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141.  フロントランナー 《ネタバレ》 
個人的に贔屓なジェイソン・ライトマン監督作品でしかも政治劇ということで期待して鑑賞。大統領予備選挙での最有力候補(フロントランナー)がスキャンダルで転落、という大筋から考えると、政治的な陰謀ドラマ、とくに『ハウス・オブ・カード』的なものを期待してしまいますが、そこはライトマン監督、政治スリラーというよりは、個人の信条が徐々に時代とかみ合わなくなる悲哀の物語として、とてもパーソナルな政治映画という趣でまとめていました。都会的・知的かつセックスアピールもある有力政治家ゲイリー・ハート役にぴったりなヒュー・ジャックマン。信念を持つ政治家としての魅力と男性としてのちょっとした隙の共存が、こんなに似合う俳優もいないかと。そして、その信念ゆえに、彼は自分が陥った苦境を理解できず、記者会見で深みにはまっていく様子の空回り感、無力感も見事でした。自分の「正しさ」を確信するがゆえに、少しずつ変化する時代の空気を感じられない彼の姿にゾッとする男性観客も少なくないのでは? 政治家としての彼を信じながらも、少しずつ溝ができていく記者たちやスタッフとの関係の描き方も丁寧でした。ただ、ダイナミックな政治劇を期待するとちょっと肩すかしかも。なんでもないシーンでの視線や言葉の交わし方、表情とか細かいところに、映画の魅力が詰まっているタイプの作品だと思いました。 
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 7点(2019-06-04 22:38:23)(良:1票)
142.  IAM A HERO アイアムアヒーロー 《ネタバレ》 
面白かった! 何よりもゾンビ1体1体が「モブ」ではなく、「個性」があるのが魅力。その人の生前がどんなものだったのかが浮かび上がり、それぞれが個性のある動きを見せる。だからゾンビと戦うアクションも単調にならず、とくに都会でのゾンビ大発生の大パニックからタクシーでの脱出のシークエンスは、文字通り息つく暇なく夢中で楽しめました。また、そんなアクションの主人公を演じるのが大泉洋というのがまたいい。「大泉洋」なのにちゃんとその役の人になりきって見えるという彼の役者としての魅力は、この映画でも十分に味わえます。とくに不穏な雰囲気のなかで英雄の日常を描いた序盤のおかげで、そこからのパニックのスピード感が際立つ。後半のショッピングモール以降は、一転古典的な社会風刺風ゾンビ映画になりますが、ラストの連射バトルは「ラスボス」の魅力もあってダレずに楽しめました。難があるとすれば、原作ありものゆえの説明不足感か。結局ヒロミは何なのかよくわからないし、主人公が「発症」しない理由(これは恋人が彼を想って「歯」を折ったから、というふうに思えるけど、それで回避できるようなウィルスなのかな・・)や伊浦がどこで噛まれていたのか、とか、そのあたりのロジックが続編ありきなのかおざなりだった。あとモールの空間的な位置関係もわかりにくく、終盤はアクションの勢いで押し切られた感じでした。とはいえ、これだけの本格アクションが楽しめる日本映画、そうはないと思います。
[インターネット(邦画)] 7点(2019-06-01 08:09:41)
143.  祈りの幕が下りる時 《ネタバレ》 
長時間フライトで眠れなくなったときに、機内映画でよく東野圭吾作品をチョイスするのですが、今回もそういう事情で鑑賞。橋の名前が鍵になる序盤は引き込まれた。字幕での経過説明はうざかったけど、主人公の家族も絡む複雑な話をテンポよく見せるのに成功していた。ただ、開始1時間くらいで、もう松嶋菜々子が怪しいというか、ほぼ犯人確定していくので、残り時間どうするんだろうと思ったら、そこから延々と逃避行ドラマでした。この部分、小日向さんと若手の女優さんがすばらしい演技で盛り上げるのですが、音楽がうるさすぎるのと、話の中身自体は東野作品によくある「身代わりもの」の話だったので新鮮味も少なく、ちょっと残念。東野さんって、文章だとベタな人情話を乾いたタッチで描くところがうまいと思うのだけれど、映画はいつもその逆を行ってしまう・・・。もうちょっと違う演出家で見てみたいなあと思ってしましました。
