141. 野菊の墓(1981)
皮肉なモンですね、出演したご本人が自分の過去のフィルモグラフィーから抹消したいであろう映画が作品としての評価は一番高いとは・・・。しかし自分がここで褒め称えたいのはこれが監督デビュー作となった澤井信一郎監督の職人的手腕である。当時の松田聖子の凄まじい人気を考えると、どんないい加減な駄作を作ったとしても一応はヒットしたとは思うが、単なるアイドル映画に貶める事なく映画の文法をきちんと踏まえた正統派の演出は素晴しいと思います。澤井監督の今現在に至るまでのご活躍も、これを見ればうなずけます。もう亡くなってずいぶん経つけど、明治生まれの俺のばあちゃんもこれ見て泣いてました。それ以来松田聖子がテレビに出るたんびに「あの民さんがねえ・・・」とニコニコ笑って応援してましたもん。彼女がその後スキャンダル等に巻き込まれる姿を見る事無くばあちゃんは天寿をまっとうして逝きましたが、それはそれでよかったのかなあ・・・なんて考えてしまいます。(追記)澤井監督の演出術の本が出ましたよね。この作品や「Wの悲劇」等を高く評価してる自分は非常に(立ち読みですが)興味深く拝見させて頂きました。 [地上波(邦画)] 8点(2004-12-04 14:03:46)(良:5票) |
142. ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版
自分も先週早稲田松竹で観てきました。(同時上映は「ビッグ・フィッシュ」)元のカット版も含め今回が初見。名作の誉れ高い映画なので期待してたんですけど、残念ながらこれ単独で評価しちゃうと、これ以上の高い点数はつけられないです。映画館のプレスシートじゃ、カット版よりこっちのが客からのリクエストが高かったって書いてあったけど、うーん、どうなんだろ。あえて言わせて頂くなら「ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全アンバランス版」。だってさ、前半の快調なノスタルジー溢れる画面作りに較べて、後半のメロドラマタッチは一体何なん?何となく余分なカットを観客におかまいなく、監督の思い入れだけで挟み込みましたって印象なんだもん。これじゃあかんよ。やっぱ皆さん書いてらっしゃるように、先にカット版から観るべきでした。 7点(2004-11-18 00:09:46)(良:1票) |
143. ベルリン・天使の詩
これより「シティ・オブ・エンジェル」のが面白かったっていうヤツ俺くらいかなあ。だってこれつまんなかったもん!眠かったもん!プンプン! 1点(2004-10-30 14:54:28) |
144. アリゲーター(1980)
騙されましたよ、俺これ。悪名高き当時の東宝東和の宣伝に。「誰でも・12回は・必ず・飛び上がります」とかってコピーと、訳わかんないカタカナ表示の特殊な恐怖倍増映像効果に釣られて。ガラガラの映画館でいつ飛び上がる瞬間が来るのかと、手ぐすね引いて待ってるうちに映画終わっちまうんだもんなあ。その後「キャノン・ボール」や「エンドレス・ラブ」とかでも同じ轍を踏んでしまった懲りないヤツ・・・。 3点(2004-10-17 12:03:53) |
145. 愛と哀しみの果て
見終った時、この「愛のなんたらかんたら」が気に入らなくて何かもっといい邦題ねえかなって色々と考えたんですよ当時。そんで思いついたのが「アウト・オブ・アフリカ~遥かなる旅路~」ってタイトル。映画自体は大作を見たなって満腹感はありましたね。ジョン・バリーの音楽も名曲だと思います。ラスト、ライオン達がデニス(レッドフォード)の墓に集まってきて・・・っていうストリープのモノローグも印象的。これは絶対大画面で見るべき映画です。 7点(2004-10-11 12:21:28) |
146. 細雪(1983)
日本人の美意識を四季の移ろいに重ね合わせ、これほどまで美しく映像に焼き付けた作品を僕は他に知らない。吉永小百合がふわふわしたとらえどころのない三女雪子を的確に演じて極めて魅力的。妹(古手川)に足の爪を切らせていた彼女が、突然の義兄(石坂浩二)の来訪に着物の裾を直すシーンが妙に艶っぽい。岸・佐久間は流石の貫禄。伊丹十三も小心物のキャラクターを巧く演じてみせてくれる。第二次大戦開戦前夜の、忍び寄る戦争の影をところどころに点出させているきめ細かい演出も見逃せない。 9点(2004-10-11 11:36:41) |
147. 瀬戸内少年野球団
確か夏目雅子のダンナが郷ひろみで、その弟が渡辺謙っていう濃すぎるメンツだったんだよなあ・・・。子供たちが野球始めるきっかけもいまいち弱いと思ったけど、それ以上にこの弟の扱いが尻切れトンボで気になった記憶があります。 瀬戸内海でのロケーション風景の魅力と後味の良さで一点プラスします。 7点(2004-09-26 16:28:27) |
148. 泥の河
宮本文学全般に漂う「死生観」を上手く掬い取って視覚化した名作です。当時加賀まりこばかりが絶賛された記憶が有るが、他の出演者の方、特に田村高廣がふとした拍子にみせる、人生の残酷な部分を知ってしまった男の疲れた表情は素晴らしいと思う。藤田弓子のお母さんが子供たちに注ぐ眼差しの暖かさも良し!別れのシーンも含め忘れ難い箇所は幾つもあるが舟べりで子供達が蟹を焼き殺す場面は秀逸。 [地上波(邦画)] 10点(2004-08-29 10:41:37) |
149. 天城越え(1983)
「はばかりに行かせて!」の壮絶な取り調べシーン、そぼ降る雨の中、頭に被った袈裟を振り落とし集まった野次馬に一瞥を加え、その直後少年に投げ掛ける慈母観音のような笑み・・・。田中裕子という女優のか細い肉体から発せられるエロチシズムが全面的に押し出せた作品は後にも先にもこの映画一本のみ。それだけでも観る価値有りです。しかし・・・、雨に濡れた女性っつうのはマジ魅力的っすね。 8点(2004-08-28 12:58:51)(良:1票) |
150. だいじょうぶマイフレンド
自分も公開当時何を血迷ったのか、映画舘まで見に行ってしまった一人です。クライマックス、ピーター・フォンダの発射液で物語が解決するってくだりがあって、性にまだ目覚め初めたばかりの自分は「噂には聞いてたけど、外人さんつうのはすごいんだなあ・・・」(どんな噂や)としきりに感心した記憶があります。俺自身も何もかもがカオス状態で、全然だいじょうぶじゃなかったんすね、あの頃。ベストテンとかにも全く登場しなかったのに、今だに俺の頭ン中で時たまエンドレスに流れてくる例の主題歌もある意味貴重。「あなたをー、愛してる、ひいとがいるう」この呪縛はもう永久に解けないのかなあ・・・。 1点(2004-07-11 11:36:46) |
151. 転校生(1982)
夏!夏!夏!って映画ですね。この映画で尾道っていう町を知りました。何故か懐かしのテレビ番組特集じゃ触れられないけど、「金八先生」の一番の出世魚は実は小林聡美じゃないかって気がします。既にこの頃から根性座った演技みせてますもんね。学校の屋上での志穂美悦子先生とのやり取り、二人で連絡船に乗ってどっかの島に行くシーン、良かったなあ。 8点(2004-07-10 17:23:04) |
152. 恋する女たち(1986)
金沢一の「ディスコクイーン」(どこが?)高井麻巳子の素人演技には唖然とする以外ないが、そのフォローは斉藤由貴・相楽ハル子・小林聡美が充分してるかと思うので俺は許します。 6点(2004-06-27 14:55:33) |
153. どっちにするの。
これは面白かったです。普通のOLが企業の社長だか副社長だかになるって設定のありえない夢物語だけど、主演者の皆さんが当時最高のオーラを放ってたって時期なんで。中山美穂も宮沢りえも若い!!日本映画にしちゃ珍しいウェルメイドな娯楽映画。 7点(2004-06-27 14:20:50) |
154. 疑惑(1982)
女優としたらこういう役演じるのって凄く気持ちいいんだろうな・・・。桃井かおり演じるヒロイン、鬼塚球磨子ってネーミングもすごすぎです。球磨子って聞いて最初「熊子」ってイメージしたの俺だけじゃないよね?ね!「白いドレスの女」と並ぶ80年代悪女映画の秀作だと思います。(追記)久しぶりに再見したら、やっぱりエラク面白かったんで一点プラス。自分の歩んできた道が正しいとそれぞれ信じて疑わない、本来なら人生において何の接点もなかったはずの我の強い女二人。この二人が出会ったらどんな化学反応を起こすのか・・・。その結果反応の秀逸さが事件の真相よりも、本作の評価を高らしめている一番の要因かと思います。横からチャチャを入れまくる鹿賀丈史、山田五十鈴といった脇役の布陣も文句なし。「アンタなんかチンコロの懲役太郎なんだからあっ!」とか「ちょっとお~、ここ税務署?」とかいう台詞にいちいち爆笑。桃井&岩下志麻、映画での再共演を強く希望! [映画館(邦画)] 9点(2004-05-30 16:25:15) |
155. 熱き愛に時は流れて
最近この映画の主演二人の最新作(「デイ・アフター・トウモロー」 「ビッグフィッシュ」)をたて続けに観たんですが、お二人とも年齢相応のいい味出せるいい役者になっていて安心しました。むしろこの映画の大学時代の若造りのがキツかったかも・・・。長い年月にわたるお話なので少しダレる部分もあるけど、自分はアメリカ映画の中で描かれるアメフトのシーンって好きなんで得点は甘くしときます。しかしこのタイトル・・・う~ん、もうちょいどうにかならなかったものか。 7点(2004-05-30 11:15:44) |
156. Wの悲劇
角川映画の中では「蒲田行進曲」と双璧をなす秀作。薬師丸ひろ子のピークはやはりこの映画。この作品での演技が高く評価されたんで、女優としてもっともっと伸びるはずってあの頃思ったんだけどな・・・。なぜが自分もこれ以降の彼女には急速に興味を失ってしまった。アイドルの幕引きとして見れば、あのエンディングは非常に納得できるシーンだったと思う。「フォトメモワール」(全4冊)はまだ実家の本棚にきちんと並べてあるはず。 [映画館(邦画)] 10点(2004-05-16 16:21:56) |
157. BU・SU
地方の人間が東京に出てきた時に感じる、何とも表現しにくい「異空間的」都会の表情がよく出ていると思います。だから元々東京に住んでる人にはこの空気感は伝わりにくいのかも。自分はたまたま上京してきた頃この映画を観たんで、すごく共感出来ました。八百屋お七の逸話を地下鉄のホームで富田靖子が聞くシーン、隅田川の川ベりで踊りの練習をする彼女をトレーニング中の高嶋政宏が何気に見ているシーンが特に忘れられません。 (追記)故市川準監督作品が続々とDVD化された為、約25年ぶりに本作を鑑賞。確かに演出にところどころ舌っ足らず的な部分があるのは、初監督作品なだけに否めないとは思いました。でもそんな些細な瑕より、自分が上京した頃の、容易には地方出身者を寄せ付けくれないような、1987年当時の「東京の空気感」は、あの頃以上に強く感じ取れましたね。地下鉄自体が物珍しくって、何の用事もないのに東西線に乗り浦安方面に行ったヒロインの行動なんか、まさに自分がやってたのと同じ。青春時代の思い出の映画、唯一本だけという事なら、僕は洋画では「ファンダンゴ」、邦画ではこの「BU・SU」をチョイスします。嗚呼、泣いても叫んでも戻らない日々よ・・・。最近の自分はやたら感傷過多気味、ゆえに1点加点。BOWWOWさんの素晴らしいレビューに感服しました。 [映画館(邦画)] 10点(2004-05-15 10:18:58)(良:1票) |
158. さびしんぼう
浦辺粂子おばあちゃんと小林聡美&樹木希林親子がいい味出してましたね。「嘘付きはドロボーの始まり」「あとは野となれ山となれ!」って 大爆笑でした。このコンビまた復活してくれないですかね。でも大林映画の常として、他の喜劇的部分は失敗してるんだよな・・・。先生のスカートが落ちるシーンとか、おばさん連中と九官鳥とのやり取りとか。まあそこら辺はささいな瑕、後半はぐっとテンションが上がって、十代の頃のノスタルジーをかきたてられる事間違いなし。でも個人的な好みだと「時をかける少女」のほうが上。 [映画館(字幕)] 9点(2004-05-08 11:16:44) |
159. メイン・テーマ
良くも悪くも雰囲気だけの、思わせぶりアイドル映画。併映の「愛情物語」も内容が薄くてつまらなかった記憶有り。前年の「探偵物語」&「時かけ」タッグより、数等落ちる出来映え。確か「小笠原」とか「大東島」とかって登場人物の名前に日本の地名が入ってるんですよ、って何でんな事までいちいち覚えてんだろう俺は・・・。あと沖縄ロケは3 月だったんで天候があんまり良くなかったんですよ(ダメ押し)。点数は二本立ての合計という事で。 4点(2004-04-25 13:56:57) |
160. 異人たちとの夏
もう15年も前の映画なのに、何故か心に引っ掛かってくる作品です。この映画の風景に出会いたくて浅草六区のあの周辺、歩き回ったな~。その辺の道端からひょこっと現れてきそうな鶴太郎、安っぽいブラウス着てたたずむ秋吉久美子、どちらも役柄にぴったりでしたね。映画観た後だとシナリオ読むだけでも涙がこぼれてきます。「お前をね、大事に思ってるよ」「親子で何つまんない遠慮してんだ」・・・くう~。今の自分に無償の愛情を捧げる対象は果たしてあるんだろうか?つい自問自答してしまいます。オカルト部分は・・・ま、いいでしょ。 8点(2004-04-11 14:52:32) |