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プロフィール
口コミ数 2534
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1601.  月曜日のユカ ネタバレ 
『月曜日のユカ』の加賀まりこは今や伝説となって語り継がれていますが、これほんとヤバいです、加賀まりこのキュートさは。この映画の有名なポスターなんかは知っていましたが、今回初めて“動くユカ”を観てちょっと大げさですけど頭がクラクラしちゃいました。当時の彼女はB・バルドーと比較されていますが、いやー違うバルドーなんて眼じゃない、そう和製G・ホーンじゃないでしょうか。「男とは絶対キスをしない」なんてまるで風俗嬢みたいですけど、後半で明かされるその理由になんか心が痛むんですよね。ユカという娘はどういうオツムの構造してるんだろうと首をひねりたくなりますが、ぜんぜん悪女ではないというところもミソです。 トリュフォーやゴダールに『狂った果実』を絶賛された中平康が、「俺がヌーベル・ヴァーグを撮ったらこうなるんじゃ!」と啖呵を切っているのが眼に浮かぶ様なスタイリッシュな映像。チャップリンというか吉本新喜劇風のコマ送りコントまで登場しますが、トリュフォーの『ピアニストを撃て』を思い出してしまいニヤリとさせられました。圧巻だったのは中尾彬とユカが会話するシーン、ユカの表情だけを4分15秒の長回しで映し続けるのですよ。 黛敏郎の妙に耳に残る音楽もツボでした。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-05-09 22:36:47)
1602.  みんな~やってるか!
今まで4~5回これ観ているけど、このたびやっと通して観ることに成功しました。だって最初のころは、もう30分ぐらいでギブ・アップでしたから。チャンバラトリオが出てくるあたりからは、今でもかなり観るのにしんどい思いをしてます。たけしもこれが監督第一作だったら、もう映画は撮れなかったでしょうね。 それにしてもこの映画、ロンドン映画祭で上演しちゃいくらなんでも拙いだろう…
[CS・衛星(邦画)] 1点(2013-05-09 00:23:19)
1603.  アレクサンドル・ネフスキー ネタバレ 
チュード湖上の有名な氷上の大合戦は、さすがモブ・シーンが得意なエイゼンシュタインだけあって見応えがあります。ドイツ騎士団の悪逆ぶりも堂に入っていて、子供を次々と火に投げ入れて殺すなぞ、史実かどうかは知らないけれどやってくれます。騎士団の足軽(?)たちが被っているヘルメットがモロに20世紀ドイツ軍のシンボルである石炭バケツ型なのはちょっと露骨です。彼らに付き従うカトリック教会もまるでカルト集団みたいな悪役ぶりで、移動式パイプオルガンには笑ってしまいました。 対するネフスキー公側ですが、公をはじめみんな人間描写が薄っぺらというか無いに等しく、ここら辺はやっぱりプロパガンダ映画だなと感じます。思えば製作された1938年はスターリンの粛清が最高潮だった時期で、ドイツ騎士団の捕虜は解放されるのに内通したロシア人は民衆にリンチされて殺されるシーンなんかとっても意味深。ラストのネフスキー公の演説も、まあスターリンが映画を観ている大衆に説教している様なものでしょう。 この映画の三年後、ネフスキー公が守ったプスコフやノヴゴロドでソ連軍を打ち破って、ヒトラーのドイツ軍がレニングラードまで突進していったというのは実に皮肉なことです。
[ビデオ(字幕)] 6点(2013-05-06 20:19:23)
1604.  灰とダイヤモンド ネタバレ 
第二次世界大戦での連合国戦勝日である1945年5月8日の出来事。NYやロンドンでは大群衆が繰り出してのお祭り騒ぎだったのに、このポーランドでの異様なまでの冷静さと静けさはいったい何なんだろう。まだ正式に共産主義政権が成立したわけではないが、人々が自分たちの国の運命になんの希望も持てなくなっているのが痛々しい。 刹那的に生きてきたマチェクが、恋に落ちて未来を考えようとした途端に悲惨な死を迎えることになるのはなんという皮肉なことか。廃墟の教会でマチェクとクリスチナが教会で話すシーン、カメラの前景にアンチ・クライストの象徴でもある逆さまになった十字架のキリスト像を映すことで、もうポーランドには神はいないんだというA・ワイダの叫びが聞こえる様な気がします。 厳しい検閲制度があった当時ですから、いろいろと意味深なメタファーが散りばめられているけど、そこには詩的なセンスを感じさせられるシーンが多々あります。