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プロフィール
コメント数 2392
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  翔んだカップル オリジナル版 《ネタバレ》 
そうか、これが相米慎二の監督デビュー作なのか。一作目からして相米流映画術が完成しているというか、その後もブレずに同じように映画を撮り続けられたのいうのがある意味尊敬に値します。また薬師丸ひろ子の初主演作でもあるけど、てっきり角川映画だと今まで思っていたけど実はキティフィルムの製作だったと知って今更ながらちょっとびっくり。だから相米慎二の好き勝手に撮れたわけでしょうね。アイドル主演映画なのに、薬師丸のアップが極端に少なくて引いたカメラアングルを多用するなんて、角川春樹なら許すはずないですからね。他の鶴見辰吾・尾身としのり・石原真理子も含めて皆まだ十代、相米に四人まとめて「ゴミ、ガキ」と貶されながらの演技は、薬師丸の主演女優人生のスタートに強いインパクトを与えたことは間違いないでしょう。また肌が合わない人には耐えがたいような相米演出の独特な臭みには、賛否が分かれたことんじゃないかな。クジラの風船がフワフワと漂うシーンなんかは、特にね。でも私は石原真理子の部屋に薬師丸が訪ねてきて鶴見と大喧嘩するところ、そしてラス前のあのもぐら叩きのカットなんかは、好きですねえ。できればあのもぐら叩きのところでバサッとエンドにした方が、ずっと良かったのにと思う次第です。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-03-23 22:47:36)
2.  バイオレント・サタデー 《ネタバレ》 
言わずと知れたペキンパーの遺作、でもとてもペキンパーが撮ったとは思えないメタメタな出来。大体からして邦題から酷い、原題は『オスターマンの週末』なのだがもろに『ブラック・サンデー』いじり倒したような発想、「週末なんだからサタデーで良くね?」という感じで決めたんだろうな。ペキンパー自身はこのロバート・ラドラムの原作小説および脚本を嫌っていたそうですが、死期の迫った体調ながらもスケジュールだけはしっかり守って完成させたらしいけど、プロデューサーによっていろいろといじられた様な感はあります。いちおうペキンパー印のスローモーション・カットは健在ですけど、どうでもいい様な使われ方で全くどうしちゃったんでしょうかね?マスメディアがビデオ時代になってきている時世を反映して、ジョン・ハートがビデオカメラを通じて作戦を遂行してゆく設定は面白い。何を考えているのか判らない不気味さもイイですね。でもこの映画最大の敗因はとにかくストーリーが判りにくいところで、脚本が整理できていないのかはたまた原作自体に問題があるのか、多分編集段階でカットしすぎたのかもしれませんね。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2024-03-08 22:20:13)
3.  ザ・フォッグ(1980) 《ネタバレ》 
ジョン・カーペンターの初期ホラーとしては、本作がいちばんまとまっているんじゃないかと自分は思います。もくもくとまるで煙の様な海霧が町を襲ってきて中から亡霊が復讐に現れるなんて、もう王道の怪談噺なんですよ。すでに80年代になってスプラッター系のホラーが主流になりつつあるときに、グロさを抑えた演出で勝負しようとしたカーペンター親父の心意気を買ってあげようじゃないですか。と言いつつも、イマイチ脚本が判りにくいのと雑なところのも事実。亡霊たちはけっこう殺しまくってた印象があるけど実際は100年前に自分たちをハメた連中の子孫6人だけ、意外と節操がありますね(笑)。この映画ではヒロインと言っても良い様な三人の女性キャラ、ラジオのDJ=エイドリアン・バーボー、町長=ジャネット・リー、ヒッチハイカー=ジェイミー・リー・カーチスが結局なんの交差もなくただその晩に町にいただけという展開は失敗でしょう。少なくともジェイミー・リー・カーチスは必要ないキャラだったんじゃないかな、まあこれは元祖絶叫クイーンである母親ジャネット・リーを引っ張り出すための戦略だったのかもしれません。もっとも本作ではジェイミー・リー・カーチスは絶叫するシーンはなかったですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-02-23 23:07:25)
