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まぶぜたろうさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 178
性別 男性
ホームページ http://ameblo.jp/mabuse-tarou/
自己紹介 人にはそれぞれ言い分があるのです 。

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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  雁の寺
川島雄三の映画は巨大すぎて、時に、わけがわからぬ。「2001年」だの「マルホランドドライブ」だのなら、ま、どうでもいい格下でしかないのだが、もちろん川島の映画はどうでもいいではすまされない。この映画も何度見てもわけがわらない。 ■物語は破綻している。慈念は何を考えているのかまるでわからない。「どこに行けばいいのかわからない」若尾文子の悲しみは、決して誰とも結びついていかず、彼女がすがるはずの慈念は唐突に旅支度をはじめてしまう。 ■川島雄三としては初めての大映京都、大映京都の錚々たるスタッフにびびりながら、威圧しながら、文芸映画の巨匠としての職人的手捌きを存分に見せつけていったのだろう。そこに入り交じる映画を壊すかのような作家性。それが拮抗し、破綻し、このようなわけのわからぬ、迷宮のような映画を造り上げたのか。 ■但し、例えば山茶花究や小沢昭一登場シーンにみられる喜劇性を殊更にとりあげ、川島という映画作家の刻印を見いだそうとするのは止めた方がいいと思う。多分、川島雄三はそんな言説以上に巨大な作家なのだ。
[DVD(邦画)] 10点(2007-06-03 23:47:51)(良:4票)
2.  黒い画集 第二話 寒流
池部良、平田昭彦、新珠三千代が温泉宿で泊まるシーンのなんとエロティックなことか。三人は寡黙に、ただ互いに視線をかわしながら、その関係を変えていき、池部は静かに、無表情に嫉妬を燃やすこととなる。鈴木英夫の演出はオーソドックスに手堅く三者を捉えていく。そして三人が迎える朝の風景の素晴らしく残酷でクールな様。■このような手堅さ、丁寧に撮影された1カット1カットが丹念に紡がれること、その作家的なセンスを楽しむこと。■そのような楽しさにわくわくしながら画面を見つめていると、後半、映画は異様な様を呈しはじめる。池部の眼前に「前科○犯」の男たちが唐突に登場し、慇懃に次々と自己紹介をする。それを契機にしたかのように、池部の復讐はより絶望的に、彼の家庭はどんどんと崩壊していく。■この映画が素晴らしいのは、現実社会に潜む悪、「寒流」が唐突にその姿を現した、といったテーマに程よく収まることを拒絶し、いわばファンタジーのような様相、池部の立つ位置、そして私のいる位置すらも崩壊し始めたようなめまいを覚えることだ。堕ちていく池部良の無表情が素晴らしい。傑作。世の中には凄い映画がまだまだまだまだいっぱいある。
[映画館(字幕)] 10点(2005-11-23 19:49:08)(良:1票)
3.  悪の階段 《ネタバレ》 
イニシャルKさん、先んじてごめんなさい。■不動産屋とか西村晃とかどうも今村昌平の「果てしなき欲望」を思い起こさせるんだが、こっちは純粋にミステリー、ってのが好感大。後半はほぼ不動産屋だけで展開されるのも、団令子の悪女ぶりも実によい。何の罪も無い女を平気で殺そうとする団令子にしびれてほしい。鈴木英夫のクールなタッチがフランス映画みたいに決まりに決まった傑作。
[映画館(字幕)] 10点(2005-11-07 10:31:35)(良:1票)
4.  非情都市
他社に先んじて情報を得ようと、知り合いの刑事をトイレで待ち受ける新聞記者、三橋達也。手洗いの蛇口をいち早くひねり、ハンカチをすっと刑事に差し出す。■ドキュメンタリータッチという訳でも、リアルに描きました、というのでもない、なんつうか実に丁寧な描写が積み重なる奇をてらわないクールな演出。でも、やっぱここぞってのに欠けるんだよなぁ。いや実にいいんだけど。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2005-11-07 10:19:41)
5.  その場所に女ありて
1958年に増村保造の傑作「巨人と玩具」があるため、同題材のこの映画は明らかに分が悪い。司葉子の颯爽としたキャリアウーマンぶりは楽しめるし、例えば酔った司葉子を背後からのトラックアップで捉えたショットなども実に良い。しかし、ねっとりこってり、しっかりと見せ場を造り上げる増村に比して、鈴木英夫演出はクールに過ぎ、どうも盛り上がんないのも事実。再評価されるにふさわしいいい映画、いい監督なんだけどね。