夜が明けて朝日が室内に差し込んできますが、そのあまりに白っぽい光線は屋外の風景をまったく見えなくしています。ラスト・ダンスを終えてその光の中に入ってゆくカップルたちの虚ろな表情、これぞ戦後のポーランドがたどった歴史のカリカチュアです。 Z・チブルスキー、若死にしちゃったけれど素晴らしい俳優でまさにポーランドのJ・ディーンです。それにしても、J・ディーンをはじめJ・P・ベルモンドや石原裕次郎などこの当時各国にチブルスキーと同じ様なタイプのスターがいたというのは面白いですね。ベルモンド以外はみんな早死にしちゃいましたけど。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-05-04 22:23:37)
1605.  スティング
この後に撮られた同ジャンルの映画はすべて本作のアイデアをいじりまわしていると言っても過言ではないし、中にはそのまんま同じプロットという様なものまであるぐらいですから。 公開当時この映画を観て騙されなかった人はおそらく皆無でしょう。自分も初めて観た時は唖然呆然、ラストのどんでん返しでは観客から一斉にどよめきと拍手が沸き起こったぐらいでした。それはもう巧妙で完璧な出来の脚本のなせる技で、陽気なラグタイムに乗せてラストまでテンポ良く引っ張ってゆく奇跡のストーリー・テリングです。 たった二作しかないP・ニューマン、R・レッドフォード、G・ロイ・ヒルのゴールデントリオが揃った、“コン・ゲーム”ムーヴィーというジャンルを一作にして作り上げた傑作です。
[映画館(字幕)] 9点(2013-05-02 22:10:15)
1606.  キッズ・オールライト ネタバレ 
こんなに本格的なレズビアンカップルのお話は初めて観た気がします、もう法的にも結婚しちゃってティーンエイジャーの子供までいる家庭を築いているんですから。ただねー、このカップルにはとうとう最後まで感情移入できなかったというか好感が持てなかったのですよ。二人の性格付けや子供たちの環境もリアルなんだけど、やや類型的過ぎるのもちょっと気に喰わないところかな。面白いもんで、映画って登場人物の存在にリアリティがあり過ぎると却って感情移入が出来ないものなんです。おそらくこの女性監督もレズなんだろうけど、M・ラファロと浮気をしてもA・ベニングと別れられないJ・ムーアを観ていると、ゲイとストレートという枠組みから抜け出せていない脚本だと思いました。 レズはホモビデオが好きだなんて知りませんでしたが、小ネタとしてはイイ笑いです。でも考えてみると、レズが両親だとその子供はセックスに関して意識することが普通の家庭より早くなってしまうんでしょうね。子は親を選べないというわけです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-04-29 22:11:12)
1607.  しゃべりすぎた女<TVM> ネタバレ 
まず原題の文字数の多いことにはびっくり、『博士の異常な愛情』といい勝負ではないか。毎度のことですけど、現在進行形の事件を題材にしちゃうハリウッド(この映画はHBO製作のTVムーヴィーですが)のえげつなさには恐れ入ります。でも実際にはこの映画の元ネタとなった事件はテキサスの田舎街で起こったショボいお話しなので、あまりに大げさな原題は一種の皮肉なのかもしれません。そのシニカルな目線は存在感が希薄というか登場人物たちの薄っぺらい造形にも顕れているのかもしれません(これは役者の演技や脚本がヘボいという意味ではありません)。その中でも群を抜いているのがH・ハンターの驚異の演技。あまりにバカバカしくえげつないこの事件が、彼女の怪演すれすれの熱演のおかげでなんかとても教訓的な印象すら覚えてしまうぐらいです。でっかい蜘蛛を握りつぶすシーンには背筋がゾッとさせられますし、あんな目つきでガンつけられたら思わずチビってしまいそうです。B・ブリッジスと車の中で延々と殺人謀議を続けるシーンなんか、もうハンターの演技に釘付けでした。 ラストのこれまた皮肉たっぷりのテロップは爆笑必至です。
[ビデオ(字幕)] 6点(2013-04-27 20:01:12)
1608.  鏡の中にある如く ネタバレ 
ベルイマンの“神の不在”三部作は、トップバッターからしてもう強烈。なんせ神を深く信じるH・アンデルセンは精神異常で、壁を突き抜けて現れた神は蜘蛛の姿をしていたというんですから凄いものです。音楽の劇中での使用は最小限に抑えて、自然の物音を実に効果的に使っているのと、スウェーデンの白夜を美しく撮ったモノクロ映像がとても印象に残ります。重いテーマを扱った重苦しい映画ではありますが、ラストに明るい希望が感じられるところに救いが感じられます。
