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プロフィール
コメント数 2506
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  ザ・スイッチ 《ネタバレ》 
原題の“Freaky”から大林宣彦の『転校生』の元ネタで入れ替わりコメディの始祖である『フリーキー・フライデー』を思い起こされるが、実際のところ製作者は『フリーキー・フライデー』のホラー・コメディのつもりで撮っていたそうで、ご丁寧に当初のタイトルは『フリーキー・フライデー・ザ・13th』だったんだって。シリアルキラーのヴィンス・ボーンの中身がJKになっちゃうというかなり突飛なアイデアなんだが、大男のボーンのおネエ演技がこれまた上手いんだよな。シリアルキラーが入り込んだJKが殺しまくるというのは今までに観たことあるような絵面なだけに、無精ひげ生やした大男のボーンが際立っていたと思いますよ。いくら中身がシリアルキラーだと言っても身体はあくまでJKなんで体力は劣っていて格闘戦では簡単に負けちゃうというところなんかは、確かにそうだよね、って納得してしまいます。中身がJK男の方はお約束の下半身ネタになるわけですが、これは入れ替わりものの定番ですね。ストーリー自体はこれでもジュブナイルを意識したような感じです。それにしてもかなりユルユルな脚本で、とくにラストのヴィンス・ボーンの復活なんかは「これはいったいどうなってるんだ?」と頭を傾げてしまいました。 あの傑作『ハッピー・デス・デイ』シリーズと同じ製作陣なんで期待しましたが、思ったほど才気が感じられず普通のスラッシャー・コメディだったかな思いました。それより早く『ハッピー・デス・デイ』シリーズ三作目を撮ってほしいなぁ…
[CS・衛星(字幕)] 6点(2025-04-30 22:09:13)★《新規》★
2.  キングスマン: ファースト・エージェント 《ネタバレ》 
この作品は『キングスマン』シリーズの前日譚かと思って観始めたが、こりゃ完全にスピンオフですよね。いきなりボーア戦争で大英帝国がナチスに先だって建てた強制収用所が登場、その後の展開も史実を巧みにフィクション化した小ネタが満載の脚本は、歴史マニアをも唸らせる脚本は秀逸でした。もっともマタ・ハリがウィルソン大統領にハニートラップを仕掛けて脅迫するなんてのは、ちょっと悪ノリが過ぎた感もありますがね(笑)。ヴィルヘルム二世・ジョージ五世・ニコライ二世の三君主をトム・ホランダーに三役で演じさせるというのは、なかなかぶっ飛んだアイデアだったと思います。実際のところ三人ともヴィクトリア女王の孫でいとこ同士、とくにジョージ五世とニコライ二世は双子かというぐらいのそっくりさんだったという史実を上手く織り込んだ演出でした。フランツ・フェルディナンド大公暗殺犯のガヴリロ・プリンツィプと怪僧ラスプーチンやマタ・ハリが闇の組織のメンバーで首領の指示のもと第一次世界大戦を引き起こさせて大英帝国を窮地に追い込むという陰謀論丸出しのストーリーも、実際に起こった数々のイベントを巧みに落とし込んでいるので愉しめましたし、おまけに実はレーニンそしてヒトラーまでもがメンバーだったとは!こりゃあ史上最悪の陰謀組織じゃないですか(笑)。でもそんな組織のボスがみみっちい動機の復讐が目的だったとは、小物感が半端無かったのがちょっと残念でした。でもやっぱラスプーチンがいちばんキャラが立ってましたね、あのコサックダンスを取り入れたようなレイフ・ファインズとの剣の決闘は、この映画の最大の見せ場だったと思います。レイフ・ファインズもリーアム・ニーソン顔負けのアクション・シーンを見せてくれて、新たな熟年アクション・スターの登場だったのかも。マシュー・ヴォーンの演出も前二作の様な羽目を外すようなところもなく、極めてオーソドックスだったんじゃないかな。まあ肩の凝らない愉しめる映画だと思いますよ。このスピンオフもシリーズ化するのもアリかな。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2025-04-27 23:10:00)《新規》
3.  脳内ポイズンベリー 《ネタバレ》 
自分も原作漫画は読んでないけど、脚本書いているのが例の〝原作クラッシャー”として悪名が轟いている相沢友子なので、この映画がどこまで原作のテイストが活かされていたのかはちょっと心配なところがあります。まあとにかく、ヒロインに寄ってくる男たち、早乙女・越智・いちこの元婚約者がそろってクソ野郎なのがひどすぎでした。いちこ「昨日誕生日だったんだ」早乙女「それで幾つになったの?」いちこ「ちょうど三十」早乙女「えっ、三十、そりゃないわ…」こんな返しをしちゃう男はほんとサイテーです、いくら後で言いつくろっても〝三十歳と知って思わず本音が出ちゃった”としか受け取れませんよね。まあこの後のいちこの落ち込みと脳内メンバーのリアクションが、本作でいちばん笑えたところでしたがね。結婚式寸前で違う女を孕ませちゃう元婚約者はもちろんですが、担当作家にガチ恋しちゃう編集者もけっこうヤバいんじゃないかな。脳内会議のメンバーでもやはり目立ち過ぎるぐらいだったのはやはり吉田羊と神木隆之介ですが、自分にはこの演技が上手いというよりウザくしか感じませんでした。いちこがHをするときに現れる〝黒い女”、なるほど快楽に身を預けるときには理性や感情もブラックアウトしちゃうんですね、いちこという女は実はかなり肉食系女子だったんですね(笑)。コメディというよりはかなりシリアスなストーリーなんですが、後半にかけて一昔前のトレンディ・ドラマみたいな雰囲気になっている感じがするんですよね。よく見るとフジTV資本の映画じゃないですか、そりゃそうなるよね。ラストはヒロインがクソ男・早乙女をきっぱり捨ててくれたところにちょっとカタルシスが有ったので、プラス一点を献上します。相沢友子脚本なので、最後はよりを戻すなんていうクソなハッピーエンドになっちゃうんじゃないかと心配でしたよ。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2025-04-24 22:48:12)
