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プロフィール
口コミ数 1969
性別 男性
年齢 49歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1.  ツイスターズ ネタバレ 
地球規模の異常気象により、アメリカ南部で近年多発する竜巻被害。ひとたび発生すれば広範囲に及ぶ暴風雨により、その地に壊滅的な人的経済的損失をもたらすことになる。これまででは考えられないそんな巨大竜巻に立ち向かう、ある人々がいた。その名も、ストーム・パー。長年の経験から竜巻の発生場所を予測し、いざ竜巻が発生すると無謀にもその中へと突入、最新鋭の科学技術を駆使してデータを収集し、そのメカニズムを解明しようとする彼ら。だが、そんなストーム・パーをライバル視するグループもいた。その名も、竜巻カウボーイ。同じく巨大竜巻の内部へと強行突入する映像をライブ配信し大金を稼ぐユーチューバー集団だ。ある日、彼らの前に近年見たこともないような超巨大竜巻が発生するのだった――。果たしてどちらが先に竜巻を手懐けることが出来るのか?毎年巨大竜巻に悩まされるアメリカ南部で、そんな未曽有の自然災害を防ごうと奮闘する人々を描いたディザスタームービー。元となった、ヤン・デ・ボン監督の『ツイスター』は遥か昔に鑑賞済み。とは言ってもその内容は、主人公たちがイカレ野郎ばかりだったことと牛が舞ってたこと、そしてヘレン・ハントがむちゃくちゃ良い女だったことくらいしか覚えておりません。要は普通のよくある映画だったってこと。んで本作、映像技術は飛躍的に向上しその真に迫った映像は息を呑むほどだったのですが、お話の方は概ねおんなじ印象でした。要は普通のよくある映画だったってこと。なんか全体的に大人しめというか作りが優等生にすぎて、こちらの予想を1ミリも裏切ることなく最後まで想定の範囲内で終わっちゃいました。もう少しぶっ飛んだ設定や、遊びの部分があっても良かったんじゃないかなぁ。例えば、対抗馬となるユーチューバーたちがもはやマッドマックスばりにイカレてるとか。彼らが実は収益金を被災地のボランティアに役立てていたというのも、なんか無理やり道徳的な話に収めようとしてる感じがしてあまり好きじゃないです、僕。と、いろいろ書きましたが、それでも映像は迫力あったし、お話も最後までストレスなく観られたしで、エンタメ映画として普通に及第点であったと思います。主人公を演じた女の子も可愛かったしね!
[DVD(字幕)] 6点(2025-06-29 11:37:49)《更新》
2.  ブリーディング・ラブ はじまりの旅 ネタバレ 
離婚をきっかけに長年疎遠となっていた娘を地元へと連れ帰ることになった父親。目的地であるニューメキシコははるか遠く、父が運転する車でこれから丸2日かけてドライブを続けなければならない。車内にはこの親子2人だけ、何処か重苦しい空気が漂っている。どうやら娘は何か問題を起こし、精神的に不安定なようだ。しかも過去の因縁から父親を敵視している。ちょっと目を離したすきに逃げ出すほどで、父親は気が気じゃない。今は新しい家庭を築きながらそれでも誠心誠意、娘と向き合おうとする父親。そんな父に反発しながらも、それでも久しぶりに会えたことがやはり嬉しい気持ちも隠せない娘。果たして親子は無事にニューメキシコに辿り着くことは出来るのか?そんな理由ありな親子を演じるのは、私生活でも実際に父親であるハリウッド俳優ユアン・マクレガーと娘のクララ・マクレガー。この親子、父の離婚が原因で私生活でも実際に仲違いしていたそうです。そんな様々な問題を抱えた親子を実際に様々な問題を抱えた俳優親子が演じるというのはどんな気持ちなんでしょうかね。