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もっつぁれらさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 542
性別 男性

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【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  華麗なる大泥棒 《ネタバレ》 
中盤辺りでのカーチェイスはもちろん凄いのだけど、自分が引き込まれたのは、追い込まれたベルモンドに迫り寄るオマー・シャリフ警察の足元のみを映すカメラ。 「地下室のメロディー」同様、アンリ・ヴェルヌイユ監督は緩急の“緩”の部分を魅せることに関して右に出る者はいないのでは。 その“緩”の極みともいえるのがこの映画最大のハイライト、冒頭の強盗シークエンスでしょう。 金庫の前で淡々と仕事をこなすベルモンド扮するアザドの鮮やかな所作には安心感すら感じさせるにもかかわらず、ドキドキして見入ってしまうのは何故なんだろう。 パトカーが行ってしまったと見せかけといて戻ってきたり、立ち去ろうとした瞬間に金魚鉢の割れる音で再び屋敷に戻ってくる“一度落として上げる”テクニックは、ヴェルヌイユならお手のものといったところでしょうか。 また、この映画のテーマ曲を口笛で吹きながら登場させるユーモラスな演出も大好きです。 おもちゃ倉庫や埠頭での再三にわたる警察との駆け引きも見ごたえがありますし、ベルモンドの体を張ったアクションも必見ですが、ラストが玉にキズ。 犯罪は成功せず、警察も殺さずで、道義的には悪くはない結末ですが、鶏のアップで締めくくるラストショットはちょっとビミョーかと。 しかし、前半の見ごたえのある映像はやはりインパクト大ですし、レストランのシーンではギリシャ料理の説明がさりげなくなされていたり、アテネの観光名所のアナウンスなども挿入されていたりと、異国情緒溢れる雰囲気も感じられ楽しく観ることができたと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2022-09-22 14:59:05)
2.  秋のソナタ 《ネタバレ》 
鑑賞にこんなに体力を使ったのは初めて。 この作品に限らず、“夜中の会話”って、絶対に何かあるから怖い。 ベルイマンの映画はまだ片手で数えられるくらいしか観てませんが、この人はじわじわと少しずつ滲み出るように恐怖感を与えることに特異な才能を持っているに違いありません。 寝ている最中に顔を触られる悪夢に叫びを上げ、落ち着きを取り戻したところで「ママの事好き?」と尋ねる母親。それに対し「愛してるわ」と答える娘。 何気ない会話ですが、少し離れて座る娘が取ったこの距離感に、ただならぬ不穏な空気を感じました。その後の展開は観た人ならお分かりでしょうし、そこいらのホラー映画よりも100倍は怖いあのシーンを振り返るだけで背筋が凍る思いが呼び起される気がするのです。 ラスト、母親に向けて再度手紙を綴る娘に対し、別の男に寄り添い安堵の表情を浮かべる母親。二人の縮まらない距離。 娘が歩く墓地の後ろに広がる湖の黒さが印象的。
[映画館(字幕)] 8点(2014-01-20 23:34:46)
3.  家庭 《ネタバレ》 
アントワーヌ・ドワネルもの第4作目。この時代のフランス映画の色調はかなり好き。ストーリーも、大きな起伏がなく平凡で、これはこれでまたいい。 二人の結婚生活はとても幸せそうで、近所付き合いも良好。しかし、すべてが上手くいっているにもかかわらず、アントワーヌの気持ちは何故か横道にそれてしまう。 アントワーヌが他の女性に気移りする理由が描かれていないようだが、もちろんそれは意図的なものによるもので、それは、駅のホームの赤ちゃんの看板を見て子供を作るのを思い立ったりといった行き当たりばったり的なドワネルの生き方みたいな感じ。 一方のクリスティーヌの方は、ドワネルの浮気が発覚した時は涙を流すほどに怒ったけど、しばらく経てば落ち着いて対処していてドワネルを手玉に取っているよう。