4.  荒野の隠し井戸 《ネタバレ》 
軍の倉庫には金塊が50キロ保管されていたが、隣接する靴職人の店からトンネルを掘り、倉庫番の曹長の手引きによってまんまと盗み出されてしまった。一味の一人が金塊を隠したが、ギャンブラーのジェームズ・コバーンと酒場で揉めて射殺されてしまう。かすめ盗った20ドル札に書かれた地図から金塊の隠し場所に気が付いたコバーンは、町の保安官の自慢の愛馬を奪って隠し場所に向かう。かくしてコバーン・保安官・コバーンに手籠めにされた男勝りの保安官の娘・本来の金塊強奪犯たちが四つもどえになって金塊の奪い合いが始まるのであった。 まったくと言って良いほど無名の西部劇コメディですけど、テンポも良く短い尺の中で二転三転するストーリーはなかなか愉しめました。なんといってもジェームズ・コバーンの飄々としたコメディ演技がシャレてます。バンバンと銃撃するシーンはあるけど、意外なことに序盤でコバーンが決闘で倒す一人の他に死人が皆無というところもイイですね。『OK牧場の決闘』風に各キャラクターの解説や心情を、カントリーミュージックで延々とナレーションするのも洒落ています。音楽担当は若き日のデイヴ・グルーシンで、グルーシンと言えば洒落た雰囲気の音楽というイメージなのにこんなコテコテのカントリーミュージックもできるとは、さすが多才です。クレジットはありませんが、ブレイク・エドワースがプロデューサーとして参加している影響も大きかったのかな。 とはいっても観る機会も少ないほとんどカルト的な映画ですが、観たら決して損はないと思いますよ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-04-21 23:26:11)
5.  シビル・ウォー アメリカ最後の日 《ネタバレ》 
英国人のアレックス・ガーランドだからこそ、こういう洒落にならないような際どい題材の作品が撮れたのだろうと思います。〝米国で内戦が発生!”というでかいテーマを非常にミニマムな視点でしかもロードムービーとして撮っていますが、しょうじきなんで内戦が勃発する事態に至ったのか現在の情勢はどうなっているのかなどの基本的にオミットしているので、ワシントンDCへと向かう四人の視点でしか情勢が判らないようになっています。反乱軍としてタッグを組んでいるのがカルフォルニア州とテキサス州というちょっと現実にはあり得ないけど、リアルな米国の政治情勢を織り込んで刺激が強くならないようにという配慮があったんでしょうね。だからワシントンに近づいていっても何がどうなっているのかさっぱりで、どうやら政府軍は敗北しそうでそうなったら大統領は殺されることになりそうだということぐらい。その代わりに四人は道中で様々な理由で虐殺された一般市民を見ることになるわけで、まさに合衆国は北斗の拳の世界の様な修羅の国になっているということです。それでも途中には〝国が内戦状態であることを見ない”という現実逃避に走って平穏な暮らしが続いている町もあるわけです。設定では反乱側は全米50州中の19州、つまりいちおう連邦政府を支持する州の方が多いことになっていますが、きっと様子見というか傍観しているだけの国民が多いということなんでしょうね。主人公たちは報道カメラマンにTV記者そしてNYタイムズの記者でいわゆるオールド・メディアの奮闘を描いているとも取れますが、このSNS全盛の時代にはちょっと現実離れしている感も無きにあらずです。見習いカメラマン的な立ち位置のジェシーがニコンのアナログモデルを愛用していて屋外で使用できるキット(そんな優れモノがあったとは知らなんだ)を使用してフィルムを現像するシーンがあるところなんか、監督の意思が伺えたような気がしました。ラストの展開なんかトランプが観たら激怒することは間違い無しですが、さすがにハリウッドではあの写真のショットで幕を閉じるなんてことは、絶対ムリでしょうね。それにしても久しぶりにキルスティン・ダンストの出演作を観た気がしますが、すっかり歳相応のおばさん顔になっていましたね、これはイイ意味での誉め言葉ですけど。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2025-04-19 22:58:47)
6.  シコふんじゃった。 《ネタバレ》 
