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1.  エボリ ネタバレ 
原作者カルロ・レーヴィ役をマカロニ・ウエスタンの雄”ジャン・マリア・ヴォロンテ”が演じているのですが、とても好感の持てる人格者を見事に渋く演じきっております。政治犯レーヴィは汽車やバスや自動車で、キリストも来なかったというイタリアの辺境の地エボリに護送されます。村に着くと、村長や村の医師などを紹介されるなど、政治犯とはいっても反ファシズムのコミュニスト作家であり、画家でもあり、さらには医師でもあるだけに、扱いは単なる極悪流刑人とはまったく違うのです。つまり特別優遇扱いなわけで、村では牢に入れられることはなく、レーヴィは村の家々に下宿するという形の流刑処置になります。そして、最初に下宿する家のご主人の徴税人ゆえの苦悩話、ご主人の唯一の楽しみであるという楽器演奏、そして執拗に繰り返される憂鬱な演奏に嫌気が差し布団に顔をうずめるヴォロンテ…。とにかくこんな感じで、ゆっくりと人々の生活を描いていきます。これほど、何も飾らずただ人々の日常を綴った映画がありますでしょうか。このゆったりとした流れはまるで大河のようであり、圧倒されてしまいます。医師経験ゼロのレーヴィは、はじめ殺到する村人の診察を拒みますが、いい医者がいない村の現状、それに面会に来た姉の助言もあって、村人の診察を始め、最終的には村人から名医と言われるほどの存在になります。最後の方では、エボリの殺風景を映しながら終戦宣言と聴衆の歓声を聞かせますが、時代の荒波を直に体験できたような実に感慨深い感覚を味わえました。異郷人である神父は、村人のことを”卑俗の民”と言います。それは厳しい気候風土を持つ辺境の地での生活の厳しさから来るものなのでしょう。しかし、レーヴィが関わって行けば行くほど、村人は決して悪い人達ではないと分かります。レーヴィは、農民たちは厳しい風土と厳しい政治支配(他人の歴史)に苦しんでいる民だ、と文章にしますが、まったくその通りで、村人たちはとても可哀想な人々なのです。そういう慈悲的な気分をテーマ音楽はさらに高めてくれます。エボリという土地に住んでいることを恨むのではなく、そのことを然も諦めているかのような響きに、村人の運命の悲しさが重なってしまい、思わず涙を誘われました。この映画は、ギリシャ悲劇にも匹敵するような途轍もない運命の悲劇を綴った映画なのではないでしょうか。本当に素晴らしい作品です。マイベスト。
10点(2004-02-06 17:35:00)(良:1票)
2.  第七天国(1927)
現在では絶対製作されないであろう、本当にいい話の映画。ただ感動の一言である。お守りをシコーにあげる時に神父が言った「ばかにしてはいけない、いつか役に立つ」という言葉が印象的。道徳性のある映画で、みていて気持ちが良かった。無声ではあるが泣けてしまったのは、話の良さも然ることながら、俳優たちの演技が実にすばらしく、心を揺さぶってきたからである。私の中では、”大脱走” ”エボリ”に並ぶ、人生最高の映画のひとつである。
10点(2004-01-14 21:48:09)(良:1票)
3.  エド・ウッド
ジョニー・デップが持ち込んだFILMを試写するときのあのおっさんの馬鹿笑いが面白くってオモしろくって。あのおっさんが笑っているとき、右後ろの方にいたおっさんも普通にニヤリと笑っていました(演技ではなく、あの笑いの勢いに押されて笑っていたと解釈しています、天才的誘い笑い)。僕の中では傑作名お笑い場面として永久殿堂入りしました。
[映画館(字幕)] 10点(2003-09-29 20:30:08)
4.  キング・オブ・コメディ(1982) ネタバレ 
コメディアンを目指す、というより自分こそ新のコメディー王だと信じてやまない34歳の冴えない独身男パプキンが成功するまでを描いた映画。パプキンの目的は最初から首尾一貫していて、テレビに出て有名になること、憧れの彼女を手に入れること、ただそれだけ。迷惑行動や犯罪行為は、その手段がちょっとエスカーレートしただけ。パプキンは本当に純粋です。その彼が、社会の権力と戦っていく姿は、見ていて滑稽なんだけど、その一方で無垢な彼がなかなか成功できないことが心苦しくも思えました。そんな彼も犯罪行為を駆使して何とかテレビに出れた。その放送が評判になり、鮮烈なデビューを果たすことに。本まで出版し、映画化も(この映画がその映画とも解釈できるのが面白い)。ラストで出所したパプキンは舞台に立ち、観客の拍手を笑顔で受けているのですが、あんなに苦労したのに気にもせずに笑顔を振りまけるパプキンを尊敬するとともに、彼の凄さに感動し、涙が出そうにすらなりました。頑張り屋のパプキン、貴方は最高です!
10点(2003-02-26 21:05:16)
5.  大脱走 ネタバレ 
こんな豪華な作品はもう二度と出来ません。<追加>まず、これが実話ということでひとつ驚きです。そして、群像劇として非常に優れているということで、またひとつ驚きです。また、豪華な俳優人がたくさんいて、みんな一人ひとりが主人公級なのがこれまた驚きです。さてさて前半では脱出という目的に向かってみんなで協力していく姿、そして後半では脱走後のエピソードを綴っていきます。死んだ奴もいれば、うまく逃げた奴もいます。しかし、ここで重要なのは、脱走の行方や生死の問題ではなく、それぞれの生き様にあるのではないでしょうか。自分の命を失ってでも仲間を助けたり、最後まで抵抗し続けたり、新たな仲間を見つけたり…。いいですね、群像劇って。まあ、それはそれとして、ヒルツが帰ってきて牢獄の中で再びキャッチボールしておしまいというのもこれまた洒落てますね。まあ、気楽が一番、ってことですか。好きなエピソードは、へインズとドイツ兵のやり取り、へインズとコリンズのやり取り、ですかね。ヘインズ頭良くてかっこいいんだけど、友達思いっていうか、優しさも凄く持っていて、出てきた主人公たちの中では、一番好きですね。脱走という題材ですが、極めて優れた人間描写をしていて、単なるエンターテイメントを超えた、素晴らしい作品だと思います。
10点(2002-04-09 19:32:25)
6.  ライアー ネタバレ 
この緊迫感とユーモアの絶妙なバランス。実に心地良い作品だ。<追加>DVDで数回見、皆さんのネタバレを読んで考えた結果、自分なりに納得いく推理が出ました。早速、報告したいと思います。この話で一番得した人が真犯人のはず、この視点で謎が解けました。救急車の運転手が酒場の黒人だったことから、酒場のマフィアによりティムの死亡が偽装されたと考えられます。ブラクストンは金の為にこの手伝いをした。全ての仕掛け人は、息子を波紋したがっていたあの父親。父親は息子にそれを承諾させ、取調室で息子に演技させた。息子ティムは、取調室でその自慢の頭を生かし、場を混乱させる。ティムは、妻へのジェラシーから来る異常な性癖をネタに、ケナソウに自分が売春婦を殺したと思い込ませる。ビデオの中では異常なプレイをしていただけなのだが、ティムの巧みな戦略により、ケネソウは自分の殺害妄想とビデオでの出来事を混同してしまう。その証拠にラストで妻とベッドに入りながら、ティムの尋問の声を聞いている。まんまとティムに騙された訳である。でも、ケネソウがロシアン・ルーレットを始めたときは、さすがのティムもかなり焦ったはず。この危険な取調室から脱出する為に、彼は薬を飲んで昏睡状態になる。これはマフィアと周到に打ち合わせしておいた脱出のための最終手段なのだろう。結局売春婦を殺した真犯人は、父親あるいは父親に雇われた酒場のマフィア。この話で一番得した人は息子を波紋したがっていた父親という考えからここに辿り着きました。たぶん、これが正解じゃないかな…。
9点(2005-02-01 13:29:53)
7.  バニラ・スカイ ネタバレ 
ハリウッドのメイクアップ・アーティストは、トムの顔いじるのが好きなのでは。マイノリティー・リポートでもトムをおじさんにしてたし、今回は事故後の整形顔。いじりがいのあるイイ顔ってわけね。で、キャメロンがかわいかった。トムとセックスしながら笑っているところは俺のツボでした。かわいい。ヒロインのペネロペもかわいかった。特にトムとキスした後ペネロペがひとりになり、恥ずかし嬉しそうな、女の子っぽい振る舞いをするところなんか、うわっ、かわいい、と思った。で、話。極論「社会不適応者あるいは全然もてない奴はマスかくか、死ね」ですか…。あまりにも惨めな主張ではないでしょうか。でも、この映画は好きです。落ちぶれ者を中心軸に物語を進めながら物事の本質を解明していく、というこの構成が、この視点が巨視的で、俺には人の愚かさを勉強する良い題材であった。なんというか、ソクラテスや孔子の言葉を弟子が書き留めていったときの勉学法に似ている。この語り手の弟子のような感覚で俺は見ていた。反面教師的な面白さに溢れた快作だと思います。<追加>初見ではトムはリアルな夢に戻ったと思っていましたが、DVDの監督による解説によると、な、なんと現実に戻ったとのこと(「本当を生きたい」という訳がどちらともとれた)。それを知ってから見ると、このラストには感動。人は現実の中で夢や理想を求めて生きる。理想とは人間にとって生きる糧だと思う。しかし、この映画でトムはリアルな夢の世界、つまり理想の世界の中で現実を求める。この勇気に完敗だった。ソフィアとの理想の生活を彼は夢見てたのに、ゲ、現実に戻るだって…。確かに、悪夢があまりにも強烈で夢の世界にはもうこりごりだったのかも知れないし、顔は治ると言われていたね。しかし、トムのラストでの様子を見ているとどうもそういう理由からではなさそうである。現実ではもう金持ちでないことは救護員に聞かされ、精神科医や恋人にしっかりと別れを告げ、トラウマの高所から飛び降りている。彼は、夢という惰性に従って生きるのではなく、過酷な現実を生きようとした。例えるなら、何の不自由もない天国ではなく、不自由な地獄で生きようとしたのである。これほど勇気のいる決断があるだろうか。俺ならリアルな夢の世界を選んでいたと思う。本当、涙、涙、この決断に…。こういうことを高潔というのです(セント・オブ・ウーマンのパチーノより)。
9点(2004-12-01 21:22:41)
8.  ギャングスター・ナンバー1
この映画の主人公、人の生活を妬みすぎ。自分の人生の意義が他人を追い求めることにあるってかなりつらいことですね。ん~、他人とは違うと主張できるような個性を持つことは、人生に必要不可欠ですな。<追加1>素晴らしい作品だと思います。ただ残虐だと評するのは幼稚だと思わせるくらいに人間をうまく描写しています。通例の勇敢な主人公にはない人間らしさ、人間臭さが、この異常な主人公にはあります。日頃我々はこんなにも異常なことはしませんが、そういう主人公だからこそ我々とも共感できる部分が強調されたのだと思います。「人生山あり谷あり」と。ラスト夜景を写しながら、「何て いい人生だろう…」とテーマソングが流れると、異常な主人公の悲しみも受け入れられるくらいの刹那に満たされます。ホント、どんな人生を歩もうと「何て、いい人生だろう」とあの歌が聞こえてくるかのような刹那。いい映画だよ、これ。<追加2>音楽の使い方がうまかった。映像も動きがあって良かった。俳優人の演技も凄い。マルコム・マクドウェルは、シャイニングのニコルソンを凌駕する演技。美術もいいよ、綺麗。そして、脚本も良くて、見せ場の連続だし、下手に2時間にせず100分程度に抑えているのも良。全体として花丸評価です。
9点(2004-11-12 21:53:32)(良:1票)
9.  未来世紀ブラジル
タトルのキャラ良過ぎ!
[映画館(字幕)] 9点(2004-07-20 21:27:20)
10.  フルメタル・ジャケット
あの鬼教官いいひとですよ。なのに殺してしまうなんて。尊敬すべき教官だと思います。黙祷・・・・・止め。<追加>”みんな平等に価値がない”は、なかなかの名言。この厭世的響き、スタンリーの本音にも聞こえます。この言葉を突き詰めていくと自分にも価値がないということになります。それだったら、自分は何故、何のために生きているのか?こういう哲学的問いに対して日々生活している私たちはほとんど盲目的に生きているし、もっと言えば、あえて無視して生きているのかもしれません。つまり、その場その場で人ってなるようになっているだけなのかもしれません。これぞ、運命!?答えのない質問に対して答えを出した哲学者として、ヴィトゲンシュタインが思い浮かびます。「語りえぬものには、沈黙しなければならない」、これ答えだと思います。 
9点(2003-04-05 15:02:14)
11.  俺たちに明日はない
ウォーレン・ビーティーがとにかくカッコイイ。でも、こんな人生嫌だ。
9点(2002-09-29 16:44:01)
12.  セブン
ビデオ吹替えバージョン(レンタル)で見たんですが、犯人の吹替えの声がよかった。やけに歯切れがよくて説得力さえありました。あの声だと、あの犯人が喜劇役者的に見えてしまい、なんとも面白かったです。ラストの場面で犬が死んでいるのをモーガンが見つけたとき、犯人が「私ではない」と真面目な顔をしていうところなど爆笑でした。最終的には、犯人を見るだけでなんだか笑えました。だから僕は無意識に、この映画を、大掛かりなコント、として見てしまったのかもしれません。映画の内容に相応しくないコメントをお許し下さい(書き終わる間際、このREVIEWがあの声のあの口調でしゃべられていると考えてしまい、再び爆笑しそうになりました、なんまいだーぶー、なんまいだーぶー、ちい~ん)。 <追加>犯人が自宅前で発砲したときからの音楽の金管の響きいいです。やるな、ハワード・ショア。
[映画館(字幕)] 9点(2002-09-29 16:08:54)
13.  ヒドゥン(1987)
この映画はいいですよ。いいです。いいんです!!!良過ぎるんです!!!!!見てない人、是非見てください!!!!!!!!!!! <追加>オープニングのカーチェイスからしてマジ良過ぎ!ストリップありーの、銃撃戦ありーの、宇宙人ありーの、てんこ盛り!それに音楽全部良過ぎ!一曲のはずれもない!どの挿入歌もかなりイケイケ!マイケル・コンバーティノの音楽も凄過ぎ!現代音楽を吹っ飛ばすほどの激しい前衛的響き!前衛的かと思いきや、ラスト病室場面で流れる哀愁漂うラッパの響きは、涙をも誘うのではないでしょうか。何なのこの音楽!そして、スゲーぞ、この映画! ワーイ、ワーイ!
9点(2002-05-19 16:59:53)
14.  シャイニング(1980)
音楽が良すぎます。Krzysztof Pendereckiの"Utrenja"や "Dream of Jacob"、Gorgy Ligetiの"Lontano"、Bera Bartok、などの使い方、そしてこれらの曲を選曲したキューブリックに敬服します。とにかくどの音楽も最高。宴会のシーンやラストで流れる"Midnight with the Stars and You"にもうメロメロ。
9点(2002-04-09 20:25:13)
15.  アマデウス
ただモーツァルトの生涯を描くのではなく、そこにサリエリというスパイスを入れたことで、第一級の娯楽大作になった。 <追加>以前は、モーツァルトの作風がどうしても嫌いで、なぜモーツァルトがそこまで賞賛されるのかわからなかった。彼の音楽はさすがに天才が書いただけあって技術的にも音響的にも非常に素晴らしいものがあるとは思うのだが、その天才のおかげで曲がスラスラと書けてしまい、ベートーヴェンやスタンリー・キューブリックのように練り直しを重ねなかった分、曲想があまりにも軽いと感じていたのである。言うなれば、子供の遊びのようなものしか私には聞こえていなかった。確かに子供の遊びは、無邪気で尽きることのない発想のオンパレードであり素晴らしいとは思うが、しかしその分軽くて浅く、緊張感や深刻さがない。私がモーツァルトを嫌っていたのは、その軽さであり、真の傑作に不可欠な緊張感や深刻さが感じられなかったことにある。しかし、である。最近彼の素晴らしさに気づくことができたのだ。それは、弦楽五重奏曲第五番第二楽章との出会いであった。演奏はスメタナ四重奏団とヨゼフ・スークのものだ。 この作品では、子供的なモーツァルトの響きは完全に消え、紛れもない巨匠の響きを感じ取ることができたのだ。それは、老人の音楽にも聞こえた。あとは死と天への思し召しを待つだけの諦めと希望が同居する老人の境地。これを書いたモーツァルトはそのときだけ老人になっていたのではないかと思ってしまうほどである。また、ただその天才に身を任せるのではなく、その力を持ってしてもさらなる高みに挑戦するため、苦心しながら作曲した印象を受けた数少ない彼の作品でもあった。この作品を聴いて初めてモーツァルトが音楽に対して真剣に努力した作曲家だったのだと認識できた。バッハのクソ真面目な音楽に触れて影響を受けた、あるいは死が近いことを悟っていた、晩年だからこそ生み出せた作品だと思う。バッハの音楽や死の接近でやっと天才の目が覚めたのだ、と私は解釈している。晩年のモーツァルトは対位法と半音階と和声を実に巧みに統合し独自の世界観に到達する。レクイエム、弦楽五重奏曲、 ピアノ・ソナタ第17番、交響曲第40番、クラリネット五重奏曲、などがその良い例であろう。晩年のモーツァルトは本当に素晴らしい。そこには、天才の響きを超えた、”真の巨匠”の響きがある。
[映画館(字幕)] 9点(2002-04-09 12:27:49)
16.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
まじめに任務を果たそうとする空軍士達が面白かった。
9点(2002-04-08 10:08:34)
17.  激突!<TVM>
初期スピルバーグいいね。
9点(2002-01-31 12:32:34)
18.  アイズ ワイド シャット
この映画は「騙し」の問題を扱っている。「騙し」とは個人レベルに還元すれば「誤解」や「錯覚」のことである。人は自分を騙し、他人を騙し、生きている。人間の行う全ての行為は、現代において「騙し」が独占しているとも言える。個人レベルでは勘違いや思い込みがある。社会レベルでは、マスコミは世論を暗示し、宗教は偽りの安息を与え、金はあたかも本当に価値があるかのように振る舞い、映画は虚実を見せ続け…といった具合である。しかし、人間社会以外にも「騙し」は存在する。昆虫は擬態で敵の目を欺き、食虫植物は甘い蜜で虫を誘うのである。自然界にも存在する「騙し」とは、普遍的な「知恵」なのだろうか…。よく「騙される方が悪い」というが、実はこれが然り。日常的に「騙し」は氾濫しており、騙し、騙されるのは当たり前。結局、この世は『騙したもん勝ち』なのである。これは「結果よければ全てよし」という諺に裏打ちされる。キューブリックは「結果の為には手段を選ばなかった」が、これぞ人生の教訓。どんなことをしてもでも結果を残さなければ、全ては水の泡。世の中、「綺麗は汚い」なのである。「罪と罰」のラスコーリニコフは真実を知っていたのだ。現代社会は「結果」の為に「知恵」を絞って戦う人々の戦場。この戦場で騙されないようにする為には、まず物事をよく見つめること。そして、経験(知恵)と知識を増やすこと。最後の難関は、先入観・主観・感情を捨てて物事を見、極力客観的に判断することである。…と、このように考えさせられるほど、この映画は人間のありのままの姿を見事に映し出していた。人間なんて錯覚と誤解の元で不完全にしか物事を認識できない存在だということである。キューブリックは人間の不完全さをここまでという程に見事に描写し、しかもそれを錯覚するような構成で映画にした。人間の不完全さを表現し伝える為に、わざと錯覚するような構成にするとは…。これぞ、キューブリック的残酷なユーモア。つまり、この映画は、そもそも意図的に理解できないように構成されており、鑑賞者はこの錯覚体験を通して「ああ、これが人間なんだ」と分かればいい映画だったのである。質的に2001年宇宙の旅を凌駕する見事な体験型の映画だったとも言えよう。 この体験の結論は、”騙し、騙されながら人生を謳歌しろ”ということになるだろうか…。気障に言えば、”騙されるのを楽しめ”ということかな。
9点(2002-01-31 12:10:58)
19.  エクソシスト
この世界観は僕好みです。あのなんとなく漂う暗い感じがいいんです。あの音楽もいい。やはり傑作だと思います。 <追加>サントラ盤結構気に入ってます。チューブラー・ベルズのミニマルと変拍子が融合したようなユニークな響き、ペンデレツキの前衛バリバリの音楽、クラムの奇天烈な音楽、作者不明の電子音楽、ヘンツェさんの終曲も迫力あって好きです。フリードキンは、恐怖映画を追求したからこういう選曲をしたのだろうけれど、どれもこれも傑作揃いのような気がします。
9点(2002-01-31 11:51:34)
20.  2001年宇宙の旅
なんといってもリゲティの音楽強力!「レクイエム」を聞くと、目に見えない恐怖、誰にも言えない恐怖、自分の生活を誰か他人に監視されている恐怖、細菌が体内で勝手に増殖していく恐怖、などが僕には連想され、言い知れぬ恐怖を感じます。ですが、それがなんか自分を盛り上げてくれるんです。こんなパワーをもった音楽は他にない。
9点(2002-01-31 11:50:42)
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