実に良く出来た奥さんである。和服を着て化けてでてきた時はゾッとしたけど、世の中の旦那に浮気された女性の気持ちというのは、まさにあのような気持ちなんだろうなぁ~。 若干、無駄な脇役が多かったのと、オープニングのテーマ曲がミスマッチだったのを除けばさらにいい。ハッピーエンドで上手く締めくくったけど、次作は・・・“逃げ去”っちゃうの??  [追記]解釈を間違えてました。看板を見て子供を作ったのではなく、あれは、クリスティーヌが「服飾デザイナー・婦人科医・公訟人」のビルにそれとなく入り、ドワネルが看板を見て初めて子供ができたことに気づくという尺だそうです。DVDの特典にて発見。
[DVD(字幕)] 8点(2007-12-22 18:41:35)
4.  クレールの膝 《ネタバレ》 
エリック・ロメールの「六つの教訓物語」シリーズ第5作。 今回の話は、40前の結婚を目前に控えた男が17歳の少女のミニスカートから見える若々しい膝に魅かれてしまう・・・という話(一部パンフから引用)。←ここまで読むとちょっとエロい話かなぁ~なんて思ってしまいそうですが、全くそんなことはない、湖畔の美しい風景と少女の肢体とがハーモニーを奏でているようで、この映像の美しさは筆舌に尽くし難い。その反面、やや会話が多いところが玉にきずであるような気もしますが、脚本がまた、とてもよく出来ている。特に、16歳の少女が話す内容とは思えないくらいのローラのあのマセっぷり!映画の前半はずっと笑いを堪えながら観てました。 ストーリー中ほどになってクレールが出てくるのですが、ローラは16歳にして自我が確立されていて凄く大人の女性なのに、姉のクレールはちょっと男の言いなりになってしまったり相手に流されるというような性格という印象で、この対照的な人物設定は悪くないのですが、ローラもクレールも肝腎の膝の形にさほど違いが感じられず、何でローラではなくクレールの膝に魅力を感じたのだろう?というのが不思議なところです。 クレールの怯えた表情にもお構いなしに膝を触る主人公を見ると、女性にとっては嫌悪感を抱くでしょうが、ラストの主人公の勘違いっぷりが面白くて、このオチを見れば主人公に嫌悪感を抱いていた女性の観客もシッカリ納得して家路に着くことが出来ることでしょう(^_^)
[映画館(字幕)] 8点(2006-12-25 22:25:40)
5.  リスボン特急 《ネタバレ》 
女をビンタする姿が世界一サマになる男(笑)アラン・ドロン。メチャメチャかっこいい~!同じ“特急”でも、やっぱりアノ映画とはぜんぜん違いますよね(当たり前)。揺れてるし(笑)。 冗談はさておき、この映画ではとても印象的な場面がいくつかありました。 まず一つ目は、アラン・ドロンがくわえ煙草でピアノを弾くシーン。こんなシーンが日本の連ドラとかで出てくると、たいていは手の部分を避けるようにして撮るのですが、この映画では本当に本人がピアノを弾いている!カッコイイィ!そのときのカトリーヌ・ドヌーヴの登場の仕方もまた良かった。余談ですが、マルクを注射で絶命させるシーンも、日本のドラマとかで良く見る映像だと、針先を皮膚に当てるまでを写してそこから先は写さないことがほとんどですが、あのシーンでは本当に体内に薬液(もちろん生理食塩水であることは間違いないと思うが・・・手の部分だけは本当の看護婦さんがやってるのかな?)を注入している! 二つ目は、バーカウンターでアラン・ドロン、カトリーヌ・ドヌーヴ、リチャード・クレンナの3人が並んでウイスキーを飲むシーン。目で語っています。カッコイイィ~~! 三つ目はやはり、最後にアラン・ドロンが表情を変えずハンドルを握るシーン(これが一番)。このシーンは、ウ~ン、なんと言ったらいいのか・・・とにかく名場面です!このシーンを見ずにアラン・ドロンは語れないと言っても過言ではないと思います。凱旋門がだんだん遠ざかっていくあの背景もとてもいいですよね。あのシーンを作った監督やスタッフも素晴らしいですが、あの真っ直ぐな道を作ったフランスという国、パリという街は本当に素晴らしい。 彼の出演作を見るのは「愛人関係」に続きこれで2作目なんですがやっぱり彼は哀愁漂う男という役が似合ってるみたいですね。最後のこのシーンも勿論なんですが、毅然と悪に立ち向かう役ながら多様な表情をだせるのはやっぱり凄いですよ。 エンドロールで流れる歌もとても良かったです。 あと、最後のほうに出てきた凱旋門が見えるホテル、泊まってみたい・・・。※
