1. 陸軍中野学校 開戦前夜
ネタバレ シリーズ最終作となる5作目。このシリーズでは唯一前作の監督が続投していてオープニングも前作のラストから始まるところなんかについそれを感じる。内容もタイトル通り太平洋戦争開戦をめぐる敵諜報組織との対決というスケールの大きなものだが、少し話の規模が大きくなりすぎていてこれを90分に収めているせいか全体的に散漫な印象が強く、面白くなくはないがはっきり言って凡作という感じ。中野学校女子部が登場するのもかなり唐突に感じる。でも、その中で次郎(市川雷蔵)と今回のヒロインである秋子(小山明子)との関係や対決がそこそこ見ごたえのあるものになっていたのが救い。今回が最後なのは雷蔵の体調面もあってのことかもしれないが、秋子が次郎のこれまでの活動を羅列したり、開戦後のラストシーンなどちゃんと完結編を思わせる部分もあったのは良かったと思う。 [DVD(邦画)] 6点(2025-06-15 21:52:44) |
2. 日本沈没(1973)
橋本忍にしてはやや物足りない脚本だが、やっぱり作り手の気合いが違うのか、去年見たリメイク版よりもこちらのほうが何倍も面白かった。田所博士や山本総理を中心に話が進むため、リメイク版とはだいぶ印象が異なるが、演じる小林桂樹や丹波哲郎の渋い演技もあってか(特に丹波哲郎演じる総理大臣がすごく良い。)とても重厚で見ごたえのある作品になっていたのがとても良かった。リメイク版でやや唐突に感じた小野寺と玲子の恋愛もこれなら一応納得がいく。渡老人を演じた島田正吾も印象的だった。中野照慶による特撮(とくに爆破シーン)が派手すぎるのはちょっと気になるけど、見たあとじゅうぶんに満足できる映画だった。 [DVD(邦画)] 7点(2025-06-12 22:52:17) |
3. 身代わり忠臣蔵
ネタバレ 四十七士に討ち取られた吉良は実は影武者だったという話はこれまでも「必殺忠臣蔵」等で描かれているが、本作は吉良が松の廊下で浅野に斬られた際に致命傷を負い、双子の弟を影武者に仕立てるというなかなか斬新な設定で、忠臣蔵映画としては完全に吉良側の視点から描かれているというのも新鮮。とはいえ、全編シリアスタッチではなく、コメディー映画。脚本が「超高速!参勤交代」や「引っ越し大名!」を書いていた人、それになんといっても吉良と主人公であるその弟を演じるのがムロツヨシというところが大きい。とくに前半は兄の影武者に仕立てられた考証=ムロツヨシのキャラの面白さで突っ切っている感じがあり、ノリに慣れるまで少し時間がかかってしまったが、慣れるとけっこう楽しく見れる。冒頭に大石(永山瑛太)と考証の出会いを描いておいて、のちに遊郭で再会した二人が友人になるという展開も面白く、ここからはどう討ち入りまで持って行くのかに興味が沸いた。後半は大石に考証が自分の正体を明かしたあたりからシリアスさが出てきて、兄の身代わりとして潔く討ち取られようという考証の決意は前半のおちゃらけた彼とは違うかっこよさがあり、とても印象的だった。討ち入りでどうなるかはけっこうハラハラしながら見ていたのだが、そう来るかという感じで思わず納得してしまった。(話は忠臣蔵を基にしたフィクションながら、実際にこうだったとしても違和感はないと感じる。)討ち入りを成し遂げた後、吉良側の生き残りが追ってくるのは今まで観た事のない展開だが、そこから急にラグビーが始まってしまうのはあ然としてしまった。とはいえ、こういうのは嫌いではなく、ブラックさに思わず笑ってしまうものの、やはりちょっとやりすぎで浮いてしまった感じがしたのが残念。 [DVD(邦画)] 6点(2025-06-09 17:53:32) |
4. ぼんち
ネタバレ 「炎上」に続く市川崑監督と雷蔵のコンビ作で、大阪・船場を舞台にした代々続く足袋屋の一人息子の女性遍歴の物語。出来としては「炎上」のほうが上だと思うけど、本作は暗くシリアスだった「炎上」とは違った全体的にコミカルな作風でとても気楽に楽しめた。若尾文子、京マチ子、中村玉緒に加えて越路吹雪や後に市川監督の金田一耕助シリーズでおなじみとなる草笛光子といった女優陣がすごく豪華。出演者の中でいちばん印象に残ったのは雷蔵の母親を演じていた山田五十鈴。「用心棒」や「蜘蛛巣城」ですごみのある怖い役が得意な女優というイメージだったからちょっとなよっとしていていつも自分の母親(毛利菊枝)とベッタリくっついて登場するというある種マザコン気味の役を演じているのを見てすごくビックリした。本当にイメージ変わるかと思うほどのハマリぶりだった。うまい役者だなあ。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2025-06-07 23:06:36)(良:1票) |
