Menu
 > レビュワー
 > もっつぁれら さんの口コミ一覧
もっつぁれらさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 542
性別 男性

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12345
投稿日付順12345
変更日付順12345
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  パリは燃えているか 《ネタバレ》 
映画の鑑賞前は必ず監督やキャストなどの情報はある程度頭に入れて臨むのですが、ズラリと並んだ豪華キャストの面々に、どんだけ人間ドラマ熱いんだと、期待してしまいましたが、この映画に関してはそこは期待すべきではない作品のようです。 自宅のテレビでの鑑賞なので時計も見ながらでしたが、ジャン=ポール・ベルモンドが登場するまで50分も待たされましたからね(笑)。 監督のルネ・クレマンがフランス人という事もあり、起用したキャストのほとんどがフランス人俳優で、また言うまでもなく、フランス側の視点でカメラを回していたのが特徴的です。 ドイツ兵に「美しい街だ」と言わせたり、市街戦でもドイツ軍を迎え撃つシーンが多かったりするなど、終盤にかけては言わずもがな。 また、昔の記録映像を織り交ぜながら語る手法は、映画のストーリーが史実に基づいたものだという事を表現していて、リアルに迫った説得力のある語り口として捉えることができると思います。 映画中盤辺り、ピエール・バネックはアメリカ軍へ、ベルモンドはフランス軍へそれぞれ掛け合い、ナチスドイツを退けようという動きが高まってきたところでインターミッションが入る構成も良く出来ているなという印象です。 ドイツ軍司令官のゲルト・フレーベ扮するコルティッツ将軍が上からのミッションに徹することができず、軍が人を統率することの難しさも描かれていて、映画を観終わった今、ウクライナに侵攻しているロシア軍もいろいろと上手くいかないことが多いのではとか考えを巡らせてみたりもしました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-10-14 02:41:38)
2.  冬の猿 《ネタバレ》 
ヴェルヌイユはギャバンとドロンでサスペンスの傑作を撮っていますが、同じ2大俳優の競演でもこちらはこちらでまた良い作品です。 さて、男ってのは過去に生きるもの。 また自分の経験上、親子ほど歳が離れていると人間関係は大抵は合わないことが多い。仕事でも飲みの席でも。約30年の価値観の違いが互いを理解できずにそうなってしまうのだろうと思う。 1962年の公開当時は人気が出たかもしれませんが、令和の今の時代では若い人にはそっぽを向けられてしまうだろうという気もしますので、この映画は一種のお伽噺のような感覚で観るのがいいと思います。 自分がこの映画で印象に残ったのは、禁酒を続けて以来訪ねていなかった丘の上の酒場にベルモンドを連れて行ったシーン。 ルビッチの映画でもありましたが、相手を深く知って心を開き長年封印していた〇〇を開封するとか、何十年ぶりに火を入れるとか、アナログで映画的で良いんです。 オープニングで女主人が坂を登るショットとカメラアングルや構図まで同じなのはヴェルヌイユの意図したところに違いありません。 ギャバンは中国に、ベルモンドはスペインに思いを馳せ、互いに共感を抱く。 ここで約束が破られてしまったもののずっと禁酒の約束を守り続けていた律儀なところや酒を飲み交わす描写は、“男ってのはな・・・”をよく表していたと思います。 ラストは、ベルモンドの方は子供と一緒に新たな生活を築き人生のリスタートを果たすのでしょうが、ギャバンは火が消えた花火のよう。 これも人生、というヴェルヌイユの人生観として捉えさせていただきました。
[映画館(字幕)] 7点(2022-09-27 13:32:51)
3.  勝負をつけろ 《ネタバレ》 
「ラ・スクムーン」(1972)は、こちらもベルモンド主演の同原作映画(リメイク版)。 しばしば比較される両作品であり、自分も先週リメイクを観たばかりなので、いろいろと比較しがちなレビューになってしまうのですが、個人的にはオリジナルの本作品の方が良いと思いました。(以下リメイク版のネタバレありますのでご注意を) 本作のベルモンドは当時28歳。やや細身かつ猫背気味の姿勢のせいか威圧感に欠ける印象で、15分で閉店しろと指示を出すシーンでもその場にいたどの客よりも若いために見劣りしてしまう感覚もありました。 ただ、若さによるハンデはそこまででそれ以降は及第点と言えると思いますし、なによりも本作が良いのは登場人物それぞれの心情を丹念に描いたところにあると考えます。 リメイク版は物の破壊やバイオレンスシーンがやたらと多く目立った上にそのそれぞれのシーンもイマイチ迫力に欠けていましたし、爆弾処理のシーンの緊迫感も本作の方が格段に上だったと思います。 本作での終盤では、妹が撃たれるシーンが(無駄な抗争シーン等が少ない分)ストーリー上で際立っており、映画全体で抑揚が感じられたのが好印象。 そのままFINへの流れも、あっさりとしていながらも納得感のある締め方でとても良かったと思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2022-09-24 01:22:05)
4.  オー!
