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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1872
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1141.  ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金 《ネタバレ》 
俺の名前はダニエル・ルーゴ、筋トレマニアだ。これから話す物語は、マイアミで実際に俺が起こした誘拐事件だ。驚かないで聞いてくれ、このクレイジーなファッキン事件は、不幸にも全て実話なのさ――。マイアミのスポーツジムで平凡なトレーナーとして働くダニエルは、自分の地味で退屈な人生に常々疑問を感じていた。ある日、怪しげな自己啓発セミナーに触発されたダニエルは、「俺はもっとビッグでホットな人生を歩めるはずなんだ!」と、顧客である飲食店オーナーを誘拐し彼の全財産を奪うという無謀ともいえる計画を思いつくのだった。そんな彼の誘いに乗ってきたのは、これまた無鉄砲で脳味噌筋肉なバカ野郎ばかり。それでも彼らと共に強引に計画を実行に移したダニエルだったが、当然のようにそんな杜撰な計画はどんどんとおかしな方向へと転がり込んでゆく。やがて、事態は取り返しのつかない悲惨な結果を招くのだった…。マイアミで実際に起こったそんな凶悪な誘拐&詐欺&殺人事件を、マイケル・ベイ監督がエネルギッシュに映画化したシニカルなクライム・コメディ。いやー、いかにもマイケル・ベイらしい、「細かいことはこの際目を瞑って観てね♪」と言わんばかりの大味作品でしたね、これ。見た目ゴージャスな映像を優先するあまり、とにかくストーリーの細かいところに「?」な部分が幾つもあって僕はいまいちのれませんでした。つーか、実話を基にしたと言いながら、これってかなり話を盛ってるっしょ?いくらノーテンキな人たちが多く暮らすマイアミが舞台とは言え、こんな無茶苦茶な計画がまかり通るわけないって!きっとマイケル・ベイのことだし、自分の都合の良いように勝手に話を作り変えてる感がビシバシ伝わってくるんすけど…(笑)。とはいえそこらへんに目を瞑れるなら、いかにも彼らしい、この全編に横溢するなんだかよく分からないテンションの高さや男臭~いアクションシーンの数々などはけっこう楽しめると思います。スタイリッシュさや、知性に裏打ちされた上質のユーモア、人間心理に対する深い洞察、圧倒的なリアリティ、ピリピリとひりつくような緊張感、等々は一切ないですけどね(笑)。あと、いつの間にやら筋肉ムキムキのマッチョメンになっていたマーク・ウォールバーグにはびっくりさせられちゃいました。いったい彼は何処を目指しているのでしょう?
[DVD(字幕)] 5点(2015-01-17 21:07:30)(良:1票)
1142.  ランナウェイ・ブルース 《ネタバレ》 
「なあ、フランク。何か物語を聞かせてくれ。なんでもいい、何か飛び切り面白いやつ。このどん底のような俺たちの人生を少しでも忘れさせてくれる、いつものように痛快な物語を」――。幼いころに両親を失い、以来天涯孤独な人生を送ってきたフラニガン兄弟。兄ジェリー・リーは、過去に起きた鉄道事故により右足を失い、弟フランクも酒浸りの肉体労働者としてその日暮らしのモーテル生活を強いられている。そんなある日、ジェリー・リーは自らが運転する車でとある少年を轢き殺してしまい、弟のモーテルへと転がり込むのだった。「頼む、俺を連れて逃げてくれ!」と縋りつく兄のために、フランクはなんとか逃走資金を捻出すると、別れた彼女が住むという街を目指して住み慣れたモーテルを後にする。そんな絶望のどん底を這いずり回るような逃避行を続ける兄弟の唯一の心の慰めは、フランクが紡ぎだす爽快な夢物語だった……。雪深いアメリカ北部の田舎町を舞台にそんな八方塞がりの兄弟の悲哀に満ちた逃避行をブルージーに描き出すロードムービー。つーか、なんなんですか、この超辛気臭~~~いお話は。登場人物誰もがみんな、うじうじクヨクヨした根暗な人たちばっかで、ひたすら「自分はなんて可哀相な境遇に居るんだ。きっと時代や社会が悪いんだ」と嘆いては酒に溺れ、ことある毎に現実逃避にひた走る……。もう見れば見るほどゲンナリしてきて、「あんたら、まだまだ若いねんからもっと前向きな話とか出来んのかい!!」と思わず説教してやりたくなっちゃいました(笑)。なんだか場末のスナックで聴く、しみったれた演歌のような映画でした。これで、ニコラス・ケイジがアカデミー賞を受賞した「リービング・ラスベガス」のように、徹底的に堕ちてゆくアル中駄目男の破滅の美学を描いたような作品ならまだしも、こういうお互いの傷を舐め合っているだけの自己憐憫にまみれた辛気臭いお話って、僕は苦手。うーん、4点!ごめんちゃい!