4.  セーラー服と機関銃 《ネタバレ》 
およそアイドル映画とは思えない撮り方の映画、まさに相米慎二らしいと言えるでしょう。薬師丸ひろ子の登場シーンではブリッジしているうえにセーラー服のリボンがかかって顔が見えないし、やたらに望遠レンズや魚眼レンズまで使って薬師丸の顔が小さくしか見えない、アイドル的な女優が主演していてこれほどアップが少ない映画ってのも珍しいんじゃないでしょうか。それまでの角川映画の配給先だった東宝と揉めて東映に変えたという事情もあって、角川春樹がほとんど口を出さなかったというのも大きかったのかも。ストーリー自体はかなり荒唐無稽なんだけど、思った以上にヤクザ映画的なシリアスな撮り方だったと思います。やはり当時を知るものとして思い出に残るのは、この映画が公開された時の薬師丸ひろ子フィーバーの凄さで、まさに社会現象でしたね。そして彼女が歌った主題歌の大ヒット、作者来生たかおのデモテープを聴いた角川春樹は「こんな曲はクソだ!」と言ったそうで、ほんとこの人はセンスがない(笑)。いまやアイドルソングとして80年代を代表する名曲と評価が定まっているのにねえ。有名な「カ・イ・カ・ン」のシーンも、改めて観ると官能的ですらあります。薬師丸ひろ子は御存じのように今や大女優ですが、私の中では青春真っ只中の彼女が映像に焼き付いている本作が一番です。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-01-28 23:26:21)
5.  すてきな片想い 《ネタバレ》 
80年代青春映画の巨匠であるジョン・ヒューズのデビュー作。本作で彼の作品の常連となるモリー・リングウォルドとアンソニー・マイケル・ホールが初めて起用されるが、やはりリングウォルドの発掘は大功績だったと言えるでしょう。たしかに彼女ほど同世代女性ファンから支持された女優は稀有で、ほぼ社会現象と言えるレベルでしたからね。この時彼女は15歳、まあ子役とは言えない年齢ながらも若くして脚光を浴びた俳優は伸び悩むというジンクス通りになってしまったのは、残念ではあります。 この映画は数あるヒューズ作品の中でももっとも下ネタがキツいという指摘は的確だと思います。現在のコンプラやポリティカル・コネクトネスの基準からすると、炎上必至と思われる内容があるのも事実です。一人だけ登場するアジア人キャラの扱いや、パーティでのジェイクの言動がいわゆるデートレイプを容認しているようなところなどです。まあ他愛もないコメディなんで目くじら立てるなとも言えるのですが、確かに中国人留学生の描き方はちょっと度が過ぎているって感じます。だいたいからして、全部観たとは言わないけど、黒人がキャスティングされたりストーリーに絡んだジョン・ヒューズの映画が記憶にないんですよね。アジア系とはいえ有色人種が登場するだけでも珍しいとも言えますかな。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-12-20 21:39:02)
6.  首都消失 《ネタバレ》 
原作は未読ですが小松左京のSFはシミュレーション的な手法で書かれているのに、ほとんどお涙頂戴といった家族愛メロドラマになってしまってもう観るに堪えない。まず、首都圏が異常な雲のようなバリアに覆われて通信途絶、中に閉じ込められた2000万人余りの安否さえ全く不明なのに、大阪ではサラリーマンが昼休みにバレーボールに興じ浜名湖ではウインドサーフィンで遊んでいる、そんな緊張感がないなんてあり得る?となりますよ。雲の壁の端では宗教団体や群衆が集まって大騒ぎ、屋台まで出てまるでお祭り状態。センスのない歌謡曲みたいな曲をがなっている盲目ロックシンガーまで登場してくると、もう観るの止めようかと真剣に考えましたよ。一介の電機メーカーが造った超音波なんだか知らないがメーサー光線砲みたいな装置をふそうトラックに乗せて突っ込むクライマックス、もうこの脚本はどういうセンスなんだよ!