フランス映画は大好きなのにフランスの犯罪映画フィルムノワールはちょっと苦手意識がありまして、この映画もその例に漏れずそんな感じ。 ストーリーはまぁ分かるんですが、共感も感動もできないし更に言えば鮮やかな犯行トリックもないしということで、どうしても物語に入っていける要素が見出せないままだった気がします。 オープニングのタイトルのフォントも映画の雰囲気に反して妙にポップな印象だし、スタッフ・キャストのクレジットの出し方もセンスがイマイチ。 組織のボスが銃で腹を撃たれたシーンの描写とか目ヤニを取る仕草とか色々と鼻につく演出が気になってしまい低評価にしそうなところでしたが、ここはベルモンド主役作品という事でオマケして6点。
[映画館(字幕)] 6点(2022-09-09 01:54:40)
5.  女性上位時代 《ネタバレ》 
冒頭の夫の告別式、悲しみなど全くないというモノローグに退屈余ってヒールを脱ぎ捨ててしまうカトリーヌ・スパーク扮するミミ。 このシーンでこれは緩~く観られる映画なんだなと、最初から肩の力を抜いて観ることができました。 カトリーヌ・スパークは、冒頭の喪服姿から始まり、テニスウェアや部屋着やパーディードレスなど衣装だけでなく髪型も七変化かそれ以上のバリエーションで出てきてくれて、ストーリーは二の次でそれを楽しむという見方もありだと思います。 序盤、亡夫の所有していたマンションの一室に行ってみると、出てきたのは亡夫の変態プレイの映像の数々(まぁ、プレイ内容はともかくとして、それを第三者に撮らせていたというのが個人的にはメチャクチャ面白かった)。 それはさておき、部屋に入ったミミを捉えるカメラワークの秀逸さはどうだろう。 特に全面鏡張りの寝室での計算し尽くされたカメラの配置や動き、照明の的確さやカットを入れるタイミングなど、素晴らしく良い仕事をしていると感じられました。 劇中では色々とアブノーマルな性癖が出てくる中、性を「勉強」していったミミが目覚めたのが、おんぶと馬乗りという可愛らしさ。 最後はほのぼのとしたエンディングで良かったです。
[映画館(字幕)] 7点(2021-06-25 00:54:03)
6.  禁じられた抱擁 《ネタバレ》 
映画後半のセシリアの「二人が友達になってくれればいいのに」でデジャヴが舞い降りてきた。 観終わって調べてみると、だいぶ前に観たことのある「倦怠(1998)」と同じ原作とのこと。 自分にとっても17年前に観た映画なので内容はほぼ覚えていないのですが、男女の微妙な恋愛感情を描いた作品という印象で、本作の中でも例えば、カトリーヌ・スパーク扮するセシリアが一旦アトリエを出てすぐに引き返して戻ってきてキスをするという捉えどころのない感情表現が序盤から出てくるところからも難解な映画という印象で見始めたと思います。 ストーリーとしては、男女の恋愛話だけでなくお互いの両親も出てきたりするなど奥行きのある物語のように感じられ、また、序盤に出てきた実家の新人家政婦との“触れ合い”の描写も非常に官能的で上手いと感じさせる一方、野原で口論になった挙句に押し倒し金を握らせた途端に抵抗を止めたりする唐突な感情表現も出てきたりと、やや雑な部分も見え隠れしていた印象です。 終盤で、セシリアがアトリエを後にしたところでfineの文字が出るのですが、この直前の会話がまた微妙すぎて解釈に悩むところ。 映画全体で終盤のクライマックスらしきシーンが出て来ずに終わりを迎えてしまうというのはヨーロッパの映画ではよくありますが、本作はその中でも特に締め方があっさりとしていて驚きました。 原題「La noia」は原作と同じ「倦怠」だそうですが、邦題は個人的にはややいじくり回しすぎたかなと。
[映画館(字幕)] 6点(2021-06-24 03:09:09)
7.  バニー・レークは行方不明 《ネタバレ》 