2人が中盤、激しく罵り合うシーンなんてあまりに生々しくて見てるのが辛いほど。それをセンスあふれる映像や音楽で良い感じにオブラートに包んでいたのは、ナイスな演出だったんじゃないでしょうか。要所要所で子供の頃の2人の映像を差し挟んでくるのも、多少あざとさを感じるとは言え、やはり切なくなる。監督、なかなか良い仕事してる。旅の途中で出会う地元の人々も皆、個性豊かでそれぞれに忘れがたい印象を残してくれます。特におしっこしてるときにあそこを虫か何かに噛まれた娘の患部を確認してくれる売春婦のおねーさん。「大丈夫、下着を脱がすのは慣れてるわ」とか言いながら娘のあそこを確認してくれる彼女の存在は大変キュート。将来ブロードウェイで舞台に立つことが夢だと語りながら、でっかいかぼちゃを抱えて立ち去る彼女の後姿は哀愁とほろ苦いユーモアを感じさせてくてなんとも魅力的。彼女に出会えただけでもこの映画を観て良かったと思えました。まぁお話としては何のひねりもないオーソドックスな親子もので、本人たちによる思い出再現ムービーの域を出ていないような印象も拭えなかったですが、観終わったあとほっこりとした気分になれるロードムービーの佳品であったと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2025-06-29 11:01:12)《更新》
3.  ハンテッド 狩られる夜 ネタバレ 
アメリカ南部の誰も人がいないような荒涼とした荒野。真夜中、漆黒の闇に包まれたこの地を一台の車が走っている。乗っているのは大手製薬会社に勤める若い女性アリスとその男友達。彼女はとある事情により、夜明けまでに夫の元へと向かわなければならなかった。だが、途中、車がガス欠を起こし、仕方なく彼らは深夜のガソリンスタンドへと寄り道することに。気分転換を図ろうとアリスは車を降り、そのまま併設された小さなコンビニへと入る。ところが店内には客はおろか、店員の姿もない。「何かおかしい…」。そう思った矢先、アリスは恐怖の事態に見舞われるのだった――。なんと店外の何処かから何者かがライフルで狙撃してきたのだ。運転していた男友達は銃撃を受け即死、アリスは命からがらコンビニの棚の陰へと逃げ込むことに。店内に容赦なく撃ち込まれる銃弾。いったい何がどうなってるの。戸惑う彼女に今度は、カウンターに置かれていたトランシーバーから犯人と思しき男が話しかけてくるのだった……。果たしてアリスは無事に翌朝を迎えることは出来るのか?深夜のコンビニで突如、謎のスナイパーに狙われる羽目に陥った女性の運命をノンストップで描いたサスペンススリラー。ぶっちゃけ、そんだけのお話。一時期、ハリウッドで大量に量産されていた、いわゆるワンシュチエーションの低予算スリラーなんですけど、さすがに新味なさすぎじゃないですか、これ。何度も何度も観てきたような既視感満載の設定とありがちな展開、そして同じような突っ込みどころに終始苦笑いが……。もう少しこの作品ならではと言う、新しいひとひねりなりアイデアが欲しかったかなぁ。トランシーバーでやたら饒舌に話しかけてくるスナイパーの犯人さんも、これがとにかく説教臭くてハナに尽くし、スキャンダルを起こした芸能人を真っ先に叩いてそうなヤフコメ民感が凄くて終始不愉快。なによりこーゆー作品に必要不可欠な、何考えてるか全く分かんない不気味な犯人に追い詰められる恐怖というものがこれっぽっちも感じられない。お約束のたまたま通りかかった通行人が巻き込まれるという展開もお約束通りで別段盛り上がるわけでもないし、ただただ胸糞悪くなるだけでした。正直、なんでいまさらこんなベタな映画を作ったのか不思議でしょうがなかったです。主役を演じた女の子がなかなか頑張ってたので、彼女に+1点!!