と殺意すら覚えてしまいました。あと関西TVがスポンサーだからとうぜん忖度があったはずなのにこれでもかと見せつけてくれるTV局のマスゴミぶり、この当時のマスコミはマジでこれがカッコいいと思ってたんでしょう。 あとこれは小松左京自身の認識の問題でもあるけど、東西冷戦中の日本国の立ち位置に関しての被害妄想的な捉え方は困ったものです。雲の中に閉じ込められて国家機能がマヒしたからと言って国連常任理事会で日本の主権を停止して信託委任するなんて、いくら何でもそんなバカなと言いたい。仮に大震災が襲って東京が壊滅して政府首脳が全滅したとしても、統治機構は別の地域で臨時にしてもすぐに立ち上がることでしょう。小松左京の世代は敗戦トラウマが根っこにあるので、深層心理としては日本はアメリカの自治領に堕ちてしまったという意識があるんでしょうね。21世紀の現在となって振り返れば、日本は決して傍観者ではなく東西冷戦のプレイヤーの一員だったと解釈できるのにね。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2023-12-05 22:55:05)
7.  恋しくて(1987) 《ネタバレ》 
いやぁ、何度観てもホロリとさせられる80年代青春映画の金字塔、ジョン・ヒューズでないと書けないストーリーです。日本人には想像つかないようなアメリカの高校生活、生徒たちがグレードはともかくとして普通に自家用車を運転している、自分らの頃は自転車がせいぜい、原付で通学する奴もいなかったな。エリック・ストルツが演じるキースは現代日本で言うところのいわゆるキモオタって感じでしょうけど、イケメンすぎて実感がないですな。この超鈍感男や男依存体質のリー・トンプソンを始めあまり感情移入できないキャラばかりが登場するので、メアリー・スチュアート・マスターソンがあまりにいじらしくて可哀そう。ストルツとマスターソンの関係は幼なじみみたいなものなんだろうけど、あそこまで彼女の心情に気が付かないなんて、この男ゲイなのかとすら思えてきますよ。今は怪優的な立ち位置の名バイプレーヤーであるイライアス・コティーズがやばいパンク高校生を演じていますが、彼にも当たり前ですけど若い頃があったんですね。ストルツの父親(『ビバリーヒルズ・コップ』のタガート刑事です)も息子に自分の主張を押し付けるだけの頑固おやじのようでいて、最後にはいい親父だったことを見せるところはベタですけどやっぱいいよね。泣きながら歩くマスターソンをストルツが追いかけるラストは、まさに感動の名シーンです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-11-12 23:26:27)(良:1票)
8.  張り込み(1987) 《ネタバレ》 
80年代に流行したいわゆるバディ刑事もの映画の一つだけど、ラブコメと刑事アクションと緩さがバランスよく結合した佳作です。改めて感心したのは、リチャード・ドレイファスの芸達者ぶりです。考えてみればこの頃が彼のキャリアの絶頂期ですから、これは必然でしょう。80年代に刑事を演じた男優たち(エディ・マーフィ、メル・ギブソン、ブルース・ウィリス、そしてイーストウッド)の中でも、ドレイファスがいちばんリアルで人間味があったんじゃないかな。張り込み対象の女性と出来ちゃうって洋の東西を問わずもっとも刑事がやっちゃいけないこと、描き方を変えれば悪徳刑事になっちゃうところですが、ドレイファスの軽妙な演技と秀逸な脚本のおかげで愉しく観ることができます。けっこうハラハラ・ドキドキさせてくれるストーリーですけど遊びの部分も多く、張り込み中にエミリオ・エステベスと退屈しのぎに映画クイズをしていて「人喰いサメが出てきた映画は?」との問いに「知らんね」とドレイファスが返すところは傑作でした。ラストの対決場が製材所というのはちょっと変わったパターンでしたが、悪役の最期が製材用の鋸でスプラッターかと期待(?)してたのに、予想を見事にかわしてくれたのはかえって好印象でした。使われている楽曲もグロリア・エステファンを始めとする懐かしのサウンドで良かったなと思います。ほんと、80年代独特の雰囲気が漂う良作です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-09-05 23:06:21)
