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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2383
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1541.  女奴隷船 《ネタバレ》 
新東宝、というか大蔵貢はいかにして手持ちの女優でエロっぽい映画を撮るかに全精力を注いできたのですが、それにしても本作は相当に奇想天外な映画です。 太平洋戦争末期、菅原文太はドイツのレーダー設計図(これが女性の写真の裏に隠しインクで印刷されているというわけが判らん設定)を南方から本土へ運ぶ任務を遂行中に乗機が撃墜されてしまう。気がついたらそこは船の中、その船は九州から上海に売られてゆく日本人女性を運搬している船だった。その船は丹波哲朗が首領の海賊船(!)に襲われて女たちと文太のほかは皆殺しにされ、本拠である無人島に拉致される。 はあ、思い出すたびに何とバカげたプロットかとため息が出るばかりです。丹波たち海賊は説明がないけど中国人みたいで、まあそれはいいけど丹波のファッションが幅の広いベルトにグリーンのサテンのシャツ、まるっきりカリブの海賊なんです、バンダナはさすがにしてないけど。 女たちを売り飛ばす組織の女王様は新東宝いちのヴァンプ女優である三原葉子でして、彼女がまたタータンチェックのベストに革のブーツとなんか違和感のある衣装で登場するんですよ(もっともその後は薄い半裸に近い衣装で通してくれます)。他の女たちもそうなんですが、みんな当時の六本木あたりで見られたファッションというのは、どうなんでしょうね(笑)。中盤では三原葉子がアラブ風衣装でセクシーダンスを踊ったり、三原と女たちがパンツ丸出しで乱闘して見せたりと期待されているものは一応見せてくれます。 ヒーローは菅原文太ですが、その文太の演技が驚くほど下手くそなんです。アクションシーンも腰が引けていて様になってないし、丹波の方が上手い役者に見えるというぐらいですから、相当なもんです。海女映画ではあんなに露出していた三ツ矢歌子まで、ひとりだけお嬢さんルックで肌も全然見せないと言うのには、当時のファンから罵声を浴びたんじゃないですかね。 ラスト、文太と女たちが高速艇で島を脱出するのですが、さんざん裏切ってあくどい事をしてきた三原がヒロインみたいな表情で船首に立っているのはびっくりです。まあ良くも悪くも、本作は彼女のための映画だったということでしょうか。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2012-10-10 23:46:23)(良:1票)
1542.  死ぬにはまだ早い 《ネタバレ》 
情事を終えた元レーサーと人妻。女を車で送りに行くが、街道では殺人犯を追っている警察が検問をしている。夜11時、喉が渇いたので山小屋風のドライブインに二人は入る。店内には新婚カップル、常連の医者、おつむの軽い若い娘ふたり、タクシー運転手、そしてカウンターの隅っこで黙々とマッチを積み重ねる陰気な男などの客がいた。そこに拳銃を持った男が乱入してくる… ここでネタばらしちゃいますけど、実は本作は64年製作の『恐怖の時間』を翻案した映画なのです。原作は菊村至の『閉じ込められて』という小説なんだそうですが、原作自体が『恐怖の時間』をネタにしたということなんでしょうか。 『恐怖の時間』と違ってこちらは男が立てこもってからは完全に密室、誰も入ってきません。客たちのエゴはだんだんむき出しになってきて、自分だけは助かろうとして醜い行動をする奴も出てきます。黒沢年男が演じる立てこもり犯は、浮気した恋人を射殺しその浮気相手を殺すために店に来たのですが、いきなり見回りの警官を射殺する凶暴な奴です。こいつは『恐怖の時間』の山崎勉とは違って鬼畜のような男で、医者に新婚の女をレイプさせようとしたり緑魔子には裸になることを強要したりでやりたい放題です。