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プロフィール
コメント数 2000
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  コンドル(1975) 《ネタバレ》 
わあ、70年代ぽい。70'sのサスペンスものは何か空気からして重くて渋い。街並みのくすみ具合はフィルムが影響してるのかな。 いい具合に大人(中年顔)のレッドフォードとフェイ・ダナウェイが落ち着いた空気にハマります。後引かない関係がこれまたクール。 静かなれど冴えている演出も好み。罠と知らず救援と待ち合わせた路地の場面や、暗殺者と乗り合わせたエレベーターの緊迫感は一級品です。 暗殺者が拾い上げる手袋、通行人とすれ違いざまに咄嗟に切り替える外国語。一シーンがぴりっと印象的。電話回線を使った仕掛けもこの時代ならでは。 雰囲気、演出、役者陣は素晴らしく魅力的でした。だけどお話はさほど緻密でもなくて、CIAの伏魔殿ぶりを匂わせてざざっと終わります。まあこれも当時の「どうせCIAはヤバイことばっかりやってるに決まってる」という大方の世相を反映してるのかもしれないですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-02-28 23:02:17)
2.  セリーヌとジュリーは舟でゆく 《ネタバレ》 
まさに映像で見る「不思議の国のアリス」。アリスの世界観を実写にするときっとこんな感じ。 もっとも、鑑賞の仕方にはコツが必要です。コマや人物らに整合性を求めるととてもツライことになります。わたしも中盤までは訳わからなくて泣きそうになりましたもん。 もう、監督の手に委ねちゃうことです。目にしたもの全部受け入れる。そうしたらお話が頭からキレイに虚実ない交ぜに入れ替わりながら、繋がっていることが分かります。 「入れ替わる」、これ現実でもアチラ側でも発生してて幻惑状態です。なぜ顔が違うのに久々に会う恋人とすんなり受け入れてしまうのか。そもそもジュリーあての電話を取るなよ。セリーヌの仕事をつぶすなよ・・。や、いかん。こんなことを考えてはいけないのだった。ラストを見てごらんなさいよ。もうそれどころじゃないから。 よく笑って元気いっぱいの女の子二人に引っ張られながら、迷宮の探索に行きませんか。なかなかびっくりしますよ。 ともかくも斬新な経験。有無を言わせぬ感性で一本撮りきっていて、こんな映画は初めて観ました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-04-29 22:21:18)
3.  レッド・サン 《ネタバレ》 
ネームだけで大迫力な面子。重量級の役者を揃えておいて、軽快な活劇に仕上げているのが素晴らしいですね。 三者それぞれがハマった役に収まってるんですよ、これは脚本の当て書きかと思うほどに。ドロンは小ずるい悪党顔だし、ブロンソンのやんちゃぶりに我らが三船の揺るぎ無さ。 外国人の侍観がよく分かる映画でもあります。武骨で己が信条を容易に覆さない。凛として清潔な三船演ずる黒田は外国人のみならず日本人も憧憬を抱くラストサムライでありました。 その黒田にゴーシュ殺害を翻意させるべくちょいちょいブロンソンが仕掛けるのが可笑しい。黒田の気配察知能力の鋭さにブーツ奪還し損ねて「この辺は蚊が多くて寝れやしない」とごまかしたり。剣術の見事さに圧倒され、じゃあ素手で、となっても体術でも容易く引っくり返されるガンマンの図。笑った。こんなに日本人にサービスしてもらえるとは思わなかった。 小競り合いしながら同行してきたリンクと黒田。男の友情がほとばしるラストは胸熱。泣けました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-04-02 23:36:34)(良:1票)
4.  ボーイズボーイズ・ケニーと仲間たち
少年期の瑞々しさと幼さが福袋みたくぎゅーと詰め合わさったような。観てて楽しいけれど、まとまりなく取っ散らかってる感もあって、まさに福袋。 今観ると演出や展開に抑揚が欠けててちょっと物足りない。一本の話に収束できてたらな、と思うけれど子どもらは皆生き生きしているし、子供時代の息づかいはそのまま今でもリアル。思春期に差し掛かる直前の時期の永遠性を獲得していると思います。
