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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1246
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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161.  恋空 《ネタバレ》 
好きな女優が出ているわけでもないので、これを見たのは完全な冷やかしである。この手の映画としては「天使がくれたもの」(2007)を見たことがあるので一定の耐性はついている。 まず劇中人物のほとんどは異性のことしか頭にないようで、いったい何しに毎日学校へ行っているのかわからない。こういう生殖本能だけで生きているような連中も高校生かと思うと、同時期に見た「幕が上がる」(2015)とのあまりの落差に呆れてしまう。まあその種の人間はいつの時代も人口の一定割合を占めているわけなので存在自体は否定できず、自分としてもここはそういう世界なのだからと納得して多少のことは見逃すようにしていたが、しかしその後に主人公が大学に進学することになっていたのは非常に驚いた。この映画で最も違和感の大きかったのはここである。 ただ自分としては実際のところ、意外にまともに見ていられる映画という印象だった。ストーリーも一応できており、時間は少し長目だがとりあえず最後まで見られないことはない。原作に対するネット上の酷評(罵詈雑言)を見る限り、そのままでは一般人には受け入れがたかった内容をさらりと通るようきれいに映像化して、ある程度見られるものにしたのは映画の功績だろうから、ここはそれなりの点数をつけておくことにする。  なお、この話の内容が不道徳だからといって原作者を責める筋合いのものではなく、また書籍の出版や映画化に関わった業界関係者に倫理感など求めるつもりもないが、一方でこの映画に関して心底呆れたのは、O県教育委員会という公的機関が制作に協力していたことである。学校内で生徒が妊娠させられる映画に協力する教育関係者は脳の機能が疑われるわけだが、さらにその県教委が映画公開の次の年に組織体質の問題で世間を騒がせていたことを思い出すと、自分としては本来この映画に感じるべき悪感情を、常識外れな県教委への怒りに転化させずには済まなくなった。O県出身・在住の人々全体の不名誉につながらないように願う。
[DVD(邦画)] 3点(2015-09-20 10:23:17)
162.  半分の月がのぼる空 《ネタバレ》 
登場人物の伊勢弁?が耳慣れない感じで珍しい。 原作は読んでないので比較できないが、時間の流れに沿ってそのままであれば割と平凡なお話だったところ、前後を組み替えて再構成したのは効果的である。死ぬ物語でなく生きる物語というのは恐らく原作由来なのだろうが、ラストでまた月明かりの病室に戻ったことでそれがより強調されていたように思われる(舞台セットとライトは不要だが)。 しかし見ていて引っかかる点はかなり多い。例えば序盤の「命令」は若年者受けを狙った女王様設定のようで必然性が感じられず、それを終盤で忘れた頃になって再現されても冷やかな目でしか見られない。そのため、ここから導かれた医師の再出発(及び娘の存在の再認識)という点にも共感する気にならなかったのは残念なことである。加えて全般的に都合の良すぎる安易な展開が非常に多いのも困ったことだった。  それでも演劇の場面など、けっこう心和む(笑う)ところも多い。舞台での「私も」という台詞は原作由来かどうか知らないが、自分としてはこれが最大の泣き笑いポイントだった。また若年かつ病人のためあくまで清純でほのぼのした関係にとどまっているが、そのためかえってフトンの中で二人きりのドキドキ感が生じてしまう。 この場面をはじめとして、ヒロインの円い感じの笑顔(変な表現だが)は見ているだけで嬉しくなる。この笑顔が、生きていてよかった、という実感の表現になっていたのは間違いないことで、これがこの映画の大きな価値と思われる。全体としては感心しないところも多いが、このヒロインのために評点は少しいい方にしておく。娘の「笑ってるやん」もよかった。
[DVD(邦画)] 6点(2015-08-23 23:47:53)(良:2票)
163.  狼少女 《ネタバレ》 
昭和にこだわった映画のようだが、現実の昭和は1926年から1989年まで結構幅が広いわけで、それでも何となく“子ども時代”とか“昔”の意味になるのは世代交代が進んで昭和が遠くなってしまったということか。劇中の事物の属する年代はかなり散らばっていたようで特定できず、これは意図的に幅を持たせたのかも知れないが、さすがに見世物小屋は時代が古すぎるように思われる(自分としてはお化け屋敷の記憶しかない)。 しかし人間の尊厳にかかわるような興行のあり方とか、見るからに汚い子どもの存在といったものは、いつの時代の反映かというよりむしろ子どもにも容赦のない世間の現実を表現していたように見える。その中でも転校生が毎日いい服を着て通学していたのは、親代わりと思っていた連中のせめてもの思いやりだったのか、あるいは皆のこだわりもあったということか。 その上でストーリーしては、感動を呼ぶ話であることは理解できるが、しかし個人的にはそれほど強く心に訴えるものにはならなかった。敗因は何かと考えると、まずは大人の立場として子どもの愚かさとかガキっぽい揉め事から心理的距離を置くようにして見たために、登場人物の心情までをスルーしてしまったということか。あるいは自分としては、前記“世間の現実”から目をそらしたい気持ちもあったと思われる。まともに考えてしまえばこの少女の将来が非常に危ぶまれて痛々しく、これで切ない初恋物語のような感傷に浸る気にはならなかったというのが実情である。 そのほかに、娘の生育状態に合った下着を与えることもしないでプライドだけ立派な母親が愛情深い扱いをされているといった感情的に引っかかる点も結構あり、また全般的に嘘臭さを感じるのは少し困ったことだった。決して悪くない映画とは思うが褒められないのが誠に残念である。子役の皆さんは大変結構だった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-23 23:47:48)
164.  東京うんこ 《ネタバレ》 
若手の村松英治監督(1980年生)の初長編映画とのことである。現代日本では「東京…」という映画が多いのが目に余るが、この映画は「…」の方のインパクトで人目を引いており、かつ何で「東京」なのかという理屈も一応ついている。 基本的にはコメディなので主にウンコネタで笑わせようとしているわけだが、それが本格化するのは絵本を出版するあたりからで、それまではとりあえず黙って見ている必要がある。面白くないギャグも多いが、本当に笑うところもある(個人的には「うんこ!」「ブッ!」のあたりなど)ので虚心に見ることが望まれる。 登場人物としては、まずは関西弁の女(演・宮沢マキ)の人柄がほとんど映画全体を支えており、また友人の男女もいい味を出している(寒い男など)。一方で同居の男はキャラクターを作り過ぎで受け入れがたいところがあるが、その辺はまあ我慢のしどころである。 ストーリーの面では、うんこをメインにしてこういう話を作る必然性は特に感じられず、単なるギャグネタに終わっている気もするが、そもそも出版社の社長が語る理屈が無理やりだったりするので、これはこういうものと思うしかない。それより関西弁の女の東京に対する意識が変わってきたというのはなかなかいいオチであり、これはうんこ映画というよりも、大都会東京の持つ一面を描いた映画だったということかも知れない。 なおDVDのチャプターの題名が中身と全く関係ないのは非常にふざけている。これではチャプターメニューの意味をなしていない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-03 23:58:36)
165.  東京ゴミ女 《ネタバレ》 
廣木隆一・三原光尋・行定勲・篠原哲雄・塩田明彦・三池崇史の監督6人が、デジタルビデオを使って700万円以内で純愛映画を撮ったという「ラブシネマコレクション」の1つである。 解説文によるとこの映画は「女の子の日常を繊細かつキュートに描いた珠玉の青春映画」とのことだが、見ると必ずしもその通りとは言い切れないものがある。とりあえず主人公は粗野で無神経でガサツな女であって、その延長上にゴミ漁りもあるのだろうとしか思えなかったが、しかし2/3くらい経過したところで意外にも、このゴミ女がただの女の子に大変身してしまったので驚いた。舞台挨拶で主演女優が「女性ならわかってもらえる」と言っていたので、これでも普通の女子の心情の範囲内で起こりうることだったらしい。 男はその領域に踏み込むことが特に期待されてないかも知れないが、ただし映画全体の作りとしては、終盤で事態の収拾にかかるとともに映像的にも開放感が出て、最後は常識人の世界に一応回帰する形で終わるので、性別関係なしにちゃんと映画を見たという感覚は得られる。結果として女の子の心情をわかってあげられなかったという気はするものの、それなりに悪くない映画という印象は残るのだった。  なお考証的なコメントとして、自分は別映画(「第五福竜丸」「ゴジラ」「美女と液体人間」)の関係でわざわざ江東区夢の島へ行ったことがあるが(JR京葉線新木場駅下車)、公園やマリーナがあり、5月の晴天の日だったこともあって爽やかな感じの場所だった。劇中の船が向かっていたのはここではないだろうが(さらに南の新しい埋立処分場?)、それにしても資源物も可燃ごみも分別せず、中間処理も何もなくただのゴミ袋を持ち込むというのも困ったことである。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-03 23:58:30)
166.  東京原発 《ネタバレ》 
初見は2000年代のうちだったと思うが、自分としては既に20年前に広瀬隆氏の著書を読んでいたのでこの発想自体は珍しくなかった。もともと「東京に原発を!」というのは東京に原発が立地していない事実の裏返しであり、これは原発を作っている側が実はその危険性をどう考えているか、論議を要さず端的に示す言葉だったわけで、いわば非常に優れたキャッチコピーのようなものだった。しかし現実の事例により、日本国内でも深刻な事故が起こりうることが明白になってしまった現在、警告の言葉としてはもはや意義を失ってしまった感があり、これは少し残念なことにも思われる。 映画の内容に関しては、素人目にはおおむね正論を言っている気がする。会議の場面では、ほとんど一方的な説明だけの内容を役者の力で見せており、またトラックの乗っ取りは別の話を無理にくっつけたようでもあるが、システム全体の脆弱性の部分をクローズアップして見せたということだろうからまあいいかと思われる。けっこう笑うところもあり、個人的には米軍の協力申出に爆笑した。改めて見ると結構いい映画だったようではあるが、この映画の公開が世間の大勢に全く影響を及ぼさなかったのは間違いないらしく、それはまあそんなものだろうという気もする。 ちなみに劇中では原子力がクリーンエネルギーという話が出ていたが、2011年の春頃に、代替エネルギーの一つとしてメタンハイドレートは使えないのかと何気なく口にしたところ、深海にあるためコストがかかりすぎて現実性はない、と20歳くらい年下の物知り男に説教されたことがある。
[DVD(邦画)] 6点(2015-08-03 23:58:24)
167.  東京少女 《ネタバレ》 
名前が「未歩」だと明治の人なら「いまだ歩まず」と読むのではないかと思うが、そういうところはあまり突っ込まないことにしておく。 内容としては「時をかける少女」と似たような印象があり、特に2010年実写版との類似点が目立つ(これより後だが)。時を越えて何かものを残すのは感動を呼ぶ定番要素のようでもあるが、ほかにこの映画では5歳/101歳?の人物の絡ませ方がよく、結構うまく作ったお話だったという気分になる。 またデートという発想はなかなか面白い。満月の頃だと昼間は月が地平線上に出ないので無理だろうと思ったが、別に月齢はどうでも構わなかったらしく、その場でヒロインがちゃんと調べて日を決めていたのは賢い。当日までに店を探してあったのも用意周到で、かなり頭の働く人物らしいのが好印象だった。 そのヒロイン役はこの時点でまだ16歳で文句のつけようのない美少女で、「ちゃんと勇気もらったよ」とかいう何でもない台詞も心に響く。デートの場面は声も弾んで楽しげで見る側としても嬉しくなるが、一方で結末を予想すれば(ほとんど最初から見えているが)この時点ですでに切なくもなる。 このヒロインのほかに、明治の少女は立ち居振る舞いが一応それらしく見え、甲斐甲斐しくてお兄様思いで何気に可愛らしい。この女優(福永マリカ)は同じ「東京少女」のBSのシリーズで主演・脚本??を務めていたとのことで、脇役と思って侮ってはならないようである。 以上のほか、本来はヒロインの成長物語といったところも重要なのかも知れないが、まあそれはそれとして、とりあえず泣ける切ない青春物語という点を重く見ることにして、それなりの点をつけておく。いい年してこれで泣けるおれはアホではないかと思うが、こういう話には弱いのでしょうがない。
[DVD(邦画)] 7点(2015-08-03 23:58:17)
168.  ハッピーフライト(2008) 《ネタバレ》 
本日、ANAで747型の運航を終了したという報道があったが、狙って投稿したのではなくたまたまである。 まず航空会社のPRとしては、こんな心許ない乗務員が登場するのを許す会社の鷹揚さに感心するが、中身には全部目を通しているはずなので、劇中の出来事は基本的に会社の考え方を反映しているものと考えられる。具体的には勘違いの鳥マニアは明らかな危険要因だが、飛行機オタクは迷惑なことはあってもいい関係を保っておく必要があるらしい。一方で乗客は何を怒鳴ろうがわめこうがあくまでお客様であり、どれだけ理不尽でも誠意をもって接すればかえって上客になってくれる、といったようなクレーマー対策なのだと思われる。航空会社としては緊急事態の場面は容認しても、お客様を悪役扱いすることだけは絶対避ける方針なのがよくわかった。 そのほか実際どうかはわからないが、運航乗務員の心構えとして「こういう時はまず笑え」というのは個人的に好きなタイプの物言いである。  ところで劇中で可笑しかったのは、とぼけた機内放送を聞いて吹石一恵が険悪な顔をしているのに、綾瀬はるかが天真爛漫な笑顔で客と一緒に笑っていた場面である。本来はこういった主演女優の持ち味を楽しむ映画だというのはよくわかる。 ただ個人的にはそれよりも、裏ヒロイン?であるグランドスタッフ(演・田畑智子)の方に注目してしまった。あまりに頑張って疲れてしまって不平を言いながらもなお頑張らなければならなくなって、それで少し貸しを返してもらうつもりでちょっと職場を抜け出したらどうやらしあわせの道が開けてきて、それで元気をもらってまた頑張ってしまって、というような感じだろうか。何か非常に愛しく思える人物だった。 ほかにも同僚のグランドスタッフなど各部署の出演者が多彩で楽しめる映画になっている。平岩紙さんに関してはサイドストーリー「歯医者発、しあわせ便」も必見である。
[DVD(邦画)] 7点(2015-07-24 01:23:29)(良:1票)
169.  恐怖(2009) 《ネタバレ》 
面白くないとはいえないが、面白いと言うにはわけがわからなすぎる。 外部情報によれば、側頭葉を刺激する実験はかつて実際に行われたことがあり、体外離脱とか光が見えるといった臨死体験に似た効果が得られることがわかっているらしい。ただし一般の臨死体験が死への不安を取り除くものであるのに対し、側頭葉への刺激は恐怖心とか幻臭をもたらすことが相違点のようである。またそれとは別に、人間が認識できる範囲外に本当の世界が広がっているという考え方も現に存在し、これと臨死体験を関連づける説もあるようで、この映画もそういったことを下敷きにしていると想像される。  その上でこの映画が何を言っているのかということだが(よくわからないが)、少なくとも自分としては台詞にも出ていた“死んだらどうなる”の問題が大きく扱われていたように思われる。伝統的には地獄に落ちるのを恐れたのだろうが、それは何らかの形で死後の世界があると信じられていた時代のことである。かつての俗信や宗教的認識が否定された現代日本では、死んで無になることをかえって恐れる風潮もあり、それは劇中でも説明されていたように、実はみな「あの世があると思いたがってる」ということだろう。 映画のラストはよくわからなかったが、個人的には変なものに食われるくらいなら人間のままで死んだ方がまだまし、という意味に感じられ、これはこれで救いのある終わり方に思われた。ただ、もし臨死体験が、死への不安を取り除くことで来世への円滑な移行(例えば生まれ変わりのような)を促すためにプログラムされているとすれば、これが正常に作動するよう心がけた方が無難ということはあるかも知れない。現実の報告によれば、自殺未遂者の臨死体験は一般と異なり不快感を伴うものとのことで、死後どこにも行けずに「ただ消えるだけ」にならないで済むためには、まともな臨死体験の過程を踏んでいわば円満に死ぬことが必要なのかと想像したりする。そこまでこの映画では言ってないかも知れないが。  なお劇中の処女受胎の人物は声が妙に愛らしいので和む(「何を見てるんですか?」)が、この役者はこれ以前に少女アニメの声優をやっていた人のようである。
[DVD(邦画)] 5点(2015-07-23 00:26:16)
170.  アイランドタイムズ<OV> 《ネタバレ》 
いまや一児の母となった仲里依紗嬢が、可憐で愛らしい少女役をやっている。この少女が最初は内気に見せておきながら、ブチ切れてからは本領発揮してバカ少年を圧倒していくのは小気味いい。台詞の中では「もっと言っちゃえば」という強引なつなぎ方がすごくよかったが、それでもバカ少年が煮え切らないのをちゃんと待っていてくれたのがまた嬉しい。あまり好意的にして母親の代替にされるのはまずいだろうが、そこは賢く立ち回るものと思われる。 一方の少年は、誠実なことは間違いないようだがバカなのも間違いなく、賢ぶって受け売りの台詞を言ったところが鼻で笑われたなどというのは非常に恥ずかしい。「愛とは与え合うもの」という言葉を聞いたことがあるか不明だが、現に自分が相手に与えていることに気づいてないようなのは自分の外に意識が広がってない証拠である。あまりにバカなため最後は完全に少女にリードされてしまっていたが、それだけに男子にとっては著しく都合のいいラブストーリーになっており、そういったところを期待して見ることが望まれる。  ところで、かつて少年の父は島を出て行ったきり帰って来なかったとの話だが、そもそも少ない島内人口の結構な割合が一時的に住んでいるだけの人らしく(教員など)、人はいずれ去るものという諦観のようなものを彼も感じていたらしい。その自分も島を離れる選択肢しかないと思っていたが、思わぬ事件で一時攪乱された後に、改めて当面の正しい道を選択し直したようである(半強制だが)。 出ていくだけでは人が減る一方になるが、出る者に必ず帰れと言える保障があるわけでもなく、その後どうなるかは人によるというしかない。自分の根っこを島に残しながらもとにかく広い世界に出てみようというのは、現に島に住む大人の多くもかつて辿った道かと思われるが(例えば役場職員、あるいは親友も)、記者志望の少年に関しては、これからずっと島から皆が(母親を含め)声援を送り続けるのだろうと想像する。  なお余談だが、自分としてはずっと前から青ヶ島村が日本最小の村だということを知っていて、行きたいが行けない憧れの地のように思っていたため、この映画で島の各地の景観や各種施設・設備が映り、時刻も天気もいろいろな島の姿が見られるのは非常に嬉しい。現地を知っていればありえないと思う場所設定もなくはないかも知れないが、そこはあまり突っ込まない。
[DVD(邦画)] 8点(2015-07-20 12:29:45)
171.  真木栗ノ穴 《ネタバレ》 
この映画では、まずはヒロインが清楚で色っぽくて可愛らしくて怖くて悲しく複雑で不思議な雰囲気を出しているのが非常にいい。メイクは最小限にして素材のよさを最大限生かしているのも好印象で、この点では誠に期待通りの映画である。 それだけを期待していたにもかかわらず意外にもといっては何だが、見ると窃盗の共犯の女にも妙に惹かれるところがあり、中盤の再会場面などはもう泣けてしょうがない。ヒロインと並ぶ存在感があり、この二人だけで両横綱という印象だった。 しかしさらによく見ると、もう一人の女性である雑誌編集者も決して無視できない存在である。若くて生気があり、基本的に明るい世界の住人で、見ていて眩しいようにも感じられた。最後、この人の声は主人公に届いたのかどうかが心残りである。  ところで、劇中では生きている人とそうでない人が混在していたようだが、そのほか空想が現実に介入しているようにも見えており、何が空想で何が現実だったのか整理がつけにくいため、観客としては画面に出たものをまともに受け取っていいのかどうかわからなくなる。また、さらにこの映画では、見ているわれわれを含めて空想と現実の区別が相対化(階層化)されているらしく、それを意識してしまうと、どうせ全てが空想なのだから観客が本気になって(前記のように)感情移入するのは愚かなこと、と嘲られているような気もして来る。 あるいは、そのようにして鑑賞者の心理を翻弄するのが作家(とか映画を含めた創作者)の力であり、それは劇中の編集長が言っていたように「頭ん中を覗くことなんかできない」ほどの深みを持った穴だというのが、この映画の隠れた主題なのかも知れない。しかし題名の意味はその通りとしても、それが映画制作者自身のことまで含めた主張だとすると自画自賛のメタ作品のように思われて、自分のように特に映画ファンでもない一般の鑑賞者などは疎外感を覚えてしまう。  まあ別に一般人に喧嘩を売っているわけではないのだろうから、ここはひとまず創作者に騙されておくことにして、愛すべき登場人物のいる懐かしい(怖い)空想の世界に浸り、愚かな主人公の哀れなラブストーリーに共感を寄せているのが正解なのだろう。 そういうことで、多少面倒くさいところはあるものの、全体としては非常に印象深い映画だった。
[DVD(邦画)] 8点(2015-07-18 12:31:57)(良:1票)
172.  クローズド・ノート 《ネタバレ》 
日頃から芸能ネタに関心がないので、これが例の問題を起こした映画と気づかないまま、先入観を持たずに見た。 内容としては映像がノスタルジックで美しく、登場人物は暖かくて微笑ましい。伊吹先生のクラスでは問題も起きるが、不登校児は素直ないい子でお母さんも優しい人のようだし、何よりクラスの全員が「太陽の子」で心優しく友だち思いである。…というようなことは現実問題として絶対ありえないと思うわけで、全体の雰囲気からしてまあいいかと思わされそうにはなるものの、さすがに紙飛行機の不自然さは耐えがたい。 また主人公が劇中で成長したところを見せようとするあまり、以前の方のレベルを落として楽器の練習に身が入らないことにしたのは、登場人物の人格に関わることなので見過ごしにできない。そのほか全体のストーリー構成も原作の方がすっきりして素直に受け取れる(泣ける)し、学校がらみの不自然さも感じられず、やはり他の原作付き邦画と同様に、原作さえ読んでいれば映画は見なくても事足りると思わなくもない。  一方キャストについては、伊吹先生の方は申し訳ないが好きになれず(顔が好みでない)、あまりに不自然な役柄と相まってそれほど共感できなかったが、バイト先の童顔の先輩についてはさすがにいい感じを出していた。 また主人公に関しては、これはもう非の打ちどころなく魅力的であり、外見はもちろん人物像にも強く惹かれてしまう。一般的なイメージからこれほどかけ離れた人物になり切れるというのは、やはり演技の力と思うしかないだろう。ただ終盤で負け惜しみを言ったように聞こえるところなどは主演女優の色が出ているようで、原作の方がより素直に愛すべき人物になっていると思わなくもないが、しかしこれほど可愛い沢尻エリカが見られるという点だけは、間違いなくこの映画固有の価値だと思われる。 そういうわけで、評点のうち5点は沢尻エリカに献上する。個人的感覚ではこれが沢尻エリカ映画の最高峰である。
[DVD(邦画)] 6点(2015-07-18 12:31:52)
173.  夕凪の街 桜の国 《ネタバレ》 
一見いい映画のように感じられるが、原作に乗っかって作られているわけなので、純粋に映画として評価するのは難しい。 まず映画では、観客に見えるように泣く人物が多すぎる。病人を屋外へ連れ出した上に長々としゃべらせる場面もあったが、そうまでしないと映画というのは成り立たないのかと思う。 またこのストーリーには「…死ねばいいと思われた」とか「…ちゃんと思うてくれとる?」というような、皆実の心情を伝える悲痛な言葉があるのだが、映画ではさらに「…落とされたんよ」という告発型の(碑文の問題を連想させる)台詞が加えられていたので驚いた。原作がかろうじて踏みとどまっていた一線を無造作に踏み越えている気がする。  もう一つ、桜の国編について。映画のラストは七波が泣く場面だったが、その前段に出ていた七波の心の変化が桜の国編の核心だったわけで、それが観客に充分印象づけられていたかどうか。これがあるから「夕凪の街 桜の国」の2部構成が生きるので、もしこの映画を見て後半が不可解とか不要と感じる人が多いようなら、原作の映画化としては明らかに失敗ということになる。 ただ、時代的に「夕凪の街」に属する場面が終盤にまた出て来ることからしても、映画は初めから夕凪優位の構成にして観客を泣かし、それで点を稼ぐ目論見だったとも思える。映画の七波は“現代の若者の視点で皆実の悲劇を見つめる人”という位置づけになり下がっている気がするが、それでも一応は全てのストーリーを追う形にして、原作ファンを丸め込もうとしているかに見えた。  自分としては、原作はほとんど全面的に支持するが、この映画を同じように評価することは全くできない。ただ、それほど低い点にもできないので困るのだが、それは原作をいわば人質に取られたような格好になっていることと、映画の持つ広い意味での娯楽性によるものと思われる。 なお映画の登場人物の中で、特に京花は少女から大人への変化がわりとスムーズで、どちらも可愛らしく優しい感じなのは納得した。七波と東子も、これはこれで好感が持てる。男連中も好人物でよかった。 [2013-1-20変更]変更前は6点だが、評価方法を見直し、原作を10点、映画化による改変部分を-8点とする。残2点のほとんどは劇中の京花へ。 [2013-11-18変更]評価方法を見直し、原作と上記プラス要因の評価はそのままとして全体を0点とする。
[DVD(邦画)] 0点(2015-07-18 12:31:47)(良:1票)
174.  MAIL 《ネタバレ》 
7年前に投稿が3件あっただけで、あとは忘れられたらしい。当時の上映版とは異なり、DVD2巻の「完全版」(少し長い)を見たのだが、大体同じということで書かせていただく。どうせ誰も読まないだろうが。 それでまず、構成としては全9回のTVシリーズを並べたようなもので、途中で連続2回も貞子が出るのはどうかと思ったが、ちょっとほろりと来る回などもあってそれほど退屈ではない。第4話の女優が台本を何回読んでも泣いちゃうと言っていたのは同感である。 また9話全体を通じたストーリーも一応あり、第2話からレギュラーで出るヒロインは顔が好みでないのだが、毎度見ていると愛着がわくのはシリーズ物ならではと思う。終盤で出る少女の子役も愛らしいので、少し切ないラストはいい感じに思えた。 これが映画としてどうなのかは問題もあるだろうが、見た時間を損したとまでは思わなかったし、また個人的には最後の言葉が底なしに悲しいので、少しいい点を付けておく。このサイトでは破格の点数になってしまうが、どうせ誰も読まないからいいだろう。
[DVD(吹替)] 6点(2015-07-18 12:27:38)
175.  DEAD END RUN 《ネタバレ》 
3話オムニバスのうち第1話の女優が目的で見たので、歌って踊れるヒロインの魅力を十分に(失笑しながら)満喫させてもらった。ミュージカルの舞台に突然引っ張り出されて戸惑う男の表情もキュートかもしれないが、死んだヒロインもまた魅力的である。終わってみれば超コンパクトなラブストーリーになっており、これは何度でも見たくなる。 そのほか第2話は少々地味だが、第3話は映像全体が明るくなり、またこの回だけは行き止まりを突き抜けられるのでいわば解脱感がある。出発点が同じで何回か繰り返すとやがて先へ進める時が来るのはゲーム感覚かと思ったが、登場人物は異なっているのでプレイはそれぞれ1回きりらしい。第3話の登場人物だけがたまたま幸運をつかんだということだろうが、個人的には第1話の結末でも十分受け入れられる。 なお第1と第3の男が、サスペンス調で生死を賭けた逃避行をしていながら硬派な印象がなく、女優とのからみの中でその辺の兄ちゃんのような素顔が丸出しになるのは現代のリアリティかと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2015-07-18 12:27:34)
176.  ロックンロールミシン 《ネタバレ》 
自分にはまるきり縁のない世界なので興味深い。仲間同士の妙な寛容さも心地いい。  劇中の勤め人は、自ら好んで現場に入り浸っていながら最初は何の役に立とうとしているのかわからず、前半は見ていて非常に不安定な印象だった。そのため本人としても自分のできることから貢献しようと思い立ったのだろうが、それがかえってサークル解体のきっかけを作ってしまったらしいのは皮肉である。しかし同時に真のクリエーターに道を開くことにもつながったわけで、いわば創造的な破壊だったということだろう。 その後の勤め人は、また同じ職場に戻ってほとんど変わったようにも見えず、実はここにもちゃんと居場所がありました、というような結末になっていたのは情けない。しかし現実問題として簡単にゼロからやり直せばいいと言えるご時世ではなくなっており、完全リセットというより都合のよいリフレッシュ程度に終わったのはかえってよかったとも思われる。結局はひと夏の思い出のようなものにしかならなかったわけだが、ただしラストでTシャツを着た外国人がなぜかみな笑顔だったのは少し感動的だった。全てが夢だったわけではなかったらしい。 そのようなことで、全体としては一時の夢のはかなさが前面に出た映画になっており、原作とは違っているが、これはこれでいいのではと思われた。登場人物としては眼鏡っ子の椿さんが魅力的だったが、主人公の彼女はどういう役割だったのか最後までよくわからなかった。 なおどうでもいいことだが劇中劇はくだらない。「生きていた信長」のように完全版でも作れば、このサイトでも1項目起きていたかも知れない。
[DVD(邦画)] 6点(2015-07-18 12:27:29)
177.  パコダテ人 《ネタバレ》 
主演女優のおかげもあって部分的には見るべき場面もある。一つだけ書くと、人間が涙する代わりに雨が窓ガラスを伝って落ちたのは非常に印象的だった(偶然ではないと思われる)。 しかし残念ながら映画全体をほめる気には全くならない。他人と違う⇒それは個性⇒すばらしい、とかいう短絡的な発想がそもそも気になるが、それでも「ハッピーが生えてきた」というのがキャッチコピーであれば、あくまで主人公の姉のノリのまま全編を通せばいいだろう。にもかかわらず、後半の波乱要素の中にはかなり不快で笑えないものが含まれており、ご当地映画にそんなものを持ち込んで一体何を表現したいのかと思う。どこか別の場所でやれと言いたい。 一方ストーリー的には2つのカップルの関係が並行的に進むわけだが、うち社会人カップルの方は終盤まで本筋と関係がなく、存在意義が不明なのは残念である。TV中継の前のプロポーズで初めて両者がつながるわけだが、その直後に製薬会社の重役連が真相を明らかにしなければ、この男は単なるバカに終わっていたところである。ついでに連行場面で「調査団長」がわざわざ悲痛な顔をして見せるのは苛立たしい。顔など出さなくていい。 そういうわけで、見ていて次第に腹が立って来る映画である。ただし高校生の2人はあくまで純粋で可愛らしく、またシングルファザーと女性保育士の関係も微笑ましいのは結構なことで、その点まで否定するつもりはない。
[DVD(邦画)] 3点(2015-07-18 12:27:24)
178.  月の砂漠 《ネタバレ》 
自分としては最初の方に出た「中村さん」役の女優を見るために映画を見たのだが、そこ以外には出ないのだった。顔はあまり見えないがスレンダーな姿が印象に残る。 映画の内容については見てもよくわからない。家族がテーマだとすれば示唆するところは多いようだが、少し考えても通俗的な解釈しか出て来ず、特に感動するわけでもない。奥が深いのかも知れないが、あまり付き合ってもいられない気がする。 そういうことで、真価のわかる人にぜひ見ていただきたい。見る人が見れば価値のある映画なのだろうと想像している。
[DVD(邦画)] 2点(2015-07-18 12:24:12)
179.  純愛譜 《ネタバレ》 
当初の予定としては、一応見てからせせら笑って2点とか1点とか付けてやるつもりだったが、実際見るとそれほどでもない。主役は当初さえない顔に見えたがなかなか味のある俳優だし、またストーリーはよくわからないながらも何かじっとりした説得力があると感じられる。それが俳優の演技なのか監督の力なのか国柄のせいなのか、映画通でない自分には分析的に説明できないのが残念である。 ただし、やはりどうしても困ったことだと思うのは、男の方がこれほど徹底的に気色悪い・汚らしい・変態なところを見せつけなければ映画にならないのか、ということである。少なくともわが国では、女子トイレで(それも職場の)常習的に覗きをするような男が恋愛モノの主人公になる資格はないわけだが、向こうは下世話で露悪的なのをリアルとみなす国民性なのかも知れず、まあこれが異文化というものだと思うしかないだろう。  ところで劇中では、“痛い”とか修学旅行の写真とかで何やら運命的なものが演出されてはいたようだが、それでも最後にアラスカで2人が出会うというのはかなり強引な展開に思われる。あえて引き合わせずにネット上の恋で終わらせることもできたはずだと思うが、そこはやはり物理的にモノにしなければ気が済まないということか。そもそも主人公も最初からそういうことしか頭になく、それで毎日悶々としていた感じに見える(心情はわかるが肯定はしない)。 またヒロインに関しても、友人が出産の決意をしたことなどで気分が生殖の方へ向いて来たらしい描写が見られ、一方ではその友人の彼氏がイラン人だかイラク人だったことで、外国人との心の壁が低くなったようにも思われる。もしかするとこの映画は、日本人(女性)の恋愛市場をアジア(の男)に開放せよという、今日の目で見れば非常に先駆的なメッセージを含んでいるのかも知れない。 しかし本当にそういう目的の映画だったとすると、この内容では明らかに失敗であり、また個人的には「地球防衛軍」(1957)という映画を思い出す(ほとんど誰も知らないだろうが)。主人公とヒロインの国を逆にした場合に、このような合作映画は成立するだろうか。
[DVD(邦画)] 3点(2015-07-18 12:24:07)
180.  sWinGmaN 《ネタバレ》 
見た後に何の感慨もなかった。怖くもなく悲痛でもなく切なくもない。全体的によくわからない話なのだが疑問を解消したいという気にもならない。 まずは主人公が今回初めて変になったというより元から変だったようにしか思えないため、普通に恋人や友人がいるのが自然に感じられず、こんな男に少女が同情を寄せるのも気が知れない。またこの主人公のために、少女や恋人という癒しの要素があらかじめ用意されていること自体が安易で甘ったれた感じがする。自分としては北村一輝が画面に出ると閉塞感が破られて救いのように感じられたのだが、そんなことも主人公には気に入らなかったらしく、あくまで観客側の感情移入を拒む映画になっていた。 外部情報によれば主演俳優のために作られた映画とのことだが、個人的にはこの俳優に注目する理由はなく、また世間的な価値としては宮崎あおいの映画キャリアの初期段階が見られることだろうが、その面でも自分としては特に関心がない。ほか主人公の恋人役に関しては、キャラクターとしての魅力が感じられないので特に面白くはなかったが、「だから煙草だってやめてたじゃん!」という台詞にはどきりとした。
[DVD(邦画)] 1点(2015-07-18 12:24:03)
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