[DVD(邦画)] 5点(2019-05-25 05:46:00)(良:1票)
144.  メアリと魔女の花
休日のひまつぶしに、子どもと一緒に北米版DVDを英語音声で見ました。英語の吹き替えはもともとキャラクターが西洋人なのでまったく違和感なし。ただ、この内容とキャラであれば、ケイト・ブランシェットとジム・ブロードベンドは完全な無駄遣いでした。彼女たちは、あの支離滅裂なキャラをちゃんと納得して演じていたのだろうか。それにしても噂には聞いていただけれど、予想以上にジブリの「劣化コピーもの」でした。序盤こそ、メアリをめぐる家族関係とかいろいとワクワクする要素があったけれど、魔法学校に行ったあたりからは、ジブリっぽい絵と設定のもとで脈絡なく展開するストーリーにどうでもよくなりました。子どもたちも飽きたようで、1人は途中で席を立って自分の部屋へ行ってしまいました。米林監督、日テレをはじめ巨大資本に囲まれて思うようにできないのも想像できますが、3回目のチャンスでこれは酷いです。幸い、好き嫌いはあるけれど、ここ数年のアニメ映画界は、片渕さん、新海さん、湯浅さんなど中堅どころの作り手が次々新しい表現・作品に挑戦しています。ジブリ1強だったいままでが不健全だったのかもしれません。
[DVD(字幕なし「原語」)] 3点(2019-05-15 03:00:52)
145.  ダンボ(2019) 《ネタバレ》 
イースターの連休に子連れで映画館にて鑑賞。観客の入りは子連れ中心でまあまあ。序盤のサーカス描写やキャスティングを除けば、全体としてはティム・バートンのカラーは薄め。そのへんはディズニー・クラシックだからなあと思っていたら、後半には明らかにウォルト・ディズニーとディズニーランドへの風刺を込めた展開に。ではそれが痛快なのかというとそういうわけでもなく、なんだか微妙に腰が引けているというか、やりきってない感じ。ラストで動物をサーカスから解放しましたという場面の直後に馬に乗って現れる主人公・・・が象徴的。一方で、風刺を盛り込んだせいか、物語のエンタメ的なテンポや盛り上がりにも欠け、全体として夜が主体の暗い場面も多いので、誰に見てほしい映画なのかがよくわからない、ちぐはぐな一作となっていました。なによりもダンボの「飛翔」が目玉のはずなんだけど、「飛ぶ」といってもテントのなかをぐるぐるするだけなので、明らかに爽快感に欠けたのは残念でした。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2019-05-07 01:23:16)
146.  クリード 炎の宿敵 《ネタバレ》 
もともと陳腐で使い古されたストーリーを新しい語り口で描き直したところに前作の成功ポイントがあったと思います。続編でも、その流れを継承し、基本的には前作でよかったことをそのまま素直に繰り返している感じで、監督が代わったことも忘れそうでした。さらに、挑戦者がチャンピオンになる物語よりも、チャンピオンになった後の物語のほうが圧倒的に難しいのは、『ロッキー』シリーズがすでに物語っているわけで、その意味ではけっこう困難なチャレンジだったけれども、それを淡々とこなした一作だと思います。 ただ、見ているうちに徐々に違和感が・・・。たぶん、一番の違和感は台詞や絵作りの平板さ。そこは監督交代の影響をもっとも受けた部分でしょう。ライアン・クーグラーの挑発的な絵作りや凝った台詞回しに比べると、序盤のプロポーズをめぐる顛末などベタ過ぎてちょっと恥ずかしくなるくらいの作り。ドラゴ親子の台詞や環境もベタ過ぎてひねりが足りない。それから2番目はロッキーの位置が微妙だったこと。病気の件が前作から続いているのに、今回のロッキーのミッションは孫に会うこと・・・というのがあまりにもドラマとして弱い。自分の体よりも家族のほうがはるかに難しいというのはわかるのですが、ちょっと無理矢理とってつけたようなドラマでした(ただ、孫が本当にエイドリアンの面影を持ってたのには感心したけど)。そして3番目はドラゴ親子の妙な存在感。ドルフ・ラングレンのキャリアや老けたブリジット・ニールセンなど、スクリーンの外のドラマがあまりに強烈過ぎて、後半はアドニス側の物語を完全に食ってしまいました。それは、この映画の強烈な魅力でもあるのですが、ちょっとバランス崩し過ぎかなあと。そして、4番目はフィラデルフィアという街の存在感が完全に消されてしまったこと。フィラデルフィアは『ロッキー』という物語の魅力と一体だと思うのですが、今回の作品はレストランのベタな描写以外はあっさりと切り捨ててしまいました。ということで、楽しく揺さぶられる一作だったけど、あの強烈な完成度の一作目と比べれば、残念ながら数段落ちてしまったかなあ。それは、この物語にとってはある種の「宿命」なのかもしれませんが。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 6点(2019-05-05 08:16:31)
147.  映画ドラえもん のび太の月面探査記 《ネタバレ》 
前作で映画ドラえもんにはすっかり関心を失っていたのだけれど、子どもがやっぱり行きたいというのと、脚本が辻村深月さんだということで今年も映画館へ。辻村さんといえば、藤子F不二雄先生とドラえもん(&大長編ドラえもん)への愛と尊敬を込めた小説『凍りのくじら』の作者。各章をひみつ道具に絡めて描いた『凍りのくじら』と同様、旧作への愛情をたっぷりと感じる展開はとても面白く感じました。とくに、のび太たちがちゃんと「小学生」している日常の学級シーンを序盤に丁寧に描いたのは素晴らしい。そして、「日常」からの「異説クラブメンバーズバッヂ」からの大冒険という展開には、ドラえもんがずっと描いてきた日常世界と夢の世界を繋ぐ「想像力」の大切さというメッセージにもしっかりつながっていてグッときた。月にいく宇宙船が、科学的には無駄にしか思えない「気球」型、というのもそれっぽくていい。このあたりの辻村テイストの丁寧な積み重ねゆえに、この映画はじわじわと感動が積み重なるつくりになっていて、ルカとの友情にもしっかり感情移入できる。ただ、最近の「映画ドラえもん」らしい部分が、その辻村テイストとどこまで合っていたかには疑問も。まず、ルカやルナの絵柄。いかにも最近のアニメっぽい外見なのだけれど、正直のび太たちと画が合っていない。ゴダートも衣装や外見は相当微妙だった。それから、俳優さんのゲスト声優出演。最近は主要ゲストキャラは有名俳優さんたちが演じることが多いけれど、ルナ役の広瀬アリスさん、ゴダート役の柳楽優弥君は明らかに浮いていた(これは俳優さんが悪いのではない。あくまでキャスト側の問題だ)。そして、なにより最近のテレビアニメの映画化作品がこぞって向かうアクション映画志向。終盤のかぐや星での戦いなど、大きな音と音楽でスケール感を出してるのだけれど、その勢いでせっかくのじわじわ重ねてきたドラマが突き放されてしまうというか、1本の映画のなかに二つのドラえもん映画が混在しているようで、うまく乗り切ることができなかった。ちなみに、子どもたちの感想は、面白かったけど笑えるシーンが少なかった・・・とのこと。ふむ。たしかに、「いい話」だったけど、子どもたちがゲラゲラ笑うシーンはそこまで多くなかったかな。子どもも大人も両方を満足させるのはなかなか難しいようです。
[映画館(邦画)] 6点(2019-03-22 09:41:37)
148.  万引き家族 《ネタバレ》 
疑似家族は「家族とは何か」を問うには格好の題材だし、個人的にもこの手の作品にはとにかく弱い。その設定だけで傑作認定したくなる本作でしたが、出来は期待以上でした。社会の見えない隅っこで、ギリギリのバランスで成立している疑似家族。この家族を成り立たせているのは嘘と打算とカネ。一見ノスタルジックな家族関係を描いているようで、実は互いを利用し合う疑似家族の怖い側面。でも、そのなかに一片だけれども存在する人間らしさ。だからこそ、一つ一つの場面で交わされる気持ちの交流が美しく心地よい。孫につい「慰謝料」と言ってしまう樹木希林とか、年金を持って帰ってきたおばあちゃんに嘘くさい優しい言葉を投げかけるリリー・フランキーとか、水着を買うシーンから安藤サクラの顔が変わるところとか、フランキーと安藤の情事のシーンとか、一つ一つのシーンに多義的で複雑なメッセージが込められていて見ていて全く飽きることがない(・・・というか、最近の是枝作品は情報過多で少し疲れるくらい)。工事現場でのリリーの大ケガやクリーニング店の「ワークシェア」など、この家族が生きていく基盤がいかに弱く脆いかが丁寧に描かれ、おばあちゃんの死(そして駄菓子やの店主の死)によって、そんなギリギリのバランスは脆く崩れ去る。それは、このような家族が生きることができる社会の「隙間」が、どんどん失われていることの象徴でもあり、終盤の警察官たちが繰り返す「正論」は、社会が完全に「余裕」を失ってしまったことを示しているのだ。でも、父親や母親はともかく、ショータやユリはその社会を生きていかなくてはいけない。そんな彼らの成長と危うさと強さとほんのちいさな希望を、この物語はきっちりと描いて幕を閉じた。そんな映画が、「余裕」のない人たちによって、わけのわからない論争に巻き込まれてしまったのは、本当に皮肉としか言いようがない。唯一、ちょっと残念だったのが、米国上映版を英語字幕付きで見たため、登場人物たちの言ってるか言ってないかわからないような台詞(浜辺のおばあちゃんとか、バスでのショータ君とか・・)にタイミング悪く「字幕」が出てしまって趣を台無しにしてしまったこと。両方とも名場面だっただけに・・・。
[映画館(字幕)] 8点(2019-03-20 09:35:46)(良:2票)
149.  search サーチ 《ネタバレ》 
こうゆうアイデア1本勝負な映画、けっこう好きです。FaceTimeつけっぱなしにしとく感じとか今風だし、各種ネットサービスやSNSが総出演でちょっとした文明批評っぽさもありますが、頭でっかちにならず、あくまでエンタメに徹しているのがいい。途中から、監視カメラ映像やらテレビ映像やらも(PC画面上で再生しているという想定とはいえ)出てきてルールがややルーズになる感じとか少し残念。あと、PC画面上での設定だとリアルタイムと録画再生が混在して時間軸が複雑になるので、このあたりのギャップを使ったトリックなんかがくるかなあと思っていたのですが、思った以上に話はストレートで二転三転しても複雑さを感じることはほとんどなく、ラストの結末には少々物足りなさを感じたり。でも、この作品の推しは、やっぱりサスペンスのプロットというよりは、PC画面という制約を生かした表現。それゆえの緊張感もあるし、チャットでの「入力中」のサークルがぐるぐるするやつとか、いったん書いたものを書き直す感じとか、この設定だからこそできる感情やコミュニケーションの表現は新鮮です。過大な期待は禁物ですが十二分に楽しめる1本。ぜひ、PC画面で見て下さい。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 6点(2019-02-28 14:59:22)(良:1票)
150.  マンチェスター・バイ・ザ・シー 《ネタバレ》 
本当に「心にしみる映画」を見た。ゆったりとした時間の流れも、マンチェスター・バイ・ザ・シーの寒々としているのにほのかに暖かみを感じる光景も本当にすばらしい。ケイシー・アフレックは、オスカー受賞も納得のハマり役。むしろ、今後これ以上の役柄に彼が出会えるのか心配になるくらい。対するパトリック役のルーカス・ヘッジスのいかにもアメリカンな、大人ぶってるけど子どもな感じも、このときの彼にしかできないハマり役だろう。悲劇的な話なのに、2人の掛け合いには良質のコメディセンスも感じられて、画面に暖かみが漂います。時間軸を巧みに入れ替えているのに、技巧臭くならない脚本。みんな必死に生きようともがいてるのに、それが逆にかみ合っていかない感じ。劇中の人物たちは壮絶な経験をするわけですが、映画を見て、彼らから伝わってくるのは、むしろ極限の人間の選択ではなく、誰もが生きる平凡な人生そのものへの向き合い方。「答え」がでなくても、それでも「生きていく」ということを丁寧に、しっとりと描いた良作。あえて難点をいえば、予告編。予告編は「過去に何があったのか」というちょっとサスペンス風味だったけど、何があったのか自体は中盤で明らかになってしまいます。むしろ、主題は、人間の人生にとっても、大事なのはターニングポイントになる出来事ではなく、「その後」をどう生きるのか。人生にとってはるかに大切なことを語ってくれる映画です。
[インターネット(字幕)] 9点(2019-02-26 18:09:28)
151.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 
ライブエイドのシーンは、本当によかった。それまでの物語の伏線がすべてこのシーンへと結びつき、一気に涙腺も崩壊した。とくに、エイズ患者と思われる青年との1対1のコール&レスポンスのシーンは、ライブエイドにフレディが立つことの意味を示す、わかっちゃいるけど泣いてしまう「ザ・伏線」だったと思う。クイーンの4人の関係も、そっくりなブライアン・メイは味わいがあってよかった。ただ、この作品が避けて通れない、フレディのセクシュアリティの描写は残念な限りだった。この物語の筋は基本的にホモフォビック(同性愛者嫌悪)に見える。フレディが自身のセクシュアリティを自覚し、メアリーともクイーンのメンバーとも離れていく描写のなかでは、ゲイコミュニティの描き方は悪意を感じるほどステレオタイプた。彼らは享楽的・短絡的で、酒とドラッグとセックスにまみれた自堕落な存在としてしか描かれない。それが仮に事実に即していたとしても、なぜあの時代のゲイたちがああいうライフスタイルを送らざるをえなかったのかをきちんと描けないのなら、そしてエイズパニックによって彼らがどんな偏見の目にさらされたかを描けないのであれば、この題材を取り上げるべきではなかったのではないか。このプロットでは、結局「彼ら」からフレディを取り戻すのは、元妻のメアリーであり、クイーンのメンバーたちである。その後に、エイズ患者の青年やジム・ハットンとの交流を加えて、それなりの「配慮」は見せるけれど、やはりこのプロットはあまりに偏っている。ブライアン・シンガー降板の背景に、このプロットがあったのではないかという気までしてくる(もっとも、その後にブライアン・シンガーの少年に対するセクハラ疑惑が表沙汰になったのは壮大な皮肉だけれど・・・)。そう考えると、やっぱりこの映画は、フレディ・マーキュリーという稀代のスーパースターの内面には入り込むことなく、彼が残した音楽を表層的にちりばめた、よくできた「再現ドラマ」にしか過ぎないのかもしれないし、ある意味、それが大ヒットの理由のような気がしてきて、ライブエイドに条件反射的に泣いた後、とても乾いた気持ちになりました。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 5点(2019-02-17 21:24:04)
152.  トリガール! 《ネタバレ》 
これは、土屋太鳳を見る映画だし、そうゆうふうに作られているのだから、土屋太鳳を見たい人が、彼女を見るという目的で見る以外の評価はあまり意味がないだろう。『鈴木先生』では見られなかった、吹っ切れたコメディエンヌ演技、体育会的な身体のキレ、全身で感情を表現する彼女のキャラは現実的ではないけれど、映画を引っ張るに十分な魅力でした。ただ、そういう「アイドル映画」としての部分以外は、手抜きばかりが目につく。登場人物たちの「空を飛ぶ」動機はよくわからない。メカニック班の扱い(矢本悠馬の無駄遣い・・・)が酷いのでチーム感がゼロ。コンテストで坂場が墜落せずに「飛ぶ」ことができたのかがなぜか、ロジックがわからない(努力の賜物?)。落下からの「浮上」の画の平凡さ。もっと鳥肌モノのやつが作れるし、そのワンシーンのためにこの映画を見ていたようなものなのに、妙にあっさり。そして、セオリーであれば若手中心の俳優陣のなかで実力派が配されるはずの「先輩」枠に演技素人の芸人を持ってくる愚策・・・。これはナダルが悪いというよりはキャスティング担当者が悪い。物語の骨格を語り要所を締めるはずのシーンで、いちいち滑舌が悪く、何を言っているか聞き取れない。実は私、途中から日本語字幕付きで見たので、少しストレス和らいだけど、映画館だったら最悪だっただろう。というわけで、よく動き、よく笑い、よくしゃべる土屋太鳳を見たいという目的を果たせたこと、飛行中の告白シーンの顛末には笑ったこと、『空を飛べるはず』、その3つは個人的には楽しめた。しかし、土屋太鳳に興味がない人にはぜったいにお薦めできない映画。
[インターネット(字幕)] 5点(2019-02-14 23:37:44)
153.  哀しき獣
『コクソン』を見て、ナ・ホンジン監督の過去作に興味をもって鑑賞。入り組みすぎてごちゃごちゃな人間関係、説明不足のまま突っ走る展開は『コクソン』でも体験済みだったので、それはまあ許容範囲。ただ、終盤のアクションは手が込んでたけど、少し長くてダレてしまった。むしろ、個人的に感心したのは、序盤の殺人事件が起きるまでの緊張感。序盤に中国における朝鮮族社会を丁寧に描いたからこそ、中盤〜後半の主人公の陥る苦境が社会性をおびて「哀しみ」を増幅させる。ただ、哀愁に浸らせてくれないのもナ・ホンジン監督の面白いところ。後半は、一転してミョン社長の独壇場で、マイノリティとして成り上がった人間が持つ独特の凄みとユーモア。見てるこっちは苦笑いするしかない。怒濤のごとく突っ走った後で、ラストは静かにしんみりというのも韓国映画らしい。1本の映画にするには明らかにエッセンスを詰め込みすぎだけれど、それをまとめてエンタメとして提示するパワーもまた、この監督の魅力だと再確認しました。
[インターネット(字幕)] 6点(2019-02-14 13:55:51)
154.  ミッション:インポッシブル/フォールアウト 《ネタバレ》 
トム・クルーズのアクションへのこだわりは、ちょっとおかしい領域まで来ている。とにかく、高いところに行く、飛ぶ、落ちるを繰り返し、カーチェイスではわざわざ逆走して目立つ方向へ目立つ方向へ行ってしまう。でも、トムは傷つき、ボロボロになっても、なんか楽しそうで幸せそうなのだ。なんか、よくわからないプレイに付き合わされている感さえあるけれど、それはそれでこっちも楽しくなってくる。とくに今作は、いい感じのユーモアが絡んで、呆れたり、突っ込んだりしながらワイワイ楽しむアクション・コメディとして完璧と言っていいかもしれない。アメリカ出張中に現地の巨大スクリーンで見るチャンスがあったのに結局別の映画を見てしまったのを本当に後悔している。ただ・・・残念なのは、その異次元に行ってしまったアクションとストーリーがうまくかみ合っていないこと。とくに、奥さん絡み。イーサンが奥さんのために、あえて離れて任務を全うするという設定は、切なくシリアスなのだけれど、そのシリアスなイーサンの顔と、無茶アクションで見るからにイッてしまっているトムの噛み合わせが悪い。奥さんが出てきた終盤だけ3作目っぽいのだけれど、アクションやコメディ演出はあいかわらずというバランスの悪さで、せっかくの無茶苦茶なヘリ・アクションに乗り切れなかった。そこは、4作目『ゴースト・プロトコル』くらいのバランスがベストだったろう。ついでにいえば、ジェレミー・レナー演じるブラントの不在も痛かった。その分、ベンジーががんばっていたけど、コメディとシリアスの橋渡しがうまいブラントのバランス感覚は貴重だったと、いなくなってよくわかった。まあ、バランスを崩しても、その「道」を突っ走るトム・クルーズと同時代を生きてる私たちは確実に幸せモノだ。その幸運を噛みしめながら、次作はやっぱり映画館で観るようにしよう。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-02-03 16:04:35)(良:1票)
155.  哭声/コクソン 《ネタバレ》 
もう、舞台となる村の描写だけで素晴らしい韓国映画。『殺人の追憶』を思い出しそうな、なんてことはない田舎のさえない警官たち、村の人たちとのやりとりだけでとても楽しい。ただ、この作品はのんびりした田舎の人情ドラマから始まったと思ったら、猟奇殺人事件サスペンスになり、懐かしいエクソシスト系オカルト映画になり、ゾンビ映画になり、最後には神と悪魔をめぐる宗教映画に・・・。謎のよそ者を演じた國村隼は本当にすばらしい怪演で、序盤の感情を感じさせない無表情から、中盤のいかにもなサイコ犯人風、そして魔女狩りのように村の男たちに追われて逃げ惑う顔、そしてラストのアレ・・・まで、多種多様な顔を見せて私たちを戸惑わせてくれました。そして対峙するクァク・ドウォンの憎めない凡庸な父親。彼は本作中で何度か判断を誤り、ある意味観客を苛つかせる主人公ではあるんだけど、その「小市民」風の造形によって一つ一つの「過ち」にちゃんと説得力を持たせているのが素晴らしい。とくにラストは、彼にとっては地獄のような経験ではあるのだけれど、でも彼はやっぱりあの場にいってあそこで娘と再会できたことで、どこかハッピーエンドのような後味を残してしまったのがすごい。これって、おそらくハリウッド映画では描けない土着的な共同体のなかの家族のかたちなんだろうと思える。同じくらいの年頃の娘がいる自分としては、この映画は序盤からずーーーーっと苦しい展開だったのだけれど、最後の彼の選択は、ある意味「救い」のように感じました。ただ、そういう小市民がどう生きようが、もっと大きな枠組(=宗教?)のなかで、ある種のどうしようもない方向に物語全体が向かっていくという「救いのなさ」も本作の魅力です。全編にちりばめられた謎かけの過剰さはいろんな解釈を生みそうで、正直それに付き合うのもしんどいなあと感じながら見ていたのですが、最終的には、小市民の小さな幸せとそれでもどうしようもない世の中を描いた物語として個人的には楽しめました。
