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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1865
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1241.  おおかみこどもの雨と雪 《ネタバレ》 
大学で出会った、謎めいた青年は実はおおかみおとこだった――。そんな境遇の違いを乗り越え、彼へと惹かれていく女子大生・花はやがて彼の子供を身篭ってしまう。誰にも知られず、都会の片隅でささやかな幸せを育んでいく花とその家族たち。だが、現実は何処までも残酷でおおかみおとこである彼は不慮の事故により帰らぬ人に。生きていくのが難しい都会に見切りをつけ、花は愛する二人のおおかみこどもと共にのどかな田園風景が拡がる田舎へと移り住むのだった。純朴で優しい村の人々、辛いけど遣り甲斐のある農作業、そして静かに巡りくる四季折々の美しい自然の風景…。様々な困難に出会いながらも、子供たちはそこで少しずつ大人になってゆく。普段、ピクサーとジブリくらいしかアニメは観ないのだけど、この監督の前作「サマーウォーズ」のそのいかにも童貞中高生が夢見そうなラブコメワールドには辟易させられたものの、そのシャープでポップな映像はなかなか良かったのと、それに公開当時けっこう話題になっていたのとでこの度鑑賞してみました。確かに、何処までものどかな田舎の春夏秋冬を瑞々しく描き出す映像は相変わらず美しかったのだけど、やっぱり今回もいかにも若い男の子が夢見そうな甘っちょろ~いストーリーには辟易させられました。何処までも綺麗で優しい理想的なお母さん像、思春期を迎えたお姉ちゃんのいかにもな初恋描写、そして弟はおおかみと人間の間で揺れ動くアイデンティティの脆弱さに(あくまでクールに)思い悩む…。もう全てがベタで甘いです。子供を持つ親なら誰もが声を揃えてこう言うでしょう、「子供は、こんな簡単に育てられんつーの!」。この監督さん、センスはかなり良いと思うので、次はもう少し大人な視線をもって作品を創ってくれることを期待します。
[DVD(字幕)] 5点(2014-05-12 18:46:24)
1242.  バッド・アス(2012) 《ネタバレ》 
始まりはバスの中だった。俺がいつも使う路線144だ。ある事件が起きた。俺の人生を劇的に変える事件が――。かつてベトナムで戦った国の英雄フランクも退役すると路上のホットドック売りとなり、気が付くと初老の域に差し掛かっていた。このまま平凡な人生で終わるのだろうと思われたある日、バスの中で調子に乗っていたチンピラどもを颯爽とやっつけた動画がネット上で公開され、彼はいちやくヒーローに。そんなおり、フランクの大の親友が無残にも路上で殺されるという事件が起きる。警察は役に立たない。〝バッドアス(イカれたヒーロー)〟と祭り上げられていた彼は、そんな風潮に後押しされるかのように、親友の無念を晴らすため、悪逆非道なチンピラどもを叩きのめしていくのだった。ダニー・トレホ主演だし、もっとロドリゲスの「マチェーテ」みたいなぶっ飛んだ世界を期待して観たのだけど、意外にも普通のB級アクションでしたね、これ。ネット上で話題になり世論に祭り上げられて暴走してしまうヒーローという現代風のテーマもストーリーに上手く絡んでおらず、観終わってみれば、スティーブン・セガール風のよくある凡庸な復讐物でした。もうちょっと新しい切り口が欲しかったですね。まあ、ダニー・トレホの常に短パン&ウエストポーチという休日のお父さんみたいな格好なのに、どこまでも無敵なオヤジっぷりはなかなか良かったですけど。あと、ダニー・トレホの回想シーンで彼の若かりし日を演じる俳優が肌つるつる過ぎて、あんた思い出美化しすぎって思わず突っ込んじゃいました(笑)。
[DVD(字幕)] 5点(2014-05-09 00:00:25)
1243.  エンド・オブ・ウォッチ 《ネタバレ》 
俺は警官だ、お前を逮捕する。法律は俺も嫌いだが、犯罪者は鉄の檻にぶち込む。殴られれば殴り返す。撃たれたら撃ち返す!だが、警官だって人間だ。血も流せば、悩み苦しみ、人を愛しもする。それでも俺たちは仲間のためなら身を投げ打ってでも助けに行く。バッジと銃を持つ運命、今日も俺は相棒とともに街へと繰り出す――。世界でも有数の治安の悪さを誇る大都会LAで、警官として多忙な日々を送るブライアンと彼の相棒マイクとの常に死と隣り合わせの危険な日常を、ドキュメントタッチの乾いた映像で描くポリスアクション。冒頭から、彼らの車載カメラと手にしたビデオカメラのブレブレ映像が続き、これはいわゆるPOV作品の警察バージョンなんだろうな~と思いながら観ていたのだけど、完全にそうでもなくて、場面転換に夜の街の空撮映像が差し挟まれていたり、現場へと踏み込んでいく場面で急に二人の後からその姿を追う神視点の映像に切り替わったりと、その二つの映像を使い分ける絶妙のバランス感覚に監督のセンスを感じました。