5. ハウス/HOUSE(1977)
ネタバレ 山口百恵主演の「泥だらけの純情」の同時上映作品として公開された大林宣彦監督のデビュー作で当時中学生だった自身の娘の原案をもとに作られたB級ホラー映画。普通、映画監督のデビュー作というのはまだ作風や映像のスタイルなど何も確立していない場合が多いと思うのだが、デビュー作とは思えないような異様に凝った映像や少女たちを主役にしているなど、既にこの頃から大林監督独特の世界観が確立されちゃってる感じがしてとても楽しい映画だった。主人公の家の表札が「木枯」(父親を演じているのは笹沢左保。)だったり、監督一家がチラリと出ていたり、無声映画風のシーンがあったり、ラーメン屋に寅さんがいたり(松竹に許可はたぶんとってあるんだろなあ。)と遊び心も満載。 [DVD(邦画)] 9点(2025-06-06 08:18:42)(良:1票) |
6. 戦国自衛隊1549
角川春樹製作の「戦国自衛隊」は見ていないのだが、そういう状態で見てもあまり面白いとは言えない作品。脚本が後半ちょっと都合良すぎな感じがするし、市川崑監督の助監督出身で監督デビュー作から3作連続でゴジラ映画を撮っている手塚昌明監督の演出にもゴジラに慣れてしまっているのか軽くぬるく感じてしまう。綾瀬はるかと北村一輝を見て「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」の又兵衛と廉を連想してしまったが、映画の出来のほうはとうぜん「戦国大合戦」のほうが上。また単にタイムトラベルものとしても「ドラえもん のび太の恐竜」のほうが面白いと思う。 [ビデオ(邦画)] 3点(2025-06-05 08:08:09) |
7. 続・新悪名
ネタバレ 悪名シリーズ、かなり久しぶりに見るけど、いつ以来だろうと思って前回見た作品(「新・悪名」)のレビュー確認すると12年前(早!)。シリーズ4作目でタイトルも少々強引感のある「続・新悪名」というのが、まだシリーズとして軌道に乗り切れていない感じがするものの、最後まで安心して見る事ができた。話としては朝吉と彼になついた靴磨きの少女との交流という人情話に、朝吉が巻き込まれた旅一座の興行をめぐる金銭トラブルという任侠映画らしいエピソードが絡むというもの。朝吉と少女のやりとりは微笑ましく、少女の歌の才能を見込んだ清次が彼女をのど自慢に出場させようとするのも面白いのだが、この少女のエピソードがなんか中途半端に終わってしまった印象で、冒頭で母親(ミヤコ蝶々)のひどさを見せていたので、最終的にこの少女はこの母親の元を離れるのだろうと思って見ていると、どうやら最終的にこの母親の元に戻ったようで、なんか見ていてモヤモヤが残り、これだったら旅一座に誘われた時について行った方がこの子にとって幸せだったのではと思ってしまった。それでものど自慢会場での清次とこの母親の漫才のような会話は見ていてつい笑ってしまい、ミヤコ蝶々の喜劇役者としての上手さもじゅうぶんに感じられる。それにこののど自慢の司会者を演じているのが浜村淳(市川崑監督の映画でよく見る俳優の方ではなくてラジオパーソナリティの方。)だったのはビックリ。若いなあ。後半は因島が舞台となり、本作と同じ田中徳三監督が手がけていた1作目、2作目の後日談も出てくるのは見たのがもうけっこう昔なので懐かしく感じた。(麻生イト親分、亡くなってたのはちょっとさびしい。) [DVD(邦画)] 7点(2025-06-02 18:03:20) |
8. ステキな隠し撮り 完全無欠のコンシェルジュ<TVM>