[DVD(字幕)] 5点(2025-06-29 10:17:38)《更新》
4.  RHEINGOLD ラインゴールド ネタバレ 
ドイツで大ブレイクを果たした元犯罪者のラッパーの波乱万丈の半生を実話を基に描いたサクセスストーリー。このカターと言うラッパーの存在は今回初めて知りましたが、いやはや、ここまで衝撃的な人生を歩んだ人がいたのかと単純に驚き。まさに事実は小説より奇なり。シリアからの難民の子として生まれ、幼い頃から貧困と差別との隣り合わせの生活、小中学校では悪い仲間と非行を繰り返し、成人するころには立派なヤクの売人に。危うく警察に捕まりそうになりながらもアムステルダムに逃亡、今度は夜のお店でボディーガードとして働くことに。そこで地元の大物マフィアに見初められ……なんて普通に脚本で書いたらまさに陳腐でしかないのに、これが全て事実と言うんですから凄いですね。途中、液体状にしたコカインを詰めた酒瓶が追突事故で割れちゃうシーンなんて、もはやタランティーノばりのシニカルな笑いに満ち溢れていて思わずニヤついちゃったわ。「やばい!取り敢えず残ったブツだけでも運び出せ!」→相棒の段ボールの底が抜けてガチャン!→「バカヤロー!てめぇ何やってんだよ!」→主人公の段ボールの底も抜けてガチャン……もはや上質のコントを見ているよう(笑)。んでそのあと、警察に捕まりムショにぶち込まれ人生終わったと思いきや、そこで密かにカセットに吹き込んだラップが世間で大ヒット!!なんて出来過ぎだって(笑)。ただ、映画としては事実を追うことに拘り過ぎたのか少々散漫な印象が否めないのも事実。もう少し無駄なエピソードを削って、もっとスリムにできたように思う。そうしたら、後半のこの人生の大逆転のカタルシスが最大限に活きてきただろうに。と、題材としてはすこぶる良かったし、各々のエピソードもなかなか惹き付けられるものが多かったけれど、全体的な印象としては少々冗長な作品でありました。惜しい!
[DVD(字幕)] 6点(2025-06-24 11:11:09)《更新》
5.  インフィニティ・プール ネタバレ 
作家としてデビューしたもののなかなか2作目が書けず、以来6年もスランプに陥っている売れない小説家、ジェームズ。出版社の社長令嬢である妻のおかげで食うには困っていないものの、そろそろ新作を書かなければ作家として終わってしまう。なんとかアイデアを得ようと妻とともに高級リゾート地である南の島へとやってきたジェームス。彼はそこで自分の大ファンだという若い女性ガビと知り合う。すっかり意気投合したジェームズは、誘われるままともにディナーを楽しむことに。次の日、観光客は立ち入り禁止だという島の奥へとドライブに出かけるジェームスたち。だが、その帰り道、酒を飲んで運転していたジェームズは地元住民を轢き殺してしまうのだった――。島の法律では、人の命を奪った者は有無を言わさず死刑。ところが彼を拘束した警察官は、ジェームズに驚きの提案をしてくるのだった。観光客である外国人には特別な法律があり、多額の費用を払えば、なんと彼の精巧なクローンを作成し身代わりとして処刑することも出来るというのだ。藁をも縋る思いで義父に資金を用意してもらうジェームズ。果たして彼の運命は?監督は、グロ映画界の巨匠を父に持つブランドン・クローネンバーグ。いやー、親子ともども相変わらずグロいですなぁ。ただ、ブランドン君の映画は遥か昔にデビュー作を観たのだけど、そちらはただただグロいだけでストーリーの方はグダグダ。正直見るに堪えませんでした。でも本作、ちゃんと最後まで集中して観られたので普通に成長したんじゃないでしょうか。まぁ突っ込みどころは鬼のように満載ですけど、人の不安感を煽る映像と音楽、神経を逆なでするかのような胸糞悪い物語、そして何より神経症のような独自の世界観に自分は最後までけっこう釘付け。まぁそんな高度なクローン技術があるならもっと再生医療やら労働力問題やらで役立てた方がよっぽど国の発展に役立つやん!!という、子供でも分かる突っ込みどころはご愛敬ですけどね(笑)。内臓ドバドバや顔面崩壊、子供がナイフで人の腹を裂いたり等けっこうヤバめのグログロ映像連発なのに何処か品の良さを感じさせるのは、この監督のセンスがなせる技。何が真実で何がフェイクなのか次第に分からなくさせる迷宮的シュルレアリスムな世界観も見応えありました。何よりミア・ゴスちゃんの存在感よ!!こんなイカレたサイコ女なのに、どこか可愛さを感じさせるのは彼女の持って生まれたカリスマ性によるものが大きい。僕も彼女に精神的にも肉体的にもボコボコにされたいです(ドM!笑)。イカレタ人たちが織り成すとにかくぶっ飛んだ物語に頭がくらくらしながらも、人のモラリティを根底から揺さぶる知的好奇心に満ちた佳品であったと思います。7点!
[DVD(字幕)] 7点(2025-06-24 10:40:20)《更新》
6.  理想郷 ネタバレ 
そこは理想郷のはずだった――。子供も独立し、人生の折り返し地点を迎えたフランス人夫婦アントワーヌとオルガ。自然豊かな田舎町で第二の人生を穏やかに過ごすことにした彼らは、若かりし日に訪れて感銘を受けたスペインのとある山岳地方へと引っ越してくる。大型スーパーもなく、村人たちのほとんどが自給自足に近い生活を送っているような辺鄙な片田舎だったが、それでもアントワーヌ夫妻にとっては夢にまでみたスローライフだった。野菜を育て、羊や牛の世話をしながら夫婦水入らずの生活を満喫するアントワーヌ。だが、突如として持ち上がった風力発電プロジェクトがそんな彼らの人生を狂わすことに。多額の保証金を求めて計画を受け入れようとする村人と景観保護の観点から反対の立場をとるアントワーヌ。意見の相違は徐々に拡がり、夫婦は次第に孤立してゆく。計画推進派の急先鋒である隣人の兄弟は、よそ者でありながらなかなか意見を変えようとしないそんなアントワーヌに徐々に苛立ちを募らせてゆく。やがてそれは決定的な悲劇を招くのだった……。何の予備知識もなく今回鑑賞したのですが、いやはや、なんともいや~~~な話でしたね、これ。数十人の村人たち誰もが顔見知りのような閉鎖的な村の中で、些細な意見の行き違いから住民たちと諍いを繰り返してゆく余所者夫婦。実話を基にしたと言うことで、この陰鬱とした物語は物凄くリアルで説得力抜群。これ、舞台がスペインじゃなく、普通に日本の限界集落でも充分通用する話ですよ。粗野で粗暴な、いかにも田舎の乱暴者と言った隣人兄弟がなんともリアルで怖い。当初はゴミを投げ入れたり犬に小便をひっかけたりする程度だった兄弟が、いつしか大事な井戸にバッテリーを投げ込んだりライフルを持って待ち伏せしてたりともはや犯罪に。対する主人公も身を守るためだと称してカメラで彼らを盗撮するとか、こちらもけっこう自業自得。そんな2組の諍いは徐々にヒートアップし、やがて取り返しのつかない事態に陥ってしまう。見れば見るほど気が滅入るような陰鬱なお話なのに、それでも最後まで見入ってしまうのはこの監督の優れた演出力によるものが大きい。分かりやすい伏線のようにはられたビデオカメラも見つかってみると実は……と言うのも、なんとも嫌な肩透かしを味合わせてくれる。惜しいのは、奥さんが主人公となる後半の展開。妻と一人娘との関係性が深掘りされるのだが、それが前半との繋がりが悪く、自分は少々散漫な印象を受けてしまった。娘のお話はもっとあっさり流してしまって2時間内で収めてくれればより完成度の高い作品となっていたであろうに。それでも田舎町特有の陰湿な空気がなんとも嫌な余韻を残してくれる、心理スリラーの佳品でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2025-06-22 10:18:15)
7.  ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ ネタバレ 
生真面目で偏屈な性格が災いして生徒や同僚から嫌われている冴えない高校教師ポール。複雑な家庭環境からトラブルばかり引き起こしクラスで孤立している生徒アンガス。つい最近一人息子をベトナムで亡くし哀しみを抱えながらも学校の料理人として働く中年女性メアリー。1970年代の全寮制寄宿学校を舞台に、帰るあてもなく、2週間のクリスマス休暇をともに過ごすことになったそんな3人のひと冬の交流を終始ほのぼのとした目線で描いたヒューマンドラマ。監督は、これまで冴えない中年男性の何気ない日常をほろ苦いユーモアを交えて描いてきた名匠アレクサンダー・ペイン。相変わらずこの人、女にモテない独身中年男のトホホなドラマを描かせると巧いですねぇ~~。特に何が起こるるわけでもない平凡な人たちの平凡な日常を淡々と描いているのに、最後まで惹き付けられて止まないのはこの監督の人を見る目が終始優しいから。正直、この3人はぶっちゃけて言うと人生の負け組。まぁ若いアンガス君はこれから逆転ホームランを打つ可能性はまだまだあるけれど、ポールとメアリーは色んな事情を抱えてたとは言え、もはや人生8回裏で相手チームに10点差つけられているようなもの。でも、それでいいじゃん、試合はほぼ負け確定でもこれまで自分なりに精一杯頑張ったんだから――。そんな監督のメッセージが聞こえてくるようでなんとも心地良いですね。最初は嫌い合っていたポールとアンガスがお互いの抱えている事情を知り、徐々に心を開いてゆく過程は定番だけどやはり胸に響くものがある。最後、前途ある若者の為にポールがとった決断も切ない余韻を残してくれます。そんな2人を絶妙な距離感で見つめる料理人メアリーも物語に良いアクセントをもたらしています。ただ、自分はちょっと長く感じてしまって中盤辺り、中弛みしちゃったのが残念。前半の他の居残り生徒との共同生活シーンやボウリングのシーンなどはもっと短く出来たように思う。全体として100分ぐらいに収めてくれたらもっと完成度の高い作品になっていたんじゃないでしょうか。とは言え総じてみると、アレクサンダー・ペイン監督の円熟の技が光る、ロードムービーの佳品に仕上がっていたと思います。メリークリスマス!
[DVD(字幕)] 6点(2025-06-22 09:50:48)(良:1票)
8.  ナイトスイム(2024) ネタバレ 
引退した元メジャーリーガー、レイが購入したプール付きの中古物件。引っ越しを済ませ、ライトアップされた夜のプールでさっそくスイミングを楽しむレイとその家族たち。だが、彼らはまだ知らない。その豪華なプールにはこの世のものではない禍々しい力が宿っていることを――。突然いなくなる猫、排水溝から聞こえてくる謎の女の子の声、そしてプールの底から徐々に姿を現す邪悪な存在……。果たして家族の運命は?と言うお話。それ以上でもそれ以下でもありません。ぶっちゃけて言うと、さっぱり面白くありませんでした、これ。とにかくお話のテンポが恐ろしく悪く、途中までの中だるみ感が半端ない。こーゆーエンタメ全振りのホラー映画は、もっとサクサク展開して怖がらせポイントもどんどんぶっこんで別に3日後にはきれいさっぱり忘れてしまってもいいから90分ひたすらワーキャーお客さんを楽しませないとアカンでしょ。ようやくプールの中から肝心のモンスターが現れるのも映画が半分も過ぎてからとか、さすがに遅すぎですわ~~。主人公家族も誰一人魅力的なキャラクターもいなかったし、最後までさして怖くもないし、ラストはただただ胸糞悪いし、自分はまったく楽しめませんでした。4点!
[DVD(字幕)] 4点(2025-06-17 05:51:01)
9.  ブルー きみは大丈夫 ネタバレ 
彼らの名は、IF。かつて想像力豊かな子供たちによって生み出された、自分にしか見えない友達たちだ。姿形もみんなバラバラ、性格だって個性豊か、そして各々が持つ特殊能力も火を吐いたり空を飛んだりスパイ活動が得意だったりと誰もがみなオンリーワン。でも、彼らが存在出来るのは子供たちが彼らを必要としている間だけ。みんな大人になると自らが生み出したはずのそんな存在を忘れてしまう。そして、子供たちが彼らの存在を完全に忘れるとIFはこの世から消滅してしまう運命にある。そう、彼らは子供たちが生み出した「イマジナリーフレンド(IF)」なのだ――。母親を病で亡くし心を閉ざしてしまった12歳の少女ビー。だが今回、父にも新たな病が見つかり、入院して手術することに。ビーは父の手術が終わるまで、お祖母ちゃんのマンションで暮らすことになる。優しいお祖母ちゃんとともに毎日、父が入院する病院へとお見舞いに通うビー。不安で押しつぶされそうになっていたそんなある日、彼女はマンションの上階で、モフモフもさもさのモンスター、ブルーと出会うのだった。驚きつつもすぐに仲良くなってゆくビーとブルー。新たな友達が見つからなければ消滅してしまうというブルーのために、ビーはIFの世話人のような存在のカルとともに街を奔走し始める……。まぁ完全に子供向けの内容なのですが、IFたちのCGがけっこうハイクオリティだったし主人公の女の子も魅力的だったしでぼちぼち楽しめました。なにより声優陣が超豪華!!マッド・デイモンやらエミリー・ブラントやらジョージ・クルーニーやらブラッド・ピットやら、ハリウッドのビックネームがてんこ盛り!!とは言え、英語が得意じゃない自分としては誰が誰だか分かんなかったんですけどね(笑)。んで肝心の内容の方なのですが、これが超ベタベタで最後まで1ミリたりとも驚きと言うものがない超超薄味作品でございました。まず肝心のIFたち。これが『モンスターズインク』や『トイストーリー』と言ったピクサー作品に出てきたキャラクターにだいぶ影響を受けてるというか、もはやほぼパクリなんじゃないかってくらい既視感満載。メインキャラのブルーなんて完全にモンスターズインクのアイツじゃん…。お話の方もいたってフツー。ばかりか難病&親子ネタで無理やり泣かせようとする感じが若干ハナにつく感じも。ま、それでも画がキレイだったので暇潰しで観る分には良いんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2025-06-08 13:01:48)