この頃の黒沢年男はこういう激情に駆られて身体を動かすキャラをやらせたらピカイチですよね、セリフは聞き取りにくいけど。 低予算ながらもほぼドライブイン店内だけで繰り広げられる密室劇としてはかなり濃度が高いと言えます。ジュークボックスがあって、そこから森進一の『花と蝶』やザ・タイガースの『青い鳥』なんかを聞かせるところなど独特のテイストに満ちています、この映画は。ラストにちょっとしたオチがあるのですが、『恐怖の時間』と比べても毒味がはるかに利いています(基本的には同じオチなんですけどね)。 こんな映画がソフト化されていないのは実に不思議。この映画の内容が、後におこった三菱銀行北畠支店の有名な事件に似ているからというあまり説得力のない説もありますが、真相はどうなんでしょうね。監督の西村潔には、ほかにも完成したのにお蔵入りさせられて観た人がほとんど皆無の『夕映えに明日は消えた』という正真正銘の幻の映画があり、まあ不運な人だったみたいです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-10-08 14:33:41)
1543.  恐怖の時間 《ネタバレ》 
渋谷の宮益署は夕方6時を過ぎてのんびりとした雰囲気に包まれていた。刑事課の部屋に若い男(山崎勉)が入ってきて「刑事の山本さんいらっしゃいますか」と尋ねた。帰宅しようとしていた初老の刑事(志村喬)が「わしが山本だが」と答えると、男は突然拳銃を突きつけて在室していた他の三人の刑事も武装解除して部屋に立てこもった。実は男は人違いをしていて、恋人を射殺した山本和夫刑事(加山雄三)をねらっていたのだが彼はまだ署に戻っていなかったのだった。 エド・マクベインの『殺意の楔』が原作だそうで、古典的な密室限定サスペンスです。密室と言っても、刑事部屋に三回も人が入ってくるのでどんどん人質が増えてくるのに、肝心の加山雄三がなかなか帰って来ないと言うのがサスペンスになっているのです。山崎勉はニトログリセリンを持っているので、人数が多い刑事たちも手が出せない。加山雄三は奥さんと食事をしたり、射殺した女の家に弔問に行ったりしているのを並行してカメラは映してゆきます。 ここまで観ていちばんイラつかされるのは、加山がまるで若大将みたい陰がない坊ちゃんで、正当防衛とはいえ女性を殺してしまったという苦悩がまるで伝わってこないところです。対照的に山崎勉は死んだ恋人のことを嘆くばかりで、熱演だとは思うけどキャラとしては深みに乏しい。貧乏だが真面目な恋人同士だったことは回想映像で語られるけど、なんで女が麻薬取引の現場にいたのかが説明されないのが作劇としてはとても不可解でした。刑事部屋に閉じ込められた人々と山崎努との駆け引きは見せ場として重要なのですが、どうも監督のサスペンス演出にキレがないのであまり盛り上がりませんでした。それでも、志村喬や土屋嘉男など刑事たちの海千山千ぶりは、観ていてなかなか面白かったです。 ラスト、事件が解決してからやっと加山雄三が警察署に到着して、「救急車が来てましたけど、何かあったんですか?」とボケをかますんです、これには笑いました。奥さん(星由里子)まで犯人に騙されて殺されかけたってゆうのにね、まったく…
[CS・衛星(邦画)] 5点(2012-10-08 14:33:32)
1544.  ジャッキー・ブラウン
近年になって評価が上がってきた様な気がしますが、タラ映画の中でも最も不評な一篇みたいですね。初見の時から気にいった自分としては、どうしてそんなに評判悪いか判りませーん。 ムダ噺や時系列をいじくった演出がほとんど見られないなど、世間がタランティーノに期待しているところを見事に裏切ってくれたせいでしょうか。でもP・グリアやR・フォスターの絶妙な演技を観ていると、タランティーノは普通に映画を撮っても超絶的な技巧を持っていることは良く判ります。この映画ではとくに長回しが多くて、そうなると俳優の演技力の優劣が観客に良く判り、監督にとっても腕に自信がなくちゃチャレンジしたくないものです。 タランティーノはこの映画では真横からP・グリアを撮ったショットがやたら多いんです。確かに横から見ると彼女の黒人離れした堀の深い顔がとても美しく、タランティーの彼女に対するリスペクトが窺えます。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-10-04 22:32:50)
