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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1248
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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161.  オンネリとアンネリとひみつのさくせん 《ネタバレ》 
シリーズ3作目になって子役がかなり大きくなってしまっている。小学生にしては体格がよすぎるが(特にオンネリ)、2004年生まれとすれば一応12歳だったらしい。 レギュラーの登場人物も少しずつ出ていて、ブタがかなりカラフルになってリボンがついたりしているのが目についた。庭でオカリナを吹く人物がいたのはいわゆる死亡フラグのようだったが、最後はハッピーエンドに決まっているので誰も心配していない。ほか今回、魔女姉妹の栽培していた植物はさすがに異様すぎる。 映像面では、今回は収容所が出る話なので、このシリーズにしては珍しく無彩色に近い場面もあったが一応は暖色系になっている。所長がいないと子どもらが勝手に動いているのが可笑しい。また小物ではネズミの動きがユーモラスで面白かった。  ドラマ的には何を読み取るべきかわからないが、まずはどんな人にもそれぞれふさわしい居場所があるという意味か。元警官も子どもらも、本来なすべき仕事のできる職場が実現したのはいい結末だった。所長などは異世界に追放されたかのようだったが、これでも一番幸せな居場所ということらしい。ちなみに映画の原題と英題は同じ意味だが、この所長にとってはUFOがMysterious Strangerだったのかも知れない。 またこの所長が自称していたjohtaja(リーダー)と、市長Kaupunginjohtaja(市のリーダー)を対比させることで、指導者というもののあり方を語っていた可能性もあるが不明瞭だった。この映画で見る限り、どうせ政治家など自分の見栄えのことしか気にしていないので、要は賢く使うことを考えろ、という変な知恵をつける感じだったがそういう理解でいいかどうか。  そのほか雑談として、所長が子どもらの髪を梳く場面があったので、これはまさかシラミを取っているのかと思ったら何とその通りだった。この映画の原作”Onneli, Anneli ja orpolapset”(オンネリとアンネリと孤児たち)が発表された1971年の時点でもシラミはさすがにいなかったのでは思うが、これは孤児だから不潔と決めつけられていたと解すべきか。この場面の「まちがいだった」は笑った(達者な子役だ)。 もう一つ、市長役の役者は西部のヴァーサ出身で父親がケニア人、母親がフィンランド人とのことで、見た目にかかわらずフィンランド生まれのフィンランド人ということらしい。実際こういう黒人市長というのもありえなくはないわけだが、もしかしてオバマ大統領のように初の黒人大統領を目指す野心家という設定だったのか。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-05-30 10:26:06)(良:1票)
162.  サマー・ヴェンデッタ 《ネタバレ》 
森でキャンプをしていた若い男女が殺されていくタイプの映画である。一応は1960年にフィンランドで起こった「ボドム湖殺人事件」(未解決)を題材にしている。 実際の現場はそれほど人里離れた場所ではなく、首都ヘルシンキ近郊の行楽地のような場所らしいが、この映画では深い森の中ということになっている。映像的には湖水に面した岩塊のロケーションが印象的で、これこそフィンランドらしい景観と思ったが、実際の撮影地はエストニアだったという話もある。 時代に関しては、序盤で出た家庭の古臭さが昭和30年代の表現かと思っていると、実際はかなり年数が経った時点で事件を再現する形になっているのが後に判明する。ただし現代というよりは少し前の、携帯もカーナビもパワーウィンドウも?なかった時代と思うのが妥当ではないか。今でいえばリベンジポルノ(リベンジではないが)のような話題も出ていたが、ネット上の画像ではなく実物の写真のことだったと思われる。  登場人物4人が現場に行った動機としては「事件を再現して検証」するためだと説明されているが、そういう変な小理屈をいうよりも、日本でいえば若い連中が心霊スポットに行きたがるようなものと思えば簡単である。ただ実はそれほど単純でもなく、女子2人・男2人の共通目的とそれぞれ個別の思惑もあって結構複雑な状態になっている。 ストーリーの面では、実際の事件の真相に関する複数説を融合させたように見える。途中で意外な展開が2回あるが、1回目でどうなるかは何と予告編でネタバレしているので2回目が本番と思うしかない。しかし残念ながら1回目も2回目も真相がありきたりで驚きがなく現実味も感じられない。 どうも話の中身が軽く、またそもそもの事件も地元で有名なだけで、例えば津山三十人殺しほどのインパクトがあるわけでもない。映像面ではそれなりの映画に見えているので悪くはいえない気はするが、面白いともいえないので人には全く勧められない。  なお主人公の女子は地味な風貌に見えたが、実は意外に豊満な体型だったのがかなり目についた。ただしそれが目的で見るほどの映画ではなく、見れば途中で非常に気になるという程度のことである。これも無意味にエロいのではなく、厳格な父親との関係で意味があったのかも知れないがよくわからなかった。
[DVD(字幕)] 3点(2020-05-23 09:27:29)
163.  バニー・ザ・キラー 《ネタバレ》 
