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1.  永遠のこどもたち 《ネタバレ》 
ホラー作品とカテゴライズされているし、随所にそういう演出はあるが、ホラーというよりも母子の関係、過去との関係の方にウェイトはあるように思う。  ■伏線の回収は、細かいシーンまでよく考えられていて非常にうまいと思う。ラストの展開はけっしてバッドエンドではないと受け止めた。過去に生きることを決め、シモンと一緒にいられるのだから、決して不幸ではないだろう  ■しかし、だからこそ逆に設定の不自然さが目立ってしまうように思った。トマスがいじめられて殺された話、その子供たちへの復讐、子供たちの遺体を回収に来る流れ、そして交通事故、シモンとラウラが5人の子供たちに狙われる展開、この辺がなぜそうなっているのかよく分からない設定だらけ。もう少し過去パートを詰めてくれた方がきちんと話に乗りこめたと思う。細かい部分が上質なだけにいささか残念
[DVD(字幕)] 8点(2013-08-26 23:07:23)
2.  アメリカを売った男 《ネタバレ》 
実話ベースということもあり、展開は淡々としており、サスペンスフルな展開を期待すると肩透かしを食らうかもしれない。この映画は二人の人間を描き出すことに注力しており、それには成功していると思う。  ■FBIという敵を探る立場にいながら、敵に情報を流すハンセン、その部下として配属されながら、上司を監視するオニール。ともに何らかの歪みと衰弱を抱えていく。やはり本心を打ち明けられずに生き続けるというのは、相当に辛いし、人間を曲げてしまうのだろう。オニールが去ったのも、それを感じ取ったからではなかろうか
[DVD(字幕)] 7点(2013-01-14 23:52:45)
3.  エリン・ブロコビッチ 《ネタバレ》 
自分勝手で子供を抱えつつバツ2のダメな女性が、ひょんなことから弁護士事務所で働き始め、巨大企業相手に公害の賠償金を勝ち取るまでを描くサクセスストーリー。気軽に安心して見ていられるタイプの映画。  ■シングルマザーの子育ての問題と、公害訴訟の問題、二つを抱えて奔走していた姿は分かるが、全体が広く浅くなってしまっている印象。恐らく最も力を入れたのは「住民との親密なコミュニケーションにより、信頼を勝ち取ること」の部分なんだろうから、そこ(特に困難)をもっと描いた方がよかったように思う。  ■ラストも、もともとこの訴訟で重要だったのは「500万ドル」という金額じゃなくて、企業に非を認めさせてきっちりと責任を取らせることだったはずなんだから、あの終わり方は何かしっくりこない。  ■でものんびり見る分には楽しめると思います。ジュリア・ロバーツが鼻につく人もいるかもしれませんが・・・
[DVD(吹替)] 8点(2012-10-04 23:12:23)(良:1票)
4.  ザ・ペスト 《ネタバレ》 
これはすごい。いかにもチープなタイトルだがここでの高評価を信じて鑑賞。期待を裏切らない高密度な内容で、3時間全く飽きなかった。  ■謎の伝染病による患者が運び込まれる。調べてみると、過去の病気だと思われていたペストである可能性が強まる。信じがたいが、二件目の患者が発生する。だがパニックや都市機能低下を恐れて政治の側では大胆な封鎖措置に踏み切れない。そうこうしているうちに感染は一気に広がる。  ■しかしやはりケルンの街が隔離政策によって死に絶えていく描写が一番すさまじい。逃げ出す人々は平然と軍隊が撃ち殺す。主要登場人物も容赦なくペストにかかって死んでいく。  ■劇的なドラマがあるという感じではない。淡々と病気が広がっていく。しかしそれはかなりリアルな感じであり、そこに強い緊迫感が生まれているのだろう。傑作
[DVD(字幕)] 10点(2012-07-01 00:36:38)
5.  ナイト・ウルフ 武装襲撃 《ネタバレ》 
