1121. ekiden [駅伝]
廃部になった部を部員集めから始めて再生させていく物語はよくあるパターン。 主演の伊藤高史のインパクトがちょっと薄いし、ストーリーがベタすぎる。 スター選手の中村俊介と元マネージャーの田中麗奈をめぐっての三角関係を絡めているが、ハッとするような展開はなかった。 田中麗奈もこんな顔だっけと思うほどあんまりかわいく映ってないような…。 [ビデオ(邦画)] 3点(2013-07-30 21:09:34) |
1122. 羅生門(1950)
《ネタバレ》 人間の本質に迫る黒澤映画の代表作の一つ。 普遍的なテーマを扱っているので、今観ても古くは感じない。 最初に予備知識なしで観たときは、あれ?これって芥川の「羅生門」というより「藪の中」だよねと疑問に思った。 元々の脚本が「藪の中」をベースにしたもので、それが短いので「羅生門」の設定等を加えて仕上げたことを後で知って納得。 事実としてはっきりしているのは、武士の死体とその妻が強姦されたということ。 その事件の真相が証言が食い違って、誰の話が真実なのか判然としない。 意図的にウソをついているのか、それとも無意識にバイアスがかかっているのか。 一つのはずの真実が人間を通すと何通りもの虚像を伴って描き出されてしまう。 今でも裁判でこんな感じになることもありそう。 芥川の小説では突き放した感じで終わっていたけど、映画は赤ん坊をめぐって救いのあるラスト。 [DVD(邦画)] 8点(2013-07-29 22:55:55) |
1123. 北の国から 2002遺言 前編・後編<TVM>
《ネタバレ》 シリーズ最悪の出来で、心に響くものがない。 このシリーズも次第に失速していたのは明らかだったので、もう限界なのだろう。 タイトルや予告で五郎が死ぬと思わせるのもあざとく、中身で勝負できなくなったということか。 ケータイばかりやってる若者とか、内田有紀、唐十郎、岸谷五郎などの新キャラも、締めくくりとして効果的だったとは思えない。 新キャラに必要以上に頼るよりも、牧場破綻で借金を抱えて姿を消した純と正吉を最後までメインストーリーにからませてしっかり描いてほしかった。 正吉が出てこないのが腑に落ちなかったが、役者を辞めた裏事情があったということで納得。 道理で無理のあるストーリーになっていたわけだ。 肝心の純は、借金をバックレて誠意の欠片もないダメっぷり。 火事を起こして知らんぷりした子供の頃から、結局なんにも変わっていないような。 実際にこういうヤツが身の回りにいたので嫌悪感を催す。 大好きなシリーズで次作が待ち遠しくてたまらないこともあったが、こうなると終了することに未練がなくなる。 以前の面白さが復活することはないだろうし、無理に続けても登場人物をどんどん死なせていくしかないのが目にみえる。 [DVD(邦画)] 4点(2013-07-28 22:08:48) |
1124. 北の国から '98時代 前編・後編<TVM>
《ネタバレ》 別れた男の赤ん坊を産むことを決意する蛍。 蛍は溌剌とした昔の面影はなく常に気だるい感じなので、蛍がシーンにからむと重苦しい。 純とシュウがしばらく離れる理由が、二人とも大人なのに説得力がなく必然性もない。 なんといってもこの回は草太の魅力に尽きる。 思い入れのある人物が死ぬとドラマとはいえ喪失感を覚える。 死ぬのが全然予想されないときはなおさらだ。 正吉と蛍の結婚式で流れる草太の録音テープと回想シーンは年月の重みを感じてぐっとくる。 [DVD(邦画)] 7点(2013-07-27 23:22:59) |
1125. シュウシュウの季節
《ネタバレ》 文化大革命という大きなうねりの中で、無垢な少女が汚い大人たちに翻弄されて汚れていくさまが切なくて痛い。 性描写も含め、社会的弱者の悲惨な状況を生々しく描いている。 故郷へ帰りたい一心の少女の気持ちを利用して、体だけ弄ぶ男たちには殺意を覚える。 唯一シュウシュウを思いやったラオジンが、シュウシュウを射殺して自らも命を絶ったのはどうにもやるせない。 ラオジンがシュウシュウのために作ってやった露天風呂が棺おけがわりになるのが皮肉。 それにしてもラオジンはもう少しなんとかしてやれなかったのか、その無力さがはがゆい。 あそこを切断されていなければ、男として少女を愛し守り切れたのかもしれない。 自己中心的で他人を平気で踏みにじる、不正に満ちた混乱の時代。 今でも信じられないような中国発のニュースを耳にするが、現代中国にも社会の歪みとして残っているようだ。 映画の余韻で、一党独裁体制の弊害まで考えさせられる。 主役のルールーは童顔で幼く見え、純朴な少女と憂いを帯びた売女の両面を見せる。 相手役のロブサンは素朴な笑顔がとてもいいだけに、ラストの悲劇がなおさらこたえる。 [DVD(字幕)] 8点(2013-07-27 23:02:23) |
1126. 北の国から '95秘密<TVM>
《ネタバレ》 純はれいとギクシャクしたまま別れ、次に付き合ったのがAV出演の過去を持つシュウ。 宮沢りえは以前は好きだったけど、必要以上に間をとったしゃべり方が不自然すぎる。 横山めぐみまでそういうしゃべり方になってるので、演出の意向だろうけど違和感がある。 あの蛍が大学病院の医師と不倫略奪愛で逃避行なんて…。 蛍が五郎と別れ際に初めて苦悩をさらけ出して泣きじゃくるシーンは昔の父娘の姿だった。 決しておもしろくないわけじゃないけど、期待値が高すぎるのか少し物足りず、全体的にパワーダウンしてる印象。 普遍的なものに感情移入して感動してきたのに、ネタ切れなのかだんだん普遍的ではなくなってきているので感情移入しにくくなっている。 それでも、このシリーズはどうしても登場人物への思い入れ補正が入ってしまう。 [DVD(邦画)] 6点(2013-07-26 22:26:13) |
1127. 北の国から '92巣立ち 前編・後編<TVM>
《ネタバレ》 五郎のいる富良野をいつも素通りして彼氏のもとへ通う蛍。 れいと遠距離恋愛しながら東京で女の子を妊娠させてしまう純。 親不孝な二人にも嫌な顔をしない五郎が不憫になる。 菅原文太の「誠意ってなにかね?」が何度もパロディになるところに、このシリーズの人気がうかがえる。 ラブホテルでのタマコの言動は支離滅裂で、そんなヤツいるかよレベルのキャラ。 吹雪の中、丸太の下敷きになった五郎の前に現われる令子の幻影って、ベタすぎてちょっと引くような演出だった。 [DVD(邦画)] 7点(2013-07-26 22:24:47) |
1128. 昼下りの情事
《ネタバレ》 監督がビリー・ワイルダーで主演がオードリーとくれば期待してしまう。 でも、期待ほどじゃなかった。 男が50過ぎたキザでいけすかない女たらしで、そんな相手に簡単に惚れてしまう処女ってのがウソっぽい。 背伸びして一生懸命ウソをついて強がるオードリーはいじらしかったけど、相手があんなオッサンじゃ…。 ボートやサウナにまでついて回る4人の専属楽団はおもしろい。 [ビデオ(字幕)] 5点(2013-07-26 22:22:12) |
1129. 北の国から '89帰郷<TVM>
《ネタバレ》 このシリーズも前回がピークで、ここから少し下り坂になった感が。 純と蛍が成長して子供ではなくなったというのも大きい。 蛍が予備校生と恋をしたり、家を出て旭川に行くのも成長と親離れを実感。 盗難バイクで事情聴取されて、何を答えたかわからないほどパニック状態になるものだろうか。 帰郷した純が歴代番長総がかりで髪を染め直させられるシーンは楽しい。 終盤で純がれいを探し出すけど、れいの出番が少なすぎてとってつけたよう。 [DVD(邦画)] 7点(2013-07-25 22:27:55) |
1130. のんきな姉さん
《ネタバレ》 姉弟の近親相姦を題材にしているせいか、終始沈んだトーンで描かれていて飽きてくる。 夢か現実かわからないようなストーリーだが、そうした曖昧さが好きじゃない。 抽象的で感じることを強いられるような作品は苦手なのもあるし、キャラにも魅力を感じない。 山本直樹の原作はもっとドライでエロくて毒があるのに、そうした特徴が抜けてしまった感じ。 森鴎外の山椒大夫もおもしろいけど、唐十郎の原作ドラマはつまらなかった。 元々唐十郎の世界は苦手なのだが、本作にもその色が出ていたかも。 [DVD(邦画)] 2点(2013-07-25 22:25:20) |
1131. サウンド・オブ・ミュージック
《ネタバレ》 ミュージカルが嫌いなこと山のごとし。 あんな不自然なものはない。 昔、テレビで観たときは途中でチャンネルを変えた。 ところが改めて観なおして、耳に馴染みのある名曲の力を再認識。 「サウンド・オブ・ミュージック」「私のお気に入り」「もうすぐ17才」「ド・レ・ミの歌」「エーデルワイス」――。 今までちゃんと観てなかったので、オーストリアを合併したナチスドイツへの抵抗がテーマにあったとは知らなかった。 初めて最後まで観通して、多くの人に愛されているのは納得できた。 それでもミュージカルに特有の感情の流れについていけないところもある。 マリアのやることなすこと強く否定していた大佐が、子供たちの歌で豹変してマリアを認めるあたり、そんな簡単には変わらないだろうにと思ってしまう。 [DVD(吹替)] 7点(2013-07-25 22:23:42) |
1132. 山椒大夫
《ネタバレ》 溝口健二監督の代表作の一つだけに見ごたえがある。 森鴎外の原作とは姉が妹だったり厨子王が役職を辞したりと何点か変わっていて、少しほろ苦さが増しているようだが、わかりやすく感情移入しやすいストーリーなのは同じ。 艱難辛苦を乗り越える、兄妹愛や親子愛、愛するものへの献身、離別の悲哀、慈悲深い人物に心ある人の支え、善の報い、悪玉への制裁など、日本人の大好きな要素がいっぱい詰まった物語。 妹ながら兄を叱咤し、自ら犠牲になってでも兄や病人を助ける安寿の慈愛には心打たれる。 [ビデオ(邦画)] 8点(2013-07-24 22:20:21) |
1133. 翼をください
《ネタバレ》 寄宿学校での女同士の愛。 よくある設定の話ではあるが、レズシーンだけを前面に押し出しているわけではなく、心理描写がしっかりしていてポーリーの狂気じみた執着が怖くなる。 親の愛を知らないがための愛に飢えての執着だろう。 同情すべき点はあるけど、これで掻き回される周囲はたまらない。 自らを猛禽になぞらえたポーリーに感情移入はできず、むしろ敬遠したいタイプ。 ラストのポーリーの飛び降りでは、皆のハヤブサを追う視線と表情に違和感を感じた。 あれではポーリーとハヤブサを重ねてポーリーの望みが叶ったかのような演出になってしまう。 現実は超バッドエンドなのだからチグハグな印象に。 [DVD(字幕)] 5点(2013-07-24 22:18:31) |
1134. 恋するトマト
《ネタバレ》 まさか大地康雄主演の恋愛ストーリーに引き込まれるとは思わなかった。 美男美女のキャストじゃなくてもこうしたものは作れるんだと感心した。 でも、ラストはベタすぎて少し捻りがほしいところ。 クリスは家族と故郷を捨てて異国で幸せに暮らせるとはとても思えないのだが。 それほど強烈に野田に惹かれるエピソードはなかったように思うし、全てを捨てて身を委ねるほどの魅力は感じない。 ブ男のコンプレックスも影響しているのか、終始お金でカタをつけようとする姿勢は変わらないし。 お金じゃない大切なものに気づいて人身売買のような仕事から足を洗う一方で、お金がものをいう世の中に染まりきっているようで。 日本の農家の実状や抱える問題、フィリピン女性の人身売買など、社会的なテーマを扱っているのでその点でも興味深い。 日本人から金を騙し取るルビー・モレノがハマリ役。 [DVD(邦画)] 7点(2013-07-24 00:51:36) |
1135. 北の国から '87初恋<TVM>
《ネタバレ》 前回の84年夏もとても良かったけど今回はそれに勝るとも劣らない出来栄えで、このシリーズのピークを感じさせる。 純と蛍が3年経ってずいぶん大きくなった。 中学生になった純とれいちゃんの初恋が初々しくていい。 急に雨がふって避難した山小屋で下着で二人なんてベタ中のベタだけど、当時の吉岡秀隆と横山めぐみだから成立しているような。 酔っ払った五郎がれいに向かって父親への不満をぶつける暴挙には、れいと純に代わってそりゃないだろうと。 誰にでも経験のある親子の葛藤に、どっぷり感情移入してしまう。 ラストの回想シーンは反則もの。 [DVD(邦画)] 10点(2013-07-24 00:46:04) |
1136. ゴールデンスランバー(2009)
伊坂幸太郎の原作は未読。 なんだかすぐ忘れてしまいそうな内容だな、と思っていたら以前に一回観てたことに途中で気づいた。 なのにストーリーをさっぱり思い出せず、結局最後まで観るハメになった自分にびっくりした。 伏線は意外といろいろ張ってあり、ちょっとした会話もウィットに富んで気がきいている。 ただ、ストーリーにリアリティがまったくなくてマンガ的。 二回観るほど好きな映画ではない。 もし三回目を気づかずに観てしまったらホラーになってしまう。 備忘録的な筋を記すことも多いのだけど、今回はあえてそうした類は書かないでおこう。 ボケ度チェックに使えるかも。 [DVD(邦画)] 4点(2013-07-24 00:41:47) |
1137. 北の国から '84夏<TVM>
《ネタバレ》 丸太小屋の出火原因を言い出せなかった純。 正吉と気まずくなって、仲直りしたくてもなかなか素直に言い出せない。 ジュンのずるさにイラだちながらも責任逃れしたい気持ちはよくわかるのでドラマに巻き込まれていく。 あのラーメン屋の名場面、空気を読めないおばさんに殺意を覚えて完全に作り手の思うツボに。 [DVD(邦画)] 9点(2013-07-22 20:55:11) |
1138. ピクニックの準備
《ネタバレ》 『夜のピクニック』は既に観ていたが、それを観ていないとたぶん面白くも何ともない。 歩行祭の前日譚を登場人物ごとの視点からオムニバス形式で描かれる。 ①杏奈(加藤ローサ)、②さくら(近野成美)、③高見(柄本佑)、④千秋(松田まどか)、⑤梨香(貫地谷しほり)、⑥亮子(高部あい)、⑦貴子(多部未華子)、⑧美和子(西原亜希)、⑨融(石田卓也)の9話。 全部合わせても一時間ちょっとなので、それぞれはそんなに深い話にはならず軽いタッチ。 6人の監督で撮っているため、監督ごとのカラーが出ているよう。 印象に残ったのは、③ぶっ飛んでファンキー、⑤短い中に起承転結うまくまとめたコメディー。 ⑦と⑨は貴子と融のお互いへの特別な意識がよく出ていた。 [DVD(邦画)] 5点(2013-07-22 20:53:03)(良:1票) |
1139. 暗くなるまで待って
《ネタバレ》 オードリーが麻薬犯罪に巻き込まれる盲目の人妻役。 麻薬を隠した人形をめぐってのサスペンスで、最後まで見せてくれる。 元は舞台劇だけに、主人公の部屋だけでほとんど進行する。 夫が不在で、メガネ少女が出て行った後は一人で犯人グループと対決。 盲目のハンデをなんとか利に転じようと暗闇を作る攻防には見ごたえがあった。 腹を刺されて瀕死のはずのロートの跳躍力は、オカルト的でビックリ&失笑。 主人公とメガネ少女の関係が微妙でチグハグに感じた。 [地上波(字幕)] 7点(2013-07-22 20:51:48) |
1140. 死刑台のエレベーター(1958)
当時は斬新なサスペンスだったかもしれないが、粗が目立っていろいろ気になる。 これがフランスヌーヴェルヴァーグの傑作?って感じ。 サスペンスとしては格別の出来とも思えないので、フランス映画っぽい独特の雰囲気が評価されたのかもしれないが、その空気感が自分には合わない。 ジャズトランペットをバックにしたオシャレぶった雰囲気も、気だるい演出にもちょっと醒めてしまう。 この気だるさは、サスペンスに必要な緊張感を損ねているようにも感じる。 [ビデオ(字幕)] 3点(2013-07-21 22:27:07) |