サスペンスとは何かという私見は他の映画にレビューしたので置いておいて、この映画においては作品後半までは主人公兄妹の怪演やアフリカ帰りの大家、保育所の老女などの脇役の存在により本格ミステリーの体でいながらも、人形の修理店からの一連のプロットでこちらも非常に良質なサスペンスに様変わりするストーリー構成に唸らされました。 前半のミステリーについては、バニーを保育所に預けるシーンや渡英シーンを提示しておらず、観ている側としては警察が疑うのと同様、そもそも本当にバニーは実在するのかという疑念を抱かずにストーリーを追うことは難しく感じましたし、幼少期のアンの架空の友達ごっこのエピソードや、アンとスティーブンがあたかも夫婦であるかのような親密さも謎めいた様相を感じさせ、上述した脇役たちの存在を含め凄く引き込まれる感覚で観れたと思います。 後半の人形店のシーンで、何で室内の照明を付けずに手持ちのライトを持たせるのか一瞬不思議に思いましたが、何てことのない小道具をストーリー進展のキーアイテムに変換するテクニックや、本性を現したスティーブンの顔を抉るようなカメラのズームインなど、小説では決して表現され得ない演出はまさに絶品のひと言。 その後、冒頭で出てきた屋敷に戻ったシーンでは特に庭の遊具で遊ぶシーンが印象的で、「You cheated.(君はズルをしたね)」で心理的な不安感を煽り、極めつけのブランコのシーンでの「higher! higher!(もっと高く!)」は、観終わってしばらくしても耳に残っていたほどですし、カメラを激しく揺れ動かすショットも非常に扇情的なラストとして強烈に脳裏に焼き付く印象的なシーンでした。 ただ一つ気になったのが、オープニングで紙を破って剥がしながらクレジットを見せる演出なのですが、これが謎。玉にキズ。 (突っ込むのも野暮ですが)結局、劇中に紙を破るシーンが一度も出てこなかったのが勿体なく、これが伏線として機能していれば最高だったのにと考えてしまい、上手く利用できなかったのかor他のタイプのオープニングに出来なかったのかなどと難癖を付けたくなってしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-25 23:51:15)(良:1票)
8.  リオの男 《ネタバレ》 
ん~、自分は「カトマンズ」はアクション・コメディ共に良かったですが、こちらはややアクションに傾倒しすぎてコメディの方にもうひと頑張りあればという印象。 期待した分だけ落差があったために若干低めの点数です。 大好きなベルモンドのアクションは相変わらず格好良く、乱闘シーンや飛行機から飛び降りるシーンなど後のハリウッド作品などにも影響を与えたというのも納得の冒険活劇です。 フランソワーズ・ドルレアック扮するアニエスがさらわれて空港まで追いかけるわけですが、運良く見つけることができた上にパスポートの提示もなしに国際線でリオまで飛べてしまうという謎の展開はもちろんご愛嬌。このコミカルなドタバタ劇にツッコむなんぞ野暮というもの。 ホテルの部屋からアニエスを救い出して監視していた男を部屋の外から扉をロックして閉じ込めてしまうのももちろんご愛嬌ですし、建設途中の建物を上へ上へと登りながら物を落として追手にぶつけるのも、よくあそこまで都合よく転がりやすいものが並べられてるなと、アクション活劇は楽しく見ることができました。 主演二人は、ベルモンドはストライドの大きい走る姿は見ていて格好良いし、一方のドルレアックもサンバのリズムの軽快なステップも見どころの一つだと思います。 余談ですが、当時のリオデジャネイロの開発途中の街並みが見れたのはある意味貴重ではなかろうかと。自分は行った事ないですけどね(笑)
[映画館(字幕)] 6点(2021-05-14 23:24:50)
9.  やさしい女 《ネタバレ》 