[ビデオ(字幕)] 7点(2013-04-24 22:34:54)
1609.  アルフレード アルフレード ネタバレ 
D・ホフマンがイタリア映画に出てイタリア語を喋ってる(もちろん吹き替えですけど)というだけでも一見の価値ありです。違和感が最初にはありましたが、だんだん彼がイタリア人にしか見えなくなってくるのはやはり名優のなせる技でしょうか。 イタリア映画のお得意ジャンルである離婚騒動ものでありますが、このジャンルでは離婚するために男と女が奇想天外な手を使って笑わせるというのがお決まりなのに、苦労はするけど離婚自体は至極まともに成立しちゃいます。これは70年代になってイタリアでも次第に離婚がしやすくなってきたことが反映しているのかもしれません。劇中アルフレードは愛人と離婚合法化を要求するデモに参加したりしますしね。でも愛人とベッドに入っているところを警察に踏み込まれたりして驚かされますが、これは当時のイタリアでは男にも姦通罪が適用されたからでしょう。 この映画では離婚よりも結婚生活の苦しみのほうがツボで、悪妻S・サンドレッリとその両親の振る舞いはもう笑うに笑えないレベルです。C・グラヴィーナにしたって、ホフマンとの仲が深まるにしたがってやはり両親との関係や性格など、先が思いやられる展開です。そこら辺はコメディとしてカリカチュアしてるけど観る者にとって身につまされることが多いです。彼女らを笑い飛ばせるのはよほど出来た奥さんを持っている人で、羨ましい限りです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-04-21 23:29:55)
1610.  恋はデジャ・ブ ネタバレ 
久々に唸らせていただいた“アイデア一発勝負”脚本でしたね。なんの説明もなく、ループの世界に落ち込んだ不条理さがいいです。「もし眠らなかったらどうなるんだろうか?」なんてつまらないことつい考えてしまいましたけど、良くできたお話しです。ゲームをしくじったからリセットするのとは違って、今の人間性が変わらない限り一日が進まないというのはけっこう怖いところです。だから『三人のゴースト』や『素晴らしき哉人生』を思い出したという皆さんとは違って、わたしが彷彿させられたのは、古い映画ですがタイムスリップものSFの元祖といえるイブ・メルキオールの『タイム・トラベラーズ』だったりします。 ちょっと微妙な邦題のせいもありますが、俗に言う“隠れた傑作”に数えられてもいいんじゃないでしょうか。しかし、あんだけ保険に加入しちゃったら、支払いが大変だろうな(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-04-18 23:53:45)
1611.  ドミノ・ターゲット ネタバレ 
考えてみるとG・ハックマンとC・バーゲンは、『さらば荒野』『弾丸を噛め』本作と70年代に三本も共演しているんですね。すでに俳優業を引退した名優ハックマンですが、彼の生涯最多の共演女優がバーゲンだったとは実に意外です。まあカップルとしては実に不釣り合いな二人というわけだけじゃなく、三本が揃って凡作では映画ファンの印象も薄くなるのもしょうがないところでしょう。 さてこの映画は名匠と呼ばれたS・クレーマーの晩年の作品ですが、やっぱり力量の衰えは隠しようもありません。もともと彼は製作者としての方が高名で、撮る映画も世間を騒がせるようなネタ・テーマで一発勝負というスタイルで監督としてのテクニックや演出力が突出していたわけではありません。陰謀史観がまる出しの妙なテイストのオープニングからちょっと引いてしまいます。極めつけは終盤で襲われるバーゲンをハックマンが助けに駆けつけるシーン、いきなりストップモーションを使われて思わず「ださっ」って舌打ちしてしまいました。 気になったのは暗殺のターゲットが誰なのかを示さず、観るものにそれは大統領だったのではないかと感じさせる撮り方で、わざとその説明を省く見せかたは不気味な雰囲気を盛り上げていてちょっと良かったです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-04-17 00:16:19)
1612.  エクスペンダブルズ ネタバレ 