[映画館(字幕)] 10点(2005-11-07 10:12:05)(良:1票)
6.  妻として女として
あまり人気のない、というか、失敗作とされているような成瀬作品なんですが、私はかなり好きな映画です。小唄を口ずさみながら服を脱ぐ高峰秀子をトラックアップで捉えるシーンとか、飯田蝶子とか、あるいは、踏切が赤いランプを点灯させる中、青いカーディガンのポケットに手を入れ、猫背にうつむく星由里子、それをややあおりで捉えたカットとか、なんつうか絶品だ。もの凄くいい。なんでよ、と言われても、そんなことは知らない。それが「映画」だ。
10点(2005-02-08 00:43:07)(良:1票)
7.  乱れる
■主要な舞台となるのが、雑貨屋奥の和室。襖に挟まれた二間続きで、通りに近い側はちゃぶ台が置かれ一家の食事の場となり、奥の側は高峰秀子の亡夫の遺影が飾られた高峰の寝室となっている。この二間を使った演出が素晴らしい。半分だけ開けられた襖、片方の部屋だけ点されている灯り、この二間を行き来する高峰と加山雄三。とりわけ加山が義姉への思慕を告白するシーンは絶品としかいいようがない。■さらにこの二間は、土間を挟んで台所、二階へ続く階段へとつながっており、この空間には灯りが点されていない。階段へと挙がる加山、あるいは通りを背景にした高峰の姿を逆光のシルエットで捉えることとなる。■と、セットについてしか私は言っていないのだけど、そんなの観れば分かるよ、って話だ。でも、そうとしか言えないっす。成瀬のこうした巧妙なセットの使い方と、それを心得た撮影やら照明やら演技者にただただ感服するのみ、ただただ頭がぐるぐるするだけっす。もちろん、後半、電車での加山と高峰の道行きは名シーン中の名シーン。DVDを買うのは国民の義務だな。
10点(2005-02-08 00:34:28)(良:2票)
8.  黄線地帯
確かにやましんさんのおっしゃる通り「チープでキッチュ」である。でも私はこの作品に、成瀬巳喜男の弟子としての石井輝男をみたいんだけど、どうでしょ? 天知茂と三原葉子が彷徨うカスバの迷宮。トラックバックするカメラ、曲がり角でカットを変え、再びトラックバック、そのリズム。夜明けの光が推移する中での銃撃戦、そして赤いハイヒール。 成瀬じゃん、ってのとはもちろん全然違うんだけど、カッティングや構図、光でみせる、ある意味古典的な演出は、石井輝男をカルトな作家としてだけにとどめておくには余りに惜しいと思う。 石井輝男で一本を選べ、そう言われたら迷わず、端正で古典的、かつキッチュで猥雑なこの作品を推す。傑作。
10点(2004-06-17 00:06:24)(良:1票)
9.  赤ひげ
すべてが物語に奉仕する。観客はただ黒沢の思惑通り、物語の中に誘導される。江戸の街並みを本物以上に本物らしく再現したセットは、その部分しかみせてはくれない。なぜなら、物語に必要ではないから。雨や風は物語の小道具でしかなく、物語上の意味以外に付与されることはない。役者たちもまた同様である。黒沢は、物語が求める以上の芝居を役者たちに許すことはない。余剰の感じられないことの醜さ、物語ではなく、人間を演じることを禁じられた哀しさ。杉村春子は一世一代の拙い演技を披露する、香川京子は精一杯、醜い様を演じようとする、笠智衆は自分のパロディを演じることに精一杯だ。なぜなら物語がそれを要請しているから。あとは、そのような物語をアップ、ロング、ミドルと、三台の望遠レンズで流し撮りするだけ。距離感を無効にし、ただ役者たちを本物らしく撮ろうとするだけのために使われる望遠ショット。その、なんと醜く、官僚的なことか。そして、1カットが持つ意味、カットの連鎖が与える快感、つなぎの妙など、まったく味わうことも出来ないまま、観客たちは、黒沢によって与えられた教条的な物語を読むばかり。観客には自由はないのだ。こんなものは映画ではない。少なくとも、映画を観る醍醐味や、楽しさは、この映画にはひとかけらもない。黒沢は映画を撮ったのではなく、物語、それも黒沢という独裁者による教条的、説教臭い物語を語っただけだ。
0点(2004-03-30 23:36:21)(良:2票)
10.  狼と豚と人間