ネタバレ 「ステキな金縛り」のスピンオフ作品だが、一部同じ役名で出ている出演者もいるものの、実際は同じメインキャストを集めて製作された別作品で、内容的には全く無関係なものとなっている。その内容はホテルの新人コンシェルジュ(深津絵里)が様々な宿泊客の要望に対応していくというもので、「大空港2013」に近いものを感じるが、こちらはオムニバス形式となっていて、全編ワンカット撮影ではなく、タイトルにもあるように本当に隠し撮りで撮影したらしく、そのせいか出ている役者がすごくのびのびと演じているのが分かるし、コントを見ているかのような雰囲気もある。とくに料理のできない料理研究家(竹内結子)とニョッキを作るエピソードは完全にコントのノリで面白かった。新作映画の公開を控えた神経質な映画監督はこのドラマの脚本と演出を担当している三谷幸喜監督自身が演じていることもあって、見ながら三谷監督、新作公開前はいつもこんな感じなんだろうなと思えてつい笑えてしまう。コールガール(戸田恵子)の部屋で国会議員(木下隆行)が死んでいるエピソードは最初「Wの悲劇」と同じシチュエーションで思い出さずにはいられなかったが、やはりそこから全く違う展開に持って行くのはまあ当然と言えば当然。死体役のTKO木下がけっこう体を張っていたのが印象に残る。その中にあって老人(浅野和之)のエピソードや、会社の金を持ち逃げしたサラリーマン(西田敏行)のエピソードはついほろりとさせられる。(「ステキな金縛り」でW主演していた西田敏行のエピソードを最後に持ってくるあたりはいいなあ。)最初に書いたように隠し撮りで撮影されているドラマだが、劇中でも本当に主人公のコンシェルジュが今までの客たちとのやりとりを盗撮魔(生瀬勝久)によって盗撮されていて、その映像を視聴者も見ていたという最後のオチも良かった。 [DVD(邦画)] 7点(2025-06-02 08:11:47) |
9. チャップリンの黄金狂時代
ネタバレ 前半の山小屋での極限状態のシーンと後半の恋のシーンのつながりが若干悪いような気がするけど、全体的にはとても面白かった。前半のシーンで、あまりの空腹に自分の履いていた靴を煮て食べたり、ジムがチャップリンを鳥だと思ってしまうシーンは笑えると同時にもし自分がこのような状況に置かれたらこうなってしまうだろうなあと考えるるとちょっと恐ろしくなった。後半で食事に誘ったヒロインとの楽しいパーティが夢であったというシーンがちょっと切ない。クライマックスの傾いた山小屋シーンは「加トちゃんケンちゃん」のコントに通ずるものがあり、この映画の中でいちばん笑えた。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2025-06-01 16:20:48) |
10. 馬鹿が戦車(タンク)でやって来る
「男はつらいよ」以前の山田洋次作品はコレしか見ていないが、寅さんシリーズ始めたあとのそれ以外の作品と違ってジメジメしてなくて、それでいて、ちゃんと社会的なメッセージもある面白い映画に仕上がっている。山田監督はこの5年後に「男はつらいよ」シリーズの1作目でブレイクするわけだが、無名時代の作品をもっと見たいと思った。迷ったけど満点つけてしまおう。 [ビデオ(邦画)] 10点(2025-06-01 14:05:28) |
11. 雨月物語
僕も初めて見た溝口作品はコレ。それまで黒澤狂いで、邦画の最高傑作といえば「七人の侍」だと信じて疑わなかったからこの映画の凄さには衝撃を受けた。ラストの田中絹代のナレーションによる独白が悲しくて印象的。この映画を見て昔の日本映画を黒澤作品意外にももっと見てみようと思った。 [ビデオ(邦画)] 10点(2025-05-24 19:56:01)(良:1票) |
12. 近松物語
ネタバレ あまりスター俳優を自分の映画に起用したがらなかった溝口が唯一、長谷川一夫を主演に迎えた作品。見る前はどういう仕上がりの映画なのか不安な面もあったが、見事に芸術的な映画になっていた。個人的にあまり好きではない長谷川一夫もこの映画では流し目やドアップもなく、あくまで一役者として芝居をしていてとても良い。それに映画全体が非常に美しく、処刑場に向かうラストの長谷川一夫と香川京子の晴れやかな笑顔も感動的だった。 [CS・衛星(邦画)] 10点(2025-05-24 19:55:19)(良:2票) |
13. 女(1948)