超マイナーな作品だがなかなかどうして拾いもの。適当なハリウッド映画なんかよりもよほどリアルでよくできている。  ■チェチェンのテロリストがテレビ局を占拠する、というありがちなテロリストものだが、ヒーローがいるというわけでもなく、警察の対応は後手後手で終始裏目に出る。でも実際の事件はこんななんだろうな、とは思うけど。  ■後半は怒涛の展開で、徹底して先回りしていく犯人、そしてどんでん返しに銃撃戦と急展開する。ものすごくコンパクトな映画。  ■しかしタイトルやパッケージの売り文句は全然違うよねえと思う。あれに惑わされないように
[DVD(字幕)] 9点(2012-06-27 22:39:42)
6.  ディア・ドクター 《ネタバレ》 
「その嘘は、罪ですか。」が内容を言い表している。過疎地の無医村における偽医者、その嘘を皆で真実にしつつ、土壇場になったら手のひらを返す村人たち。偽物であり、自分とは関わりのないことだと言い張りつつも、全否定はせずにどこかでその意義を皆が認めている。そうしたギリギリの難しい問題をこの映画ではまさに投げかける。  ■なぜ釣瓶が偽医者になろうと思ったか。当人は「撃たれたから返し、を繰り返していただけ」と瑛太に語り、香川照之はわざと倒れそうになって警官が手を差し伸べたところに「なぜあなたは手を差し伸べたのか。自分を愛しているからではないですよね。それと同じだ」という。最初の動機は楽な金もうけも多少はあったのかもしれないが、来てみると全く違ったのであろう。そこは最終的には観る者に投げられたままだ。  ■八千代薫、井川遥母子の関係は非常にうまい。全体として皆素晴らしい中でこの二人の演技は際立っている。井川が泣くのをこらえるシーンは名演。
[DVD(邦画)] 9点(2012-05-05 00:49:14)
7.  誰も知らない(2004) 《ネタバレ》 
実際の事件(参考:http://ifinder.jugem.cc/?eid=190)とは大分違うが、この事件をそのまま描いたらすさまじく陰惨な映画にしかならないことは想像に難くないので、この程度の描写が限界だっただろう。そうであっても、この映画が描き出している事柄は重い。  ■この映画での長男は、並大抵の大学生よりはきっと「大人」だろう。誰かにやさしくしてもらいたいくらいの年頃で、誰にも頼ることもできず、一人で3人の弟・妹の面倒を見続けてきた。(頼ってくる人はいても)頼れる相手がいないという意味では「孤独」だったのだろう。一方の弟・妹も、(恐らく)生まれてから一回も外に出たことがないような生活を強いられるというのは想像を絶する。  ■子供を産むということは、それだけ責任を伴うということだ。それまでは自分の好き勝手に生きることを許されていただろうが、親になってしまえば自分を頼ってくる子供がいるのであり、それに答えられる人間に親はならなければいけない。この映画の母親は、そのステップを踏みそびれてしまい、「のんきに遊んでいられる一若者」の精神で子供を次々作ってしまったのだろう。  ■ただ、映画の展開としていくつか気になるところもあった。例えば、途中からかなり尽力してくれる紗希が中学で激しいいじめを受けているという設定があまり生かされていないように感じた。彼女は数少ない外側の世界との接点なのだから、そこはもっと踏み込んでもよかったと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2011-08-27 01:34:12)(良:2票)
8.  ククーシュカ ラップランドの妖精 《ネタバレ》 
初めは「ノー・マンズ・ランド」っぽくくるのかと思いきや全然違った。どこか幻想的な雰囲気のある反戦映画。  ■話が通じ合わないことを示すためにセリフを使うというのはなるほどと思わされる手法だが、しかしその割にはみんなしゃべりすぎだろという不自然さはやっぱり気になってしまった。音楽だけの無音劇の方がこういう感じならよかったかも。  ■あと、後半の展開が強引さを感じてしまった。特に最後の魂を呼び戻すのはさすがに無理があると思う。あんだけ撃たれてピンピンに戻れるとは思えない。。。
[DVD(字幕)] 5点(2011-07-24 00:20:48)
9.  ヒトラー 最期の12日間 《ネタバレ》 
第三帝国崩壊の最後を描き出した問題作。ヒトラーを「一人の人間」として描き出そうとして物議をかもしたというが、まさにその「俗」な側面も含めてきちんと描かれていたと思う。  ■負けゆくときに何を考え、どう行動するか。そこに人間性は現れるように思う。最後までヒトラーに従って死のうとするもの、無駄死にを避けようとするもの・・・タイトルとは裏腹にヒトラー以外の人物もよく描かれているので、そういうところは見どころであろう。  ■そういう意味では、やはり「日本のいちばん長い日」と比較しながら見てみたい作品であろう
[DVD(字幕)] 8点(2011-07-09 00:02:35)
10.  クロッシング(2008) 《ネタバレ》 
なんというか、ここまで悲惨な現実がすぐそこの国で起きているとは、と思わされる。サッカー選手でさえ妻の病気のために、韓国でなら無料で配られるような薬を手に入れることすらできない。そのために命がけで(本当に命がけで)中国に行って薬を入手しようとするが、結局家族を助けることは出来ない。  しかしこれが北朝鮮の現実かと思うと悲しくなってくる。  雨が効果的に使われており、また風景等もとてもきれいで好印象だった。だからこそ、ラストの展開はなおさら悲しくさせられる。
[DVD(字幕)] 6点(2011-04-10 23:52:09)
11.  レクイエム(2009) 《ネタバレ》 
これは掘り出し物。「復讐」と「赦し」という難しい問題を、決してありがちな美談としてまとめるのでも、サスペンタフルな復讐劇としてまとめるのでもなく、人間の深いところをきちんと描こうとしている。  ■兄を目の前で殺されたジョー。彼はずっと母親から「あなたは止められたはずなのに」と責められ続けてきた。一方、若気の至りで殺人を犯したアリスターも、見ていたジョーを忘れることが出来ず、罪に苛まれてきた。  ■TVっぽい和解劇は失敗に終わり、ジョーは復讐の方向へと動く。アリスターも殺されるであろうことは理解していた上で出向く。結局は格闘の末にある種の「怒り」はどこかに消え、ジョーは娘たちのために生きることで過去への「終わり」を告げる。  ■結局ジョーは「赦した」のではなく、ただ「終わった」つまり過ぎ去ったものとして忘れ去ることにしたというのは、いろいろと示唆的だし同時に現実的な気がした。人はいつまでも過去に生きることは出来ない。過去に縛られるのは現在に意味を見いだせていないからだ。ジョーは「現在」として「娘たち」を見出し、過去と決別する。過去は「忘れ去る(乗り越える)」ことによってしか克服できない、そのためには「今」を生きるしかない、そう言っているように思う。
[DVD(字幕)] 9点(2011-03-26 00:38:04)(良:2票)
12.  ココシリ 《ネタバレ》 
チベットの密猟者とそれを追う山岳パトロール隊を描いた秀作。実話ベースと言うだけあってリアルで、また自然の残酷さも容赦なく映し出されている。  ■やはり流砂に飲まれるシーンと、凍死した仲間から即座に荷物を奪い取るシーンは圧巻。なんといっても「リアルな怖さ」がある。そして、報われないラストもまた悲壮感をあぶりだしている。  ■ただ、逆に個々人の心情描写があまりに薄いので、入り込めなかったのも事実。なぜあそこまで密猟者を追うのか。なぜ密漁せざるを得ないような状況にまで追い込まれたのか。そういう描写が全然ないので、自然の残酷さだけが伝わってくる作品になってしまった。
[DVD(字幕)] 8点(2011-03-11 00:59:43)
13.  オアシス 《ネタバレ》 