この頃の深作は理屈っぽい。たしかに、その理屈を物語にする手腕はこの作品が特に優れている。ラスト近くの北大路欣也の台詞や鼠の死骸に感動したりもする。また、深作の演出は抜群にセンスがいい、かっちょいい。台詞を聞かせない、街頭ロケの迫力、突然のミュージカル。しかし、理屈っぽい。山根貞男とのインタビューで自ら認めているとおり理屈が優先し、突き抜けてこない。この作品に限らず、深作はアクションの人ではなく、理屈の人、情念の人なのだと思う。しかし、それがどーゆーわけか「狂犬三兄弟」あたりからぶっとんでくる。物語は破綻し、役者の肉体が突出し、情念が情念のままむきだしになる。発展途上の深作、それがこの作品だと思うがどうか。関係ないが、この頃の三国連太郎はいいなぁ。成瀬作品の三国にしろ、なんつうか、そこに立ってるだけでいいって感じがする。
8点(2004-03-08 13:44:29)
11.  緋牡丹博徒 花札勝負
仁義を切る藤純子。カメラは家の外、暖簾越しに腰をかがめた姿が見える。ついで、カメラは逆に入りお勝手から、手前に湯気の立つ竈を配し、その向こうに藤純子。そしてアップ。切り返して、彼女の仁義を聞く面々。その中に山本麟一。これでもう充分。もう何もいらぬ。これが映画だ。
10点(2004-03-08 13:08:06)
12.  しとやかな獣
こんなに面白い映画は、そうあるものではない。二転三転する練り上げられた物語、台詞、伊藤雄之助、山茶花究、小沢昭一、ミヤコ蝶々らの怪演、若尾文子の悪女ぶり、浜田ゆう子の助平、高松英郎のごりおし熱い芝居…、こんなに面白い映画はない、そう呟いていた観客は、ラスト近く、山岡久乃の冷めた不気味な横顔を目撃する。水を浴びせられたような瞬間。これは怖い。このような瞬間をこそ、私はもっと見たかったのだ。そして思うのは、面白すぎて物足りない、ということ。川島雄三のベストワークの一つでありながら、やはり私は「女は二度生まれる」などの奇形的な傑作を支持する。
10点(2004-03-05 11:57:20)(良:1票)
13.  越前竹人形
物語を超える一瞬を観たいと思う。例えば、西村晃に犯された若尾文子が、髪の乱れを整えながら鏡を見ようとする。しかし、そのエロティックな瞬間は物語の中に収斂され、それ以上の突出をみせてくれようとはしない。私が観たいのは、物語の中の若尾文子ではなく、物語に亀裂をはしらせ、破綻させるまでのエロティシズムだ。この映画は、物語を超えた突出した細部、亀裂への予兆を随所に感じさせながら、ついにそれを超えようとはしない。破綻への恐れ。それがこの映画を物足りなくしているように思う。これは日本映画の面白さをたたえた傑作だと思う。しかし、どうも物足りないのだ。「雁の寺」のグロテスク、「妻は告白する」のぐいぐい文子を思い浮かべて欲しい。// 宮川一夫のカメラもまた、美しく物語に寄り添っている。しかし、例えば、ラスト近くに登場する川は、逆光にきらめく美しさをたたえる川ではなく、血にそまった情念の川ではなかったか。// その中で、中村鴈治郎が素晴らしい。川を背景に独白する鴈治郎の横顔の凄み。物語の現実が幻想へと、幽玄へと昇華する一瞬。これは素晴らしい。
9点(2004-03-05 11:16:24)(良:2票)
14.  赤い天使
増村保造はあまり好きな作家ではない。あの「ぐいぐい」感がどーも淡泊な私には疲れる。好きな人にはたまらぬだろうし、これぞ映画だ、ってのもわかるが、もちょっと簡潔にいこうよ、って思う。ただし、「情念」ではなく、単に面白い物語を語る際には、その「ぐいぐい」感はたまらぬ魅力となる。この映画もそうだし、「妻は告白する」までの初期作品、「黒」シリーズ、「陸軍中野学校」あたりは大好きだ。まずお話が面白い上、クールでスピーディー、高松英郎や仲村隆らの濃いメンツが「ぐいぐい」押しまくるのを観ると、なんだか無類に昂奮する。若尾文子もいいが、増村の男たちもいい。で、不思議なのは「赤い天使」だ。この映画の無表情は一体なんなのだろう?戦争は人間性を剥奪する、多分、それがこの映画の無表情の理由だ。しかし、だからといって、これほどまでに無表情で、感情の起伏に乏しい人々を並べてしまってもいいのだろうか?ところが、そんな彼らがやってることは、いつもの増村タッチ。きわめて無表情に「ぐいぐい」行動するのだ。変な映画、理屈が映画を制御し、それ以外に余白はない映画。と、言ってしまうと悪口みたいだがそうではなく、この映画の「理屈」の徹底ぶりこそが感動的なのです。こんな映画、そうないっすよ。
10点(2004-01-17 11:41:44)
15.  殺人狂時代(1967)
岡本喜八の最高傑作の一本。 二転三転するストーリー、奇抜な構図、ひねたギャグ、東宝わき役陣大挙殺し屋出演、阿久根巌のかっちょいいセット、天本英世の快怪演、例えば沢村いき雄登場シーンなどのサスペンス。喜八カッティングさえ渡り、同時代の外国映画に比べても遜色ない、粋で、おしゃれで、おかしく、かっちょいい、サスペンス・コメディの大傑作。ただ、こーゆーこというと、喜八ファンは怒るだろうけど、岡本喜八って、飽きないっすか?
9点(2004-01-17 00:45:39)
16.  女は二度生まれる
まずこの映画は、山茶花究やフランキー堺がスクリーンをうろうろしてるだけで楽しい、という既知の面白さにあふれている。それはただただ楽しい。一方で、若尾文子はそんな男たちの所作を客観的に見つめ、彼らから受ける仕打ちにただ黙っている。冷笑を浮かべるわけでも、涙を流すわけでも、暖かな微笑みで男たちを受け止めるわけでもなく、ただ無表情にうつむいている。「花影」の池内淳子は自殺という手段を選んだが、若尾は何を考えているのか全くわからない。そして映画はぶったぎったように、唐突に終わる。観客は取り残され、「若尾文子の素晴らしさ」や「人生の哀しさ」を自信なく呟く。この巨大な映画は、そんな無意味な呟きをブラックホールのように、いとも簡単に呑み込んでいく。そしてその巨大な黒の中心には、空虚で無表情な若尾文子が座っている。生き地獄から出ることの出来ない絶望と恐怖。川島雄三の、日本映画のワンオブベスト。
10点(2003-12-11 23:01:41)(良:3票)
17.  2001年宇宙の旅
キューブリックは図式の人である、というのが私の意見。だから、とてもわかりやすい。わかりやすい話を、装飾過多なキューブリック流スペクタクルでみせるもんだから、「難解」とか「芸術だぁ」になっちゃうんだと思う。極論すれば、単純なよくある話を大物量で描くマイケル・ベイあたりと、そう違いはない(違うけどね)と思う。この映画も同じことで、モノリスだのスターチャイルドだの中世風の部屋だのには、何かしらの象徴的意味があって、必ずそこには答えがある。キューブリックに聞いたら「それは○○ってことなんだよね」と明快な答えが返ってくるはずだ。もちろん、その答えは、よくわかんないんだけど…。でも、答えのない映画ってのも世の中にはあるわけです。監督に聞いても「いやぁ、俺もよくわかんないんだよねぇ」の方がずっと「難解」だ。だからやっぱり、キューブリックはわかりやすい図式の人でしかなく、そんな計算式のような閉じられた世界をみせられるのはずいぶん退屈だ。「難解」つうなら、ホークスや小津やアルドリッチや私の彼女の方がよっぽど「難解」で面白いっす。
7点(2003-12-09 14:40:53)
18.  アパートの鍵貸します
ビリー・ワイルダーは飽きる、というのが私の意見です。どう?この小道具の使い方、といったこれみよがし、この話法かっこいいしょ、といったしたり顔が、どーも鼻についてくる。しかし、この映画はいかんともしがたい。中学生の時、深夜テレビの画面に向かって涙し、拍手して以来、どうにもこの映画だけは心のワンオブベスト、恥ずかしながら「傑作」と呟かざるをえない。何が凄いって、「ひびの入ったコンパクト」が凄い。ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン、フレッド・マクマレイ、バラバラに描いていた三者の関係がコンパクト一つで一気にまとまり、物語がダイナミックに転回する。物語を語るとはこれだ。この「コンパクト」は凄い。そしてラストのマクレーンの疾走感が凄い。ほんの2、3秒のカットなのだが、静かな物語を解放するかのように、走るマクレーンの横顔を捉えた移動ショットの素晴らしさ!この歓喜に満ちた表情を見るために私は映画を見ているのだ。ビリー・ワイルダーは今ひとつだ、と思う。でもこの映画は忘れられない。
10点(2003-12-07 20:22:06)(良:6票)
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