えたかったんでしょうか」みたいなことを言い出して、「最後は核兵器で解決しようとする恐ろしさ、ではないでしょうか」、みたいな感じで結論づけてしまう。たぶん、読みが深すぎるのか浅すぎるのか、どちらかだと思うんですが、いずれにせよ、さすがマイク水野だなあ、と。 この映画、原題を見ると明らかにロメロ作品を意識しているようなのですが、登場するゾンビの多彩さ、ユニークさは、今見ても新鮮で、創意工夫を感じさせます。『サンゲリア』が製作される際、スタッフは「ロメロ作品みたいな青い顔のゾンビは出さないと決めていた」、ってコトらしいんですが、このバタリアンと比べると、所詮はロメロ作品の二番煎じだったのかなあ、と。 ただ、本作は本作で、所詮ダン・オバノンは原作・脚本向きのヒトであって、監督としては素人っぽいですな。緊張感に欠いた手持ち無沙汰な雰囲気が、作品の多くを占めています。 それはそうと、いくら相手が死人だからといって、硝酸なんかぶっかけたら、キサントプロテイン反応起こして皮膚が黄色くなっちゃいますよ! [インターネット(字幕)] 6点(2021-03-06 09:16:03) |
793. 13日の金曜日/ジェイソンの命日
開始早々、ジェイソン爆死。 以上、オシマイ。 と言うわけではなく、いやでもやっぱり、ソコで終わっといた方がよかったんじゃなかろうか。 ジェイソンの「?」が次々に人に乗り移る、というヒドゥン的趣向。ホッケーマスクの小汚い大男がナタ持って暴れるから多少はサマになるものを、これじゃあ、フツーのオッサンが暴れてるだけ。見栄えがしないこと、この上ない。それに、何かというとすぐに暴れ始めちゃもんだから、この手の設定における唯一の楽しみ「一体、誰が乗り移られたのか」、という見どころもなく。 しかし最後にようやくホッケー男が復活すると、何となく気分が高揚し盛り上がってしまう自分がいて。 これはもう、病気の一種、なんですかね。 それはそうと、ラストシーンでチラリと登場するあの人は? あの対決映画の企画って、この頃にはもうあったんだーーー??? [インターネット(字幕)] 5点(2021-03-04 22:36:48) |
794. ざ・鬼太鼓座
ネタバレ ドキュメンタリ映画って言うと、きっと何か主張したいコトがあるんだろうと身構えてしまったりするんですが、この作品は、特に主張したいコトは無さそうで。 ってか、ドキュメンタリってのとはちょっと違いますね。決められた動き、決められた人物配置、作り込まれたパフォーマンス。日常的なシーンもあるけど、何となく嘘くさい(笑)。 しかしこの、圧倒的なパフォーマンス。非日常の、物凄さ。一柳先生の電子音楽が非日常感をさらに煽りつつ。背景の説明も紹介もなく、没入的な世界がこれでもかと繰り広げられます。特にあの、真下から捉えられたフンドシ姿。いやこれはちょっとマニア過ぎですかね。特にあの、商店街での凄まじいばかりの演奏。人間と思えん。ははは。 最後にようやくメンバーがテロップで紹介されると、その一人は今をときめく林英哲さんだった、というオマケつき。あ、ネタバレ表示しておこうっと。 [インターネット(邦画)] 8点(2021-03-04 22:03:33) |
795. KG カラテガール
かなりカラテの心得があり、さらに恐らくは充分にリハーサルを繰り返して撮影に臨んだのだろう、とは思うけど、いかんせん、倒される側の男どもが一生懸命倒されてあげてるばかりで、一向に「格闘」が成立してない、ってのが、どうにもイタイ。 それを除くと…………何も残らん。 [インターネット(邦画)] 2点(2021-03-03 20:26:03) |
796. 無敵社員
一時間ほどしかない上にこれと言って中味も無く、およそ映画を一本見たと言う気にはなれないのだけど、若く明るくサワヤカな健さんを見られただけで、貴重な経験と言えるのかな、と。これが健さんかと思うと、少し、目の毒ですけれども。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2021-03-03 20:14:43) |
797. マローダーズ/襲撃者
コレ、イイなあと思うんですけどね。ただ、あまり人には勧めたくないんです。どうせ「こんなつまんないもの勧めやがって」と恨まれるのがオチなので。って、イイのかワルイの結局どっちなんだ? 映画全編にわたって雨が降り続いてる、なんてのは、雰囲気作りにしてもこれまた随分、ベタな演出、と言うなかれ。言ってもいいけど。いや、降らないよりは降った方が雰囲気は出る。この演出の一手間がうれしいじゃないですか。 冒頭から謎の骸骨マスクの一団が銀行を襲撃。しかもこれが、物語が進むにつれてさらに謎が深まり、こんな安い映画でそこまで凝ったストーリーにしなくてもよかろうに、面倒くさいなあもう、などとイヤミを言うのもつい忘れるほど。登場人物それぞれがそれぞれの思惑、背景を、抱えていたり抱えていなかったりして、そういう多重性を感じさせるだけでも、この映画は成功していると言えるのではないかと。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-03-03 19:52:26) |