オープニングで、テーブルが倒れるモーションだけでブレッソン映画だと分かる。これって、凄いことですよ。 どうやったらあのようなショットが撮れるのだろう・・・ブレッソンに聞いてみたい。 それはともかくとして、これは超が10個付くくらいの超難解映画。 何故難解かと言えば、過去の出来事のみを一方的に語るというスタンスをとっているためであり、また、回想シーンにおいても女は男に対しての感情をほとんど口にすることもないままに物語が進行し、銃を男に向けるアクションですら動機が分かり辛く、死人に口なしのもはや八方塞がりの映画なのだ。 何が彼女を自殺に追いやったのかとか、夫婦間にどんな亀裂がなど、詮索する事が無意味であることは間違いなさそう。 ストーリーの辻褄合わせは無視して人物の心情を読み解くべき映画もありますが、これはそれすらも許さないであろう映画。 ただただ画面の中で起きているモーションに着目し、そこから何を読み取るかではなく何を感じるかに注力すべき映画。 これが並みの映画監督なら心理描写が全然出来ていないなどと酷評するところではありますが、最初に述べたテーブルの動きや死体の描写、視線などを含めた役者の表情、室内シーンの陰影の付け方、要所要所で聞かせる街の喧騒などなど、これぞブレッソン映画というべき本作に自分のような素人がいちゃもんを付けられる訳もなく、ただひたすらに映画に向き合うのみなのであります。 けど、これだけは問いたい。「やさしい」とは???
[映画館(字幕)] 6点(2015-11-07 22:03:16)
10.  恋のマノン 《ネタバレ》 
「何人の男と寝たかなんてどうでもいい事。肝心なのは愛した男の数。」だなんて、フランス映画全開で嬉しくなってしまったもんだから、これはレビューに書かねばと記憶に留めておいたのですが、梅桃さんに先を越されてました。 ストーリー的には、いろんな駆け引きがあったり、相手を取っ替えひっかえしたりといった感じの余り好きではない内容で、ラストも歩いて去っていくというのではなく知らない人の車に乗せてもらってという締め方が残念に思いました。 それと、ワンシーン毎の区切り方が毎回ほぼ同じようなカットの入れ方だったのでそこが気になってしまい、映像的にも退屈さはかなりありました。 比べちゃいけないと思いつつも、やはりトリュフォーの方が2枚も3枚も上手だなぁと思い知らされた作品でしたが、冒頭に出てきたアンカレジ経由で渡欧していた頃の成田空港や機内(ファーストクラスのショボさとか、着物姿の客室乗務員がいることにビックリ!)の当時の様子が見れたのは面白かったです。
[映画館(字幕)] 4点(2014-12-27 15:04:07)
11.  恋人泥棒 《ネタバレ》 
タイトルは原題邦題共にダメ。シナリオもまぁ、可もなく不可もなくといったところ。 それよりも、やはりアメリカのテクニカラーの映像が個人的にはあまり好きにはなれず、おまけに、意図を理解するのに苦労するようなカメラワークがこの映画の価値を下げてしまっているように思いました。 ズームインを多用していたのと、変に凝った映像を作ろうとしたのか、男が警部としてフェアチャイルド家に入った時に乾杯するシーンで物の陰から撮っていたり、二人で地下室に忍び込むシーンでも同様に“物陰ショット”をやっていたりして、視点が定まらないというか、かなり奇妙な撮り方をしていたのが勿体なかったと思いました。 また、音の使い方もあまりセンスが良いとは言えず、映像が切り替わるのと同時にBGMも途中で寸断される事が何度もあって音に対する無頓着さを感じさせられましたし、やはり何と言ってもクラウディア・カルディナーレの声が嗄れていたのが非常に残念なところでした。 しかし、しかーし、唯一にして最大の見どころは下着姿のクラウディア! 灼熱の地下室の中、服を脱ぎ捨てた彼女のスーパーボディーには目を釘付けにされてしまい、更に炭酸を浴びせられて身悶える抜群のサービスショットなんて、思わず身を乗り出して見てしまうほど!何であんな所に都合よく冷蔵庫が置いてあるのかはさておいて、ここはもう自分映画史上最大と呼ぶに相応しい超奇跡的なワンシーンです!!! この潜入シークエンスを何とか終盤に持ってこれるようにストーリーを組んで、最後に「ローマに、また宝石を一緒に戻しに行きましょ」で終わりにした方が良かったんじゃないかな?