[ビデオ(字幕)] 8点(2004-10-03 16:15:56)
6.  愛人関係
ストーリー・演出ともに良かった。この監督(ジョルジュ・ロートネル)が無名のままでいた(いる?)のが本当に惜しい。ミレイユ・ダルクが実に味のあるいい雰囲気を出していたと思う。まさに掘り出し物を探し当てた気分。前にBSでやってたのを偶然見たのがきっかけでそれ以来気になっていた映画だったけど、やっぱりNHKでやる映画はハズレが少ない。最後はやや尻切れトンボだったところは自分の好みの終わり方ではないが、あのラストシーンでは、生まれてきた子供が難病を患っていて殺してしまう人がいたり、いろいろな事情で自殺をしたり心中したりする人、安楽死の問題が議論されている現代社会にも何か通じるところがあるような気がして色々と考えさせられてしまった。最後のペギイのあの笑顔がとても印象的で、やっと本当に心から笑ってくれたんだなあって思う。マルクに感情移入すると、彼女を憂う気持ちや慕う気持ち、自分の無力さに対する歯痒さが相まってとても切なくなってくる。フィリップ・サルドの音楽もすごく綺麗だった。
8点(2004-08-23 15:28:43)
7.  アデルの恋の物語 《ネタバレ》 
この映画を見終わって、日本には“馬鹿息子”って言葉があるけど“馬鹿娘”って言わないよなぁとか、しょーもない事を考えてしまった。 さて、この原作や映画は当時のフランスではどういった評価だったのだろう。 美しい一つの愛の物語として受け止められたのか、狂気の女として恐れられたのか、あるいは揶揄されたのか、気になるところです。 映画でいえば、ヒロイン役のイザベル・アジャーニの演技が素晴らしく、下宿先の女主人からピンソン中尉が来たことを聞いて慌ただしく身なりを整えるところからの流れが特に良く、夜の墓場に出て自身の気持ちを訴えるシーンなど、彼女の鬼気迫る演技には魅了され尽くしてしまいました。 また、何度も舞台となった銀行、下宿、本屋などの内装の美術面でも目を見張るものがあり、上記のシーンなども含めた照明やカメラなどのスタッフワークも充実しているのが伺えます。 主人公アデルは、我が道を行くといえば聞こえは良いが、やる事なす事すべてが常軌を逸した激情的女性。 男装して夜会に潜入し、親をも欺き、催眠術をたくらみ、ピンソンの相手の親から金を巻き上げ、男を振り向かせようとする。 終盤にかけては、一張羅のドレスもズタズタになるほどに他のすべてを捨てて愛を突き通さんとするアデル。 その行きつく果て、最終形態は、好きなはずの相手の顔も認識できなくなり暗号で日記を書くまでになってしまうという。なんと恐ろしいラブストーリーだろうかと戦慄するほどです。 ところで、文豪の父ビクトルとは親子関係はどうだったのか。 本屋の男からのプレゼントとしてレ・ミゼラブルを贈られた時の反応を見るに、決して良好ではないように感じられます。 主人公アデルが凄いのは勿論、国葬にもなったユゴーの馬鹿娘をネタにした原作者フランセス・V・ギールという男の度胸もなかなか凄いと思いましたが、あくまでも美しい抒情詩として著された作品であり、そう捉えるべきでしょう。 でないと、国葬に参列した200万人を敵に回すことになりかねませんので。
[映画館(字幕)] 7点(2022-10-07 02:15:14)
8.  ムッシュとマドモアゼル 《ネタバレ》 
ベルモンドが一人二役、どころか変幻自在に役をこなすのが面白い。 劇中の映画スターが実はオカマという設定でそっち風に見せる演技だったり、また生活保護観察員を出し抜く演技やカフェの外から電話で映画のエージェント役をやったりと、ベルモンド本人も楽しんで役をこなしているようで、観る側のこちらとしても終始楽しく鑑賞できました。 スーパーのゴリラの実演販売や、クロード・シャブロルが映画監督役として出ているところなど、色々と興味深く見どころは多かった印象です。 ラストの空中アクションやトラが襲い掛かってきたシーンなどなかなか危険なシーンだと思えますが、代役は立てなかったのでしょうか。判別が難しかったです。
[映画館(字幕)] 7点(2022-09-09 14:44:56)
9.  新・ガンヒルの決斗 《ネタバレ》 
上映時間95分ほどのちょっとした小品のような作品。 出所した主演グレゴリーペックも薬莢を銃から外し、見張り役の方にも殺すなとの指令が出る。 おまけに、序盤から可愛い女の子が旅の相方となれば、本気の西部劇とは一線を画すような予感満載で物語が進んでいきます。 グレゴリーペックとしても裏切られた仲間に復讐することもないままで、また、女の子も新たな居場所を見つけられないままでエンディングを迎えてしまう。 観た人によっては消化不良が残るかもしれませんが、これは(お蔵入りした)何かの映画の外伝やスピンオフ作品として作られたような印象です(邦題もまさにそんな感じ)。 アメリカ西部の大自然の中で野生の馬を狩るペックも良かったし、夜のシーンの光の当て方なども的確で、更に終盤の対決シーンも見応えがあって、小品ながらも細部に至るまで抜かりなく撮られた佳作と言えると思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-28 15:42:30)
10.  八甲田山 《ネタバレ》 
八甲田山という映画がある事は以前から知っていましたが、シベリア遠征のための訓練の話だとは知りませんでした。 確かに苛酷であるのは容易に見てとれるのですが、訓練の話となるとどうしても面白さを割り引かざるを得ないという気がしてきます。 映画の序盤で、これから過酷な地に向かうという事もあり、その前フリがあらゆる場面にちりばめて出てくるのが映画を盛り上げるのに生きていたように思えました(若干演出過剰気味ですが)。 まず、トップの人間から困難な任務であることを聞かされたり、麓の村民からも無理だと諭されたり、また、神田大尉の奥さんに食事を日程分よりも多く入れておいてくれという台詞からは彼が内に秘めている悪い予感が的中することを暗示させていたりして、入山前から並々ならぬ緊張感を漂わせていて実に面白いです。 更に、山田少佐が村民に対し案内は要らんと拒否する一連のシークエンスの間、神田大尉の背中を映し続けるカメラが彼の受ける絶望感や悲壮感を静かに炙り出していて、ここが自分にとってこの映画の中で一番好きなシーンです。 映画のほとんどが雪の中での過酷な状況である中でも、ひときわ群を抜くのが雪崩のシーン。人工的に作り出したのだとしても、ここは本当に命懸けであっただろうし、更には、物語の中で夜を越す場面ではテントも張らずにただ雪洞を掘ってそこで立って寝るだけというのが、昔の人は凄いなぁとこの映画で一番驚かされたところです。
[映画館(邦画)] 7点(2014-11-15 22:02:23)(良:2票)
11.  遥かなる青い海 《ネタバレ》 
ストーリーの冒頭にタナイ少年が治療を受けるシーンがあり、最後に核実験の犠牲になるというストーリー構成となっていますが、自分の解釈としては彼はそこで亡くなったのではなく、かろうじて生き延びて保護された(最初のシーンに戻る)、と捉えました。 ですので、ストーリー構成をあのように時間軸を逆にする必要は感じられず、基地を脱出して再び自由な海へ旅立って行く、という終わり方で問題なかったように感じられました。 主人公のタナイ少年はポリネシアの言葉しか知らず、出会った人々と言葉を交わすことなく交流していましたが、これが必然的に映像のみで表現することにつながり、まるでサイレント映画のような作品に仕上がっていたことが良かったと思いました。 心情表現も、少年の言葉で「喉が渇いた」とか「痛い」とかを言うことはせず、皮膚に水分が行き渡っていない状態を映像で見せるにとどめたり、うめき声を上げる程度に抑えていましたし、恐怖心を体を丸めることで体現していたり、島でいろいろと助けてもらい感謝の意を表す際もポリネシアの言葉を使う事すらなかったところを見ると、徹底した言葉の排除を窺い知ることができると思います。 勿論、魚を獲って「獲ったど~!」とか言われたら白けること間違いなしですし(笑)、女に向かって「愛している」などとのたまおうものなら失笑どころか怒りすら沸き起こってくるかもわかりません。 また、この映画の大部分を占める海のシーンがとても良く撮られており、タナイ少年が銛を持って海の中を泳ぐシーンや鮫を後ろから至近距離で捉えるカメラも良い仕事をしており、海の上のショットにおいても、鮫と格闘するシーンなどは、両者が同一画面に収められたショットはほとんど見られなかったにもかかわらず格闘時のスリルや切迫感などがしっかりと表現されていて、カット割りなどの編集作業でも良さを感じることができると思います。 同時に、言葉で表現する場面がない分、少年の心情を抉り出そうとするクローズアップが多く見られたのも、教科書通りの正しい用い方で、これまた良い仕事をしているように感じました。 音楽についても、エンニオ・モリコーネの名前がオープニングでクレジットされているので、意識して耳を傾けてしまいそうになりますが、物語や映像よりも前に出ることはせず、程良い塩梅で心に沁み入る感じです。
[映画館(字幕)] 7点(2014-03-29 11:48:48)
12.  特別な一日 《ネタバレ》 
最初と最後に流れるキャスト&スタッフのクレジット画面なんですが、あの文字のフォントは何であんなにコミカルなんだろう? 映画の顔ともいえるクレジット画面って、大抵はストーリーに合わせたものであることが多く、自分の場合なんかですと、そういったオープニングクレジットを見て、シリアスな雰囲気だなぁとか、コメディっぽいなぁとか想像して物語に入るわけなのですが、ストーリーを鑑みて後から振り返ってみるとあのフォントにはどうにも違和感ばかりが出てきてしまいます。 映画全体を通して見てみると、良い部分と悪い部分とが入り混じっている印象で、序盤でヒッチコックの「裏窓」のような舞台で物語が始まり、カメラが建物の中へ「サイコ」のように入っていく長回しショットなんかはとても面白く見れたと思います。 最後にもまた同様に窓の外からカメラが入っていき、アントニエッタが寝室に行く時に一瞬電灯を見る動作をカメラで捉えることで、彼女の気持ちが依然としてガブリエレに向いている様を描いたような微妙なテクニックなど、いろいろと画面作りに対する繊細さを感じ取れた気がします。 他にも、シーツを畳む時に二人が近づいた瞬間や部屋の中で抱き合うタイミングであえて喧騒を大きく聞かせ、事が済んで画面が切り替わるとパッと音が消えて時間の経過を暗示させたりといった音の使い方をしているところは自分の中では好きなシーンのひとつです(その時にシャツの逆の襟が出ているのも、わざとらしいけど面白い)。 その一方、向かい合って卵料理を食べ終えた後に隣の部屋に移動すると、三人の娘と思われる絵と一人の女性の絵が飾ってある所で会話が展開されており、画面右手前にアントニエッタ、左奥にガブリエレ、そしてガブリエレのすぐ右隣に女性の絵という構図が出てきたのですが、このように普通に家族がいる事を暗示させるショットが出てきたにもかかわらず、ストーリーの中ではそういったことが語られずに終わりを迎えてしまっているところからすると、伏線の回収不足か又は映像に意味を持たせることへの無頓着さも感じられてしまいます。 女性の気持ちを考えると、愛のあるセックスの後に国家のためのセックスなんて、本当に死ぬほどイヤだろうなぁと思いますが、照明をリズミカルに順々に消してベッドに入るアントニエッタの淡々とした姿には女性の強さが感じられました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-02-20 22:44:20)
13.  白夜(1971) 《ネタバレ》 
全体を通してみるとなかなか自分好みの映画なのですが、序盤を振り返ると妙な違和感を感じます。 ヒッチハイクをしているシーンでカメラがパッと引いてみると他にも大勢の人が路上に立っていて笑ってしまうようなショットが入っていたり、花畑の中を鼻歌を歌いながら歩く主人公を見る人たちを捉えるカメラも主人公の男を滑稽に描いている感が出ているので、中盤以降では感じられなかったものの、映画を見終わってからの結論としては、女に振り回されたりして「男ってやっぱり馬鹿な生き物」という映画だったのかもしれません。 また、ロケーション撮影が多くそれだけで心地よさが感じられ、雨で濡れた道の光の反射具合や窓ガラスに映り込む街灯の光など、自然で微細な光が画面を慎ましく彩っていて現実的なイメージが感じられる一方、BGMは楽曲と一緒にミュージシャンたちも同時にス~ッとタイミング良く入り込んできたりしていたりと、逆にこちらは非現実的で御伽噺っぽさが出ていたので、不思議な演出をする映画だなぁと思いました。 最後は、下宿人が出てくるのはわかって見ていましたが、雑踏の中に紛れて現れるという過度に劇的な登場の仕方ではなかったのがかえって良かったですし、二人に対してのキスの仕方に差をつけるところなんか、いかにもフランス映画らしさが出ていて面白いですね。 街を行き交う女の尻を追っかけたりと本業が疎かになり、同じような所を描いていた主人公でしたが、ラストで色が塗られていない所に筆を入れる姿で幕を閉じていたのは、馬鹿な生き物ではあるけども、人生の再出発を感じさせる終わり方で感動的ですらあります。
[映画館(字幕)] 7点(2012-11-18 15:12:19)(良:1票)
14.  私のように美しい娘 《ネタバレ》 
親父に蹴り上げられて吹っ飛ぶシーンがワイヤーで引っ張られてるのがミエミエだとか、飛び降りるシーンを偶然子供がカメラに収めていたのは出来過ぎだとか、主人公の女は何で囚人服を着てないんだろうとか、そんなことはどうでもいいんです。コメディだから。スカートはいて脚を出さなければストーリーが成り立ちませんので。 にしても、あれだけスタイルが良ければどんな男だってイチコロだし、本能のままに生きてるから寄って来る男も当然のように本能をさらけ出す。何でもオープンなもんだから、ちょっと騙してすぐヤれちゃいそう・・・って考えてる俺も含めて、出てくる男はみんな馬鹿。 よくよく見てみると、梯子もないのに飛び降りたり、自ら車に轢かれたり、塔の上から飛び降りたりと、何故か周りの男を不幸にしてしまう。まるで、あれよあれよと難を逃れていつの間にかハッピーエンドに辿り着くチャップリンやキートンのようで、見ていて次第に楽しくなってきます。 ストーリー的には、「私のように美しい娘」の唄の後がやや冗長だったのと、途中まで見てこの社会学者が最後に餌食になるんだろうなという予感があったにもかかわらず、その予想を裏切ることが出来ないままにエンディングが来てしまったのが残念でした。 しかし、やはり主演女優の存在感は言うまでもなく、部屋から出て歩きながらスカートのファスナーを上げるのもトリュフォーらしい感じですし、トリュフォー映画の定番アイテム長銃も出てきたりと、楽しさもいろいろと見られる映画でした。
[映画館(字幕)] 7点(2011-01-01 16:53:07)
15.  フレンジー 《ネタバレ》 
これは良い意味で期待を裏切られた作品。 ヒッチコックの晩年の作品はあまり良いイメージがなく、主人公らしき人物には華がないばかりか、オープニングのテーマ曲もダメとくれば期待するものも全くないままで見たのですが、結婚相談所の殺害シーンをきっかけに見る目が変わっていったと思います。 主人公の友人ラスクが結婚相談所に来た時点では何の疑いも持たずに見ていたのですが、途中から徐々に様子がおかしくなり異常な性癖を現し始め、そしてついに正体を現したときの背筋が凍るような恐怖感。無意識から疑惑、確信へと移行する一連の流れが秀逸でした。 女友達のバーテンがラスクの家に入っていった時のカメラが後退していくシーンでは、「ロープ」(1948)をやっていましたが、実はその前に、ホテルで彼女が主人公と同じベッドで寝ているシーンでもその手法が使われているのを知った時には嬉しくなってしまいました。 最後は、主人公にあの刑事の奥さんの料理を食べさせてあげたかったですね。ムショ明けの人間には“スープ・ド・ポワゾン”はやはり美味しく感じられるのだろうか???(ポワゾン=poison←毒) [追記]ポワゾンはフランス語のpoisson(魚)で、“魚のスープ”ということ。毒などという意味じゃなかったです。失礼!
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-12-31 18:13:34)(良:1票)
16.  過去と現在 昔の恋、今の恋 《ネタバレ》 
今から約40年前の映画ですが、オリヴェイラ監督の2000年以降のここ数年に作られた作品と似たような作風で、特に室内の映像での派手さを抑えた重厚な雰囲気(上手く説明できない)や、登場人物の息遣いまで伝わってくるかのような撮り方(本当に説明下手でスミマセン)が出ていて、映像を見ているだけでも満足してしまいそうです。 一つ一つのシーンを見るとカットを割る回数が少なく、ワンシーンワンショットまではいかないにしても3~5くらいのカット数で一つの場面を作っているため、非常にゆったりとしたテンポで進行していたのがいかにもオリヴェイラらしいといった感じで、映画全体のこのスローな雰囲気が自分は好きです。 問題はストーリーなのですが、最初の方で主人公のヴァルダが前夫リカルド(交通事故以前)と結婚していた時もそれ以前に亡くした夫のことを崇拝していた、ということが語られるシーンがあったため、映画後半でリカルドと“再婚”した後も同じことが繰り返されるだろうという事は容易に想像できてしまうので、その過去の事実を明かす会話さえなければ良かったのにと思いましたが、再婚するたびに亡くなった前夫を愛することを繰り返すというアイディア自体は悪くないと思います。 また、この頃のオリヴェイラは人の死を茶化すのが好きだったのでしょうか? 夫が飛び降り自殺を図る際、庭師に飛び降りるのを見られてしまい窓の上淵を触ってごまかすシーンの直後に本当に飛び降りてしまうというシーンがあり、笑いと死が隣り合わさってしまったこの有り得なさに、驚きと笑いの両方が同時に込み上げてくるという何か異様な感情が自分の中に出てきてしまいました。 他にも「もう死んだ?」「いや、まだ。」といった会話が廊下ですれ違いざまにサラッと交わされていたり、生きてるうちに棺桶を用意して、しかもそれをビリヤード台に斜めに立て掛けて置いておくという非常にアブノーマルなシーンがあったりと、脚本から映像からあらゆる方法でブラックな笑いを仕掛けてきて、いろんな意味で面白い映画でした。
[映画館(字幕)] 7点(2010-09-26 23:22:19)
17.  激突!<TVM> 《ネタバレ》 
切り裂くようなBGMと日常で起きてしまった恐怖、そして得体の知れないものに襲われる焦燥感・・・これはもう、ヒッチコックの影響を受けているのは明白でしょう。 ストーリーは単純でありながら斬新で、もし仮に名声を得たような映画監督がこのような低予算の映画を作ろうものならば、あらゆる方面からバッシングを受けることは容易に想像がつくだけに、出世作ならではの瑞々しさ溢れるストーリーだなぁと、そのアイディアに感心させられます。 更に凄いのは、駆け出しであるにもかかわらず、映像面では早くも熟練の技法をもってカメラを回していることでしょう。 普通、どんな映画監督でも初期の頃の作品を観ると、どこかしらに実験的な技法が用いられることが多く、試行錯誤だったりチャレンジしたりという形跡が見受けられたりして、それも映画を観る楽しみであったりするのですが、そのような箇所がほとんど見られないところが凄いと思いました。 恐らく、監督業を始めた今作の頃にはもう既にテクニックが確立されていて、自信を持って撮影に臨んだような印象を画面から感じ取りました。 本作の主題は、日常で起こりうる恐怖による不条理劇ですが、この類の映画が楽しめる(恐怖を感じられる)かどうかのポイントは、襲われる側と襲う側の人物像をどのように描くかで決まると思います。 襲われる方はしっかりと人物像と境遇を描いて人物描写をするのが重要であるという一方、襲う方は出来るだけ情報を与えずに“誰が襲うのか”と“なぜ襲うのか”を徹底的に見せないで物語を進めていくのがベター。まるで視界に入ったからというだけの理由で猛獣に追いかけられているかのような教科書通りの描き方が観ていて非常に心地良いです。 最後の方で、トラックが上り坂でスピードダウンしてせっかくの突き放すチャンスでありながら、同じタイミングで逃げる方の車もだんだん遅くなってしまうという、定番ではあるけども観る側をやきもきさせる演出なども観ていて面白く、ストーリー・カメラワーク・演出の全てに監督の力量を感じました。
[映画館(字幕)] 7点(2010-08-21 09:44:18)
18.  モン・パリ 《ネタバレ》 
♪人類が月へ降り立ち、月面を歩いたという衝撃的なニュースより、もっと大事な事がある♪それは、私とあなたが手と手を取り合って同じ道を歩いたという事♪ この映画のテーマソングですが、ちょっとクサいけど、いかにもフランス映画っぽくて何か好き。やがてオープニングの歌が終わり、画面に出て来たのは何とオーバーオール姿のカトリーヌ・ドヌーヴ!!これには驚いた。昼顔やロバと王女など上品な印象が強く、しかもこの映画はドヌーヴが30の時に撮ったもの。30でオーバーオールって・・・。 対するマルチェロ・マストロヤンニは、あのお腹はどうやら画面を見る限り本物っぽい。よくあそこまで体つくったなぁと感心してしまいます。それに、本来二枚目俳優なのにコメディをやらせてもサマになっちゃうところはさすが一流俳優。 ストーリーは、見る前に解説とかを読んだときはアメリカンコメディっぽいイメージで臨んだけど、実際はジャック・ドゥミが手掛けたというだけあって、やっぱりフレンチカラーが強いです。 自分が一番気になったのは、すでに二人の間には子供がいるのにまだ結婚していなくて、三人で同棲(?)しているというちょっと変わった設定。 後から考えると、最後に結婚式のシーンを入れたくてこの設定にしたのかもしれないけど、そのおかげでいいエンディングを迎えられたので、結果オーライですね。 夫婦共働きで主夫をする人が増えつつある現代、“妊夫”を描いたこの作品は、時代を先見した映画といえるでしょう(笑)。
[映画館(字幕)] 7点(2009-12-31 01:04:33)
19.  逃げ去る恋 《ネタバレ》 
アントワーヌ・ドワネルもの第5作目にしていよいよ完結作。タイトルは「逃げ去る恋」。 これまでのドワネル君を見ていれば、“逃げ去”ってしまうのも無理ないなぁと思ってはいましたが、映画が始まって目に飛び込んできたのは、またしても見たことのない女。このシリーズも最終作になり、女に対してのだらしなさは以前にも増して磨きがかかった模様。前作のラストではラブラブな夫婦だったのに、いきなりのドンデン返しから映画はスタート・・・って、いきなり浮気かよ!!さらに見ていくと、クリスティーヌとは既に離婚の話が大分進行していた様で、早くも起承転結の“転”が来てしまったような感じにみえます。 クリスティーヌと別れてからのストーリーはというと、「二十歳の恋」で劇場で出会った人と偶然の再会や、破けた写真を繋ぎ合わせて本人を突き止める話が出てきますが、こんな出来事トリュフォーの身に本当にあったの?というくらいの、まるで“映画”のような話なので、もし自身の実話をもとに作ったとしたならば、やや誇張しすぎなような気がします。どちらかというと、この映画、“逃げ去る”恋ではなく“逃げ去”ってからの恋がメインになっているのが非常にもったいなく、もう少しクリスティーヌとの別れを丹念に描いた方が良かったのではと思います。 写真を繋ぎ合わせて女を追跡するストーリーは面白いと思うし、本当は好きなので、もう少し話を膨らませれば、単体の映画として一本映画が出来ただろうと思うと、かなり惜しい作品ですね。せっかく、夫婦生活がうまくいってたのに、別れ話でドワネルと一緒になって涙したかった・・・。そういう意味でも惜しい映画でした。
[映画館(字幕)] 7点(2007-12-24 23:55:26)
20.  愛の昼下がり 《ネタバレ》 
エリック・ロメールの「六つの教訓物語」シリーズ第6作にして、いよいよ最終作。 この邦題「愛の昼下がり」は原題「L'amour l'apres-midi」の直訳だと思われるのだが、(原題・邦題共に)これがまた、何と素晴らしいタイトルであろうか。これ以上に相応しいタイトルは思いつかないと思えるくらいの見事なタイトルだと思う。 今回のストーリーは、やや存在意義の不明なシークエンスがいくつかあると思うのだが、例えば、冒頭で服を買うシーンだとか、田舎の生活に不満を感じていて都会の空気が好きだ、というくだりなどはあまり本題に直結しないような気がする。店員に勧められて買ったシャツが伏線になるのかも、と期待して観てたのだが、特にそのような結びつきは見つからなかったように思う。 この映画の主題となる、家庭を持った男が独身女性に魅かれていくというストーリーは結構ありがちなんだけど、この主人公は家庭に不満もなく、他の女性になびく理由がないというのと、クロエという女が会社に押しかけてきたり、主人公を誘惑したり、子供が欲しいだのと言ったりする、自己中心的な神経に腹が立った。 最後に奥さんのところに駆けつけたとき、夫の浮気に密かに胸を痛めていたのか、抱きしめられて涙がぽろぽろ出て震えるシーンにはグッときた。 本作はシリーズのラストを飾る作品だけに、いつも以上にエスプリの効いたエンディングを期待していたのだが、そんな小洒落たオチもなくあっさりしたエンディングだったので少々物足りなさを感じた。夫婦が愛を確かめ合ってハッピーエンドというのは確かに悪くないんだけど、このシリーズでそれをやられるのは、ちょっと不満。単体の映画として見れば7点だけど、シリーズものであることを考慮して評価すれば、6点。
[映画館(字幕)] 7点(2006-12-28 01:39:53)
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