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 > かたゆき さんの口コミ一覧。46ページ目
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1871
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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901.  さざなみ 《ネタバレ》 
寝る前に一つだけ教えて。あの時、彼女が死ななければあなたは彼女と結婚していた?――。結婚45年目を迎えた老夫婦ケイトとジェフは、人並みにいろんなことを経験しつつも今は仲睦まじく暮らしている。子供には恵まれなかったものの一匹の年老いた犬と共に過ごす静かで満たされた日々。来週の土曜日には親戚や知り合いを集めて記念パーティーを開くことも計画していたそんなある日、スイスの山奥から夫に宛ててある一通の手紙が届く。50年前、まだケイトが彼と知り合う前に付き合っていた女性の遺体が今回発見されたというのだ。氷河に凍ったクレパスに転落死したという彼女は、50年前のそのままの姿で今も氷の中に閉じ込められているという。明らかに動揺し、長年やめていた煙草を喫い始めたり、無謀なスイス行きを計画したりする夫。努めて冷静に振舞おうとするケイトだったが、それでも心の静かな泉に投じられたその小さな石は、次第に大きなさざ波となっていく…。結婚45年目にして破局の危機を迎えてしまった老夫婦の葛藤を終始淡々とした視点で見つめたヒューマン・ドラマ。妻を演じたシャーロット・ランプリングが史上最高齢でアカデミー主演女優賞の候補になったということだったので、今回鑑賞してみた。長年連れ添った夫の秘められた過去を知り、明らかに動揺しながらもそれでも凛とした姿勢を崩そうとしない彼女の気品に満ちた佇まいは確かに素晴らしかった。男と女、愛と嫉妬、そして老いとその先に待っている死……。一組の老夫婦の姿を通して、そんな人生のやるせなさを照射するその眼差しは最後まで優しく、そしてどこまでも心地よい。最後、妻に向けて感謝の言葉を述べて涙する夫と対照的に何処か冷めたままの妻。いつまでも過去の幻想に囚われる夫とどこまでも未来に目を向ける妻。どんなに長く一緒にいようとも永遠に分かり合えない男と女の心のありようをうまく表していて、同じ男として身につまされるものがある。派手さはないものの堅実に作られた良品と言っていいだろう。ただ、もう少し心に残る印象的なエピソードなりシーンがあればもっと良かったと思わなくもないが。
[DVD(字幕)] 6点(2017-05-07 22:56:31)
902.  オートマタ 《ネタバレ》 
ロボット・プロトコル第1「生物への危害を禁ず」第2「自他の改造を禁ず」――。2044年、太陽熱の異常な高温化により、地表の大半が砂漠と化した未来社会。激減した人類は、オートマタと呼ばれる原始的なロボットを頼りに細々とその営みを続けていた。環境汚染対策、治安維持、老人介護やペットの世話、果ては売春と社会の隅々にまで浸透したそんなロボットたちは全て、二つの安全規格(プロトコル)によって制御されている。オートマタの製造・販売、開発やメンテナンスまで一手に引き受けるのは巨大企業ROC社だ。その保険部門で働くジャック・ヴォーカンは、ある日、信じられないような報告を受ける。とあるオートマタが、なんと自分の身体を修理・改造していたというのだ。「第2プロトコルが破られた」。ジャックはすぐさま調査に乗り出すのだったが、そこには人類の存亡を巡る陰謀が待ち構えていたのだった……。荒廃した未来社会を舞台に、ロボットの機密を巡る陰謀に巻き込まれた男の運命をスタイリッシュに描いたSFサスペンス。冒頭から強調されるいかにもブレードランナーを意識した――というかもろパクリな未来社会に苦笑しつつも、この陰鬱でダークな世界観はなかなか好みなのでけっこう期待して鑑賞してみました。なんですけど、うーん、僕はものの見事に嵌まらなかったですね、これ。やりたいことは分かるのだけど、なんか全体的に空回っているような気がするのは僕だけでしょーか?いつか海に行きたいと願う主人公も悪役となる企業の重役もプロトコルを破った黒幕も、結局何がしたかったのか最後まで観てもいまいちよく分からなかったんですけど。なので、クライマックスの銃撃戦もまあ気持ちが乗らない乗らない(笑)。こういうのがやりたいという監督の思いが先走った結果、脚本がおろそかになっちゃった典型的なパターンじゃないでしょうか。期待してた分、色々と残念なSF作品でございました。4点。
[DVD(字幕)] 4点(2017-05-03 00:12:02)
903.  花とアリス〈劇場版〉 《ネタバレ》 
素晴らしい!!何も期待せずに観たのだけど、これが無駄なシーンが一切なく、そればかりか瑞々しいセンスが全編にわたって溢れかえってました!!まあ、おっさんフィルターを通した少女趣味映画と言ってしまえばそれまでなんだけど、ここまで「少女とはこうであってほしい」というおっさんの妄想をこんなにも美しく精緻に造り込まれたらもはや感嘆するしかないですわ。気品があってキュートでかわいくてそれでいて静謐で繊細で、なおかつ少々エロティック…。もう最後までハート鷲摑みでした。主人公花とアリスが好きになる男の子も、いかにも恋に恋する少女が夢見そうなミステリアスな美少年像(性欲の臭い皆無!笑)なのもグッド!ハートのエースやおにぎりサンド(牛乳と味噌汁が両方欲しくなる!笑)、深刻なシーンに挟まれる鉄腕アトムの呑気な表情やオチ研の先輩の落語、妙に飄々としたお父さん、ナメクジの夢、もう好きなシーンを数え上げたらキリがないほどいっぱいあり過ぎてヤバいっす。そして最後にばっちりと決まるバレエシーンの息を吞むほどの美しさ…。文句なしの傑作と呼んでいい作品と久々に出会うことが出来ました。もう一度言います!少女って素晴らしい!!