1545.  理想の女
原作の舞台をアマルフィに、主人公ウィンダミア夫妻をアメリカ人へと変更してますが、ストーリーとの違和感はなく良く馴染んでいます。アマルフィみたいな名所を舞台にすると、某日本映画みたいに半ば観光案内みたいなものを想像しちゃいますが、さすがにあんなバカなことはしていません、この映画は。米英の有閑上流階級がひと夏を過ごす場所としては持ってこいじゃないですか。 オスカー・ワイルドの戯曲が原作ですから、全篇ウィットに富んだ名セリフのオンパレード状態。良く聞くとけっこう辛辣なんですが、笑えます。この映画を観た最大の収穫は、何と言ってもH・ハントの女ぶりの良さ!熟女の魅力が大爆発です。スカヨハなんて演技はもちろんのこと、彼女の前ではまだまだガキです。T・ウィルキンソンも良かった、今まで観た彼の役の中で一番だったと思いました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-10-01 21:04:48)
1546.  ならず者部隊 《ネタバレ》 
50年代はハリウッド製戦争映画の不作の年代で、本作もその中の一本。南部の大農園主であるR・ワグナーが徴兵されて(たぶん)フィリピン戦線に派兵され、農園の小作人たちと同じ部隊で苦労しながら人間性に目覚めてゆく、というのが大まかなストーリーです。アメリカは州兵単位で師団を編成するので、同郷の地主と小作人が同じ部隊で肩を並べて戦うというのはまああり得る話でしょう。軍隊はどこの国でも階級が同じならみな平等というのは大原則ですが、アメリカ南部のように貴族的な風習が残っているとちょっと面白いことになる場合もあるわけです。映画としては良くあるパターンなんですけど、それを戦争映画にしたところがユニークと言えなくもない。 この映画の唯一の見どころは、実はワグナーの上官であるB・クロフォードのキャラ設定なんです。異常に臆病で自分に対して敬礼をさせない(自分が指揮官であることがばれると狙われるから)。常に二人の美青年兵士に警護させていて、彼らとホモセクシュアル関係にあることが暗示されている。この二人だけは上半身裸で、実に変な雰囲気なんです。そんなクロフォードも解任されてしまいますが、そのとたんにきちんと階級章をつけた軍服とヘルメットを着用してジープに乗りこみ、あっという間に狙撃兵に撃たれて死んでしまいます。まるで覚悟の自殺みたいな最期で、名優らしい存在感がありました。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2012-09-29 23:32:16)
1547.  スネーク・アイズ(1998) 《ネタバレ》 
ニコラス・ケイジのリック・サントロというキャラクターがなければ観たことを忘れてしまいそうなぐらいデ・パルマ映画の中でも印象が薄いんです(個人的にはけっこうデ・パルマは好きなんですけど…)。 外ではハリケーンが荒れ狂っているアリーナという閉じられた空間の中で、色んな種類のカメラに逐一見張られていると言うプロットの肝心のところがあまり生かされていないんじゃないでしょうか。デ・パルマ映画に特有の粗が目立つストーリーは凝った舞台設定が目くらましなければいけないのにね。まあニコジーが好演してくれたので何とか観れました、ラストにかけて転落してゆくところなんか特にいい! ところでいちばん最後に見せてくれるあのオチなんですけど、エンド・ロールは普通カットされる地上波では見せてもらえないんでしょうか? 