10.  パスト ライブス/再会 ネタバレ 
午前4時のニューヨーク。ここは朝までやっている静かなバー。アジア系の中年男性がカウンターで酒を飲んでいる。隣には同年代のアジア系女性。そしてその隣には浮かない顔の白人男性。3人の間には何処か他人行儀な空気が漂っている。会話もそんなに弾んでいない。どうやら仲の良い友人同士と言うわけではなさそうだ。彼らはどうして今夜、ここで酒を酌み交わすことになったのか――。24年前、韓国のソウルの下町で暮らす少女ナヨンと少年ヘソンは、幼い頃からの幼馴染。家が近所だったこともあり、学校の帰り道はいつも一緒。いつしか2人はこれまでとは違う感情でお互いを意識するようになっていた。だが、ある日、ナヨンの両親がカナダに移住することになり、2人は離れ離れとなってしまうのだった――。12年後、今はノラと名を変え、ニューヨークで暮らしているナヨンは作家を目指して下積み生活を続けていた。彼女はふとした思い付きでSNSでヘソンの名を検索してみる。すると、自分のことをずっと捜していた彼のことを知るのだった。懐かしさから友達申請を送るノラ。そこからネットを介して繋がってゆく2人。頻繁にやり取りを重ね、やがて子供の頃の特別な感情を甦らせてゆくノラとヘソン。だが、ソウルとニューヨーク、そして12年の月日はあまりに遠く、2人の想いは徐々に擦れ違ってゆく……。アカデミー作品賞ノミネートと世間の評判がすこぶる良かったので今回鑑賞。確かに評価される作品であることは分かるし、こんなに淡々としたシンプルな物語にも関わらず最後まで人を惹き付ける魅力に溢れた作品であることも認めるのですが、自分は正直、まったく好きになれませんでした。なぜなら、この主要登場人物3人にいっさい好感を抱けなかったから。むしろ3人ともみんな嫌いと言っていいかも知れません。まず主人公である女性ノラ。旦那もいて安定した生活を送ってるのに、昔の初恋の相手がニューヨークに来るからってわざわざ2人で会いにいくなよ!しかも旦那も交えて飲みに行くとか無神経にも程がある!自分が旦那だったら、「もー充分やろ!」ってキレて連れ帰るわ。んで幼馴染の男ヘソン。今の彼女にフラれたからって、わざわざ昔好きだった既婚の女に会いに行くなよ!しかも13時間も飛行機に揺られて。まかり間違ったらストーカーですよ、これ。しかも旦那には分からん韓国語で会話して、こそこそ口説くとかけっこうサイテー。んで今の旦那アーサー。そんな無神経な嫁と男に素直に振り回されてんじゃねー!つーか、家に来させて一緒に飯食う?俺だったら、「何、人の嫁に色目使ってくれてんねん!」ってキレて追い返してるわ(と言ってる自分はまだ独り身なんですけどね!笑)。と言うわけで、自分はこーゆー過去の恋愛をうじうじ引き摺ってる人たちのお話が大嫌いだと再認識させてもらいました。終始落ち着いた大人の雰囲気などは良いと思うんですけどね。※後半、思わず感情的になってしまったことをお詫びいたします。
[DVD(字幕)] 5点(2025-06-04 10:21:25)
11.  アイアンクロー ネタバレ 
80年代に活躍した伝説的なプロレスファミリー。その名も、フォン・エリック一家。父は、相手の頭をその万力のような剛腕で締め上げる〝アイアンクロー(鉄の爪)〟と言う必殺技で一世を風靡したプロレスラー、フリッツ・フォン・エリック。そんな父から厳しい英才教育を受けて育てられたのはケビン、デビッド、ケリー、マイクの4兄妹だ。しばらく地方でドサ回りを続けていた兄弟だったが、世界ヘビー級王座への挑戦権を手にするとそこから華々しく活躍してゆくことに。だが、予想だにしなかった悲劇が兄弟たちを襲うのだった――。三男のデビッドが過剰なプロテイン接種により日本での巡業中に急死。その意思を次いでチャンピオンとなった次男ケリーはその直後にバイク事故により片足を失ってまう。