[DVD(字幕)] 10点(2017-04-30 23:57:36)
904.  エージェント・ウルトラ 《ネタバレ》 
戦車は進む。マンデルブロ集合が動く。コーラスは破られ、ボールを受け止める――。アメリカの片田舎で平凡なコンビニ店員として働くマイクは、どこにでもいるような冴えないフリーター。自己主張が苦手で漫画を描くことが唯一の趣味、マリファナを愛好し多少のパニック障害も患う彼だったが、それでも長年付き合っている彼女フィービーとそれなりに毎日をやり過ごしている。そんなある日、サングラスを掛けた謎の女がコンビニで働くマイクの前に現れる。唐突に意味不明な言葉を投げかけると、何事もなかったかのように店から出ていく女。だが、その言葉を聞いた瞬間、マイクの中に眠っていた何かが目覚めるのだった。直後に現れた二人組の車泥棒を、なんと彼はスプーン一本であっという間に殺してしまう。どころか一度も握ったこともない銃や兵器を難なく使いこなせるようになっていた。そう、彼はかつてCIAが開発したトップ機密の凄腕エージェントだったのだ!動き出したCIAの激しい追跡が始まる中、マイクは唯一の理解者であるフィービーと共に決死の逃亡を図るのだったが……。覚醒したコンビニ店員と彼を追うCIAとの激しい攻防を小気味よく描いた青春スパイアクション。とにかく一言言わせてください。これ、むちゃくちゃテンポが悪かったんですけど!!こういう気楽に観るタイプのエンタメ映画には、サクサク進むノリの良さが最も必要なのにそれが一切ありません!!あまりにもだらだらした展開に何度も睡魔に襲われてしまいました。きっとマシュー・ボーンを思いっきり意識して撮られただろうアクションシーンも、本家に比べて圧倒的にセンスが不足しているせいで全くキレがないし。脚本もとにかく矛盾だらけ。結局あのタフガイと呼ばれてた人たちは何だったの?あの悪玉のボスはいったい何がしたかったん??主人公の彼女の目的も意味不明。90分がものすごく長く感じちゃいました。観るだけ時間の無駄の凡作です。3点!!
[DVD(字幕)] 3点(2017-04-23 00:12:49)(良:1票)
905.  LOVE 3D 《ネタバレ》 
単なるエロビデオやん!これまでのギャスパー・ノエって、こういうエロ&バイオレンス描写の中にもしかしたら深いものがあるのかもしれないという何かを感じさせるものがあったのだけど、本作は単に刺激的というだけで物凄く浅いと思います!勃起した男性器から精子が飛び出るさまを画面いっぱいに映し出された日にゃ辟易するしかなかったっす!ゲロゲロ!
[DVD(字幕)] 4点(2017-04-18 23:33:17)
906.  X-ミッション 《ネタバレ》 
頭空っぽ脳みそ筋肉なおバカ映画。自然大好き環境保護テロリストと彼らを追うFBI潜入捜査官、そして大自然を敬う伝説的人物が後世に課した偉業オザキ8。大企業にテロで制裁する傍ら、大自然への敬意を払うために空を飛んだり崖を登ったり滝に飛び込んだり…。主人公も捜査そっちのけでそれに付き合っちゃうとか、まあバカバカしいというほかありません(笑)。この作品の失敗は、こんなおバカな話なのに妙に真面目に作っちゃってるところでしょう。もっと突き抜けたバカ映画にしてくれたらまだ見られたかもしれないのにね。あと、どうしてその伝説的英雄が日本人なんだろうと思っていたら、途中から語られる反捕鯨思想…。なるほど、捕鯨国である日本のマーケットへの配慮というわけね(怒)。2点!!