9.  ペット・セメタリー(1989) 《ネタバレ》 
原作がスティーヴン・キングで脚本も本人が書いているのだからまさに純粋なキング・ワールドなんだけど、この後味の悪さは『ミスト』と肩を並べるぐらい。もっとも『ミスト』のバッドエンディングは映画独自のものなんだそうで、本作のほとんど悪趣味と言えるテイストはキングの本性がむき出しになった感じですかね。キングの家族愛が根底にあるストーリーには陰惨な結末になる傾向が見受けられ、この人の人生経験が反映されているのな。それでも怪談噺としては良く出来ている映画じゃないでしょうか。善玉幽霊として狂言回し的な絡み方をするパスコー君はユニークなキャラですけど、もしキング以外の脚本家なら絶対登場させないだろうな。アメリカには欧州みたいな怪談のネタになるような歴史が無いんですけど、本作みたいに原住民の伝説や霊界を基にしてストーリーを組み立てるのは良いアイデアだと思います。ラストの蘇った息子の暴れっぷりやビジュアルを観ていると、もうこりゃあ『チャイルドプレイ』のチャッキー人形の実写版じゃないですか!親父の注射であっさり冥界に戻されるところなんかはチャッキーと違って可愛げというか哀れみは感じました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2023-07-10 22:30:44)
10.  バチ当たり修道院の最期
ヘロイン絡みで警察に追われる歌手が駆け込んだ修道院は、尼僧長はヤク中で変な尼僧名がつけられた尼僧たちもみんな一癖二癖もある罰当たりなところだった、とくればどう考えてもコメディ映画だろうと思われるけどね。残念ながら笑える要素はほとんどなく、若きペドロ・アルモドバルの作家性が爆発する珍作でした。考えてみると、私はこの人の映画を観るのは初めて、記念すべき(?)第一作目が本作で良かったのかと考えると、やっぱ失敗でしたね(笑)。ペネロペ・クルスなんかが出ている近作群の評判からは重厚なきっちりとした脚本のドラマ作家というイメージを持っていましたが、この映画に関しては「なんか監督の言いたいことは理解できるような気もするけど、全然伝わってこない」というもどかしい感想しか残りませんでした。これなら同時代のゴダール作品の方がまだましで、若き日のアルモドバルはゴダールには到底及ばない力量だったということでしょう(比べること自体が失礼かもしれないが)。私はこういうタイプの映画作家は苦手です。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2023-06-27 23:22:56)
11.  死霊の罠 《ネタバレ》 
ヒロインの名前が“名美”なので?だったけど、よく見れば脚本は石井隆だったので納得。監督も例の『人魚伝説』の池田敏春、つまりディレクターズ・カンパニー御一行様の製作というわけです。今から観ればバブル時代のカリカチュアライズみたいなメイクとファッションで決めた小野みゆきがTVディレクター、スタッフには小林ひとみと中川えり子という当時のスターAV女優を配し、ワンシーンだけの出演だけどプロデューサーは島田紳助!というちょっと突っ込んだキャスティング。 なんですけど、ちょっと予算をかけたVシネマという程度の出来、いやもっと面白いVシネマはゴロゴロあります。送られてきた謎のスプラッター・ビデオの真相を探りに行ったTV取材陣がいわば“ミイラ取りがミイラになる”というお話しなんだけど、もう脚本がムチャクチャ、ツッコミ入れる気力さえ失せてしまいました。一から十まで説明しちゃうストーリーテリングは問題外だけど、いくら何でもこれは語らなすぎです、おまけにその舌足らずのストーリーの裏を考えようという興味も持てない。“日本初のスプラッター映画”ということらしいですけど、私の観たヴァージョンでは大したことはなく(上映時間が数分短かったので、CS放映用にカットがあったのかも)、でも起用した二大AV女優はいちおうはそれらしき仕事はこなしていました。中盤で謎の男・本間雄二が登場したところで予想した結末通りだったというのも、この脚本の薄っぺらさが偲ばれます。まあそれ以前に、主要キャラたちの演技も学芸会レベルだったしね。貴重な私の人生時間の100分をムダに使ってしまいました。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2023-06-12 21:53:00)