[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-09-27 20:12:02)
1548.  絶海の裸女 《ネタバレ》 
フィリピンから日本へ向かう船が戦時中に設置された機雷に触雷して轟沈、ボクサー二人に流行歌手とマネージャーおよびその付き人二名、この男女6人が無人島に漂着する。まあ新東宝版の『LOST』みたいなもんです。歌手はボクサーと恋仲だったけどマネージャーに手篭めにされもう一人のボクサーにも犯され、そうなるともう怖いものなしという心境で無人島の女王みたいになってゆく。邪魔になった元恋人ボクサーはマネージャーに右手を岩で潰され、定期船に発見されるも彼だけは島に置き去りにされてしまいます。そしてここからが新東宝お得意の電気紙芝居の始まりで、洞窟に隠された旧日本軍の財宝を発見するのです。と聞けば、そうあの『女真珠王の復讐』の男性版にして同じプロットの使いまわしだったというわけです。この悪役マネージャーは新東宝一の怪優である沼田曜一が演じているのですが、中川信夫の『地獄』で観る者を震え上がらせた怪演には遠く及ばない凡庸な演技でした。歌手は久保菜穂子なんですが、“裸女”のはずが水着姿すら見せません、完全な題名詐欺状態です。でも彼女、前田美波里に似た顔つきがけっこう良くて気に入りました。この人女任侠もの映画で初めてヒロインを演じた、藤純子への道を拓いた偉大な(?)功績の持ち主なんだそうです。 後半は財宝をせしめて大富豪となったボクサーが日本に舞い戻って自分を置き去りにしてきた三人に復讐するわけですが、ほんとに安っぽい紙芝居みたいなもんですから、何も語ることはありません。 それにしても新東宝、現代ならば誇大広告で消費者庁あたりから手入れを喰らうんじゃないでしょうか(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2012-09-25 20:55:13)
1549.  海女の戦慄 《ネタバレ》 
伝説のグラマー女優、前田通子です。顔はわりと地味ですが、とても昭和30年代の女性とは思えないナイスバディは評判通りでした。「海女の慕情」なんて題名の主題歌まで披露してくれるのですが、これがけっこう上手いんですよ。そういや、海女の衣装が彼女だけビキニというのがなんか変ですけど… そしてまたまた出ました三ツ矢歌子、露出シーンは彼女の方が明らかに多いぐらいです。 内容はまあとくに語るようなものはありませんが、酒場がまるで西部劇に良くあるサルーンみたいだったりして日活の無国籍アクション風に撮ろうとした努力の跡は認めてあげましょう。だけど船員に変装した海保の捜査官が現れると、もうここら辺で観るのを止めようかという気分になりました。彼だけが白塗りの時代劇風のメイクで、アクション(らしきもの)もチャンバラ映画のヘタな立ち回りみたいなんですもの。 まあ元は二本立て・三本立て興行のためのプログラム・ピクチャーですから、怒っちゃ大人げがないのでしょう。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2012-09-23 22:19:15)
1550.  潜水艦ろ号 未だ浮上せず 《ネタバレ》 
あの大蔵貢が社長になる前は、『戦艦大和』を観れば判るように、新東宝の戦争映画には独特の暗さと厭世感に満ちていました。潜水艦の戦いを描いたこの映画も、ヒーローとして活躍するような登場人物は一人もおらず、艦長以下乗組員はみな家庭や恋人に後ろ髪をひかれる様な思いを残して出撃して、淡々と散ってゆくのです。 随所に潜水艦内の実写映像を使用しているのがモノクロ本編に良くマッチしています。ただ艦内のセットは低予算の悲しさであまりに大雑把過ぎて実感を損ねています。旧海軍の潜水艦はUボートに比べて大型だったにしても、潜水艦内の閉塞感がまるで表現されてないのは残念なところです。もっと致命的なのは戦闘シーンにおけるミニチュア・ワークにまるでスケール感がないところで、安物の潜水艦プラモデルをマブチ水中モーターで走らせている様な映像は、もう自主映画レベルです。同じ年に東宝では『ゴジラ』が製作されていることを考えると、もうちょっと何とかならなかったんでしょうか。
[DVD(邦画)] 4点(2012-09-22 22:29:40)
1551.  ザ・コミットメンツ 《ネタバレ》 
面白かったのでロディー・ドイルの原作『おれたち、ザ・コミットメンツ』(なんとサザンの関口和之が邦訳!)も読んでみました。結論から言うと、これは映画の方がはるかにいいですね。映画化に当たってはドイル自身もシナリオに参加していますし、原作小説をグッとふくらましたという感じがします。 これもあのメンバーを揃えられたキャスティングのおかげで、あの“デコ”なるヴォーカルなんて、もう奇跡のキャスティングとしか言いようがありません。ギターの“アウトスパン”役のG・ハンサードなんかはその後『ONCE ダブリンの街角で』でオスカー主題歌賞を獲っちゃうぐらいで、メンバーみんなもレベルが高いパフォーマンスです。原作ではザ・コミットメンツの十八番は『ミッドナイト・トレイン』ということになっているのですが、映画では使われなかったのが残念です。 あっけなく解散しちゃうラストも、ベタベタしてなくいかにもアイルランドらしくて好きです。バンド経験者は必見の秀作です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-09-21 18:25:09)
1552.  人喰海女 《ネタバレ》 
邦画にはかつて“海女映画”というジャンルがありました。といっても、このジャンルの作品を製作したのは新東宝という映画会社だけで、その生みの親こそ社長で“和製ロジャー・コーマン”“エクスプロイテーション映画の天皇”として歴史に名を残す大蔵貢です。もっとも、キャリアから言うとコーマンを“ハリウッドの大蔵貢”と呼んだ方が正しいのかも。ピンク映画すら存在しなかった時代に、いかに女体を売り物にするかと彼が知恵を絞って生まれたジャンルなのです(S・ローレンの『島の女』をパクっただけなのかもしれませんが)。 というわけで本作のご紹介となるわけですが、はっきり言って他愛のないストーリーなぞどうでも良い。三原葉子の演じるファム・ファタールが宇津井健を翻弄し、丹波哲郎には弱みを握られて操られるも、最後には良心に目覚めて死んでゆく。宇津井健は大半の登場シーンが海パン姿というのが良く考えると笑えてくるし、海女たちがみんなグラマラスな若い娘ばかりというのもあまりにも強引です。ちゃんと海中撮影をしているのですが、泳ぐ海女を捉えるショットがあまりに露骨なアングルなので爆笑でした。狂言まわし的な役柄ながら、殿山泰司がコロンボみたいな刑事でちょっと光っていました。あと監督の実弟である平田昭彦がほんの1シーンですが友情(?)出演しています。そして特筆すべきは三ツ矢歌子で、わたしらの世代にはホームドラマのお母ちゃんというイメージが強いけど、若いころは露出演技に体を張ってたんですね(まあ新東宝所属じゃしょうがなかったかも)。 それにしても『人喰海女』とはあまりに題名が大げさ、こういうところがいかにも大蔵貢らしいエクスプロイテーションです。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2012-09-19 20:15:33)
1553.  バンデットQ 《ネタバレ》 
T・ギリアムは子供向けのつもりでこの映画を撮ったそうですが、ここまで作りこまれたら大人の鑑賞にも十分耐えられますよ。子供相手には手を抜けばいいと考える商売人は多いけど、子供の辛辣な眼をなめちゃいけません。 何気に豪華なゲスト・スターたちがすごいが、S・コネリーのアガメムノンにはもっと活躍して欲しかったところです(本当はラストのバトルに参加するはずだったのに、スケジュールが合わなくてカットされたそうです)。でもやはりこの映画を象徴するのは、帆船を帽子のように頭に載せた巨人でしょう。凄いイマジネーションだと感心しますが、映画のストーリー上はあまり意味がないキャラでした。バンディットたちにドワーフ(小人)の俳優を使っていますけど、最近はいろいろうるさくなっていますので、もうこういう映画は撮れないでしょうね。
[DVD(字幕)] 7点(2012-09-17 20:35:33)
1554.  サウンド・オブ・サンダー 《ネタバレ》 
本来、蝶を踏んだことで未来があんな風に変わるなら、その瞬間にタイムトラベルして来た連中はみんな消えるか気持ち悪い未来人類に変身しなければならない。 “時間の波(?)”が徐々に伝わってくると言うのは、そこを上手くクリアーする理屈にはなる(かなりひどいご都合主義だけどね)。しかしもう一回過去に戻って蝶を救ったとしても、元の世界が変わるわけではないしパラレル・ワールドをひとつ増やすだけなんではないかな。過去へのタイムトラベルは、何も過去へ影響を与えなくてもパラレル・ワールドがひとつ出来ると言うのが自分の感性なので、どうもこの映画のオチはピンとこないんです。 未来の街を走る車がシュワ版『トータル・リコール』みたいだなと思いましたが、データを見るとこの05年製作と知ってびっくりしました。それぐらいCGがしょぼかったんです、90年代初期のレベルですよ。 P・ハイアムズは自分が好きな『カプリコン・1』を撮った監督なのに、なんでここまでヘタな映画しか創れなくなっちゃったんでしょうか。きっとプロデューサーが悪いんだ、と無理に自分で納得したいところですが、やっぱこれが彼の実力かなぁ。それからB・キングズレー、あんた名優なんだからもう少し仕事を選びなさい!そういやこの人『スピーシーズ/種の起源』にも出てたよなぁ(涙)。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2012-09-14 18:55:55)
1555.  ポセイドン(2006) 《ネタバレ》 
開幕して約18分で転覆するのはほぼ『ポセイドン・アドベンチャー』と同じペース。だがその後はジェット・コースターなみのスピードでストーリーが展開する。リメイクは普通オリジナルより上映時間が長くなることが多いけど、オリジナルは二時間弱程度とさほど長尺じゃないので、ある意味珍しい例でもある。脱出に挑むのは10人で生き残るのが6人というのはオリジナル通りだが、それぞれのキャラ設定はオリジナルの登場人物を再構成した様な感じで、K・ディロンみたいに新規のキャラもいる(もっともこの“ラッキー・ラリー”はストーリー上では不必要な存在でしょう)。本作が印象悪くなった最大の原因は、この登場人物たちの性格付けが曖昧かつ弱いところだろう。K・ラッセルとJ・ルーカスなんか完全にマッチョなキャラがかぶってしまってる、オリジナルのJ・ハックマンとA・ボーグナインとは大違いなんだな。R・ドレイファスが“地図くん”を蹴り落として助かるシークエンスなんか、「なにもそこまで見せなくても…」ととても嫌な感じである。ここは今まで非情な海洋映画を幾つも撮ってきたペーターゼン監督の拘りなのかもしれない。密航して来た女性はオリジナルではC・リンレーに相当するキャラなんだが、その死に方は同じくS・ウィンタースを思い出させてくれる。そこで気がつくのは、このリメイクにはS・ウィンタースに相当するキャラがいないんです、これじゃあ盛り上がりに欠けるのも当然かな。 CGは確かに高レベルなんだから、さかさまになった船内での冒険・スペクタクルをじっくり見せて欲しいところです。原題から『アドベンチャー』を抜かしたからというわけではないでしょうが(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-09-12 19:37:53)
1556.  地獄(1960) 《ネタバレ》 
肝心の地獄よりも、天地茂たち主要な登場人物がほとんど死に絶える現生の方が、不気味なんです。上から見おろす、下から見上げる、そんなとてもシュールで居心地の悪いショットが一時間の現生編の半分は占めているような気がします。何度も挿入される走る蒸気機関車や線路のカットがどんどん鬱な気分にしてくれます。 しかし新東宝でも屈指のカルトにこの映画を押し上げたのは沼田曜一のそりゃ鬼気迫る怪演に違いなく、この演技を説明するには適切な言葉が思いつかないぐらいです。彼が悪魔なのか天地茂のダーク・ハーフとして出現したのか、けっきょく最後までよく判らんところがまた良いですね。 地獄で苦しめられる天地茂に何か光明がさしてくるような雰囲気もあり、まさか夢オチの最悪なハッピー・エンドかと危惧させられるも、あまりに無常なラスト・ショットで締めてくるとはさすが中川信夫です。 この映画、未成年とお迎えが近い老人は、決して観てはいけません!!