発情したウサギ男が人々に襲いかかる映画である。 こういう設定でホラーの怖さなど期待するはずもないわけだが、グロ場面も撮り方のせいか半端に見えるところがある。コメディとしても大笑いするものではなくエロい場面もほとんどないが、それよりこの映画の本質は下品ということであって、既存のジャンルに当てはめるより下品映画とか下劣映画とか下賤映画とかいうカテゴリーを作った方がいい。  登場人物の人種・国籍(言語)・性的嗜好は多様なようだが、これは要は現地(撮影地は北東部のかなり田舎)でも旧来の秩序が失われたということの表現か。ウサギ男が男女関係なく襲っていたのは尋常とはいえないが、そのことを含めて一般常識の枠組みからの逸脱なり解放を表現したキャラクターということかも知れない。 一方で、片時も休まず年中発情している点では便所に籠っていた若い男も同じことである。しかし誰でも構わないわけでは決してなく、ちゃんとそれなりに見える(一見これがヒロインかと思う)相手に御執心だったわけで、この男こそがいわば人としての基本路線を体現した存在ともいえる。エンディング後の場面では、この男だけが修羅の地を脱して楽園に到達できたような印象もあり、ここで救われた気がした現地の観客も多かっただろうと思っておく。 ちなみに微妙なことだが、もしかしてフィンランド人は自国民よりスウェーデン人を高級(上物)と思っているのか?? 若い男が最初に目をつけたのが英語を話す外国人で、最後に受け入れられた相手が先住民だった??らしいのも意味ありげだが(原点回帰?)、どこまで深読みしようとしていいのかわからない。  そのようなことで、個人的には史上最低最悪のフィンランド映画は何かを探る気分で見ていたが、このくらいだとまだ最低ではないと思われる。 なお笑える場面は多くなかったが、ノコギリから始めていきなりボウガンができてしまい、それでいきなり変なものを撃ったのは少し笑った。一般にいう動物に危害を加えていません的な愛護精神も踏みにじっている(※造形物のため実際に虐待してはいない)。 ほか可笑しくはないが共感できたのが「最高のオッパイ」で、ここは中国人と価値観が一致していた。この点はキャスティングの上でも最重要だったはずで、最終的にはこの本物のヒロインが少し好きになった。
[インターネット(字幕)] 2点(2020-05-23 09:27:26)
164.  ストレイ 悲しみの化身 《ネタバレ》 
原題のтварьは生き物とかいう意味らしい(creature, being, animal, beast, monster: Wiktionary, the free dictionaryより)。英題のstrayはストレイドッグ(野良犬)のストレイだが、この映画の場合は浮浪児のようなイメージか。邦題の副題「悲しみの化身」が最もまともに内容を説明しようとしている。 スタッフの人名を見ると原作(原案?)・脚本・監督とも女性らしい。ジャンルにはミステリーとあるが特に難解な部分はなく、結末部分を含めて素直に見られる作りになっている。ホラーとしては、邪悪な子どもと夫婦という設定自体にかなりの既視感があるが、それよりはドラマの方に力点が置かれている。 物語の中心になるのは家族の喪失による心の痛手ということだが、それほど独創的に見えるところはなく、見る側の立場で何か心に刺さるものがあるかどうかということになる。この生物も存在意義があるからこそ存在しているのだろう、と推定してみせた孤児院のシスターの達観には少し感心した。細かい点として、途中で夫婦それぞれの心変わりが唐突に感じられるところがあったが、これはバケモノが人の心につけ込んで操作していたのが原因と思われる。人の魂をもたず知能と生存の意志だけはある悪辣な生物に利用されそうな弱みが、夫婦の両方に最初からあったということで、こういう点は現実社会でも警戒しなければならない。  映像面では、現代ロシアの地方と都会(モスクワ)を舞台にした陰鬱な雰囲気は悪くない。また気に障る描写として、吹き戻し(ピロピロ笛)の場面は予告編でも見られるが、これは特に選んで入れるにふさわしい名場面である。しかし安っぽい視覚効果とかワイヤーアクションとかの技法はこの映画には不要に思われた。これは明らかにマイナス要因である。 キャストとしては、特に序盤でビースト状態のтварьを演じたのがすごい子役だと思った。また母親役の女優はそれなりの年齢だろうが、日本でいえば田畑智子さんを普通の美女(個性的美女でなく)にした感じで目を引く。他の映画に出ているのも見たくなった。 ほか余談として、「だるまさんがころんだ」は日本だけにあるのではないことがわかった。劇中では孤児院の子どもが「海の生き物、止まれ」と言っていた。またバケモノの呪文のようなのはフィン語系の言葉に聞こえたが(意味不明)、これはスラヴ人がこの地を占拠する以前の先住民の言葉とでもいうつもりか。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-05-16 08:56:37)
165.  ALIVE -アライブ- 侵略 《ネタバレ》 
オランダ映画ということになっているが、風景は森林ばかりで風車もチューリップも出ない。台詞は英語なのでオランダ語が聞けるわけでもなく、基本的に無国籍風の映画である。登場人物は男女2人だけで純粋低予算映画と思われる。 劇中の出来事の原因は明示されなかったが、登場人物がいろいろ言っていた中で「実験」は感覚的には悪くない。また「夢遊病」「誤作動」も全くありえなくはなく、さらに登場人物の精神状態が作ってしまった現象もあったように見える。ほかに男がネットで見ていた記事はSkyquake(Wikipedia英語版参照)に関するものらしく、これが発想の背景にあったとも考えられる。なお邦題で「侵略」としていることの根拠は、なくはなかったが弱い。  【ここから解釈】 原題のResonanceは共振または共鳴の意味だろうが、うち共振に関しては、地震の揺れが建物の固有周期に合ってしまうと共振が起きて倒壊する恐れがあることが知られている。また長さの違う金属棒を順に並べて同じ周期の振動を与える実験装置で、与える振動の周期を変えていくと、固有振動数が合って共振する金属棒が順に交代していくといったイメージが持たれる。 これをもとにして考えると、いわば危機感の固有振動数が人により違うという設定なのかと思われる。本来の外的要因(単に空気の振動?)による身体的な影響は似たようなものでも、次第に高まる危機感が登場人物それぞれの固有振動数に合った時点で恐怖に変わり、精神面から破滅的な結果(建物でいえば倒壊)がもたらされたように見える。 危機感の違いに関しては、序盤でクマの家族写真の話が出たときに、父熊が現れたら逃げる、などと呑気なことを男が言ったので、そもそも子熊を見た段階でその場を離れろと言いたくなったが(母熊が怖い)、これが男の危機感のレベルを示していたとも思われる。その後には、女と男で危機感に丸一日以上の差があることを示す場面もあった。 終盤に至ると、先に女が恐怖に耐えかねて自壊しそうになったが何とか持ちこたえ、次に男にとって耐えられない恐怖が襲って来たため自滅した。一方その段階で、女の方は危険域を突き抜けてしまっていたため武器をもって恐怖に立ち向かい、また不可能そうにも見えた脱出方法を意志の力で成功させたということかと思った。 女が危機を脱したのは男の献身があったからだが、男は女の助けも得られず孤独に死んでいったように取れる。結果としては、何かと感覚にずれのある恋人2人の悲しい物語になっていたが、ずれがあったからこそ女が助かったのは間違いない。 【ここまで解釈】  以上で全部説明できているかは不明で、悪くいえば、邦画にもある若手の作った無駄に難解な低予算ホラーのようなものと取れなくはないが、映像面その他の印象がいいので安手の映画という気はしない。低予算映画の良品だった。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-05-16 08:56:35)
