1. COWBOY BEBOP カウボーイビバップ 天国の扉
えっと…結局、誰が何をしたかった話なのか、ほとんど理解も想像もできなかったのですが。テレビ版があろうがなかろうが、独立した形態で作品として発表する以上は、きちんと完結すべきです。一番まずいのは、各シーンがそれぞれ、何かとりあえず格好良い雰囲気のセリフを喋らせておけばよい、という感覚で作られていること。だから、全体が平坦かつ凡庸に見えてしまいます。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2025-06-17 01:04:52)★《新規》★ |
2. 虹をつかむ男 南国奮斗篇
ネタバレ 先行映画作品に依存していない分、前作よりははるかにマシ。導入部はありがちすぎてつまらないが、キョンキョンが動き出してからはそれなりに活性化している。吉岡君にとっての年上の恋のお相手としても悪くないが、生活感というか日常描写みたいなものはもう少し切り出してくれなかったかな、とは思う(結局、家でごろごろしていただけでは?)。一方で、哀川翔が意外なほど結構な存在感を示しているため、この辺の衝突が処理しきれなかったと感じる。あと、着地部分も全体的にダレ気味で、かつてのこの監督にあった「切り上げの美学」が薄れていますね。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2025-06-16 00:22:51)★《新規》★ |
3. カミーユ・クローデル
全体の描写や構成に力が入っているのはよく分かったし、また終幕部分に向けての迫力はかなりのものがあったが、やはりちょっと長過ぎかな。ただし、そのままなら歴史に埋もれていたかもしれないこの主人公の名を後世に残した功績は大きいと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2025-06-15 01:25:09)《更新》 |
4. アナザーラウンド
ネタバレ 前半は何かごちゃごちゃしていて、血中濃度の実験(という口実での飲酒?)という設定に溺れてしまったかなと思っていたのですが、それぞれの個性が際立ってくる後半は、出来が良くなっていました。実験でみんながちょっとずつ変わっていく(そしていい流れになっていく)くだりなどは、ハリウッドなんかだったらもっと強調したネタをどかどか入れまくってくるのでしょうけど、どれも「さらっと」で流れていく北欧らしさが、慎み深くもあり、また物足りなくもあります。 [DVD(字幕)] 5点(2025-06-12 00:50:35)《新規》 |
5. TENET テネット
ネタバレ ノーラン監督が正攻法のスパイアクションとは珍しい、と思いながら見始めましたが、やはりあまり成功していませんでした。そもそもターゲットは何なのか、敵は何をしようとしているのか、こちらはなぜそれを阻止するのか、という基本の外縁からして不明確です(よって、最後のオチらしきものも機能していません)。それと、ノーラン作品には珍しく、役者が輝いておらず、魅力ある登場人物が見当たりません(見どころはヒロインの彼女の長身くらいでしょうか)。加えて、ニールが若き日のシュワちゃんみたいに見えたりとか、またケネス・ブラナーがところどころ國村隼みたいで、いい人っぽく見えてしまったりとかも気になりました。映像自体は相変わらず安定しているので、最後まで興味を維持することはできましたが、時間軸操作の見せ方も含めて、もう少し何とか整理できなかったのかな。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2025-06-11 01:27:53)《新規》 |
6. 虹をつかむ男(1996)
ネタバレ 導入部で、まず、西田さんの(というか周りの人たちも含めて全部の)徳島弁が、絶望的に合っていない。また、映画を語る際の西田さんの口調が寅さんを意識しまくっているのも、輪をかけて合っておらず、むしろ痛々しい。●で、あれこれの映画ネタが組み込まれて映画愛みたいなものを表現しようとしているんですけど、そのまんまそれを流してみんなが(作中の登場人物が)それにうっとりするって、つまりそれらの先行作品に依存しているだけじゃん。「ニュー・シネマ・パラダイス」が偉大だったのは、映画愛は作中の人物自体がそれを体現していて、もっと言えば作中で上映される映画が何なのかまったく分からなくても作品世界に共鳴できたからです。それを引用していながらこっちではその真逆を行っているのって、これってギャグか、と思ってしまいます。●さらにまずいのは、次から次へとそれら先行作品のネタばらしをしまくっていることです。映画を見る楽しみを人々に伝えようとしていると思しき内容なのに、その発見の楽しみを奪ってどうするの。作中でも「禁じられた遊び」なんかは、冒頭の一瞬とテーマ曲だけで必要な呈示をしているわけで、だったらほかのシーンでもできたでしょ?●あと、まあ、倍賞千恵子や前田吟が「二重登場」をしている手抜きぶりについては、もはや突っ込む気力も起きません。●そんなわけで、とにかく、制作側の志の低さだけが徹頭徹尾感じられた内容でした。 [CS・衛星(邦画)] 1点(2025-06-09 00:31:51) |
7. 乱れる