ネタバレ 「雨月物語」で夫婦役を演じていた水戸光子と小沢栄太郎のほぼ二人芝居で構成された木下恵介監督による小品。内容的にはそんなに期待してなく主演の二人の共演が見られればそれで満足だったのだが、なかなか完成度の高い作品で物語としてもなかなか見ごたえがあって予想以上に面白かった。勝手に呼び出しておいて「旅行だ。」とか「一緒に行ってくれ。」とかいう小沢栄太郎がちょっとストーカーっぽく感じた。いちばん最後の水戸光子のセリフも印象的。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2025-05-21 18:45:47) |
14. 忠臣蔵 花の巻・雪の巻(1962)
ネタバレ 忠臣蔵ものを見たのは同じ東宝の「四十七人の刺客」以来10年ぶり2度目だったけど、創立30周年記念と銘打って作られ、キャストも本当に豪華なオールスターという感じのこっちのほうが断然楽しめた。でも、東宝といえば時代劇よりも現代劇というイメージの強いところなので、時代劇で見ると違和感のある俳優もチラホラ。とくに浅野役の加山雄三は出てきた瞬間からあまりの似合わなさに思わず「うわあ。」と声をあげてしまった。あとは吉良屋敷に赤穂浪士たちが討ち入りするシーンでもろにゴジラみたいな音楽(音楽担当は伊福部昭。)がかかっていたのはちょっとおかしかった。それにしても原節子の最後の作品がコレというのはなんか勿体無い気がする。全体的にみればまあ5点が妥当と思えるけど、個人的に思い入れのある東宝のオールスターものということで6点にしておこう。大映や東映の忠臣蔵も見てみたいなあ。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2025-05-19 18:33:56)(良:2票) |
15. アルキメデスの大戦
ネタバレ 戦艦大和建造を背景にした山崎貴監督の映画。「SPACE BATTLESHIPヤマト」を見たついでにこちらもという感じで見たのだが、山崎監督の映画にしては泣かせに走っておらず、戦艦の建造費用が不自然に安く見積もられているカラクリを暴くというその内容自体が興味を引くもので、実際、戦争映画としてはなかなか新鮮なテーマでそこそこ面白く見る事ができた。山崎監督には珍しくドラマ部分も違和感がなく、海軍対陸軍という図式を分かりやすく勧善懲悪に描くのではなく、結局はどっちもどっちとも取れる着地点にしているのは軍隊という組織の一筋縄では行かなさがよく出てて良かったと思う。クライマックスの会議のシーンも緊迫感があって見ごたえはじゅうぶんで、そこからのどんでん返しにつぐどんでん返しも面白かった。普通ならいちばん最後に持ってくるであろう大和沈没シーンを冒頭に持ってきて、結局ここが本作いちばんの派手なVFXの見せ場となっているのも良い。とはいえツッコミどころがないわけではなく、そもそも数式を書いただけでそこまで計算できるのかは疑問だし、わざわざ長門に乗る必要もあるのかなと感じてしまう。それにラストで平山(田中泯)が語る大和建造の理由ももっともらしく聞こえるが、よく聞くといかにも現代人が考えた理由のようでなんか冷めてしまった。でも、漫画原作のフィクションにアレコレ突っ込むのは野暮という気もする。あとここからは出演者に関して。主人公を演じているのが菅田将揮とあってそのキャラはどうしても今年初め頃まで見ていた「仮面ライダーW」のフィリップっぽく見え、最後までそのイメージで見てしまった。橋爪功と國村隼が役柄的には逆のイメージなのだが、あえて真逆の配役をしている感がある。山本五十六が舘ひろしというのは絶対違うだろうと言いたい。 [DVD(邦画)] 6点(2025-05-19 17:39:07) |
16. ダウンタウンヒーローズ
終戦直後の松山を舞台にバンカラ学生たちの青春を描いた山田洋次監督の映画。自分的にはバンカラ学生の青春というと、鈴木清順監督の「けんかえれじい」が思い浮かぶので、題材的に山田監督には合わないかもと思っていたが、確かにストームのシーンとか山田作品としてはちょっと違和感を感じるけど、山田監督らしい青春映画でとても良かった。渥美清や倍賞千恵子など山田組常連俳優はもちろん、主要人物を演じる俳優たちがとてもいい。中でも最後のほうの喫茶店での柳葉と中村とのやりとりにはグッとくるものがある。薬師丸ひろ子もこの頃はまだアイドルのイメージが世間一般に強かった頃かもしれないが、なかなか良かったと思う。 [DVD(邦画)] 7点(2025-05-18 15:40:04) |
17. ゲゲゲの鬼太郎 最強妖怪軍団!日本上陸!