[試写会(字幕なし「原語」)] 7点(2023-03-20 11:10:53)
5.  クレールの膝 《ネタバレ》 
いんやー、さしもの恋愛学名誉教授ロメールがさじ加減を誤ってしまった一本と言わざるを得ない。商業映画として発表するにはニッチすぎる。オッサンの少女膝フェチなんぞ誰が知りたいと思うやら。 趣味の迎合する人なら前のめりになるかもだけど、こんなのはひっそりと心の奥底にしまっていてくれないかな。得々と語っちゃうてのが、もう手に負えないこの主人公。 女の子の身体つきをつかまえてどうこう品評するとか、今ではセクハラコードに完全に引っかかるよ。 ロリコンが高じてオッサンが破滅する、という筋書きでもないので可愛げもないな。ラストに勘違いをさらしていたのがちょっと笑えたけれど。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2023-02-18 20:09:00)
6.  雨の訪問者 《ネタバレ》 
タフガイ・アメリカンのブロンソンがしっとりフランス映画に出たらなんでか化学反応が起こりました。良いですねえ、ハマりますねえブロンソン。なんでだろう。無駄に上半身の裸体をさらすのはご愛敬だけども。 ブロンソンの男臭さがいかんなく発揮されてて、最近の映画作品ではあまりお目にかかれない硬派な一本でもあります。女の扱いがまあまあ手荒いですよね。尋問の時に限る、だけど。酒攻めだったり椅子回したり、腕力に極力訴えずに圧をかけるブロンソン、漢っぽい。 ただね、ヒロインのマルレーヌ・シュベールがどうしてもミスキャストに見えてノリ切れませんでした。セシルカットでそばかすで細身の彼女はロメールの思春期ものの作品にならフィットしたでしょうが、本作の「心の傷を抱えていて」「現在はモラハラ夫に耐えている」若妻役には風貌も演技も物足りない。 未成熟に感じられる行動からも、ブロンソンと彼女では中学校の先生と生徒くらいの距離が感じられてとてもブロンソンが惚れる造形には見えませんでした。共演していた脇のジル・アイアランドの方がヒロイン向きに感じちゃったな。本妻ですしねしかも。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-01-31 18:54:39)
7.  ボルサリーノ 《ネタバレ》 
フランスの二大スターによる暗黒街成上り物語。ギャングにつきものの血なまぐさい描写も少しあるけど、全体的に軽めです。 中盤の食肉倉庫での一戦が一番の見どころ。このくだりの緊迫感は一級の演出力を見せます。 が、本作は全体として見ると展開がやや安易で、描きこみの浅さが2時間もののTVドラマに近い印象を受けます。警察までが「君らのことだから証拠を残していないだろう」とヨイショしてどうする。魚市場で狼藉を働くチンピラレベルならまだしも、公共の場でマシンガンをぶっ放して殺しをやっておいて捕まらんとはあまりに主人公びいきが過ぎる脚本に感じます。 ドロンはいつものドロンだけど、ベルモンドは序盤の抜け目ない小チンピラが板についていて、芝居の幅広さを見せます。彼らの置かれた背景がもっと丹念に描かれていたら、ラストのベルモンドの散り際も一層劇的な場面になったのにな。なんか性急な終わり方でしたよね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-12-25 22:40:18)
8.  王になろうとした男 《ネタバレ》 
この話実在のモデルがいたのですね。「○○王に俺はなる!」を地で行く英国人がいたとは。 いい年をしてボーイズドリームを追求するコネリーとケインの二人がいい顔してるんですよ。あ、もちろん純粋でキラキラしているのとはちょっと違って世知の長けたどっちかというと詐欺師顔ですね。それでも命がけの行程をやり遂げるんだから大層な根性であります。 Dreams come true のそのあとにやって来る驕り、読み違い、悲劇、と冒険の結末はシビアで切ない。追い求めているうちが一番楽しいのかもしれないですね。 ところでお話はコネリーとケインの軽妙な演技もあって楽しい雰囲気なのですが、作品に通底しているのは大英帝国の威光を纏った白人の”上から目線”なのですな。文明人たる自分たちがアジア人を教え導いてやる、という態度を包み隠しもしてません。 19世紀の帝国主義を感じ取ってしまうと、無邪気な冒険野郎のお話もやや鼻白んでしまうのが玉に瑕でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-12-18 14:30:50)