[DVD(邦画)] 6点(2012-09-08 20:04:12)
1557.  永遠に美しく・・・ 《ネタバレ》 
実は私も、観た回数がいちばん多いゼメキス映画がこれです。やっぱ好きなんですよね。M・ストリープ、G・ホーン、B・ウィリス、この豪華配役でここまでブラックなおバカ映画を見せてくれるなんてもう最高です。ホーンとウィリスはもともとコメディ畑の人ですけど、その二人を完全に喰っちまったメリルの弾けっぷりがまたすさまじい。メリルを軸とした三人の辛辣なトーク・バトルもこの映画の楽しみのひとつです。今後も自分の中では、年に一回は観たい映画としてきっと君臨してゆくでしょう。 ところでお腹に散弾銃で大穴をあけられちゃったG・ホーン、背骨が途切れちゃったのにどうして立ってられるんでしょうか(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-09-05 20:27:03)
1558.  影武者 《ネタバレ》 
黒澤映画の中で、本作が史実の出来事をネタにした唯一の時代劇なんですね。橋本忍は脚本に参加していないので、黒澤のロマンチスト気質が濃厚な物語に仕上がっています。言い古されていますけど、勝新太郎の代わりに急遽登板した仲代達矢のあまりにオーヴァーな演技がこの映画の最大の失敗でしょう。影武者が盗人らしい下品な本性を表わすところなんか、勝新ならきっとこんな風に演るだろうなと仲代達矢も意識して苦労したんじゃないかな。皮肉にも、仲代達矢は勝新の影武者だったようなものでしょう。あとちょっと理解しがたいのは黒澤の俳優起用ポリシーで、家康役が俳優は初体験の人とは恐れ入ります。そう言えば、幻の黒澤版『トラ・トラ・トラ!』でも山本五十六に素人の一般人を使う予定だったそうですし、なんか変わってますよね。 長篠の騎馬突撃をああいう風に見せてくれたのは私には不満で、その直前までの騎馬の映像が「さすが黒澤!」と唸らせるほどだったので、余計に残念でした。 それにしても、黒澤映画は馬の映像が素晴らしい。
[DVD(邦画)] 7点(2012-09-01 22:11:52)
1559.  マンディンゴ 《ネタバレ》 
これが日本では幕末、もうすぐ明治維新というころのアメリカ南部のお話しとはもうため息をつくしかありません。公開当時は全米で非難の嵐を巻き起こしましたが、「こんな話はウソだ」という批評はなかったそうで、最近世間を騒がせている自国の歴史を平気で改竄しちゃうどこかの国とは大違いですね、米国は。 異人種性交、近親相姦、そして反吐が出るほど醜悪な人種差別とダークなテーマを扱っている割には、思ったより淡々とした映画です。でもジェームズ・メイスンをはじめ、白人の登場人物が男も女もクズみたいな人間ばかりなのはある意味凄すぎる。リューマチは他人にうつしたら治るなんておバカな迷信を信じて、メイスンなんか奴隷を敷物がわりにするんだから、もう絶句です。 こういう映画を観ると、やっぱ奴隷の子孫が大統領になって初めてアメリカは贖罪を果たしたことになるんだろうと思いました(オバマさんはケニア人移民の子)。
[DVD(字幕)] 6点(2012-08-31 14:15:38)(良:1票)
1560.  ゆりかごを揺らす手 《ネタバレ》 
別に怖いとは感じなかったけど、これはとことん後味が悪い映画ですね。お話のプロット立てにも私は少々疑問がありまして、まず自殺しちゃう産婦人科医。直接描写はないけれど、触診するシーンでナースを退出させるは手袋を外すはで、“彼はやっちゃいました”と観客に宣言しているわけです。ここは本当は何があったかは藪の中状態(もちろんアナベラ・シオラはやられたと思っているわけですが)という見せ方で撮った方が、不幸のどん底に突き落とされて逆恨みにいたるレベッカ・デモーネイの心情により説得力が出ます。この映画の脚本では、アナベラ・シオラを観客が感情移入できないようなキャラにしているのも上手くない。これじゃあデモーネイの逆恨みの理不尽さが深くならないし、逆にデモーネイを応援しちゃってる自分に気がついたりします。狂言まわし役のサイモンにしたってストーリーの中でもう少し使い道があったんじゃないかと思うし、だいいち彼が登場した最初のシーンでラスト・シーンが予想できたし、実際思った通りのエンディングでした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-08-27 22:33:42)
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