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なんのかんのさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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1301.  里見八犬伝(1983)
敵の城に乗り込んでからは、けっこう楽しめた。巻きものがひゅるひゅる飛ぶのも良かった。ただ薬師丸ひろ子はミスキャストだな。彼女がいて作られる映画なんだろうから企画のミス。お姫様役者じゃないんだ。人気が出た若い娘だとすぐお姫様って、せいぜい60年代までの発想じゃないか。真剣に叫ぶシーンが向かないんだ。彼女は「一途な少女」がいいんだけど、それが内に秘められてる感じが魅力なんで、その点けっこう陰性なの。澄明な冷たさ。そういうところを生かす企画を立てるべきじゃないか(と当時の感想)。終わりのほうで真田君の周りで刀持ってうろうろしてたところなんか、滑稽というか可哀想というか。
[映画館(邦画)] 6点(2013-02-10 09:44:10)
1302.  心の旅
脳障害の記憶喪失から立ち直っていく話。未知の人たちをいかにファミリーとして受け入れていくか、ってところが眼目と思ってたら、仕事人間が真人間になるストーリーで、やや興ざめ。病院から退院するのを怖がるヘンリー。親の決めた知らない家へ嫁がされる花嫁のようなH・フォード。この人もともと何かに怯えているような感じがあるから自然。字も読めなくなってる。字の読めない者にとっての街の風景なんてもっと展開できたのでは。自分の過去もだんだん分かってくる怖さと面倒くささ。その面倒くささを振り捨てて再出発するとなると、その基盤はファミリーなんだな。シナリオのJ・エイブラムスは当時23歳だったそうで、基本の伏線の張り方なんかを、一生懸命型通りにやっている。ジュースをこぼすとか、犬のお座りとか。妻のA・ベニングは好きなんだけど、これはちょっとテレビ的だったかな。
[映画館(字幕)] 6点(2013-02-06 09:59:16)
1303.  マイ・バック・ページ
たぶん本筋は、時代に参加できない傍観者の役割りを担ったジャーナリスト妻夫木君の苦衷と思うけど(安田砦の攻防を安全地帯から黙って見てただけだったのがトラウマになってる)、人物として興味湧くのは、変なヒロイズムに酔ってるケンイチ君の方だ。けっきょくこっちも時代に参加したくて、というかそれだけしかなくて、ただの犯罪者になってしまう。彼が「記事が出れば本物になれるんだ」と、それだけにすがるところがけっこう迫った。ジャーナリズム=世間に規定してもらって、やっと偽者でならなくなれる、と信じている。彼の愚かさは、この時代だけのものではないだろう。かえって今のほうが強くなっているかもしれない。引っかかったのは途中の粛清シーンで、あれが浮いてて、あとにフォローもない(なんか見落としてたのかなあ)。あれで自衛官殺しにつなげたかったのかとも思えたが、逆に全体のリズムを損なった。自衛官殺しは、まるでサークル活動だった組織が本物たらんと妄想を空回りさせた果ての「必然の事故」として起こったのでは。
[DVD(邦画)] 6点(2013-02-04 10:01:48)
1304.  不死鳥
前作『結婚』で、田中・上原コンビでヒットさせたので会社から同じようなのを、と依頼されて作ったどうということもない作品だが、上原の都合がつかなかったため新人佐田啓二の抜擢デビューとなった。相変わらず家の重さが描かれる。この人は家族主義の人と言われるが、それは核家族で、家長的な重みには嫌悪を隠さない。父的な家ではなく母的な家が、この人の理想。二人が出会うところを、一切のセリフ抜きでエピソードの羅列で描くのが、彼の凝るところ。電車のなか、雪の本屋の忘れ物、カルタとり、ドライヴ、出征見送り、など。どちらもいい家の人なの。庶民の作家とよく言われるが、モボとしてブルジョワ的なものへの憧れもあったよう。それとも敗戦直後の観客の趣味か。冒頭タイトル部分が欠落。
[映画館(邦画)] 6点(2013-02-03 09:44:14)
1305.  メル・ブルックス/逆転人生 《ネタバレ》 
ドシラソの音形に靴の進行が絡む冒頭。その靴はやがて浮浪者たちに奪われ、しかしラストではその浮浪者たちの行進がドシラソと鳴り響く。金持ちが賭けで30日間スラムで暮らすって趣向。黒人少年のタップを真似たりするギャグが続く。彼が本当は金持ちと知ったときに、浮浪者仲間にもうちょっと否定的なリアクションがあっていいんじゃないか。このころ日本企業がゴッホを大枚で買って話題になってたんでドキッとする場もある。いざりの男をショベルカーに轢かれたと思わせるので笑ったが、きつい笑いではあった。
[映画館(字幕)] 6点(2013-01-29 10:29:29)
1306.  丹下左膳(1958) 《ネタバレ》 
戦後の丹下左膳ってのはいっぱいあって、松竹で阪妻、大映で大河内伝次郎、日活で水島道太郎なんてのもある。東映では60年代に錦ちゃんも撮ってるが、その前に大友柳太朗が本作以下5本続いた。本作を見てみようと思ったのは「こけ猿の壷」のそもそもの話はどういうのか、という興味からだったが、どうもこれオールスターキャストの要請でかなり自由に脚色しているようで(原作者はとっくに山中版が作られた年に死んでいる)、途中からその豪華さのほうに目がいった。時代劇のオールスターキャストというと「忠臣蔵」が各社しのぎを削ったが、こういう作品でもやってたのか。次々大きな顔が現われてくるワクワク気分は、なかなかいいものである。女優の役が少ないのがちょっと弱いが、当時のひばりは一人でも大きかったんだろう。最初の金魚籤の場では、琴の合奏のBGMに不思議な効果があった。言語不明瞭ぶりで有名な新旧の左膳役者、大友と客演の大河内が怒鳴り合う場は当然セリフを理解するのが困難だが、やがて嵐のような風も吹き出し、異様な高揚が画面に満ち感動した。エンディングも時代劇の正しいラストシーンという感じで、旅の駕籠、曲がって続く街道、その路上で「とんびピーヒャララ、おかごはエッサカホイ」とのどかに歌う新妻のひばり、それを見送る左膳にお藤の長谷川裕見子(涙をこらえてる)、脇で朗らかに手を振る大河内御大にコソ泥の多々良純、駕籠から実はご落胤だったチョビ安の松島トモ子が振り返れば、見てるこちらも日本晴れだ。(気になって原作「丹下左膳・こけ猿の巻 正・続)を読みかけているが、左膳はよく「大菩薩峠」の机龍之助と並ぶニヒルな剣客と評されてるけど、そう陰々滅々でなく、いかにもモダニズム時代の軽快な文体で綴られ、山中版はけっこう原作の軽みを生かしてたんじゃないか)
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-01-28 10:29:19)
1307.  夜の女たち
田中絹代が塀を乗り越えて矯正院から逃げるところが素晴らしい。この監督の粘っこさが、逆に外に広がる田園風景を爽やかに見せる。娘が街で不良にやられるシーンの粘っこさも、見事にいやらしい。男でもいい人はいるんだけどなあ、と文句を言いたくなることが、溝口映画を見てると思うことが多いが、この不良学生なんか表情がはっきりしてないだけに怖い。そして不良娘に身ぐるみ剥がされるところを移動で追っていく。その惨めさの追求の粘っこさ。そもそもの悪の古着屋のたたずまいの暗さも、どこか粘ついたものを持っている。戦後とはこんなにも暗かったのか。戦争が終わったという解放感はなかったのか。溝口にとって女性の被害はずっと継続してたってことか。
[映画館(邦画)] 6点(2013-01-27 10:11:40)
1308.  コタンの口笛
こういう差別ものってどういう姿勢とっていいのか難しく、とりわけアイヌ差別なんてほとんど知らないわけで、現状に対してどの程度の「つくり」がなされているか分からない。主人公が完全無欠すぎるような気がした。でも差別が存在するのは間違いなく、無知ゆえの批判をしてしまってはいけない、といささか居心地が悪い。踊りを見せている人たちの苦痛にも触れるべきだったろう。けっきょく全体として「耐える」という方向に収まってしまっていたように思う。進駐軍のヘリコプターの音が入ったり、この監督ではかなり異色作とは言える。ロングショットを撮らせると美しい。道とか夜の校庭とか、特別「自然と交歓してる」という感じでもないんだけど、人が存在することの心細さ、というのかなあ。道が奥に続いていく感じ。音楽はもちろん伊福部さん。ドン、タタ、ドン、タタタって。水野久美がいなくなったままで終わっちゃうのなんか、『稲妻』の姉が行方不明のまま終わっちゃうのを思い出し、成瀬的だと一瞬思ったが、脚色者が違うんだから偶然だろうね。とりあえず山内賢の少年時代に息を呑んでください。
[映画館(邦画)] 6点(2013-01-22 09:58:01)
1309.  愛を殺さないで 《ネタバレ》 
『テルマ&ルイーズ』を陽とすれば、これは陰。男運の悪い二人組で、亭主よりも友人優先いう生き方。しょせん男なんで籤みたいなもの、確かなものは自分が生んだ子どもと、子ども時代からの友人よ、って感じ。このころまでは『ゴースト』とか、そういう無個性な正統ハリウッド女優狙いだったD・ムーアが、太い女と言うか、不貞腐れた女と言うか、少しG・クローズ系がはいって軌道修正し始めた作品か。遊園地へのドライヴの何か起こりそうな気配あたりが味。けっきょくこの二人の友情がきらめくという展開ではないので、スッキリした気分にはならない。駄目男でも亭主は亭主。当時の女房に頼まれたのかB・ウィリス出てるが、なんか人のよさが出ちゃって暴力亭主に見えない。そういうとこが好きでもあるけど。
[映画館(字幕)] 6点(2013-01-21 10:13:03)
1310.  狐の呉れた赤ん坊(1945)
これは『東京五人男』よりも終戦直後なのか。映画そのものより、製作会議のほうに興味が行っちゃう。とにかく負けたほうが復讐する話は駄目らしい、そもそも刀を振り回すのが駄目らしい、と不許可条項を列挙していって、しかしそこは伝統ある日本の時代劇、あれが駄目ならこれと引き出しは豊富だ。人情ものなら大丈夫そうだ、占領国アメリカには『キッド』もあった、何度も繰り返し映画化された「三人の名付親」の話を思い出したものもいただろう(たとえばW・ワイラーの『砂漠の生霊』)。荒くれた男たちが赤ん坊をあやす図は、いかにも平和国家に改心した日本にふさわしいのではないか、などと会議を早々に済ませ、数週で一本の映画を撮り上げてしまう当時の映画会社のバイタリティに感動する。「実は大名の御落胤」ってあたり、かえって終戦直後で大時代な設定を使えたって気もした。翌年ぐらいになると、これは封建的だろう、と組合からクレームが付いたんではないか。  
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-01-20 09:20:31)
1311.  ブローニュの森の貴婦人たち
字幕にかかりっきりで画面に集中できなかったというのが真相。自分の不幸の準備をせっせと進める黒い女より、娘のほうが主人公であったのかな。やがて脱獄ものの名作を撮る監督と思うと、自由への脱出、ヘレンの玩具であることからの逃走、自負心、個人の中の決して侵されないもの…などという言葉が浮かんでくる。真っ白な部屋がまあ監獄です。外の雨はしのげるが、雨のなかでしか男には会えない。ドアからの光やエレベーターの光が黒い女をしばしば覆う。内省的な感じ。冒頭の嘘の告白と、ラストの愛の告白が、残酷な対になっている。冒頭の告白で悲劇を表に引きずり出してしまい、ラストの告白で結論を得る。ヘレンにとっては悲劇の完成、男女にとっては祝福。アイロニーのドラマなんだろうが、いささか息苦しい。
[映画館(字幕)] 6点(2013-01-01 09:46:55)
1312.  人魚伝説
何のことはない、これ現代版『大魔神』ですわな。ラストの大殺戮はもう荒ぶる神。個人は弱いけど、そのなかにああいう神になるエネルギーを秘めてるんだ、いうところがポイント。ちゃんと題名に「伝説」と記してるんだから、リアリズムで見ちゃいけないんでしょう。「そんなことのために殺されたのか」いう怨みは、もう人類の歴史始まって以来、個が公に対してずっと抱いていた怨みなわけで、そういうものが蓄積されると怨霊になるぞ、という話で、これが伝説たるゆえん。弱点は曖昧に原発問題を導入してことで、伝説だからこそかえってぼんやりでなくカッチリとした輪郭をとっておいてほしいところ。公の側は、ああ跡を残しちゃうような下手な殺し方はしないだろう。印象深いシーンとしては、プールに夕立が降りそそぐのを水中から見上げたシーン。清水健太郎の死体が沈んでいくところも美しかった。
[映画館(邦画)] 6点(2012-12-31 10:47:11)
1313.  ミス・ファイヤークラッカー
スモールタウンもの。アメリカ人にとって、なんかジーンとさせるものがあるらしい。たとえ都会生まれ・都会育ちでも、ある種の懐かしさが醸し出されるんじゃないか。年齢制限ギリギリのヒロインが「美人コンテスト」に挑む話。いとこへの対抗意識もあるが「町の困った娘」をずっとやってきたホリー・ハンターにとっては町への対抗意識が強い。ミスになれたら、この町を去っていけるって意地。関係をチャラにしたい、あるいは優位に立ってから蹴飛ばしたい、っていうか。だから彼女にとっては必死のコンテストで、その真剣ぶりがかわいい。ヒロインの少女時代へのこだわりも重なってくる。いとことの関係が、もっとキレよく描けなかったかな。いよいよ発表いうとこで、いとこの男のほうにカメラが移っちゃうのはいい。
[映画館(字幕)] 6点(2012-12-26 09:53:49)
1314.  アイアン・メイズ/ピッツバーグの幻想 《ネタバレ》 
日本人がハリウッドで監督するってのに、わざわざまた「藪の中」を使うのは芸がないと思ってたんだけど、そう気にならなかった。もう「羅生門」型ってジャンルがあるってことか。これではみんなが誰かをかばって藪の中になっている。しかもアメリカ映画ですから結論が出ます。人によって見方は違う、ということを経て相互理解への道はある、って。滅んでいく町の人間の目に映る嫌味な金持ちの日本。このころは経済摩擦が問題化していて、コメディではよく扱われたが、この手のミステリー風のにまで登場したか、と思わされ、けっこう現地の雰囲気を出してたんじゃないか、よく知らないけど。彼が作ろうとしていた遊園地より、廃工場のほうが魅力的に見える。
[映画館(字幕)] 6点(2012-12-14 09:45:06)
1315.  ひばりの森の石松
冒頭、大量の茶摘娘が茶畑から出たり引っ込んだりするのに圧倒され身を乗り出したものの、本編に入っての石松のそそっかしさの描写が一本調子で、そのハイテンションぶりにややゲンナリ気味だったが、丸亀のお家騒動が絡んできて盲目のお姫様が登場したり(夕焼けをバックにしたやけに叙情的なシーンも時代劇の一景としてちゃんとハマる)、スリの三次なんてのも絡んできて「時代劇」の雰囲気が濃くなってくると再び嬉しくなった。茶摘娘以外にもエキストラをケチってなく、時代劇のエキストラは最低でもカツラと衣装が必要で現代劇の何倍もの経費が掛かるんだろうが、そこは映画黄金時代の贅沢さ、たっぷり堪能。三十石船のくだりはオーソドックスに見せ、しかしそのあとに竜宮城での里見浩太郎とひばりのレビューシーンが続くという緩急自在、ついで宿場ボーリング場での立ち回りになだれ込む弾けっぷり。かつで時代劇の器はこんなにも大きかったんだ、とうらやましくなったり、その喪失を哀しんだり。 
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-12-13 09:58:45)
1316.  三等重役
まだ「戦後映画」の雰囲気がある。「封建的なものから民主的なものへ」の当時の底流が感じられ、社長シリーズの源流はけっこう社会的な視点もあったんだ。「会社を舞台にしたコメディ」にやがてなっていくのだけど、本作では「こういう角度から社会を見る」という観点も感じられた。公職追放された前社長は見るからに社長だが、いつか追放解除になるであろうまでの中継ぎとして据えられた河村黎吉は、貫禄がない。終盤で前社長の娘婿になった青年が「貫禄が違いますわねえ」と人々に噂されるのと対照的。そこらへんの中継ぎの悲哀(というほど大袈裟ではないけど)が、河村にピタリ合っていた。身に合わぬ肩書きを手にしてそれなりに嬉しく、東京支店の抜き打ち視察など意外とやるべきことをやり、そして独身所長の縁を取り持つ人情味もあり、ボーナス支給では細君連とサラリーマン連の不満を調整し、それほど無能ではないのに、やっぱり貫禄がない。それを笑うというより、共感・同情しているところに、映画の時代が感じられる。映画は明らかに前社長よりこの社長の肩を持っている。やがて日本は森繁社長が似合う高度成長にはいっていく。そして後世の私たちがその恩恵を受けているのは重々承知しているが、日本が河村社長の下で「貫禄はなくても堅実な三等国家」でゆく歴史も有り得たんだなあ、などと本作を見ながら思ってしまうのだ。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-12-08 09:34:55)
1317.  愛の選択
アメリカのメジャー系の映画で、撮影に対する興味だけで最後まで引きずられたのは珍しい体験。ファン・ルイス・アンシアってスペインの人? ライティングがいいの。だから室内シーン、病人の部屋の冷たさや窓からの黄色い光だけの隠れ家や、ラスト近くのパーティ会場でロウソクの合い間からJ・ロバーツをじっと見ながら歩いてたりするとこ、などに当然とさせられた。話は「同情は愛に変わる」で、暗い人生に諦めてた男が生きようと思う、っての。インテリの生命力枯渇男と労働階級の前向き女、いう対比がちょいと陳腐。このインテリがクリスマスに労働者男にクイズ出す嫌味なシーン、嫌味であることを止められなくなってしまうモルヒネ中毒シーンあたりに、陳腐な均衡を崩しかける力が見え隠れしたけれども。人生に希望を持ってしまうのが怖い、ってのはなんか分かりますなあ。
[映画館(字幕)] 6点(2012-12-04 09:46:57)
1318.  ロケッティア
主人公が本職の「正義の味方」でないところはいい。ヘルメットもあくまで頭を保護する目的に舵が付いたってことで、これを見て主人公がトホホとなるところがあって。あとは本当に定型で、老科学者に、憎まれ役のFBI、異形の殺し屋と揃っている。主人公カップルを土壇場で救って自分が代わりに犠牲になる悪漢の情婦ってのが出てこなかったぐらいか。ナチ、あれだけ兵隊を送り込んでるんなら何もギャングに仕事依頼しなくてもいいのに。ギャングのほうも、ナチの世界になったら俺たち仕事が出来なくなっちまう、ぐらい斜に構えててもらいたいのに。小道具としてのガム、写真の使い方は正しい。悪漢ティモシー・ダルトンは三枚目になり切るべきだったのではないか。
[映画館(字幕)] 6点(2012-12-01 09:43:38)
1319.  ぼくの美しい人だから
S・サランドンにJ・スペーダー、あんまり心から笑ったことのないような二人。この年齢差カップルが恋に落ちる。それぞれ死んだ身内がいて、まあ傷をなめ合ってるということがなくもなかったんだけど、そうか、愛は傷をなめあうこと、って話か。補完性。どうなんだろう、あれ、スペイダーのキャラクターのせいかもしれないが、男のほうからは「堕ちていく快感」みたいなものってなかったのかな。残酷だから聞けないけど。あのあとうまくいくのか心配よ。やっぱ若い子のほうがよかったと思って後悔することはあるだろうし、ノラのほうも、マックスはやっぱ若い子のほうがよかったと思って後悔してやしないかと、ずっと気を揉み続けるだろうし。ああそうか、「気を揉む」ってのが愛の手応えなのか。この映画の教訓二条、「愛とは傷をなめあうこと」「愛とは気を揉むこと」、これね。ノラの気を張ってる感じがうまい。パーティのシーン。あからさまな反応がないだけに、彼女の浮いてしまっている辛さみたいのが分かる。離れられなくなった二人の問題なのに、世間は年増女に引っかかって一生を棒に振った青年という見方をするんだ。年の差が逆だとあんまり言われないこの非対称性に差別がありますな。
[映画館(字幕)] 6点(2012-11-27 10:11:30)(良:1票)
1320.  パッション(1982年/ジャン=リュック・ゴダール監督)
輪郭の融解ということでまとめてみようか。半ばあたりの喫茶店のシーンで、父と娘とが「何にでも輪郭はあるの?」というような会話を交わしていた。なにせ冒頭が飛行機雲だ。まっすぐに明晰に直線を引いていたのが、飛行機が黒雲にはいってしまうと、やがて直線もぼやけていってしまう。このシーンを、よく小説の冒頭に置かれる箴言のような役割りと思えば、作品のテーマとなる。ものみな輪郭は融け出す、という真理。ときあたかもポーランドでの変革が進行していた。労働運動なり革命なり、輪郭のはっきりしていた言葉もやがて融け出し、不確かなものに変質していってしまう。ならば古典美術はどうか。額縁という輪郭のはっきりし安定していた絵画を、現代はそれを取り払ってしまう。そこに古典絵画を越えるものを生み出せるのだろうか。モーツァルトをバックにハンナ・シグラが逆光で道を歩いていくシーンなど美しいはずなのだが、私たちはいつクラクションが鳴るのかとビクビクしているので、一つの場面としての情感を共感できない。輪郭を固められない。音楽と映像とは手を取り合いたくてうずうずしているのに、騒音の緊張が画面を不安定に流していってしまう。そういう時代。名画のモデルたちの間をカメラが自在に流れていくシーンは実に美しいのだが、輪郭を持てない現代の我々がここで美を感じてしまっていいのだろうか。
[映画館(字幕)] 6点(2012-11-26 09:53:10)
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