おかげで彼らと凶悪な犯罪者たちとの鬼気迫るようなやり取りや、緊迫感溢れる銃撃戦など、まるで自分もその場に居合わせたような臨場感を味わうことが出来たっす。それにしてもアメリカの警察にだけは絶対に就職したくないですね~、片目にナイフをズバッとなんて目には死んでも遭いたくない(笑)。最後に描かれる、そんな危険な日常を少しでも和らげようといつものように軽薄でくだらない会話を交わす彼らの姿が、その後の哀しい展開を思うとなかなか切ない余韻を残してくれます。ただ、中盤の中だるみ感はもう少し何とかして欲しかったですかね。結婚式のシーンをもう少し削って、90分くらいに纏めてくれればもっと良かったかなとも思いました。いやー、それでもけっこう面白かったっす。
[DVD(字幕)] 6点(2014-05-06 21:26:33)(良:1票)
1244.  孤独な天使たち 《ネタバレ》 
団体行動が苦手で学校でも浮いた存在である14歳の少年ロレンツォは、過保護で口うるさい母親から少しでも離れたくて、スキー合宿へと参加すると嘘をつき、いまは離れて暮らす父親の所有する地下室へと勝手に潜り込むのだった。数日間の孤独なバカンス、水槽に飼育された蟻の巣を眺めたり、好きな音楽を聴いたり、そんな自由気儘な生活を謳歌しようとした矢先、彼の腹違いの姉オリヴィアが「何処にも行き場所がないの。お願い、中に入れて!」と強引に転がり込んでくる。がさつで無神経なそんな彼女に、当然のように出て行くことを強要するロレンツォ。だが、オリヴィアが麻薬中毒から必死に立ち直ろうとしていることを知った彼は、そのアルマジロの皮のように硬い殻で覆われた孤独な心を少しずつ開いてゆく…。都会の片隅、誰も知らない暗い地下室での数日間に限定された姉と弟の屈折した交流を繊細に描き出す、巨匠ベルトルッチ監督の約10年ぶりとなる待望の復帰作。いやー、齢70を過ぎて、まだまだこんなに鬱屈した少年の心理を瑞々しく描けるなんて、さすがはベルトルッチですね。そんなブランクを微塵も感じさせない気品に満ちた青春ドラマの佳品でありました。舞台はほぼ薄汚れた地下室のみ、登場人物もほぼこの少年とその姉のみなのに、見事な手腕でもって構築された刹那的で深い物語世界に、最後までしっとりと浸ることが出来ました。最初はいけ好かない印象の姉が、実は夢破れた孤独な少女として少しずつ弟と心を通わせてゆき、次第に外の世界へと興味を向け始めていく自然な描写とか、もうさすがの貫禄。病のせいで、映画製作から遠ざかっていたというベルトルッチのこの10年間がつくづく残念でなりません。
[DVD(字幕)] 8点(2014-05-05 11:57:40)
1245.  チャイルドコール 呼声 《ネタバレ》 
夫の激しい暴力から逃れ、支援者らの協力のもと、小さなアパートへと越してきた親子アナとアンデシュ。新たな地で生活を立て直そうとする彼女たちだったが、異常なほど心配性のアナは、もう8歳になる息子のためにチャイルドコールを購入するのだった。ところがある夜、そんな無線機に息子とは違う子供の虐待される悲痛な叫び声が混線してしまう。当然のように困惑するアナ。そしてそのことがきっかけで、ようやく手に入れた彼女と愛する息子との安穏な生活は次第に壊れ始めてゆくのだった。忍び寄る夫の影、いつの間にか息子の身体に出来ていたあざ、何度も失われるアナの記憶、そして虐待していたと思しき隣人の怪しい行動…。冒頭から、そんな謎に満ちたストーリーと画面に横溢する常に何かとてつもなく嫌なことが起こりそうな不穏な雰囲気とでなかなか惹き込まれましたね、これ。こういう謎が謎を呼ぶミステリアスでダークな作品、もろ自分の好みっす。登場人物誰もがみんな怪しい悪意を隠し持っていそうな感じとか、けっこうじっとりとした怖さでゾクっときちゃいました。これでオチがしっかりしていれば傑作になるぞ!とワクワクしながら観ていたのですが、残念ながら最後に明かされるこのオチはさすがに強引過ぎますって(真相は実はお母さんの〇〇だった。でもだとしたら、これとあれの辻褄が合わんと思ったら、実は子供は△△だったのだって、おい!笑)。と、オチがちょっぴり残念賞でしたけれど、この全編を覆う不穏な空気と鑑賞後の(良い意味で)後味の悪~い余韻とかは充分堪能できました。大マケして7点っす。
[DVD(字幕)] 7点(2014-05-04 20:01:22)
1246.  2ガンズ 《ネタバレ》 
メキシコの凶悪な麻薬王パピとヤバい取引を続けているワルの二人組み、ボビーとスティグにはお互いに隠している裏の顔があった。ボビーは麻薬取締局の潜入捜査官、スティグはアメリカ軍の特命を担う兵士だったのだ。パピを牢屋へとぶち込むため、彼の裏金を隠してある銀行を襲うことに決めた2人だったが、様々な組織や人間たちの思惑から事態は意外な方向に。凶悪なギャングたち、麻薬取締局、アメリカ軍、果てはCIAまでが乗り出してきてお互いに騙し騙されの賑やかな展開が続くアクション・エンタメ作品。デンゼル・ワシントン&マーク・ウォールバーグという2大人気俳優が競演した、オーソドックスなバディものと思いきや、途中で敵同士になったり、やっぱり相棒に戻って敵と戦ったりと、そんなテンポ良く進む娯楽に徹したストーリー展開は確かに好感が持てるのだけど、ちょっと僕の好みではなかったですね、これ。なんだか全体的に無難で作りが優等生に過ぎて、心に残るものがいまいち乏しかったです。ロドリゲスまでとは言わないけれど、ラテンのノリが支配するメキシコが舞台なんだし、もうちょっと無茶苦茶で馬鹿やってくれても良かったと思うんだけどな~。アクの強いデンゼルと何処かお間抜けなマークの飄々とした相棒っぷりはなかなか楽しかったけど、明日には速攻で忘れてしまいそうな作品でありました。でもまあ、これは好みの問題。ビールと枝豆片手に暇潰しに観る分にはぼちぼち楽しめると思いまーす。
[DVD(字幕)] 5点(2014-05-03 19:43:13)
1247.  トゥ・ザ・ワンダー 《ネタバレ》 
フランスとアメリカ。シングルマザーとして愛する娘と暮らす美しい女性と、嫉妬深い無骨な男、そして現実の残酷さに思い悩む牧師――。彼らの長年のわたる愛と葛藤のドラマを、詩的で静謐な映像美のなかに描き出すいかにもテレンス・マリックらしい難解で哲学的な物語。もう、冒頭から徹底的に説明を排除したキリスト教の啓蒙ビデオのような良く言えば芸術的、悪く言えば退屈な映像に、これまたいかにもこの監督らしい、意味があるのかないのか、さっっっっぱり分からない抽象的で小難しいモノローグが延々と続き、はっきり言ってうんざりしちゃいました。こういう雰囲気ごり押しの理解できる人にだけ分かってもらえればそれで満足なんだよと言わんばかりの作品って、やっぱり個人的に大嫌いです。頭の悪い僕には、開始10分ですぐに酷い睡魔が雪崩のように押し寄せてきて最後まで観るのがホント苦痛で仕方なかったっす!と、この監督の作品はもういいやって、毎回観る度にそう思うのだけど、何故か主演俳優だけは毎回豪華で魅力的で(だって今回はベン・アフレック&バルデム、前回はショーン・ペン&ブラピ、その前はジョージ・クルーニーなんだもん!)、それだけで結局観ちゃうんだよねー。次こそ絶対に観ないと心に固く誓うのだけど、もしディカプリオやジョニー・デップが出たりなんかするとやっぱり気になって観ちゃうんだろうな~。もう、やんなっちゃう(笑)。
[DVD(字幕)] 3点(2014-05-02 00:18:55)
1248.  サウンド・オブ・ノイズ 《ネタバレ》 
街にあふれるゴミみたいな音楽に反撃するのよ。そう、私たちの力で絶対に忘れられないコンサートを開くの――。そこら中に普通にある物を使ってゲリラ的に自分たちの楽曲を演奏する音楽テロリストが、とうとうこれまでの集大成ともいえる計画を実行に移すのだった。痔の治療を行う手術室、音楽とは無縁の静かな銀行、噴水のある街の広場…。彼らによって何気ない街の風景が次々と違法な演奏会へと変えられてゆくなか、音楽嫌いの無骨な刑事が懸命に彼らのあとを追い始めるのだった。平凡な街並みで突然に行われる前衛的な演奏会をコミカルに描く、北欧発の意欲作。うーん、なんだかアイデアのみが先行してしまい、映画としてみればいまいち何がしたいのかよく分からない作品だと僕は思いました。いったい彼らは何故にこんなことをするのでしょう?自己満足?純粋な芸術表現?退屈な社会への反発?そこのところがいまいちつかめないせいで、残念ながら僕はうまく作品世界に入り込めなかったです。犯人の音楽に触れた物の発する音が聞こえなくなるという刑事の設定もいったい何の意味があったのかよく分かんなかったし。それに、僕が音楽おんちなせいか彼らの奏でる楽曲の数々にもあんまり魅力を感じず…。うーん、ごめんなさい、4点っす。
[DVD(字幕)] 4点(2014-05-01 11:51:17)
1249.  トランス(2013) 《ネタバレ》 