うーん、正直言って騙された!という呻きがまず出ちゃいます。だって、ポスター観たらあの面々が手を変え品を変えて大暴れするのかと思うのが普通でしょう。それなのにB・ウィリスやシュワちゃんはほんの一瞬のカメオ出演、D・ラングレンは裏切っちゃうし実際に殴りこみかけるのはスタローンとJ・ステイサムにJ・リーの三人以外は初めて見た様な俳優とは、もういい肩すかしでした。自分にはスタローンのアクション映画に思い入れが全然ないくちなので、この雑であってなきがごときストーリーはきつかったです。アクションシーンがまた暗くてカット割りが多く、何が起きているのかさっぱり判らなくなって、“消耗品”のくせにあれだけの人数相手に誰も死ななかったということに最後まで気が付きませんでした。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2013-04-14 22:17:17)
1613.  貞操の嵐 ネタバレ 
上場企業の跡取り息子が数年フランスで遊んで社長になるため帰国しました。彼には航空エンジニアの弟(高島忠夫)がいまして、兄の外遊中に婚約していました。空港に出迎えに来ていたその婚約者(高倉みゆき)を一目見て兄はその娘に欲情してしまいます。腹に一物ある叔父に相談すると、「順序からいえば長男の君が優先されなきゃおかしい、私が手助けしましょう」とまるで封建時代の様なセリフです。彼女は薬を飲まされて兄に手篭めにされ、それを知った父親は心臓発作を起こして憤死、母親は発狂してしまいます。自殺しようとする彼女に兄がうそぶくセリフがまた凄い、「君が弟と結婚したらいずれ弟は穢れた君のことで苦しむことになる、自分だけ幸福になればよいのか、僕と結婚するのが人として正しい道だ」 原作は大衆小説作家である牧逸馬(林不忘というペンネームもあり、『丹下左膳』の原作者)が書いた昭和初期の新聞連載小説だそうです。時代を昭和30年代として脚色しているので原作がどれだけ改変されているのか不明ですが、それにしても新東宝テイストが濃厚で理不尽なストーリー展開です。まあこういういい加減なところが(もしそういう人がいるならば)新東宝ファンにはたまらない魅力なんです。いい加減と言えば、劇中高島忠夫は違う女性と婚約(この映画のカップルはなぜか婚約するのが好きです)するんですけど、これじゃ高倉みゆきとラストで結ばれるはずなのにどうするんだろうと気になっていました。でもちゃんとハッピー・エンドで終わりますが、まさかあんな手を使うんなんて… もし映画館で観てたら、わたし間違いなく“カネ返せ”と暴れます(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2013-04-13 22:46:39)
1614.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか ネタバレ 
キューブリックは数少ないフィルモグラフィの中で色んなジャンルの映画をとっているが、彼が撮った唯一のコメディはブラックコメディとしては究極の域に達したと思います。なにがすごいと言ったら、P・セラーズ、G・C・スコット、S・ヘイドン、S・ピケンズ、P・ブルといった主要登場人物が全員で映画史に残る強烈な怪演を繰り広げてくれるところでしょう。良くこの映画ではセラーズの三役が話題にされますが、そんな彼を上回る凄まじい怪演でもっと評価されるべきなのはG・C・スコットのタージドソン将軍ですよね。この将軍のキャラは、当時の空軍司令官のC・ルメイ大将(太平洋戦争でB29による無差別爆撃戦略を実行した張本人)がモデルだそうですが、実は狂人なんじゃないかという説まであったルメイを強烈にカリカチュアしていて見事です。 いきなり空中で交尾しているB52爆撃機を見せてくれるオープニングは洒落てます。このB52が飛ぶシーンのチープな特撮がまた曲者で、完璧主義者のキューブリックですから低予算を逆手にとって狙った映像なのは明白です。地上戦闘のシーンも手持ちカメラで撮ったニュースフィルムみたいで、キューブリックの拘りが伝わってくるところです。そして“We'll Meet Again”をとんでもない映像にかぶせるあまりに有名なエンディング、そのセンスは今の眼で観ても鳥肌が立ちます。 こうして観ると、この映画は筒井康隆の初期の疑似イベントSFに通じるところがありますね(と言うより、筒井康隆の方が影響を受けたのかもしれません)。
[映画館(字幕)] 9点(2013-04-09 23:37:21)(良:1票)
1615.  16ブロック ネタバレ 