12.  殺し屋たちの挽歌 《ネタバレ》 
まるでチョウ・ユンファ主演の香港ノワールのごとき邦題には騙されますけど、純然たる英国ノワールでユニークな視点のロードムービーでした。監督はスティーヴン・フリアーズで、『マイ・ビューティフル・ランドレット』で注目される前年に撮った彼の長編第二作目であります。タイトルバックに流れるギターソロがえらく渋いなと感心したら、なんとエリック・クラプトンの演奏でした。 強盗仲間を裏切って証言をして司法取引でスペインで隠遁生活をしていたテレンス・スタンプ、10年経って出所した仲間に居場所をかぎつけられて拉致されてしまう。このテレンス・スタンプが演じるのが実に不思議なキャラで、捕まるときこそ抵抗したけどボスが待つパリにまで護送される間は悟りきったように穏やかで、派遣されてきた殺し屋には協力的。この殺し屋二人組がジョン・ハートとティム・ロスで、途中で行きがかりで女を一人誘拐することになり、ほとんどこの四人で進行するスペインからパリを目指す奇妙なロードムービーとなるわけです。このジョン・ハートが演じる寡黙な殺し屋は印象深いキャラで、有能なのかはともかくとして非常に冷酷な男で、警察に通報しそうに思える目撃者を躊躇なく殺してゆくのです。コンビを組む若造がティム・ロスですが、当然ですけど若々しくて金髪なので始めは彼とは気づきませんでした。面白いのは処刑台へ歩かされている死刑囚のような立場のスタンプが、逃げるチャンスは何度もあるのにまるでガイドの様にハートたちを導く理解しがたい言動で、それに二人が翻弄されてゆくところでしょう。若いロスの方は女に情が移り気味でスタンプの影響が顕著になりますが、けっきょくハートには通じずに悲劇が訪れます。 「お前は運が良い」と女だけは殺さなかったハートが、その為についに国境を越えられなかったラストは予想通りの展開ですけど、まだ駆け出しの頃のスティーヴン・フリアーズの才気は十分に堪能できました。この映画のジョン・ハートを観ていると、『ジャッカルの日』でジャッカル役でも良かったんじゃないかと思うほどでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-06-06 23:02:13)
13.  チャイルド・プレイ(1988) 《ネタバレ》 
ご存知の80年代ホラー映画を代表するキャラの一つであるチャッキー人形、大ヒットしてその後三十年間に八作も撮られるホラー・フランチャイズ化しているのはご存知の通り。“人形に魂が宿って殺人を重ねる”というプロットでは警察などの第三者には到底信じられない出来事であり、もっとも“フーダニット(誰が犯人なのか?)”という展開になる可能性が高いストーリーになりがち。母親や刑事も「チャッキーが喋る、歩く」というアンディの言葉を信じないしアンディが犯人なんじゃないかという疑念を持つわけだが、割と早い段階でチャッキーが正体を見せるので映画自体の展開もスピーディーになってグッドです。連続殺人犯がチャッキー人形に転移するきっかけも“こうするしかない”という脚本ですけど、このシンプルさでグイグイと引っ張てゆく展開なのがこの映画の強みです。でもチャッキーがアンディの家から抜け出して行動するというところには思わず突っ込んでしまいました。いくら何でも街中を人形が歩き回っていたら大騒ぎになるでしょ、とね。まあこの人形はブードゥーの呪術の産物で、中身の魂は銃で撃たれれば痛いし心臓もあるという人間的な代物だというのがミソ。ストーリー展開もオカルトというよりもスラッシャーだというのが正解でしょう。でもB級とはいえどチャッキーの不気味さや爆発などの派手でスピーディーなところは、十分に愉しませていただきました。 けっきょくチャッキー人形の正体を知ったのはアンディの他は母親と刑事ふたりだけ、いくら刑事の証言でも誰も信じないだろうし、この一連の事件は果たして上手く処理できるのだろうか?と案じていたら続編では母親は精神病院にぶち込まれている設定みたい。そりゃあ、そうなるよね…