[映画館(字幕)] 6点(2014-03-16 13:34:47)
12.  処女の泉 《ネタバレ》 
火に息を吹きかけて天窓を開けるオープニング。 火が強まり陽が差し込むことで画面の中がふわっと明るくなる。 オープニングをこの微妙な光加減で描いてみせたところに、画面作りに対する繊細さがうかがい知れ、そして一つの物語がここから始まるのだという象徴的なこのファーストショットに、自分の中に存在する何かが呼び起されたような気持になりました。 教会への道中、山羊使いの男たちに呼び止められ、食事を分け与えてから自身に危機が迫っている事に感づくまでの、じわりじわりと恐怖が少しずつ滲み出てくるような描写が実に良いです。完璧。 更に、少女を身ぐるみ剥いだその3人組がやって来たのがその子の家となれば、そこに生まれるサスペンス感たるや、もはや尋常ではない。 いつ、どのタイミングで少女の服が出てくるのかを想像すると、食卓を囲む何気ないシーンが緊迫感を帯び、ただならぬ雰囲気で満ち溢れてきます。 夜中に目を覚ました少女の母親が彼らの所に行ってみると、男は少女の服を差し出し高く買い取れと言う。この時の母親の不気味なまでの静けさはどうだろう。怒りに震えることすらもない異常なまでの静けさに身の毛が弥立つ思いがしました。 そして、父が身を清めるシーンのおぞましさ。その対極的ともいえる一本の木の詩的なショットを挟むセンスといい、もはや全てのショットが皆強烈なインパクトを放ち、目を釘付けにされてしまいます。 最後、少女の亡骸を起こした所から水が湧き出でる。 泉の出現という奇跡で終わりを迎えるこの物語は、神話とか聖書の中の一節を描いたようなとても不思議な映画でした。
[映画館(字幕)] 8点(2014-01-19 01:10:48)(良:1票)
13.  袋小路(1965) 《ネタバレ》 
主人公は、ジョージとか言うあの弱っちい男でしょう。 映画の中に流れる不条理感は良いけども、人物設定や状況の描き方が悪い。 悪漢が現れて脅すつもりで描くならば、腕を怪我しているから夫婦で連携してスキを見て警察に突き出せそうと感じさせてはダメだし、銃に弾を込める姿をまず先に見せるとかもしないため、さほど怖さが伝わってこない・・・と思いましたが、こう感じさせるのが狙いなのかも。 悪漢に対し何も出来なかった男は、最後まで何もできず終いで映画は終了。 最後、一人岩に佇む男。これがポランスキーの描きたかった事なのでは、と解釈しました。タイトルの「袋小路」は原題の直訳のようですが、ラストシーンの絵の通りどこにも行く事が出来ずにいる彼の姿、人間関係に行き詰まった心理状態の事でしょうか。一人の男の悲哀を描いた映画。 ここまでは、ポランスキーが映画を撮る才能とテクニックがある事を前提にした解釈。 細かな部分をあたると、ハッキリ言って描き方が余り上手でない箇所ばかり。 冒頭、悪漢が草の陰から上半身裸のカップルがイチャつく姿を覗き見るシーンは無用だし(後のその若い男の人物像もハッキリしない)、序盤からやたらと人物のクローズアップを多用するのも意図が見えず。車を懸命に押す悪漢の姿を捉えるカメラの動かし方もハンディーで撮ったような安っぽさが出ていますし、子供が銃を撃った時の客人の表情の細かなショットを連続で瞬時に見せるのもストーリーを勘案するとセンスのなさを感じます(子供が劇的な変化を生む訳ではない)。 冒頭で主人公に女装をさせるシーンも彼の情けなさを見せるのと、動けなくなった男の視点で彼を画面に出したかっただけでしょうし、また、後半で客が4,5人訪ねてきた時、カメラが最後を歩く男に注目していたので、この男がキーパーソンなんだろうと思い車で戻ってきた時に期待したのですが、女を連れ去るのみで特に驚くようなこともせず退散。これが一番酷かった。 いろいろとトータルで考えて、ポランスキーは映画を撮る才能やテクニックはこの時点ではなかったと判断。この映画は非常につまらないと考えるのが妥当だと思います。
