1861. TAKESHIS’
ネタバレ 明らかに、デビット・リンチの「マルホランド・ドライブ」を意識した作品だろうけど、いかんせん才能の差が際立ってしまっている。悪夢のようなシュールな世界を構築しそれを芸術の高みにまで昇華するということと、無茶苦茶すればそれで後から意味なんか付いてくるだろうという浅薄さを、明らかに履き違えている。それでもタクシーのシーンなどは光るものがあったので、この点数。 [DVD(字幕)] 5点(2012-06-14 16:28:47) |
1862. 監督・ばんざい!
ネタバレ 下品な悪ふざけ。面白みのかけらもない。一切笑えず、不快感だけが残るどうしようもない映画。それだけ。 [DVD(字幕)] 1点(2012-06-14 16:20:35) |
1863. Dolls ドールズ(2002)
ネタバレ 外人が好みそうなオリエンタルでエキゾチックな映像をこれでもかとふんだんに使い、明らかに日本の観客を無視して創られた映画。どうして文楽の映像が織り込まれるのか、その意味も皆無だし、なにより愛する人のために目を潰すエピソードなど明らかに外国で評価の高い谷崎潤一郎からの本歌取り。日本では比較的評価の低いことへの反発でこの映画を創ったのだとすれば、それに付き合わされる観客の身にもなって欲しい。 [DVD(字幕)] 3点(2012-06-14 16:16:20) |
1864. Kids Return キッズ・リターン
ネタバレ 単調で変化に乏しいアート系映画を多く撮っている北野武作品は、個人的には苦手なのだけど、この作品は割合と好きなほう。相変わらず、淡々とした事実だけが美しい映像のなかを静かに流れていく手法が、二人の青年の鬱屈した青春の日々と絶妙にマッチしている。どこまでいっても閉塞感から抜け出せない現実のなかで、それでも生きることを肯定的に描き、それがとても良い余韻を残す。この後の北野作品は、そんな肯定感を放棄してしまって、ただ絶望感だけを描いているような気がしてならないだけに、この作品はいまも光っている。 [DVD(邦画)] 7点(2012-06-14 16:08:00) |
1865. ミルク(アメリカ映画)
ネタバレ ガス・ヴァン・サントが久々に撮った、まともなメジャー映画。主演に名優ショーン・ペンを迎えてけっこうお金がかかった映画だけに、これまでのガス・ヴァン・サント作品とは違ってかなり無難な映画に仕上がっている。さらに実話を基にしたということで、特に驚きなどはないが、それでもショーン・ペンの熱演も相俟ってまあまあの秀作だった。 [DVD(字幕)] 6点(2012-06-08 22:12:13) |
1866. ラストデイズ(2005)
ネタバレ 十代のころに、ニルヴァーナにめちゃくちゃハマり、カートの死に衝撃を受けた者としては、そんな彼に捧げられた映画ということで、苦手なガス・ヴァン・サント作品だけどちょっと甘めな評価になってしまう。正直、これがカートの最期って言われても違う気がするけれど、彼の成熟しきれなかった永遠の十代の感性はちゃんと描かれていたと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2012-06-08 22:04:17) |
1867. エレファント
ネタバレ 青春という時代に、誰もが抱く危うい狂気の世界を独特の映像美で静かに描いた、いかにもガス・ヴァン・サントらしい映画。ずっとこの監督とは感性が合わないなぁと思っていたのだけど、これはちょっと良いかもと思った。美しくも狂気にまみれた秀逸なアート作品。カンヌ映画祭でのパルムドールというのも納得。 [DVD(字幕)] 8点(2012-06-08 21:56:12) |
1868. ジェリー
ネタバレ のちの「エレファント」や「ラストデイズ」に繋がる、ガス・ヴァン・サントの実験的映画。と、言えば聞こえは良いが、その内容たるや人に見せる段階に達していない極度につまらない、試しに撮ってみたというような習作レベル。誰か、勇気を出して「ボツにしよう」と言えなかったのか? これを寝ずに最後まで観れた全ての人々に敢闘賞を差し上げたい(もちろん自分も含めて)。 [DVD(字幕)] 1点(2012-06-08 21:45:13) |
1869. マイ・プライベート・アイダホ
ネタバレ いかにもインディペンデントな静かな映画。二人の若い男の、友情や葛藤を穏やかで綺麗な映像のなかに描き出すという狙いは分かるのだけれど、個人的には苦手な映画だった。思えば、ここからガス・ヴァン・サントという映像作家と出合ったのだけど、やはりその後の映画を観ても「やっぱり自分とは合わないなぁ」と思いながらも、何故か観てしまうという、不思議な監督だ。ともあれ、若く美しい二人の俳優を観ているだけで充分に絵になる。 [DVD(字幕)] 6点(2012-06-08 21:37:51) |
1870. ダーク・シャドウ(2012)
ネタバレ 相変わらず我が道をいく、デップ&バートンコンビ。今作も、お馴染みのメンバーで思いっ切り楽しく創っているのが観ている方にも伝わってくる(ヘレナ・ボナム・カーターはこれで何回ジョニーに殺されたんだろう?)。それでも、さすがにちょっとマンネリ気味なのか、途中まではなかなか冗長で「これは外したかなぁ」と思ったものの、中盤からはいかにもバートンらしいゴシックホラーとブラックユーモアが渾然一体となって加速度的に面白くなっていった。まともな人間はおろか、まともな怪物すら出てこない(デップ演じる主人公が超自己中で女にだらしないヴァンパイアという設定自体変だし)、いかにもバートンらしいへんてこりんで楽しい映画。 [映画館(字幕)] 7点(2012-06-08 21:24:30) |
1871. アンナと過ごした4日間
ネタバレ 孤独な中年男性の、一人の女性に向ける歪んだ愛情が観ていくうちに次第に純愛のように思えてくるから不思議。こだわりの静かな映像美が、その歪んだストーカーの情念を浄化してゆく、これぞ映画のマジックだろう。多少、単調ではあるけれど不思議な雰囲気をもった良作。 [DVD(字幕)] 6点(2012-06-06 14:28:47) |
1872. エッセンシャル・キリング
ネタバレ 映画を純粋にアートとして撮るという意識で創られた作品を否定はしないが(そいいう映画のなかにこそ記憶に残る作品が多い)、それでも大前提として必要最低限の面白さがなければ僕は駄目だと思う。監督の前作がその意味において、なかなか良作だっただけに、それに比べれば今作は残念ながらぎりぎり鑑賞に耐えうるレベルに達していない。ぶれない姿勢やこだわりの映像美は確かに認めるけど、正直良い作品とは思えない。 [DVD(字幕)] 4点(2012-06-06 14:23:40) |
1873. デビルクエスト
ネタバレ まあ、こんなもんだろうという期待をまったく裏切らない出来だった。どこかで見たようなシーンの連続に、予算の都合か、後半のいくにしたがってチープになる映像。まあ、それでもそこそこ楽しめる映画に仕上がっていたので良いんじゃないでしょうか。 [DVD(字幕)] 5点(2012-06-06 14:17:10) |
1874. パンズ・ラビリンス
ネタバレ 内戦に揺れる1940年代のスペイン。社会を支配する苛烈で不条理な男たちの暴力に押し潰されようとしている一人の無垢な少女、オフェリア。それでも彼女には、誰にも負けない想像力という素晴らしい武器があった。迷宮の奥深くで牧神パンと出会い、森の枯れかけた巨木の根元で彼女は醜い大蛙と対峙する。そして、魔法のチョークで描かれた扉の向こうでは、世にもグロテスクな怪物と悪夢のような試練を経る。目的は、永遠の世界でお姫様となること。だが、オフェリアを取り巻く現実はあくまでも残酷だった……。この妄想とも現実ともつかない、モダンでグロテスクな美しさに満ちた世界は、観れば観るほど、まるで何処までも続く深い迷宮へと迷い込むような、そんな気持ちに誘ってくれる。男たちがつぐむ歴史の傲慢さに対抗する言葉として、女性は物語という言葉を編み出してきただろう。そんな普遍的な事実がここにはあまりにも美しく、そして退廃的に描かれている。素晴らしいとしか言いようがない。惜しむらくは、第三の試練。ここも素晴らしい幻想世界で描かれていれば、完璧な大傑作映画となり得たのに。でもそんな不完全さも含めて、僕はこの映画が大好きだ。最後、醜い暴力にその儚い命をも奪われながらも、美しい想像力だけは奪われなかったオフェリアのその切ない笑顔がいつまでも忘れられない。 [DVD(字幕)] 10点(2012-06-03 22:30:44) |
1875. シャーロック・ホームズ(2009)
ネタバレ デビュー数年でずっと低迷していた監督が、久々に任された大作映画。旬な俳優も主演ということで、すべることが許されない状況だったからか、非常に無難なつくりになっております。押さえるべきセオリーもちゃんと心得ており、素直に楽しめるのですが、特に心に残るものもなかったです。 [DVD(字幕)] 6点(2012-06-03 22:13:04) |