[DVD(字幕)] 4点(2015-01-16 21:31:11)
1143.  ポール・ヴァーホーヴェン/トリック 《ネタバレ》 
大企業の社長を務めるレムコは、50歳になった記念に自宅で誕生パーティーを開くことに。様々な人々が集い和気藹々とパーティーが進行する中、急に彼の愛人と思しき妊娠中の若い女性が現れる。戸惑うレムコ、心の平穏を掻き乱される彼の妻、引きこもりでオタクの長男、素行不良のすれた長女、そして長女の親友で長男の気持ちを翻弄する美しい女性メレル。一見平穏に見える彼らのパーティーはそんな愛人の出現により、不穏な空気がまるでさざなみのように拡がってゆく――。実は本作、撮影が開始された時点ではこの4分間の冒頭部のみしか脚本は書かれていません。何故ならこれ、その後の展開は視聴者から公募しその中から厳選されたものを基に紡がれた作品だから――。これまで様々な物議を醸してきたバーホーベン監督が、新たに創出したのはそんな挑戦的な手法で撮られた実験作でありました。まず一言言っておきたい、「前振りがなげーよ!」。本編が始まるまで、その企画意図が監督のインタビューによって解説されるのですが、これが30分以上ある。確かに興味深い内容ではあるのだけど、「とっとと本編に移行しろよ~」と僕はちょっぴりイライラしちゃいました(笑)。とはいえ、ようやく始まった本編なのですが、これがいかにも彼らしいエロとグロが絶妙の按配で配合されたシニカルなホームコメディの逸品へと仕上がっており、さすがの貫禄でしたね。特に、男どもをその美貌で惑わすメレル役の女優さんがとてもサキュバス的な魅力に満ち溢れていて、えがったっす。妖艶な悪女を撮らせたら、やはりこの監督って感じですね!肝心の撮影手法ですが、俳優陣が撮影が始まった時点で自分の演じるキャラがどんな人物なのか分からないというのは裏を考えながら見るとこれがなかなか面白い!メレル役の彼女なんか、「え、私ってこんな役やったん?」とびっくりしたでしょうね。他にも「俺、こいつと愛人関係なんか~」とか「私、悪役なん…」とかいろいろ戸惑いながらも、次第に役に入っていく俳優たちの仕事ぶりは見ていてけっこう楽しい。なんだか良質のインプロ(即興)劇を観ているようでした。まあ、確かにこれが監督の壮大なるフェイクだという可能性も捨てきれないけれどね。でも、それも含めて知的好奇心を刺激する大人の娯楽作品であったと思います。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2015-01-16 13:21:46)(良:1票)
1144.  コンプライアンス 服従の心理 《ネタバレ》 
「こちらは警察官のダニエルだ。いいか、お宅の若い女性従業員のことで話がある。実は彼女は客の金を盗んだらしい。私がそちらに着くまで、店長の君には協力してもらう。逆らうことは許されない。まずは彼女の服を全て脱がして身体検査するんだ、そう、念入りにな…」。アメリカのとあるハンバーガーショップに掛かってきたそんな一本の電話によって、ある一人の少女が全裸にされ、あまつさえ幾多の男たちによって嬲りものにされたという、実際にあったセクハラ事件。これは、そんな胸糞悪くなるような信じがたい事実を忠実に再現してみせた作品である――。なんだけど、とにかく出てくる登場人物の誰も彼も――被害女性をも含む――が、あまりにも頭悪すぎて最後まで本当にイライラさせられる最低の映画でしたね、これ。ちょっと頭を巡らせて考えればすぐにおかしいと気付きそうなものなのに、どいつもこいつも犯人の言葉を簡単に信じちゃって結局こんな愚かしい事件へと発展してしまった。確かにそれはそれで悲劇ではあると思うのだけど、それをわざわざ映画として再現してみせ、さらには人々からお金を取って不特定多数のお客さんにあらためて見せる必要性ってなんですか?実際に被害に遭った少女にとっても何の得にもならないし、事件があまりにも特殊すぎて自分もこうならないために気を付けようという啓発の意味にもならないし、お馬鹿な人間を笑い飛ばそうというブラックジョークが利いているわけでもないし、ましてや胸を打つ人間ドラマがそこにあるわけでもないし…。誤解を怖れずに言えば、これって男性週刊誌の三文記事のなかの「世界の驚くべき実話」みたいなコーナーで取り上げられているのを読んで「なんてケシカラン事件なんだ!」と息巻きながら、それでもちょっぴり羨ましいと股間をもっこりさせている醜い中年男性の下品な需要に応えた下劣極まりない三流ポルノ映画だと僕は思います。こんな露悪趣味にまみれたくだらない映画を撮って、これで社会問題を告発したと得意になっているだろうこの監督の品性の卑しさに、僕ははっきり言って反吐が出そうです。うん、あらためて言わせてもらおう、これは〝はきちがえた正義感〟を隠れ蓑にして撮られた、極めて趣味の悪い「セカンドレイプ映画」だ、と。
[DVD(字幕)] 1点(2015-01-13 00:40:25)(良:1票)
1145.  ディアトロフ・インシデント 《ネタバレ》 
1959年、旧ソ連。極寒のウラル山脈にロシア人登山家ディアトロフをリーダーとする登山隊が登頂に向かう。だが、2週間後、彼らは全員不可解な死体となって発見されるのだった。誰もいない極寒の地のはずなのに、彼らの死体には明らかに他殺と思われるような傷跡が残されていたのだ。のちに“ディアトロフ峠事件”として知られるようになるこのミステリアスな出来事は、いまだ世界の人々の関心を惹き付けて止まない。これは事実を基にした物語である――。事件から半世紀近く経った2008年、アメリカの若き学生たち5人がそんな不可解な事件の真相を探るため、ロシアへと向かう。そこに、どんな恐ろしい真実が待ち受けているとも知らずに……。様々な憶測を呼ぶミステリアスな事件の真相を、レニー・ハーリン監督が『クリフハンガー』以来となる極寒の雪山を舞台に、POVという現代的な手法を使って描き出すパニックホラー。「どうしてカメラを廻し続けるんだ?!」「真実を記録しておくためよ!」