鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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プロフィール
口コミ数 2663
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 44歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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1261.  007/慰めの報酬
ダニエル・クレイグが“ジェームズ・ボンド”に扮する新007シリーズの第二作目。 前作「カジノ・ロワイヤル」の完成度がとても高かったので、必然的に続編への期待は高まっていた。 そしてもって、今作「慰めの報酬」も極めて完成度の高いエンターテイメントだった。「賞賛」に値する。  やはり、ダニエル・クレイグが良い。 ショーン・コネリーやロジャー・ムーアが演じた往年の「007シリーズ」に愛着がある世代にとっては、無骨でスマートさがないクレイブのボンド像は、お気に召さないという評価も聞く。 が、敢えて「未完成」のジェームズ・ボンドを描き直し、そこにダニエル・クレイグというワイルドさと危うさを秘めた俳優を配したことは、一つの趣向として圧倒的に正しい。  そして、そこにはこれまでのシリーズにはなかったシリアスさとリアリティがある。  「殺しのライセンス」というものが実際にあったとして、それを与えられる者に絶対的に必要なことは、「自らの感情をひたすらに抑えつける」ということだろう。 ただし、そんなことが端から出来る人間などいるわけがない。たとえいたとしても、そんな人間は“ヒーロー”として決して魅力的でないと思う。  “ライセンス”を与えられ、そこに求められる“絶対性”を極限の状態で徐々に越えていくプロセスこそ、クレイブが演じるこの“007”シリーズの醍醐味であり、これまでのシリーズにはない魅力だと思う。
[映画館(字幕)] 9点(2009-01-25 02:49:03)
1262.  HERO(2007)
2001年に放映された「HERO」はとても好きなドラマだった。 「検事」というこれまであまり題材にされなかった職業を描いたことによる斬新さと、サスペンスとエンターテイメントを巧く織り合わせた脚本力の高いドラマだったと思う。 ドラマ終了からすぐ続編シリーズへの期待が高まったが、「映画化」に対しては懸念の方が強く、それほど興味が涌かなかった。 テレビドラマの枠で小気味良く展開する方がこの作品の性質に合っていたと思ったからだ。  実際に観てみると、思っていたよりは、映画作品としての完成度は一定水準に達していると思う。 ただ、やはり少々無理矢理に“肉付け”して仕上げている感も否めない。 尺を満たすために全体的にテンポが悪く、無駄なシーンや展開も多かったと思う。  ドラマシリーズではほとんど描かれることがなかった法廷シーンは、とても面白味があったと思う。 時に冷静に、時に熱情的に弁論を繰り広げる木村拓哉演じる久利生は魅力的だったし、豪腕弁護士を演じる松本幸四郎との対峙は緊迫感があり良かった。  つまりは、もっと法廷シーンが多くて良かったし、被害者家族の描写や、証拠集めのプロセスなど「事件」に対する本質を更に深く描けていれば、ドラマシリーズとは一味違った「法廷映画」として更に完成度を高められたと思う。 そういう意味では、色恋に走り過ぎていたり、安易なエンターテイメント性にすがってしまっている部分が見えることは残念だ。  しかしながら、ドラマシリーズのファンにとっては楽しい作品であることは確か。 観て損はないと思うし、改めてドラマシリーズでの続編を期待したい。
[DVD(邦画)] 6点(2009-01-12 01:08:39)(良:1票)
1263.  庭から昇ったロケット雲
志半ばで退役し、農夫となった元宇宙飛行士が、自ら作り上げた“ロケット”で宇宙への夢を追い続ける物語。  まったく。こういう映画を見過ごしそうになるから、おそろしい。  農場の納屋でコツコツと作ったお手製ロケットで、単身宇宙へ飛び立つ。 ストーリー自体はあまりに荒唐無稽で、現実味はないかもしれない。 ただ、観点を変えれば、「映画が荒唐無稽で何が悪い」ということ。  愛すべき家族に支えられ、自分の夢を実現させていく主人公の様は、決して人間として完璧で、力強いというわけではないのだけれど、観る者に正真正銘の「勇気」を与えてくれる。  この作品は、必ずしも「夢」に対する綺麗ごとばかりを描き連ねてはいない。 父親の自殺という過去、権力の妨害、金銭的な障壁、家族間での確執……、多くの人が人生の局面で味わう苦渋をしっかりと描いている。  ただし、その代わりに、「美しいもの」はきっちり美しく描いている。  冒頭のシーンから一貫して、丁寧に美しく映し出される「空」がそれを如実に物語っていると思う。 「空」は、宇宙を夢見る主人公にとって、常に目線の先にあるものだ。 その広大さ、美しさ、をワンカット、ワンカットで描き出す素晴らしさ。それを見た瞬間に、「ああ、これは良い映画だ」と感じた。   クライマックス、再挑戦のロケットが空高くのぼっていく。 それをすべての人たちが、喜びと、興奮で仰ぎ見る。  僕は、感動して、涙が出た。それ以上に何が必要か。
[DVD(字幕)] 9点(2008-12-30 11:27:36)
1264.  フローズン・タイム
失恋による傷心から不眠生活が続く青年。そんな彼が、深夜バイトをしながらふと手に入れた能力は、「時間を止める」というものだった。  いわゆるミニシアター系の作品なので、卓越したストーリーでぐいぐい見せるというよりは、美しい映像と雰囲気で見せる映画である。 こういう映画は元来嫌いではない。  フォトグラファー出身の監督らしく、一つ一つのカットがとてつもなく美しい。 時間が止まっているシーンよりも、他の何気ないシーンのそれぞれがとてもアーティスティックで、惹き付けられた。  最も興味深かったのは、主人公が新たに恋に落ちる相手の女性が、主人公の気持ちの深まりと共に、どんどん魅力的になっていく様だ。 まさに主人公の想いと同じように、観ている者の想いも深まっていく。  ある意味、非常にナイーヴでウジウジとした「男の子」映画なので、女性にはあまり勧められないかもしれない。(作中の小ネタなども、いかにも“男子”が喜びそうなネタが多い)  しかし、誰しも「眠れぬ夜」を過ごした経験はあるはず。 眠れない夜の主観的な感覚を、「時間が止まる」ということで表現したアイデアは、映画的にとても良いと思う。 
[DVD(字幕)] 8点(2008-12-27 08:06:30)(良:1票)
1265.  潜水服は蝶の夢を見る
この映画を観ていてふいに、「美しい」と思った。 描かれる物語は「現実」であって、決して綺麗ごとだけでは済まされない内容なのだけれど、それでもやはり「美しい」と思った。  人生を謳歌する最中、突然あらゆるものからシャットアウトされてしった苦悩。 古めかしい潜水服を着せられ、海中深くに沈み込んでいくような閉ざされた世界の中で、それでも生きていこうとする人間の根本的な強さに、心を掴まれる。  左目の瞬きだけで意志を伝え、本を書き上げるという途方も無い営みの中で、彼が見出したものこそ、「人生」の美しさの本質なのだと思う。  とにかく映し出される「光」が美しい。 その光の美しさが、悲しみを和らげ、幸福感へと昇華させる。  映画というものは、あらゆる意味で「光」だと思う。 今作のような美しい「光」を見せる作品こそ、映画のあるべき姿なのだと思う。 世界は見えている以上に美しいということを、ビジュアルのそれ以上に伝える映画だ。
[DVD(字幕)] 8点(2008-12-23 23:35:10)(良:1票)
1266.  ワールド・オブ・ライズ