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-03-28 23:09:58)(良:1票)
14.  炎の少女チャーリー(1984) 《ネタバレ》 
この時のドリュー・バリモアはなんと9歳!10歳にもならない子役がこれほどの演技を見せるとはまさに驚異です。彼女はこの後に酒とドラッグに溺れるローティーン時代に突入するので、まだギリで無垢なころだったのかな。10歳未満で主演した代表作がある女優というと彼女かテータム・オニールぐらいのもんですが、その後の芸歴からするとやはりドリューがチャンピオンでしょう。 プロット自体は同じスティーヴン・キング原作の『キャリー』と通じるところがありますけど、ちょっとジュブナイル寄りかなと感じます。ラストの火炎玉大攻撃ではきちんとカタルシスを観客に与えてくれますが、このド派手な爆発炎上シーンのおかげで、マーク・L・レスターは『コブラ』の監督に起用されたんじゃないかな。タンジェリン・ドリームの音楽もなかなかいい雰囲気を出しています。意外と豪華な出演者の中でも、異彩を放っていたのはやはりジョージ・C・スコットでしょう。この人はB級クラスの作品でも手抜きなしの演技を見せてくれるから好きです。なにを考えているのかさっぱり判らん不気味な男、でもあの演技なら幼いチャーリーが騙されて慕ってしまうのはムリもないという説得力でした。気になったのはスコット演じるレインバードが途中からアイパッチを着けるところ、これはチャーリーに親近感を持たせるためのキャラづくりなのかと思ったが、子供はかえって怖がるんじゃないでしょうか。なんとこれはスコットが撮影前半にコンタクトが合わなかったので左眼が炎症を起こしたための苦肉の策だったそうですけど、その割には左につけてたのが後半では右につけたりでわけ判らん。こういう雑なところは、やはりこの映画はB級テイストなんでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-03-19 21:57:26)
15.  狼の血族 《ネタバレ》 
「眉毛が繋がっている男は狼男」、このセリフはまさにパワーワードですね、おかげで我修院達也が人狼にしか見えなくて困ってしまいます(笑)。 『赤ずきん』がモチーフになっていることはすぐ判りますが、現在と過去の時空を超越したストーリーテリングには思わず引き込まれてしまいますね。幻想的というか理解不能なところも多々あるのも一つの魅力、例えば鳥の巣で孵った卵から超ミニサイズの人間の赤子が生まれたり、過去の時代なはずなのに唐突にロールスロイス・ファントムに乗ってテレンス・スタンプが出現したりなどです。スティーヴン・レイが変身するシーンは現在の眼で観てもかなりのグロさ、こういうのはCGが存在していなかった時代の方がリアリティがありますね。過去のシークエンスはほとんどセット撮影ですけど、造りこまれた森のセットを美しい映像で見せてくれます。ヒロインのロザリンを演じたサラ・パターソンのロリ・エロ指数は特筆すべき高さ、彼女はこの時なんと12歳、その後ほとんど映画出演がなく引退しちゃったみたいで惜しまれます。知名度は決して高くはないけど、ダーク・ファンタジーの名品です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-02-19 22:35:07)
16.  眠れぬ夜のために 《ネタバレ》 
こんな決して大作とは言えない映画に、なんでこれほど大量のカメオ出演者がいるのかが不思議、それもハリウッドの業界人がやたら多い。これはたぶん、『トワイライト・ゾーン』の悲劇的な事故の後で、もう映画を撮れないんじゃないかとまで言われたジョン・ランディスを励まそうとハリウッド人脈が結集した結果かもしれません。とは言っても、デヴィッド・ボウイの無駄使い、あれはないよなぁ… 主人公が不眠症ということでしたが、どう考えてもこの設定が活かされた脚本とは言い難い。この出来事がやっと眠りにつけたジェフ・ゴールドブラムの見た夢でした、っていう最悪の夢オチになるのかなとさえ思いながら観てましたが、終わってみればただの巻き込まれ型アクション映画だったという事実の方が、私にはサプライズでした。