かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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プロフィール
口コミ数 1975
性別 男性
年齢 49歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1.  ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人 ネタバレ 
フランス革命前夜のヴェルサイユ宮殿で、庶民の出でありながら当時の国王ルイ15世の最後の公妾にまで昇りつめたジャンヌ・デュ・バリーの波乱に満ちた生涯を描いた大河ドラマ。世界遺産ヴェルサイユ宮殿全面協力の元、絢爛豪華な宮殿内で大規模な撮影を行ったということもあり、その画の力はさすがの迫力でした。歴史と伝統を感じさせる様々な装飾が施された宮廷内や見事な宝飾品の数々、手間暇かけて維持してきたであろう有名なシンメトリーの前庭等々、まるで悠久の歴史の中に迷い込んだかのような感覚を味わうことが出来ました。そんな中で繰り広げられるドロドロの宮廷劇も見応え充分。今回この作品でデュ・バリー夫人なる人物を初めて知りましたが、こんな数奇な人生を歩んだ人がいたことにまずびっくり。ど田舎の平民の出でありながら、大都会パリに出てくるとその持って生まれた美貌と性的魅力でもって瞬く間に娼婦として大成功、それがある貴族の目にとまるとなんと妻を亡くしたばかりの国王の愛人候補として白羽の矢が立てられる。そこからトントン拍子に女性としてヴェルサイユ宮殿のトップにまで昇り詰めるなんて、まさにリアルシンデレラ物語じゃないですか。国王を演じたジョニー・デップの女好きっぽい感じもなかなか嵌まっていたと思います。と、こーゆー凄い人生を歩んだ人がいたと知れたことは大変良かったとは思うんですけど、映画の出来としては正直、普通。最後まであまりに淡々としててドラマとしてはちょっと物足りなかったかな。もう少しドラマティックに演出しても良かったように思う。あと、デュ・バリー夫人を演じた人が今回監督も務めているそうで。歴史に残る絶世の美女と称される人物を自分で演じてみせるなんて、なかなかできることじゃないよね…。その勇気は買いますが、自分は正直、違和感が凄かったです(笑)。あと、ヴェルサイユ宮殿を追われてからの夫人の晩年は最後にナレーションで簡単に説明されたのみだったので、気になってネットで調べてみました。すると、ビックリ!!フランス革命で身の危険を感じた夫人はなんとかイギリスに亡命。そのままイギリスで安全に暮らすのかと思いきや、何故か危険を冒してまでフランスに帰国(その理由は今でも謎に包まれているそうです)。案の定すぐ革命政府に捕らえられた夫人はそのまま断頭台に上ることに。この時、夫人は最後まで泣き喚き周囲に必死に命乞いをして、集まった民衆をドン引きさせたそうです。そして、その刑を執行したのがかつての恋人とも噂された処刑人だとか、なんとドラマティックなんでしょう。夫人のこの最期をこそちゃんと描くべきだったんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2025-07-24 14:35:25)★《新規》★
2.  ザ・タワー(2022) ネタバレ 
ある日突然、漆黒の闇に包まれた高層アパート。低所得者階級が多く住むこの建物には、様々な人種や宗教、性的指向を持つ人々が暮らしている。異変を察知した彼らは、すぐさま外に出ようとするがそこには何も見通せない暗黒世界だけが拡がっていた。ドアや窓から物を投げてみると何の音もたてないまま消えてしまう。携帯やタブレットも全て圏外、テレビやラジオも何も受信しない。そして、人間がその暗闇に手を出そうものなら、まるで鋭利な刃物で切断されたように消滅してしまうのだった――。パニックに陥りながらもそれぞれのコミュニティごとに団結し、この建物の中で暮らしを立て直そうとする人々。部屋の中で僅かばかりの植物を育てようとしてみたり、ペットの犬や猫を繁殖させ食料にしようと試みるのだが、どれもうまくいかない。そんな生活が5か月も過ぎたころ、住人たちのストレスは限界を迎え……。突如として暗闇の中に閉じ込められた高層タワーの中で極限状況からしだいに追い詰められてゆく人々を描いた不条理スリラー。楳図かずおのサバイバルホラー漫画の名作『漂流教室』の高層団地版といった感じの本作、これがまぁ近年稀にみる面白くなさでございました。こーゆー設定勝負の映画なので突っ込みどころが鬼のように満載なのは目を瞑るとしても、肝心の脚本がダメダメ過ぎてさすがにこれは見てられない。こんなに分かりやすい設定なのにここまでストーリーが頭に入ってこないってどゆこと??群像劇なのに、どの登場人物もキャラ立ちしてなくてその個性や背景がまったく見えてこない。なので、彼らが何を語ろうとどんなアクションを起こそうとまるで流れてくる広告をただボーっと流し見してるような感じで、ちっとも面白くありませんでした。画も暗くて汚いし、出てくる人も暗くて汚いし、最後の方なんてもはや観る苦行(笑)。なにより不快なのが、この監督の「突如として極限状況に放り込まれ文化的な生活を奪われた人々を描くことで、人間本来の生存本能を社会学的かつ哲学的に考察してみたかったのだ」みたいな独り善がりなドヤ顔が透けて見えるところ。いやいやそんな高尚なテーマに挑む前に、まず映画作りの基本をもっと勉強してください!
