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1.  E.T. 20周年アニバーサリー特別版 《ネタバレ》 
久しぶりに見た。この映画を見るたびに思い出すのは、オリジナル版劇場公開時にどこかの評論家が「こんな異星人にしか感情移入できない若者」とした解釈だった。今見ると私は思う。これほど異質のものに愛情・友情を感じられる物語だと。純真な少年の心を見せられるたびに、何度でも涙してしまうのだ。
[DVD(吹替)] 10点(2020-01-20 03:49:07)
2.  スター・ウォーズ<特別篇> 《ネタバレ》 
 スターウォーズはただの映画ではなく、「現象」だった。  特にこの〈特別篇〉公開時には、先行オールナイトでコスプレイヤーやコアなマニアたちが、宇宙人たちや、そのバンド演奏を再現したりしていて、上映そのものを盛り上げていた。ちびっ子ベイダーが現れたり、劇場アナウンスでの「上映中のライトセイバーのご使用はご遠慮ください」には喝采したりもした。   本当なら、今時はBlu-rayで見るのがいいんだろうが、どんな高度な映像システムで見ても、家で一人で見るのは、あの『スターウォーズ』ではない。   永遠に再見できないあの感動に対して、10点献上。
[DVD(字幕)] 10点(2013-04-07 23:53:41)
3.  ユニコ/魔法の島へ 《ネタバレ》 
 サンリオのユニコシリーズ二作目。前作では悪者を華麗にやっつけたユニコだが、今回は違う。実際にはこのあと短編が作られているが、実際にはこれが完結と言うより完成編。   ドラえもんの長編を見た時にも強く感じたことだが、最近のアニメーションが殆ど「戦いの物語」なのが、とても気になっていた。戦って勝てばいいのか?相手は必ず全悪なのか?子供に見せる物語がそればかりで、いいのだろうか?  今にして思えば、これが作られた第2次アニメーションブームのきっかけを作った、最初の「ヤマト」が既にそれを問うていたのかも知れないが、いかんせんアレはそういう意味では失敗作だ。   この「魔法の島へ」を作った人たちは、ひょっとしたら既に私と同じような気持ちでいたのかも知れない。だから、あれほど強いユニコが、その力で相手を倒さずに、優しい思いやりの気持ちで、相手の心を開く物語を作ったのだ。ユニコがククルックをやっつけきれないで、相手の気持を慮るシーンは、美しいBGMと相まって、実に感動的だった。ユニコはこの2作目で物語として、キャラクタとして完成した。だからここで打ち止め。  キレイ事とも偽善とも言えるかも知れないが、子供向けアニメーションくらい、優しい気持ちを育むものであって欲しい、と私は思っている。 
[DVD(邦画)] 10点(2011-09-30 11:37:34)
4.  シリウスの伝説 《ネタバレ》 
メインタイトルの炎の中に、海の水をたたえたタイトル文字、「火と水が一緒になると何でこんなに美しいのかしら」というマルタのセリフ通りの、この映画の始まりに相応しい美しさ。 また、古い世代には、日本のポピュラーソングの作曲者、今時の若者には、ドラクエの作曲者として有名だが、私にとっては断然、この『時よゆるやかに』『愛のカンタータ』の作曲者であるすぎやまこういち氏の音楽も、優しく幻想的で美しい。 海の中なのに、ウサギのような生き物、空を飛んでいるようなイマジネーション豊かな表現、何もかもが素晴らしい。物語は、ロミオとジュリエットをベースにした、悲恋。牧師と変な薬の代わりに、陽の光に当たると死んでしまう事を厭わないシリウスの気持ちと、水に触れると死んでしまうのに、彼と海に入るマルタの愛。 若い頃にこれを見られて、本当に幸せだったと思う。私の、オールタイムベスト1アニメーションである。 
[DVD(邦画)] 10点(2011-07-10 05:15:09)
5.  2001年宇宙の旅 《ネタバレ》 