9.  ザ・ドライバー 《ネタバレ》 
わあ、これはカッコ良い映画ですね!わたしはハードボイルドの自己陶酔成分が苦手なのだけど、この作品は酔っぱらう隙が無いほどに無愛想です。へらへらと人を小馬鹿にした表情の刑事ブルース・ダーンを除いては誰も笑わない。口角すら上げない。紅一点のアジャーニすら。 ”男は黙って○○”式の美学。ライアン・オニールのストイックさが夜の街の画とぴったり合って、心ときめく素敵さです。 カーアクションも元祖作だけあって迫力あります。今ほど派手に画がブレない分、むしろ観易い。後続作品のお手本になるだけあります。 クルマの一台一台に個性と存在感があって70年代ぽいですね。オレンジのベンツが素敵!(なのに壊された。ショック。) 濃い目のコーヒーにテキーラを垂らしたようなガツン、とくるハードでクールな一本。好きです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-12-13 16:43:06)
10.  110番街交差点 《ネタバレ》 
全体的にくすみがかっていて(フィルムのせいもあるのだろうけど)この重たさ、やるせなさ。70年代の映画作品の香りが炸裂です。たくさん人が死ぬ、その場面ひとつとっても西部劇のようにカラりとしていなく、80年代のように記号化されてもいない。リアルで1件1件がショッキングなのが70’sフィルム。 マフィアの金を横取りするなんてもうハナっから死亡確定な黒人3名。やはりといいますか凄惨な人生の幕切れを迎えてしまいます。じりじりとマフィア包囲網が狭まるヤバイ感じ。タクシーで駅に逃げようとして手中に落ちるクリーニング店主のくだりは手汗ものの演出でした。ああおっかない。 黒人側の描写は情感高めで見せますが、警官サイド特に犯罪者とつかず離れずの癒着状態にあるベテラン刑事の話をもう少し掘り下げてほしかったです。ラストの衝撃度を上げるためにも刑事と裏社会との因果をもう数エピソード。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-12-04 17:25:00)
11.  抱きしめたい(1978)
‶ビートルズがやってきた”狂騒記。ドタバタコメディにぴったりの素材だけあって、ひと目見ようと狂奔するファンらの無茶苦茶ぶりが可笑しいです。盛ってはいるけど、こういうのは極めて事実に近いって聞きますから凄まじいっすよね。 今みたいに各個人の趣味・興味が細分化する前の、皆で同じものを見ていた時代。プレスリーもビートルズもピンクレディーだってご近所の老若男女みんな知っていた。一つ事の事象に集団でヒステリー気味に熱狂することなど、もう無いのかも。あの時代のビートルズの登場のように、全く新しくて心奪われるような体験を人類みんなでまたできたら楽しいだろうな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-09-17 23:16:15)
12.  ホット・ロック 《ネタバレ》 
中年以降もイケメンだけど本作に見る若き姿は端正すぎて誰だか分らなかったロバート・レッドフォードが主演です。レッドフォードかっこ良すぎだし、70年代の犯罪モノってビビるくらい非情な演出も多いので、本作もどういう展開になるのか読めなかったのですけどご安心ください。誰もむごたらしく死ぬことのない、ユルくて楽しい一品でした。 手に入りそうで、もう少しのところで逃してしまうダイヤモンド。うまくいかないじれったさを上手に転がして観る者を引き付けます。 苦虫噛みっぱなし顔のレッドフォードには同情しつつ笑ってしまいます。胃潰瘍になりそうだなあ彼。 ところで多少の力技はこの手の話には目をつぶろうとは思いますが、最終手段はまさかの荒技。反則スレスレと言いますか、アレが通用するならとっくに何とでもできましたよね。せめてあの女が伏線として前段のどこかで絡んでいればねえ。ラストのレッドフォードの笑顔が素晴らしいカタルシスをもたらす分、非常に惜しい創作の瑕疵と思いました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-07-25 23:20:11)
13.  突破口! 《ネタバレ》 
これ、面白いですね!現在みたいに派手なカー・アクションやくどいくらいの銃撃戦が無くても脚本の力でぐいぐい引っ張る。70年代に多く見るシナリオライティング力を今の制作陣もちょっと見習ってほしいもんです。主人公はもっさりでも、実にすっきり爽快なクライム・ムービーです。 チャーリー、なんて頭の切れる奴なんだ。使うつもりのさらさら無かったパスポート、大金を持っているとの‶匂わせ”、花束の使い方。動きは見えるけど会話や細かいニュアンスまでは伝わらない500ヤードという絶妙な距離。 後から思い返すと行間に込められた「意味」にうわあ、となります。わりと非情な展開も70年映画の特徴といいますか、あっさりと殺されてしまうんですよね。W・マッソー扮する主人公も生き残った仲間を切るのがとても早い。歯医者のカルテすり替えの場面は、まだまだ計画の序盤ですもんね。この辺の冷酷さ、ドライさは今観るととても新鮮に感じます。 あとコンテナハウスの隣人であるちょっと妄想気味の婆ちゃん、脇ながらいい仕事しますね笑。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2022-07-14 18:41:37)(良:1票)
14.  恐怖の報酬(1977) 《ネタバレ》 
オリジナルの方は長らくわたしの中で‶口腔内が乾く”冷や汗映画ナンバー1だったのですが、リメイク版が更新しそう。汚い、危ない、おっかないの三要素をきっちり踏襲しつつフリードキンぽい念入りな描写も精神圧に拍車をかけます。ロイ・シャイダー班が走行中に、現地民の男がちょろちょろふざけて車の前後を走るシーンは叫びそうになりました。 崖の拡幅箇所を木で組んでいる図、というのがもう見るのも恐いし、車輪は案の定ハマるし。すんごい撮影をしたものです。あの吊り橋の撮影はどんな現場だったのでしょうか。ここに至っては口の中がカラカラです。 そうだ、リメイク版はカラーなのでトラックのボロい感じがリアルに伝わるのです。錆とか汚れとかが痛々しいほどにメカとして頼りなく、色がついてる分オリジナルより怖さが増していると思いました。ラストもまた別の意味できっちり怖く締めています。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2022-03-20 23:53:56)
15.  007/ダイヤモンドは永遠に 《ネタバレ》 
007にS・コネリーが戻ってきた!という看板だけで商売しやがってますね。あんまり面白くないですもん。 序盤まではテンポよくまだ観られましたが、葬儀屋で強運すぎる生還をしてからは一気に脚本力が低下していきます。 ネタ切れとか水増しとか皆さんの感想どおり原因はいろいろあるんでしょうが、ボンドが何故ここに来て何を目的に動いているんだろうと度々話を見失うのには我ながら疲れました。飽きながら観てたからでしょうな。 そうだ、ゲイの暗殺者ペアのみシリーズに新風を吹き込んでおりました。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2022-03-14 23:49:30)
16.  グリース
ミュージカル映画の中でも屈指の明るさと屈託の無さ。何も考えてなさそうな高校生。特にドラマの起伏は無いのね。脚本作家はある意味ラクですね。 古くはあるけどカラフルで。 野暮ったいけどダンスのキレは一流で。 ポップな画の演出センスは今でも通用する場面が多々あります。 それにしても当時はこの老けたキャスティングに異論は沸かなかったのでしょうか。ちょっと記憶にない。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-09-28 23:09:04)
17.  暗殺のオペラ 《ネタバレ》 
1ショットがどれもこれも名画のごとし。遠近画法のお手本にしたいような、見事な構図。木々の緑と石畳の白、女が生ける花束の強烈なオレンジ色。監督の美的センスが今作も炸裂していますが、ストーリーの方ははらんだ謎の緊迫度とか終幕の際の衝撃など「暗殺の森」の方が卓越していると思います。本作はやや抽象的ですもん。殴りに来た奴、小屋に閉じ込めた奴、どれもはっきりしないしラストシーンに至っては全部が幻だったかのような曖昧な幕切れです。 なにより「ええー?」と思ったのはアトス(父)が裏切り者だった、というネタバレ。そんな、そこは脚本的にもあくまで彼はヒーローであるべきでは? 仲間のおっさん(不思議と時代設定を無視して皆現在の姿で登場するのですね)にボコボコに殴られるアトス(父)はものすごくカッコ悪く、それまで構築してきたベルトルッチ美意識ワールドの世界観すら破壊したように感じたのですが。どっちらけ、ってやつです。アトス(父)が罪滅ぼしに提案したのが暗殺に見せかけた狂言、てのもちょっと理解に苦しむな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-09-16 23:24:53)
18.  さすらいのカウボーイ 《ネタバレ》 
この独特な詩情、唯一無二な味わい。こんな短い時間の中に男子の放浪への憧憬をしみじみと漲らせて余韻をも残します。ピーター・フォンダというメジャーネームの映画というより、駆け出し前衛作家の手による作品と言われた方がしっくりきます。特にぽわーと直前の映像が残ってかぶさってくる実験的な画とか。 構成も演出もシンプルで、説明を極力削った展開がクールです。どういう関係か分からないけどとりあえず一緒に旅する三人のうち一人が序盤に早々と殺されてしまう。かなりびっくりしましたけど、ここもその後の敵討ちも描写は素っ気ないほど。 全編にわたってトーンが渋めに抑えられています。旅に疲れた主人公の心情と重ねているような静かさ。若きP・フォンダが老成したかのような演技を見せます。妻の指摘は鋭い。「本当は彼と二人で旅に出たい。疲れたから帰ってきたくなっただけ。男同士なら気兼ねも無いもの。女房は色んなことを要求しすぎるものね」 そうなのかも。結婚は男子の翼を折ってしまうものなのかも。ちょっと忘れがたいメンズ・ムービーでありました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-08-08 22:12:57)
19.  ウエストワールド 《ネタバレ》 
すんごく先進的な、逆に50年経った現在の方がより身近な恐怖に感じるテーマですね。 AIの暴走といえば1968年のSF金字塔キューブリックの「2001年宇宙の旅」を思い起こしますが、本作はテーマパークで起こる殺人事件という気楽さですので、件の名作が提起していた哲学的命題の解釈に悩むことは一切無く、見やすいです。 アメリカって73年当時で「テーマパーク」という娯楽施設のコンセプトがこうも進んでいたんですね。日本の地方都市に住んでいた子どものワタシにとって、当時娯楽施設は動物園に併設された遊園地かせいぜいデパートの屋上くらいのもの。ディズニー・ランドの情報を少女雑誌で読んでまさに夢の国だと圧倒されていた、そんな時代に今でも実現すれば大当たりしそうな過去世界体験型のテーマパークを(映画の中にしろ)創り上げ、それだけに留まらずコンピュータが人間の手を離れる恐怖をも織り込んだとはこりゃすごい。 やりっぱなしで後片付けせず、なラストもオチの無い怪談を聞かされたような恐さの余韻が残ります。 ユル・ブリンナーがターミネーターの原型だったとは知らなかったなあ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-22 23:18:42)(良:1票)
20.  ラスト・ワルツ 《ネタバレ》 
ちょっと勘違いしていました。‶ジャージー・ボーイズ”のような、一バンドの解散に至るドラマかと思っていたのですが。 完全なるファイナル・コンサートの記録でした。合間にインタビューを挟んではいるものの、これはザ・バンドに思い入れのある層にのみ向けた映像作品です。 残念ながらこのバンドについては(耳なじみのある曲はちらほらあるものの)ほぼ一見さんに近い立場で鑑賞しましたから「ああ、間違ったなあ」と途中からずっと思ってました。 スコセッシの名前にもミスリードされてしまったというのもあるな。 点のつけようもないのですが、若い頃のE・クラプトンやロン・ウッドを見られたということで中間点を。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-05-20 22:57:59)
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