←この遣り取り、今までのPOV作品でどれだけ見せられてきたことでしょう。この言い訳がましい遣り取りを、再び見せられただけで僕の作品に対する評価は大きく減点です。そんな使い古された言葉が象徴するとおり、今まで散々作られてきたパニックPOVホラーの単なる焼き回し、例えるなら『ブレアウィッチ・プロジェクト』の雪山バージョンとしか言いようのない、ふつ~~~の作品でしたね、これ。とにかく物語が大きく動き出すことになる後半の雪崩シーンまでがひたすら退屈で退屈で、僕の意識が睡魔という名の雪崩によって深甚なる白銀の世界へと押し流されそうになるのをこらえるのがホント大変でした(ZzzZzz…)。そして、ようやく辿り着いた秘密施設内での特に怖くもないモンスターとの攻防も、前述した理由により、「あんたら、カメラ片手に逃げ廻るとかかなり余裕あんじゃん!」と突っ込む気持ちの方が強くていまいちのめり込めず…。唯一新しいかもと思えるあのオチも、第一発見者であるおばあちゃんの「死体は確実に11体あったわ…」という言葉を思い出して、「あぁ、きっとそういうことなんやろな~」と思ったら、見事なまでにそーゆーオチに辿り着いちゃって思わず失笑。レニー・ハーリンって、特に面白い映画を撮るわけでもないのに、ほんと細々としかし確実にハリウッドで生き残ってきてるよね~。僕にとっては、それが一番のミステリーです(笑)。
[DVD(字幕)] 4点(2015-01-11 21:54:05)
1146.  SHAME -シェイム- 《ネタバレ》 
皆さん、都会で生きていると、たまに疑問に思うことはありませんか?街のいたるところに存在するコンビニに入れば、その雑誌コーナーの片隅には必ずと言っていいほど、いかがわしい雑誌――敢えて下世話な言い方をすればエロ本の棚が存在しています。ビデオ屋さんの18禁コーナーに入れば夥しい数の他人のセックスを収めたDVDが並び、ネットを開けば簡単に過激な動画を見ることが出来ます。電話を掛ければ、そういう女の人がすぐにやって来てくれ、繁華街に行けばさらに過激な性的サービスを供給してくれるお店を利用することが出来ます。なのに社会では、電車に乗っていると日常的に人身事故に出くわし、理不尽な暴力事件はあとを絶たず、幼児虐待やストーカー殺人などといった悲惨な事件も一向になくなる気配はありません。そして世界の何処かでは今も戦争が続き、貧困や飢餓が貧しい人々を苦しめている。それでも僕たちは自分の性欲を満足させるためにエロ本を買い風俗店に足を運ぶ。人のことなどどうでもいいと言わんばかりに……。いったい人間とは何処まで愚かな恥ずべき生き物なのだろうって。本作の主人公であるサラリーマン、ブランドンもそんな都会の片隅で、まるで日々恥の上塗りをするかのような刹那的な日常を生きている。行きずりの女と愛のないセックスに溺れ、商売女を自宅のマンションに呼んで快楽を貪り、あまつさえ仕事中にトイレにこもっては自慰行為に耽る…。なのに少しも満たされない孤独な心を抱えた彼の元にある日、「何処にも行き場所がないの!お願い、ここに住まわせて…」と、同じく鬱屈した日々を送っていた妹のシシーが転がり込んでくる。お互いの孤独を敏感に感じ取った2人でしたが、少しも正直になれない彼らはすぐに互いの心を傷付け合い、ますますその閉塞感を強めてしまうのでした。そして彼らは自らが生きる理由すら次第に見失ってゆく……。そんな愚かな人間たちの姿を冷徹に見つめながらも、物語は最後、微かな――今にも消え入りそうな本当に微かな希望の残像のようなものを残して静かに幕を閉じます。正直、見れば見るほど気が滅入るような作品なのですが、美麗な映像と実力ある役者陣の熱演、そして何よりも悲哀に満ちた美しい音楽とによって、胸を打つ哀切な人間ドラマへと見事に昇華されている。素晴らしいとしか言いようがない。人間は誰もが“恥(シェイム)”を抱えた愚かしい生き物、それでも人は幸せを求めて必死に生きてゆく。そんな当たり前のことをあらためて教えてくれる、美しい作品でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2015-01-09 00:51:18)
1147.  ギャングバスターズ 《ネタバレ》 
今朝、あのクズのようなギャングどもをぶっ殺していたのはアンタたち兄弟でしょ?嘘言わないで。ねえ、お金はちゃんと払うから、あたしのお願いも聞いてほしいの――。うだるような熱気に包まれたアメリカ南部のとある田舎町。保安官の庇護の下、まだるっこしい法律など度外視して社会に蔓延るクズのようなチンピラどもに制裁をくだしていたウーディ3兄弟。ある日、そんな彼らは謎の美女からとある依頼を受けるのだった。それは、凶悪なギャングたちのボスから彼女の名付け子である少年を取り戻してくれというもの。多額の報酬に惹かれて、愛用のショットガンや自動小銃を手にウーディ兄弟は、そんなギャングたちのボスの豪邸へと向かったのだったが…。アメリカ南部の田舎町を舞台に、破天荒な日常を生きるそんな“ギャングバスターズ”たちの活躍を小気味よく描いたB級テイストのアクション・エンタメ作品。いやー、とにかくタランティーノやロドリゲスの影響を色濃く受け継いだ作品でしたね、これ。見ているだけでじんわりと汗が滲み出てきそうな乾いた映像、軽快でノリのいい音楽、スピーディで分かりやすいストーリー展開、アクの強い個性豊かな登場人物たち…。てか、これってまんまタランティーノ&ロドリゲスの世界観を踏襲しただけですやん(笑)。もうちょっとこの作品ならではという個性が欲しかったですね。それに演出の所々に「?」な部分があってそこもちょっぴり気になりました(特に、いまいち盛り上がりに欠けるクライマックス!)。でもまあ、肩の凝らないアクション映画として僕はぼちぼち楽しむことが出来たかな~。色仕掛けで男どもを殺しちゃうセクシー殺し屋美女軍団とかも、まあちょっとおばちゃん比率が高かったとはいえ、けっこう堪能させてもらったし。てか、観終わって冷静になって考えてみたら、この悩殺セクシー殺し屋ちゃんたち普通に弱すぎっしょ(笑)。完全に、男の観客のスケベ心に応えたサービスエピソードでしたね~。ま、アリだったけどさ(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2015-01-05 00:22:30)(笑:1票)