有名なオープニングの、宇宙空間に太陽が昇る映像、創世記の「光りあれ」である。神を乗り越える話だから、やはりそこから始まるんだな。   突然現れたモノリスに、おっかなびっくり触るサルたち。まっ平らなものを初めて触ったんだろうな。この「感触」だけでも、岩や生き物と違う、道具を意識させたのではないか、とも思えてくる。そして、対立するサルたちの、道具を知った側の方が、少しだけ直立度が高い(腕が地面に近いと振り回しにくいから?)。こんな細かいとこの進化をもちゃんと表現しているのは流石。で、道具が宇宙船にまで発展する、おそらく映画史に残るワンカット。これぞ「表現」。「表現」とはこういうモノだと、私はこの映画で教えられた。   人類が、自ら作ったのでない、「科学的根拠を持つ神」らしきものを発見した時、それを見極めたいと思うのは、ごく自然な事だろう。でも、そのために、旧い神の力を頼らなければいけなかったのは、悲劇だった。 HALは、人間の作った最高の叡智・知能の結晶=神(宗教的な)のメタファだから、人間がそれを超えたり止めたり、ましてや新しい"いい人"に乗り換えられるのを許さない。でも、それを止めて、次の段階へ進む人類。すごい話だと思う。まさしく宇宙の神話、叙事詩。うむ、「Space Odyssey」は、やはり「宇宙の旅」なだけではないんだな。 
[ブルーレイ(字幕)] 10点(2011-03-08 02:03:11)(良:1票)
6.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 
 映像的にはもう文句なしでした。ゴジラの軍艦の破壊具合など見事だし、二艘の艦がギリギリすれ違うところの迫力・緊張感もよかった。だが、クリエイターというのは何か自分のオリジナルを見せたいのか、熱線を吐くときに背びれが飛び出てくるのだが、これがまたイキモノ的じゃなく余計な感じ。  物語は戦中から始まっているけれど肝心のゴジラ上陸が戦後数年たっているため、オリジナルの時間とすごく近く、‐1というより‐0.5くらい。和光の時計台を壊したかったからなのか、職務に殉じる放送局員を描きたかったからなのか知らんが。(初代が壊して怒られた時計台は、今回かろうじて時計部分が残っていて、ちょっと笑う)・・・と書いて調べたら現時計台はすでに昭和7年に完成しているから、話は戦前でも良かったと思う。でも多分、東宝としてはゴジラは核兵器と絡めないといけない縛りがあるんだろうなあ。まあ民間人がゴジラと戦うというのはこの瞬間の時代しかないか。  人間側ドラマは、特攻の生き残りとか戦争孤児を育てるとかありがちではあるが、そのベタさ加減はやはり『三丁目の夕日』的なのだが、やはりかの作のごとく泣かされてしまう。殊に浜辺美波の最後のセリフがいいなぁ。ちなみにこの電報を青年に知らせる時の安藤サクラの芝居はすごく、こういうオバサンいるよなあ、と思わせる。 【追記】  観たばかりの興奮冷めやって、観ていたときの気持ち少し思い出しながら、追記。 大戸島のゴジラ、これも貴重だが、島民の人たちが最初に出会ったゴジラ、伝説のもとになった事件をちょっと見たかった。-1というからには、その辺が描かれるのかとちょっと期待した。  神木くんが大戸島で機関砲を撃たなかった描写は、もうちょっと納得できる理由が見たかった。もっと恐れて逃げ惑う様とか。まあ、あんな生き物を眼の前で見たら、動けないとは思うけどね。  さて、東宝(いや、海外産も含めてか)のゴジラの絶対的アイデンティティである、核兵器のメタファとしてのゴジラとしては、恐らく大戸島の時より成長している、ということなのかと思うが、そのへん判りにくい気がしていた。  さて、これは他のレビュワー様のレビューを見て、思い出したのだが、私も見ているときに民間人でありながらゴジラに立ち向かう人々の顛末を観て、「コレ、指摘されんだろうなあ」と思っていた。私自身はそれほど軍国的な感じもせずに観たが、ここの場面の盛り上がり方が危うい感じは否めない。ただし、最後に民間船の集団が大挙して応援に来るシーンは、なにか既視感があり(『ダンケルク』だったかな?)それでも感動的なシーンだったのを考えると、要は最終的な組み上がりなんだな、思わざるを得ない。例えがわからないかもしれないが、横溝正史が「トリックの斬新さはそれほど重要ではない」と外国ミステリを読んで思い至った、というのと似ているのかも知れない。   イロイロと思うところはあっても、今作は『シン』よりかは、ものすごく王道で真っ当な正統派ゴジラであり、初代と同点をつけるだけの傑作であることは間違いないと考えている。
[映画館(邦画)] 9点(2023-11-07 05:35:42)(良:2票)
7.  リメンバー・ミー(2017) 《ネタバレ》 
 音楽を禁止された一家の物語なんか、ミュージカルになるのか?なんて思っていたが、実に感動的なミュージカルになっていた。サントラCDも3分の一ほどが「リメンバーミー」で、大丈夫か?と思ったが、日本語版とオリジナルが両方収録されて、お得感はある。また、私の好きな、シシド・カフカ嬢がエンディングバージョンの『リメンバー・ミー』を歌っているのもウレシイ。  先祖の魂が帰ってくる日があるなんて、とても日本人には受け入れやすい話で、これを見て自分も両親の写真など引っ張り出してみるかぁ、などと考えたりもする。公開は3月だけど、8月にDVDで見たのはとても時節に合っていたようだ。  劇中の設定で、忘れ去られたら二度目の(本当の)死を迎える、という設定にはちょっと唸る。自分もそろそろ生い先長くない自覚が出てきており、自分が死んだ後に覚えてくれている人がどれほどいるのかとか、考えてしまっている。逆に言うと、まだ人の記憶にあるうちは、その人はある部分生きている、という感じ。この「生死感」、巧い設定のような気がする。確かに私の心の中には、両親は生きているものなあ。
[DVD(字幕)] 9点(2018-08-23 13:53:12)
8.  祈りの幕が下りる時 《ネタバレ》 
 原作もTVシリーズも未見。ミステリとして何度もミスリードされた振り回され具合も良い感じだし、最終的に判明した人物相関的に、主人公とちょうど鏡のように対になる人物が犯人というのも、良い。  東野圭吾版『砂の器』といった感じか。東野圭吾だもの、泣かされるわなあ。逃避行をする親子が人を殺めてからの悲劇に、まあ泣かされた。女の子も良かった。『脳内ポイズン』のハト子ちゃんだったのか。良い女優さんになりつつあるね。  また、松嶋菜々子が母親と対峙した時の表情(特にその目)が、実に見事。こんなに悪く恐ろしい松嶋菜々子は、久しぶりに見た気がする。
[DVD(邦画)] 9点(2018-08-14 19:56:52)(良:2票)
9.  スター・トレック(1979) 《ネタバレ》 
 劇場で見た時の合成のマスクズレが、画面が小さいので目立たなかったのは幸いだった。あとは、合成の色味というか環境光の色温度的なものが合っていないところが多くて、画面的につらいのは、古い特撮なのでしょうがないか。   でも、話の内容的には「うん、これこそSF」という感じで、何かというと敵と戦って勝利する、という戦闘映画=セントウフィクションではないサイエンスフィクションになっていると思う。   まあ、最後人間と一体になるとか、細かいところ分かりにくかったりする部分もあるが、その辺はノリ。その後ヴィジャーはどうなったのかとか、彼の持ってきた膨大なデータは受け取れなかったのかとか、疑問は残る。それと、自分を作った創造者が自分より劣った(と思っていると思う)炭素体ユニットだったと知った時に、この知能はどう思ったのだろう?   そういえば、物質転送とかワープ航法とかの世界にこんなことを言うのは何だが、機械が知能を獲得するという話は、公開時より現実味を帯びてきた昨今、より身近に信じられるようになったのは軽い驚き。  【2018.5.2 追記】  最近までTVシリーズを見ずに映画だけを見てレビューを書いた。今回「カーンの逆襲」を見る前に、TVシリーズを見てみようととTOSのブルーレイを購入・視聴してみた。まだ数話しか見ていないのだが驚いたことがある。光の速度を超える、やたら強いこの宇宙船は、どうやら惑星に降りることが出来ないらしい。地面に降りても「ゴロン」となっちゃうのかな?なるほど、宇宙のドックからこの船の描写が始まるのも頷ける。その他にもこの宇宙船はTV画面の中では、縦横無尽には動かない。数種類の決まりきった角度の動きが見られるだけだ。出発のシーンの、巨大な船をなめるように色んな細部を見せるシーンで、旧作のファンはさぞ嬉しかったに違いない。エンタープライズもTV版のようなプラモっぽさがなく重厚でよい。  物語的には、シーズン2の「超小型宇宙船ノーマッドの謎」に酷似している。先述した通り自分より劣ったユニットに作られた自分に対する、言わばイジメのようにノーマッドを駆逐したTV版よりも、創造主との合体で進化を望む本作は、なんだか非論理だが感動的で好きだ。 また、今作あたりまでギリでウフーラが美人。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2018-03-18 23:20:19)(良:1票)
10.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 
 観ながら最初に感じたのは、しばらく見ない間に日本のアニメーションは凄い表現力を手に入れたものだ、という事だ。時折、実写か?と思う画面もあり、従来のアニメーションの背景との使い分けも巧み。  それに、物語も凝っていて素晴らしい。思春期男女の入れ替わりというと『転校生』を思い出すが、今作ではそれが時空を超えていて、それを少しずつ解き明かしながら見せる、二人の「結び」の物語が切ない。最後、三葉のほうが間に合わずに悲恋として終るかと思いきや、努力の甲斐あって大勢が生き残り数年後に再会するという展開に泣けた。  若い人たちの、新しい「赤い糸伝説」だな。
[地上波(邦画)] 9点(2018-01-27 18:05:57)
11.  スター・ウォーズ/最後のジェダイ 《ネタバレ》 
単純に長いというのもあるんだろうけど、いろいろなイベントがあって、お腹一杯感。ニューヒロインの修行と活躍。いつもながらの宇宙船のドッグファイトの興奮。まさかのあの時点でのラスボス(ではなかったか!)との対決。満を持しての、僕らのヒーローの登場。  楽しみました。  ローグワンを見た時に、スカイウォーカー一族の話ではない物語に対してとても好感を抱いた。特別な人間ではない人たちの闘いの話。だが、よ~くよく考えると、あれもデススターの開発者とその娘という特別な人の話であった。さて今回のレイは、今回の時点では全くの普通の人だということで(覆さないで欲しいものだ)、そういう意味では私的好感度高し。本当言うと結局一族につながる血筋なのだろうと、赤いシリーズみたいな事考えてはいたが・・・。  あとは、今回、我らのルークは「私が最後のジェダイではない!」なんて宣言して終わってて、次作で最後のジェダイ=レイが活躍するんだろうし、レイのフォースが覚醒したのは本作だしで、何かタイトルが作品内容を後追いしている感じがするのがおかしい。  さて、世間には今作のフォースの表現について、否定的な人たちがいるとか。確かに、あんなことが出来るなら、オビワンは死なずに済んだろうし、星を超えてのアレはやり過ぎ感が無いでもない。でも私としては、それまでの描写で、レンとレイが姿を見せながらフォースで意思疎通する場面があったのが、伏線として効いていたと思っている。まっ、足長ロボットの砲撃をかわした時点で、さすがに変だとは思ったけれど。  いまさら感じるのも間抜けだが、今シリーズはファーストオーダーの個々の兵士にも(考えれば当たり前だが)個人としての感情があって、それぞれの思惑により旧帝国軍に留まったという感じかある。ニューデススターがやられ、皇帝やベイダーが死んでも、帝国が生き延びたのはそういう事なんだろうと思う。だとすると、(今回はスノークが死んでしまってもその後をレンが継いだように)アタマが倒れてもあの巨大な組織は無くならない。「殲滅」するしか他に解決の手段がないように思えるのが、若干暗い気持ちにさせる。あるいは延々と続く戦いを示唆して今回の話は終わるのか。 いずれにせよ、あと1話しかない。ルークもハン・ソロもそしておそらくレイアさえもいない。次の最終話でどんな話を見せてくれるのか、楽しみでしょうがない。
[映画館(字幕)] 9点(2017-12-24 12:42:50)
12.  美女と野獣(2017) 《ネタバレ》 
 どうも野獣の野獣感が薄い気がする。もっとケモノケモノしている想像をし、期待もしていたのだが……。  それと、ガストンの最後はもっと明確に「罰として」やっつけられて欲しかった。こういう物語では特に「悪いやつは罰を受ける」という事を期待してしまう。  それ以外では、映像も主人公も美しいし、燭台や時計らの楽しいシーンも良い。音楽も素晴らしいのだが。  ただなあ、「美は内面に宿る」と言いながら、結局は人間に戻った王子が超イケメンなのはどうなのかなあ。まあ、普通に考えれば「内面の美」の外的な表現なのだ、という事なんだろうけど、王子が例えばホンコンさんみたいでもベルさん愛してくれますかね?エマ・ワトソンが美しいなんて、ウットリしている自分が言うのも何だけど。   ……やっぱり自分はこの作品の主題を本当には受け入れていないようだな。  でも、作品としては見事で9点。
[DVD(字幕)] 9点(2017-10-16 11:27:22)
13.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 
 2014年版のゴジラのレビューに、「平成ガメラの後に本来東宝が作るべきだったゴジラ」と書いたのだが、まさに本作がそれである。およそ20年の遅れである。だけど、まだまだそこかしこに嘘くささが残ってはいる。例えば石原さとみ。いろんな人に指摘されていて可哀想とは思うが、頑張ってはいても国を代表している感じゼロなのは悔しい。それでも飛べるはずもない格好した新兵器とか、訳の分かんない光線兵器などは登場せず、通常兵器と驚くべき流用の爆弾と、工事現場でお馴染みのポンプ車を使った「毒殺」作戦は面白い。  また、序盤で小さな川を登ってくるおかしな怪獣は、ゴジラの背びれだけ似せた別の巨大化生物(東宝怪獣映画でよくあるやつ)なのかと思ったら、そこからの進化がゴジラだというのも斬新で良い。   さて、ゴジラといえば「核(兵器)の象徴」という性格付けが付いて回る。今回も核廃棄物を食べた、と言う事になっていておそらくそれ故の異常生物だと。しかしながら、それが核の恐怖に繋がっている感じがないのが残念。周辺の状況はそれっぽい。例えば「直ちに影響はない」と言いながら次第に事態が深刻に推移した現実を茶化すように、専門家が進言する言葉が次々に覆されたりする描写は笑う。いや笑っちゃいけないが。  まあ、そう考えると「固めてしまう」という方策は、たしかに核のトラブルっぽい。所謂内部からの「石棺」であろう。   「逆襲」で人間がゴジラをやっつけたのを評価した自分だが、今回は通常兵器(厳密には化学兵器だけど)で、自衛隊が核の脅威を封じ込めるというのは、なかなか良い展開だと思ったが、よくよく考えるとゴジラはやられてはいけない存在のような気もする。そうしないとゴジラという物語が核批判にならないのではないのか。結果ありきで物事語るのは良くないとは思うが「頑張れば知恵と勇気で核は制御できる」なんてメッセージになりかねないのではないか。それでは原典を否定してしまう。  監督の発言(何かで読んだ)によると、うろ覚えだが「日本もまんざらダメではないゾ、頑張れ日本」というメッセージらしい。それはそれでアリとは思うが、世間(少なくともアメリカ版ゴジラを批判する一部の人達)の期待の反対を主張してしまう。   自分としては、続編『シン・ゴジラの逆襲』であの石棺(血液凝固)が崩れて、再び大暴れするゴジラを期待したい。そうすると、監督のメッセージを否定してしまうかな?
[映画館(邦画)] 9点(2016-08-03 18:48:03)(良:3票)
14.  青天の霹靂 《ネタバレ》 
 何らかの方法で過去の両親に会う人の話は、映画でも時折見かける。『メトロに乗って』や『異人たちとの夏』やらを思い出す。殊に『メトロ』は(これは主に原作の方にだが)、かなり感動させられたのだが、本作はそれらに勝るとも劣らないと思う。(我ながらなんてチンケな表現なんだ)   特に、母親との最後の会話での(悦子さんは)「生きる理由です」というシーン。親不孝だった私には特に、母親に「あなたは生きる理由だ」などと言える幸せは想像できない。というか、それが「幸せ」だと思う事すら今まで考えられなかった。  このシーンでの、大泉の顔が明るくなる描写。写実的にはオカシイと分かってはいるが、心情的に納得できる、そうだろうなと思う、この「表現」が素晴らしい。   そして「生きる理由」を知った主人公の、自信に満ち溢れた力強さを感じる、堂々とした最後のマジックの晴れの舞台も見事!代用だった白い紙のバラが、本当のバラに変わるマジックの意味。そしてこの手の「お約束」を消えるマジックに掛けて魅せるさま!本当に拍手喝采させられた。   このシーンがあまりに素晴らしく、最後の父親との再会シーンは無くても良かったのではとも思っている。
[DVD(邦画)] 9点(2015-01-01 00:02:03)
15.  男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 《ネタバレ》 
 いやぁ、泣いた。  今まで『男はつらいよ』というのは、寅次郎が永遠に女にふられ続ける人生を描いてきた映画だと思っていた。だがこの映画を見て、『男はつらいよ』というのは、寅がリリーさんに巡りあうための道程を描いた映画だったんだ、と思い直した。  自分の家で普段の夕餉の茶の間ですっかり気を許している時に、つい口に出たホンネ、プロポーズの言葉を「冗談」として笑い飛ばしてしまう寅の悲しさ。ド直球の本音であるのを承知の上で去らねばならぬリリーの哀しさ。もう、泣かずにはいられない。  そして、旅先でまたもや顔を合わした二人のやりとりの、なんと粋で楽しそうなこと。この二人は、こうやって永遠に旅の空で暮らすのが宿命で、それが幸福なのかもしれない。  50年も生きてきて「邦画が好きだ」などと言いながら、この映画を今まで見ていなかった己の不明を、我ながら大いに恥じねばなるまい。   渥美清さんが亡くなって、最後にこの作品の特別編が作られたのは知っている。そして、その一つ前の作品にリリーさんが登場するというのも知っている。どちらもまだ見ていない。この先の新たな展開があるのだとしたら、『男はつらいよ』というシリーズ映画の評価も変わるかもしれない。だがそれらを見ていない現時点でこの『寅次郎ハイビスカスの花』はシリーズ最高と言って差し支え無いと思う。
[DVD(邦画)] 9点(2014-07-21 22:29:56)
16.  マルサの女 《ネタバレ》 
 随分前から言われていることだが、新書のタイトルというのは、実にうまく作られているもので、そういうタイトルにつられて、時々興味のない分野の本を読むことがある。全く知らなかった世界の話や、気にも止めていない普通の出来事の意味を知る事となり、たいそう勉強になる。いや、勉強というより知的好奇心が満たされるという感じか。   この映画の(というか、この人の映画の)魅力というのはつまり、そういう部分にある。有職者の8割が被雇用者だという日本では、この分野に詳しい人はそうそういない。客数を少なく見せる手口、印を付けた札(これ、違法な気もするが)を使った不正の追求、当たりくじを売りに来る奴など、税の攻防にまつわる話がどれも面白い。漠然と「敵」だと思っていた税務署・国税関係者などと、脱税者を巡る闘いは、もちろんスパイ物のような派手さはないが、地に足の着いた頭脳戦でワクワクさせられる。  「戦」とはいっても当然、命の遣り取りをするわけでもないうえ、「査察が入って潰れた会社はない」そうなので、結構ゲーム的な感覚で安心して見ていられるのも良い。   それだからこそ、権堂と板倉の友情に似た、たぶん「好敵手」というのが一番似合うのだろう、その関係にグッとくる。
[DVD(邦画)] 9点(2013-08-21 00:43:13)
17.  アイコ十六歳 《ネタバレ》 