[DVD(字幕)] 3点(2025-07-24 10:30:26)★《新規》★
3.  アビゲイル ネタバレ 
何者かによって集められた6人の凶悪な犯罪者たち。お互いの名前や経歴など一切知らないまま、現場へとやって来た彼らは、ボスに言われるがままとある少女を誘拐する。少女の名は、アビゲイル。強固なセキリュティに守られた豪邸に住む大富豪の一人娘だ。薬で眠らせたアビゲイルとともに隠れ家へとやって来た彼らは、身代金が支払われるまでこの館で一夜を過ごすことに。だが、彼らはまだ知らない。一見普通のか弱い少女に見えるアビゲイルには、恐るべき秘密が隠されていることを――。突如としてバリケード封鎖された隠れ家の中で、次々と命を落としてゆく仲間たち。果たして彼らは無事に翌朝を迎えることが出来るのか?謎の少女とともにとある洋館に閉じ込められた犯罪者たちの一夜の攻防をノンストップで描いたホラー・アクション。ぶっちゃけて言うとバンパイア映画の名作『フロムダスクティルドーン』の現代版と言った感じなのですけど、こーゆーのってネタバレしちゃうと面白さが半減しちゃうのが難点ですよね。自分も盛大にネタバレしている宣伝文句に惹かれて鑑賞したのですが、でもこの宣伝文句がなければ観なかっただろうし、難しいところ。さて、肝心の内容なのですが、全体的にすんごく惜しい映画でしたね、これ。映画って観ている間、「なんだか面白くなりそう」「やばっ、めっちゃおもろい!」「サイコー!!」と言うメーターを行き来するもんですが、本作は「なんだか面白くなりそう」と「やばっ、めっちゃおもろい!」の間らへんでずっと止まってる感じ。一瞬そのメーターを越えた瞬間もありましたが、それも1、2回程度。設定もキャラもすんごく面白くなりそうなのに、なんかすんごく勿体ない。「白鳥の湖」のバレエを踊りながら襲い掛かってくる血まみれ少女とか、最近観た映画の中では『ミーガン』に次ぐインパクトだったのにねぇ。後半になるにつれ、しっちゃかめっちゃかになる脚本ももう少し何とかならんかったんかな。最後のまさかの父親登場も、アビゲイルのまさかの豹変という中盤のどんでん返しがインパクト強すぎて霞んじゃってるし~。と、いろいろ述べましたが、それでもこの監督のとにかく面白い映画を創ってお客さんに楽しんでもらいたい!!と言う有り余る情熱には好感持てました。最後の血みどろグチャグチャクライマックスなんて観ていて純粋に楽しいし。次作に期待ってことで!
[DVD(字幕)] 6点(2025-07-24 09:26:46)★《更新》★
4.  ザ・ウォッチャーズ(2024) ネタバレ 
ここは、アイルランドの鬱蒼と茂る深い森の中。ひとたび迷い込もうものなら、どこまでも続く同じような樹々の海と携帯も繋がらないような原始的な環境、さらに日が落ちてしまうともはや何も見通せないほどの闇に包まれ、すぐさま命の危険に晒される。そして、そんな危険な森の奥深くには人々を恐怖のどん底へと陥れる更なる邪悪な存在が待ち構えているのだった――。小さなペットショップで働くミナは、この森を抜けたところにある動物園に希少なインコを届けるため車を走らせていた。ところが途中で車がエンジントラブルを起こし止まってしまう。見渡す限り何もない深い森の中で途方に暮れるミナ。気づくとそこにあったはずの車も消えてしまう。インコを入れた鳥籠だけを手に、森の中をあてもなく彷徨っていたミナは、やがて奇妙な山小屋へと辿り着くのだった。そこには3人の先客がいて、とある理由によりもう長い間この森から出られないでいるという。小屋の壁一面にはマジックミラーとなった巨大な鏡。「この森にはウォッチャーズと呼ばれる恐ろしい存在がいて、夜な夜な私たちを観察するためにこの小屋へと集まってくるの。逃れることは出来ない」。彼らに言われるがまま、夜な夜な何者かに見られる生活を余儀なくされるミナ。果たして彼女の運命は?監督は、アイデア1本勝負で映画を撮り続けるM・ナイト・シャマランの娘さん。そんな彼女のデビュー作となる本作は、親父のDNAを色濃く受け継ぐサスペンス・スリラーでございました。観終わった直後の率直な感想を述べさせてもらうと、むちゃくちゃつまんなかったんですけど、これ。なんか親父のダメな部分ばかり受け継いでるんちゃうかってくらい、ダメな時期のシャマラン映画って感じでした。とにかく映画としての見せ方が恐ろしく下手。このマジックミラー号みたいな小屋の中に閉じ込められて何者かに観察されるという特異な状況を作り出したいがため、そこに至るまでのストーリーがテキトー過ぎます!主人公がインコを届けるために森にやってくるまではいいのですが、そこから急に車が消えたり、辿り着いた小屋でいきなりすぐ観察生活始まったり、主人公がほとんど疑問を抱かず簡単にそれを受け入れたりと何もかもがふわふわしてて物語世界にさっぱり入り込めません。もっと説得力ある脚本にしてください!あと、夜のシーンの画面が暗すぎて何をしているのかほとんど分からなかったのも大いにマイナス。最後も結局なんやってんみたいな感じで終わっちゃったし。と自分はさっぱり嵌まらなかったのですが、親父も忘れたころにヒットを打つ人なので、いつかは娘さんもホームラン打ってくれるかも?!
[DVD(字幕)] 4点(2025-07-21 11:08:46)《更新》
5.  フェラーリ ネタバレ 
イタリアの世界的な自動車メーカー、フェラーリ。その創業者であるエンツォ・フェラーリの人生の一大転機となった1957年を濃厚に描いた伝記映画。監督は、これまで男臭い映画を数多く撮ってきた、まさに漢の漢による漢のための映画監督マイケル・マン大先生。いやー、基本はレース映画なんですけど、ここまで暗くて重苦しいレース映画は初めて観ました(笑)。『ラッシュ/プライドと友情』や『グランツーリスモ』みたいなレース映画の醍醐味であるスカッと爽快感や手に汗握る迫力の展開とかはほぼ皆無、ずっとこの一人の金持ちの正妻と愛人との確執、隠し子を認知するかどうかみたいなどろどろ展開がひたすら続き、自分はいったい何を見せられているのだろう感が半端なかったです。それなのに最後までちゃんと惹き込まれて観られたのはやはりマイケル・マン監督のもはや匠の技のような卓越した演出力によるところが大きい。どんなに美辞麗句を並べようと、やはり経営の実態は金と権力と欲望がモノ言う汚い世界。そんなリアルな経営者の苦悩と矜持をアダム・ドライバーが見事に演じておりました。ライバル企業との競争に競り勝つため、レーサーに「私の車に乗るなら死ぬつもりで走れ、それが無理なら去れ」と冷酷に言い放つフェラーリはまさに狂気紙一重。それがのちのあの凄惨な大事故に繋がるところは皮肉めいていてガツンときましたわー。一人息子を亡くしたことを未だ引きずり、愛人との間に隠し子を設けた夫に狂気にも似た嫉妬をあらわにするペネロペ・クロスも素晴らしかった。肝心のレースシーンも添え物にならず、ちゃんとクオリティ高くて自分は普通にドキドキしちゃいました。あんな普通の公道で猛スピードでレースしたらそりゃ大事故にもなるって!世界的大企業を一から作り上げた経営者の栄光と苦難の遍歴を重厚に描いた、なかなかの良品でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2025-07-20 13:17:10)(良:1票) 《更新》
6.  翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜 ネタバレ 
関東を震撼させた、あのご当地自虐ギャグ映画のまさかの第二弾。あんなくだらない内容(誉め言葉!)の映画がここまで大成功するなんて、日本はホント平和な国だなぁ(笑)。んで本作、事前の予想通り、今回の舞台は関西と言うことで生まれも育ちも関西な自分としてはそこそこ期待して鑑賞いたしました。関東の土地勘のない自分としては前作の細かいネタがいまいちピンとこずだったのだけど、今回は舞台が関西と言うことでだいたい理解できました!滋賀県がジャングルに覆われた未開の地だったり、和歌山が大阪の植民地だったりとかのネタはけっこういい線突いてる。ただ、それ以外のネタは「まぁあるあるですわな」って感じでそこまで爆笑するとかはなかったかな~。なんかこっちの予想通りのネタばかりで、もっと意地の悪いひねくれたブラックなネタがもう少し欲しかった気がしなくもない。やぱ前作は「埼玉県民にはそこら辺の草でも喰わせておけ!」「埼玉って聞いただけで耳が腐る」「ダサいたま」と言うパワーワードがいっぱいあったのに、本作ではそーゆー耳に残るキラーフレーズがなかったのが残念。もっと滋賀県をくそみそにディスって欲しかったぞ(別に滋賀県に恨みがあるわけではございません)。ちゅーわけで、笑いのレベルとしては前作の方が上でした。次作に期待……って、さすがにこれ、第三弾とかはないか(笑)。
[地上波(邦画)] 5点(2025-07-18 09:04:37)
7.  レイチェルの結婚 ネタバレ 
かつて麻薬という魔物にどっぷりとはまり込み、知人や友人、そして大切な家族を傷つけ、大切なものをたくさん失ってしまった若い女性キム。更正施設での長年にわたる治療の末、何とか立ち直ることが出来た彼女は、姉レイチェルの結婚式に出席するために久し振りに実家へと帰ってくる。だが、幸せいっぱいの姉の姿を見ているうちに、キムはやっぱり癇癪を起こし、周りの人々や家族たちに迷惑をかけまくってしまうのだった。果たして無事に結婚式は終わるのか?人生の節目を迎え幸せになろうとする姉と人格的に問題のある妹との、家族や友人をも巻き込んだ騒動を、まるでホームビデオで撮ったかのようなリアリティ溢れる映像で綴ったファミリードラマ。『羊たちの沈黙』や『フィラデルフィア』でその名声を欲しいままにしたものの、その後はパッとしない印象のジョナサン・デミ監督の作品なのですが、あの頃の画面の端々にまで漲っていた不穏な緊迫感は完全に雲散霧消してしまい、なんだか知り合いの大して面白くもない結婚式の映像を延々と見せられたような退屈極まりない作品でありました。「結婚式ってホント大変!」。そりゃそうかも知れませんけど、それを延々と映画として観せるには、もっと新しい切り口なり斬新なアイデアがなきゃ駄目だと思うんですけど、この作品はどうにもそれが弱い。まるでホームビデオで撮ったような手振れ映像をそのまま使っているにもかかわらず最後までストレスなく観られるところや、軽快でノリの良い音楽、「結局、家族は仲良くなれませんでした…」な印象的なラストシーンなどは良かったとは思うんですけど、もっと胸をえぐるような一度見たら忘れられないエピソードとかが欲しかったですね。ジョナサン・デミ作品なんだし、この結婚式にレクター博士がやってきてそんな家族の葛藤とか知るかぁ!って感じでえらいこっちゃ展開を見せてくれるとかさ(笑)。
[DVD(字幕)] 5点(2025-07-09 12:46:04)
8.  シェルタリング・スカイ ネタバレ 
この美しい空を見上げてごらん、この茜色の大空はね、僕たちを守ってくれているんだ、宇宙という無限の虚空から――。結婚生活10年目にしてお互いが求める愛の微妙な擦れ違いに悩む夫婦キットとポート。なんとか事態打開を図りたい2人は、若い共通の友人ターナーを伴ってアフリカの大地へと降り立つのだった。「無計画こそが私たちの計画なの」。原生的な生きるエネルギーに満ち溢れたアラブ人たちに混ざり、広大なサハラ砂漠でただ刹那的な愛を求めて彷徨う一組の夫婦。果たして彼らが得た結論とは?赤を基調とした暖色系の美しい映像と情熱的で壮大な音楽(全盛期の坂本龍一教授が生み出す美しい旋律が胸に染みます)で、この倦怠期の夫婦が若い男を媒介に冷めた愛を再び燃え上がらせようとするという、なんてことないNTRストーリーなのに、なんだか哲学的で深い映画に仕上げてしまうところは、さすが巨匠ベルナルド・ベルトルッチ。とにかく砂漠の映像が美しい。風が吹けばそこら中に砂砂砂、市場に行けば肉にたかる蝿蝿蝿、アラブ人はみんな髭髭髭、このひたすら濃ゆ~いのに何処か知的で高尚な雰囲気を漂わせるスタイリッシュな世界観には、素直に圧倒されました。ただ、綴られるストーリー自体はあまりにも淡々と進むため少々退屈なところはちょっぴり残念でしたけれども。それでも、どんなに情熱的な愛があろうとそこにどんなに崇高な人間の魂があろうと最後は何もかも無機質な砂へと呑み込まれて無に帰するのだという東洋的な無常観に必死で抗おうとする人間たちの苦悩を、ラクダがのどかに闊歩するような砂漠の雄大な景色のなかに象徴的に描いた、いかにもベルトルッチらしい良作でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2025-07-09 12:27:48)
9.  ローン・レンジャー(2013) ネタバレ 
1869年、ゴールドラッシュに沸くアメリカ・テキサス州。自らを法と正義の番人と自負する、頭のお固い新人検事ジョンは、故郷へと帰る列車の中で、偶然、顔に妙な模様を描き常にカラスの死骸を頭に乗っけているはぐれ者のインディアン・トントと出会う。その外見以上に頭のネジが何本も抜け落ちたような変わり者の彼に、当然のように反発するジョン。たが、ひょんなことから一緒に凶悪な犯罪者を追ううちに、何故かマスクマンとなって、奇想天外な冒険の旅へと出発することになるのだった。男前で正義感の強い超オーソドックスな主人公と、そんな彼と全く正反対な超へんてこキャラがタッグを組み、コメディとシリアスの狭間を絶妙なバランス感覚で描く、いかにもヴァービンスキーらしい冒険活劇。と聞くと、やっぱりあの「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズを思い起こさせるのだけど、残念ながら今作は「パイレーツ~」に比べて魅力的なキャラクターに乏しいせいか、冒険活劇にもっとも大切な要素であるワクワクドキドキ感が全体的にワンランク下がった感が否めないですね。特に、一番の悪役が誰かよく分からないせいでストーリーが最後までいまいち盛り上がりに欠けたところが残念でした。うーん、もっとファンタジックな設定にして、悪役たちをあの骸骨海賊ばりにグログロ集団にしてくれた方が作品世界にアクセントが利いて良かったと思うんだけどな~。監督があまりにも西部劇に拘りすぎて、彼お得意の遊び心がいまいち空回りしちゃってる印象が否めなかったです。それでも最後の、列車二台を並走させながらの様々なキャラクターたちが入り乱れて大活躍する、もう王道まっしぐらなクライマックスシーンはやっぱりさすがの出来でした。そこらへんは抜群の安定感で素直に楽しめました。あと、ジョニー・デップ&ヘレナ・ボナム・カーターの共演シーンで、いつ彼が彼女を殺すのかとハラハラしちゃうのは、確実にティム・バートンの悪影響(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2025-07-09 12:05:52)(良:1票)
10.  アップサイドダウン 重力の恋人 ネタバレ 
これから僕が語るのは、宇宙で唯一の〝二重引力〟が存在する世界での社会を変えることになったある愛の物語だ――。特殊な磁場が働き、上下双方からの重力が存在する特異な双子惑星。上に位置する世界には何不自由なく暮らす富裕層が住み、下に位置する世界には貧しい人々が鬱屈した毎日を過ごしていた。お互いの世界の交流はタブーとされ、下の世界に住む貧しい人々は上の世界に住む幸せそうな人々をただ眺めることしかできない毎日。ある日、二つの惑星を結ぶ賢者の山でエデンという女の子と運命的な出逢いを果たしたアダム。2人は、そんな禁忌とお互いの重力を乗り越え愛を育んでいく。だが、世界を牛耳るトランス社に知られることになった2人は無理やり引き離されてしまう――。10年後、トランス社で働く彼女と再会を果たすため、アダムはそんな重力の壁を乗り越えうる画期的な発明品を手にとうとうトランス社に踏み込んでいく。ところが悲しいことに、彼女は過去の記憶をすっかりなくしていて……。上と下からの二つの重力に支配された特異な世界でお互いの身分を超えた愛を貫こうとするあるカップルを描いた純愛ラブストーリー。と言う、ストーリー自体は超古典的な「ロミオとジュリエット」風純愛物語なのだけど、それを特異な発想と拘りぬいた斬新な映像でもって描いたところが新しいですね。徹底的にアイデア勝負のこの世界観は確かに秀逸だと思うのだけど、さすがにちょっとストーリーがおざなりに過ぎます!都合よく記憶をなくしたヒロインが物語の途中でこれまた都合よく記憶を取り戻したり、強大な権力を持っているはずのトランス社がかなり甘々なセキュリティだったり、そしてかなり投げっ放し感MAXな強引なオチだったり…。うーん、もうちょっと脚本を練って欲しかった。それでも、今までになかった斬新な映画を創ってやろうというこの監督の迸るような情熱は、その画面の端々からビシバシ伝わってきました。ようやく相思相愛になれた2人が空中をクルクル廻りながら抱き合ったりとか、こんな変てこなラブシーン初めて見たし(笑)。そんなわけで、この設定は斬新なのにストーリー自体は青臭い恋物語、突っ込みどころ満載ですけどけっこう楽しめたかな。文字通り、ホントに身体が燃え上がりそうになりながらそれでも彼女の前ではスマートなデートの終わり方をしたかったアダムの童貞っぽい感じとかも、素直に共感出来たしね。重力やら格差やらに阻まれながらも、それでも好きな女の前だとええカッコしたい男ってやっぱアホだ(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2025-07-09 11:58:24)
11.  エリジウム ネタバレ 
ここは、人口爆発により社会秩序が著しく荒廃した未来の地球。一握りの富裕層は宇宙空間に建造した巨大な宇宙ステーション〝エリジウム〟に移り住み、何不自由ない豊かな生活を謳歌していた。反対に地球に残された人々は、ロクな医療も受けられない、ゴミと瓦礫と犯罪がはびこる世界で虫けらのような生活を強いられている――。元犯罪者のマックスもそんなごみ溜めのような街で、鬱屈した思いを抱えながら巨大企業の工場で働いていた。ある日、いつものように作業に従事していたマックスは不慮の事故により有害物質を全身に浴びてしまうのだった。「残念ながら君の命は5日ともたないだろう…」と告げられ、絶望に打ちひしがれるマックス。さらには厄介払いするかのように、唐突に解雇を通告されてしまう。理不尽な仕打ちに怒りに燃えたマックスは、凶悪な犯罪者の力を借りてそんな会社の社長を誘拐する計画を立てるのだった。図らずもそれは理不尽なこの世界を変えるきっかけとなってゆく……。『第9地区』という、社会の貧困や理不尽な格差や差別を真正面から描きながら、内容はあくまで良質のエンタメSF映画(ちょっぴりB級っぽい)という、かなり斬新な作品で鮮烈なデビューをかざったブロムカンプ監督。満を持して放つ新作は、巨大予算&有名俳優陣を存分に使って製作したSF超大作でした。冒頭から、見渡す限りバラックが建ち並ぶスラムで懸命に生きる人々の隣に普通に銃を持ったロボットが闊歩していたり飛行船が飛び交っていたりという、この監督らしいハイブリッドな世界観に否が応にもテンション上がっちゃいました。いやー、良いですね~、このシニカルでスタイリッシュな世界観。社会の底辺で暮らす人々のエネルギッシュな描写や細部にまで拘り抜いたSF愛、そして一癖も二癖もある個性的なキャラクターたちが織り成すスピーディーなストーリー展開、うん、充分面白かった!特に社長誘拐シーンでのスローモーションを多用した銃撃戦描写とかかなり格好良くて大変グッド。ただ、さすがに気負いすぎたのか、後半から若干散漫な展開が続き、いまいちクライマックスが盛り上がらなかったところが残念でした(特にジョディ・フォスターの見せ場があんまりなかったとこが不満爆発!)。でもまあ、新鋭監督の次回作に期待を込めて7点!
[DVD(字幕)] 7点(2025-07-09 11:28:46)(良:1票)
12.  悪の教典 ネタバレ 
彼の名は、蓮実聖司。地方の公立高校に勤務する英語教師だ。人を惹き付ける明るい性格と誰もがうらやむルックスの良さで生徒からの人気も高い。また、常に生徒のこと第一に考える熱血教師ぶりと保護者からのどんな要望にも真摯に対応する人当たりの良さから同僚教師からの信頼も絶大。授業も丁寧で分かりやすく、体育教師も真っ青の身体能力の高さ、それでいて毎日軽トラックで通勤するような飾らない人柄から、皆に〝ハスミン〟と呼ばれ、親しまれている。まさに人格者を絵に描いたような完璧な教師だった。自分の欲望にとことん忠実で、そのためには平気で人を殺すことを厭わないサイコパスであることを除けば――。人気者の顔の裏で、盗聴や謀略を駆使し、自分の理想のクラスを作り上げようとするハスミン。なんでも言うことを聞いてくれる親衛隊、弱みをちらつかせたら簡単に高級車やタワーマンションを提供してくれる同僚のお坊ちゃん教師、そしてクラス一の美少女とのとろけるような甘美な時間……。だが、そんなハスミンの完璧な生活は、ちょっとした綻びから急速に崩れ始める。その明晰な頭脳で何とか立て直そうとするハスミンだったが、様々な偶然が重なり、事態は取り返しがつかないことに。果たして彼が最後に選んだ「手段」とは?原作は、数々の賞に輝くベストセラー作家、貴志祐介。遅ればせながら、最近原作本を読んだのだけど、これが思いのほか面白くて、これほど夢中になって読んだのは何年振りだろうというくらいの傑作でした。で、その流れで映画化された本作も鑑賞。いやー、蓮実聖司を演じた伊藤英明はまさに嵌まり役でしたね。原作のイメージ通りの笑っちゃうくらい男前だけど、何処か胡散臭い感じがサイコーでした。そんなサイコーパスな彼が、自分の理想のクラスを作るために邪魔な生徒を学校裏サイトで炎上させたり、モンスターペアレントを火事で焼き殺したりする前半はその不穏な空気感も相俟って、なかなか楽しい。普段、世間体や人とのしがらみから色んなことを我慢している自分の鬱屈した暗い部分をビシバシ刺激してくれて、ここら辺は原作通りの面白さでした。ただ、後半からこの監督の良くも悪くも持ち味である「大味」な部分が目立ってきて、次第にテンションが下がってゆく自分がいました。うーん、後半からが雑すぎますかね。最大の見所であるクライマックスの生徒大量殺戮シーンも、原作ではもっと葛藤して悩んだ挙句「こうなったら皆殺しにするしかない。あいつらには悪いが早めに〝卒業〟してもらおう」と冷静に結論付けるところが、この蓮実聖司と言う強烈なキャラクターの魅力だったのに。これでは単なる頭のおかしい殺人鬼ってだけじゃん。まぁ画としては強烈で、あの傑作をここまで映像化してくれただけでも自分は満足度高めでしたけど。原作が大好きだった分、いろいろと不満点も残る作品でした。惜しい!
[DVD(邦画)] 6点(2025-07-05 18:41:17)
13.  トランス(2013) ネタバレ 
高級な絵画をオークションにかける会社で地道に働くサイモン。ゴヤの大作「魔女たちの飛翔」が落札にかけられるその日、彼は仲間たちとともにある計画を実行にうつすのだった。それは、その高額な絵画の強奪。奪った画を裏マーケットに売り渡し、大金を得ようというのだ――。しかし、彼の予想外の裏切りによりそんな絵画は何処かへと隠されてしまう。怒った仲間たちはサイモンを拘束。当然のように怒り狂うリーダーは彼を拷問にかけ、絵画の行方を割り出そうとする。だが、なかなか口を割らないサイモン。なぜなら彼は、頭を強打したことで記憶をきれいさっぱり失ってしまったのだった。仕方なく、リーダーは催眠療法士の美しい女性を利用して彼の失われた記憶を甦らせようとするのだが、各々の隠された思惑と過去の出来事が複雑に交錯し、事態は思わぬ方向へと転がり込んでゆく。果たして絵画の行方は?催眠状態に陥った一人の男の隠された深層心理を極彩色でポップな映像と軽快でノリの良い音楽とで、スタイリッシュに描き出す映像作家ダニー・ボイルらしい佳品でありました。いかにも賛否両論分かれそうな作品だけど、僕はけっこう好きですね、これ。まるで万華鏡の中へと紛れ込んだような独自の世界観やシュルレアリスムな映像美。まぁストーリーや設定はよくよく考えたら突っ込みどころ満載ですけど、エンドロールが流れるまで、このポップでサイケな映像で描き出された、一人の男の疾走感溢れる脳内トランスワールドに素直に酔いしれることが出来ました。ときおりはさまれるシュールなエログロ描写もなかなか良かったです(むちゃくちゃ顔の濃いヒロインの股間が全くの無毛だったという、なんじゃそりゃー!なフルヌードは何ともエロティック!)。どことなく『エターナル・サンシャイン』をも髣髴とさせるこの作品、うん、見事に僕の好みとマッチしておりました。ちょっぴりおマケして8点…、いや、やっぱ7点かな~。
[DVD(字幕)] 7点(2025-07-04 13:33:27)
14.  ツイスターズ ネタバレ 
地球規模の異常気象により、アメリカ南部で近年多発する竜巻被害。ひとたび発生すれば広範囲に及ぶ暴風雨により、その地に壊滅的な人的経済的損失をもたらすことになる。これまででは考えられないそんな巨大竜巻に立ち向かう、ある人々がいた。その名も、ストーム・パー。長年の経験から竜巻の発生場所を予測し、いざ竜巻が発生すると無謀にもその中へと突入、最新鋭の科学技術を駆使してデータを収集し、そのメカニズムを解明しようとする彼ら。だが、そんなストーム・パーをライバル視するグループもいた。その名も、竜巻カウボーイ。同じく巨大竜巻の内部へと強行突入する映像をライブ配信し大金を稼ぐユーチューバー集団だ。ある日、彼らの前に近年見たこともないような超巨大竜巻が発生するのだった――。果たしてどちらが先に竜巻を手懐けることが出来るのか?毎年巨大竜巻に悩まされるアメリカ南部で、そんな未曽有の自然災害を防ごうと奮闘する人々を描いたディザスタームービー。元となった、ヤン・デ・ボン監督の『ツイスター』は遥か昔に鑑賞済み。とは言ってもその内容は、主人公たちがイカレ野郎ばかりだったことと牛が舞ってたこと、そしてヘレン・ハントがむちゃくちゃ良い女だったことくらいしか覚えておりません。要は普通のよくある映画だったってこと。んで本作、映像技術は飛躍的に向上しその真に迫った映像は息を呑むほどだったのですが、お話の方は概ねおんなじ印象でした。要は普通のよくある映画だったってこと。なんか全体的に大人しめというか作りが優等生にすぎて、こちらの予想を1ミリも裏切ることなく最後まで想定の範囲内で終わっちゃいました。もう少しぶっ飛んだ設定や、遊びの部分があっても良かったんじゃないかなぁ。例えば、対抗馬となるユーチューバーたちがもはやマッドマックスばりにイカレてるとか。彼らが実は収益金を被災地のボランティアに役立てていたというのも、なんか無理やり道徳的な話に収めようとしてる感じがしてあまり好きじゃないです、僕。と、いろいろ書きましたが、それでも映像は迫力あったし、お話も最後までストレスなく観られたしで、エンタメ映画として普通に及第点であったと思います。主人公を演じた女の子も可愛かったしね!
[DVD(字幕)] 6点(2025-07-04 11:49:35)
15.  ブリーディング・ラブ はじまりの旅 ネタバレ 
離婚をきっかけに長年疎遠となっていた娘を地元へと連れ帰ることになった父親。目的地であるニューメキシコははるか遠く、父が運転する車でこれから丸2日かけてドライブを続けなければならない。車内にはこの親子2人だけ、何処か重苦しい空気が漂っている。どうやら娘は何か問題を起こし、精神的に不安定なようだ。しかも過去の因縁から父親を敵視している。ちょっと目を離したすきに逃げ出すほどで、父親は気が気じゃない。今は新しい家庭を築きながらそれでも誠心誠意、娘と向き合おうとする父親。そんな父に反発しながらも、それでも久しぶりに会えたことがやはり嬉しい気持ちも隠せない娘。果たして親子は無事にニューメキシコに辿り着くことは出来るのか?そんな理由ありな親子を演じるのは、私生活でも実際に父親であるハリウッド俳優ユアン・マクレガーと娘のクララ・マクレガー。この親子、父の離婚が原因で私生活でも実際に仲違いしていたそうです。そんな様々な問題を抱えた親子を実際に様々な問題を抱えた俳優親子が演じるというのはどんな気持ちなんでしょうかね。2人が中盤、激しく罵り合うシーンなんてあまりに生々しくて見てるのが辛いほど。それをセンスあふれる映像や音楽で良い感じにオブラートに包んでいたのは、ナイスな演出だったんじゃないでしょうか。要所要所で子供の頃の2人の映像を差し挟んでくるのも、多少あざとさを感じるとは言え、やはり切なくなる。監督、なかなか良い仕事してる。旅の途中で出会う地元の人々も皆、個性豊かでそれぞれに忘れがたい印象を残してくれます。特におしっこしてるときにあそこを虫か何かに噛まれた娘の患部を確認してくれる売春婦のおねーさん。「大丈夫、下着を脱がすのは慣れてるわ」とか言いながら娘のあそこを確認してくれる彼女の存在は大変キュート。将来ブロードウェイで舞台に立つことが夢だと語りながら、でっかいかぼちゃを抱えて立ち去る彼女の後姿は哀愁とほろ苦いユーモアを感じさせてくてなんとも魅力的。彼女に出会えただけでもこの映画を観て良かったと思えました。まぁお話としては何のひねりもないオーソドックスな親子もので、本人たちによる思い出再現ムービーの域を出ていないような印象も拭えなかったですが、観終わったあとほっこりとした気分になれるロードムービーの佳品であったと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2025-07-04 11:02:26)
16.  ハンテッド 狩られる夜 ネタバレ 
アメリカ南部の誰も人がいないような荒涼とした荒野。真夜中、漆黒の闇に包まれたこの地を一台の車が走っている。乗っているのは大手製薬会社に勤める若い女性アリスとその男友達。彼女はとある事情により、夜明けまでに夫の元へと向かわなければならなかった。だが、途中、車がガス欠を起こし、仕方なく彼らは深夜のガソリンスタンドへと寄り道することに。気分転換を図ろうとアリスは車を降り、そのまま併設された小さなコンビニへと入る。ところが店内には客はおろか、店員の姿もない。「何かおかしい…」。そう思った矢先、アリスは恐怖の事態に見舞われるのだった――。なんと店外の何処かから何者かがライフルで狙撃してきたのだ。運転していた男友達は銃撃を受け即死、アリスは命からがらコンビニの棚の陰へと逃げ込むことに。店内に容赦なく撃ち込まれる銃弾。いったい何がどうなってるの。戸惑う彼女に今度は、カウンターに置かれていたトランシーバーから犯人と思しき男が話しかけてくるのだった……。果たしてアリスは無事に翌朝を迎えることは出来るのか?深夜のコンビニで突如、謎のスナイパーに狙われる羽目に陥った女性の運命をノンストップで描いたサスペンススリラー。ぶっちゃけ、そんだけのお話。一時期、ハリウッドで大量に量産されていた、いわゆるワンシュチエーションの低予算スリラーなんですけど、さすがに新味なさすぎじゃないですか、これ。何度も何度も観てきたような既視感満載の設定とありがちな展開、そして同じような突っ込みどころに終始苦笑いが……。もう少しこの作品ならではと言う、新しいひとひねりなりアイデアが欲しかったかなぁ。トランシーバーでやたら饒舌に話しかけてくるスナイパーの犯人さんも、これがとにかく説教臭くてハナに尽くし、スキャンダルを起こした芸能人を真っ先に叩いてそうなヤフコメ民感が凄くて終始不愉快。なによりこーゆー作品に必要不可欠な、何考えてるか全く分かんない不気味な犯人に追い詰められる恐怖というものがこれっぽっちも感じられない。お約束のたまたま通りかかった通行人が巻き込まれるという展開もお約束通りで別段盛り上がるわけでもないし、ただただ胸糞悪くなるだけでした。正直、なんでいまさらこんなベタな映画を作ったのか不思議でしょうがなかったです。主役を演じた女の子がなかなか頑張ってたので、彼女に+1点!!
[DVD(字幕)] 5点(2025-07-02 17:48:29)
17.  RHEINGOLD ラインゴールド ネタバレ 
ドイツで大ブレイクを果たした元犯罪者のラッパーの波乱万丈の半生を実話を基に描いたサクセスストーリー。このカターと言うラッパーの存在は今回初めて知りましたが、いやはや、ここまで衝撃的な人生を歩んだ人がいたのかと単純に驚き。まさに事実は小説より奇なり。シリアからの難民の子として生まれ、幼い頃から貧困と差別との隣り合わせの生活、小中学校では悪い仲間と非行を繰り返し、成人するころには立派なヤクの売人に。危うく警察に捕まりそうになりながらもアムステルダムに逃亡、今度は夜のお店でボディーガードとして働くことに。そこで地元の大物マフィアに見初められ……なんて普通に脚本で書いたらまさに陳腐でしかないのに、これが全て事実と言うんですから凄いですね。途中、液体状にしたコカインを詰めた酒瓶が追突事故で割れちゃうシーンなんて、もはやタランティーノばりのシニカルな笑いに満ち溢れていて思わずニヤついちゃったわ。「やばい!取り敢えず残ったブツだけでも運び出せ!」→相棒の段ボールの底が抜けてガチャン!→「バカヤロー!てめぇ何やってんだよ!」→主人公の段ボールの底も抜けてガチャン……もはや上質のコントを見ているよう(笑)。んでそのあと、警察に捕まりムショにぶち込まれ人生終わったと思いきや、そこで密かにカセットに吹き込んだラップが世間で大ヒット!!なんて出来過ぎだって(笑)。ただ、映画としては事実を追うことに拘り過ぎたのか少々散漫な印象が否めないのも事実。もう少し無駄なエピソードを削って、もっとスリムにできたように思う。そうしたら、後半のこの人生の大逆転のカタルシスが最大限に活きてきただろうに。と、題材としてはすこぶる良かったし、各々のエピソードもなかなか惹き付けられるものが多かったけれど、全体的な印象としては少々冗長な作品でありました。惜しい!
[DVD(字幕)] 6点(2025-06-30 20:25:34)
18.  インフィニティ・プール ネタバレ 
作家としてデビューしたもののなかなか2作目が書けず、以来6年もスランプに陥っている売れない小説家、ジェームズ。出版社の社長令嬢である妻のおかげで食うには困っていないものの、そろそろ新作を書かなければ作家として終わってしまう。なんとかアイデアを得ようと妻とともに高級リゾート地である南の島へとやってきたジェームス。彼はそこで自分の大ファンだという若い女性ガビと知り合う。すっかり意気投合したジェームズは、誘われるままともにディナーを楽しむことに。次の日、観光客は立ち入り禁止だという島の奥へとドライブに出かけるジェームスたち。だが、その帰り道、酒を飲んで運転していたジェームズは地元住民を轢き殺してしまうのだった――。島の法律では、人の命を奪った者は有無を言わさず死刑。ところが彼を拘束した警察官は、ジェームズに驚きの提案をしてくるのだった。観光客である外国人には特別な法律があり、多額の費用を払えば、なんと彼の精巧なクローンを作成し身代わりとして処刑することも出来るというのだ。藁をも縋る思いで義父に資金を用意してもらうジェームズ。果たして彼の運命は?監督は、グロ映画界の巨匠を父に持つブランドン・クローネンバーグ。いやー、親子ともども相変わらずグロいですなぁ。ただ、ブランドン君の映画は遥か昔にデビュー作を観たのだけど、そちらはただただグロいだけでストーリーの方はグダグダ。正直見るに堪えませんでした。でも本作、ちゃんと最後まで集中して観られたので普通に成長したんじゃないでしょうか。まぁ突っ込みどころは鬼のように満載ですけど、人の不安感を煽る映像と音楽、神経を逆なでするかのような胸糞悪い物語、そして何より神経症のような独自の世界観に自分は最後までけっこう釘付け。まぁそんな高度なクローン技術があるならもっと再生医療やら労働力問題やらで役立てた方がよっぽど国の発展に役立つやん!!という、子供でも分かる突っ込みどころはご愛敬ですけどね(笑)。内臓ドバドバや顔面崩壊、子供がナイフで人の腹を裂いたり等けっこうヤバめのグログロ映像連発なのに何処か品の良さを感じさせるのは、この監督のセンスがなせる技。何が真実で何がフェイクなのか次第に分からなくさせる迷宮的シュルレアリスムな世界観も見応えありました。何よりミア・ゴスちゃんの存在感よ!!こんなイカレたサイコ女なのに、どこか可愛さを感じさせるのは彼女の持って生まれたカリスマ性によるものが大きい。僕も彼女に精神的にも肉体的にもボコボコにされたいです(ドM!笑)。イカレタ人たちが織り成すとにかくぶっ飛んだ物語に頭がくらくらしながらも、人のモラリティを根底から揺さぶる知的好奇心に満ちた佳品であったと思います。7点!
[DVD(字幕)] 7点(2025-06-30 19:59:15)
19.  理想郷 ネタバレ 
そこは理想郷のはずだった――。子供も独立し、人生の折り返し地点を迎えたフランス人夫婦アントワーヌとオルガ。自然豊かな田舎町で第二の人生を穏やかに過ごすことにした彼らは、若かりし日に訪れて感銘を受けたスペインのとある山岳地方へと引っ越してくる。大型スーパーもなく、村人たちのほとんどが自給自足に近い生活を送っているような辺鄙な片田舎だったが、それでもアントワーヌ夫妻にとっては夢にまでみたスローライフだった。野菜を育て、羊や牛の世話をしながら夫婦水入らずの生活を満喫するアントワーヌ。だが、突如として持ち上がった風力発電プロジェクトがそんな彼らの人生を狂わすことに。多額の保証金を求めて計画を受け入れようとする村人と景観保護の観点から反対の立場をとるアントワーヌ。意見の相違は徐々に拡がり、夫婦は次第に孤立してゆく。計画推進派の急先鋒である隣人の兄弟は、よそ者でありながらなかなか意見を変えようとしないそんなアントワーヌに徐々に苛立ちを募らせてゆく。やがてそれは決定的な悲劇を招くのだった……。何の予備知識もなく今回鑑賞したのですが、いやはや、なんともいや~~~な話でしたね、これ。数十人の村人たち誰もが顔見知りのような閉鎖的な村の中で、些細な意見の行き違いから住民たちと諍いを繰り返してゆく余所者夫婦。実話を基にしたと言うことで、この陰鬱とした物語は物凄くリアルで説得力抜群。これ、舞台がスペインじゃなく、普通に日本の限界集落でも充分通用する話ですよ。粗野で粗暴な、いかにも田舎の乱暴者と言った隣人兄弟がなんともリアルで怖い。当初はゴミを投げ入れたり犬に小便をひっかけたりする程度だった兄弟が、いつしか大事な井戸にバッテリーを投げ込んだりライフルを持って待ち伏せしてたりともはや犯罪に。対する主人公も身を守るためだと称してカメラで彼らを盗撮するとか、こちらもけっこう自業自得。そんな2組の諍いは徐々にヒートアップし、やがて取り返しのつかない事態に陥ってしまう。見れば見るほど気が滅入るような陰鬱なお話なのに、それでも最後まで見入ってしまうのはこの監督の優れた演出力によるものが大きい。分かりやすい伏線のようにはられたビデオカメラも見つかってみると実は……と言うのも、なんとも嫌な肩透かしを味合わせてくれる。惜しいのは、奥さんが主人公となる後半の展開。妻と一人娘との関係性が深掘りされるのだが、それが前半との繋がりが悪く、自分は少々散漫な印象を受けてしまった。娘のお話はもっとあっさり流してしまって2時間内で収めてくれればより完成度の高い作品となっていたであろうに。それでも田舎町特有の陰湿な空気がなんとも嫌な余韻を残してくれる、心理スリラーの佳品でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2025-06-24 09:44:16)
20.  ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ ネタバレ 
生真面目で偏屈な性格が災いして生徒や同僚から嫌われている冴えない高校教師ポール。複雑な家庭環境からトラブルばかり引き起こしクラスで孤立している生徒アンガス。つい最近一人息子をベトナムで亡くし哀しみを抱えながらも学校の料理人として働く中年女性メアリー。1970年代の全寮制寄宿学校を舞台に、帰るあてもなく、2週間のクリスマス休暇をともに過ごすことになったそんな3人のひと冬の交流を終始ほのぼのとした目線で描いたヒューマンドラマ。監督は、これまで冴えない中年男性の何気ない日常をほろ苦いユーモアを交えて描いてきた名匠アレクサンダー・ペイン。相変わらずこの人、女にモテない独身中年男のトホホなドラマを描かせると巧いですねぇ~~。特に何が起こるるわけでもない平凡な人たちの平凡な日常を淡々と描いているのに、最後まで惹き付けられて止まないのはこの監督の人を見る目が終始優しいから。正直、この3人はぶっちゃけて言うと人生の負け組。まぁ若いアンガス君はこれから逆転ホームランを打つ可能性はまだまだあるけれど、ポールとメアリーは色んな事情を抱えてたとは言え、もはや人生8回裏で相手チームに10点差つけられているようなもの。でも、それでいいじゃん、試合はほぼ負け確定でもこれまで自分なりに精一杯頑張ったんだから――。そんな監督のメッセージが聞こえてくるようでなんとも心地良いですね。最初は嫌い合っていたポールとアンガスがお互いの抱えている事情を知り、徐々に心を開いてゆく過程は定番だけどやはり胸に響くものがある。最後、前途ある若者の為にポールがとった決断も切ない余韻を残してくれます。そんな2人を絶妙な距離感で見つめる料理人メアリーも物語に良いアクセントをもたらしています。ただ、自分はちょっと長く感じてしまって中盤辺り、中弛みしちゃったのが残念。前半の他の居残り生徒との共同生活シーンやボウリングのシーンなどはもっと短く出来たように思う。全体として100分ぐらいに収めてくれたらもっと完成度の高い作品になっていたんじゃないでしょうか。とは言え総じてみると、アレクサンダー・ペイン監督の円熟の技が光る、ロードムービーの佳品に仕上がっていたと思います。メリークリスマス!
[DVD(字幕)] 6点(2025-06-24 09:21:51)(良:1票)
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