別にそれが悪いとは言わないけれど、もうどこから観ても『ガントレット』への現代版オマージュです。『ガントレット』では長距離移送だったのを眼と鼻の先までの護送に置き換え、セクシー美女な証人をちょっとおかしな黒人に変更するなどけっこう捻りを効かせているのは上手な脚本です。くたびれきった刑事のB・ウィリスはなかなか味がありますが、考えてみると彼が演じてきた刑事のキャラはJ・マクレーンをはじめエリートでもキレ者でもない場合が多いので、あまり新鮮味は感じませんでした。『ダイ・ハード』も4まで来ちゃったし、そろそろ刑事役は打ち止めにした方がいいんじゃないでしょうか。 展開はまあスピィーディーでよろしいのですが、なんというか眼と鼻の先なのに目的地にたどり着けないというサスペンス感が乏しいのは残念です。もちろん私にはNYに土地勘などありませんけど、映像を観てる限りではとても遠回りしている様な感じでした。この距離は、東京で言うと新宿警察署から新宿御苑までという感じでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-04-08 20:48:36)(良:1票)
1616.  アフターライフ ネタバレ 
最近は“演技ができるシュワちゃん”状態になってトップアクションヒーローと化したL・二―ソンが、霊と話が出来る葬儀屋というキャラです。 教師のC・リッチはレストランで恋人と諍いをおこしたあと愛車で帰宅、激しい雨でスリップし眼の前にパイプを積んだトラックが… 気がつく彼女は二―ソンの葬儀屋の作業場に居た。最初は体がマヒしていたがだんだん動けるようになり、そうなると「君はもう死んでいるんだ」と言われても信じるわけはなく、変態サイコ野郎に監禁されたんだと思うわけです。 恋人役はJ・ロングですが、彼はリッチが事故死したと言われても信じられず、なぜか葬儀屋が怪しいことをしているのじゃないかと疑念を持ちます。 土葬の習慣がある国に昔からある“生きたままの埋葬”に対する恐怖心をホラーに仕立てたプロットですが、二―ソンが立派過ぎてどう見ても真面目な牧師にしか見えないというのがまず失敗です。もっと変態性があるキャラの俳優を使うべきでしょう。C・リッチは健闘してます。オール・ヌードで歩き回ったりしますが、彼女が脱いだのはこの映画が初めてじゃないですか。J・ロングは『スペル』で演じたのとほぼ同一のキャラだったのはちょっとびっくりしました。 この脚本は「L・二ーソンは、実は誤って死亡宣告されて蘇生した人を生きたまま埋葬するサイコ・キラーなのじゃないか?」と観客に謎をかける狙いがあります。でもこの女性監督はM・ナイト・シャマランが良くやる様な伏線張りやどんでん返しを全然使ってないのでラストにもキレがなく、またホラー要素とサイコ・キラー要素が分離してどっち付かずの印象です。 C・リッチの衣装や髪の色など赤を凄く強調した映像はちょっと幻想的で、見どころはありました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-04-05 00:06:22)
1617.  ザ・フライ ネタバレ 
自分にとってもそうだし、たぶん世間一般においても最も不快な映画の殿堂入りしていることは間違いなし。これは別に貶しているわけじゃなく、初期クローネンバーグの最高傑作だと思っています。だんだんグチャグチャになってゆくJ・ゴールドブラムの撮り方を観てると、科学観測の記録みたいで奇妙な感覚を覚えたのですが、クローネンバーグは大学では生物学を専攻していたとのことで納得できます。 実はむかし初めて観たとき、確かヴィデオ版だったと思いますが、蠅男になりかけのゴールドブラムが唾液を垂らしながら食事を摂るシーンがあまりに凄くて強烈なトラウマになったんです。ところが最近観直したらそのシーンが無いんです、録画された食事の様子をモニターで観てJ・デイビスが真っ青になるところを映すシーンはありますが。 たしかにあの気持ちの悪いシーンがあったと思うんですけど、私の思い違いでしょうか。どなたかご教授お願いします。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-04-02 22:16:43)
1618.  日曜日は別れの時 ネタバレ 