周防正行の作品には独特の品の高さがあるのが好きです。初期の『ファンシイダンス』・本作・『Shall we ダンス?』の三作の中では自分は本作がいちばん好きで、周防正行の最高傑作なんじゃないかと思っています。大学スポーツクラブ活動を題材にしたテーマにした日本映画は意外と少なく、ましてやミッション系大学の相撲部とくればある意味突飛なアイデアと言えるぐらいです。ほんと、立教大学(教立大学)に相撲部があるなんて恥ずかしながら知りませんでしたし、たしかにイメージし難いですよね。本木雅弘のチャラい軟派な大学生というキャラは前作『ファンシイダンス』からの踏襲ですが、まさにイメージ通りだし二作しかなかったけど周防正行と本木雅弘の相性は抜群に良かったんじゃないかと思います。相変わらず本作でももっともキャラが立っていたのは竹中直人ですが、他の映画ではウザくなるのに周防作品ではかなり(これでも)抑制した演出で光る存在になり、とくに本作は最高でした。他の登場人物もみなキャラが立っており、かつて学生横綱だったという穴山教授=柄本明という、軟弱学生しかいない現実に相撲部存続を半ば諦めているけどここぞというときには自らまわしを締めて的確に指導するという不思議なキャラが光っていました。そして男装して土俵にあがって試合に臨む巨漢女子マネージャー、凡庸な脚本ならこの顛末のてんやわんやをコメディにしてしまうところなんですが、この健気な女子マネージャーの奮闘にはホロリとさせられるような感動が生まれるところが素晴らしいところです。相撲のシーンのバックにジャン・コクトーの文章を被せてくる、こういうセンスも私は好きです。まわしを締めるのを拒否する交換留学生やキリスト教の学校なのに土俵部屋に神棚があるとか、日本文化をさりげなく皮肉る視線も忘れずに盛り込んでいるところも秀逸です。ラストで清水美砂がもっくんと四股を踏む爽快感も、堪りません。 数年前に立教大学相撲部が、周防正行を名誉監督に任命したそうです。やっぱ立教大学相撲部は実在するんだ(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2025-04-15 23:38:36)
7.  大人は判ってくれない 《ネタバレ》 
記念すべきトリュフォーの“アントワーヌ・ドワネル”ものの第一作。彼はアントワーヌ・ドワネル(ジャン=ピエール・レオ)の人生を定点観測のように20年にわたって映像化するという実験的とも言える活動をしたが、同一演技陣を使って12年間の物語を一本の映画にしたリチャード・リンクレイターの『6才のボクが、大人になるまで。』の構想の元になっているかもしれません。考えればリンクレイターは『ビフォア~』シリーズでも同一のキャラの18年間を同じ出演者で撮っているし、けっこうトリュフォーからの影響というかリスペクトが強い印象があります。 どうやら私生児として息子を出産したらしい母親と義理の父親という両親を持つドワネルくん、血の繋がりのない父親はどちらかというと鷹揚なのに母親は常に彼に厳しくあたっている。12歳なのに実は自分は母親が中絶するはずだった子だとすでに知っており、これじゃ険悪な母子関係になっちゃうのも納得しちゃいます。劇中ほとんど喜怒哀楽の表情を見せず何を考えているのか判りにくい子なんですが、家出癖はともかくすでに立派な窃盗常習犯になっています。そんな彼の家庭生活と学校生活が、コンパクトに判りやすいストーリーテリングだったなと思います。ヌーヴェル・ヴァーグ典型のオール・ロケ撮影ですが、クリスマス前のパリの寒々とした風景を捉えるアンリ・ドカエのモノクロ撮影が素晴らしいし、単調ながらもノスタルジーが感じられる音楽もなんか心に染みてくるんです。後半三十分ではドワネルくんは鑑別所送りになるわけですが、面会に来た母親が職員に告げる実子を完全に見捨てる宣言には、ちょっと身も凍る衝撃性があります。最近は日本では〝親ガチャ”なるミームが流行っていますが(ちなみに私はこのフレーズには嫌悪感があります)、でもほんと悲しいことに子は親を選べないというのも真理なんですよね。でも、ラストでスクリーンの向こうにいる観客に向ける目線に「こいつは成功者になるかどうかは判らんが、人生の荒波に飲み込まれて溺死することはないだろうな」という希望を自分は感じてしまうのでした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2025-04-12 23:15:56)
8.  フランケンシュタイン(1994) 《ネタバレ》 
メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』は、学生のころ英文購読の教材だったので読みとおしたことがありました。フランケンシュタインが創り出した怪物が哲学的な語りをすることに、妙に違和感を持ってしまったという記憶があります。原作に忠実に撮ったというこのケネス・ブラナー版を再見して、その違和感が甦ってきました。処刑者の頭部というか脳をくっつけて創られたクリーチャーがやっとFriendという言葉を理解できるぐらいの段階なのに、フランケンシュタインの研究ノートを読解して終いには愛を求めるようになる過程が、いくらフィクションとは言っても不自然な気がします。そもそもシェリーは科学否定的な思想の持ち主だったので、小説の中でもクリーチャーという存在の科学的な辻褄合わせには興味が無かったんじゃないかな。 このケネス・ブラナーの『フランケンシュタイン』は一言で要約すれば“グロいメロドラマ”ということになるのかな。デ・ニーロが演じるクリーチャーは、史上もっともグロいフランケンシュタインのクリーチャーだったと思います。このクリーチャーのパブリックイメージはボリス・カーロフ版であるのは間違いないけど、デ・ニーロのクリーチャーはボロを纏ったホームレスにしか見えないのが難点だな。でも登場時には生々しかった縫い目が終盤にはかなり薄くなっているところが、生身の肉体が素材だけあって妙にリアルです。ヘレナ・ボナム=カーターのエリザベスは、自分的にはミスキャストじゃないかと思います。このエリザベスには清楚な感じが皆無なので、私が抱くエリザベスというキャラとは隔たりがあり過ぎるのも原因かな。ラストで凄まじいメイクの女クリーチャーにされちゃうのはさすがに可哀そうだったかな、そういやティム・バートン作品なんかでも酷いメイクされがちだし、意外と彼女自身がこういうのが好きなのかも(笑)。 『ドラキュラ』を撮ったコッポラが本作ではプロデューサーにまわったわけですが、この作品では監督のケネス・ブラナーの撮り方には満足できずにかなりもめたらしいです。まあもしコッポラが監督にまわっていたら、こんなに音楽過多なメロドラマにはならなかったでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2025-04-09 22:33:00)
9.  プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち 《ネタバレ》 
おお、前作の2万ポンドの予算が30万ポンドと15倍にパワーアップ!それでも大した金額じゃないけど、その増額分のバジェットをスプラッターとその特殊メイクにつぎ込みましたってのは、まあ正しい戦略と言えるでしょう。気合い入れてかなりグロはエスカレートしたみたいだけど、如何せんスプラッター・シーンが夜間やホラー映画お約束の照明が点いていない室内ばかりなので、判りづらいところは大難点です。ほんとこういうのって、観ててストレスが溜まります。おまけに手持ちカメラでカット割りが多すぎるし、おかげでプーやお仲間怪物キャラの細部が良く見えない。これは相変わらずチープなメイクをじっくり見せないための、監督の意図もあるかもしれません。でもCGに頼らず着ぐるみとアナログ・スプラッターで押し通す根性だけは認めてあげようかな。一応脚本も前作よりは多少進歩していてプーと仲間たちの誕生秘話が明かされるけど、いやいや、これは『ドクター・モローの島』からの丸パクりじゃないですか。ラストの閉め方も前作のような身も蓋もない感じじゃなくてありがちなハッピーエンドとなっていますが、エンドタイトルで明かされる「また次作も撮っちゃうぞ!」宣言と今度は「ピノキオとピーターパンやバンビまでも出てくるぞ!」という気合いの入った予告には、「まだやるのか…」と正直頭がクラクラしてきました。そろそろディズニーから怒りの巡航ミサイルが飛んでくるんじゃないかな。 「死者数だけなら今年圧勝!」というキャッチ・コピーも眼にしましたが、これには思わず笑ってしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2025-04-06 22:47:26)
10.  ジョニーは戦場へ行った 《ネタバレ》 
反骨の脚本家ダルトン・トランボが監督として製作した唯一の作品で、自作の小説の映像化です。1939年に書かれた小説で第二次大戦時と朝鮮戦争の間はその強烈な反戦性で出版されなかったそうですが、大戦中の差し止めは政府による発禁処分じゃなくてトランボ自身の判断によるものだったそうです。当時は共産主義シンパだったトランボがソ連を攻めているナチス・ドイツと戦う米国の戦争努力を邪魔したくなかったからだったのが本心みたいで、主義者にありがちなこういうダブスタはなんか嫌ですね。私はこの映画は史上最恐の反戦映画の一つだと思っています(もう一本は『火垂るの墓』)。初見はたしか中学生の時だったと思いますが、あまりの衝撃に永い間トラウマになって、その後ソフト化されたりして観る機会が増えたけど、どうしても再見する勇気がなかったほどです。 トランボが原作を書いたのは新聞に載ったカナダ軍将校の悲惨な運命に触発されたからですが、実はこの記事は事実を歪曲したほとんどフェイクニュースだったみたいです。でも江戸川乱歩の『芋虫』みたいな人間芋虫みたいになってしまったジョニーの過酷な運命は、考えるほどにこれほどダウナーな気分にしてくれるストーリーはないんじゃないかと思います。手足や顔、そして五感をすべて失ってしまっても生きるしかない人生なんて、身の毛もよだつというよりももはや想像することすら困難です。つまり「肉体を失って意識だけの存在になっても、それは果たして人間と呼べるのだろうか?」という問いでもあり、そうなってしまったらもはや『禁断の惑星』のイドの怪物となんら変わりのない存在なのかもしれません。 現実の病院での監禁生活がモノクロで、過去の思い出や頭に浮かぶ幻想はカラーという演出が効果的です。その思い出と幻想にクロスオーバーするように登場するイエス・キリスト=ドナルド・サザーランドのキャラが秀逸、神の子のくせに誰も救えず単なる黄泉の国への案内人程度の存在なのがキリスト教への強烈な皮肉になっています。けっきょくモールス信号というジョニーが外界とコミュニケーションを取れる唯一の手段を教えてくれたのが、死んだ父親の霊魂だったということも宗教の無力さを強調していたような気がしました。でもそのジョニーがやっと発することのできたメッセージが“SOS”と〝kill Me”だったという結末は、あまりにも悲惨でした… あまり人にお奨めする気にはなり難い種類の作品ですが、死ぬまでに一度は観てこのストーリーが持つテーマを考えてみるだけの価値はあると思います。
[映画館(字幕)] 9点(2025-04-03 23:31:13)
11.  仕立て屋の恋 《ネタバレ》 
中年の仕立屋イール氏は対面の部屋の若い娘・アリスを毎日覗くのが趣味で彼女に恋をするが、この女はイール氏をハメて恋人の殺人の罪をなすりつけようとするのだった…とまあ要約すると身も蓋もないお話しです。このイール氏がつるんとした端正な顔立ちなんだが劇中で一度も笑顔を見せず、アリスが窓越しに覗いているイールに始めて気が付くシーンや暗がりから現れるイールの青白い顔なんかから、禿げているせいもあり『吸血鬼ノスフェラトゥ』のマックス・シュレックを思い出させてくれる不気味さがあります。そんな変態中年と性悪女の物語も、マイケル・ナイマンの音楽と美しい映像のせいで誌的な中編映画に仕上がっています。あの『メグレ警視』シリーズのジョルジョ・シムノンの小説が原作なんだが、もう完全にパトリス・ル・コントの映画になってしまってますね。このような尽くす男とエロい女という図式は、彼ならではのまさにフレンチ・エロスの極地ですな。孤独な中年男の悲劇的な最期には胸が痛みますが、アリスと逃避行に成功したという仮定で書かれた手紙には泣かされます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-03-31 22:45:08)
12.  夢のチョコレート工場 《ネタバレ》 
この映画は、ティム・バートンの2005年のリメイクを観ているかどうかが、微妙に評価に影響を与えているみたいですね。ちなみに私はバートン版はまだ観ていません。それでも大体のプロットは知ってはいましたが、このオリジナル版がミュージカル仕立てだったとは知りませんでした。最初のシークエンスでお菓子屋の店主が歌う”キャンディマン”を聴いたら、これがすぐに『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』でジェニファー・ティリーがオーディションで歌った下手な曲だと合点しました。なんせあのジェニファー・ティリーのオーディションのシーンは未だに鮮明に記憶に残っていますからね。サミー・デイヴィス・Jrもこの曲がお気に入りで、彼のライブでの定番曲だったそうで、米国じゃスタンダード・ナンバーと言える存在みたいです。日本ではなぜか未公開でバートン版が世に出るまで知名度が低かったのが不思議なくらいです。 確かに現在の眼で見ればセット撮影など古臭さを感じるのはやむを得ないですが、独特のブラックな作風は当時の基準から見れば斬新だったんじゃないかな。本作を児童向け映画に分類しちゃうのはちょっと観方が浅い様な気がしますね、だいいちチャーリー以外の4人の子供たちはある意味この世から抹殺されてしまったとさえ思える節もあるんじゃないでしょうか。招待された親子たちに向けるジーン・ワイルダー=ウィリー・ワンカの眼差しには冷やかなものがあるし、完全にサイコパス的な世捨て人風味が印象的です。ウンパ・ルンパたちのダンスや歌も、微笑ましいという感じじゃなくどちらかというと不気味な感じです。もし自分がこの映画をリアルタイムで観ていたら、きっと軽いトラウマが残ったことでしょう。まあこのストーリーは、本格的なミュージカル舞台にしたら面白いんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-03-28 22:43:02)
13.  ビートルジュース 《ネタバレ》 
ティム・バートンの最初期の作品ですが、ある意味でバートンの世界観が彼のフィルモグラフィ中でもっとも色濃いんじゃないかと思います。でもWikiによるとそもそもはマイケル・マクダウェルが書いたオリジナル脚本が製作のきっかけで、脚本自体にはバートンは関わっていないみたいです。でもビートルジュースやゴーストたちの造形や見せ方には彼のアイデアが詰まっていて、これでバートンの世界観が確立したんじゃないかと思います。よく考えると幸福なカップルが事故で死んでしまってその後に幽霊になって自宅だった家の住人を追い出そうとする、まるでニコール・キッドマンの『アザーズ』の同じおどろおどろしいプロットなんだけど、これをブラックユーモアでここまで奇天烈なストーリーにしちゃったところがバートンの非凡なところです。生前のアダムがなぜか造っていた町のジオラマが、ビートルジュースが蘇る異世界と繋がっているという不思議な世界観は、バートンらしくて好きです。尺のほぼ半分過ぎまで実は登場しなかったマイケル・キートンの怪演がまた強烈で、セリフのほとんどがキートンのアドリブだったそうでこれにはびっくりします。ウィノナ・ライダーのゴス趣味娘も、その後の彼女のパブリックイメージを確立させたんじゃないかと思います。自分にいちばんのツボだったのは、エビのディナーでのバナナ・ボート・ソングのシークエンスで、何度観てもほんと笑ってしまいます。この映画はスタンダードになってその後アニメやミュージカル舞台にもなりましたが、いちばん驚くのは36年も経ってからティム・バートンが続編を撮ったことでしょう。マイケル・キートンやウィノナ・ライダーなどのオリジナルキャストというのも凄いですが、さすがにジェフリー・ジョーンズは出演できなかったみたいですけどね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2025-03-25 23:10:41)
14.  ミザリー 《ネタバレ》 
自分が今まで観た中で、おそらくもっとも“痛み”“激痛”という感覚を実体験させられたような気分にしてくれた映画です。銃で撃たれたり刃物で刺されたりすることは普通の人生では経験することはまずないが、自分は未体験だが交通事故などで骨折することは実生活で遭遇する可能性はあるわけで、その痛みが想像できてしまうわけです。まして足首にくさびを挿んでごついハンマーでへし折られるなんて…あのあり得ない角度で折れ曲がった足首を見せられたら、たぶん映画館では観客から悲鳴が上がったことでしょう。この映画も主演オファーを拒否した男優スターの顔ぶれを見ると錚々たる面々で、やっぱこんな酷い目に遭う役は躊躇しちゃうんでしょうね。その中にジャック・ニコルソンもいたそうで、『シャイニング』で狂ってゆく作家を演じた彼が今度は狂気の読者にいたぶられる作家を演じるなんて、想像しただけで笑えてきます。 ロブ・ライナーの演出とウイリアム・ゴールドマンの脚本は、登場人物が少ないながらも上手に伏線を張っていて飽きさせないものがあります。とくにライナーは全作品を観て研究しただけあって、たしかに往年のヒッチコックを彷彿させるサスペンスの盛り上げ方でした。私は原作未読ですけど、ポール・シェルダンの薬物中毒歴のオミットや原作にない保安官リチャード・ファーンズワースの存在など、かなり独自の脚色があるみたいですがスティーヴン・キングはこの映画がいたくお気に入りのようです。それはやはりキャシー・ベイツの出演が大きかったみたいですね、彼は本作後もベイツのために二本もオリジナル・ストーリーを書いて映像化してるぐらいですから。確かに狂っているけど純真な乙女チックな表情を時折見せるところなど、その緩急の付け方が舞台女優出身らしく上手いと思います。最後に〆られる女性ヴィランが登場する映画は珍しくないけど、本作のベイツほどボコボコ(とくに顔)される女優は観たことないって感じでした。ポール・シェルダン=ジェームズ・カーンも、これは後期ジェームズ・カーンの代表作として永く記憶される演技だったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2025-03-22 23:21:33)
15.  そろばんずく 《ネタバレ》 
時はバブル経済が芽吹きだした86年、まだ河田町でぶいぶい言わせてた頃のフジTVが自社で売り出しにかかっていたとんねるずの人気に便乗し、これまた『家族ゲーム』などでその鬼才ぶりが注目されていた森田芳光を起用した怪作というか単なるポンコツ映画。なんせ併映が『おニャン子ザ・ムービー 危機イッパツ!』ですからねえ…むか~しリリースされたばかりのころレンタルビデオで観た記憶があるけど、あまりのつまらなさと訳の分からなさで途中でギブアップしてしまった記憶があります。ウン十年ぶりに観直しましたが、やっぱこれは酷いわというのが率直な感想、製作者に今や日本一の悪役となってしまったフジ・メディア・ホールディングスの取締役相談役のご尊名をお見掛けするのが妙に香ばしい限りです。 まあフジ側からの企画に乗っかって脚本書いた森田だろうが、潤沢な予算に眼がくらんで適当に遊んでみましたって感じなんだろうな、でもこういうのぼせ上ったことをするから彼はその後の低迷期を招いてしまった気がします。バラエティー番組のノリのまんまのとんねるず二人の演技は観ていてだんだん不愉快になってくるレベル、それに合わせて支離滅裂なエピソードを延々と見せられるのも耐え難い。電通と博報堂をパロッたト社とラ社という広告代理店が舞台だけど、あの軽薄極まりない両社の営業や社内は当時のフジの社風そのまんまだったんだろうな。でもここまでミエミエのモデルにされてコケにされた両社にもいくら何でも失礼の極み、広告業界出身だった筒井康隆の”士農工商代理店”という名惹句が思い出されますけど、当時のフジというかTV業界の傲慢さが透けて見える気がします。それが最後に合併して〝トラ社”になるとは、もうミエミエのオチでしたがこれで笑える人なんていますかね?演者はポンコツ映画にしてはけっこう豪華な面々と言えますが、自分としては名取裕子にあれだけおバカな演技をさせたってのはある意味偉業だったと思います(笑)。 けっきょく今や否定されかかっている所謂ギョーカイのおかしなところを再確認させてくれる価値はあるのかな、ってぐらいしか褒めるところないです。木梨憲武と安田成美が結婚するきっかけとなったということも、おっと忘れてはいけませんね。
[CS・衛星(邦画)] 1点(2025-03-19 22:28:17)
16.  アミスタッド 《ネタバレ》 
アミスタッド号をめぐる奴隷貿易事件はあくまでスペインやポルトガルの奴隷貿易が根本の問題なんだけど、それが当時まだ奴隷制度を維持していた米国に重い課題を突きつけたのは事実でしょう。現実に米国内での奴隷解放運動に燃料投下したような節もあり、いわば同じスピルバーグ作品『リンカーン』は本作の続編の感もあります。『カラーパープル』も含めて奴隷制度問題は、実はスピルバーグのライフワークの一つだったのかもしれませんね。日本ではそろそろ黒船が来襲して幕末近しという時代なのに、欧州では奴隷制度をまだ維持していた国があったというのは驚いてもいいんじゃないかな。でもスペインやポルトガルではあくまで植民地での制度だったけど、米国だけは国内の重要な社会制度の一つだったんですから、罪深いものです。この映画ではそれまでさんざんやらかしていた”ブリカス”大英帝国だけが正義の味方みたいな感じになってるのは、奴隷貿易を取り締まったことは史実なんだけどちょっと腹が立ちます。でも考えてみると、最近のチャイナマフィアがミャンマーでやってることを考えると、こういうことは過去の出来事だと言い切ることは出来ませんね。 最初のころ、シンケたちアフリカ人の言葉に英語字幕がずっと付かなくて、このままで押し通すのかとなんか不安になりました。でもこの映画の隠れテーマは、互いに言語が通じない人種がどうやってコミュニケーションを取れるようになるかということだった思います。それが例え言語が同じであっても理解させるのが難儀な法廷闘争をするということに、この映画の面白味があったと感じます。まあ説教臭いというか、聖書の挿絵を見るだけでキリスト教を理解し始めるというのは、ちょっとなんだかなあとは思いましたけどね。最後は法廷映画でお決まりの大弁論というか演説でしたが、名優アンソニー・ホプキンスですからそりゃ格調高い仕上がりで思わず聴き入ってしまいました。やっぱ演説は名優にやらせるのが一番ですね。モーガン・フリーマンが演じたキャラは本作主要キャストで唯一の架空人物だそうですが、妙に存在感が薄くて活躍が見れなかったのは残念。 悲惨なお話しだったけど、当時のスピルバーグの残酷風味は『プライベート・ライアン』や『シンドラーのリスト』に比べたら薄かった感はあります。まあ本作は出来の良い法廷劇として観るのが正解だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-03-16 22:04:14)
17.  眼下の敵 《ネタバレ》 
『Uボート』が世に出るまで、潜水艦映画の最高傑作と目されていた作品かな。単純な戦闘ではなく、潜水艦戦の特徴である心理的な駆け引きを重視した初めての映画だと言えます。それにしてもつくづく思い知らされるのは、潜水艦戦における欧米人のしつこさとねちっこさです。実戦でも12時間以上Uボートが駆逐艦に追い回されて撃沈されたという実例もあり、熱くなり易いが冷めるのはやい日本人には到底向いているとは言い難い戦いですよ。 50年代のハリウッド戦争映画としては珍しい部類の、まったく女性が登場しない漢くさい映画です。駆逐艦ヘインズは実際に当時まだ現役だった二次大戦当時の艦を使って撮影されており、とくに爆雷投下のシーンの迫力はかなりのもので、あそこまで高く水柱が上がるものだとは知りませんでした。半面セットで撮影されたUボート艦内は実物よりも広くて妙に綺麗で実感に乏しいところが難点、後年の『Uボート』のごみごみした閉所恐怖症には耐え難い狭さと比べて見れば一目瞭然です。あと艦内に専属コックみたいなキャラがいたのもヘンで、第二次大戦のどこの国の潜水艦でもそんな人員を置く余裕はなかったと思いますよ。ラストの展開はなんか綺麗ごとの様な感じでちょっとピンと来ないのですが、やっぱこういう幕の閉め方じゃないとすっきりしませんよね。クルト・ユルゲンスは本作がこれがハリウッド映画初出演ですが、これ以降ドイツ軍人と言えばこの人、って感じの欠かせない存在になってゆきます。彼とロバート・ミッチャムはその後『史上最大の作戦』にともに出演しますけど、まあこれはシークエンスは別で絡みはなく共演とは言い難いかな。 ナチス体制に反感を持つ艦長・艦長とは友人同士のような関係の部下NO,2の存在・コチコチのナチス信奉者の若い士官・艦内でレコードをかけての大合唱・緊張に耐えられなくなった兵が一時的に錯乱する、実はこれらの要素は『Uボート』で形を多少変えてそっくり再現されているんですよ。『Uボート』は原作小説も含めて本作の影響をかなり受けていることに気づいた次第です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-03-13 22:37:05)
18.  幻の湖 《ネタバレ》 
カルトでおバカな映画は数あれど、90年以上の歴史を持つ東宝映画の中でも屈指の地位にある本作は、おバカ映画として観るにはちょっとハードルが高いんですよね。世に数多あるおバカ映画は上映時間が長くてもせいぜい90分、ところが本作は2時間40分も尺がありますからねえ。自分は結果的に三回に分けて鑑賞しましたが、やっぱこれが正解、通して観たら終いには精神状態が不安定になりかねないヤバさがありました。 日本映画の歴史にその名を刻む大脚本家である橋本忍の三作目の監督作なりますが、どうしてこんなことになってしまったのか溜息が出るばかりです。そもそも本作のプロットが生まれたのは、『八甲田山』のロケ現場でブナの木に話しかけた(?)ときに一枚の絵が脳裏に浮かんだのがきっかけだったそうで、もうそこからどうかしています。『八甲田山』という一種の映画的な狂気が渦巻いていた撮影現場に身を置いたことで、すっかりその狂気に憑りつかれてしまったんじゃないでしょうか。一応シナリオは纏め上げたけどさすがに「こりゃあ、あかん…」と自信喪失して製作中止も考えたけど、プロジェクトとしての進行は止められなかったとのこと。東京と琵琶湖畔で二回も尺をとって延々と見せられるマラソン追跡劇は有名だけど、普通は端折るだろうというような車の移動に尺を使ったり随所に冗長極まりない描写が多くて、橋本忍の監督としての力量にも疑問符がつきます。ヒロインの南條玲子も1,600人のオーディションを勝ち抜いてデビューとなっていますが、あまりに素人じみた演技で驚きます。まあ現役女子大生がヌードも披露のソープ嬢役でデビューというのもちょっと可哀そうですけどね。宇佐美彰朗にマラソン指導させたのはいいけど、もっと演技指導に力を入れてください(笑)。とにかくこのヒロインがどう考えてもメンヘラ女としか見えないのが致命的です。 この映画のキャラたちは薄っぺらくて行動にリアリティが無さすぎるところは致命的。雄琴でソープ嬢をしている米国の情報機関員(?)の女なんかが登場しているのがその代表格。でも唐突に始まる戦国時代編には、北大路欣也や関根恵子をはじめ大物俳優がキャスティングされているし、現代編と比べてしっかり演出されてはいます。芥川也寸志のサウンドトラックも無駄に格調高いんですが、彼はこの映画がこんな珍作になるとは予想してなかったんじゃないかな。 やっぱいちばんズッコケるのは、ヒロインが愛犬の仇を琵琶湖大橋上に追いつき「シロ、勝ったよ~」と歓喜してからの敵討ち、たぶん予備知識なしで映画館で鑑賞していたら自分は発狂していたと思います。そのあとの科学考証でたらめな宇宙遊泳のシーンなんて、このバカバカしさと比べたら可愛いもんですよ。
[CS・衛星(邦画)] 1点(2025-03-10 21:47:47)
19.  ジュマンジ 《ネタバレ》 
いやあ、うっかりしてました。20年ぶりぐらいに観直したけど、『アマデウス』のサリエリに激似の父ちゃんと狂人ハンターのヴァン・べルトが同じ俳優が演じていたとは!何でもヴァン・べルトは違う俳優が演じるはずだったのがぽしゃったのでジョナサン・ハイドに話が回ってきたとのこと。彼は「二役はしんどい」と断っていたが、よく脚本を読むと父ちゃんは出番が少ないちょい役みたいなので引き受けたそうです。倍になったかは知らんがギャラは確実に増えただろうから良かったね(笑)。米国の有名な批評家が「子供が観るには怖すぎる映画だ」と評したそうですが、いやー判ってませんね、このストーリーは大人に向けたファンタジーなんですよ。ラストで遂にゲームを上がらせて「ジュマンジ!」と叫ぶと、二人でゲームを始めた26年前の少年時代に戻っていて運命を変えたしくじりを修正してゆき、最後にはジュディとピーターの姉弟と再びめぐり合って事故死するはずだった両親を救う。これは誰もが一度は経験する「あの時にああしていればこんな境遇にならなかったのに…」という後悔を癒す大人のファンタジーなんです。そしてアランを抑圧する父性の象徴であるヴァン・ベルトに打ち勝ち父と和解するところも、教訓地味てはいるけど良い結末だと思います。そういう意味ではこの映画は『バック・トゥー・ザ・フューチャーPART2』や『ワンス・アポン・イン・ハリウッド』と共通している部分があると言えます。まあとは言え、まるでジェットコースターのようにゲームから飛び出してくる災難には、CG黎明期なので動きとかには今の眼で見るときついところがあるにせよ、十分に愉しませてくれると思います。ジュディを演じたキルスティン・ダンストはまだ13歳、“オーディション全勝伝説”の真っ最中だった頃でやっぱ輝いていますね。彼女はやはり10代が全盛期だったんじゃないかな、これは子役出身俳優に付き物のアルアルですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2025-03-07 22:45:09)
20.  俺たちの血が許さない 《ネタバレ》 
対立組織に襲撃されて絶命した昔気質のヤクザ組長には二人の幼い息子がいた。成長して社会人となった二人は、兄はきちんとしたスーツ姿の勤め人風で、別居しているが年老いた母親に毎月けっこうな金額を渡している。広告会社に務める弟は自由奔放で無鉄砲、同居している母親には心配ばかりかけているがサラリーマン生活には物足りなさを感じている。18年前父親を襲撃した男が刑期を終えて謝罪に親子のもとを訪れてから、この兄弟の運命の歯車は狂いだしてゆく… 監督が鈴木清純ですから、お約束のヘンテコなカットや映像は当然のごとく散りばめられていますが、ストーリー自体は割とまともな現代的な任侠ものといった感じで『殺しの烙印』のような訳の分からなさは無かったといって良いでしょう。対照的な性格の兄弟は兄が小林旭、弟が高橋英樹という組み合わせです。この映画でもやっぱ小林旭のカッコよさと渋さは際立っています。キャラ設定は苦学してなんと東大を卒業したのになぜか暴力団傘下のナイトクラブの支配人、毎月お手当を渡して貰っている母親は彼が組織の準構成員みたいな存在なのは知りません。こんなキャラ設定には不自然さはありますが、まあ良しとしましょう。組織のトップは小沢栄太郎でいかにも悪そうで、監視役として付けられた秘書の松原智恵子は旭と恋人関係になっています。この松原智恵子が暗い影を持った女なんですが、その色っぽさと言ったらなかなかのものでした。弟の彼女は勝気な同僚のカメラ・ウーマン、この兄弟カップルは対照的になっているのがこのストーリーの特徴です。高橋英樹も旭には貫禄負けはしてますが、その元気いっぱいのはっちゃけぶりは観ていて愉しいです。「息子らにはヤクザの道に入らせるな」という父の遺言を破って弟は組を再建しようとするのですが、途中からその話は有耶無耶になって消えてしまうのが、ちょっとなんだかなあと思ってしまいました。このころの鈴木清純作品にはカラーとモノクロが混在していますが、カラー作品の色遣いの鮮やかさは作品の内容は別にしてもハッとさせるものがあります。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2025-03-04 22:58:12)
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