 原作のアイコを研磨してすっかりカドを落とした感じがするのは、その面白さでもある、彼女の一人称で語られる若者らしい考えの数々が、映画では見えないからだろう。  その代わり、さすが女の子映画の旗手、今関よしあきによる目にも楽しい美少女たちの、ごく普通の学校生活が楽しく美しく描かれている。   その辺、方向を違えていくのかと思ったら、数々のエピソードの中から、生き死にというテーマにそって、オリジナルとして首吊り死体発見や新任教師の自殺騒動など加えながら、次第に原作通りのクライマックスへ誘う展開は巧みである。そしてそれとは繋がりそうもなかった紅子の問題も、自殺未遂教師の件で着地(完全にではないけど)させているのも巧い。   しかし、今作の最大の魅力は、なんといっても(あんまり活躍しないが男子も含めての)高校生たち。夏の強い光をそのまま反射させているような、その輝きだ。ちなみに最後のシーンは本来年末の設定だったが、映画はすべてを夏(少なくとも夏服の時期)として描いている。これも正解。若い魅力にはまぶしい光がよく似合う。
[DVD(邦画)] 9点(2013-07-11 10:46:46)
18.  おおかみこどもの雨と雪 《ネタバレ》 
 おおかみは、人間社会で見つかると恐らく檻に入れられる存在、死んだらごみ袋に入れられる存在である。差別されるマイノリティ、なんてレベルではない、生き方でどうにかなるような甘いものじゃない、厳しい現実を表した設定なのだと思う。  そういう事って現実の社会でもあると思う。多くの「普通の」マジョリティには、分からない事だが本人にとっては世界が無くなるほどの事。理解者が見つからず、或いは自分自身を否定してしまって、死を選んでしまうことなども。   そういった事情の中で、その社会に適応して生きていこうと決めた姉と、その外側にも世界があることを見つけた弟。  どちらにも、その芽を摘まなかったお母さんは、立派に子供を育てたのだと思う。アンタ、すごいよ。
[DVD(邦画)] 9点(2013-03-28 11:28:17)(良:1票)
19.  レ・ミゼラブル(2012) 《ネタバレ》 
 リチャード・ロジャースが、何作もブロードウエイを賑わし、バーンスタインが『ウエストサイド』を作曲し、やがてロンドンから新しい才能が芽吹いた時代。評判の舞台は次々と映画化されて、数々の演者で楽しめた。そんなミュージカルの黄金時代と人生の最盛期を同期していた人たちを、羨ましいと思っていたことがあった。  しかし今、我々は遂に『レ・ミゼラブル』を手に入れた。私の時代のミュージカルファンにとって、これと『オペラ座の怪人』は、間違いない最大級の収穫と言っていいだろう。それが遂に映画で見られるようになった。ミュージカルファンとしては、これは評価をする映画ではない。祝福する映画だ。   細かいところ、不満が無い訳ではない。個人的にはシャウトや泣きによって、音を外す歌い方は嫌いだ。だから『夢破れて』は、もうちょっとしっかり歌って欲しかったりもした。エポニーヌの活躍が減らされて、彼女の死の場面のタメが若干軽くなった。最後の出番もその他大勢扱いだし。  また、他の人の部分で、明らかにキーの違う歌い合いの場面もあった。  それに作詞のクレジットはやはりブーブリルで、あくまでクレッツマーは、訳詞とするべきだろう。エンドクレジットの、メドレー曲は、あんな各曲をフェードで繋いだようなものじゃなく、ちゃんとした楽曲を作って欲しかった。   しかし、そんな事は全然OKなのである。私が今まで見てきた、何人ものバルジャンたちに、新たな個性が加わった、そのことが嬉しいのだ。  波乱に富んだバルジャンの人生を、最後に神が祝福したであろうように、長いこと待ったこの映画を、私は祝福する。
[映画館(字幕)] 9点(2012-12-22 00:12:36)(良:3票)
20.  ゴジラ(1954) 《ネタバレ》 
 それまで怪獣バトルの映画シリーズとしてしか、ゴジラを知らなかった私は、今から約30年前、高校を卒業した頃にやっと、これを見て驚いた。怪獣映画ではあるが、一般のパニック・サスペンス映画として、たいへん優れていると。   発端の事故から、次第に事の真相が明らかになってきて、その正体を現す厄災。船なんか3回も沈められて、まだ姿を現さない。この焦らし方、ゾクゾクさせるやり方は、サスペンスの定石だ。どう結び付くのかわからないサイドストーリーが、解決に結び付くさま。そして、何と言ってもゴジラの銀座での大暴れ。俯瞰のショットを巧く使っているとはよく言われることだが、もう一つ、計算ずくなのかどうか不明だが、黒つぶれで、全てをくっきり見せるわけではない画面、それによる恐怖。実に見事なパニック映画だ。  そして、ゴジラが評価されている最も大きな理由、ゴジラの精神的柱とも言える、核兵器への批判、反戦・平和への主張。長崎から逃げてきた女や、戦争によってお父さんを失った家族などを巧みに描写して、戦争・原爆の記憶を引き出し、その恐怖とダブらせて、巨大生物を見せる手管。全く見事だという他ない。 【訂正】俯瞰ではなく仰観でした。
[DVD(邦画)] 9点(2012-10-31 22:54:00)(良:2票)
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