[映画館(字幕)] 4点(2014-01-13 23:10:23)
14.  片目のジャック 《ネタバレ》 
まぁ、復讐って言っちゃえば幾らかマシではあるんですけども、男の恨みってのは、見ていて余り気持ちの良いものではなくて、ウエスタンでよく見られる男気とか正義感とかはこの映画には全く存在せず、代わりにあるのは遺恨と打算のみ。要はただそれだけの映画って事。 何が腹立たしいかと言えば、マーロン・ブランド扮するリオがダッドの娘を妊娠させるくだりなんですが、映画後半になると情が出て来た描写はあるものの、祭りの夜に海岸に連れ出してネックレスを渡すシーンなんかを見るに、彼の中に愛情なんぞはある筈もなく、つまり、ダッドに対しての復讐故の行為と解釈できるわけ。テラスでのダッドとの二人きりの会話のシーンで、相手の幼稚な嘘も受け入れて和解に向けた気持ちで彼の家族を交えて食事をしていたと思わせておきながら、実はまだ遺恨が残っていましたというネチネチした展開。ホント気持ち悪い。 また、映像に着目しても、1対1での会話のシーンが随所に出ていましたが、ワンショット毎のカメラアングルとか距離感とかがワンパターンで構図を作ることに対しての工夫が感じられませんでしたし、食事中のフォークやイヤリングをむやみやたらに光を反射させていたところを見るに、恐らく照明に対しての意識も乏しいのではないかと容易に想像できます。 脚本に関しても、「ただのシチューよ」とか面白いフレーズはあるけども、台詞の前後の流れでおかしいところが所々にありますし、やはり、部分部分のストーリーで、後半辺りで三人のうちの一人が仲間に撃たれる場面も理由が不明瞭ですし、銀行強盗の後もリオが牢獄に連れて行かれるまでの描写も少なく、濡れ衣を着せられて抵抗するシーンくらいは描くべきなのに、その癖、余計なシーンが多いお陰で140分もの長尺になってしまっているのは編集にも問題ありと言えそうです。 とにかく、ダラダラと書いておきながら一番言いたいのは、ストーリー的な美しさが全くなかったという事。本当に不快な映画。
[映画館(字幕)] 5点(2013-04-20 15:12:14)
15.  荒野のガンマン 《ネタバレ》 
名前は忘れましたが、テクニカラーでもイーストマンカラーでもないナントカカラーっていうのが、どうしてなのか分からないのですが、何故か受け入れられない。 加えて、音楽についても選曲や使い方が悪く、どうも表面的な部分であまり好きになれない映画。 ヒロイン役のモーリン・オハラは、40年台の映画での綺麗だった頃を知っているだけに、その落差に愕然としてしまいましたし(荒々しい雰囲気は役に合わせただけかもしれませんが)、ストーリーの中でも、ちょっと何かあるとすぐに銃を取って威嚇したりするし、また、ストーリーはせっかく良い話なのだから、護衛に付き添った主人公の男も、もうちょっと主役に相応しいイケメンを使えばよかったのにと思いました。 メインテーマとしては、自分の犯した罪を償うというか、責任を取るための旅なのでしょう。確かに、格好良くていいんですが、たまに岩の陰から顔を出すアパッチの存在や最後にひょっこり出てきた男たちなど、随所に安っぽい箇所が見えてしまったのが、ストーリーテラーとしてはまだ2,3流といったところではないでしょうか。 あと、馬車の車輪が外れるシーンや、洞穴の中での緊迫感を出すシーンなど、カット割りが決定的にダメ。1ショットの長さとか、カットを入れるタイミングとか、画の繋ぎとか。他にも、総じて粗さを感じさせる映画でした。
[映画館(字幕)] 4点(2013-03-31 12:18:34)
16.  山猫 《ネタバレ》 