高級な絵画をオークションにかける会社で働くサイモンは、ゴヤの大作「魔女たちの飛翔」が落札にかけられるその日、仲間たちとある計画を実行にうつすのだった。それは大胆にもその高額な絵画の強奪。しかし、彼の予想外の裏切りによりそんな絵画は何処かへと隠されてしまうことに。当然のように怒り狂うリーダーの拷問にもなかなか口を割らないサイモン。なぜなら彼は、頭を強打されたことで記憶をきれいに失ってしまったのだった。仕方なく、リーダーは催眠療法士の美しい女性を利用して彼の失われた記憶を甦らせようとするのだったが、各々の隠された思惑と過去の出来事が複雑に交錯し、事態はどんどんと思わぬ方向へと転がり込んでゆく。催眠状態に陥った一人の男の隠された深層心理を極彩色でポップな美しい映像と軽快でノリの良い音楽とで、スタイリッシュに描き出す映像作家ダニー・ボイルらしい佳品でありました。いかにも賛否両論分かれそうな作品だろうけど、僕はけっこう好きですね、このまるで万華鏡の中へと紛れ込んだような独特の世界観。まあ、ストーリー展開や設定はよくよく考えたら突っ込みどころは満載ですけど、エンドロールが流れ始めるまで、このポップでサイケな映像で描き出された、一人の男の疾走感溢れる脳内トランスワールドに素直に酔いしれることが出来ました。ときおりはさまれるシュールなエログロ描写もなかなか良かったです(むちゃくちゃ顔の濃いヒロインの股間が全くの無毛だったという、なんじゃそりゃー!なフルヌードにはびっくり仰天ッ笑)。どことなく「エターナル・サンシャイン」を髣髴とさせるこの作品、うん、見事に僕の好みとマッチしておりました。ちょっぴりおマケして8点…、いや、やっぱ7点かな~。
[DVD(字幕)] 7点(2014-05-01 08:51:59)
1250.  マニアック(2012) 《ネタバレ》 
街の片隅で、親の代から続くマネキン工場を営む孤独な青年フランクには誰にも言えない秘密があった。それは、幼少期に実の母から受けた虐待が原因で、女の頭皮に異常なまでの執着をみせるという、抑えきれない歪んだ欲望。そう、実際に街で見かけた女を殺しその頭皮を剥いでマネキンの頭部へと貼り付けてコレクションするほどに――。偶然知り合った新進気鋭の女性芸術家アンナへとその歪んだ欲望を向けたことから、そんな彼の精神はさらなる狂気の深淵へとはまり込んでいくのだった。という、ストーリー自体はもう何処にも一ミリたりとも新しい部分の全くない超ベタベタなサイコ・サスペンスなのですが、本作は全編をそんな異常なサイコキラーの主観目線で描いたというのが新しいところですね。モキュメンタリーとかじゃなく、ほんとにずっと精神異常者視線でストーリーが語られていくため、まるで自分が何の罪もない女を殺してその頭皮を剥ぎそれを貼り付けたマネキンに取り囲まれて「ハアハア」言いながら恍惚としてるみたいな気分にさせてくれます(まあ、ほとんどの人は積極的にあまり味わいたくないだろうけどッ笑)。いやー、とにかく気持ち悪いだけの作品でした。いわゆるPOV亜流な設定なので、ストーリーに深みや情緒なんて欠片もありません。もう蝿がたかる血だらけのマネキンとか、その腐臭が今にも臭ってきそうで不愉快千万(笑)。でもまあ、ここまで人を不快にさせる映画を撮ったスタッフたちの情熱(特に終始いや~な目付きの気持ち悪いイライジャ・ウッドがぐちゃぐちゃになっちゃうラストは必見!)は、良くも悪くも賞賛に値します。よって6点。
[DVD(字幕)] 6点(2014-05-01 00:15:31)(良:1票)
1251.  エリジウム 《ネタバレ》 
人口爆発により社会秩序が著しく荒廃した未来の地球。一握りの富裕層は、宇宙空間に建造した巨大な宇宙ステーション〝エリジウム〟に移り住み、何不自由ない豊かな生活を謳歌していた。反対に地球に残された人々は、ロクな医療も受けられない、ゴミと瓦礫と犯罪がはびこる世界で虫けらのような生活を強いられていた。元犯罪常習者のマックスもそんなごみ溜めのような街で、鬱屈した思いを抱えながら巨大企業の工場で働いていたのだったが、ある日、不慮の事故により有害物質を全身に浴びてしまう。「残念ながら君の命は5日ともたないだろう…」と理不尽にも解雇されるマックス。怒りに燃える彼は、凶悪な犯罪者の力を借りてそんな会社の社長を誘拐する計画を立てるのだったが、図らずもそれは理不尽なこの世界を変えるきっかけとなってゆくのだった。「第9地区」という、社会の貧困や理不尽な格差や差別を真正面から描きながら、内容はあくまで良質のエンタメSF映画(ちょっぴりB級っぽい)という、かなり斬新な作品で鮮烈なデビューをかざったブロムカンプ監督。満を持して放つ新作は、巨大予算&有名俳優陣を存分に使って製作したSF超大作でした。冒頭から、見渡す限りバラックが建ち並ぶスラムで懸命に生きる人々の隣に普通に銃を持ったロボットが闊歩していたり飛行船が飛び交っていたりという、この監督らしい猥雑な世界観に否が応にもテンション上がっちゃいました。いやー、良いですね~、この乾いた感じ。社会の底辺で暮らす人々のエネルギッシュな描写や細部にまで拘り抜いたSF愛、そして一癖も二癖もある個性的なキャラクターたちが織り成すスピーディーなストーリー展開、うん、充分面白かったっす!特に社長誘拐シーンでのスローモーションを多用した銃撃戦描写とかかなり格好良くて痺れちゃったよ~。ただ、さすがに気負いすぎたのか、後半から若干散漫な展開が続き、いまいちクライマックスが盛り上がらなかったところが残念でしたね(特にジョディ・フォスターの見せ場があんまりなかったとこが不満爆発!)。でもまあ、新鋭監督の次回作に期待を込めて7点っす。