[インターネット(字幕)] 7点(2019-01-12 17:00:32)
156.  沈黙 ーサイレンスー(2016) 《ネタバレ》 
原作は数十年前に既読だけど、ほとんど覚えていません。長尺でなかなか手が出なかったのですが、年末年始ということで鑑賞。前評判どおりの素晴らしい作品でした。何よりも「異国」の風景とそこに住まう(ふつうの)人々の描写が秀逸。そこに溶け込んでしまった塚本晋也、窪塚洋介、小松菜奈、加瀬亮などの俳優陣は素晴らしい。そのなかに、明らかに「異質」な存在として現れる2人の若手ハリウッド・スターもよくがんばりました。アンドリュー・ガーフィールドもアダム・ドライバーも「スター」のオーラをまといつつも、いい意味での「異物感」を感じる好演です。やや、残念だったのは、リーアム・ニーソンがどうしてもクワイ・ガン・ジンやらラーズ・アル・グールに見えてしまうこと。彼が語る比較文化論も、そういう人たちの言葉に聞こえてしまったのがノイズでした。映画としては、「試練」を通して信仰が試されるという、キリスト教的には定番の題材ながら、それをストレートに問い続けることで、「信仰」や「魂」なるものについての物語になっているのが見事です。近世の物語ではありますが、最後には、神を思い続け、それを棄てても残っている、この「私」とは何か、という「近代的個人」というものをめぐる根源的な考察になっていて、遠藤周作の原作も、それをこうして映像化したスコセッシも、あらためてその素晴らしさを実感できました。
[インターネット(字幕)] 8点(2019-01-06 11:22:12)
157.  ROMA/ローマ 《ネタバレ》 
盟友の撮影監督エマニュエル・ルベツキ抜きのキュアロン監督というのはちょい不安だったのですが、全くの杞憂でした。冒頭の印象的なタイルとそこに映り込む飛行機の映像から始まり、主人公一家が住む家のなかを水平移動するカメラ。あちこちにモノが散らばっているところに、この一家の不安定な日常が浮かび挙がってくる。犬とあちこちに散らばるその糞。それでも素直で元気な子どもたち。少数民族の言語で会話するメイド。道を行進する軍隊。狭いガレージに無理矢理駐車される巨大なアメ車。これら一つ一つが、その後、家族の状況の変化のなかでとても効果的に繰り返し描かれる。なんてことはない反復技法なのだけれど、モノクロの美しい映像でゆっくりじっくりと見せられると、そこに込められた心情描写がじんわりと見る者にも染み込んでくる。水平移動カメラで俯瞰的に眺める映像は、序盤はちょっともどかしいのだけれど、中盤のクライマックスの若者運動の弾圧シーン、そしてラストの海辺のシーンでは、これ以上ないくらい効果的に使われる。そして、ラストの空に向かうショットの美しさ! もう絵を思い出しただけで泣けそう。残念だったのは、音と映像に凝ったこの映画を、映画館で観る機会がほとんどないということ。もちろん、非英語、モノクロ、パーソナルなテーマという点では明らかにミニシアター向けのこの作品が、田舎に住んでいてもすぐにNetflixで見られることは、悪いことばかりではないのだけれど。
[インターネット(字幕)] 9点(2019-01-06 10:55:44)(良:1票)
158.  ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 《ネタバレ》 
前作未見なのに映画館へ。理由は、ここ毎年元旦に奥さんと映画館で『スターウォーズ』を見るのが習慣化してたのに『ハン・ソロ』を夏休み公開するというディズニーの暴挙のせい(こんな中年夫婦けっこう多いと思う)。で、何を見るか迷った結果、奥さんが「Netflixで前作を見たら面白かった」という理由でこれに。ちなみに前作はいつの間にかNetflixのラインナップからは姿を消してしまったため、私は未見。奥さんにあらすじを聞いて、いちおうネットでも内容を確認して映画館へ。結論としては、最低限でも知識があったおかげで、複雑なストーリーも退屈はせずに見れました。ただ、この映画に期待するのはそこなのだろうか・・・という感じのほうが強め。正直、『ハリポタ』もそうですが、J・K・ローリングに期待するのは、独創的な世界観にどっぷり浸ることであって、人間関係ドラマではない気が・・・。その世界観のなかでユニークなクリーチャーがワチャワチャするのを楽しみにしてた部分はあったのだけれど、その意味ではかなりの期待外れ。人間関係っていったって、某SW8作目と同様、最後に実はーーーでした、みたいな後出し感も強くて納得度は低め。あと、舞台設定が1920年代だったからこそ、終盤見せられる現代史とのシンクロに「おおっ」とはなるのですが、この映画で見たかったのってやっぱりそれじゃない、という感じのほうが大きかった。よかった点としては、ジョニー・デップ。キャリア的にも正念場だと思うけど、彼にしては「抑え」が効いていて凄みがあった。
[映画館(字幕)] 5点(2019-01-04 13:31:57)
159.  バーフバリ 王の凱旋 《ネタバレ》 
インドでは前編から2年後に公開されたとのことで、あそこで終わって2年待たされたインドの観客のことを思うと、この作品への思い入れは相当だったろうと想像できます。まさか、回想シーンで物語の大半を使うとは思わず、なかなか動き出さない物語にちょっと焦らされた感も。その煽りをくって、1作目のヒロインだったアヴァンティカは空気キャラ化してしまったのはちょっと残念。とはいえ、この2年のあいだにすっかり変わった映画業界における女性の立場を反映してのことなのか、本作のシヴァガミとデーヴァセーナの「メチャクチャ強い女性」キャラ造形は素晴らしい。この2人がそれぞれ映画の最初と最後に炎を掲げて歩く場面の力強さ、美しさは、ハリウッド映画にもない独特の美学を体現していて格別です。また、後編ということでキャラ紹介に時間をかけなくてもいい分、各キャラクターの歌舞伎のようなキメたポーズが続出するのも魅力。ダークな展開でもとにかく印象的な絵を連続させるのでワクワクも続くし、その見事なまでの画力にザック・スナイダーが霞んで見える。難点を言えば、やっぱり息子バーフバリの物語が弱くなってしまったことか。ストーリー的には、父バーフバリの物語を反復しているようにも見えるのだけれど、俳優が一緒なのもあって、息子が体現する「新しい世代」の時代だ!的なワクワク感がなく、逆に息子とアヴァンティカのカップルは、強烈だった父バーフとデーヴァセーナ夫婦と比べるとスケールダウンして見えてしまうのは残念。もう少し「新しい希望」的なものが見えると、もっと気持ちが盛り上がったかなあとは思うのですが、ここが西洋哲学とは異なるインド哲学的な価値観なのでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-24 10:18:22)(良:1票)
160.  バーフバリ 伝説誕生
恐るべし映画大国インド。その集大成のような特大娯楽大作。荒唐無稽で巨大なスケールなわりには、主要な登場人物がごく最小限に絞られていて、キャラばっかり増殖して物語の交通整理能力をひたすら見せつけられるハリウッド産大作と比べて、わかりやすい。でも、わかりやすいこと=質が低いということではなく、1人1人の登場人物の見せ場はしっかり用意されてるし、とくに物語の時間的・空間的な舞台の配置がしっかりしていて、見た目やスケールだけでない、全体としての質の高さも伝わる。前編は、基本的には主要登場人物のキャラを描くことに費やされていて、「これから」というところでスパッと終わるところも含めて『ロード・オブ・ザ・リング』の第1作を思いだす。今何が起きてるんだろう、これからどうなるんだろう、という「サスペンス」という意味では、後編よりも前編のほうが楽しい。ただ、歌と踊りで主人公とアヴァンティカが恋に落ちるシークエンスは、ちょっと好みが分かれるかも。『グリーン・デスティニー』のチャン・ツィイーもそうだったけど「強がっていても結局は女だろ」みたいな雰囲気もあって、ここが好きな方も気持ちもわかるけど、個人的にはちょっと乗れなかった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-24 09:58:53)
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