タイトルの「山猫」とはシチリア一帯を統治するファブリッツィオ家の紋章。劇中においても「獅子と山猫は去り、ハイエナと羊が生き残る」という台詞が出てきたこともあり、没落の象徴をタイトルに持ってきたことがよりタイトルに深みを感じさせているように思えます。 既に語り尽くされていますが、やはり後半の舞踏会の豪華絢爛さは素晴らしく、この映画の主題を踏まえて言うならば、最後の輝きを解き放つが如くの一大シークェンスでしょう。 貴族社会が時代の流れと共に地に落ちゆく様とバート・ランカスター演じるファブリッツィオ自身の老いとをシンクロさせることによる相乗効果で、主題となるストーリーがより引き立つような感じが出ていて面白く、しかも映画の終盤に進むにつれて、それが徐々に色濃くなりながら語られているところが凄く印象に残りました。(特に、小部屋にまで入り込んで来た数珠繋ぎでダンスをする若者の輪の中に躊躇いもなく溶け込んでいったタンクレディらと、動きの激しいダンスのそばを独りで歩く公爵の後ろ姿との対比!) 一方のタンクレディは、時流に順応する才を持つまさに次世代の担い手として相応しい男として描かれ、アラン・ドロンは他の出演作での貧しい中で苦労しながら生きる役よりも本作のような気品のある役でこそ彼の本領が発揮されると思いました。 またアンジェリカの方はと言えば、美しいとしか彼女を称賛する言葉が出てこないというのと(“美しい”以外には何もないというストーリー設定だから、当然と言えば当然ですが)、彼女が登場するシーンの時にはBGMが優雅な曲調に変わっていたのが誇張が過ぎる感じがして気になってしまいました。 やはり何と言っても、豪華絢爛さばかりが注目されがちな部分はありますが、広大な丘陵を一面に見渡すショットや、埃まみれの家で若者二人が密かに愛し合うシーンなど、オープニングクレジットから芸術的な場面が目白押しで、ヴィスコンティらしくどのシーンにも妥協を感じさせない力強さを感じました。
[映画館(字幕)] 7点(2013-02-03 02:45:41)(良:1票)
17.  中国女 《ネタバレ》 
壁に書かれた文字に痺れた。うろ覚えですが、「曖昧な考えを映像にし、戦わせよ」とか「明確な主張を持った少数派は、もはや少数派ではない」とか内容もさることながら、文章の壁に対する占有率だとか文章全体のスクェアのフォルムや個々のフォントの感じなど、これはもうアートと呼ぶしかなく、ただひたすら格好良い。本棚に並んだ赤い本の赤の比率、赤一色の部屋やトリコロールカラーのインテリア、4:3の画面に役者の顔を正面から捉えたショットの連続などなど、“ゴダール”を感じさせる映像のオンパレードがとにかく気持ち良いです。 台詞の内容やストーリーなどは、分かる人にだけわかればいいと思いますし、製作された時代背景はおろか、世界史の知識なども持ち合わせていない自分にとっては、耳から入ってきた内容をレビューするなんてまず無理なので、視覚的なレビューのみで打ち止めさせて頂きます。 ところで、映画の上映後に廣瀬純さんの講義が行われるということで拝聴する。 彼の解説によると、「不可能性を自ら作り出しそれを打破する映画」「赤vs緑」などと話されていましたが、映画同様の難解な講義であり理解が及ばず大変恐縮で、こうやって低い点数のレビューを綴るのもまた、情けない気持ちになってしまう映画なのでありました。
[映画館(字幕)] 5点(2013-01-14 21:02:23)
18.  水の中のナイフ 《ネタバレ》 
「戦場のピアニスト」の後に本作を観ると、作風のあまりの違いに面食らうこと間違いなしでしょう。 こっちは、まるでアントニオーニの映画を観ているよう。 シャープなモノクロ映像の中で繰り広げられる卓越した人物描写。卓越し過ぎて置いて行かれることも・・・。 冒頭のキャスト&スタッフ紹介が終わった直後、フロントガラスに反射する木々の影が消え人物の表情が浮き出るという洒落た演出に早くも唸らされます。 また、画面の手前と奥に人物を配置した構図が幾度となく出てきていて、斬新な印象さえ受けます。 