思えばこの当時の英国を代表する映画女優は間違いなくG・ジャクソンだったと思います。一般的な美女とは言い難いけど、知的な演技力に恵まれた非凡な名女優だったことは間違いありません。90年代には女優を廃業して政治家に転身し、なんとブレア政権で運輸大臣を務めていたと言うから大したものです。 この映画ではバイセクシュアルのアーティストとユダヤ人の医師P・フィンチ、そしてジャクソンのスタイリッシュというかちょっと奇妙な三角関係を絶妙に演じています。劇中ではやたらと電話が鳴るのと電話交換のシーンがあるのですが、製作された70年代初頭ではもっとも都会的なコミュニケーション手段だったんでしょうね。 ストーリー自体はとても淡々としていてジャクソンとフィンチの演技を愉しむことに徹するのが正解でしょう。ラストに突然フィンチがカメラ目線になって心境を語りだす演出で、今ではこんな手法を使う監督はいませんが当時はけっこう斬新だったんでしょう。そこでフィンチが失恋の苦しみを「心が風邪をひいただけさ」と表現しますが、これは素晴らしいセリフですね。 それにしても、G・ジャクソンの代表作はほとんどDVD化されていなくて、鑑賞するのに大変苦労させられます。
[ビデオ(字幕)] 7点(2013-03-30 21:42:46)
1619.  プレタポルテ ネタバレ 
ミラマックスのワインシュタイン兄弟のパリ・ファッション業界を抱き込んだ企画にR・アルトマンが呼び込まれたので、アルトマンはなんか真面目に脚本書いてないような感じさえします。冒頭、J・P・カッセルがサンドイッチを喉に詰まらせるところで「まさか、まさか」とふと不安に襲われたら、その「まさか」通りの展開になったので呆気にとられてしまいました。T・ロビンスとJ・ロバーツは仕事もしないでホテルにこもってあればっかりしてるし、なぜか犬のクソを踏んで靴を汚すシーンが何度も出てくるはで、アルトマンがここまで悪ふざけをするのもちょっと珍しいぐらいです。でも自分としてはけっこう笑わせていただいたのも確かで、三大ファッション誌の編集長たちをカメラマンが手玉に取るエピソードなんか、ベタなギャグだけど可笑しかったです。 と言ってもこの映画の最大の見どころは、映画史に永遠に残るS・ローレンとM・マストロヤンニのゴールデン・カップルの最後の共演が観られることでしょう。観ておわかりの通り、二人の関係はまるっきり『ひまわり』のパロディですし、ローレンがマストロヤンニにランジェリー姿を見せるシーンは『昨日・今日・明日』のまんまの再現となっています。二人ともアルトマンのおふざけにつき合ってとてもリラックスして演技しているなって思いました。 ラストの例のサプライズは公開当時けっこう話題だった気がしますが、製作に協力したパリ・コレ業界の反応はいかがだったんでしょうかね。どう考えてもアルトマンのファッション業界に対する否定的なメッセージのように感じますけど。
[ビデオ(字幕)] 7点(2013-03-26 20:23:52)
1620.  日本誕生 ネタバレ 
“東宝製作1000本記念映画”と言われていますが、当時の映画界の状況からすると記録的な大当たりとなった新東宝の『明治天皇と日露大戦争』を意識して製作されたんだろうと想像できます。“不偏不党”がモットーの東宝だけに、外野からケチをつけられにくい古事記と神話の世界を題材に選んだというところでしょうか。でもそこは天下の大東宝、巨匠稲垣浩を監督に据え他社のスターも呼び込んだ一大オールスター・キャストになっています。そのおかげで三船敏郎と鶴田浩二の滅多に見られないチャンバラ対決や、天照大神に扮した原節子の小津映画では決して見せない凛々しい姿などを観られてなんか得した気分になれます。 『日本誕生』というので天地創造から神武天皇あたりまでの映像化かと思っていましたが、実際には日本武尊を主人公に据えて神話シークエンスは劇中劇で見せるという脚本構成です。三船敏郎が日本武尊と須佐之男命の二役を演じて大活躍ですが、服が違うだけでどっちも同じ演技というのはまあご愛敬でしょう。古事記の記述とは違い日本武尊は大伴一族の軍勢に騙し討ちにされて壮烈な最期を遂げるのですが、それが火山噴火の天変地異が起きて大伴の軍勢を滅ぼす壮絶なラストに繋がるのです。このスペクタクルは円谷特撮の独壇場で、特に地割れのシーンは地面をスライドさせる仕掛けを造って実際に俳優たちが呑みこまれるという凄い映像で、ほんと驚かされました。 二部構成で正直後半はだれ気味なんですけど、やっぱ前半第一部の方に見どころが多かったと思います。とくに“岩戸隠れ”で乙羽信子(天宇受女命)が奇天烈な踊りを見せるシーンには強烈なインパクトがあります。八百万の神々も、エノケンや金語楼といった当時の第一線のコメディアンや横綱朝潮まで揃えていて実に豪華。こうやって見ると、日本の神話もギリシャ神話に劣らず豊潤なんですね。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-03-23 21:50:44)
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