[DVD(字幕)] 2点(2017-04-17 08:56:00)
907.  イット・フォローズ 《ネタバレ》 
ジェイ、こんな酷いことをしてすまない。ただ、君にこれが現実だと知ってほしかったんだ。落ち着いて聞いてくれ。ある〝もの〟がつけてくる。俺が感染したそれをさっき車の中で君に移した。それは様々な人の姿を借りて君についてくる。時にそれは君の愛する人の姿を借りて現れることも…。逃れることは出来ない。だが、それは常に歩いてやってくる。頭はいいが動きは鈍い。逃げ道はいつでも確保しろ。殺されたくなければ、なるべく早く誰かと寝て相手に感染させろ――。ブロンドヘアがキュートなティーンエイジャー、ジェイ。最近できた、優しく格好良い彼氏と車の中で結ばれた彼女だったが、直後に睡眠薬を嗅がされて気を失ってしまう。車椅子に拘束され、何処かの廃ビルの片隅で目覚めたジェイは、豹変した彼氏にとても恐ろしい事実を聞かされる。もちろんすぐには信じられないジェイ。だが、夜の闇から〝それ〟は現れ、ゆっくりとだが確実に彼女に迫ってくるのだった…。とてつもなく怖いと口コミで評判となり、全米で異例のスマッシュヒットとなったホラー作品。なるほど、確かに怖いですわ、これ。低予算ながら、無駄を削ぎ落したシンプルなストーリーで、とにかく観客に怖がってもらおうという監督の意図がばっちり決まってます。半裸の女の子がおしっこ漏らしながら迫ってくるとこなんて、こっちが漏らしそうになったし(笑)。主人公の背後、最初は遠いところにいたそれが徐々に近づいてくるとこなんかもじっとりと怖い。これまでのハリウッドのように恐ろしい怪物がドカーンと襲ってくるんじゃなくて、じわじわと迫ってくるこの怖さはどちらかというと日本的かも。こういうB級ホラーに不可欠なエロ要素も下品になり過ぎないちょうどいい匙加減でした(主人公の下着姿、なかなか健康的なエロ具合で大変グッド笑)。ただ、残念なのはやはり最後のプールの展開かなぁ。もうちょっと盛り上げてくれたら文句なしの傑作だったのにね。でも、独特のカメラワークとか音楽とか独自のセンスをビシバシ感じるし、もしかしたらこの監督将来バケるかも。うん、今から次作が楽しみな才能に出会うことが出来ました。7点!
[DVD(字幕)] 7点(2017-04-15 14:45:33)(良:1票)
908.  ロブスター 《ネタバレ》 
奇妙な物語である。舞台は深い森に囲まれた一軒の豪華なホテル。見るからに冴えない中年太りした男がこのホテルへとやって来たことから物語は始まる。男の手にはリードに繋がれた一匹の犬、彼の説明によるとこの犬はかつて人間でどうやら自分の兄であったという。一見頭のおかしな男なのかと思いきや、彼を迎え入れたホテルの女性支配人から驚くべき事実が告げられる。このホテルにはパートナーの居ない独身の男女が多数集められており、45日以内に相手のパートナーを見つけ相思相愛にならなければいけないらしい。しかも、もし見つけられず独り身のまま期限を迎えてしまうと、その人物は動物にされてしまうというのだ。そう、彼の兄もかつてこのホテルへとパートナー探しに訪れたものの失敗し犬に変えられてしまったのだ。戸惑いつつも男は一匹の犬と幾多の独身男女と共に共同生活を始める。ホテルを取り囲む森には愛を否定する反体制派が跋扈し、男を含む収容者たちは毎日猟銃で反逆者狩りを続けながら来る日も来る日もパートナー探しにいそしむのだった。ただ無気力に日々をやり過ごす男の唯一の希望は、自分がもしパートナーを見つけられなければ一匹のロブスターに変えてもらいたいというものだった――。特異な状況に置かれた男女の葛藤の日々を乾いたユーモアを交えて描いたシュルレアリスム劇。コリン・ファレルやレイチェル・ワイズ、ジョン・C・ライリーという豪華な役者陣共演ということで今回鑑賞してみました。この作品のポイントは、この独特のシュールな世界観を独創的と捉えるか、それとも監督の単なる独り善がりと捉えるかによって大きく評価が分かれるだろうというところでしょうね。僕はぎりぎり後者です。ユーモアとシュールさ、そして意地の悪いシニカルさでもって観客を煙に巻くこの監督の絶妙な匙加減は嵌まる人にはたまらないと思います。が、僕のような嵌まらなかった人間にとっては苦痛以外の何者でもありませんでした。ひたすら退屈。とにかく頑張って最後まで観ましたが、後に残ったのは極度の疲労感のみ。この分かったような分からないような大人のための寓話、興味のある人はまあ一度観てやってください。僕はもういいです(笑)。
[DVD(字幕)] 4点(2017-04-08 22:06:23)
909.  ミラクル・ニール! 《ネタバレ》 
宇宙人によってなんでも出来る奇跡の力を与えられた男が巻き起こす騒動を描いたブラック・コメディ。うーん、いまいち笑えなかったかなー。なんか脚本に突っ込みどころが多過ぎて…。
[DVD(字幕)] 5点(2017-04-07 21:16:51)
910.  白い沈黙(2014) 《ネタバレ》 
深い雪に覆われたカナダのとある田舎町、造園業を営むレイン家の長女がある日、何者かに誘拐されるという事件が発生する。父親が9歳になる娘を車の後部座席に残したままパイを買いに行った僅か数分間の出来事だった。目撃者も物的証拠も何もなく、捜査は難航を極める。一時は父親であるマシューさえも疑いの目で見られ、レイン家は次第に崩壊してゆくのだった――。数年後、容疑者の目星すら立たないまま、事件はこのまま迷宮入りするものと思われていた。そんなある日、事態は予想外の展開を見せ始める。別居中のレイン夫婦の元に犯人からの挑発ともとれるメッセージが届き、ネット上に成長した娘と思しき画像が発見されるのだった。さらには事件を追ってきた担当刑事も謎の失踪を遂げてしまう…。果たして犯人の目的とは?何故娘は誘拐されねばならなかったのか?そして、少女は無事に両親の元へと帰ってくることが出来るのか?一人娘をさらわれた両親、彼女を決死の覚悟で追う刑事たち、そしてネット上で暗躍する児童虐待組織との攻防を淡々と追ったサスペンス・ドラマ。何の予備知識もないままに、ただ予告編がけっこう面白そうだったので今回鑑賞してみました。なんですけど、完全に騙されましたね、これ。びっくりするくらいつまらなかったんですけどー。この映画、結局何がしたいのか、何が言いたかったのか、最後まで観てもさっぱり分かりません。犯人捜しを目的とするミステリーにしては肝心の犯人が早々に登場するし、異常心理に鋭く迫る猟奇的事件を描いたサスペンスにしては犯人の目的がいまいち意味不明だし、娘を失った父親の哀しみを描くにしてはドラマが薄っぺらいし…。どれもこれもがとても中途半端というしかありません。さらには時間軸をバラバラにしてお話が進行していくのに、監督の力量がそれに全く追いついておらず、果たしてこれがいつの時代の話なのかすごく分かりづらい。おかげでとてもイライラさせられます。そもそも時間軸をバラバラにする意味が分からない。正直言って、この監督さん、まったく才能ないよ。3点っす。
[DVD(字幕)] 3点(2017-03-30 23:22:11)
911.  ディバイナー 戦禍に光を求めて 《ネタバレ》 
第一次大戦終結から数年後、オーストラリアの寂れた田舎町でとある一人の男の妻が自らその命を絶つ。原因は、激戦地となったトルコ・ガリポリで、兵士として派遣されていた3人の息子たちを全てなくしてしまい深く心を病んでいたから。息子も妻も何もかも失ってしまった夫のジョシュアは、せめて息子たちの骨だけでも妻のそばに埋めてやりたいとトルコ行きを決意するのだった――。訪れたかの地、言葉も文化も宗教も何もかも違うかつての敵国でジョシュアは当然のように途方に暮れてしまう。だが、偶然泊まることになった宿屋で彼は同じように夫を亡くした美しい未亡人と出会う。彼女の手助けもあって、何とかガリポリに辿り着いたジョシュアは、そこで衝撃の事実を知るのだった。なんと長男アーサーが敵の捕虜となり、もしかしたら今も収容所で生きているかもしれないということを……。歴史の荒波に翻弄され続けたとある一人の男の人生を雄大に描いた大河ドラマ。ラッセル・クロウが監督・主演を務めたということで今回鑑賞してみました。結論を言うと、なんというか、ぬるーい映画でしたね、これ。とにかくご都合主義のオンパレード。一民間人が簡単に軍管轄の激戦地に赴いたまではまあ良しとしても、さすがにかつての敵国の将軍がいくら主人公の境遇に同情的だからと言ってあそこまで協力的になるなんてあり得ないでしょ。そして、息子の消息を探るのに主人公が何の前振りもなくいきなり超能力的な力を使った時は、さすがに失笑しちゃいました。まあそこらへんも百歩譲って納得するにしても、やはり本作の最大の突っ込みどころはR・クロウ演じるこの主人公のびっくりするほどの軽薄さでしょう。だって、三人の子供も亡くし嫁も自殺で失ったというのにこの主人公、一向に悲しんでる素振りが見えないんですよ。挙句、偶然会ったばかりの宿屋の未亡人と良い感じになるって…。あんた、この前嫁自殺したとこで、しかも息子の消息を探りにトルコに来たんちゃうんかい!!なに未亡人とイチャイチャしとんねん!!ってキレそうになりました(笑)。ロケ地となったブルー・モスクの荘厳さに+1点。
[DVD(字幕)] 4点(2017-03-28 22:13:29)
912.  ノック・ノック 《ネタバレ》 
愛する家族とともに順風満帆な生活を送っていたエンジニア、エヴァン。ある静かな夜、彼の家に雨でずぶ濡れになった二人の若い女の子が訪ねてくる。「あたしたち、どうやら道に迷ったみたいなの。すぐに出ていくので電話を貸してくれません?」。妻や子供は泊りがけで出かけていて帰ってくるのは二日後の朝だ。そう、家には自分一人しか居ない。多少の下心もあって、エヴァンは思わず彼女たちを家へと招き入れる。すると、彼女たちは明らかに思わせぶりな言動でエヴァンを翻弄し始めるのだった。当初は断り続けていた彼もとうとう理性の壁が崩れ、思わず男一人女二人のセックスへと雪崩れ込む。だが、彼はまだ知らなかった。そこから悪夢のようなゲームが開始されたことを――。悪魔の如き二人の訪問者によって巻き起こされるとある男の地獄のような二日間をノンストップで描いたサスペンス・スリラー。キアヌ・リーヴス主演ということで今回鑑賞してみたのですが、まあこの題材だけで最後まで突っ走ったところはなかなか潔いと思います。けっこうどぎついエロ&暴力描写が延々と続くのに最後までそこそこ観ていられるのは監督のセンスがなせる業なんでしょう。とはいえ一本の映画として観れば、さすがに脚本に捻りがなさすぎます!普通プロが創った映画って、こういう単純なストーリーでも最後は観客を唸らせるような一捻りをくわえてくるものなのに(優れた脚本家ならさらに二つも三つもひねってきて観客を圧倒させるものです!)、なんなんですか、このテキトーに考えたようなぬるいストーリーは。「そんなモン知らねーよ。とにかく客はエロと刺激がありゃ満足なんだろ!」とでも言わんばかりの監督の開き直りっぷりが僕はとにかく不愉快千万でした。そして、胸糞悪いだけの悪趣味なあのラストなんてもう…。女の子二人組のなかなか男のツボを心得たエロっぷり(僕もこの二人と3Pしてみたい!笑)に+1点。
[DVD(字幕)] 4点(2017-03-21 23:31:50)
913.  顔のないヒトラーたち 《ネタバレ》 
これは迷宮だ。己を見失うな――。1958年、ナチスやアウシュビッツといった悲惨な過去が徐々に風化しつつあった西ドイツ。正義感に燃える新人検事ラドマンは、陳情に訪れたある一人のジャーナリストの言葉に衝撃を受ける。アウシュビッツで多くのユダヤ人に言語を絶する行いをした元ナチ党員が、今や平気な顔をして小学校の教員をしているというのだ。ジャーナリストと共にすぐさま調査を開始したラドマンだったが、様々な手続きの壁や社会の実力者たちのあからさまな妨害工作に邪魔され、捜査は難航する。「常に正義であれ」。尊敬する父が遺した言葉を支えにそれでも捜査を続行した彼は、やがて衝撃の事実を知ることになる。元ナチ党員とされるドイツ人のリストは全部で60万人分あり、アウシュビッツに関係した者だけで約8千人もの〝容疑者〟が存在することを…。第二次大戦後のドイツで一時期タブーとされていたナチスドイツの罪を告発したことで、戦後社会そのものと戦うことになった青年の苦悩を重厚に描いた政治ドラマ。史実を基にしたということで非常に意義深いテーマを扱った作品であることは僕も認めるところなのですが、一本の映画として見ればいかんせん演出が稚拙というほかありません。とにかく無駄なシーンやエピソードが多く、中盤からの中だるみ感が半端ではありません。主人公の恋愛要素は果たして必要であったのでしょうか。サスペンスが盛り上がりそうになるといちいち違うエピソードが挿入されるのでとてもイライラさせられます。後半で明らかにされる衝撃の事実も予想の範囲内のもので、僕にとってはそこまで心に響くものではありませんでした。おそらく素材は良かったのでしょう。ただ、監督に才能がなかった。残酷なようですが、それが本作を観ての僕の率直な感想です。
[DVD(字幕)] 4点(2017-03-21 22:32:05)
914.  裁かれるは善人のみ 《ネタバレ》 
ロシアの地方都市で、愛する妻と一人息子と共に平凡な生活を営む自動車修理工と、そんな彼の土地を強制的に収用しようともくろむ悪徳市長との戦いを終始淡々とした視点で見つめたヒューマン・ドラマ。神と人間、善行と悪徳、罪と罰、愛と憎悪、そんな深淵なテーマを平凡な一市民の目線からとらえたところは確かに評価に値すると思います。だけど、いかんせん長い!重い!暗い!最後まで観るのが相当しんどい映画でありました。別に分かりやすい娯楽性だけを映画に求めてるわけじゃないけどさー、もうちょっと面白くしてくれてもいいんじゃないかしら。まあ、これも好みの問題なんでしょうね。アカデミー外国語映画賞の候補になっただけあって完成度はもちろん高いです。面白くはないけど(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2017-03-20 23:10:46)
915.  リザとキツネと恋する死者たち 《ネタバレ》 
日本の妖怪・女狐をモデルにした、なんとも不思議なテイストのファンタスティック・コメディ。制作したのは日本とはあまり馴染みがないハンガリー、だからなのか片言の日本語で昭和歌謡もどきのポップスを歌うトミー谷なる怪しげなムード歌手が、主人公にだけ見えるユーレイという設定で全編に登場します。このトミー谷なる歌手が歌う楽曲がなんともいい味を出していて、観終わった後もしばらく頭に残ります。お話はとても単純。日本の三文恋愛小説をこよなく愛する引きこもりがちの三十路女性リザが、運命の彼氏を見つけようと悪戦苦闘するもののいい感じになりそうになると相手の男性がことごとく変死するというお話。真相を巡って刑事やアパートのオーナーたちがどたばたとナンセンスな騒動を繰り広げます。まあコメディなので細かいことは気にしちゃダメなんだろうけど、こういうセンスで勝負の映画ってだからこそ細部が大事なんだと改めて気づかされた映画でもありました。具体的に言うと、脚本が練られていないせいでストーリーがちっとも頭に入ってこないのです。せっかくこの独特の雰囲気に思うまま酔いしれたいのに、そこのところが気になって僕はさっぱりでした。あと、トミー谷以外のすべてのキャラにいまいち魅力がないのもいただけない。特に主人公リザのキャラクターが完全にトミー谷に負けてしまっている。こういうのを観ると、いかに『アメリ』が優れた作品であったかが再確認できますね。全編に漂うこの独特のゆるーい雰囲気はけっこう良かっただけに残念です。
[DVD(字幕)] 5点(2017-03-13 12:18:05)
916.  ウォーリアー 《ネタバレ》 
総合格闘技の世界で互いに確執を抱えた兄弟がそれぞれ命を削ってまで戦い抜く姿を描いたスポーツ群像ドラマ。見所は、トム・ハーディやニック・ノルティをはじめとする男くさい役者陣の文字通り血沸き肉躍る熱い演技のぶつかり合いでしょう。天才肌の弟と不器用ながらも家族のために必死になって戦い抜く兄貴、そして過去に色々と問題を抱えたしまった父親…。ベタながらも最後まで熱いドラマが展開されていきます。ただ難点は、いくらなんでもエピソードを詰め込みすぎなところでしょうか。例えば兄貴。難病を抱えた娘の治療費がかさんで家を手放さざるをえなくなる。何とか借金を返すために身一つで昔なじみのジム経営者の元を訪れ格闘技の世界に挑むのだけど、そのために教師の職をなくしてしまう。ぎりぎりまで追い詰められながらもトレーニングを重ね、やがて世界最高峰の大会への切符を手にする。かつての教え子や上司も次第に勝ち進んでゆく彼に少しずつエールを送りはじめ、そして、最後まで反対していた妻も…って、これだけで映画一本いけますやん(笑)。例えば弟。イラクからの帰還兵である彼は、常に謎めいた存在で何か心に闇を抱えていることを窺わせる。でもその天才的な格闘技のセンスでもって大会を勝ち進んでゆき、世間の注目を集めるように。すると彼の戦場での過去が明らかにされ、実は仲間の命を救った英雄であることが判明する。入場曲を持たない彼のために自主的に集まってアメリカ国歌を歌う海兵隊員たち。だが、決勝進出を決めた直後、さらに衝撃の事実が明らかとなるのだった…って、こっちもこれだけで映画一本いけますやん(笑)。そして彼らの父親。かつては子供想いのよき父だったのに酒が原因で身を持ち崩し妻に暴力を振るって今や何もかもを失ってしまった。せめて孫と穏やかな時間を過ごしたいと決死の覚悟で禁酒しているのだが、彼の息子たちは決して父の過去を許しはしない。そんな彼にまたもや酒の誘惑が…って、これも映画一本いけますやん(笑)。さらには弟にスパーリングでボコボコにされリベンジを誓うヤツやら今や伝説となったロシアのチャンピオンやら、いろいろ出てきて後半はもう何が何だか分かりません。もっと軸となるお話に焦点を絞って、無駄なエピソードを削って、もっとスリムに出来たんじゃないでしょうか。観客に楽しんでもらいたいという監督の有り余る熱意だけは伝わってきたので残念でなりません。
[DVD(字幕)] 5点(2017-03-07 22:08:29)(良:1票)
917.  ダークシティ 《ネタバレ》 
そこそこ昔のB級SF映画なんだけど、世界観がしっかりしているし脚本もけっこう練られているしで、なかなか面白いじゃん、これ。低予算ながら、ここまでの独自の世界観を――破綻ぎりぎりのところで――纏め上げた監督の姿勢は立派。ちょっとテリー・ギリアム入ってるとこも個人的にツボでした。うん、今更だけど、この映画けっこう好きっす!7点!
[DVD(字幕)] 7点(2017-03-02 22:58:53)
918.  ヒトラー暗殺、13分の誤算 《ネタバレ》 
エルザー、君の暗殺計画の結果何が起きたと思う?そう、君のせいで何の罪もない7名の人間が死亡したんだ。何の権利があって彼らを殺した――。1939年11月8日、開戦直後のドイツ。スイスとの国境に近い田舎町で、前代未聞のヒトラー暗殺未遂事件が発生する。稀代の独裁者は偶然にも会場を13分早く出て爆死を免れたのだ。容疑者としてすぐに逮捕されたのは、この地で長年にわたり時計職人として働いていたゲオルク・エルザー。当然背後に組織的な関与があったことを信じて疑わない当局は、彼の口を何としてでも割ろうと拷問を開始する。だが、エルザーは頑として単独犯行を主張し、酷い拷問にも一向に口を割ろうとしない。すると、歯を食いしばって拷問に耐える彼の脳裏に様々な過去の記憶が甦ってくるのだった。仲間たちとともに理想に燃えた青春時代、虐げられるユダヤの人々、そして愛してしまった人妻との満たされた日々…。果たしてエルザーは何故、全てを捨ててまで彼を暗殺しようと思い立ったのか?実際にあったヒトラー暗殺未遂事件を基に、容疑者である一人の青年の過去と現代を交互に描きながら、歴史の闇に埋もれていた真実を現代に甦らせた政治サスペンス。確かに史実としての重みを充分に感じさせる硬派な政治劇として見応えはあったと思います。もし、あの日、霧が発生しなければ、もし彼の乗るはずだった飛行機が普通に飛んでいれば、もし彼が13分も早く会場を出ていなければ、歴史は変わっていたのかもしれない。ヨーロッパの隅々にまで壊滅的な打撃を与え、何百万にも及ぶユダヤの民を死に追いやることになる彼が、もしあの日、殺されていれば――。でも、実際に死んだのは偶然会場に居合わせた何の罪もない7人の人々。歴史に〝もし〟は禁物だとは言え、それでも正義を成すこと、その正義のための犠牲は許されるのか、ホロコーストを阻止するために彼らは犠牲とならざるをえなかったのか、そしてその計画が失敗したとなれば…など色々と考えさせられることは間違いありません。ただ、だからと言ってそれは映画としての完成度とはまた別の話。犯人として逮捕されたこのエルザーという男がなぜヒトラー暗殺を企てたのかということに物語の焦点が搾られてゆくのですが、最後まで目新しい真実が暴かれるといったこともないので、サスペンスとしていまいち盛り上がりに欠けるのです。きっとアプローチの仕方を間違えたのでしょう。このエルザーという男の心の闇に鋭く迫る心理劇として描いた方が、より哲学的な深い作品になったかもしれません。題材がいいだけに惜しいと言わざるを得ませんね。
[DVD(字幕)] 5点(2017-02-22 00:35:17)
919.  マジカル・ガール 《ネタバレ》 
魔法少女ユキコ――。スペインの地で、重い白血病を患い余命幾ばくもない少女は、遠く離れたそんな日本のアニメを夢見ている。失業中の彼女の父親は、娘のせめてもの願いを叶えて逝かせてやりたいと思うのだが、明日の生活すらままならず、とても彼女が夢見る特注のドレスを買い与えてやることが出来ないでいた。自暴自棄に陥った父親は、宝石店に強盗に入ることを決意する。近くに落ちていた石を拾い、今まさにショーウィンドウを割ろうとしたその時、誰が吐いたのか空から嘔吐物が降ってくるのだった。そしてそれは、新たな悲劇の始まりとなるのだった…。様々な困難に直面した人々の偶然の出会いがさらなる悲劇を引き起こす様を終始淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。スペインが制作した日本のオタク文化である萌え系アニメをフューチャーした作品ということで今回鑑賞してみたのだけど、これが近年稀に見るほどのつまらなさでびっくりいたしました。何が駄目かって、まずタイトルにもなっている魔法少女ユキコという、この物語の要が一切活かされていないこと。白血病の少女が日本語のポップソングをバックに踊ったり部屋にポスターが貼られているくらいで、このアニメがどんな内容なのか一切触れられていないのです。なのでこの少女がどうしてこのアニメにここまで心酔しているのかがまったく分からず作品としてのテーマがかなりぼやけてしまっている。せっかく夢のような萌え系アニメと辛く息苦しい現実との対比といういくらでも拡がりそうな魅力的なテーマを扱っているのに、これでは勿体ないと言わざるを得ません。また、魅力的なキャラクターが一切登場しないのもいただけない。というより、登場人物が皆揃いも揃って根暗で常に眉間に皺を寄せてぼそぼそと喋るような人たちばかりで、誰にも感情移入できませんでした。そして無駄なシーンが圧倒的に多い。「ここ、本当にいるの?」と思えるような退屈なシーンのオンパレードで、自分は途中から眠気と戦いながらの鑑賞となってしまいました。無駄を削っていけばきっと三分の一くらいで収まったんじゃないでしょうか。冒頭へと強引にループする、あまりにも無理やりなラストなどもはや目も当てられない。残念ながら、自分には観るだけ時間の無駄の駄作としか思えませんでした。
[DVD(字幕)] 3点(2017-02-19 22:51:41)
920.  不屈の男 アンブロークン 《ネタバレ》 
ルイ・ザンペリーニ、またの名を不屈の男――。第二次大戦前夜、ベルリン・オリンピックにも出場したトップ・アスリートの彼は、次の東京オリンピックでのメダルを目指し練習を重ねていた。だが、そんな充実した彼の人生にも時代の荒波が押し寄せてくる。突如として日本が真珠湾を攻撃し、アメリカは戦時体制への移行を余儀なくされたのだ。兵士として太平洋戦線へと送られた彼は、大日本帝国を相手にいつ終わるとも知れぬ戦いの日々を過ごすことに。そんな彼を新たな悲劇が襲う。ある日、乗っていた飛行機が故障し、広大な太平洋上に不時着してしまったのだ。見渡す限り何もない洋上で、二人の仲間と共に小さなゴムボートでただひたすら漂流を続けるルイ。食料も水も底を尽き、来る日も来る日も波に揺られ続けるという極限状況に次第に心が挫けそうになりながらも、ルイは神に縋ることで何とか理性を保っていた。すると、そんな彼の願いが聞き届けられたのか、とうとう彼らは陸地へと辿り着く。だが、そこに掲げられた旗を見てまたもや絶望に打ちのめされるのだった。何故ならそこには立派な日の丸が描かれていたから……。どんな状況でも決して挫けず常に前を向いて生きてきた男の生涯を、実話を基にして描いた伝記ドラマ。アンジェリーナ・ジョリーの監督二作目にして一部で内容が反日的だとして話題になっていた本作、いやいや別にこれくらい普通ですやん。これで反日なら、ナチスを扱った映画など全て反ドイツ映画になっちゃいますって。まあ騒いでいるのは一部の人たちなんでしょうけど。肝心の内容の方なのですが、ストレートな脚本ながら最後まで一気に見せきったところは素直に評価されてしかるべきでしょう。事実の重みも相俟って、この〝不屈の男〟ルイの波乱万丈の生涯といついかなる時も希望を見失わなかった生き様にただただ圧倒されるばかりです。最後、長野五輪で多くの日本人に声援を送られながら走る実際の映像など、同じ日本人なら誰もが何かしら思わずにはいられない。ただ、本作には極めて致命的な欠点が一つ。それは、「人間を全く描けていない」ということ。例えば主人公、どうして彼がそこまでの愛国心を抱き、生への希望を捨てなかったのか、その理由が一切描かれていないのです。だから、この主人公はほとんど泣いたり怒ったりしません。ただ淡々と困難を乗り越えてゆく。なので観客である僕たちも特に心を動かされることもない。意図してそう描いたのかもしれませんが、映画としてこれは大きなマイナス・ポイントと言わざるを得ないでしょう。それは、捕虜となったアメリカ人や冷酷な渡辺軍曹以外の日本兵にも言えることです。まるで書割に描かれた絵のようにしかそこに存在していない。これは監督の資質によるところが大きいのかもしれません。優れた監督は、脇役の一人一人にまで人間性を与えるものです。史実を知るための再現ドラマとしてはそこそこよく出来ているがそれだけ、というのが僕の率直な感想です。
[DVD(字幕)] 6点(2017-02-13 23:35:54)
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