798. モアナと伝説の海
CGで描かれる登場人物たちのスベスベとした質感が、どうにもソフビ人形に見えてしかたがない、今日この頃。 そのソフビ人形がたちが、歌って踊って、それはそれはもう、見事な動き。 悪趣味に光るヤドカリの化け物(?)まで、活き活きとした動きを見せて。 しかし何よりも圧倒的なのが、海の描写。水の描写。 こんなの見てると、人間、絶対に水に溺れたりなんぞしないような気がしてくる。 油断厳禁。 [DVD(吹替)] 7点(2021-02-27 20:23:35) |
799. シャイニング(1980)
コロナ禍の暗雲漂う2020年の春、ペンデレツキ御大と志村けん師匠の訃報を相次いで報道で目にして、「ついに巨星墜つ」との言葉が脳裏をよぎったのですが、どちらの死に対してその言葉が浮かんだのかは私自身も判然といたしませぬ。 そのペンデレツキ、これは古い記憶なので間違ってたらゴメンナサイなのですが、だいぶ前に音楽雑誌(音友か?レコ芸か?)に彼のインタビュー記事が載っていて、「そういえばキューブリックが私の音楽を映画で使っているらしいですね」とか言ってるのを読んで、「オイオイどんな映画でどんな使われ方しているのか本人が把握してないのかよ」と驚いた記憶があるのですが、後で考えると本人が全く知らないはずはなく、要は興味がないのかな、と。 とにかく、その彼の前衛バリバリ時代のホラーな音楽が使われている、ってコトなんですが、私もそんなによく知ってる訳じゃないのでスミマセン。正直、彼の曲はどれもこれもあまり区別がついていなかったりします(笑)。三輪車のダニーが双子のオバケに出会う場面が「デ・ナトゥーラ・ソノリス第1番」、終盤の迷路の場面が「弦楽合奏とテープのためのカノン」、ってなところ、ぐらい。 しかしそれよりも、普通にクラシック音楽のレパートリーに入りまくっているバルトークの「弦チェレ」の方が、しっかりと不気味さを出してて、えらく映画にマッチしてしまっております。 冒頭のグレゴリオ聖歌「怒りの日」(音色は明らかに幻想交響曲第5楽章のイメージ)も印象的ですが、水上・地表・空中を問わずスイスイと滑っていくようなカメラが超自然性みたいなものを感じさせ、音楽がそこにピタリとハマってます。 で、それはともかく(前置き長過ぎ)、この『シャイニング』。 原作者キングがこの映画化作品に対し、かなり強い不満を持っている、というのは有名な話だけど、私は原作小説に対してあまり面白さを感じられなかったので(ばらまかれたメタファーにまるで恐怖を感じない。それに比べるとメタファーが主人公をとことん追い詰めるゴールディングの「蠅の王」がどれだけコワかったことか)、むしろ、楽しそうなモメ事、くらいにしか思ってなかったんですけどね。 ただ、映画の方も、コワいというのとは、ちょっと違うかも知れない。一番コワいのは、奥さん役のシェリー・デュヴァルの顔(失礼な)。映画には何とも言えぬ不気味さが横溢しておりますが、幾何学的に作り込まれた部分は、ホラーらしからぬものも感じます。それはすなわち、「神秘的」と「人工的」との、紙一重のところ、ということかも知れないけれど、その点が作品の特徴であり、そのおかげで本作が独特の地位を保っているのもまた、確か。 そう、「視点の不気味さ」みたいなものが、ありますね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-02-27 14:15:54) |
800. イルカの日
ネタバレ イルカが言葉をしゃべってる時点で、そこはかとなくイヤな予感がしてくるのだけど、そしてそのイヤな予感とは、「最後はイルカ同士が英語で会話するようになっちゃうんじゃないか」ということなのだけど、さすがにそうはならず、ホッといたしました。 大体、あの口の構造で、複雑な子音を持った言語である英語をしゃべるというのが、我々英語オンチには信じられないのですが、いや、あの程度でも通じるんだから、もっと自信を持ってよいのかな、と。映画に全然関係ない話ですね、すみません。 人間には誰からも怖がられるであろう顔立ちのジョージ・C・スコットが、イルカにはどうやら好かれているらしくって、この辺り、一見奇妙なキャスティング、ではあります。彼が白いTシャツ姿で首にタオルをかけていると、ステテコ姿のオッサンにしか見えないんですけどね。その彼がこういう、動物と交流する役をやる、というのが、妙味と言えば妙味、でしょうか。ただ、ひとり顔に迫力があり過ぎて、他のヒトがイマイチ目立たない。 一方で、イルカの演技、泳ぐ姿、ってのは、これはさすが、作品の大きな見どころになってます。 あとは、サスペンスとしてもう少し盛り上げてくれれば・・・大統領暗殺という大事件のハズなのに、どうもホノボノとした感じで、悪党どもも最後まで穏やかな表情のまま爆死していく、ってのは、コレ、どうなんでしょうね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-02-27 10:07:38)(良:1票) |