166.  ガーンジー島の読書会の秘密 《ネタバレ》 
イギリスに属するチャネル諸島のガーンジー島に関わる物語である。第二次大戦ではドイツ軍に占領されたとのことで、ノルマンディーのすぐ近くにも関わらず、連合軍が反攻に転じてからも占領されたままで大変な思いをしたらしい。 原作は読んでいないが映画で見る限り、島の読書会に関わることでなぜか住民が語りたがらない昔の事件があり、主人公がその真相を探っていくミステリー調の展開である。そこにラブストーリーが絡んで来て最後はちゃんとハッピーエンドになる。戦争関連の場面はあるがそれほど過激でもなく、安心して見られる穏やかな映画である。 ユーモラスなところもあり、序盤で出ていた前世と来世の話は、イギリス人もこういう発想をするわけかと笑った。また「あなたの心に住む人」というのも、登場人物の性格付けのためだろうが突拍子もない発言で失笑した。 ちなみにこの島は本来フランス語に近い言葉のはずで、そのことに触れた箇所が若干あったようだが(Bonne nuitに近い言葉)、この点について何らかの考え方なり立場なりがあったのかどうかはわからなかった。  物語の中心になるのは題名のとおり読書会だったらしい。一般論として、一人だけで孤立して考えるのでなく、多くの人々の考えを重ね合わせることで物事の本質が見えて来るということがあるはずで、それが文学なら読書会の場ということになるが、主人公が劇中でやっていたことを見れば、この物語自体が読書会のようなものだったとも取れる。 またラブストーリーに関しては、男連中の顔を見るだけでも結果が予想できる気はするわけだが、本当にその通りになってしまったのは出来すぎである。しかし島の読書会が作家の創造力の源泉になり、ここに住むこと自体が創作活動を支えることになったのならこの結末も正当化されなくはない。実際にフランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーがこの島に15年間滞在したことがあるとのことで、それを背景にした物語だったようである。 ちなみに聖書が「愛の書」であるのに、「裁きと悪意」しか読み取らない者がいることを嘆く台詞があったが、これは聖書限定のことではない(映画も)だろうから自戒が必要である。逆にそういうのも自分の考えをまとめるためには反面教師的に役に立つといえなくもない。  登場人物はそれぞれ個性的で、自分としては編集者の男の立場も気になったが、そのほか酒を売っていた女の実像に意外性があって面白かった。一緒の布団で寝たところではもう主人公の親友になっていたようで、養豚業の男とその養女は別にして、主人公が島に住むのを最大級に歓迎したのがこの人物だったのではないか。主演女優はあまり好みの顔ではないが人物像としては悪くなかった。
[DVD(字幕)] 7点(2020-05-09 09:29:01)(良:1票)
167.  アバウト・タイム 愛おしい時間について 《ネタバレ》 
可笑しそうに笑う女性の写真が気になって見た。内容としてはタイムトラベルの話だったが、主人公は「秘密のパワー」を持った家系というだけで、それ以上の説明がなかったのはかなり簡略な設定である。 主人公が何度も過去に戻って都合のいい結末を得ようとしていたのは、個人的に知っている範囲では「時をかける少女」アニメ版(2006)に似ているが、やがて取返しがつかなくなるとか天罰が下るわけでもなく、また本人の努力や試練のようなものもあったにせよ、結局思いどおりにうまくいくのは出来すぎである。結論的にも少し違っていたようで、この映画では若いうちに秘密のパワーを使って充実感のある境遇まで到達してしまい、そのあとの余生の過ごし方を語って終わったようで変な気がする。 ただ、普段の何気ない幸せ感の表現は非常によかったので、ここは監督がインタビューで語っていた映画の目的に貢献している。荒天の新婚パーティは悲惨なようでも、後になれば完全に笑い話というのがよくわかる。また平凡な一日を繰り返してみると、二度目は美女の笑顔が見えた上に、なぜか値段まで違っていたのは反則だった。終盤で幼い娘が何度も手を振るところは少し泣かされた。 自分としては過去など二度と繰り返したくない日ばかりで、今となってはもう墓場が見えている気もするわけだが、せいぜい今後とも前向きなタイムトラベルを心がけていきたいと思わされなくもなかった。悪い映画ではない。 なお自分をこの映画に誘引したヒロインは、劇中でも最高にキュートな女性だった。この点では間違いなく期待通りの映画だった。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-05-09 09:28:58)(良:1票)
168.  ダンスウィズミー(2019) 《ネタバレ》 
宣伝文では「ハッピーミュージカルコメディ」とのことだが、ミュージカルに徹するわけでもなくそれほど大笑いもしない。しかし一応ハッピーな気分で終わるので悪くない映画ではある。ちなみにミュージカル成分は、昔の映画でいうと優香出演の「恋に唄えば♪」(2002)と似たようなものかと思った(もっと少ないか)。 序盤のオフィスやレストランのミュージカルパートでは、せっかく周囲を巻き込んで歌とダンスで盛り上がったと思ったのに現実が悲惨だったのは非常に落胆させられたが、これはそれこそミュージカルの虚構性の表現ということか。その後のロードムービー部分で仲間と歌っているのは普通に楽しげで、特に恥ずかしいトラブルもなく、こういう純粋に音楽を楽しむところまでいったん戻ってから最後のトラウマ解消に至ったという全体構成だったのなら納得できなくはない。歌につられて自然に身体が動くのは変ではないだろうとはいえる。 歌の選曲としては少し古い方へ寄っていたようだが、個人的には「夢の中へ」とか「年下の男の子」のあたりは劇中人物のノリに同調できた。また普段、映画を見ながら先読みなどはしない方だが、3人組での「ウエディング・ベル」に関しては直前の予感が当たった(この状況ではこの歌しかありえない)…実は自分としては柄にもなくこの歌が心に刺さるものがあって痛い。 ちなみに何の説明もなく突然方言を聞かせるのが好きな監督ということなのか、今回また耳慣れない方言が出て来ていたが、これは新潟県の言葉だったのか(新潟市はほぼ標準語だと思っていた)。  キャストに関して、主演の三吉彩花という人は子役時代からいろいろ出ていたのを見たことがあり、昔から長身で美形だったので、周囲の子役の中で変に目立ってしまうところがあったように思うが、ここに至ってやっとふさわしい姿で出られるようになって他人事ながら感無量である。単純な美人女優でもないようで、今後とも幅広く活躍できる役者になってもらいたい。 ほかに名の知れた役者もいるがあらかじめ情報が出ていなかったようで、黒川芽以が出演しているのは実際見て初めてわかった(姉の「友美」役)。また「ウォーターボーイズ」(2001)のエンターテインメント性を一気に向上させた立役者である秋定里穂さんが出ているのは最初から知っていたが、実際見ると出番が少ないので不満に終わった。ここはもう少しファンに配慮してもらいたかった。
[DVD(邦画)] 6点(2020-05-03 20:29:16)(良:1票)
169.  アンダー・ザ・ウォーター 《ネタバレ》 
製作国として国名が3つ出ているが、映画の舞台はコペンハーゲンなのでデンマークの印象が強い。監督・脚本と主演俳優はデンマーク人、ほかにスウェーデン人やスウェーデン語話者のフィンランド人(エステルボッテン出身)も出ていたようである。 邦題はともかく原題の”QEDA”は一般に通用しない劇中用語のようで、「量子もつれ quantum entanglement」という科学用語を理解できる/しようとする人間も少数だろうから、これは製作側の独りよがりである。とても商業映画のタイトルとは思われないので、英題くらいにしておくのが妥当である。 全体的には北欧らしい作りということなのか、地味で不愛想な外見のためたまらなく眠くなり、字幕を見落として少し戻るということを何度も繰り返した。ただ同じ顔の人物(二役)が自然な感じで一緒に映っている場面があり、これが結構不思議ではあった。  映画のテーマとしては、一つは地球温暖化の問題と思われる。海水面の上昇でコペンハーゲンの街路がベネチアのようになっていたのは古典的な温暖化イメージだが、そのほか気候変動の表現として突然の嵐の場面もあった。塩分のために真水が失われて多くの生物種が絶滅し、人の健康も損なわれるというのは世界共通の一般論か不明だが(低地限定ではないか?)、2095年の男が2017年に来て、かつての世界がこれほど豊かで人の心も満たされていたと実感する場面は確かに現代人への警告になっている。ここは一般受けしやすい。 一方で時間ということに関しては、簡単に過去を変えてはならない、といったことを教訓めかして言っていた感じだが、そもそも人間というのは過去を変えられないので現実世界に向けたメッセージにはなっておらず、単に意外で悲惨な結末を面白がるだけのショートムービー的なもので終わった気がする。あるいは過去にこだわらず、未来を変えることを考えろという意味とも解釈できるが、それにしても回りくどい話である。  そのようなことで、学生のSF研とかなら内輪受けしそうなアイデアに、地球温暖化の話を加えてかろうじて長編映画にしたような印象だった。ほか劇中設定(地球温暖化と時間旅行)に関する疑問点もいろいろあるが長くなるので書かない。地球温暖化について何か言いたい人は見てもいい(ただし眠い)。 ちなみに「ひいひいばあちゃん」は確かに魅力的な女性だった(知的で賢明)。妻の先祖であるからには惚れて当然か。
[DVD(字幕)] 4点(2020-04-29 11:51:29)
170.  京城学校:消えた少女たち 《ネタバレ》 
戦前の日本統治下での女子寄宿学校の話である。邦題は原題の直訳らしい。 題名によれば場所は京城だが、実際はほとんどが山中の学校で展開する。禁断の園のような場所に制服の美少女??たちがいて、いわゆる“少女の肢体”的なものも見えるが演者はほとんど20代だろうから特にロリコンじみてはいない。いわゆる百合要素もあるがグロ場面も結構ある。 部分的にはホラーっぽく見えるが実際はホラーでもなく、主に中盤から提示される謎をめぐるサスペンス展開になるが、最後はまたぶっ飛んだ感じで終わってしまう。発想としてはありきたりで驚きも何もないが、しかし古い洋風の学校を舞台にした陰惨なサスペンスの雰囲気は悪くない。映像面では、白と赤の対比に隠微で重層的な意味が込められていたように見えた(性的かつ侮日)。  ほかにこの映画で何か言いたいことがあるのかはよくわからなかった。まずは人類史上最も残酷といわれる植民地支配の非道を暴いたようではあるが、出来事があまりに荒唐無稽で非現実的なため告発にも糾弾にもなっておらず、単にいつでもどこでも便利に使える悪役としての日本が出ていると思ってもそれまでである。ちなみに劇中の軍人は日本語が得意でなかったようで、実は日本人でなく現地出身者だったと思っておく(朴正煕元大統領のような)。 その一方、なぜか劇中人物の間では東京に行きたがる風潮があったらしく、なんで憎むべき日本へわざわざ来たがるかと思うわけだが、校長に関していえば“ウンザリする朝鮮を抜け出したい”というのが本音だったようである。これがいわゆる「ヘル朝鮮」(헬조선)のことだとすれば、昔の話のようでも実は現代の自国の問題に触れた映画だったとも取れる。 主人公と親友は東京というより海に行きたかったようだが、実際は近場の池で間に合わせていたのが閉塞感の表現とすれば切ない。最後に2人で家へ帰ろうと言っていたのは地元回帰というより諦念の現れなのか、また過去の少女が英語の歌を聞きたがっていたのは本来もっと広い世界への憧れがあったようでもあるが、外国映画なので読み取りがなかなか難しい。  キャストに関して、主演のパク・ボヨン(朴宝英)という人は、日本人の立場からも親しみやすい可愛さがあって嫌いでない。ただし1990年生まれとのことで、この映画の時点では少女ともいえないのを童顔でごまかしていたようである。またその親友役のパク・ソダム(朴素談)という人は現地風の個性的な容貌だが、最近では「パラサイト 半地下の家族」(2019)にも出たようで存在感のある女優らしい。
[DVD(字幕)] 6点(2020-04-25 08:54:30)(良:1票)
171.  マリア様がみてる 《ネタバレ》 
原作もアニメも見ていない。 まず序盤はかなり笑わされた。実写にすると異世界ファンタジーというか、ほとんど茶番に見える劇中世界を大真面目に演出していること自体がユーモラスである。主人公の存在もかなり笑える要因になっており、訥々とした口調で極端な表情を見せられるので大笑いする。 そのうち次第にこの世界にも馴染んで来ると、怖そうに見えた上級生が見せる情愛にキュンとさせられたりするようになる。そもそもお姉さま方が意味不明な権威をもって四囲を睥睨するだけの存在ではなく、要は生徒会の仕事をする人々であって、学園祭では自主事業に取り組むなど結構まともに活動しているらしいこともわかり、それなりの敬意をもって見なければならない人々だと思わされる。偉そうにしていても所詮は高校生だと自戒していたのも賢明な資質を思わせた。 ストーリーとしては原作準拠とのことで、当然ながらまともに見られる物語ができている。最初は今どき「わらしべ長者」かと思ったが、そこから“ずっと握ったままで離さない”というところにつながったのは少し感動的だった。上級者に尻尾を振って成り上がろうとするのでなく、また「賭けとか同情とか」でもなく、それぞれの矜持を保ったままで互いに認め合っていく展開は素直に受け入れられる。最後の写真のタイトルというのも泣かせるものがあった。 ほか女子同士の疑似恋愛的なものがそれほど前面に出ていないのも見やすい理由と思われる。一度アニメ化されたものを実写にすると叩かれるのが普通だろうが、スタッフは今回いい仕事をしたのではないか。 ちなみに「マリア様のこころ」はよくできた曲だと思ったら本物の讃美歌だった。  登場人物としては、カワイイ系美少女ばかりでもなく意外に臈たけた感じの人物もいたが、上下の差を強調するため演者の年齢に幅があるのは当然といえる。波瑠はあまり可愛く見えないが、それは役柄というか本人のキャラもあるだろうからいいとして、未来穂香(当時)と1歳差にはとても見えないのは笑った。未来穂香という人は、その後にいろいろあって現在は矢作穂香という名前(本名)で活動しているので今後の活躍にも期待したい。ほかにも秋山奈々(現:秋山依里)や高田里穂さんなど見たことのある顔が出ていたのが嬉しい。広瀬アリスは今回それほど目立たないが可愛く見える役だった。ついでにシンデレラのネズミもかわいい(ヒゲをつけたのがよかった)。
[DVD(邦画)] 7点(2020-04-25 08:54:28)
172.  ゾンビプーラ 《ネタバレ》 
「シンガポール初のゾンビ映画」だそうである。題名のZombiepuraは、国名のSingapura(獅子の町)のもじりだというのは言われなくてもわかるかも知れないが、自分としてはこのネーミングに引かれて見る気になった。ちなみにエンドロールを見るとzombieは漢字で「喪屍」と書くらしい。また今回関係ないがいわゆるキョンシーは「殭屍」(固い死体)である。 ジャンルとしてはホラー/コメディだそうだが別に怖くはなく、また国内向け宣伝で「抱腹絶倒」と書いているがそれほどバカ可笑しいわけでもなく、コメディ調ではありながらも普通に悲劇的な場面もあったりする普通の物語になっている。漢字の題名は「屍殺軍營」とのことで、ほとんど軍隊の兵営内のためスケールが小さく、日本でいえば学園ゾンビ映画のように見える。「筋肉の記憶」とかゾンビ除けの秘薬といったものが特徴的な要素だがそれほど独創的な感じでもなく、またゾンビの群れが特定の音楽に反応するのは、個人的にはAKB48メンバーが出た学園ゾンビドラマ「セーラーゾンビ」(2014)を思い出した。 なお障害物競走は少し面白かった。また最後の祖母の件は笑った。  現地の事情はよくわからないが、主人公が軍隊にいたのは志願したわけではなく、兵役(2年)を務めた後に毎年集められる予備役だったようで、当事者としてはとにかく何もせず楽に過ごして早く帰りたい状態だったらしい。しかし今回の件で守るべき者の存在を意識したことで、訓練ではできなかったことも自分の力でできるようになり、同じ任務の仲間と協力し、国旗に導かれて?小さな勝利を得たという話に見える。 シンガポールは面積的には小国ながら、豊かな国らしく侮れない軍事力があるようで、この映画のようなだらけた状態が普通なわけではないとは思われる。しかし現実問題としては主人公のように、戦争などゲームや映画でしか意識していない連中ばかりなのを兵役で使う苦労があるのだとすれば、ここでちょっと平和ボケを矯正してやる、という意味もあるのかも知れない。それにしても基本的に平和な国ということだろうが。  なおキャストは地元の役者のようで当然知らない人ばかりである。唯一の若手女子であるXiao Ling(小玲)役はJoey Pink Lai(黎格欣)という女優・モデルのようで、劇中では美女と言われていたが、少しタヌキっぽい愛嬌のある顔で和んだ。
[インターネット(字幕)] 5点(2020-04-11 22:27:33)(良:1票)
173.  私はヒーローそれともヴィラン?よみがえれ勝連城 《ネタバレ》 
変な題名が気になって頭から離れなくなって困った。本題と副題がスイカと天ぷらのような相性の悪さがあり、またそもそもヴィランというのが何のことかわからなかったのでわざわざ調べたが、まあこういう用語は映画ファンの人とかなら常識なのだろうなと思った。ちなみに全体として何かの名前に似ていると思ってやっと思い出したのが「天才バカヴォン ~蘇るフランダースの犬~」(2015)だった。生きているうちに思い出せてよかった。 実際見れば世界遺産登録の勝連城(沖縄県うるま市)を扱った映画で、山頂からの眺望などが非常に印象的だった(空と海が広い)。個人的には沖縄の歌謡集「おもろさうし」に「やまとの かまくらに たとゑる」という言葉があることをなぜか以前から知っていたが、それがこの勝連のことだというのは今回初めて認識した。地元のヒーローである阿麻和利(あまわり)が、琉球王府の陰謀で滅ぼされたという話を聞けば、地元でないが近場の例で、蝦夷の阿弖流爲(アテルイ)が大和朝廷(ただし平安遷都後)に滅ぼされ、奥州藤原氏が鎌倉に滅ぼされたようなものかと思って一気に共感を覚えた。「肝高の阿麻和利」というのは記憶しておくことにする。  主人公は最初から傲慢で悪印象だったが、その後すぐに女子児童との関係で、ちゃんと人としての美点があることが明らかになる。自分が先に立って挑発して競い合って(三線の演奏付きで)人を引っ張る性格らしかったが、どうやら似た者同士だったようで、そのうちライバル関係のようになっていたのは笑った。 また、人は見たいものしか見ないというのは、人間の認識能力に制約をかけ相互理解を阻害する最大級の障害だと自分も思うが、それは劇中で出ていた歴史認識の問題も、個人の問題も同じということらしい。主人公に関していえば、要は視野を広く取れ、人の話を聞けということだろうが、しかしいま必要なことをまっすぐ見通して断行しようとする基本的性格までを矯正する必要はない。電話で同僚(副社長)に「間違ってない」と言ってもらったのは他人事ながら嬉しくなった(泣けた)。確かに、誰かが見てくれているというのは有難いことだ。 結果として、題名にかかわらず意外に感動的な映画だった。ちなみに映像面の印象もよかった。低予算だろうと思うが安っぽさは感じない。  キャストとしては、主演女優は写真の横顔を見て全く期待していなかったが、役柄との関係ではかなりいい感じを出していたので、そのうち「櫻の園」(2008)でも見るかという気になった。役名の「華那」は阿麻和利の幼名「加那」に合わせたものかも知れない。また親友役の大城優紀という人は沖縄の女優・モデルとのことで、絵に描いたような可憐で気の優しい洋風美女の姿を見せている。この2人と相似形の児童2人も沖縄の子役だったようである。
[インターネット(邦画)] 9点(2020-04-06 19:52:01)
174.  天才バカヴォン 蘇るフランダースの犬 《ネタバレ》 
この人物の映画は2つ目だが大体どんなものかはわかっている。大笑いというほどでもないが終始にやけ気味の顔で見ていた。 ネロとパトラッシュがまるきりそのままの姿なのは感動的で、この格好で実名付きで出てきても誰も気づかないのは意外に知名度が低かったらしいがそれはいいとして、人間社会に恨みがあるなら日本でなくベルギー(フランドル)社会に復讐してもらいたい。小ネタもいろいろ出ていたようだが自分としては世情に疎いので、「浜崎」というのはこういうイメージを持たれていたのかとか、「こまごめピペット」とは何のことだったか(器具でなく)と考えてからもしかしてアレのことかと思い出したというところはあった。また時節柄、鼻の粘膜に指で触るなとか、南米産のサルなど何がついているかわからないといった心配をさせられた。 物語的なところでは、これまで何十年間も隠されてきたものすごい秘密が明らかにされるのかと期待していたら、最初からネタバレしていたことに気づかないでいたおれはバカかと思ったが、それもウソだったらしく結局どうでもよくなった。しかし日昇ということに関しては、途中で極めてまっとうな理屈を説明していたにもかかわらず、最後になって荒唐無稽な超自然現象を起こしておいて「これでいいのだ」と言われても、別に悪いとは言わないが、宇宙の秩序が崩壊しているとしか思われないのでハジメちゃんに何とかしてもらいたい。ちなみにママは優しそうでちゃんとした人なので和まされた(好きだ)が、夫の奇矯な行動を周囲に詫びる様子など見ると、やはり昭和(戦前)生まれの人物像が表現されているようでもある。 そのようなことで、あまりまともな感想が出て来ないがそういう映画だった。好きな人は好きだろうとは思う。決して面白くなくはない。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-04-06 19:51:59)(良:1票)
175.  大阪最後の日<OV> 《ネタバレ》 
短編6話をまとめたオムニバスである。DVDの説明によると「本作はシニカル・コメディの連作です。SF超大作を希望されると御期待を裏切る事になります。」だそうだが、そもそもコメディという言葉を使えるかも怪しい。 各話は全く関係ない独立のエピソードで、単に小編をまとめてリリースしただけと思ってもそれまでだが、一応は「大阪最後の日シリーズ」として、第6話の破滅的事件と同じ日の出来事を並べたものだと説明されている。  【女流作家の苦悩】だから何だという感じ。前座というか、この後も全部この調子だという予告のようなもの。 【印刷戦線異状なし】まともな証拠がないことを、その辺にある材料を使って口先だけでどれだけ主張できるかの攻防戦。これが大阪の商慣行なのか。 【借金チキン】下町人情物ということなら悪くないが、しかしあまりにあっさりした展開のため、ただの不条理物のように取られる恐れがあるのは惜しい。 【取合う二人】面白くはないが、土建業の男の顔でも見ていろということか。ただし携帯を壊したところは、第1話からここまでの間で初めて笑った(失笑)。 【接触事故】最も手の込んだ脚本。示談金の意味を勘違いしたことが重大な結果を招いたということらしい。これも悪くない。 【大阪最後の日】表題作。これだけが屋外の撮影で、太陽光を演出に取り入れたりして少し映画らしく見える。「下町育ちの少年」は大阪弁が不得意のように聞こえるが、キャラクターとしては結構可笑しい奴である。また「上流社会の少女」はさすが上流らしく言葉が東京風な一方、演技はかなり変なので笑ってしまうが、ラストのびっくりした顔は可愛らしい。  表題作以外は基本的に出演者が2人だけで、1対1の会話で成り立たせようとする作りになっている。2つのエピソードに出ている人物が2人いて、この2人にとっては結構忙しい1日だったらしい。ちなみに個人的に最も大阪らしいと思った登場人物は闇金集金屋歴20年の男だった(偏見があるか)。 全体的には明らかに低品質だが(特に画質は厳しい)全く面白くないわけでもない。自分としては必ずしも嫌いではないが、まともな映画と思われるとまずいので点数は低くしておく。
[DVD(邦画)] 2点(2020-03-29 00:59:09)
176.  ちょき 《ネタバレ》 
和歌山県が出る映画を見たのは8本目である(ドキュメンタリー含む)。個人的には最近、和歌山県のイメージが著しく悪化しているが、それはこの映画の評価に直結しない。映像面では橋の風景(紀の川?)が特徴的で、これはご当地感とともに開放感とか飛翔感の表現だったかも知れない。 物語的には全盲の少女と、美容師の男の交流物語になっている。ジャンルとしては「ロマンス」だが、いわゆる「淫行」はしていないので犯罪とはいえない。妻を亡くして一人暮らしの男のところに若い娘が訪ねて来て、浮かれてしまったのは無理もない。  最後はハッピーエンドっぽく終わっているが、問題なのはこれだけ年齢が離れていると、それぞれの世界認識が全く違うのではないかということである。少女が男に好意的なのは明らかとしても、例えばまだ父親像と恋人像が分化していない状態かも知れず、これに適切に対応するには男の方に思慮と責任感が求められる。しかしその男の方も、実は娘だか恋人だか妻だかわからないまま少女に対しているのは問題だろうが、この少女を愛しく思う心情だけは間違いないということらしい。男が身を引けばいい結果が出るわけでもなく、リスク覚悟で少女を独りにしない(自分も独りにならない)と決めたのなら、それはそれと思わなければならない。あるいは亡き妻と一緒になった時も同じ心境だったのか。 またその亡き妻が共通の記憶になって、今後の二人の関係にガイドラインを提供する可能性もある。そもそも今回は妻が結びの神だったようで(天満宮は性質が違う)浜辺でつないだ左手の指輪は二人の間に挟まる異物というよりも、二人をつなぐ結び目だったのかも知れない。実際は死者の意向などわかるはずもないわけだが、絵馬を通じて、それぞれが互いの幸せを祈った結果がこうなったのなら必然ともいえる。 ちなみに鑑賞者側としても、男が少女を愛しく思う心情は、男を介さず少女の映像から直接感じる(ロリコンと言うなら言え)。鑑賞者としては黙って見ているだけだが、劇中の男なら職業柄、髪を扱う指先に感じる/込めるものがあったと思われる。時代をこえた二人の接点が髪だったということらしい。  キャストとしては、主演の増田璃子という人は同じ監督の「転校生」(2012)というショートムービーでも見たことがあり、今回かなり好感度が高まったが、最近の情報がないようでどうしているのか不明である。目の上に傷が見えるのは何かと思ったら、これは物語上の意味があったらしい。また友人役の藤井武美という人もときどき目にする若手女優なので今後に期待する。ちなみに芳本美代子という人は今回少しかわいく見えた。
[インターネット(邦画)] 8点(2020-03-23 20:29:06)(良:1票)
177.  コンテイジョン 《ネタバレ》 
何となく始まって何となく終わってしまう映画だった。別にハリウッド的大活劇を期待したわけではないので悪くはないが、正直言って退屈だった。 大筋としては現実味のある展開だったが、現時点で世界的に起きている感染拡大よりさらに深刻な事態ではあったらしい。略奪や暴動が起きるのはアメリカでは普通のこととして、日本人の感覚で完全に予想外だったのは、看護師の組合がストライキをするということだった。また対策に当たる公的機関としては、もはや日本人にも馴染みになったCDCとWHOが出ていたが、うちWHOが製薬会社と癒着していると誹謗されていたのは結局デマだった?ようで、やはり信頼できる国際機関がないと困るということだ。 ほか細かい点としては、妻と話せるかと夫が尋ねた場面は“実感がわかない”ことの表現としてユニークだった(あるいは気が動転して初めから話を聞いていなかったとか?)。また登場人物では、CDCでサルの身代わりになった人が見せた穏やかで愛嬌のある顔が好きだ。父親にとってはさぞ可愛い娘だったろう。  ところで一般庶民のする感染症対策としては、人との接触を避ける、握手しない、病気なら家にいる、頻繁に手を洗うといった常識的なことが語られていた程度だったが、ほかに重要だったのは「テレビやネットの噂」を信じて不安を募らせるなという点かも知れない。利己的な動機で人々の不安を煽る連中はどこにでもいて、やがて死滅するわけでもなく社会に巣食ったまま、ウイルスのように生き延びていくというのが一つの問題提起だったように思われる。 現在の日本でも、情報発信者にどういう思惑があるか(誰の得か)を想像しながら聞くのは必須と思わされる状況だが、加えて、どうもメディアが触れようとしない/逸らす部分があるらしいのは困ったことである。しかしとりあえず一般庶民の立場では、それぞれが感染しない・させない行動を習慣化して、災害だけでなく感染症にも強い社会を作っていくのが大事と思うしかない。日本人にはその素質が備わっている(ブタの血のついた手を服で拭いてから人と握手する調理師は日本にはいない)。その上で、弘化三年に肥後の海辺に出現したという「アマビエ」の絵でも見て和んでいるのがいい。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-03-23 20:29:03)(良:1票)
178.  米中開戦 20XX年: 悪魔のシナリオ 《ネタバレ》 
ニュージーランドの映画らしい。脚本・監督・プロデューサーの人物と、少なくとも主演女優は同国出身、撮影場所も同地である。どうせしょうもない映画だろうとは思ったが、IMDbのユーザーレビューを読んで大笑いしたので見ずには済ませられなくなった。 邦題はともかく当初の時点では北朝鮮・ロシア・中東に国際紛争の火種があり、このうち最初のが世界大戦につながった形になっている。いきなり大軍で侵攻してから全面核戦争にまで発展するなどまるで20世紀の発想だが、しかしそういうのが第三次世界大戦のイメージだとすれば、劇中の中高年の道楽で起きるようなのが原題の「第四次世界大戦」というつもりかも知れない。 物語的には一応、人類存亡の危機に警鐘を鳴らす体裁になっており、悲しみや憤りも表現されている。日本人なら反戦映画として見られなくもないが、それほど真面目に見るものとも思われない。 なお日本は当然破滅する側だが、当のニュージーランドは最後まで出て来ない。自分だけ離れた場所から北半球の破滅を眺めて面白がっていたようでもあり、いわば劇中の愉快犯の位置にいたということらしい。  映像面では各種兵器や戦闘場面が豊富だが、多くは本物の戦闘や演習や訓練などの映像をつなぎ合わせてそれらしく見せたもののようで、それがこの映画の最大の特徴である(素人動画にもありそうだが)。ちなみに艦隊の映像は環太平洋合同演習(リムパック)の映像が使われていたようで、個人的に贔屓にしている「ちょうかい」DDG-176が映ったのは嬉しい(邦画「空母いぶき」では変な名前に変えられてしまっていたが)。また同演習に参加した中国のジャンカイ級フリゲート(572衡水)の映像が使えたのはストーリー的に都合がいい。 ほか個人的にはリトアニアにNATO諸国の戦闘機が配備されているというのが興味深かった(ノルウェーのF-16など)。ほかにも軍事ファンの人々ならいろいろ見どころ(突っ込みどころ)があるかも知れない。自分としては「空母いぶき」と同程度には楽しめる映画だった。   [2022-05-14追記] いきなり大軍で侵攻してから核戦争に発展するなど20世紀の古くさい発想かと思っていたが、今年のロシア軍のウクライナ侵攻を見るとそうでもなかったらしい。この映画で国際紛争の火種になっていたのは北朝鮮・ロシア・中東の3つだったが、ロシアというのもありえなくはなかったことがわかる(映画でもウクライナや黒海が出て来る)。 なお劇中の道楽オヤジはいわゆる陰謀論的な世界観の所産のようでもあるが、現実問題としては人類文明を滅ぼすなどという、誰の得にもならない(本人も得しない)ことを趣味的にやらかす者はいないと思うのが普通である。その点で荒唐無稽な映画であるのは間違いないが、それにしても今回若干見直したところもなくはなかったので、最初は4点だったが少し点数を上げておく。
[インターネット(字幕)] 5点(2020-02-13 23:06:58)
179.  デスフォレスト 恐怖の森5 《ネタバレ》 
監督・脚本がまた代わっている。福田陽平監督はこの手のホラーではお馴染み感がある。 今回は本格的な東京進出ということで、渋谷を舞台にした若者の生活圏が表現されている。「…チャン」とか「…メン」とかの若者言葉(オタク用語?)が多用されていたが、変にくどいので劇中人物までが「どうなってんだよ最近の日本語」と言っていたのは笑った。また若者なら知らない者のない?フリーゲームとの関係について、因果関係を逆にしていたのは一応の言い訳になっている。 映像技術の面では前回以下のようだったが、上空にいて獲物を見つけると降下して来るのは悪くない。今回も鳥のイメージだったかも知れない。  内容的には、若者の集まる街で被害が広がる展開のためやたらに登場人物が死んでいく。五次元だの仏教だの適当なことを言う奴は必ず死ぬ、とか思っていたら順当に死んでいたが、どうも最後は本当にそういう結末になっていたらしい。レギュラーの男はみなが行くところに毎回行けず、一人取り残される境遇を嘆いていたということか。また蝋燭が108本消えたからには、もしかすると平成の怪異はこれで終了なのかも知れない。 それにしてもバケモノ連中の正体は結局明らかにされず、前回のミステリー展開は一体何だったのかという思いは残る。しかし今回は時間も長くして(1時間半もある)、賑やかに盛り上げておいてから有無を言わさず終了した印象があり、ここでシリーズが打ち止めになったのも一応納得だった。いわば5連作の最後を飾る娯楽大作といった位置づけかと思われる。  なお今回は美少女・美女系だけでも大人数になっており、ほかにお笑い関係とかコスプレーヤーとかいろいろ出ていたようだがほとんど知らないので誰が誰だかわからない。個別の人物で印象的だったのはアイドルオタで、「女の子を守ったり…する…推しごと」を実践しようとする気概を見せていたのは感動した。こいつはヒーローだと思ったがやはり順当に死んでいた。 ほとんど唯一見たことがあったのが秋山依里(元・秋山奈々)という人で、前に見た「アイズ」(2015)では無駄にかわいい精神科医役だったが今回は刑事をやっている。同僚刑事の「正義の味方だよバカヤロー」も感動的だったが、この人もカワイイので絶対正義で間違いない。登場人物がほとんど全滅する中で、この人は無事に終わってハッピーエンドだった。
[DVD(邦画)] 5点(2020-01-25 10:29:35)
180.  デスフォレスト 恐怖の森4 《ネタバレ》 
一般的な低予算ホラー水準で推移しているように見える。 前回まだしも見えていた人間ドラマ要素はほとんどなく、代わりにフリー記者を中心にしたミステリー調の展開になっている。これまで秘められていた各種事実が小出しになってはいたが、それで最後に何らかの到達点があるわけでもなく、結局予想も期待も裏切られた形で終わる。一方でホラー色は薄まっており、特に今回は映像効果が貧弱で昭和特撮並みに見える(もとからこの程度だったか?)。これで次回に向けて観客の関心をつなぐことができたのかと心配になるが、とりあえずここまで来たからには次回で完璧に真実を明らかにし、完璧に納得のいく結末を作ってもらわなければ困るという気にはさせられた。ちなみにフリー記者役の熱演がやたらに印象付けられる映画ではあった。 ほか細かい点として、「ご家族のところに…」「縁起でもない…」のやり取りは少し面白かった。また年長の看護師が絶体絶命になった場面の挙動がユーモラスだったが、ここは少し早回しにしていたかも知れない。もう一つ、題名のデスフォレストがどこにあるのか劇中では明らかにされていないが、今回「篠森病院」という名前が出ていたことからすると、本当に篠森(しのもり)という地名だったのかと思った。  なお今回はDVDにメイキングが付いていたので一応見た。名前からして異色のサイボーグかおりという人は、劇中では意外に普通の女子だったが(終盤の顔が見せ場か)メイキングでは本来の個性が丸出しのようで、理屈っぽく熱く語るのにためらいのない人だった。 また安手の邦画ホラーにアイドルは付き物だが、今回特に若い看護師(介護職?)役の藤田あかりという人の出番を見て、さすがにこれはもう笑うしかないと思わされた。その後にメイキングを見ると劇中そのままの雰囲気でしゃべっていて、どうも完全に地のままだったらしいのでまた笑わされた。この人は2018年に芸能界を引退したそうだが、この映画の出演はいい思い出になったのではないか。 そのほか謎の老婆役の下東久美子という人もレギュラー出演だが、メイキングには顔を出しておらず、またネット上で調べても他の低予算ホラーへの出演のほかコミュニティ演劇のようなものに出ていた(多分)程度の情報しかない。この人の存在が最もミステリアスだ。
[DVD(邦画)] 4点(2020-01-25 10:29:32)
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