ネタバレ 第3シリーズ劇場版第3作。鬼太郎のアニメと聞いてすぐに思い浮かぶのがこの第3シリーズなのだが、本作は小学生の頃に新春アニメ大会みたいな特番(今、こういうの無いよなぁ。)で再放送されていたのを録画して何度か見ていたので、今でも話ははっきり覚えていた。(たぶん、初めて見たのはそれよりも前のような気がする。)鬼太郎たちが反物にされてしまう展開はトラウマとまではいかないが、よほど印象に残っていたのかとくによくおぼえていた。今見ると今回の敵である中国妖怪のリーダーであるチーのカリスマ性のようなものが印象に残るし、彼の率いる中国妖怪軍団もなかなか強烈だ。中でも画皮という黒い風を武器にしている空飛ぶ顔だけの姿の妖怪は今見てもやっぱりそのインパクトはすごかった。でも、妖怪反物で作った浴衣を着たユメコちゃんが操られているのを見た鬼太郎が我を忘れたようになってしまうシーンは今見ると助けないといけないのはユメコちゃんだけでなくて浴衣を着た人全員だろうと冷静に突っ込んでしまったのは仕方のないところか。冒頭でぬりかべが反物にされるのだが、いくらなんでも油断しすぎだろうとも思ってしまった。それでも今月ずっと見ている鬼太郎映画の中では敵妖怪の存在感は抜群で、ピンクのガスが鬼太郎たちを追ってくるクライマックスまでけっこう面白く見た。冒頭に那須高原が登場しているが、子供の頃に見た当時から那須高原といえばこの映画というイメージがある。思い出補正もあるかもしれないが6点を。(2021年9月25日更新) [DVD(邦画)] 6点(2025-05-17 18:40:01) |
18. カメラを止めるな!
ネタバレ 話題の本作が我が地元で上映が始まり1ヶ月近く。ずっと見たいと思っていたがようやく映画館で見ることができた。(久しぶりの映画館。)前半のワンカット長回しによるホラー部分は手振れがひどいというのを聞いていたので「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」を思い出すような感じかと思っていたが、そこまで酔うようなことはなく見れたのは良かったし、本物のゾンビに襲われている出演者を尻目に撮影を続ける監督の狂ったようなキャラクターも最高で楽しく見た。一転して後半はこう来たかという感じでその構成の巧みさに驚かされる。この後半部分も「ラヂオの時間」を彷彿させる内幕ものコメディーになっていてゲラゲラ笑えて面白い。とくに監督が前半から一転して俳優たちに気を使いまくるまったく別のキャラクターに描かれているのはその落差がなんとも滑稽で笑えるのだが、そんな監督がこだわってどうしても撮りたかったラストシーンを撮影するためにみんなで協力する展開は笑えながらも映画作りに携わる人たちの情熱が感じられて印象深い。低予算、キャストや監督も無名という映画(この部分にいちばん興味を魅かれた。)だが、とにかくこの脚本の構成力の巧みさで勝利した傑作の一本だと素直に思える映画で、口コミによるヒットも納得。こういう映画を見るとやっぱり映画って脚本や演出が命なんだと実感できる。本当に映画館で見て良かったと思えた映画だったし、見終わってすごく清々しい気持ちで劇場をあとにすることができた。こんなことは本当に久しぶりだ。そして見終わってすぐにでももう一度最初から見返したくなるような映画でもある。 [映画館(邦画)] 8点(2025-05-15 17:51:56)(良:1票) |
19. 湯道