舞台となる湖というのが面白く、海とは違ってたまに遠くの方に小さく島が見えたりして、遠くから目撃者がいるんじゃないかと思わせるような程良い感じの密室感が作られていたような気がしますし、登場人物の三人以外には一人の人影も出さずにストーリーが進んでいく舞台設定も異様なほどの孤独感や切迫感が出ていて、他の映画では決して感じることのない独特の雰囲気が出ていたと思います。 男同士の心理戦が微妙すぎて難しいのですが、ヨットの上の状況を例えて言うならば、飛行機のコックピットの中に一人の狂人が入ってきたというような印象で、ナイフを持った狂人が癇癪を起こさないように事を穏便に収めておきたいような感じでしょうか。 しかしながら、恐怖心を余計に煽るような演出は本作の主題から外れるということもあってか、全編を通して一度もナイフに光を反射させずに通していて、それが一筋縄ではいかない心理戦の難しさを暗に示していたように感じました。
[映画館(字幕)] 6点(2012-06-08 23:58:00)
19.  女と男のいる舗道 《ネタバレ》 
ヌーヴェルヴァーグとかは勿論のこと、予備知識はなるべく入れずに観るようにしているのですが、この映画の一番最初でキャストとスタッフのクレジットがアンナ・カリーナの横顔の上に載せられているのを見て、何て斬新なオープニングなんだと衝撃を受けました。 ストーリーが章ごとに区分されて進む形式やこのオープニングクレジットなど、これがヌーヴェルヴァーグ的な表現なのかどうかはわかりませんが、今のこの時代に観ても十分に驚きを与えうる映画だと思います。 必見はアンナ・カリーナが「裁かるゝジャンヌ」を観ているシーンで、劇中で涙を流すジャンヌをアンナ・カリーナにオーバーラップさせる演出。このセンスはもう最高。 また、手紙に自身の特徴を書いているときに立ち上がって身長を測っていた姿がとても可愛らしく、手を広げて測っているときに顔が指で押されてフニャっとなってしまっている時の表情がたまらなく好きですし、「右を向くのも自分の責任、不幸になるのも・・・」と、哲学的な会話が展開されるのもゴダールらしい味が出ていていいです。 最後に銃で撃たれて悲劇的な結末を迎えるところや、全体的なストーリーが自分好みではないところが残念でしたが、客を楽しませるために「面白いストーリーを作ってみました」みたいなわざとらしい話を聞かされるくらいなら、こういうストーリーの方が何倍も楽しめると思います。
[映画館(字幕)] 6点(2011-08-11 23:03:48)
20.  荒野の七人 《ネタバレ》 
オリジナルの方はまだ観ていないのですが、「七人の●●」とか「●●の七人」という作品で、7人全員にスポット当てることが出来ているものって、あるんでしょうか? この映画も、途中までは凄く良い。人数集めをするシーンで、一人また一人と仲間が増えていく時の高揚感は他の映画では感じることの出来ない盛り上げ方で、ここまではかなり好き。けど、5人目くらいまではしっかりと人物描写をしながら人数を増やしていっているのですが、最後の方になるとちょこっと顔出して終わりといった手抜きとも言える進め方なのでどうしても中途半端な印象が残ってしまいます。ここは上映時間をあと30分増やしてでも7人全員のキャラを確立させて村に行って欲しかったです。 ついでに、もう一つ不満なのが村民の態度が コロッと一変してしまうくだりなんですが、「死体がこの辺一帯に散乱するのはイヤだ」とか言って7人が逆に締め出しを食らうところは、まぁ、起承転結の“転”にあたるところを組み込んだつもりなんでしょうけど、馬鹿げていると言うか何というか、あれだけ頼っておきながら手のひら返されて裏切られるとイラッとさせられてしまって、ここは大きくトーンダウンしてしまいました。 それと、1回目の銃撃戦の後のダラダラとした流れもダメ。 ユル・ブリンナーを初めとする豪華キャストの格好良さにオマケして、大甘の6点。
[映画館(字幕)] 6点(2011-07-09 14:58:42)(良:2票)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS