Menu
 > レビュワー
 > かっぱ堰 さんの口コミ一覧
かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1246
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 1980年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順123
投稿日付順123
変更日付順123
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  サルバドル/遥かなる日々 《ネタバレ》 
中米エルサルバドルといえば2021年9月にビットコインを法定通貨にしたことで有名である(その後どうなったか知らない)。また2023年7月公開の米映画の評判に乗って、ピンク色の「バービー棺桶」を売り出した葬儀屋が同国内にあったとのことで(ガーディアン・AP通信→ハフポスト日本版)、そういう今風のことも話題になる国らしい。 映画としては昔の映画というしかなく、これを現在の目でどう見ればいいのか困る。初見時に印象的だったのは何といっても強姦→射殺の場面で、これは当時は過激と思われていたかも知れないが、その他世界には制作側の残虐嗜好を恥ずかしげもなく観客と共有したがる映画などもあるわけで、今となってはこの程度だと何とも思わなくなっている。何かと自由な世界というしかない。 主人公には言いたいことはあったらしいがどうすればいいかの考えはなく、単に言いたいことを言うだけの鬱憤晴らしか自己満足のようでもある。レーガンは悪者になっていたが、実際はそのレーガンの時代に東西対立が解消されて結果的に紛争も終息したわけで、その後は現地でも軍政から民政に移行する一方、劇中の革命組織も合法政党に衣替えして大統領も出している。現在は不法移民による人口流出や犯罪組織の拡大などもあって皆が幸せなわけでは全くないだろうが、少なくとも内戦時代よりはましと想像される。 人間ドラマとしてもあまり感情的に深入りする気にならないが、特に主人公の友人である報道カメラマンが感動要素として扱われていたのは素直に受け取れない。写真が人の心を動かすものだとしても、どういう状況で何を撮ったかわからない写真に適当にキャプションを付ける場合もあり、またそれ自体は事実でも使い方によって情報操作の道具でしかなくなることもある(湾岸戦争の水鳥など)。報道写真がもてはやされたのも昔のことのようで、劇中人物のように写真に人生をかけるのが喜びというタイプでもない限り、一般人として特に共感できるものはなかった。 ただアメリカは別に正義でも何でもないという主張は今日でも当然意味を持つ。後半で主人公が軍人や大使館員?(CIAだったらしい)に述べたのは監督の本音とのことだが、これ自体は普通に共感できる内容だった。この監督も今は陰謀論者のように思われているらしいが、今後とも自分の方向性を通していってもらうよう期待する。 なお皮肉ばかり書いたが、主人公が十字を切ったのを見て後の人々も一緒にやったのはいい場面だった。
[DVD(字幕)] 5点(2023-09-02 15:31:59)
2.  DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令 《ネタバレ》 
今は有名になった庵野秀明氏が若い頃に関わった自主製作映画とのことで、現在は「シン・ウルトラマン」(2022)とともにアマゾン・プライムビデオで配信されている。映画というよりTVの30分番組の作りになっていて、中間あたりにCMの切れ目が入れてある。 基本的にはかなりまともな特撮怪獣物で、防衛基地の内部や装備品や街の建物などは、自主製作のミニチュア特撮としては信じられないほどよくできている。怪獣の着ぐるみもちゃんと作ってあり、顔の造作や唾液が糸を引くのが使徒を思わせる。怪獣の名前が「…エル」なのも天使イメージで使徒っぽいが、これは別の語源解説が付いているらしい。 背景音楽も昔のTV番組で聞き覚えのあるものを多用している。BGMの使い方として、TV番組では登場人物の私的ドラマで使われていたM27が、今作ではマットアローの発進場面にまで流れていたのは新鮮だったが、これは全体がハードな展開のため人間ドラマ限定の箇所がないからというだけかも知れない。 しかしどうしても突っ込みたくなるのはウルトラマンが本体・服装とも地球人仕様なことである。別に宇宙人が宇宙人顔である必然性はないにしても、全体として生真面目な作りなのにここだけギャグなのは変だろうが、これは学生時代からのシリーズとして外せない趣向だったということか。ウルトラマン以外はユーモラスな部分がないのは無味乾燥なようだが、終幕時の「こいつう!」(笑)はツボを押さえていたとはいえる。  物語について、市街地へ殊更に容赦ない攻撃が行われる展開だったのは、昭和(戦後)的にいえば一般民衆を顧みない軍組織への反感ということになるだろうが、しかしもう少し素朴な感覚でいえば、こういう怪獣モノで平気で街を壊すことへの微妙な反発の表われとも取れる。ガキの頃なら何とも思わなくても20代にもなれば、たとえ怪獣を倒すためとはいえ街が壊されれば人も死ぬだろうからまずくないか、という方向に意識が向くのは自然なことである。劇中現場がビル街ではなく住宅地が中心だったのも、一般の人々が現に住む場所が無惨に破壊されることへの心の痛みの表現といえる。 また人間ドラマに関しては、情を殺して義を立てるのを美徳とする戦前世代の硬直性や権威主義に対して、別に情を殺すこと自体に価値があるわけでもなく、誰も泣かずに済む方法を柔軟に考えるべきではないのか、と逆らってみせたのかと思った。ただし現実問題として人間にできることには限界があり、今回はウルトラマンの力を借りて最悪の事態は免れたものの、仲間1人が助かっただけでハッピーエンドともいえず、戦いで多くの人命が失われたことへの悔いは残った、ということかも知れない。当時の既成秩序や現実の中で苦闘する若い世代の姿を描写しているようではあった。  そのほか出演者の演技についてはコメントしないものとして、登場人物では隊長(年齢不詳)の顔の張り具合が北の最高指導者のようで、当時の日本人の栄養状態が良好だったことを思わせた。また防衛組織にちゃんと女性隊員がいて、防衛隊員らしい発声をしていたのは心地いい。一瞬だったが振り向いて「ウルトラマンです」と言った女性隊員は「新世紀エヴァンゲリオン」の伊吹マヤさんを思わせた。
[インターネット(邦画)] 5点(2023-07-08 15:21:24)
3.  トップガン 《ネタバレ》 
2022年に続編が公開予定だそうだがそれとは無関係に、他国の類似映画で「スカイ・イーグル」(2011トルコ)、「TOP GUY トップガイ」(2014台湾)というのを見たついでに本家戦闘機映画として久しぶりに見た。 この映画のいいところは、何といっても今はなきF-14艦上戦闘機が大活躍なことである。グラマン社のニャンコシリーズの最後になってしまったが、後のVF-1 “Valkyrie” のデザイン元になったものでもあり、かつて多くの男子が憧れた飛行機だったことは間違いない。CGに頼れない時代のため実機が飛ぶこと自体に迫力があり、敵と高速ですれ違ったりするのがスリリングに見える。格闘戦中心の映画なので主翼を大きく展開する場面が多いが、後退角を大きくして全体が三角になる場面もあり、またその中間の状態も見えていたようなのは興味深い。なお訓練場面での相手役がA-4だったのはいいとして、本物の敵の「ミグ」(MiG-28?)をF-5が演じていたのは、F-86に対するMiG-15やF-4に対するMiG-21のイメージかも知れないが、F-14の相手としては大小差がありすぎて貧弱に見えた。 話の内容として特に心に残るものはないが、ただ前の方の人々も書かれているように、昔見たときは主人公のライバルが傲慢で嫌な奴だと思っていたところ、今回見ると結構まともな男だったというのは意外だった(首席卒業にふさわしい)。また最後に主人公が最前線での戦いを志向せず「トップガン」での活躍を希望したのは、常にどこかで本物の戦争をしている印象のあったアメリカにしては穏健である。 音楽面では、もともと洋楽にあまり関心はなかったが、"Danger Zone"や"Take My Breath Away"は当時さんざん聴かされたので当然憶えている。  ちなみに最近、続編との関係で話題になっていたのは、この旧作で主人公の私服の背中に日章旗と青天白日滿地紅旗がついていたということだった。これは1963~64にミサイル巡洋艦ガルヴェストンが日本と中華民国を訪問した際の記念物らしく、それならパイロットというより船乗りの持ち物だろうと思ったが(古着屋で買ったのか)、とにかくアメリカの友邦がどこなのかということが当時のハリウッド映画にも反映されていたとはいえる。 それより今回気づいたのはSundownという男のヘルメットが旭日旗デザインに見えたことだったが、これはrising sunではなくて日没だ、という洒落(謙遜?対抗?)だったのか。ミラマーというのはカリフォルニアにあるらしいので西海岸っぽいとはいえる。
[DVD(字幕)] 6点(2021-12-25 11:23:15)
4.  風が踊る 《ネタバレ》 
1981年製作とのことで、街の風景や背景音楽などに(日本でいえば)昭和っぽさがある。基本的にはラブコメ風の映画だった。 撮影場所としては澎湖島、南投県鹿谷郷と台北である。澎湖諸島は亜熱帯と熱帯の境界付近で温暖な気候のはずだが、劇中では寒風の音まで入れて妙に寒々とした印象を出していた。また鹿谷という場所は変に霧が出ていて見通しがきかないと思ったら、主人公男女が子どもらと一緒の場面では日も照っていたりして、これは登場人物の気分の変化も表していたかも知れない。  物語的には自由恋愛を志向したものだそうで、実際そのように見える。相手の男が、当初は辺境の漁村に寂しく住む視覚障害者のように見えていたが、実は正体が全く違っていて視力もすぐに回復した、というのはかなり都合のいい展開に思ったが、このことで男の地位や女の美醜と関係なく、人間の本質的なところに惹かれ合ったことが表現されているらしい。 また途中までは主人公が平気で人を騙すのは困ったやつだと思っていたが、その上に婚約者を捨てて別の男に走るのでは倫理的に大問題ではないかと思っていた。しかし婚約のことは古風な父親に言われていただけで、それよりも「きちんと約束した」方が大事だというのは、古いしきたりに縛られない本人の主体性と誠実さを示している。なお当初、主人公は香港の男と同居しているのかと思ったが、実はそうではなかったと考えられる。 終盤は少し意味が取りにくかったが、男が来るかどうかで結婚自体が左右されるわけではなく、主人公としてはもう心を決めていたということらしい。その上で、旧世代のように結婚に縛られるのか、結婚しても自分として生きられるのかが問われていたのだと思われる。  ほか社会的なことに関していえば、当時の台湾はまだ一党独裁の戒厳令下にあったわけだが、主人公が学校の規律にあえて従わないなどは、社会的な束縛にこだわらない自由な気風があったことの表現かも知れない。主人公が「仰げば尊し」(「靑靑校樹」)に適当な歌詞をつけて子どもらに歌わせていたのは笑った(注:「前途は はるかに、人生は洋々と…」からは元の歌詞でちゃんと歌っていたらしい)。 そのようなこともあって、自分の世代的な感覚からすれば、ほどよいリベラル色の出た映画で悪くないと思った。なお最後の「恭禧發財」は、字幕に書かれた観客向けの言葉というより二人への祝いの言葉ではないかと思ったが(不詳だが)、何にせよ悪くない趣向だった。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2021-12-11 11:04:45)
5.  幽幻道士2 《ネタバレ》 
前作の続きらしく登場人物はほとんど共通である。時代はやはり近代のようで、警察署とされていた場所の看板に「××鎮? 自治保安隊」と書いてあったのは正体不明だが(治安維持兵力か)、そういう近代軍隊のように見えるものとキョンシーが戦う戦争映画のような場面もあった。  今回はアクションに力が入っているが、コメディとしてはそれほど笑えない。しかし白人女性の後にキョンシーがついて来て、その後のドタバタアクションにも巻き込まれた場面はかなり笑わされた。またその女性が素肌を見せるなど保護者向けらしいお色気場面は今回も入っているが、しかし8歳くらいの女児が襲われて着物が破れて脚があらわになって隠そうとするなど、こんなロリコン趣味が許されるのかという場面もあった。 お話としては「変な外人」で変化も出しているが他愛ないもので、前回は人間味もあった親方が完全にバケモノ扱いなのは救いがない。また呆れたのはなぜか最後が悲劇になっていたことで、コメディだったはずなのにこんな場面で劇終なのか???と唖然とさせられた。デブキャラが美少女の気を引くには死んでみせるしかないというのも救いがないが、自分など美少女に見向きもされない立場と思う多くの観客が深く感情移入できる物語ではあったかも知れない。 しかし理不尽だったのは劇中人物が、自分が殺されそうでも他人に被害が及んでも、師や兄には絶対に逆らえない意識があったらしいことである。他の全てに優先する絶対規範など現代の日本人には理解不能というしかないが、ただ劇中少年は義と愛に引き裂かれて死んだのだと思えば、最終的には一定のドラマができていたと思えなくはない。  登場人物としては、テンテンちゃんはなぜか前より面長に見えるが、普通に子どもらしく可愛い姿を見せている。またベビーキョンシーなるものがいじめられて「あーん」と泣く声を聞くと、かわいそうだと親心を刺激されるところがあるわけだが、そのせいか縁もゆかりもなかったはずの親方までが完全にパパになり切ってしまっているのが変だった。 【参考】鳩ポッポの替え歌の歌詞は、ポッポッポのところを「爸爸爸」(パッパッパ)として、その後に「我愛爸爸」(好きだよパパ)と続けることでベビーキョンシーの歌にしているらしい。
[インターネット(吹替)] 5点(2021-11-27 11:27:50)
6.  新・幽幻道士 立体奇兵 《ネタバレ》 
本来は3D映画として制作されたそうで、原題の「立體奇兵」とは終盤に出た赤青の連中がそうだったらしい。確かに、3Dの効果を出すためかカメラに向けた前後の動きが目立つようだった。 今回は設定が初期化されたようで、金爺爺がもともといた「義荘」(第3話冒頭場面のナレーションで説明があった)に最初から少年2人と美少女がいる形になっている。親方と孤児連中の旅という設定はないものの、町内でキョンシーによる殺人事件が起こって疑いをかけられるなど、このシリーズとしてはオーソドックスな印象がある。  内容としてはちゃんと子どもら主体の物語ができており、前回とか前々回のように大人が悪ノリしている印象はなく、コメディ要素にも抵抗なく笑える映画になっている。ベビーキョンシーが敷居につまずいたのに笑わされ(子役は痛くなかったか)、また痒みの素?とか八卦ボックスのようなアイデアも面白かった。最後は残念ながら悲劇に終わっていたが、まずは笑って泣いてという普通の娯楽ドラマの範疇と思われる。 また決戦時の人形の館がファンタジックな作りなのも楽しい。伝統色ある異形の兵団が次々襲って来るのはイマジネーション豊かで、小さい子ならこういうのを喜ぶのではないかと思った。獅子舞が出現したのは変だったが、幇間のようなキャラの坊主頭が青いのがまた可笑しい(気色悪い)。奇兵が消える時のワオンという効果音も面白かった。 このシリーズは初回が好評で第二作を作ったあたりが頂点で、三作目からは低落するばかりというパターンかと思ったが、この新作は子ども向けという基本姿勢を守ったことで、かえって大人も安心して見られる(笑える)佳作になっている。大人の立場としても、子をもって初めて人の道の何たるかを知る、という程度のドラマはできていたかも知れない。  登場人物としては、前回の孤児役5人が少し役どころを変えてまた出ており、前回はグループ中の一人だった美少女が今回はテンテンの地位に昇格したのは順当に見える。もとのテンテンより少しきつい顔に見えるが基本的にかわいいので問題ない。また前回の監督の娘も再登場しており、かなり特別扱いの役をやっている。前回と違って大人の女性の面での見どころはなかったが、子役が微笑ましいので結構だ。ベビーキョンシーも相変わらず愛嬌のある顔を見せている。
[インターネット(吹替)] 6点(2021-11-27 11:27:46)
7.  幽幻道士4 《ネタバレ》 
冒頭で映る水平線が左に傾いているのがわざとなのか雑なのか気になるが、続いて変に残虐な場面を見せつけられるのは気分が悪い。ホラーだからといって妊婦まで脅威にさらすのが子ども向け映画にふさわしいとも思えない。 本来は子どもら主体の映画だと思えばこそ少々のことは笑って許せていたわけだが、今回やたらに下ネタだらけなのは誰に見せるための映画なのかわからない。原語はともかく吹替のせいで下品になっている面もあるかも知れないが、美女の寝所の場面などからすればもとからこういう姿勢で作っていたことになる。 コメディとしても笑えるところがほとんどなく、わずかに笑ったのは「見なかったことにしよう」「別々に恋人作って...」という台詞と、終盤で特殊霊魂が敵の頭に桶か何かをぶつけた場面くらいのものだった。吹替に出る70年代のフォークデュオの懐古などは鬱陶しいというしかない。 最後の対決場面はアクションに加えて光線技まで出る派手な戦いで、危機につぐ危機で手に汗握る展開といえなくもないが、個人的にはいつまで見ていれば終わるのかと延々待たされる感じだった。東映戦隊シリーズ並みに、ドラマ部分を含めて全体を30分番組ぐらいに詰めれば見やすくなったかも知れない。 ただし最後の絶体絶命の場面で突然救いの神が降臨したのは、なるほどこういう手があったかと少し感心した...最初からいたのはわかっていたはずだが存在を忘れていた。  登場人物としては、新顔の保安隊長が「ジョー隊長」というのは宍戸錠に似ているからかも知れないが、それをいえば大人テンテンは志穂美悦子のようでもある。宿屋の主人は誰にたとえるのが妥当かわからないが、個人的趣味でいってしまえば川島なお美?を思わせる現代的美女だった。ちゃんと大人の女性で見どころがあるのは悪くない。 また子どもテンテンはほとんど出ないが、孤児連中のうちの女児2人(特に年長の方)がこれに相当する存在だったらしい。この2人が白塗りメイクで大人テンテンに捨て台詞を言ったところの表情は可愛かった。ちなみに年少の方は監督の娘だったとのことである。 ほか余談的に少し真面目なことを書くと、今日は15日で満月だという台詞があったのは太陰暦というものの基本を思い出させられた。
[インターネット(吹替)] 3点(2021-11-27 11:27:44)
8.  幽幻道士3 《ネタバレ》 
今回は広州という地名が出ている。これが広東省の広州だとすれば、カンフー/キョンシー映画の都・香港に近いということ自体は物語の中身と関係ないわけだが、それとは別に孫文の出生地(現在の中山市)にも近く、創建当初の国民党とも縁の深い土地と思われることから、製作当時の感覚にふさわしい場所設定という納得感がある。 ちなみに以前からの登場人物であるデブ署長というのが今回は「大隊長」を名乗っており、上司の「司令官」に媚を売る立場だったというのは、大陸各地に割拠していた軍閥の部隊指揮官のようなものと思えばいいか。部隊の根拠地に尋問用の責め道具が常備されているのは物騒な雰囲気を出していた。  今回は最初に1、2話を回顧するパートが入っているが、前回が悲劇的な結末だったことを受けて変に陰鬱で悲しい物語のように語られており、そこから始まった第3話でもいきなり大人世界の暴力を見せつけられるので殺伐とした世界に感じられる。その後になって笑いを取ろうとした場面もあったがこの流れでは笑う気にならず、面白いとも思わないまま時間が経過するので大人としては正直つらい。必然性不明の新キャラクターがやたら登場するのも戸惑わされる。 終盤は8人組のスーパー戦隊のような展開で盛り上げて、最後だけ唐突なハッピーエンドで能天気路線に回帰したようだったがもう遅いという感じだった。こういう半端くさいコメディ映画に真面目につき合うのも限界がある気がして来たが、これで当時の児童が喜んだのであれば自分として言うことはない。  ちなみに序盤で出ていた「玉蛙」は、国立故宮博物院にあるという白菜のような高級美術品なのかと思って期待したが、大して役に立たないまま出なくなったので落胆した。また「マーボおばさん」役の尤美芳(尤美方)という人は、おばあちゃんというには若く見えると思ったが、「蘋果新聞網」台湾版の2020.6.28付け特集記事の時点で72歳(喫茶店経営)とされているので、当時は30代末期頃の年齢だったと思われる。それをいえばおじいさん役の役者も50代だったわけだが。
[インターネット(吹替)] 4点(2021-11-27 11:27:42)
9.  幽幻道士 《ネタバレ》 
テンテンちゃんがかわいいという噂は知っていたが実物は初めて見た。 まずこれはいつの時代のことなのかが気になるが、劇中の町では映画興行などもしていたので近代なのは間違いない。警察署に五色旗のようなものが見えており(色と縦横が本物と違うが)、児童の保護育成の方針なども近代国家を思わせるので、例えば1912年の中華民国成立から20年代頃までの大陸のどこかと考えれば、製作当時の台湾にも連続性のある設定ということになる。ちなみにどうでもいいことだが、警察署の中にいろいろ掲示されていた標語のようなものは、後に別映画で見た現代の警察署にも似たものがあったので、実際にこういう習慣があるらしい。 なお鳩ポッポは文部省唱歌であるから本来は日本の歌なのは間違いない。これは現地の観客にとっても違和感なく受け入れられる歌だったのか。  物語としては適当な作りで、ドラマらしいものがあるのかないのかわからないが、それでも90分もあるのが大人にとっては正直長い。昭和の邦画に出るような肉付きのいい女性の下着姿などは本当に子どもに見せたのかと思うが、こういうのは保護者向けのサービスと思えばいいのか。 ホラーといっても子ども向けなので怖くも何ともないが、キョンシーというものの性質がいろいろ語られるのは勉強になる。要は火葬してしまえばいいらしいが、あえて故郷で埋葬するための運搬方法として考案したというのはなるほどと思わされた。なお「殭屍」とは硬直した死体の意味だろうが、それにしては動きが柔軟過ぎる場面もある。  テンテンちゃんに関しては、かわいいというより高慢な美少女かと思ったが、賢そうでいて分別が足りずに自ら面倒を起こしたところもあって完全無欠でもない。終盤の対決でも頼れそうに見せておきながら、突然の危機に驚いてキャーといって逃げ出したところは可愛かった。この美少女とキスした奴には嫉妬したが、その後に爺さんとキスする展開には笑った。 ほか今回は、これが現代の老人が子どもらに語った物語だったことを示す短い映像が前後についている。最後のオチへの子どもらの反応が微笑ましい(失笑)。
[インターネット(吹替)] 5点(2021-11-27 11:27:41)
10.  夜霧のジョギジョギ 《ネタバレ》 
原題のPengabdi Setanは英題のSatan's Slaveと同じ意味らしい。このsetanという言葉はアラビア語由来だそうで、欧米のサタンと同じ言葉が中東から別経路で伝えられたということか。 邦題は中身と全く関係ないので呆れるが、公開時にこの名前(正しくは「…モンスター」)が強烈な印象を残したことで今日まで伝えられたのだろうから、意味不明でも何でも配給側の勝ちと思うしかない。  解説文を見るとゾンビ映画として売りたいようだが、基本的には不運な家族を襲う悪魔とエクソシストの戦いをイスラム世界でやろうとした映画に見える。ただし死人の目とか墓を掘り返すなどは確かに「吸血ゾンビ」(1966年英)を思わせるものがある。 欧米の悪魔なら初めからキリスト教で対抗するのが普通だろうが、この映画では正規のイスラム教よりも、まずは伝統的な呪術や祈祷師に頼るのが常識だったように見える(弟の友人・弟・姉の恋人・姉)。悪魔祓いもこういう俗信を排するところから始めなければならないのは、現地にまだイスラム教がちゃんと行き渡っておらず、目下鋭意布教中であるかのような印象だった(実態は知らない)。 物語の面では全く期待していなかったが、意外にもそれなりにちゃんと作ってある(前に見たインドネシア映画「首だけ女の恐怖」(1981)よりは)。神を信じない一家を悪魔が狙って怪しい家政婦が入り込む一方、危険を察した宗教者が再三の警告を寄せて緊迫感を高める構成になっている(かったるいところもある)。しかし最後の救援が若干唐突なのと、ラストが意味不明だったのは残念だ。悪魔との戦いはまだ続くので、神を信じて対抗しろということか、あるいは神も万能ではないと言ってしまっているようなものか。  ほかどうでもいいことだが字幕に関して、窓の外から幽霊が迫る場面で「うらめしや」と書いてあったのは笑ったが、ここは実際に和風幽霊の雰囲気だったので適切な訳ともいえる。 さらにどうでもいいことだが、字幕で「アンタ」と書いてある場面で登場人物が言ったのは、「アント!」にも聞こえたが「Anda!」だとすればyou!の意味であり、これはたまたま似た言葉だったので字幕も合わせたかも知れない。また夜になぜ墓へ行ったのか、と父親が娘を問い詰めた場面で、夜は墓場で運動会だろうが、と思っていたら父親自ら「運動会!」と言ったように聞こえたのは一瞬驚いた。しかしここは字幕のとおり「Untuk apa!」(何のために)だったようで空耳というしかない。
[DVD(字幕)] 4点(2021-08-28 09:18:56)
11.  AKIRA(1988) 《ネタバレ》 
2020年オリンピック関連で話題になっていたので改めて見た。最初に見たのは90年代のTVと思うが、その時点で印象的だったのはいわゆる「金田のバイク」と、臓器のようなのが膨れる場面だった。いま見てさすがに斬新だとまでは思わないが、1988年の時点で先進的だったろうということは否定しない。音響面でも面白いところがある(救急車のサイレンかと思ったら背景音楽だったなど)。 前提として、近未来は当時の現実の延長上にある、という考えなのは堅実な印象だが、実際に2019年を経験した立場からすれば、「貯金は××銀行へ」という看板とか紙がやたらに多いのは未来描写として外している。不良少年の仲間意識で泣かせようとするのも前世紀っぽいが、そのほか特にヘルメットに覆面の連中が火炎瓶を投げるなど、1988年ならまだ記憶に新しかっただろうが2019年では失笑モノである。一方で軍事衛星からの光線兵器であれば、実際どこかが作っていそうなので怖い。 ちなみにネオ東京というのは1980年のTVアニメ「未来警察ウラシマン」でも出て来ていたが(ネオトキオ、2050年想定)、東京湾に新都市という発想自体は昔からあったらしい(ネオ・トウキョウ・プラン、1959年)。  ストーリーとしては幼馴染の2人の自立と新たな出発という感じのようで、最終的にはこの世界と別の宇宙で新しい未来を自ら作る、という壮大なセカイ系の物語になっていたらしい。当時の若者はともかく今の自分として特に共感できるものでもないが、劇中事物に即していえば、あんな連中に宇宙創造を任せていいのかとは思った。 ほか今回見て思い出したのは、登場人物の中でわりと普通に見えるいたいけな少女の最期が衝撃的だったということだが、今の感覚で見れば、こんな男にどこまでも執着するのが悪いと切り捨てて終わりだった(結局男と一緒にあっちの世界へ行ったのか?)。好きになれる人物が誰もいない殺伐とした世界だったが(主人公の男は単純バカ)、あっちに行ってしまった連中はまあいいとして、残った連中はこれからこっちの世界をまたそれなりに作っていくのだろうとは思った。悪役っぽい強面の大佐はけっこう実直な人物だったらしい。
[DVD(邦画)] 5点(2021-01-16 09:29:24)
12.  悲情城市 《ネタバレ》 
最初が日本語で始まるが、その後も日本の言葉や漢字の日本語読みが結構聞こえる。ヒロインも「にいさん」のような呼び名を常用しており、また主人公の林文清のことは「きよしさん」と呼んでいた。そもそも兄妹の名前からして日本語読みできるよう付けられており、生家がかなり親日的だったと想像される。 主人公の生家である林家は財力のある在地の有力者のようだが(日本人の感覚ではヤクザに分類?)、ヒロインの実家である呉家もお堅い旧家か何からしく、子弟の教育水準も高かったようである。戦前は、林家は日本(というより統治体制か)に反発し、逆に呉家は親和的だったようだが、その違いが何か対立を生んでいたわけでもない。戦争では1人が帰還せず、戦後は大陸の密輸業者とのトラブルや共産主義者の弾圧で家族が失われ、先行きは明るくなかったようだが特にはっきりした見通しもなく終わる。結局何がいいたいのかと考えさせられてしまうが、監督インタビューを見たところでは、それまで隠されてきたこの時期のことを人々が改めて回顧するという意義はあったらしい。昔を知らない世代にも、当時の社会の有様を伝えるものになっていたと思われる。 またこの映画ができたのは、1987年に台湾で起きた大きな政治的変化のおかげとのことだが、その変化は単に映画製作の好機というだけでなく、現在の民主的な政治体制につながる歴史的な大事件のはずである。この映画は大陸側の勢力に一方的に支配される形で終わったが、今の台湾がこれからどうなるかは今いる人々が自らの意思で決めるべきことであり、それを改めて認識させる映画だとは思わされた。日本人にとっては他国の問題だが、かなり気になることではある。  登場人物に関して、まず序盤で出た静子さんは上品なお嬢さんだったが、こんなカワイイ系美女が当時の日本にいたか??という意味でも目を引いた。ヒロインの寛美さん(寛美ちゃん)の方は少し地味かと思ったが、よく見れば清楚で優しげで可愛らしい人である。男連中が政治談議をしている脇で、清さんと一緒に「蘿蕾莱」を聴く場面には和まされた。控え目で古風に見える女性だったが、主人公も悪気の全くない温和な男で、この2人が作った穏やかな家庭のはかなさが切ない映画ではあった。 ちなみに筆談の字幕が無声映画のようで、過去を回顧する映画にふさわしい雰囲気を出していたかも知れない。
[DVD(字幕)] 8点(2020-11-14 09:25:43)(良:1票)
13.  首だけ女の恐怖 《ネタバレ》 
インドネシアの映画で、英題のとおり場所はバリ島である。冒頭に出る恐ろしげな仮面や不安をかき立てる音楽が異国臭を発散しているが、しかし自分の見たDVDでは台詞が全部英語だったのが興を削ぐ。 内容としては現地の伝承に基づく妖怪映画である。原題のLeak(またはLeyak/レヤック、字幕ではレヤク)は、映画のとおり内臓をぶらさげた首を飛ばして胎児や新生児の血を吸う妖怪とされており、似たようなものがマレーシアではペナンガラン(Penanggalan)、東南アジアの他地域でもそれぞれの名前で呼ばれているらしい。また字幕で「レヤク女王」と書かれていたババアは、レヤクというよりランダ(Rangda)と呼ばれるバリ島の魔女のことではないかと思われる(以上はウィキペディア英語版より)。 なお終盤の朝日が昇る場面で「コケコッコー」というのが聞こえたが、一番鶏が鳴くと妖怪の居場所がなくなるというのは日本と共通の感覚かも知れない。また火の玉が飛ぶ場面があったが日本の人魂よりもかなり豪快だった。  全体的な印象としては、日本でいえば大映の妖怪3部作(1968~69)のようなものかと思うが、妊婦の股に顔を突っ込んで胎児を吸う(母子とも死亡)などは子ども向けとは思えない。妖怪映像は特殊メイクや着ぐるみや映像合成や特殊造形物や実物(ブタとヘビ)で作っており、これを安っぽいというのは簡単だが、日本の昭和特撮で作ってもこんなものだったのではないかと思ったりする。個別の場面では、白い布が飛んで来て勇士を縛り、勇士が布を切り裂くとブタの破片に化け、そこからブタの全体像が再構成されて、垂れ乳をぶら下げたブタのバケモノ(着ぐるみ)になるという展開は少し面白かった。 物語としては一応 ”LEAK NGAKAK”(「レヤクが笑う」?)という原作があったらしいが、アメリカ女と地元男の恋愛感情や、捨てられた女の悲哀などに心を動かされるものにはなっていない。また終盤で「大戦士」なるものが登場するのが唐突な上に、終わり方がかなり素っ気ないので拍子抜けだが、まあ昔の娯楽映画などそんなものだといえなくはない(日本の昭和特撮でもこういうのはある)。 ほかに若干のエロさを見せたり(スカートを脱がされる)性的誘惑をほのめかすような場面もあったりしたが、変に控え目というか半端な感じでかえって意図不明になっていた。ちなみにヒロイン役の白人女優は腋毛を生やしていたように見えるがそれほど特筆すべきことでもない。
[DVD(字幕)] 5点(2020-04-11 22:27:30)
14.  ターミネーター 《ネタバレ》 
最初に見たのは公開後のTV放送と思われる。1984年の映画なので世紀末にはまだ間があったが、いわゆる「ノストラダムスの大予言」が事実無根ということが証明されていなかったこともあり、少し先取りした終末感を煽るラストが非常に印象的だった。その後の実生活でも、どうも嵐が来そうだとか漠然とした不安があるときに、この映画のテーマ曲が頭の中で鳴っているということはあった。 もう一つ、ラブストーリーの面では「僕は君に会うために時をこえて来た」(I came across time for you)という台詞が女性にとっては胸キュンに違いないとずっと思っていた(自分で使ったことはない)。ただし今回見たBDの字幕では、なぜか素っ気なく「僕は君のために来た」としか書いてないのは心外だった。「時をこえて」と書くからいいのではないか。こんなことを言える男はそうそういるものではない。  今回見て思ったのは、やはりいかにも低予算な映画だということである。基本的にはアクションで見せており、金属製の腱?を動かすと指が動くとか、目玉をほじくり出すとかを見どころと思っていたらしいのはかなりショボい。ただストップモーション撮影の部分は、昔は何とも思わなかったが、いま見てもまあこんなもんだと思わなくはない。 もう一つは(少し前から思っていたが)、現時点でドローンの軍事利用に関わっている連中は絶対この映画が念頭にあるだろうなということである。またAI技術の進展や情報通信ネットワークに関わる世界的企業が存在感を増しているなど、劇中のスカイネットそのままではないにせよ、何か恐ろしい時代が来るのではないかと不安な情勢になっている(便利になるのは結構だ)。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-06-22 23:21:08)
15.  竹取物語(1987) 《ネタバレ》 
原作付きの映画ということになるがまともに読んだことはない。 当時の感覚としては「未知との遭遇」(1977)などよりはるか大昔から、日本ではこういう壮大なスペースファンタジーがあったと言いたかったのだと思われる。最初がまるきり「まんが日本昔ばなし」だったのは少し呆れたが、求婚者のうち一人を本命扱いして純愛物語のようにしたのは悪くなく、衣装にかなり力が入っていたのが目を引いたりして、娯楽映画としてけっこう楽しめるものになっている。大昔にTVで見たときには割といい印象だったのを憶えているが、それもそれほど間違ってはいなかったらしい。ただ主人公の姫は人物造形が不十分のようで、どういう人格なのかがはっきりせず、結局あまり好きになれなかった。また眉毛をきつい感じで描いていた割に凛とした感じが足りないようでもある。  ところで少し気になったのは劇中年代がいつなのかということで、原作で求婚者のモデルになったとされるのは飛鳥時代から奈良時代初期にかけての人々だが、映画のラストでは「八世紀の末の(西暦七九〇年頃)ことである」と出たので少し驚いた。七九〇年が西暦というなら八世紀も西暦だろうがそれはまあいいとして、この時代設定だと劇中の「帝」は桓武天皇ということになり、従来の世界観を覆す出来事に触発されたために(長岡京を経て?)平安京へ遷都したということにしたかったのか。 そうすると映像に出る条坊制の都は藤原京ではなく平城京だったことになるが、それなら最初の風景映像に出た大和三山のような感じのもの(4つ見えるが)は何だったのか。また劇中人物の名前でも「耳成の長者」「畝傍の真名井?」といったようなのがあり、どうも最初は飛鳥時代のこととして制作を進めていたのが、途中で方針を変えて前記キャプションを入れたので変になったのではという気がした。  なお自分として面白かったのは、求婚者の一人が竜を発見した場面が東宝伝統の怪獣特撮だったことで、ここで海面に竜が現れたので船が危ないと思ったら、いったん無視して通り過ぎていったのはかなり意外で斬新だった。怪獣映画なら最初から狙ったように船を壊しに来るだろうが、この映画では変に刺激しなければ難を逃れられたはずというのが野生生物的といえる。
[DVD(邦画)] 6点(2018-05-19 00:00:06)
16.  サイキックビジョン 邪願霊 ~狙われた美人キャスター~<OV> 《ネタバレ》 
題名が長いが、本編を見ると「邪願霊」だけが本来の題名のようなのでその他は無視でいい。 内容としては極めて安手で貧乏くさく見えるビデオである。劇中アイドル歌手はいかにも昭和っぽく、題名のキャスターの服装も昔風で見ていられない(こういうのが流行っていたのは確かだが嫌いだ)。少なくとも序盤は真面目に見るのが苦痛だったが、しかし本筋に入ると少し緊迫感も出るのでそこまで耐える必要がある。突然爆発が起きたところはさすがに驚いた。 またいろいろと後世の映画で見覚えのある要素が多く、現代邦画ホラーの元祖のような扱いをされているのも納得できる。劇中の出来事を見る限りは「女優霊」(1995)の直系の祖先のようで、劇中アイドルの扱いがよく似ているように思われる。また歌が原因になっていたのは、誰も知らないだろうが「録音霊」(2001)に受け継がれた形である。映像面でも、何かがたまたま映り込むのは今となってはよくあることだが、このビデオでは初回に少し目立つようにしてわかりやすくしていたのが親切だった。ほか特に、この時期にフェイクドキュメンタリーホラーはかなり新しい試みだったのではないか。 そういう意味で、邦画ホラーのファンなら教養として見ておくのもいいかも知れない。自分はファンでも何でもないので本来見る必要はなかったが、見てしまったので一応紹介だけはしておく。  ちなみにわざわざ書くべきことかとは思うが注意事項として、この話では芸能界の闇のようなものが背景になっているようだが、このビデオが製作されたのは実在のアイドルが自殺して社会的にも大きな影響があったとされる1986年の事件のすぐ後であり、当時はまだ日本国民のかなりの部分がそのことを鮮明に記憶していたはずである。当時を知る者としてはこれと無関係に製作されたとは思えないが、しかし劇中の出来事をこの事件に過度に重ねてしまうと故人への冒涜になってしまうのでやめるべきだと書いておく。 なおエンディングの後で、特別出演の水野晴郎氏が余興的にハリウッド怪談を語っていたのはいいとして、竹中直人が無意味に出たのは不快でしかない。これが最後に悪印象を残したので、点数をさらに落とすことにする。
[DVD(邦画)] 3点(2017-12-21 23:59:33)
17.  地獄のモーテル 《ネタバレ》 
DVDが「バンパイア・ラヴァーズ」(1970)とセットになっていたのでたまたま見たが、映画の紹介文に書いてある以上のことは起こらず、またサプライズ要素だったはずの被り物も宣伝写真に出ているので意外性がない。昔の映画であっても、現在まで残ってきたからにはそれなりに娯楽性が高いのだろうと思ったらそういうこともなく、大変申し訳ないが時間の無駄という言葉が最も当てはまる映画だった。ただあからさまな減点ポイントはあまりなかったとは思う。
[DVD(字幕)] 2点(2017-12-14 22:58:07)
18.  銀河英雄伝説 わが征くは星の大海 《ネタバレ》 
原作はかなり昔に読んでいる。全体テーマとしては、独裁制と共和制とどっちがいいか考えよう、というようなことを10巻も使って延々と問いかけるようなものだったが、とにかく読んで面白いのは間違いなく、また登場人物への好感度が読むほどに高まる中毒性の高いシリーズだった。 OVAを見ていた皆さんには珍しくもないかも知れないが、自分としては映像化されたものを今回初めて見たので非常に興味深い。さすがに動画の質はよろしくないが、全体的には結構あか抜けた感じに見えており、艦艇デザインがこれで合理的かは別として、格好良さを優先しない形状に見えるのはリアリティがなくもない(帝国軍の方が若干優美?)。宇宙空間で音がするのは昔からの慣例なのでいいことにして、戦闘が激しくなると爆発音なども消えてしまって背景音楽が前面に出るのは斬新である。曲目としては、クライマックスに向けて盛り上げるための選曲もなかなかいいが、個人的には北欧びいきなので序盤でカール・ニールセンが出て来たのは少し嬉しい。 戦闘の仕方としては平面感覚から完全に脱却しているわけでもないが、艦がわざわざ上?を向いて砲撃したり、モニターが3次元的に表示されているなど一応は全方位の戦闘を意識したものになっている。ただ終盤で、ラインハルトの乗艦(劇中で名前が出ないがブリュンヒルトか)の腹にヤンの乗艦がくっついていたのは、艦底?が不用心になっているという前提があってのことだろうから不自然ではある。またモニターのせいもあって図上演習のようでもあり、実物の躍動感が不足していた感じもなくはない。 ほかドラマ部分では会話が少々くどい印象もあり、必ずしも激賞できるものではないが、宇宙モノのアニメといえば小学生向けで済まされていた時代の常識を振り切った出来になっていたとは思われる。  なお余談として、上には媚びて外づらを良くして下を踏みつけにするタイプの人間は世間に時々いるわけだが、そういう者が人生の最後を迎えたとき、いま生きている自分を知る者の多くが自分を憎んでいる、という状況をどう思うかと考えることが最近ある。この映画でキルヒアイスが「…助けられた数百万の将兵の感謝に比べれば…」と言っていたのは当然、後のローエングラム朝の創始につながる台詞だろうが、もっと卑俗な庶民の人生に照らしてみても結構共感できる言葉だった。
[DVD(邦画)] 6点(2017-08-25 20:22:37)
19.  地球へ・・・ 《ネタバレ》 
まず宇宙船が土俗ホラーマンガ風のデザインのため、観客が共感すべき相手が乗っているようには全く見えない。また主題歌の「ツ~テ~ラ~」というのが昭和の歌謡曲風で非常に聞きづらい。ほか物語の展開がかなり唐突で、場面が少し飛んだように見えるところもあるのは不自然である。 キャスティングに関してはジョナ・マッカという人物の声がいかにも下手くそで、中性的な少年という設定なのだろうとは思うが、明らかに女の声であるのに自称が「ぼく」では非常に困惑する。専業の声優でない者がアニメの声を当てるのを嫌う風潮に同調するつもりは特にないが、この点に関してはさすがに納得できない。 また個別エピソードで非常に違和感を覚えたのが自然出産の候補者選定で、映画では初めから自分好みの若い女に目をつけていた男が、無理やり自然出産の方針を決めておいてなし崩し的にモノにしたように見える。申し訳程度に相思相愛の場面も入れていたが表面的なごまかしとしか思われない。こういうところに勘繰りを入れるのは見る側の心が汚れているからなのか。 ほか全体的なテーマとしては、環境破壊とか管理社会に否定的なのはわかりやすいが、その上に「愛」などというものが出て来るのがいかにも当時の風潮で、多分「愛の戦士たち」とか「愛は地球を救う」とかの影響だろうが、その愛とは何のことなのか不明瞭なまま雰囲気だけで適当に通そうとするのが気に食わない。終盤で、種族の別なく助け合う姿が見られたのもいわゆる災害ユートピアによる一時的なものに過ぎず、出奔した一団が帰るまでに「愛の星」の基盤になるものが見えていたとも思われない。いずれまた殺し合いになるだけではないのか。  以上、とりあえず悪いことだけ書いたが、ちなみに映画を見たあと原作(なぜか自宅にあった)を読んだところ、好きなタイプのマンガかどうかは別にして変だと思うところは特になかった。当時のSFファンタジーの佳作と思われる。
[DVD(邦画)] 3点(2017-08-25 20:22:35)
20.  略奪の大地 《ネタバレ》 
1988年のブルガリア映画で、DVD化されているが画質は悪い。原作は結構な大作歴史小説らしく、この映画も164分もの長さがある(勝手に前後編に分けて見た)。劇中年代の1668年は、日本では江戸時代前期(4代将軍家綱)に当たる。 舞台になっているロドピ山地はカルスト地形の多い場所とのことで、映画の中では山口県の秋吉台のような風景や岩をくりぬいたような洞窟が映っており、物語中の処刑穴?や“神の目”の場面でも生かされていた。文化面でも婚礼など地元の風習や建物などが興味深く、いわゆる「ブルガリアン・ヴォイス」のようなものも聞かれる。一方で有名な?オスマン軍の常備歩兵イェニチェリは、応援で来た400人の歩兵隊として映像化されており、台詞で実際に「イェニチェリ」と言っていたようだが字幕では「近衛歩兵」と訳していた。  劇中ではオスマン軍の暴虐ぶりがさんざん描写され(串刺しの串を作るところからの映像化は初めて見た)、実際こういうこともあっただろうとは思うが、しかし映画として作られた内容をまるごと史実として捉えるわけにもいかない。隣国を貶めてナショナリズムを煽っているようでもあり、部外者としてはほどほどに見ておく必要がある。特に異民族/異教徒に孕まされたからといって、母親が自ら産んだ子を殺すなどという感覚は信じられない。またオスマン帝国は異教徒に寛容だったというのが一般的な見方だろうが、この映画で特定地域が突然「改宗か死か」を迫られた理由が納得いくよう説明されていたとは思えない(少なくとも字幕では)。 そもそもオスマン帝国の支配が及ぶ以前、太古の昔からこの場所でキリスト教徒のブルガリア人が平和に暮らしていたわけでは全くなく、6世紀頃?に初めてスラヴ人が大挙して侵入し、続いて7世紀にブルガール人が来襲してスラヴ人を支配、ブルガリア帝国の成立と滅亡と再成立といった抗争が繰り返され、その間9世紀にキリスト教を受容するといった経過があったわけで、その過程で劇中に見られたような惨劇が(トルコ人と無関係に)なかったともいえない。この映画での印象がどうあれ、歴史上の悪役がトルコだけということはないはずなので、その辺は部外者として押さえておく必要がある。映画のためにオッパイまる出しにした皆さんはご苦労様だった。 ちなみに自分がこの映画を見て本気で怒ったのは、登場人物が食物をわざと踏みつけにして歩いて行った場面である。劇中の悪業は作り物だが、これだけは映画制作時に間違いなく現実にあった不道徳な行為である。  物語の面では、まず人間ドラマはよくわからないので放棄する。人間関係が変に複雑で原作を消化し切れていないようでもあり、また心情面で、登場人物のこだわりが部外者には理解できないところがある。 一方で社会的なテーマとしては、①生き延びること、②民族性を守ること、③キリスト教信仰を守ることが、この順番で重要だということらしい。映画では③をいったん諦めたようだったが、ラストではまたどっちつかずの(希望とも取れる)どんでん返し的な出来事が起こるので困惑する。しかし実際に現代でもブルガリア人でありながらイスラム教徒という人々が存在しているらしいので、そういう割切れない現実を前提にしながら、要は②が本当に大事だと言いたかったのかも知れない(①は当然として)。当時の現地の世相は知らないが、やはりナショナリズム高揚のための映画として捉えるのが妥当ということか。 結果としてかなりの力作のようでもあるが、やはり他国民として受け取れる限度というものがある。ちなみに好きになれる人物は誰もいなかった。
[DVD(字幕)] 5点(2017-06-10 09:27:50)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS