81. スノーピアサー
「設定に無理がある」と言われていますが、そんなことはどうだって良いんです。完成された体制に囚われてしまっている人間社会を表現するのに『列車』がピッタリだっただけです。列車の中で食べ物が供給されるのも現実的に考えたら確かに無理があります。しかし、これも他の生き物や野菜を統制的に飼育・栽培する人間の営みを表現しているに過ぎない。列車内には階級差があり、先頭に行けば行くほど豊かな暮らしが繰り広げられているなんて、めちゃくちゃ分かりやすいじゃないですか。物語は設定や事の成り行きが全てじゃないんです。それらは枠組みでしかなくて、本質を見落としています。これは『革命』の実態に迫った映画です。 [映画館(字幕)] 7点(2014-12-02 09:26:58) |
82. ラブ・アゲイン
ラブコメというジャンルそのものをネタにしているような、とてもクレバーな作品だと思いますね。それでいてアッと驚くストーリー展開で不意打ちを与えるのがこれまた素晴らしい。エッチなジョークも下品すぎなくて、ちょうど良い。これくらいなら子供に見せても大丈夫・・・だよね?ね?・・・映像も割と凝ってて、キャストには美男美女が揃っているので見栄えもグーです。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-11-30 23:47:10) |
83. 複製された男
なんか嫌~な夢を見ている感じ。起きた後も何故か脳にこびりついて、しばらく忘れられない・・・そんな映画。中毒になりそう。ただ、「これ、実は深い意味がありまっせ!」って言わんばかりの演出が気になった。そういうのはさり気なくやってこそだと思う。あからさまにそんな演出をやりすぎると、かえって一義的な解釈しか出来なくなるんじゃないかな?それだと面白さ半減です。とは言え、観る者を不安にさせる雰囲気は好きです。 [映画館(字幕)] 7点(2014-11-30 23:37:02) |
84. 誰よりも狙われた男
そりゃ酒とタバコに溺れるわな・・・。ホフマン氏の演技は相変わらず凄まじかったです。最初は「ん?」となったドイツ訛り(かな?)にもほんの数分後には違和感がなくなり、「世界の平和のため」に己の存在を消して格闘する男の姿だけがそこにありました。熱っぽさがないのに熱っぽい。抑えた演技なのにパワフル。名演です。他の役者たちも素晴らしかったし、冷たい印象を与える演出も良かった。綺麗にまとまった渋い作品でした。 [映画館(字幕)] 7点(2014-11-30 23:33:49) |
85. ゼロ・グラビティ
他の方々が既に仰っていますが、これは映画館で観ないと無意味です。真っ暗な映画館は本作にピッタリな環境だし、大きなスクリーンで観ないと立体的な迫力を味わえないし、本作の絶妙なSEの使い方は映画館の大音響で初めてその効果が存分に発揮されます。これはもう、ブルーレイとかDVDを発売しないで、月に一回くらいのペースで劇場で上映し続けた方が良いんじゃないかと思います。映画というよりはアトラクションですね。それでいて映画的な美しいショットも楽しめます。ただ、繰り返し観たくなるストーリーではないのが弱点。 [映画館(字幕)] 9点(2014-11-30 23:29:49) |
86. ジゴロ・イン・ニューヨーク
タトゥーロさん、めっちゃ自分を良い男に描いてるなー。実際、ダンディな方なんだけど。ウディ・アレン映画に対する敬意が伝わる作品でした。ウディ・アレン本人も出演しているのですが、やはり彼の存在は大きいです。彼がスクリーンに現れるだけで思わずニコッとしてしまいます。安心感を与えてくれますね。ストーリー自体は盛り上がりに欠け、ユニークな物とは言えません。しかし、小粋な雰囲気が心地良いです。暇な休日の昼下がりに観るにはちょうど良い作品だと思いますね。 [映画館(字幕)] 5点(2014-11-30 23:28:01) |
87. ファーナス/訣別の朝
ストーリーは極めてシンプルな上に王道です。悪く言えば目新しさが全くありません。でも、面白かったんですよね。一番気に入ったのは、登場人物の生い立ちを必要以上に説明しないところ。「今」だけにフォーカスしているんです。でも、彼らの言動を見るとその人の過去とか人生観がなんとなく見えてくるんですよ。出てくる人は皆、何かしらの傷を持っています。問題も抱えています。そして、それぞれが大切にしている物も異なります。そんな人たちの人生が絡み合うのを見るだけでハラハラしました。俳優陣の演技の凄まじさもこの作品をワンランク上げていました。結構好きです。 [映画館(字幕)] 8点(2014-11-30 23:19:09)(良:1票) |