難しいところをついている作品だが、個人的には主演2人の圧倒的演技と比べると、ストーリーや構成はわりと失敗している印象。もっとも賛否両論でいいと思うが、このレビューを見ていると肯定的意見があまりに多いので、やや辛めの視点からレビューする。  ■とりあえずジョンドゥの行動はあまりにも周りの人々への迷惑を顧みなさすぎる。「周囲への迷惑」というのは要するに「他の人々への共感の欠如(他の人が自分の行動によってどういう感情を抱くかを考えない)」ということであり、人への共感を欠く人間が愛(究極の他者志向)を語ってみたところでそれは空虚なのである。  ■確かに「周りを顧みない純愛」を描いた映画は多数存在する。だが、それらの作品では、他者への共感を主人公がそもそも欠いているのではなく、他者への迷惑の存在は認知したうえで「それでもなお」愛の方を選びとるという選択をしているがゆえに美しいのであり、「最初から迷惑が認知されていない」のでは何も美しくない。  ■もちろん、何の役にも立たない形式や制度だったら破っても構わないかもしれない。しかし本作では人の邪魔をしたり、人のものを勝手に使ったりするなどという、直接的に人に損失を与える方向に向かっている。コンジュを冒頭で襲うのは明白に「相手の障害を利用した悪質な強姦」でしかなく、相手が「たまたま」自分を好きになったからそれで事が見逃されるという、極めて薄気味悪い展開なのである。  ■ジョンドゥの(軽度)知的障害が恐らく上記の弁明として使われているのだろうが、「知的障害だから周りに配慮できなくても仕方がない」という発想自体が、一見博愛主義的でいながら、実は「障害者には自分たちと同等のことを求め得ない」という「格下扱い」が滑り込んでいる。障害者が「自覚せずに周りを傷つける存在」ならば隔離するしかないのであり、障害者を同じ地平で扱うからこそ初めて共存できる。ジョンドゥのコンジュへの愛は本物だろうが、ジョンドゥを「障害者だから」で見逃すのは「あんな女で興奮するのか」と言ってのける警官と大差ないまなざしである。  ■なお、主演2人の演技は本当にすごい。コンジュ役のムン・ソリは普通に戻るシーンではすごくきれいなのがすごいコントラスト。あれをほぼ全編通したのはすごい演技力だと思う。
[DVD(字幕)] 5点(2011-02-23 00:59:05)
14.  瞳の奥の秘密 《ネタバレ》 
見終わって、ずっしりと心に響いてくるタイプの映画。ロマンスとサスペンスをギリギリのところでかけ合わせていて、細部に甘いところはあるものの、非常に好感度は高い。でもメインは多分サスペンスでもロマンスでもなくて「人間は過去とどう向き合うか」という永遠の主題であろう。  ■カメラワークがとにかく秀逸。スタジアムの中に一気に引き込む回し方や、ゴメスと一緒に落ちていき、捕まるところまで撮っていく一連の長回しは圧巻。最後を扉が閉じて終わらせたところや、牢屋の小屋に入っていくシーンなど、細かなところにも写し方をこだわっている。  ■タイトルにもあるように「瞳」の演技が素晴らしく、まさに何も語らないところで「瞳で語る」ようなシーンも多い。駅の別れや誘うシーンなどのわかりやすいところから、タイプライターを打つちょっとしたシーンまで、瞳がいろいろと語ってくる。  ■最後の展開は決して私刑を擁護しているのではなく、まさに人は過去に囚われざるを得ず、特に「時間が止まってしまった」かのような男リカルドはあのようにならざるを得ない、そういう「不条理」を示しているのであろう。過去は忘れるのでもなかったことにするのでもなく、それにとらわれながらしか生きられないし、その中で最善を尽くすしかない。「よい方の選択肢を」とベンハミンにいうリカルドは、裏を返せば自分には選択肢すら与えられなかった(妻を失うしかなかった)ということを示唆しているのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2011-02-21 01:20:51)(良:2票)
15.  ぼくは怖くない 《ネタバレ》 
ストーリーそのものは極めて予想できるものにもかかわらず、心に響いてくるタイプの作品。「囚われた子供」というミステリー性はあまり生かされていないが、その「非日常性」は利いてきているように思う。  ■「なぜあの子は閉じ込められているのか」については、ミケーレが夜に考えていたようなストーリー(映画「鬼畜」や劇場版「TRICK」とかそんな感じ)の方が面白いと思う。そこら辺はちょっともったいない気も。実際、設定が「誘拐」であることのメリットはほとんど利いてないわけで、だとしたら「村における秘密の掟or差別的偏見」みたいな方が。  ■この映画を「大人」と「子供」と切っている人は多いけど、それは必ずしも当たっていないと思う。例えば、子供たちの中でも「罰ゲーム」と称して女の子を脱がせようとしたり、落ちたら大怪我しそうな梁の上を歩かせたりはしているわけだし、ミケーレも秘密を話した友人にあっさり裏切られる。しかも裏切った理由は「車を運転してみたいから」というしょうもない動機。  ■だからこの村は「強いものがのさばる社会/正直者がばかを見る社会」であり、子供たちはまたその縮図の中にいると見た方がいいだろう。そしてミケーレの父はまさにその中における「負け組」に位置している。くじ引きにおける二度の「負けを引く」という演出が彼の「運の悪さ=負け」を象徴している。両親は負けたレースにおいて損な役回りをさせられ、結局犯罪に転落して社会からもはじかれる存在になっていく。そしてそれはミケーレ自身も引き継いでおり、だから母は「村から出ろ」というのであろう。
[DVD(字幕)] 8点(2011-02-18 01:35:10)
16.  鬼が来た! 《ネタバレ》 
難しい作品。とりあえず単純な「日本人として恥ずかしい」型の感想は論外ではあるが、評価はさまざまな情報を加味しないと行けなくて難しい。  ■とりあえず単純な反日映画ではないだろう。確かに全体としてのバイアス(特に「中国人の善良性」についてはなかなか怪しい)はあるが、それはそもそもあの国で戦争映画を作ろうと思ったら中国政府に肩入れするようにしか出来ない状況にある(本作でさえ「日本人に優しすぎる」と上映禁止らしいし)ことを加味すれば、まあ仕方がない側面は多分にあると思う。  ■他国の人が見てどう思うかだが、戦争映画でそんなに「何人か」って見てて気にするのかはわからないところ。似たような映画だと例えば「コーカサスの虜」を見てロシアが嫌いになるかとか、そういう感じの問題じゃないのかな。  ■ちなみに敵前逃亡ってどこの国の軍でも厳しく罰しているものだから、あれは日本だけではないと思う。  ■個人的には、マーのラスト直前での行動があまりに突発的なので、そこをもう少し自然な感じでつなぎ合わせた方がいいと思った。あれだと本当にただ気がふれただけだし。  ■あと、あまり注目されていない気がするが、トンの処刑は意外と重要だと思う。マーは曲がりなりにも殺人者なわけで殺されてしかるべきともいえるのに、その処刑には自らの手を汚したがらない。他方でトンはあの状況下ではどうしようもない展開をたどり、最後には処刑されるのだが、それは躊躇せず中国軍で処刑する。そして二人とも笑顔で死ぬ。。。  ■何人かの方が触れているように、本作では「権力」「上下構造」が虐殺・殺人を招くというのがメッセージに含まれているだろう。だがその上で言うと、それだけでは実際にはなかなか殺人というものは起きず(人間は罪を犯したくないもの)、引き金になるのは「透明性(誰が殺したかわからない、死んでも自分のせいではない)」である。その意味で、虐殺の引き金となる花屋の刺殺もマーの殺人も「顔の見える状態での殺人」であり、現実の戦場とは違うなぁと思ったり思わなかったり。
[DVD(字幕)] 10点(2011-02-14 00:22:04)
17.  ぼくのエリ/200歳の少女 《ネタバレ》 
私はキリスト教におけるヴァンパイアの位置付けとか、ヴァンパイアの性質とかはあまりよく知らないので、細かな描写がどうなのかはイマイチわからない。それにヴァンパイアものは初めてなのでどうなのか不安になりながら見たが、予想以上に面白かった。  ■カテゴリとしてはヴァンパイアもの=ホラーではあるが、グロ描写満載で覚えさせるような作品ではなく、むしろある種の芸術性を強く感じさせられる。雪の白、闇の黒、血の赤、この三色がうまくコントラストをなしている。乾いた描写とエリ役のもつ美しさと同時の不安感(不気味さ)が非常にうまい。残虐なシーンを巧妙な構図とカットによって直接的にではなく心に響くようにしている。  ■それぞれがそれぞれの悲しさを含意している物語の展開も深い。いじめられっ子のオスカーは「支えてくれる人」と「強さ」を求める。だが「強さ」はプールのところで自分へと跳ね返ってきて、それは「自らの強さ」によってではなくエリによって救済される。 他方のエリは「理解者」を求める。だが、プールの惨劇のみが本質的に「グロい」シーンになっているところが、エリによるオスカーの救済が、同時にオスカーに自らの完全な「理解者」になってもらう道を閉ざしているようにも思える。エリはオスカーの補完者であり理想像でもある。ある意味で「ファイト・クラブ」を彷彿させられるような。。。  ■邦題のひどさ(笑)はひとまず置いておきましょう。
[DVD(字幕)] 8点(2011-02-11 01:04:18)
18.  レスラー 《ネタバレ》 
「落ち目の男」を描くという、珍しいけど外さなそうなポイントを、これまた素晴らしいチョイスでミッキー・ロークを持ってきての本作。  ■本作の一つのポイントは、落ちぶれたのが周りの冷遇のせいだけではなく、明らかに本人の責任であるものも多い(娘の約束すっぽかすと・・・)という点だろう。そのポイントが、ランディに同情するかどうかという話ではなく、純粋に「武骨でダメな男の生きざま」になっているのだろう。あまりあの生き方に憧れはしないが、盛りを過ぎると自分もこうなるのかなと思いながら見ていた。  ■さて、あまり関係なさそうだが、これを見ながら美空ひばりの復活コンサートのことを思い出していた。あれもかなり無理をした復活コンサート直後に倒れている。やはり栄光のプロは自分の生きる場所、そして死に場所を最後まで自分のステージに求めているのだろう。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-27 00:34:13)
19.  エグザム 《ネタバレ》 
ワンシチュエーションものは「CUBE」「SAW」などに追従していろいろと出てきているが、本作はかなりレベルの高い部類の属すると思う。決してグロ描写等に訴えて逃げるのではなく、徹底して知能戦を繰り広げるのは好感。  ■最初の感じは「SAW」に近いのかと思わされたが、むしろ「CUBE」に近い印象(いる人間の本性が徐々に明らかになってくる感じなど)を受けた。仕掛け自体は引っかけクイズレベルだが、それを包み隠す雰囲気がうまく、きちんと引っかかってしまった。  ■個人的には、最初に動きだした男の読み「残りのものを失格にすればよい」だと思ったのだが、違ったのね。あのタイマーはきっと何か仕掛けられる(ドラマ「ライアーゲーム」の最初の一億円争奪戦で似たようなのがあったし)とは思ったけど。  ■ただ、最後の撃つ展開は無駄な気がした。あそこで一気に非現実的技術の印象を受けてしまったし。収束はもう少しうまくやれた感じ。その辺が少し心残り。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-23 23:24:42)(良:1票)
20.  愛してる、愛してない...(2002) 《ネタバレ》 
これは巧い。ラブストーリーは全然見ないし苦手な自分でも非常に楽しませてもらえた。  ■なんといってもカギなのはオドレイ・トトゥの純粋そうな目だと思う。前半はあの報われない展開とけなげさ(?)によって完全に引き込まれた。それを一転させる後半のあの展開は衝撃的。なんか歪んでるなぁと思っていたがまさかああいうことになっているとは!  ■こういうフランス発ラブストーリーは「アパートメント」で見た感じだけど、こっちの方がわかりやすい。あっちは後半を異常な視点から描くのに対し、こっちは後半を正常な視点から描いているのが差かな。しかしすべて謎が解けてみるとあのお医者さんはかわいそうすぎる。。。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-15 23:30:46)
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