ネタバレ 序盤部分は、妙にスーパーマーケットネタばかりが展開されていて、ちょっとあれれと思ったのですが、幸司さん(つられてこう呼びたくなる)の告白によって世界が揺らいでからは、怒濤のザ・メロドラマが炸裂していきます。幸司さんが心を入れ替えて真面目に働き出したら、かえって距離が狭まってぎくしゃくしていくところなんか、もう悶えそうになります。寺に呼び出す「一枚の付け文」がもたらすインパクトも強烈です。そして、2人の姉が招かれて、母を交えて話し合うシーンもスリリングですね。姉たちの描写にも微妙な差があって、主人公の決意を聞いた後も、次姉の方は脳天気なんだけど、長姉の方はもしかして気づいていたのでは?と思わせる演出になっています。そして、中盤までは基本的に酒屋兼自宅で進んでいたのが、終盤には一気に汽車で別世界に飛翔します。最後だけはちょっと唐突だったかなー、あそこは何とかして、もう一段上の何か切ない別れを残してほしいところでした。●それにしても、この作品は、どこまでもデコちゃんを綺麗に撮ることにこだわっていますね。「困り顔がこれほど美しい女優」は、ほかに存在しないんじゃないかと思ってしまうほどです。 [映画館(邦画)] 8点(2025-06-08 17:29:15)(良:1票) |
8. プロミシング・ヤング・ウーマン
ネタバレ 客観的にこの作品で正しいのは「証拠がなければ罰しない」という学部長?の一言だけなので、主人公が逆切れ前提で暴走している前半も、何やってんの、としか思わない。で、それは制作側も意識したのか、動画という第一級の証拠が登場するんだけど、7年間もそんなものがなぜ都合よく保存されていたのかとか、むしろ当時の調査手続でそれを(みんな持っていたはずなのに)誰も提供しなかったことの方が問題だろうとか、そっちの方が気になってしまう。●ただし、それとは別に、脚本の水準は一級品であり、復讐ゴリゴリで進むのかと思いきや途中で止めてしまうとか、ここぞというところで全面逆襲を食らうとか、トリッキーな部分の切れ味はかなりのもの。また、いろんな場面をばっさり省略する押し引きの手際にも好感が持てます。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2025-06-08 02:23:51) |
9. ミナリ
ネタバレ ある家族がどこかに移住して、そこで苦労したり失敗したりいろいろあって…という作品はこれまでにも多数あるが、その範囲内を出るものではありませんでした。おばあちゃんが途中から登場しますが、特に際立った何かがあったわけでもありません(花札とか面白いアイテムなのに、何でもっと使いこなさなかったのかな)。教会が再三登場するのも、あまり上手く絡んでいません。結局、一番インパクトがあったのって、最初の「何もないただの箱であるトレーラーハウス」の姿だったりして。 [DVD(字幕)] 5点(2025-06-07 01:38:14) |
10. 櫻の園(1990)
ネタバレ 導入部はごちゃごちゃした女子高生トークが繰り広げられるだけだったのですが、各人物の個性が際立ってくる中盤から、ぐいぐい面白くなってきました。杉山と倉田が双極的に存在感を発揮して主役の(一見地味な)志水の内面を引っ張り出すという、理想的な形が築かれていますね。終盤、舞台用のメイクや衣装で、最初の制服とは別人集団が形成されていくのも、絵面として良い感じです。ただし、火災報知器ネタは不要だったと思うし、また、この作品のポイントは、いろんなところを想像に委ねている点にあるので(職員会議でどうのこうのとか)、杉山の友人3人組の登場も、いらなかったんじゃないかな。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2025-06-06 00:37:39) |
11. 富士山頂(1970)
ネタバレ 撮り方は間違いなく誠実なのです。まず、工事ありきで始まるのではなく、大蔵省との予算取り折衝や発注説明会などのステップもきちんと描いています。いざ現場の準備に入ったら、とてつもないロケを駆使して、「ただ荷物を上げるだけ」がどれほど大変なのかということを存分に感じさせます。作業は黙々と行われ、余計な台詞もありません。裕ちゃんも勝新も、作為的に出番を作ることもなく、あくまでも「その中の一人」に徹していますし、それが逆に大自然の壮大さと課題の困難さを裏付けています。ですが、そのストイックさというか禁欲性のままに終わってしまったので(完成後のそれぞれの扱いがやたらそっけないところに顕著)、結局は超優秀な再現ドキュメンタリーにとどまったという気もします。この辺のバランスのとり方は本当に難しいですね。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2025-06-05 00:23:23) |
12. ラスト・アクション・ヒーロー
ネタバレ 意外と面白かったですよ、これは。最初の、映画の中と外のギャップで笑わせるところなんかはいかにもだし、アクション映画の自己パロディみたいなところも笑えるし、キャラクターとそれを演じる俳優の対面なんてアホ極まりないシーンが堂々とできるのはシュワちゃんならではです。まあ、脚本と編集次第でもっと面白くなったとは思いますが。関係ないけど、この作品はサントラが超豪華で、数々のメタルバンドの未発表曲/テイクが満載で、当時、世のメタラー達は、普段は行かないサントラのコーナーに行ってCDを探したものです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2025-06-04 02:55:06) |
13. 白と黒のナイフ
ネタバレ 無駄なく絞られた前半から、法廷の部分までは高レベルなサスペンスだったのですが、あの単純すぎるオチにはちょっとがっかりでした。弁護人と被告人の恋愛事情なんかも、別にいらなかったのでは? [DVD(字幕)] 6点(2025-06-03 01:55:32) |
14. 天国の日々
これほどまでに周りの環境を整えておいて、肝心の俳優にまったく演技をさせていないとは・・・何とももったいないことをするものです。 [映画館(字幕)] 5点(2025-06-02 20:52:22)(良:1票) |
15. ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償
一つ一つのシーンには間違いなく迫力と重量感があるのに、一方で妙に細切れで、また視点もやたらぶれているという困った作品。本来は潜入者に軸足があるはずなのだが、その割にはその特殊極まりない立場や行動に関する葛藤とか恐怖があまり感じられず(FBI関係者と堂々と何度も会っているのも不思議)、一方で描写としては全体的なハンプトンや党の歴史を語ろうとしているようにも見える。カルーヤの存在感に、かなり助けられているのではないかと思います。 [DVD(字幕)] 5点(2025-05-30 01:36:29) |
16. ファーザー
ネタバレ 認知症者の視線から作品を本当に作ってしまうという驚くべきコンセプト、そして主演にホプキンスを充てるという必殺技によって、すでに成功は約束されたようなものである。しかし、設定に溺れることなく、美術その他の画面構成を含めて丁寧に場面を積み重ねている。終盤には、さすがに拡散してきたかな?と一瞬思わないではないが、しかし、最後の病室のくだりが、強烈にストーリーを締めくくっている。そしていつしか、単に主人公がこうでしたというだけではなくて、制作側の主人公に対する静かな愛情まで感じさせていくのです。 [DVD(字幕)] 7点(2025-05-29 00:46:19) |
17. 未亡人、回る春
ネタバレ エマニュエル・ベアール扮する未亡人が、若き男性と恋に落ちる!みたいな紹介文に思わず期待したのですが、そこまでの内容ではありませんでした。まずまともそうな男性と出会いの機会はあるも、そこはあっさり撤退してしまう。一方で乱交みたいな男女集団とか、なぜか出会い系サイトにまで手を出してしまって、しかも後者では前のめりに突っ込んでしまう。一貫性がないのはいいのですが、必然性がありません。つまり、制作側が思いついたシチュエーションを単に並べただけに見えてしまいます。ベアールのシニア的色っぽさは(特に地味目のメイクや衣装のときほど)悪くなかったので、何とも活用の仕切れなさだけが残りました。 [DVD(字幕)] 5点(2025-05-27 23:49:06) |
18. ターミネーター2
ラストのインパクトで他の同類型作品とは一線を画しているが、それ以外は追いかけっこや銃撃戦のシーンが大半で、普通のアクションとそれほど変わらないと思う。ただ、SFアクションにしては設定を広げすぎずに身近な範囲でコンパクトにまとめているのが、全体の分かりやすさと親しみやすさを生み出しているのだろう。 [映画館(字幕)] 6点(2025-05-27 21:54:08)(良:1票) |
19. 荒野に生きる
ネタバレ 狩猟民の一団が旅をする中で、ある者が熊に襲われて動けなくなり、隊長から見捨てられ、しかし奇跡的な復活を遂げて復讐に向かう・・・って、これ、イニャリトゥ/ディカプリオの「レヴェナント」そのままでは?と思っていたら、何とモデルは同一でした。こんな先行作品があったんですね。こちらは、凝った撮影テクニックなどはないものの、それだけに手作り感の生々しさがあります。序盤などは、話の性質上、主人公はひたすらじっと倒れているか、のたうち回っているかなのですが、その動きのなさを凌駕するほどのじっと湧き出る迫力があります。中盤以降は今度は追いかけるだけなのですが、そこにも一本の筋があります。ただ、途中から先住民の襲撃というのもあるのですが、これとの関係は今ひとつ整理されていなくて、クライマックスになるはずの部分も、両者が重複して物語のパワーが削ぎ落とされている気はします。ラストは急に純朴にまとまってしまうのですが、これはこの時代の作品ならでは、かも。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2025-05-26 23:13:12) |
20. フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法
ネタバレ いや、これ、躾がなってない我が儘な悪たれ児童と、躾ができないモラルレス親の生活を、何で延々と見せられ続けなければならんの?としか思えませんでした。生活が困窮しているから?いや、そのことと礼節や道徳とは別ですよ。通常だったら敵役の流れになるはずの児童家庭局の人たちが正義の味方に見えてしまう時点で、何かがずれているのではないでしょうか。もっともその局の人たちも、対象児童の迅速な確保という一番の基本的任務ができていない無能集団ではあるわけですが。 [DVD(字幕)] 2点(2025-05-24 01:09:05) |