1876. スウェプト・アウェイ
ネタバレ なんかぬるい映画でした。センス溢れる作品でデビューした監督が、その勢いに乗って口説き落としたマドンナを主演に、「どうだい? こんな格差婚をしてしまって虐げられた日々を送っている僕だけど、そんな日々の不満を爆発させて、高慢ちきな嫁を調教する映画を撮ったんだぜ。そんな裏も読んで楽しんでくれ」という狙いが見事に空回りしてしまっている。なんだかんだ言って、これって結局、監督と嫁がノロけてるだけじゃん!!観ているほうはとってもシラけるんですけどー。なんだか友人のどうでもいい新婚旅行のホームビデオに毛が生えた程度の作品でした。 [DVD(字幕)] 4点(2012-06-03 22:08:17) |
1877. スナッチ
ネタバレ 監督のデビュー作「ロックストック&トゥースモーキングバレルス」がヒットしたので、その収益を最大限に活かして創られたような作品。確かに主演俳優たちは、それだけで主役をはれるような豪華な布陣で、しかものびのびと楽しんで演じている姿は確かに観ていて楽しい。だが、あまりにも前作と雰囲気やストーリーが似過ぎていて、あまり新しさは感じない。 [DVD(字幕)] 6点(2012-06-03 22:00:36) |
1878. ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
ネタバレ お馬鹿なキャラクターたちが、それぞれの思惑のもとにひたすらナンセンスなどたばた劇が繰り返されるのに、観ていくうちにそのお馬鹿っぷりにどんどんと心惹かれていくから不思議。編集の妙も相俟って、なかなか痛快な作品に仕上がっている。軽く描かれたタランティーノのような作品だが、これはこれで面白い。 [DVD(字幕)] 7点(2012-06-03 21:54:10) |
1879. 死霊の盆踊り
ネタバレ これが噂に名高い伝説の史上最低の映画かぁ……と、もろ先入観の塊になって観たのだが、噂にたがわぬ史上最低っぷりだった。なにより製作者も俳優も決して狙って創っていないというのに、この一片の主題の欠片すらない映画を創りあげた奇跡にまず敬意を表したい。アラブの全てのテロリストにこの映画を見せれば、もしかしたら世界は平和になるんじゃないかとさえ思える。闘う相手である、アメリカ型資本主義の一つの姿であるこの映画を見れば、おのずと闘争意識も萎えるというものだ。 [DVD(字幕)] 0点(2012-06-03 21:34:32)(笑:1票) (良:1票) |
1880. エターナル・サンシャイン
ネタバレ 近未来。最新の脳外科手術と催眠療法によって、失恋の辛い記憶を綺麗さっぱり消してくれるベンチャー企業が現れる。心の傷を癒してほしい人々がそのサービスに殺到するなか、酷い別れ方をした元カノとの思い出を引きずる主人公もその一人。こんなにも辛い思いをするくらいなら初めから付き合わなければよかった――。そんな思いから、彼は元カノとの出会いから初デート、告白の日や初めてのお泊り、諍いが絶えなくなった倦怠期、そして辛く切ない別れの日までをきれいさっぱり忘れてしまうことを決意する。そうして迎えた施術当日。物語は、そこから彼の次第に消されてゆく記憶の中を遡るように展開してゆく。消されて当然と思える酷い記憶が続く中、やがて彼は忘れていた彼女との素晴らしい思い出を発見するのだった。「待ってくれ!この記憶だけは残しておいてほしい!」。全身麻酔を掛けられた彼の訴えなど当然、スタッフに伝わるはずもない。どんどんとデリートされてゆく記憶の迷路の中で、彼と恋人との素敵な思い出を守るための冒険が始まる……。こんな突拍子もない設定を思いついただけでも凄いと思うのに、この映画はその設定を最大限活かし、とてもシュールで前衛的で、そしてとても切なく美しい映画に仕上がっている。素晴らしいとしか言いようがない。良い思い出だろうと悪い思い出だろうと、今の自分を形作るものはやっぱり積み重ねてきた記憶なんだ。というありがちなテーマから始まって、やがて世界を認識するのは自分の自意識であり自らの認識さえ変われば、この世界自体も変わってしまうという深淵な主題さえ捉えている。まさに「われ思うゆえにわれあり」。なんと言う才能。でも、ちゃんと恋愛映画としての軸は1ミリもぶれてない。これは失恋を経験した全ての人に捧げられた、才気溢れるラブストーリーの傑作だ。ちなみに自分、歴代の元カノの写真は全部残している。だってすべて素晴らしい思い出だから(笑)。 [DVD(字幕)] 10点(2012-06-02 22:01:01) |