1148.  フィルス 《ネタバレ》 
イギリス、スコットランド。薄暗い地下道である日、留学中の日本人青年が何者かに暴行されて死亡するという凶悪な事件が発生する。捜査を担当することになったブルース刑事は、過去のある出来事をきっかけにアルコール・ドラッグ・セックスにボロボロに溺れるどうしようもない“フィルス(くず)”刑事だった。事件の捜査など二の次、ただひたすらどん底へと堕ちてゆくような生活を送るブルース。そんな中、離婚したはずの妻が彼の目の前に現れて……。果たして、ブルースは無事に殺人事件を解決し人生を立て直すことが出来るのか?青春ドラッグムービーの古典的名作『トレインスポッティング』の原作者であるアーヴィン・ウェルシュの破天荒な小説を、ジェームズ・マカヴォイ主演でシニカルかつエネルギッシュに映画化したクライム・コメディ。まぁ原作者が同じだから当然なんでしょうけど、いかにもトレスポ・テイストな作品でしたね、これ。八方塞がりのどうしようもない駄目駄目青春を送っていたあのジャンキーたちが、そのまま大人になって何故だか刑事になっちゃったような駄目中年どもの駄目駄目日常を同じようにスタイリッシュで猥雑に、そしてスピード感溢れる演出で描き出そうと頑張っている。でも、出来上がってみたものは残念ながら『トレインスポッティング』には到底及ばない残念な代物でありました。全編を通じて言えるのは、とにかく下品!「トレスポ」ではそんなガサツで品のないエピソードを描きながら、それでもそこに何故だか上質のユーモアを漂わせていたところが名作たる所以なのですが、今作はひたすら下品なだけの描写が延々続き途中から僕はもうウンザリしちゃいました。特に、あの誰のポコ〇ンが一番デカいか女たちに当ててもらおうという馬鹿丸出しゲームで、皆で並んで自分のナニのコピーを撮りにいく刑事どもには、「お前ら、とっとと仕事せいや!!」と殺された日本人青年に代わって怒り狂いそうになっちゃいました(笑)。ラスト、奇を衒ったようなあのへんてこなオチにも別段心を揺さぶられることもなく…。いかに『トレインスポッティング』が優れた作品であったかをあらためて再確認した次第であります、はい。
[DVD(字幕)] 4点(2015-01-03 23:09:38)
1149.  ワン・デイ 23年のラブストーリー 《ネタバレ》 
「私、誰かとベッドインするのって苦手なの。必ず泣くか笑うかどっちかなんだ」「そうなんだ…。じゃあ、僕らは友達のままでいよう」「いいの?」「うん、その方が僕らにとっていいような気がするんだ…。そうだ、知ってる?今日、7月15日は聖人の祝日なんだよ」「へえ、詳しいのね。私たち、来年の今日とかいったい何しているのかな」――。1988年7月15日、大学の卒業式の夜になりゆきでベッドイン寸前までいったエマとデックス。恋愛よりも友情を優先した彼らは、以来“友達以上、恋人未満”という微妙な関係を保ったまま社会へと出てゆくのだった。エマはバイトしながら作家を目指し、デックスはテレビの司会者として成功し数々の女の子と浮名を流す。それでも、彼らは共に過ごした7月15日を忘れたことはなかった……。とある男女の23年にわたる恋と友情を、それぞれの年の7月15日のみをクローズアップして描き出す意欲的なラブストーリー。僕の行きつけのビデオ屋さんの恋愛コーナーで、ずっと「(500)日のサマー」という僕のお気に入りのウジウジ系ラブストーリーの隣に並べてあった本作。あっちが500日ならこっちは1日だ!って感じの意欲的な設定に惹かれて今回鑑賞してみました。なんですが、完全にアイデア倒れで終わった印象が拭えない作品でしたね、これ。率直に言ってこれ、7月15日である必要性あります?べつにその年のある日の出来事だけで普通に成立しますやん。それに時間の都合か端折られている年もあるし、1年のうちの1日だけって設定の縛りが全然上手く機能していませんって。「この日は何があろうとキスしよう」だとか「どんなに忙しくてもこの日は連絡を取り合い、どちらが幸せか比べあおう」くらいの縛りを作ってくれんと、この設定は活きてこないですよ!それにこの二人って結局、お互いの恋愛が駄目になったときの保険としてお互いを利用しあってません?彼ら双方の恋人目線で見たら、超ウザいっすよ、こいつら。「お前ら結局、失恋した時のために保険かけとんのかい!」って。そして、最後のいかにもお涙頂戴といった伏線も何もない唐突な展開……。うーん、なんと薄っぺらい(笑)。と、いう訳で、「(500)日のサマー」と比べると圧倒的にあちらの方に軍配が上がるウザウザ系ラブストーリーでありました。けっこう期待してレンタルしてきただけに残念!
[DVD(字幕)] 4点(2015-01-02 19:53:54)
1150.  少女は自転車にのって 《ネタバレ》 
いまだイスラム教に厳格な保守層が支配する中東の大国、サウジアラビア。そこでは、女性たちはいまだ抑圧された窮屈な生活を強いられている。家族以外の男の前では全身を覆うスカーフを身に纏うことを強制され、お洒落をすることはおろか、車の運転をすることすら禁じられているのだ。思春期を迎えたばかりの幼い少女ワジダもまた、そんな抑圧された社会に疑問を感じながら暮らしていた。それでも、親や教師の目を盗んでは欧米の自由なポップソングをカセットで聴いたり、幼馴染みの少年と追いかけっこしたりして、ワジダはなんとか自分らしさを保っている。そんな中、彼女はとある店先でまるで自由への象徴のような格好良い自転車と出逢ってしまう――。女性が自転車に乗ることすら憚られるサウジアラビアで、必死に自分らしく生きようともがく少女の健気な姿を淡々と描いたアカデミー外国語映画賞候補作。詳しい経緯はあまりよく知らないのですが、そんな厳格なイスラム社会で女性監督がこのように挑戦的――まがりなりにも先進国の一員である我々にとってはあくまで普通のことなのですが――な内容の映画を撮れたことに、まずは賛辞を贈りたいと思います。DVDに収録された特典映像によると、本作はサウジ国内では上映不可能とのこと。少女が自転車に乗るというなんてことない映像ですら表現できない社会がいまだ存在しているという事実にあらためて驚かされてしまいます。さて肝心の内容ですが、とにかく主人公ワジダを演じた女の子のキラキラと輝くような笑顔がとても魅力的。そんな彼女が自転車が欲しい一心でコーラン暗唱大会に必死で挑む姿には素直に共感出来ました。変に政治的なメッセージを強調せず、あくまで一人の少女の日常を切り取ることで、サウジ社会が抱える問題を淡々と炙りだしたところも良かったと思います。ただ、あまりにもゆっくりとストーリーが進行してゆき、最後までいまいち心に残るシーンやエピソードに出会えなかったところが少々物足りなくも感じてしまいました。それでも最後、しっかりと前を見据え自転車を漕ぎ出すワジダのその凛とした後姿は、良い余韻となっていつまでも僕の心に残りそうです。いつの日か、彼女のような女の子が普通にお洒落したり恋をしたり自転車に乗って何処までも自由に旅をしたり出来る日がやって来ることを祈らずにはいられません。
[DVD(字幕)] 6点(2015-01-01 12:06:57)
1151.  ブラインド・フィアー 《ネタバレ》 
真実を伝えるためならどんな危険をかえりみない勇敢な戦場カメラマン、サラ。政情不安に揺れるアフガニスタンで取材中だった彼女はある日、テロリストの自爆攻撃に遭う。なんとか一命は取り留めたものの病院のベッドで目覚めてみると、彼女は自分が視力を完全に失ってしまったことを知るのだった――。3年後、当然のように引退を余儀なくされ、以来金融トレーダーである恋人と1匹の猫と共に豪奢なペントハウスの一室で平穏な生活を送っていたサラ。大晦日、そんな彼女がいつものように買い物から帰ってくると、そこには血の海に沈む恋人の死体とある〝もの〟を捜し求める凶悪な殺人犯が待ち構えていたのだった……。完全なる暗闇の世界に生きる盲目の女性と目的のためなら手段をいとわない冷酷な殺人犯との息詰まるような攻防を描いたサスペンス。冒頭、鼻歌を歌いながら自室のリビングでくつろぐ主人公サラ、そこに床に転がる血だらけの彼氏の死体が映り込むのに盲目の彼女は何も気付かず買ってきた物を冷蔵庫にしまいだす、そして背後には誰とも知れない男の影が……。というスリリングなシーンで、「お?もしかしてこれって面白いかも」と思わせる本作、でもその後の展開ははこれまで凡百のサスペンス映画で散々見尽くしてきたような凡庸な展開が。うーん、これで脚本がしっかりしていればまだ見られたものになっただろうに、まあ見事なまでにこちらの期待値を下回ってゆきます。捕まえた主人公が盲目だからって「何、寒い?いいだろう。今、ロープを解いてやるから自分で服を着ろ。あ、俺はあっちで電話してるから」ってこの犯人アホですか(笑)。案の定、次のシーンでは主人公に殴られて逃げられちゃってるし…。それに、後半の隠されたダイヤを巡る緊迫?の心理戦も無理やり話を引き伸ばした感が半端ない。挙句、ラストシーンでの「13階のベランダから落とされたあの黒猫ちゃんも無事に生きていたんだよ。だって猫って運動神経いいしさ。びっくりした?あはは…」って感じの、動物愛護団体&猫好きな観客への配慮に満ちた黒猫さん再登場…。ま、簡単に言うと「つまんねー映画!」でした。終わり。
[DVD(字幕)] 3点(2014-12-28 21:10:46)
1152.  恋するリベラーチェ 《ネタバレ》 
なぜ君を愛するのか。それは君が君だからではなく、君といる時の自分が好きだから――。70年代から80年代にかけて、天才の名を欲しいままにした実在のカリスマ・ピアニスト、リベラーチェ。常にきらびやかでゴージャスな衣装を身に纏い、絢爛豪華なリサイタルで人々を魅了する彼には、誰にも言えない幾つもの秘密があったのだった。一つは生粋のゲイであること、一つはカツラであること…。そんな彼にひょんなことから気に入られたバイセクシャルの美しい青年スコットは、彼からの猛アプローチにより、専属秘書という名目で住み込みで働くことになるのだった。リベラーチェの豪邸で、まるでペットのように何不自由ない生活を送ることになったスコット。だが、長い時間を共に過ごしていくうちに彼らの愛とプライドと憎しみは複雑に交錯してゆく…。実在した天才ピアニストの赤裸々な私生活を、ソダーバーグ監督がマイケル・ダグラス&マット・デイモン主演でゴージャスに映画化した男と男のラブストーリー。いやー、まさかこんなにもM・ダグラスとM・デイモンの濃厚なキスシーンどころか、けっこう激しいラブシーンまで見せてくれるとは…。べつにゲイの方に特別な偏見とかは持っていないのだけど、生粋のノン気である僕としては、ここまで野郎たちのケツを見せられると正直「う、うおぇぇ~~」ってなっちゃいました(笑)。あんまりよく知らないのですが、前作の「マジック・マイク」といい、今作といい、ソダーバーグってもしかしてゲイなの?とはいえ、そういうのを抜きにしても、これって(実話を基にしたから仕方ないのかも知れませんが)あまりにもオーソドックス過ぎやしません?男同士という特異な関係を取り除いたら、後には今まで散々作られてきたスーパースターの内幕を描いた凡百の伝記映画と大して変わらないと僕は思うんですけどね~。それに、リベラーチェの絢爛豪華なピアノコンサートシーンがもっと観れると思っていたのに、冒頭と後半にちょびっとだけって…。うーん、物足りん!生来の女好きで、しかもセックス依存症と診断されかつて病院に入院した事もある伝説のセックスマシーン・マイケルダグラス、彼がゲロ覚悟(?)でマット・デイモンとチュッチュチュッチュし、あまつさえ後ろから激しく突き上げられ恍惚の表情を浮かべちゃうハゲのゲイ役を見事に演じきったその役者魂っぷりに+1点っす!
[DVD(字幕)] 5点(2014-12-26 18:30:19)(笑:1票)
1153.  ミスター・ノーバディ 《ネタバレ》 
西暦2092年2月9日、人類最後の死ぬ運命にある人間“ミスター・ノーバディ(誰でもない男)”が118歳に――。科学技術の飛躍的な進歩により、全人類がそれまでの悲劇に満ちた〝死〟という宿命から解放された未来社会。そこでは誰もが当然のように永遠の命を享受していた。そんな科学技術の恩恵を受けることなくたった今老衰で死のうとしている、ある老人がいる。彼の名はニモ・ノーバディ。これまでの人生は一切謎に包まれていた。そんな彼の歩んできた人生を探るため、医師からの高度な催眠術と記者によるインタビューが行われる。そこで明らかとなったのは、〝人生の重要な岐路で色んな選択をしたこと、あるいは選択しなかったこと〟で様々に枝分かれしていった、彼の重層的で複雑な人生経験だった……。これまでにない独創的な映像で描かれるのは、そんな一人の男のあり得たであろう数々の人生を重層的に描き出すパラレルワールドSF作品でありました。9歳の時、ニモはまず離婚した両親のどちらに付いていくかという重大な選択を迫られます。母に付いていった彼と、父の元に残った彼、当然のようにどちらの人生にも良い所もあれば悪い部分もある。さらには同級生の誘いを受けるか断るか、好きな女の子に勇気を出してラブレターを渡すか諦めるか…。そのようにして十数通りもの彼の人生がまるで群像劇のように描かれるさまは、まるで昔懐かしのゲームブックを読んでいるような感覚でした(途中で間違った選択をしたら殺し屋に殺されたり、事故に遭って植物人間になっちゃったりというバッドエンドを迎えちゃうトコなんかいかにもゲームブック!)。ただ、1本の映画として観るとどうなんですかね、これ。さすがにちょっと設定に無理あり過ぎやしません?物語として思いっ切り破綻しているように僕は思うんですけど。『エターナル・サンシャイン』や『バタフライ・エフェクト』という優れた作品の良いトコどりしようとかなりの大風呂敷を拡げてみたものの、上手く纏め切れなかったような印象を持ってしまいました(だって、あの強引な力技ラストなんて夢オチとあんま変わんないよ~)。確かに、唯一無二の独創的な世界観を見事に構築した作品であることは認めますけど、肝心のお話の方には僕はさっぱり嵌まれませんでした。うーん、5点。ごめんちゃい!!
[DVD(字幕)] 5点(2014-12-20 22:10:22)
1154.  セイフ ヘイヴン 《ネタバレ》 
「久し振りです、あの時は助けてくれてありがとう。落ち着いたら連絡する約束だったわね。おかげで私は今、安全な場所に居るわ。心配掛けてごめんなさい。でも、ここは本当に良いところなの」――。第一級殺人事件の容疑者として、警察から追われる身となったケイティ。刑事の決死の追跡をなんとか逃れた彼女は、高速バスへと乗り込み、アメリカ南部の小さな港町へと辿り着く。身分を隠し何もかもを捨ててそんな小さな港町で新たな生活を営むことになったケイティは、そこで男手一つで幼い2人の子供を育てる雑貨店店主アレックスと出逢う。数年前に妻を癌で亡くしたという彼に次第に心惹かれていくケイティだったが、執念深い刑事の捜査網がそんな彼女の幸せな日々を次第に追い詰めてゆく……。これまで、市井の中に生きる様々な人々の人生の一瞬のきらめきを瑞々しく切り取ってきたラッセ・ハルストレム監督の最新作は、そんな恋愛小説の新たな名手と称される作家のベストセラーを原作とした大人のラブストーリーでした。小さなヨットが美しい波間に揺れる静かな港町を背景に、色んな困難を抱えながらも常に前向きに生きる純朴な田舎の人々や大人社会に翻弄される何も知らない無垢な子供たち、そして現れる女を暴力で支配しようという自己中心的な男…。もうまさにハルストレム節と言ってもいいようなそんな個性豊かな魅力に満ちた田舎の人々をセンス溢れる映像で描き出す手腕は今回も安定感抜群でした。さすがにちょっぴりマンネリ気味な感はなきにしもあらずだけど、主人公ケイティが殺人事件の容疑者というミステリアスな設定が良いアクセントとなっていて素直に面白かったです。スタイル抜群のそんな超美人な彼女が、胸元ざっくり開いたTシャツ&短パン姿でチャリンコこいでるとこなんか健康的なエロティシズムが炸裂してて劇中のアレックス同様、僕のハートもイチコロでした(笑)。ただ…、最後のあのまさかのオチは自分的にはちょっぴり蛇足感があったけど(あの唐突な夢のお告げはそういうことだったのですね!)。うーん、自分としては最後までリアル路線で貫き通して欲しかったかな~。それでも、理不尽な現実に翻弄される男と女の切ないラブストーリーとして充分魅力ある作品に仕上がっていたと思います。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2014-12-17 23:56:06)(良:1票)
1155.  LIFE!(2013) 《ネタバレ》 
超有名雑誌『ライフ』を発行する出版社に勤めながらもネガ管理室という地味な部署でこつこつと地道に仕事を続けてきたサラリーマンのウォルターは、ことあるごとに空想世界へと逃避する冴えない独身男。ある日、そんな彼の会社が経営危機に陥り伝統あるライフも休刊することになってしまう。途方に暮れるウォルターの元に、ずっと雑誌の表紙写真を撮り続けてきた世界をまたに駆ける伝説の写真家から、「これは俺の最高傑作だ。これこそ“ライフ(人生)”。まさに伝統あるライフ誌の最後の表紙を飾るにふさわしい」というメッセージと共に数枚の写真が届けられる。誰かの親指、海に浮かぶ小さな漁船、なんだか分からない謎の写真……。だが、すぐに彼は重要な事実に気づくのだった。「あれ、肝心のそのネガだけ入ってない!」。負け続きのこれまでの自分の人生を変えるため、そして想いを寄せるシングルマザーの同僚の気を惹くために、ウォルターはその孤高の写真家を追って広大な世界へと旅立ってゆく――。決して勝ち組とは言えない人生を送ってきた冴えない中年男のそんな人生を変える大冒険をコミカルに描いたヒューマン・ストーリー。うーん、確かにその狙いは分かるのだけど、生まれつき心根がひん曲がった生来のひねくれ者である僕にとってはまったく共感出来ない内容でしたね、これ。「人生は幾つになっても再チャレンジできる!」「チャレンジしないで後悔するより、チャレンジしてから後悔する方が良いに決まってる!」「どんなに地味な人生を送っている平凡な人でもいつかは光り輝く日が来る!!」「だから人生って素晴らしい!!!」と言わんばかりの暑っっっ苦しいメッセージの押し付けに途中からゲンナリしちゃいました。その予告編を見て、駄目中年男の妄想力が大暴走しちゃうハチャメチャコメディだと思って鑑賞した自分としては、完全に肩透かし。要は、こういう明日も前向きに生きていこうと思えるようなド直球の人生賛歌を素直に楽しめる程の心の美しさを僕が持ち合わせていなかったということなのでしょう。すんません、ひねくれ者で!4点!
[DVD(字幕)] 4点(2014-12-13 00:11:06)
1156.  大統領の執事の涙 《ネタバレ》 
アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソン、フォード、カーター、レーガン――。約30年にわたり、そんな7人の名だたる大統領に仕えた、ホワイトハウスの実在の執事セシル・ゲインズの物語を黒人の人種差別との戦いの歴史の中に描き出す社会派ドラマ。物語は、主人公セシルが幼少のころ、まだ黒人が奴隷と変わらない扱いを受けていた今世紀初頭の農場の描写から始まります。その後彼がひょんなことからホワイトハウスで勤めるようになると、社会ではキング牧師やマルコムXといった黒人運動家たちも台頭する。セシルがホワイトハウスで着実にキャリアを積んでゆく中、彼らが起こした公民権運動は道半ばで暗殺や暴力で中断されることに。それでも彼らの“ソウル”を受け継ぐ者たち(主人公セシルの息子もその一人)が地道に活動を続けて、やがて自らの権利を獲得してゆく様を重層的に描き出したところはなかなか見応えありました。この監督らしい、個性豊かな黒人たちをソウルフルに描き出す手腕は今作でも健在。歴代大統領たちとのエピソードも、ちょっとあっさりし過ぎな感もあったけど、豪華な役者陣の熱演もあり素直に良かったと思います。ただ、本作の胆となるだろう、執事としての職務と黒人としてのアイデンティティとの狭間で揺れ動く主人公というテーマがいまいち深く描かれていなかったのが残念。白人に母をレイプされ、父親までも殺され、さらには2人の息子まで奪われそうになる主人公。ここまで理不尽な目に遭いながらもそれでも職務を優先した彼の、抑えきれない魂の雄叫びみたいなものを僕はもっと観たかった。強大な苦難に立ち向かうマイノリティたちの普遍的なドラマとして充分見応えある作品に仕上がっていただけに、惜しい。本作品で全黒人たちの希望の星のように描かれ、あまつさえこれを観て涙を流したと喧伝されるオバマ大統領。彼が就任中、白人警官による17歳の黒人少年射殺事件に端を発する全米規模の大暴動になんら有効な手立てを打ち立てられなかったことを思い返すと、人種差別という病理の根深さに気が滅入る思いです。でもいつか、肌の色など関係なしに全ての人々が平等に暮らせる日がやって来ることを――たとえそれが恐ろしく困難なことだとしても、僕は願ってやみません。
[DVD(字幕)] 6点(2014-12-12 12:35:33)
1157.  ノア 約束の舟 《ネタバレ》 
ダーレン・アロノフスキー監督が巨額の予算を投入して描き出す、旧約聖書中のノアの箱舟の物語を元にした壮大なるスペクタクル巨編。現代ハリウッドの第一線で活躍する監督たちの中でも、僕がその次作を心待ちにする数少ない傑出した才能の持ち主であるアロノフスキー監督。彼のそんな待望の最新作なのですが、これがこれまでの素晴らしいフィルモグラフィーの中で僕が唯一「これはさすがに失敗作やろ~」と言わざるをえない『ファウンテン』という作品を髣髴とさせる問題作でありました。うーん、確かに唯一無二の壮大なる世界観や哲学的で難解なストーリーなどはまぁある一定の水準に達してはいるのだけど、観終わってすぐの率直な感想は、「とはいえ、さして面白くはないよね、これ」でした。旧約聖書はずっと昔に所謂「モーセ五書」だけは読んだのだけど、ノアの箱舟ってこんな話でしたっけ?なんだか神の意思なら我が子をも殺すアブラハム(確かそんな名前だったと思うけど自信なしッッ)の物語とごちゃ混ぜにしているような印象が?まあ、そんなことはどうでもよくなるくらい映画としてみれば普通に退屈でした。特に、画的にも地味な前半1時間はまだ箱舟出来ていないのに、僕の意識が睡魔という名の荒波に漕ぎ出しそうになっちゃったし(ZzzZzz…)。大洪水が起きてからの後半はちょっぴり盛り返したものの、その結末があらかじめ分かっている展開にやはりのめり込めず…。監督、世間では失敗作と評される『ファウンテン』のリベンジをしたかったのかも知れないけど、完全に返り討ちでしたね、これ。うーん、こういうのはこれでもう終わりにして、次は『レスラー』や『ブラックスワン』といった、人間の心の闇や弱さを鮮やかに照射してみせる傑作をまた撮っちゃってください!期待して待ってるよ~ん☆追記・この後、監督はやはり聖書をテーマとした問題作『マザー!』を撮って無事撃沈(笑)。世間からどれだけ悪評を得ようとそれでもやりたいんだったら、僕はもう止めません……。
[DVD(字幕)] 5点(2014-12-11 19:52:35)
1158.  美しい人(2005) 《ネタバレ》 
罪を犯し、刑務所に服役中の37歳の女性サンドラは、幼い娘との面会だけを希望に生きていた。夫と共にこれから幸せになろうという妊娠中の人妻ダイアナは、ある日の買い物中に偶然かつての恋人と再会する。父との深い確執を抱える黒人女性ホリーは、そんな父親と決着をつけるために意を決して実家へと帰ってくる。自己中心的な夫と一緒に金持ちの友人宅を訪れたソニアは、その日も案の定大喧嘩となってしまう。愛が冷め切った両親と暮らすティーンエイジャー・サマンサは、自分の将来について悩みを抱えていた。元夫の新たな妻が自殺してしまったローナは、色々と葛藤を抱えながらも葬儀会場を訪れる。不倫相手と共に小さなモーテルの一室へとやって来た中年女性ルースは、隣室の女性が警察に逮捕されるのを目撃してしまう。乳癌を患い、今まさに乳房の切除手術を受けようとしているカミールは、押しよせる不安に押し潰されそうになっていた。そして、祖母と共に死んだ母親のお墓参りにやって来た幼い少女マギー、彼女は人の生と死というものを少しずつ理解しようとしていく――。9人の様々な女性たちのそんな苦悩に満ちた十数分のドラマを美しい映像でもって切り取ったオムニバス作品。なかなか豪華な役者陣を揃え、そんな短い作品を全て編集なしのワンカットで撮るという、カメラ畑出身のこの監督らしい意欲作でありました。確かに緻密に考え抜かれたであろう流れるようなカメラワークはとても素晴らしかったです!若干パンチに欠けるとはいえ、それぞれのお話も人生の悲哀と喜びを瑞々しく切り取っていて素直に良かったと思います。ただ、個人的にあまり好きになれないお話が何個かあって(特に、妻の葬儀会場なのに再会した元嫁に縒りを戻してと縋りついちゃうウザいヘタレ男の話!)、そこがちょっとマイナスでした。それに、アマンダ・セイフライトの胸の谷間を強調したカメラアングルは、男としてはもちろん嬉しいのだけど、今作のテーマには完全にそぐわなかったですね。総じて、映像が美しい映画ではあったけれど、いまいち共感出来る部分が少ないオムニバス作品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2014-12-08 22:09:55)
1159.  ザ・コール [緊急通報指令室] 《ネタバレ》 
911。それはアメリカにおける、緊急通報システム。日夜、多種多様な人々からの様々な緊急連絡に対応してきた優秀なオペレーターであるジョーダンはある日、とある少女からの悲痛なSOSを受ける。今まさに猟奇殺人犯に捕まろうとしている少女の切実な叫びに、受話器越しに必死に対応するジョーダンだったが、彼女の致命的なミスにより、少女は数日後に遺体となって発見されるのだった――。6ヶ月後、以来現場から退き教官として後輩の育成にあたっていたジョーダンだったが、またしても幼い少女の誘拐事件が発生してしまう。犯人の車のトランクから携帯電話で必死に助けを求めてくるケイシーと名乗る被害少女。いてもたってもいられなくなったジョーダンは、そんなケイシーの命を救うため、再び現場へと復帰すると受話器越しに様々なアドバイスを与えてゆくのだったが……。猟奇殺人犯に拉致された少女と911のオペレーターとの電話越しの遣り取りをスピーディに描くサスペンス・スリラー。90分という適度な尺、小気味よく進む娯楽に徹したストーリー、相変わらずお美しいハル・ベリーの華のある熱演…。まあ、犯人があまりにも頭悪すぎ(死んだと思ってトランクに閉じ込めた被害者の男が実は生きていたって、犯人、脈ぐらい確認しろよー!てか、最初からケイシーを縛っといたら良かったじゃん!笑)ってところがちょっぴり失笑でしたけど、ツボを押さえたエンタメ作品としてはなかなか良かったんじゃないでしょうか。でも、それも中盤まで。ずっと受話器越しの遣り取りのみで被害者を救出すると思われた主人公が、何故かそんな司令室を飛び出して犯人のアジトへと乗り込んでいくって、おいおい(笑)。しかもそこから思いっ切り、『羊たちの沈黙(劣化版)』になっちゃってるし~。挙句の果てに、もうここまでベタでいくなら最後までベタで通してほしかったのに、奇を衒ったような変てこなラストシーンを迎えちゃいます。いやー、いろいろと残念賞な作品でありました。ハル・ベリーの相変わらずスタイル抜群のナイスバディと、反対に誘拐された少女の妙にエロいムチムチ・ランジェリー姿に+1点!
[DVD(字幕)] 6点(2014-12-06 00:41:23)
1160.  インターステラー 《ネタバレ》 
僕のこよなく愛する『インセプション』という傑作を撮ったクリストファー・ノーラン監督の最新作にして3時間に迫るSF大作ということで、久し振りにわざわざ映画館へ――。結論を言うと、無茶苦茶面白かったです。圧倒的なスケールで描かれる壮大な世界観、イマジネーションが奔流のように迸るスタイリッシュで洗練された美麗な映像、哲学的で難解なお話なのにそれを微塵も感じさせない考え抜かれたストーリーテリング……。特に、あの1時間経つと地球時間では7年もの年月が過ぎる水の惑星から帰ってきた主人公が、あの僅かな時間で既に27年も経っていたと知ったときの絶望感といったら凄まじかった。地球時間と宇宙時間のずれを見事に対比させることで、今まで誰も見たことのないような壮大なアクションシーンを創り上げたところなんか、さすが『インセプション』のクリストファー・ノーラン!ブラックホールを越え、予想だにしなかった世界へと迷い込んだ主人公が知る驚愕の真実には度肝を抜かれました。そして、最後に彼が娘との約束を果たすシーンは切なくてちょっぴり泣きそうになっちゃったし。そんな綺麗な円環を閉じながらも、物語は新たな旅立ちの余韻を残す希望に満ちたラストシーンを迎えます。ただただ圧倒されてしばらく席から立ち上がれませんでした。最近、この世界は結局唯物論であり、人間はDNAを運ぶための単なる容れ物にすぎないのではないか。愛だの神だの幸せだといった概念は、所詮は人間が作り出した生きるための勝手な理由付けなのだろうという虚無的な考えに捉われがちな僕なのですが、人間はそんな絶望を乗り越えうる素晴らしい観念(想像力)を持っているということをあらためて教わったような気がします。僕はこの作品から生きる希望のようなものをほんの少し得られました。個人的な好みで言えば『インセプション』の方に軍配が上がるけれど、こちらも映画史にその名を燦然と刻むだろう傑作と言っていい。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-01 22:40:05)
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