ネタバレ 脚本を担当した小山薫堂が実際に提唱するという湯道をテーマにしたオリジナルストーリー。あまり期待していなかったのだが、普通にお風呂をテーマとした群像人情喜劇として楽しめた。メインの話からしてすでにありがちなのだが、そこが安心して見ていられるのはいかにも日本映画らしいし、見ていてなにか幸せな気持ちになれる。泣くまでもいかないが、ほろっとさせられるシーンもいくつかあり、中でも、息子の出所を待つ歌好きの常連客(天童よしみ)とその息子(クリス・ハート)が銭湯でお互いを認識し、「上を向いて歩こう」を二人で歌うシーンがとても良い。(「いい湯だな」じゃないのもベタ過ぎない感じがする。)同じ脚本家の「おくりびと」で銭湯の主人役と常連客役として共演していた吉行和子と笹野高史が本作では銭湯の常連客の夫婦を演じているのも面白かった。(吉行和子が亡くなってしまうのは「おくりびと」と同じ。)テーマになっている湯道についてはもう少し成り立ちや所作などを踏み込んで描いても良かった気がして、最後に新しい家元(柄本明)が響き桶を湯道の新しい作法とすると言っているが、なんかピンとこない。湯はマイサンシャインとか「湯」とかけたダジャレも寒いギャグでしかないのだが、この映画だとなんだか許せてしまう。エンディングテーマは登場人物たちが「You Are My Sunshine」を歌うというのも(ちょっと「クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦」のエンディングを彷彿させているが。)最後まで観客に幸せな気持ちのまま劇場を後にしてほしいというスタッフの思いのようなものが感じられた。 [DVD(邦画)] 6点(2025-05-14 22:26:22)(良:1票) |
20. SPACE BATTLESHIP ヤマト
ネタバレ 「宇宙戦艦ヤマト」を実写化した山崎貴監督の映画。原作アニメはちゃんと見たことがなく、どんなストーリーなのかもよく知らない状態で見たのだが、そんな状態で見てもまず主役の古代を演じるキムタクがキムタク以外の何者にも見えない時点でちょっと萎える。話自体も山崎監督の本作の一つ前の映画である「BALLAD 名もなき恋のうた」(テレビアニメの劇場版の実写リメイク)と違ってテレビアニメの筋を追うかたちになっているためか、展開が早すぎていて、よくある大味なSF超大作映画という印象が拭えない。それでもヤマトが宇宙へ旅立つ序盤はまだそれなりに見れるものの、そこから後は特にみどころもなく、グダグダで、古代を含むヤマトの乗組員たちもただ猪突猛進突っ走っているだけのバカに見える。古代と森雪(黒木メイサ)のロマンス部分に多く時間が割かれている印象だが、はっきり言ってどうでもいい感じで退屈。ラストの古代が一人ヤマトに残って生き残った乗組員を地球に帰そうとするシーンは感動させようとしてるんだろうけど、間延びしていて、とくにみんなが去った後の古代と雪の問答はさっき書いた件もあって「ああ、そうですか。」という感じしかなく白けてしまい、映画を見ている気にすらなれない。戦闘シーンの迫力はそこそこだが、イスカンダルに到着してからのアナライザー(声・緒方賢一)を投入した戦いが「ターミネーター2」の冒頭シーンを思い起こさせるものであったり、いや、それより前に本作は全体的に「アルマゲドン」を思わせる部分も多く、(ラストの展開も「アルマゲドン」っぽい。スティーブン・タイラーを主題歌に起用しているのはもう確信犯だろう。)ハリウッドかぶれに感じてしまうのは邦画の残念なところか。当初は樋口真嗣監督が予定されていたみたいなのだが、仮にこの内容で樋口監督だったとしても受ける印象や感想はあまり変わらなかったかもしれない。山崎監督の映画の中では唯一脚本に監督の名前がない作品(奥さんでもある佐藤嗣麻子監督が単独クレジット。)なのだが、そのへんが関係しているのかな。 [DVD(邦画)] 4点(2025-05-14 18:24:28) |