人はバンバン殺されるし、イラン人・フランス人・英国諜報員(?)・謎の大富豪とあとからあとから登場するし、なんか理解しにくいストーリーです。唯一コメディ的な要素は、序盤から死体の山(犬まで)を築いてゆくジョン・ランディスも加わったイラン人四人組みたいですが、微妙過ぎてあれじゃクスッともできませんよ。全般的に洒落っ気が不足です。でもミシェル・ファイファーだけは良かったなぁ、チラッと側面からだけどヌードまで見せてくれてます。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2023-01-19 22:43:59)
17.  アングスト/不安 《ネタバレ》 
これって、ワイドショーなんかで見かける犯罪再現フィルムを映画にしたような代物で、そこに脚本家が妄想した犯人の心象モノローグと精神鑑定医(らしき人物)の分析を被らせただけです。「モノローグを聞いているとこの男が犯行に至った気持ちが理解できるようになる」なんて解説がありましたが、こっちとしては悪いけど一ミリも理解も共感もできませんでした、ただ不快なだけです。この映画のキモであるキチ〇イ犯人が家宅侵入してからは無意味じゃないかと思うぐらいの長回しが多く、普通に編集したら三分の二ヘタしたら半分ぐらいの尺で済んだんじゃないですかね。極端なほどのローアングルと今ではドローンを使うだろうというぐらいの高さからのクレーン撮影には確かに禍々しさを感じさせてくれますけど、肝心の内容がここまで胸くそ悪いと全く無意味でしょう。犯人のキチ〇イ役の俳優は見覚えある顔立ちだと思いましたら、『Uボート』で“幽霊のヨハン”と仲間から呼ばれていた印象深い機関員、アーウィン・レダーでした。あんな超大作で爪あとを残したのにその直後にこんな自主映画みたいな作品でキチ〇イを演じるなんて、本人はけっこう乗り気でオファーを受けたらしいですけど、ヘンな風に意識が高いタイプの役者みたいですね。監督は本作で多額の負債を背負ってその後は一本も商業映画を撮れていないそうですが、当然の報いです(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2023-01-10 19:06:29)
18.  最後の戦い 《ネタバレ》 
記憶の限りでは、自分が観たセリフのない映画はこれだけ、他には『人類創生』みたいに猿人が彼ら独自の言語(唸り声?)を発するだけという珍品はありましたけどね。この映画は決してパントマイム劇ではなく敢えてセリフを全廃することによって映像に観客を集中させる斬新な手法なのかと思いきや、人類が大気汚染によって声帯の発語機能を失ってしまった世界のお話しというのがリュック・ベッソンの設定だったそうで、それじゃあちょっとダサくないですかね。でも日本版ソフト発売時に、勝手にセリフを創って日本語吹き替えバージョンなんてものが出来なかっただけでも幸いかな。出演俳優も最小限だしさぞや低予算で撮られたんだろうと当然思いますけど、なんと330万フランもかかってしまったそうです。なんでそんなに?と訝しくなりますが、撮影経費というよりもベッソンに降りかかった数々の金銭トラブルの結果みたいで、24歳の若造がよくもめげずに完成させたものだと褒めてあげたい。 確かにセリフが無い分映像を必死で追いかけることになりますが、それでもストーリーというか世界線が理解できたとは到底言えません。中盤以降はジャン・レノを含めた三人の男が一人の女を巡って1対2に分かれて攻防を繰り広げていたということは辛うじて判りましたが、その女が死んでしまったのにラストで唐突にもう一人の女が現れ、つまりこの物語はオスがメスを求める(メスがオスを求める)生物本能がテーマだったというわけです。哲学的な語り口と思わせといてのこのオチは、やっぱ中二病が抜けきらない感が今でもあるベッソンらしいデビュー作ですね。
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 5点(2022-12-30 23:01:02)
19.  死霊のはらわた(1981) 《ネタバレ》 