[DVD(字幕)] 7点(2014-04-29 19:00:25)
1252.  アップサイドダウン 重力の恋人 《ネタバレ》 
これから僕が語るのは、宇宙で唯一の〝二重引力〟が存在する太陽系での世界を変えることになったある愛の物語だ――。特殊な磁場が働き、上下双方の重力が存在する特異な双子惑星。上に位置する世界には何不自由なく暮らす富裕層が住み、下に位置する世界には貧しい人々が鬱屈した毎日を過ごし、そしてお互いの世界の交流はタブーとされていた。だが、二つの惑星を結ぶ賢者の山でエデンという女の子と運命的な出逢いを果たしたアダムは、そんな禁忌とお互いの重力を乗り越え愛を育んでいくのだった。しかし、世界を牛耳るトランス社によって引き離されてしまう2人。10年後、トランス社で働く彼女と再会を果たすため、アダムはそんな重力の壁を乗り越えうる画期的な発明品を手にとうとうトランス社に踏み込んでいくのだが、悲しいことに彼女は過去の記憶をすっかりなくしていたのだった…。上と下からの二つの重力に支配された特異な世界を独創的で美しい映像で創り込みながらも、ストーリー自体は超古典的な「ロミオとジュリエット」風純愛ラブストーリー。もう徹底的にアイデア勝負のこの独特の世界観は確かに秀逸だと思うのだけど、さすがにちょっとストーリーがおざなりに過ぎますね、これ。都合よく記憶をなくしたヒロインが物語の途中でこれまた都合よく記憶を取り戻したり、強大な権力を持っているはずのトランス社がかなり甘々なセキュリティだったり、そしてかなり投げっ放し感MAXな強引なオチだったり…。うーん、もうちょっと脚本を練って欲しかったっす。それでも、今までになかった斬新な映画を創ってやろうというこの監督の迸るような情熱は、その画面の端々にまで拘り抜いた出色の映像からビシバシ伝わってきました。ようやく相思相愛になれた2人が空中をクルクル廻りながら抱き合ったりとか、こんな変てこなラブシーン初めて見たし(笑)。そんなわけで、この設定は斬新なのにストーリー自体は青臭い恋物語、突っ込みどころ満載ですけどけっこう楽しめました。文字通り、身体がホントに燃え上がりそうになりながらそれでも彼女の前ではスマートなデートの終わり方をしたかったアダムの童貞っぽい感じとかも、素直に共感出来たしね。どんな世界でも男ってやっぱりアホだなあ~(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2014-04-28 00:18:03)
1253.  ローン・レンジャー(2013) 《ネタバレ》 
1869年、ゴールドラッシュに沸くアメリカ・テキサス州。自らを法と正義の番人と自負する、頭のお固い新人検事ジョンは、故郷へと帰る列車の中で、偶然、顔に妙な模様を描き常にカラスの死骸を頭に乗っけているはぐれ者のインディアン・トントと出会う。その外見以上に頭のネジが何本も抜け落ちたような変わり者の彼に、当然のように反発するジョンだったが、ひょんなことから一緒に凶悪な犯罪者を追ううちに、何故かマスクマンとなって、奇想天外な冒険の旅へと出発することになるのだった。男前で正義感の強い超オーソドックスな主人公と、そんな彼と全く正反対な超へんてこキャラがタッグを組み、コメディとシリアスの狭間を絶妙なバランス感覚で描く、いかにもヴァービンスキーらしい冒険活劇。と聞くと、やっぱりあの「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズを思い起こさせるのだけど、残念ながら今作は「パイレーツ~」に比べて魅力的なキャラクターに乏しいせいか、冒険活劇にもっとも大切な要素であるワクワクドキドキ感が全体的に下がった感が否めなかったですね。特に、一番の悪役が誰かよく分からないせいでストーリー展開が最後までいまいち盛り上がりに欠けるってところが残念でした。うーん、もっとファンタジックな設定にして、悪役たちをあの骸骨海賊ばりにグログロ集団にしてくれた方が作品世界にアクセントが利いて良かったと思うんだけどな~。監督があまりにも西部劇に拘りすぎて、彼お得意の遊び心がいまいち空回りしちゃってる印象が強かったです。それでも最後の、列車二台を並走させながらの様々なキャラクターたちが入り乱れて大活躍する、もう王道まっしぐらなクライマックスシーンはやっぱりさすがの出来でしたね。そこは素直に楽しめました。あと、ジョニー・デップ&ヘレナ・ボナム・カーターの共演シーンで、いつ彼が彼女を殺すのかとハラハラしちゃうのは、確実にティム・バートンの悪影響っす(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2014-04-27 00:02:03)
1254.  シェルタリング・スカイ 《ネタバレ》 
この美しい空を見上げてごらん、この茜色の大空はね、僕たちを守ってくれているんだ、宇宙という無限の虚空から――。結婚生活10年目にしてお互いの愛の微妙な擦れ違いに悩む夫婦キットとポートは、若い共通の友人ターナーを伴ってアフリカの大地へと降り立つ。「無計画こそが私たちの計画なの」と、原生的な生きるエネルギーに満ち溢れたアラブ人たちに混ざり、広大なサハラ砂漠をただ刹那的な愛を求めて彷徨うそんな夫婦の姿を雄大な大自然を背景に描き出す、ある愛の物語。赤を基調とした暖色系の美しい映像と情熱的で壮大な音楽(全盛期の坂本龍一教授の生み出す旋律が胸に染みます)とで、この倦怠期の夫婦が若い男を媒介に冷めた愛を再び燃え上がらせようとするというなんてことないストーリーなのに、なんだか哲学的で深い映画に仕上げてしまうところは、さすがベルナルド・ベルトルッチですね。とにかく砂漠の映像が美しいです。風が吹けばそこら中に砂砂砂、市場に行けば肉にたかる蝿蝿蝿、アラブ人はみんな髭髭髭、このひたすら濃ゆ~いのに何故か知的で高尚な雰囲気を漂わせる美しい世界観には、素直に酔いしれることが出来ました。ただ、そんな映像で綴られるストーリー自体はあまりにも淡々と進むため少々退屈なところはちょっぴり残念でしたね。それでも、このどんなに情熱的な愛であろうと崇高な人間の魂だろうと最後は何もかも無機質な砂へと呑み込まれて無くなってしまうんだと言わんばかりの無常観に必死で抗おうとする人間たちの根源的な苦悩を、ラクダが闊歩する雄大な砂漠のなかに象徴的に描いた、いかにもベルトルッチらしいなかなかの良作でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2014-04-24 08:46:40)
1255.  レイチェルの結婚 《ネタバレ》 
かつて麻薬という魔物にどっぷりとはまり込み、様々な人を傷つけ、大切なものをたくさん失ってしまったキム。更正施設での長年にわたる治療の末、何とか立ち直ることが出来た彼女は、姉レイチェルの結婚式に出席するために久し振りに実家へと帰ってくる。だが、幸せいっぱいの姉の姿を見ているうちに、キムはやっぱり問題行動を起こし、周りの人々や家族たちに迷惑をかけまくってしまうのだった。人生の節目を迎え幸せになろうとする姉と、人格的に問題のあるその妹との、家族や友人たちをも巻き込んだ葛藤を、まるでホームビデオで撮ったようなリアリティ溢れる映像で綴るファミリードラマ。「羊たちの沈黙」や「フィラデルフィア」でその名声を欲しいままにしたものの、その後はパッとしない印象のジョナサン・デミ監督の作品なのですが、あの頃のもう画面の端々にまで漲っていた不穏な緊迫感は完全に雲散霧消してしまい、なんだか知り合いの大して面白くもない結婚式の映像を延々と見せられたような退屈な作品でありました。「結婚式ってホント大変!」そりゃそうかも知れませんけど、それを延々と映画として観せるには、もっと新しい切り口がなきゃ駄目だと思うんですけど、この作品はどうにもそれが弱いと感じます。まるでホームビデオで撮ったような手振れ映像をそのまま使っているにもかかわらず最後までストレスなく観られるところや、軽快でノリの良い音楽、「結局、家族は仲良くなれませんでした…」な印象的なラストシーンなどは良かったとは思うんですけど、もっと映画として突出したところが欲しかったですね。ジョナサン・デミ作品なんだし、この結婚式にレクター博士がやってきてそんな家族の葛藤とか知るかぁ!って感じでえらいこっちゃ展開を見せてくれるとか(笑)。
[DVD(字幕)] 5点(2014-04-22 00:32:25)
1256.  リリィ、はちみつ色の秘密 《ネタバレ》 
1964年、公民権法が成立したものの、まだまだ人種差別の病根が色濃く残るアメリカ南部。農場で働く父親と二人で暮らす14歳の少女リリィにはとある秘密があった。それは4歳のときに、銃の扱いを誤って母親を殺してしまったという哀しい過去だった。以来、酒に溺れる父親の暴力に怯えながら暮らしてきたリリィだったが、とうとう我慢の限界を迎え、黒人の使用人ロザリンと共に家を飛び出すことに。ヒッチハイクしながらそんな二人が向かった先は、個性豊かな黒人姉妹たちが営むのどかな養蜂場だった。そしてそこは、リリィの母親が子供時代を過ごした地でもあったのだった――。美しい田園風景が拡がるアメリカの田舎町を舞台に、理不尽な現実に翻弄されながらも必死に生きる市井の人々の姿を瑞々しく描き出すヒューマン・ストーリー。いやー、この監督さん、予想だけどラッセ・ハルストレムの影響をかなり受けてますよね。彼の作風をこよなく愛する自分としては、この田舎の養蜂場を舞台に描き出された詩的で瑞々しい世界観はけっこう堪能できました。特にそれぞれ個性的な黒人姉妹たちの恋や葛藤やトラウマを優しい視線で描き出すこの手腕はなかなかのもの。ただ、ちょっとエピソードを盛り込みすぎてちょっぴりテーマが散漫となってしまったところが残念でしたね。母親を殺してしまったというトラウマを必死に乗り越えようとするリリィの物語なのか、はちみつをこよなく愛する姉妹たちの愛情物語なのか、人種差別と戦う黒人たちの葛藤の物語なのか、どれか一つに軸をしぼって描いた方がもっと良かったと思います。あと、ダコタ・ファニング、確かに美少女ではあると思うんだけど、世間の多くの老若男女に愛されるだろう子供の頃の安達祐実風優等生的美少女なので、残念ながら僕のロリコンレーダーにはそんなに響きませんでした。このころのクロエ・グレース・モレッツが主演してたらもっと点数上がったんだけどねー。クロエちゃんが、黒人青年の指に付いたはちみつをねっとり舐め取るシーンが個人的に見たかったっす(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2014-04-20 00:15:18)(笑:1票)
1257.  シャンドライの恋 《ネタバレ》 
政情不安にゆれるアフリカの何処かの貧しい国。反政府活動を疑われた夫が理不尽にも投獄されて独りぼっちになってしまった若く美しい人妻シャンドライは、身の安全を図るため難民としてローマへと移り住むことに。親戚が遺した遺産で悠々自適の生活を送るピアニストのキンスキーのアパートで、投獄された夫のことを気遣いながらも、シャンドライは看護婦を目指して新たな生活を始めるのだった。そんなある日、突然大家のキンスキーから愛の告白をされる。あまりにも違うお互いの境遇に、最初は反発を覚えたシャンドライだったが、彼の無垢な心と優しさに触れて次第に気持ちが揺れ動いてゆく…。映画監督としてノリにノッていたベルナルド・ベルトルッチが、ラスト・エンペラーやシェルタリング・スカイといった大作映画の後に、良い意味で肩の力を抜いて撮っただろう、小品ながらも愛すべき作品でした。まるで絵画のように美しいローマの街並みを背景に紡がれる、極端なまでに無駄を削ぎ落としたシンプルでありながら深いストーリー、全編を彩る情熱的なのにあくまで上品で静謐な音楽の数々…、もうベルトルッチの素晴らしい才気が画面の端々に漲っています。そして、何より魅力的なのは主人公のシャンドライ。きれいで可憐な容姿にもかかわらず、胸には熱い情熱を秘めた彼女の魅力に最後まで惹き付けられました(僕がいままで見てきた黒人女性の中では一番と言っても過言じゃないくらい、笑顔がかわいかったっす笑)。そんな彼女の心に芽生えた小さな恋心が徐々に高ぶり、最後は官能的でとても美しいラストシーンへと導かれていく、その丁寧でスリリングな心理描写はもうさすがの一言。最後、シャンドライがあのドアを開けるのかどうか、それを明示しないまま終わるのも印象的な良い余韻を残してくれます。小品ではあるけれど、久し振りに「ああ、良い映画観たなぁ…」と心から思える作品に出会えました。お薦めっす。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-17 18:41:25)
1258.  白いリボン 《ネタバレ》 
第一次大戦前夜、ドイツ郊外にある平凡な田舎町。地主である横柄で嫌味たらしい男爵のもと、村人たちは日夜野良仕事に従事していた。ある日、そんな彼らの一見平凡に見える日常を不穏な出来事が襲い始める。木の幹に巡らせた針金によって村唯一の医者が馬から滑落し、小作農の妻が事故死し、復讐心から彼女の息子がキャベツ畑を無茶苦茶にする。そして、とうとう男爵の幼い息子が暴行されて磔の状態で発見されるという大事件まで発生してしまうのだった。激怒する男爵やおののく村人たちの間に次第に相互不信や悪意が侵食しはじめ、やがて更なる悲劇が村を襲う――。誰もが目を背けたくなるような、人間の悪意や理不尽な現実を圧倒的な負のエネルギーで映像化してきたミヒャエル・ハネケ監督らしい、そんな村人たちの隠された悪意や暴力衝動を美しいモノクロ映像で淡々と描き出すカンヌ映画祭グランプリ受賞作。ずっと僕とは感性が合わないと敬遠してきたハネケ監督の代表作で、しかも2時間20分もあるモノクロ作品ということで、あんまり期待せずに観始めたのだけど、予想外に良い映画でしたね、これ。中盤までは、あまりにも淡々と続くストーリー展開と誰が誰だか分かりにくい登場人物が織り成す複雑な人間関係に辟易していたのですが、どんどんと平穏だった村を侵食しはじめるそんな不穏な空気がモノクロ映像とばっちり嵌ってきて、最後は「なんて深く美しい映画なんだろう」と素直に感動です。男爵も医師も村人たちも、そして無垢だと思われていた子供たちも、それぞれに鬱屈した心を抱え込み、そんな誰かの暴力衝動がやがて酷い悲劇に繋がってゆくのに、その真相は誰にも分からない…。そんな第一次大戦前夜のドイツを覆っていたであろう暗い雰囲気を小さな村の中に象徴的に描き出すことに成功しています。第一次大戦敗北→屈辱的な国家賠償→社会の不安定化→ナチズムの台頭→日独伊同盟→第二次大戦勃発→そして、悲劇的なホロコースト…。誰も全体像を把握できないまま、何かとても悲惨な出来事が起こっていることを誰も正面から認識せずにそんなかつてない悲劇へと突き進んでいったドイツの、萌芽と呼ぶべきものがここにはある。正直、もう一度観るにはかなりのエネルギーがいりますが、淫靡で不穏な美しさに満ちたなかなかの良作。
[DVD(字幕)] 8点(2014-04-15 19:48:44)
1259.  ランズエンド -闇の孤島 《ネタバレ》 
アルツハイマーを患う元刑事を父に持つ、兄弟ジョーとクリシー。彼らもまた現役の刑事として、多忙な毎日を過ごしていた。ある日、12歳の幼い少女が無残な惨殺死体となって発見される。すぐに容疑者として逮捕された男は、過去に猥褻事件を起こし、なおかつ被害者のベルトのバックルを保持していた。「こいつが犯人に違いない…」そう確信する兄ジョーだったが、決定的な証拠に欠けるため釈放されることに。人の親として我慢ならなかったジョーは、酒の勢いを借りて釈放された彼を夜の孤島へと連れ出し激しく問い詰めてゆくうちに激高して思わず殺害してしまう。裁きを下しただけだと自分を納得させ、弟と共に死体を処理したジョー。だが、その後、図らずも真犯人が発見されてしまうのだった――。罪の意識に次第に追い詰められてゆく兄弟の姿を丹念に描いた重厚なサスペンス作品。前半、ちょっぴり散漫で分かりにくい演出が続き、「うーん、これはどうなんだろ…」と思って観ていたのだけど、真犯人が逮捕される中盤辺りから徐々に緊迫感が増していき、なかなか良かったですね、これ。過ちを犯してしまう兄弟、崩壊の危機へと向かう彼らの家族や恋人たち、少しずつ疑いの目を向け始める同僚の刑事、そしてアルツハイマーによって意識を混濁させながらもそれでも息子たちを助けようとするお父さん…、各々の思惑が絡み合う先の読めないストーリー展開は見応え充分でした。特に印象に残ったのが、殺された容疑者の母親。かつて猥褻事件を引き起こした息子を、信じてやれなかった自分に自責の念を募らせてゆき、必死に息子を捜してビラを配る姿など見ていてやり切れないですね。次第に狂気じみてゆく兄の精神世界の描写もなかなか好みでした。主要テーマとなるだろう無人島描写が最後まで上手く効果を発揮していないところが、若干気になったけど、重厚なサスペンスドラマとしてけっこう面白かったっす!
[DVD(字幕)] 7点(2014-04-11 00:14:13)
1260.  アルバート氏の人生 《ネタバレ》 
19世紀、アイルランド。長年、ホテルの給仕として働いているアルバート・ノッブス氏には、とある秘密があった。それは、14歳のときに起きた悲惨な出来事をきっかけに女であることをひたすら隠し、ずっと男として生きてきたという悲しい過去だった。初老の域に差し掛かり、誰にもそんな事実を知られることなく、これから先も男として孤独に生きていこうとするアルバート氏。そんなある日、偶然にも同じような境遇で生きる男装の女性と出合い、彼女の幸せな生活に触れたことをきっかけに、アルバート氏は自分の孤独な生活を少しでも変えたいと願うのだったが…。数奇な運命を生きてきたある一人の女性の人生の晩秋を、淡々と描いた哀切な人間ドラマ。うん、地味ですけどなかなか良かったですね、これ。最初は多少の違和感が拭えなかったグレン・クローズの男装姿が、ストーリーが進むうちにどんどんと馴染んできてもう男にしか見えなくなってしまうのは彼女の熟練の演技力がなせる技なのでしょう(逆に中盤で見せる女もののドレスを着た姿の方が違和感ありまくりだったし笑)。そんな彼(女)が、ささやかな幸せを夢見て、騙されていることに薄々気付きながらそれでも必死で同僚をデートに誘おうとする姿は見ていて本当に切ないです。最後に、あの太った医者が思わず発する「アルバート、どうしてかくも哀れな人生を選んだのか…」という言葉に全てが収斂される、一人の女性の悲しい人生には深く胸打たれました。欲を言えば、もう少し彼女の悲愴感をドラマティックに描いてくれても良かったかなーとも思うけども、アカデミー主演女優賞候補も納得なグレン・クローズの抑えた演技が光るなかなかの良作だと僕は思います。アルバート、あなたの人生は決して哀れではなかったよ!
[DVD(字幕)] 7点(2014-04-10 19:01:39)
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