中東を主舞台とした“対テロ戦争”における情報戦を描いた今作。 敵を欺き、ある時は味方さえも欺き、生と死の狭間での戦いは、決して安直な派手さはなく、その痛々しさのみが様々な側面で突き刺さる。  それは、この映画が今この瞬間も繰り広げられている「現実」の一側面を描いているからに他ならないと思う。  ディカプリオ演じる主人公が、自らの命をさらしながらも感じ続ける葛藤。 それは、“対テロ”の名の下に突き進めるこの「戦争」が、果たして正真正銘の「正義」なのかということに他ならない。  「異文化」への排除行為の先にあるものは決して「平和」などではなく、愚かしく、絶え間なく続く「報復」の螺旋である。 ということを、痛々しく見せつけてくる作品だった。   それにしても、リドリー・スコット監督作品は、「アメリカン・ギャングスター」に続き今年2本目である。 時間を空けず、これほどの骨太な大作映画を連発してくるこの巨匠のパワーに感嘆する。
[映画館(字幕)] 7点(2008-12-23 18:56:48)
1267.  長い長い殺人
WOWOWのスペシャルドラマ企画なので、必然的に“テレビ映画”的な雰囲気は色濃いが、直木賞作家の原作の映像化だけに、ストーリー的なインパクト以上に深みはある作品だったと思う。  多額の保険金が絡む連続殺人を、刑事、容疑者、真犯人……様々な側面から捉えていく構図には、観る者を少しずつ「真相」へ引き込んでいく巧さがあった。 全く別の立場の人間たちの心理描写までしっかりと踏み込んでいくので、単なる謎解きに留まらないドラマ性があったと思う。  ただ、この作品では各登場人物たちの「財布」からの視点というものが共通して描かれるわけだが、映像化の上では果たしてその“試み”に効果があったかどうか疑問が残る。  原作小説を読んでいないので、想像の域を出ないけど、おそらく文体では「財布」からの描写というものが、物語を構築する上で「核」としてもっと効果的に存在するのだろう。  こういう群像ミステリーは、嫌いではない。
[DVD(邦画)] 6点(2008-12-23 13:21:10)
1268.  バルカン超特急(1938) ネタバレ 
サスペンス映画好きのくせに、実はヒッチコック映画を観ていない。 過去に見た作品は、「サイコ」と「北北西に進路を取れ!」くらいである。 久しぶりに物凄く古い映画を観たくなって、70年前に製作された今作を手に取った。  特急列車の中で突如姿を消した中年女性。主人公は彼女の行方を同乗者に聞いてまわるが、誰もが「そんな女性はいなかった」と彼女の存在を認めない。 という「奇妙」から端を発し、コトの真相が、列車に乗り合わせた群像と人間心理の中で徐々に描き出されていく。  おや、どこかで観たことがあるストーリー展開だなと思えば、まるっきりジョディ・フォスターが主演した「フライトプラン」ではないか。 当然、「フライトプラン」の元ネタが今作というわけなのだろう。  とにもかくにも、70年も前に製作されたサスペンス映画が、今も変わらず映画としての“面白味”という輝きを放ち続けていることに、アルフレッド・ヒッチコックという映画史の巨人の言うまでもない巨大さを感じずにはいられない。  ただ単に、謎とそれに対する真相を追い求めるだけでなく、登場する人物の性格や、言動、心理描写に映画としての核心があり、そのことがこの作品が劣化しない最大の要因だと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2008-12-23 10:02:20)(良:2票)
1269.  ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝
「ハムナプトラ」シリーズは、好きなアクション娯楽映画で、7年ぶりの続編は本来なら映画館で観ようと思っていたのだけれど、理由があり躊躇してしまった。  躊躇した理由は、二つある。  一つは、監督がスティーブン・ソマーズからロブ・コーエンに変わってしまったこと。  製作資金さえ豊富ならアクション映画の監督なんて誰がやっても大差ないなんて思われがちだが、娯楽センスというものは確実にあって、作り手の性質によって作品の出来不出来は大きく左右される。 今作のロブ・コーエン監督がそれほど悪いとは思わない。そこそこバランスのとれた娯楽性を展開してくれたと思うが、やはりこのシリーズではスティーブン・ソマーズ監督の大胆さと小気味良さが見たかったと思う。  二つ目は、過去二作でヒロインを演じたレイチェル・ワイズが出演しなかったこと。  もはや彼女も大女優の一人なので、出演交渉は簡単ではなかっただろう。 が、個人的にはこのシリーズの出演からレイチェル・ワイズという女優を知り、その後の出演映画を見てファンになった経緯があるので、是非今作にも出てほしかったものだ。 彼女が出演していれば、映画としての質が格段に上がっていたことは間違いないと思う。  という二つの大きなマイナス要素はあるものの、それなりに楽しめた映画ではあった。 これはこのシリーズ自体が持つ独特の娯楽性の高さと、ブレンダン・フレイザーの良い意味で「大味」な存在感がマッチしているからだろう。  「インディ・ジョーンズ」シリーズと比べたりすると怒られるかもしれないが、どこまでお金をかけても“B級映画”的なノリが抜けないこの「ハムナプトラ」シリーズの方が、個人的には好きだったりする。
[DVD(字幕)] 6点(2008-12-23 09:39:05)(良:2票)
1270.  地球の静止する日
半世紀以上前の映画に対し、映像や美術が「稚拙だ」などと言うことは大きくお門違いで、賞賛すべきは、この時代における「SF」に対する真摯な描き出し方であり、映画史における革新性だと思う。  遠い宇宙からやってきた宇宙人、彼の目的は「退廃」へと突き進もうとしている地球人たちへの“警告”と、平和への
[DVD(字幕)] 8点(2008-12-22 11:29:01)
1271.  地球が静止する日
止まることを知らないリメイクブーム。過去の素晴らしい映画を、最新の映像技術と、キャストでリメイクするということ自体には、意味があると思うし、映画ファンとして期待する部分も大きい。  ただ、リメイクする以上は、オリジナルを超越しろとまでは言わないが、リメイクならではの“面白味”を生んでほしいと思う。  残念ながら、1951年のオリジナル作品は未見で、具体的な比較はできないが、粗筋を見る限りでは、なんだかストーリーの真意を大きく逸脱してしまっているのではないかと思う。  どうやらオリジナル作品での主人公クラトゥは、地球人に説得と警告を与えるためにやってきた「平和の使者」という位置づけが強かったようだが、今作ではどうもそのキャラクター設定が曖昧で、彼自身の行動に説得力が無い。  それがそのまま、作品全体の曖昧さに繋がり、終始軽薄な印象が拭えない。  地球の存亡に関わるスケールの大きな物語であるはずなのに、主人公をはじめとする登場人物達の言動にどこか真に迫るものがなく、描かれる危機感とは相反して“淡々”と展開していく。  題材の巨大さに対して、その中で描かれるドラマが極めて少なく、小さい。 もっと登場人物を増やして、各々のドラマを群像的に仕上げれば、物語としての深みが出たと思うが、中心で描かれるのが血の繋がらない親子の絆だけでは、やはりバランスが悪い。  44歳で相変わらず若々しいキアヌ・リーブスの“奇妙”さは、ある意味主人公の宇宙人役としてふさわしかったと思うが、残念ながら彼の代表作の中には列挙されない作品となっている。  近いうちにオリジナル作品も観たいと思うが、観賞後は殊更に今作の「駄目っぷり」が際立つような予感がある……。
[映画館(字幕)] 5点(2008-12-21 08:32:07)
1272.  ハッピーフライト(2008)
この映画を10年前に観ていたなら、航空業界への就職を目指していたかもしれない。  国際線の機上と大空港の各部署で、それぞれに巻き起こるドラマ。 同監督の「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」のようなコメディ路線を想像していたけど、意外にもそれぞれのステージを丁寧に描いた小気味良い群像劇に仕上がっており、想像以上に感情がはまり込む映画だった。  主演の田辺誠一や綾瀬はるかが登場するシーンよりも、その他の登場人物たちのシーンに、より面白味があったことが映画の質の高さを物語っていると思う。 各部署における、それぞれの“シゴト”に対するプライドと真摯さがあってはじめて、一機の飛行機が飛ぶという群像の一体感が、この作品の最大の魅力だろう。  主要キャストから脇役まで、思わずほくそ笑んでしまう”何気に豪華”なキャスティングは、群像劇の精度を殊更に高めている。 “空の旅”にまつわる様々なハプニングとプロフェッショナルを、それぞれのキャストが愛着をもって演じることで、各シーンが愛すべき光を放っていると思う。  過剰なコメディ演出は控えた、ほどよい笑い、ほどよい緊張、ほどよい感動。 そこから紡ぎ出されたものは、まさに“ハッピー”なフライトだった。 
[映画館(邦画)] 8点(2008-12-02 00:29:10)(良:4票)
1273.  ミスト ネタバレ 
世の中には数多の映画がある。 その中の一つのタイプとして確実に存在するのは、「胸糞の悪い映画」である。  最初に断言すると、この映画、間違いなく“胸糞悪い”。 これほど悪趣味な映画は久しぶりだ。  フランク・ダラボンという監督が、この映画で伝えようとしたテーマ性は分かる。 正体不明の“霧”に覆い隠された田舎町。 霧の中に存在する確実な恐怖と、更にじわりじわりと染み出るように現れる人間の精神の中に潜む恐怖。 二つの恐怖に襲われた人間たちが、極限状態の中で見せる「行為」こそ、最大の恐怖であるということ。  ミステリアスなエンターテイメント風な映画世界の中で、じっとりとその「恐怖」についてのテーマを描き出した試みは、おそらく監督の意図通りだったのだろう。  しかし、人間の良識として、この映画を肯定するべきではないと思う。  映画表現が「自由」である以上、どんな映画であっても、存在すべきだ。 ただし、それと同様に、映画に対してどんな評価を下すことも「自由」だ。  俳優の演技が素晴らしいとか、映像が美しいだとか、 映画の評価なんてものは、詰まるところ、「好き」か「嫌い」かだと思う。  つまりは、僕はこの映画が「嫌い」で、「クソ映画」だと思うということ。 
[DVD(字幕)] 0点(2008-12-01 00:14:26)(良:2票)
1274.  レッドクリフ Part I ネタバレ 
ジョン・ウーによる「三国志」の完全映画化。 トニー・レオン、金城武というアジアきっての世界的映画スターのそろい踏みは、エンターテイメント作品としてやはり魅力的である。  ただ、ここ数年のジョン・ウー作品にはあまり“当たり”がない。 実のところ、「フェイス/オフ」を越える作品は生まれていないのではないかという感はある。 もはやハリウッドでも幅を利かせる大アクション映画監督というポジションに与えられる潤沢の資金が、総じて作品の「大味感」につながっているように思う。  そこにきて何十億という制作費を投じての大エンターテイメント作品として誕生したらしい今作。 しかも、半年後に公開されるPART2との二部作。 「大味感」に対する不安は捨てきれない。  で、どういう映画だったかというと、 ものすごく贅沢に作られた「歴史ドキュメンタリードラマ」という感じ。  冒頭のドキュメンタリー番組の1コーナーのような歴史的背景の説明モノローグから始まり、主要キャラクターが登場する度に表示される役名の字幕。 「三国志」自体に明るくない者にとっては、「~の将軍」などという説明は分かりやすくはあるが、当然ながら映画としての質を落とすモノだったことは間違いない。  詰まるところ、全編通じて、三国志の中の「赤壁の戦い」の始終をただなぞっていくような印象が抜けず、各人物についてのドラマ性が薄く、のめり込むような感情が生まれない。  俳優たちの表情や一つ一つのシーンには雰囲気があり、それぞれを切り取ったなら質の高さを感じる。 しかし、一つの映画作品としては決して面白味のある映画とは言い難い。 そもそも「三国志」という物語そのものにある程度の造詣があったなら、もう少し印象が違うのかもしれないが。 
[映画館(字幕)] 4点(2008-12-01 00:02:55)(良:1票)
1275.  彼が二度愛したS
サスペンス映画が好きである。 鑑賞者の思惑を大いに覆すストーリーに惹かれるものだ。  が、今作の場合は、ストーリーに驚くべき起伏があるわけではない。 もちろん、ただ平坦なだけではサスペンス映画として成立しないので、程よい緊張感と“二転”くらいのエスプリは持ち合わせている。  ただこの映画の面白さは、そういうストーリー展開にあるわけではなく、映画を構築する他の要素の質の高さによるところが多いと思う。 最近は、とにかくストーリーに「衝撃」を押し出そうとする作品が多いだけに、今作のようなサスペンス映画は少し珍しい。  では何が良いのか?  ユアン・マクレガー、ヒュー・ジャックマン、ミシェル・ウィリアムズら出演者たちのキャラクターに即したビジュアルの美しさ。 高級ホテルに高級スーツなどから発せられる洗練されているからこそ、同時に醸し出されるある種の“禍々しさ”。  そういった主人公の感情と、ストーリーを彩るラグジュアリーが、映画を魅惑的に仕上げているのだと思う。  「驚き」には欠けるが、たまにはこういうオールディーさを感じるようなサスペンス映画も悪くない。
[映画館(字幕)] 7点(2008-11-19 14:12:49)(良:2票)
1276.  ペルセポリス
混沌のイラン。自由なき国で自由を求め、健気に懸命に生きていく少女の青春時代を味わい深いアニメーションで描き出した独特な映画だった。  イランという国の包み隠さぬ“実情”を知る日本人なんて、ほんとはほとんどいない。 報道などで伝えられる情報など、ほんの一側面でしかなく、それでその国のことを知ったつもりになることは、とても愚かで、危険なことだと思う。 作品中で、主人公の叔父さんが言うように、大切なことはとにもかくにも「知ること」だ。  そういう意味で、一人の少女のまさに等身大の目線で描き出された本作は、とても興味深く、映画として魅力的だった。  独裁的な政権の下、あらゆることを抑制され、あるべきはずの「自由」はそこに存在しない。 しかし、生きる環境がどんなものであれ、少女はひたすらに青春を謳歌し、一人の女性としてあるべき人生をどこまでも追い求める。  混沌の社会環境にあるからではなく、世界中の国で有り得る普遍的な少女の姿そのものに純粋に感動する。
[DVD(字幕)] 8点(2008-10-25 23:47:42)
1277.  アイム・ノット・ゼア
ボブ・ディランというアメリカを、現代を、代表するアーティストの様々な存在性を、人種、性別を越えた6人の俳優が演じるという、奇抜な伝記的映画だった。  正直、ボブ・ディラン自体のことをよく知っているか、知っていないかでは、この映画の“面白味”には大いに差が生じるだろうと思う。 かく言う自分も、色々な映画や漫画などで彼の名前を認知している程度に過ぎず、どれほどこの作品の真髄を捉えられたかというと、首を傾げるしかない。  しかし、それでも巧みな演出と6人の俳優たちの個性的な表現力、そして全編に流れるボブ・ディランの楽曲によって、生ける伝説である希代のアーティストの類い稀な存在性は、大いに感じることができたと思う。  まあ何と言っても、ケイト・ブランシェットが凄い。 女優が、実在する男性を演じるなど、それは流石に無理があるんじゃないかと思っていたが、その表現力は圧倒的だったと思う。 実際、ボブ・ディランの言動を見聞きした経験はないが、ブランシェットが全身から発する繊細さと危うさは、まさに彼のそれなのだろうと疑わなかった。 同じくより現実に近いボブ・ディランを演じたヒース・レジャーとケイト・ブランシェットの目つきや佇まいが、根幹的な部分で同じだったことも驚いた。  これから、ボブ・ディランのことを少しずつ知っていこうと思う。
[DVD(字幕)] 6点(2008-10-25 09:43:48)
1278.  イーグル・アイ
何やら意味深な予告編だけでは、今ひとつストーリーのテイストが分からなかった本作だった。 が、観て納得。これは予備知識を入れずにフラットな状態で観るほど楽しめる映画だと思う。  そういうわけで、ストーリーの詳細は避けたいと思うが、言うなれば物語の本質は異なるが、超現代版「北北西に進路を取れ」的な印象を受けた。  とても面白かったと思う。  このところ大作映画への出演が続いているシャイア・ラブーフのパフォーマンスを初めて観たが、良い意味でスター性が薄い存在感が、エンターテイメント大作においてバランス良いのだと思う。スピルバーグが好んで起用している理由が分かる気がする。  個人的には、ビリー・ボブ・ソーントンの演技を久しぶりに見られたのも嬉しかった。テロに対して信念を持って対峙するFBI捜査官を、相変わらずの曲っ気たっぷりに演じてみせている。  下手をすればもっとコケている作品なのかもしれないという危惧もあっただけに、高いアクション性と、終始緊迫感溢れる展開に満足度は殊更に高い。
[映画館(字幕)] 8点(2008-10-18 12:58:24)(良:1票)
1279.  容疑者Xの献身
この映画は、「容疑者Xの献身」というベストセラー小説の映画化に対し、「どうすれば面白い映画になるか」、そして「どすれば売れる映画になるか」ということを、真剣に考えた製作サイドの完璧な“企画勝ち”だと思う。  原作でそうであるように、この物語の主人公は、「容疑者X」こと石神哲哉である。 しかし、「X」というワードが示す通り、この主人公は終始「謎」を秘めなければならない。 その文体であるからこそ表現できている微妙な立ち位置の主人公を、映像化する上でもそのまま表現できるかというと、それはとても困難なことだ。出来ないことはないだろうが、高い確率で、文体で表現する以上にナイーブで地味な作品になってしまったと思う。  そこでまず必要だったのが、原作でももちろん登場する“探偵ガリレオ”こと湯川学が、映画作品では、魅力的な主人公であるという「前提」だったのだと思う。  その「前提」を作るために、ドラマシリーズ「ガリレオ」を展開させ、福山雅治演じる湯川学、そして柴咲コウ演じる内海薫の主演コンビのキャラクター性に対する強い印象を観客に植え付けておいたわけだ。 そして、その主演コンビを言わば「狂言回し」として存在させ、「真実=X」を追い求める役割を与えることで、真の主役である「容疑者X」の立ち位置を確立させている。 つまりは、いわゆる「月9」で大ヒットしたドラマシリーズ自体が、この映画のための豪華な「伏線」であったのだと思う。  「容疑者X」という陰の主人公に、陽の主演コンビが花を添えるというなんとも奇妙ではあるが、絶妙な配役のバランスが、この作品を殊更に「面白く」していると思う。  売れた小説や、漫画の映像化は、もはや「常識」となりつつある。 そのこと自体に異論は無いが、大切なことは、「映像化する意味」を確実に持たせることだと思う。 今作の場合、堤真一が容疑者Xを演じることにより、よりリアルな形でその人間性を感じることができ、ある部分においては文体以上に「感動」を与えることが出来ていると思う。 そして、ガリレオ役の福山雅治と対峙することにより、ビジュアルの異質さと、白熱する頭脳性が絶妙に混じり合い、映画世界ならではの塩梅を得られていたと思う。  「実に面白い!」……思わずそう言いたくなった。
[映画館(邦画)] 8点(2008-10-11 00:56:17)(良:2票)
1280.  百万円と苦虫女 ネタバレ 
2008年現在時点での、女優「蒼井優」の集大成だと思う。傑作。  “良い映画”として賞賛すべき要素は多々あるが、何を置いても語るべきは、「蒼井優」意外にない。  短大卒、就職失敗、理不尽な事件にまで巻き込まれ、人生に所在が無い21歳の主人公鈴子は、盲目的に100万円を貯めながら、見ず知らずの土地を転々とする。 何があっても苦虫を潰したような愛想笑いしか出来ない主人公のこの一風変わったロードムービーには、ビターに、切なく、そしてふいに温かい風が吹き込む。  「自分」をまったく知らない人達との触れ合いの中で、本当に少しずつ自分自身を見つめ直し、成長していく主人公の姿は、とても自然体で時に「哀愁」すら感じさせる。 どこまでもドライに乾ききった女性像を表現しているにも関わらず、どこまでも魅力的に映し出される蒼井優は、「ハマり役」という言葉では足らず、主人公の「佐藤鈴子」そのものだ。  「何やってんだろう」「くるわけないか」、端々でつぶやくさりげない台詞の一言一言に、主人公の感情がしっかりとこもっていて、印象強く残り続ける。 監督・脚本を手がけた女流監督タナダユキの力量もまた間違いないものだと思う。  見ず知らずの地を巡っていく主人公は、決して幸せには至らない。 でも、見ている者はほんのりとぬくもりを感じ、勇気づけられる。 ハッピーエンドとも、バッドエンドとも言い難い「微妙」なラストシーンで、これほどまで解放的な気分をもたらすこの映画のオリジナリティが、スバラシイ。
[映画館(邦画)] 9点(2008-09-27 14:17:44)
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