初見のときはすでに成人後だったけど、予備知識もなくレンタルしたビデオを深夜に同僚と観て、自分も含めて全員が震え上がった記憶が鮮明に残っています。私は「こんな気色悪い映画二度と観るもんか!」と固く心に誓ったもんでしたが、『死ぬまでに観たい映画1001本』に選出されるぐらい評価が高いらしくて、再見してみました。ところが『死霊の…』まで記憶していましたがその先の単語が思い出せない、たしかひらがなだったはず。そりゃ無理もないかもしれませんよ、『死霊の…』と邦題が付いた映画は検索すると『…いけにえ』『…たたり』『…したたり』と山ほどあるんですから、まあ『…盆踊り』は別格ですけどね(笑)。 弱冠21歳でこれを撮ったサム・ライミは、やはり天才じゃないでしょうか。それなりに苦労して資金集めの果てに完成にまでこぎつけたんでしょうけど、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティビティ』などの後年の自主製作映画と比べてその完成度は段違いです。この時代にラブクラフトからネクロノミコンを引用してきたのも、新しい発想だったと思います。ステディカムで撮った映像も斬新と思っていたら、なんとカメラを二本の棒で挟んで全力疾走するという原始的な手法だったそうで、やっぱ低予算ですし苦労してたんですね。登場人物も男女五人だけ、余計な描写は一切なくてひたすら憑りつかれた姉や恋人たちと血まみれ粘液まみれになったアッシュの死闘を見せるだけに徹する潔さ。何故か地下室にあったチェンソーを一度は手にするも結局は使わないところなんかもあの映画へのオマージュというかネタで、こういうコメディすれすれのところは後のサム・ライミが撮るホラーでも見られる特徴なんです。クレジットを見ると、アイヴァンやテッドのサムの兄弟たちなどもゾンビ役で出演しているんですね、さすがにほとんど素人の出演者にあんなグチャグチャのメイクをして演技させるのはムリだったということでしょう。つまり三人の女ゾンビは実は男だったというわけです(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-12-12 21:56:04)
20.  ハスラー2 《ネタバレ》 
雇われ監督だったせいなのか、スコセッシ特有のコテコテ感がほとんどありません。たしかインタヴューに「ほんとはやりたくなかった仕事だった」と彼が語っているのを読んだ記憶もあります。とは言っても、スコセッシ&ポール・ニューマンという一回こっきりの夢の顔合わせが実現しただけでも価値があるというもんです。ニューマンは本作で念願のオスカーをゲットしたわけですが、じっくり観てみるとそれまでノミネートされてきた演技と比べても納得がゆく名演だったと思います。この『ハスラー』二部作はどちらもビリヤード自体の競技の綾にはほとんど触れずに、ひたすらエディ・フェルソンというこのゲームに人生を支配されてしまった男の生きざまを追うのがテーマです。ミネソタ・ファッツとの大勝負から25年後経ち酒の卸売商として優雅な生活をおくっていたエディが、若い才能と出会って情熱が再び蘇ってくる。端的に言っちゃうと前作でジョージ・C・スコットが演じたバート・ゴードンと同じような役回りになるんだけど、老いた老師が弟子を導く『ベスト・キッド』の様な単純なお話しにならないのが特徴。若いヴィンセントをコントロールすることはとうとう出来ず、二人の意地の張り合いのままラストを迎えるわけですが、一歩間違えば『セッション』の様な修羅場になるところを、精一杯前向きな展開で閉めてくるのは良かったかなと思います。ヴィンセント役のトム・クルーズのイライラさせられるほどのガキっぽさもなかなかでした。でも最後には多少なりとも人間的に成長したように感じさせられたのは確かです。思えば本作と『トップガン』は同年の製作、このヴィンセントがマーヴェリックと同じ俳優が演じていたとは信じ難いぐらいです。この若さでこれだけきっちりキャラを分ける演技ができたとは、やっぱトム・クルーズは只ものじゃないですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-11-15 22:52:24)
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