そして、オリンピック選手を目指していた末っ子のマイクもプロレス界に参戦すると試合中の事故により昏睡状態に陥ってしまう……。いつしか「呪われた一家」と呼ばれるようになったそんなプロレスラー家族の悲劇的な運命を描いたヒューマン・ドラマ。これが実話と言うこともあり、全編を覆うこの重苦しい雰囲気はなかなか見応えがあった。周りから見れば、あくまで仲の良い成功した家族のように見えるがその内幕は、それぞれの思いがぶつかりあうどろどろの愛憎劇。父親はいつも家族のことを第一に考えているように見えて実は自分の成功のことしか興味がないモラハラ親父、母親もそんな横柄な夫に従順につき従うしかない典型的な昔の女。機能不全を起こしたそんな家族の中で徐々におかしくなってゆく兄弟たちの運命をただじっと見守るしかなかった長男の目線で物語は進んでゆく。彼らがそれぞれ迎える悲劇はあまりに理不尽。華々しいプロレス業界で、重圧に押しつぶされたりトラブルに巻き込まれ、最後はみな悲惨極まりない最期を迎えてしまう。最後、長男以外の子供を全て亡くしもはや壊れてしまった母親の姿など見ていられない。これをただ理不尽な悲劇として終わらせていいのだろうか――。やはりここまでの悲劇を招いてしまったのは、父親の存在が大きいと思う。息子たちに幼いうちからひたすら過酷なトレーニングを強要し、プロレスラーとなってチャンピオンになることを強制、無理がたたって壊れそうになってもろくに相談を聴こうともしない。ここまで来ると毒親を通り越してもはやサイコパスなのではないかとすら思えてくる。家庭と言う外からは見えにくい密室で徐々に壊れてゆく子供たちをどうすれば救えたのだろうかと考えざるを得ない。ただ、本作の惜しい点は、そんな父親の狂気性への踏み込みが甘いところだ。子供たちをここまで妄信させる、狂気にも似た父親の執念にもっと切り込むべきだった。そうすればより心に残る物語となっていたであろうに。後で調べたところによると本作では描かれなかった、同じく自殺したもう一人の末っ子クリスの存在があったことを知った。彼の存在をばっさりカットしてしまったのも何か釈然としないものが残る。
[DVD(字幕)] 6点(2025-06-04 09:38:37)
12.  落下の解剖学 ネタバレ 
本当に妻は夫を殺したのか――。フランスの人里離れた雪山に佇む一軒の山荘。暮らしているのは、家族とともに最近ここに越してきたばかりの作家、サンドラだ。教師である夫はこの山荘を改修し近い将来、民宿を開くことを計画している。幼い頃に事故に遭い、今はまったく目が見えない11歳の一人息子は自宅学習をしながら平穏に暮らしている。色んな事情を抱えながらもそれなりに満たされた生活を送っているそんな家族。だが、ある朝、とある事件が起こる。夫がベランダから突然転落死してしまったのだ――。当初は事故と思われていたが、警察の捜査が進むと幾つかの不審な点が明らかとなる。遺体近くに残っていた不自然な血痕、何度も変遷する息子の証言、そして夫のパソコンには事件の前夜、激しく口論する夫婦の録音データが。容疑者として逮捕され、裁判を受けることとなったサンドラ。友人である弁護士とともに公判に臨んだ彼女だったが、次々と不利な証拠が明らかにされ……。カンヌ映画祭でパルムドールを受賞し、アカデミー作品賞ノミネートということで今回鑑賞。まず印象的なのは、音楽の使い方が物凄く独特だったこと。冒頭、主人公の夫が転落死するシーン。そこにかなり大音量でノリのいい音楽が流されているところからなんとも不穏な空気が漂っている。どうやら上階で山荘の改修をしている夫が流しているらしいのだが、階下では何事もないかのように妻が取材を受けている。目が見えないはずの息子は、何故か一人で険しい山道に犬の散歩へ出かけてしまう。もうここから、この夫婦の秘められた事情が暗示されているようで、この監督の独自のセンスに惹き込まれてしまった。気を紛らわせるために息子が何度も弾くピアノの早弾きも観客の不安感をこれでもかと煽ってくる。音楽ばかりではない。事件の舞台となる雪深い山荘や、長い伝統を感じさせる裁判所の重厚な雰囲気など隅々にまで監督の映像への拘りが感じられ、素直に感嘆させられる。そうして紡がれる物語。一見仲の良さそうな夫婦がそれぞれに抱え込んでいた心の闇。かつては好き同士で一緒になったはずなのに小さな擦れ違いからここまで壊れてしまうという事実が、リアルかつ丁寧に描かれている。特に裁判所で流される生々しい夫婦喧嘩の録音テープは、まさに最悪な夫婦の姿を見せつけられたようでなんとも暗澹たる気持ちにさせられてしまった。それでも両親のため、なるだけ気丈に振る舞おうとする息子の姿が切ない。かなり暗い気持ちにさせられる映画なのだが、それでも一時たりとも目が離せないのはこの監督の優れたストーリーテリングによるものなのだろう。息子のために必死で頑張ってきた母親が後半、息子に拒絶されるシーンには胸が張り裂けそうになってしまった。惜しいのは最後の展開。敢えてなのだろうが、ことの真相をうやむやのまま終わらせてしまったのはやはり不満が残る。ここは物語として何らかのカタルシスを与えてほしかった。それでも、平凡な女性が些細なことから人生の落とし穴へと落下してゆく過程をつぶさに解剖してみせることで、生きる意味を改めて問い直そうという本作のテーマは充分見応えのあるものだった。なかなかの秀作と言っていい。
[DVD(字幕)] 7点(2025-06-04 08:02:31)
13.  最悪な子どもたち ネタバレ 
治安があまり良くないフランスの地方都市で、演技未経験の子供たちを対象にしたオーディションが行われる。目的は、この土地を舞台にした映画を撮るため。選ばれたのは、貧しい母子家庭に育つ少年やクラスでイジメられている少女、少年院から出所したばかりの青年と言った、さまざまな訳アリの子供たち。彼ら自身をモデルに書かれたという脚本を基に撮影が始まるのだが、当然、ド素人の彼らを相手にスムーズに進むはずもない。子供たち同士で諍いが起こったりスタッフと揉めたり、途中で辞めたいと言い出す子が現れたり……。果たして撮影の行方は?と言うメタフィクションな手法で撮られた実験作。まぁやりたいことは分かるんだけど、それが成功したかと問われると、正直、ド失敗していると言わざるを得ない内容でした。撮ってる側からしたら大変だったかもしれませんが、こんな内輪ネタの楽屋オチみたいなものを延々見せられた観客からしたら「時間と金返せ!!」としか思えませんって。映画オタクたちがその場のノリで撮ったような自主製作映画に毛が生えた程度の内容でありました。
[DVD(字幕)] 3点(2025-06-01 19:09:25)
14.  プリシラ(2023) ネタバレ 
もはや伝説と化した世界的ロックスター、エルヴィス・プレスリー。14歳にして彼に見初められ、のちに妻となるプリシラの自伝をガールズムービーの巨匠ソフィア・コッポラが映画化!彼女の長年のファンとしては、期待に胸を高鳴らせながらこの度鑑賞。いやー、この人のキュート&ポップな世界観は相変わらず健在ですね。60年代アメリカという時代背景を存分に使った、カワイイの波状攻撃に自分はかなりやられてしまいました。原色を多用したカラフルなドレスに盛りに盛った巻き髪、もはや目の上で一周しそうになってるつけまつ毛、家の中に置かれた家電や家具もみなレトロでノスタルジックなデザインのものばかり、主人公を演じたケイリー・スピーニーのロリポップな魅力も相俟ってもはや自分はこの世界にノックアウト寸前!ソフィア・コッポラのマジカルなセンスはいまだ衰え知らずですなぁ。まぁ中身のなさも相変わらずでしたけど(笑)。こーゆー画を撮りたいという思いが先行するあまり、肝心の夫婦の描写は表面をなぞってるだけで彼らの秘められた真実に迫ってるとは到底言い難い。最後の尻切れトンボ感も酷い。とは言え、自分はこの人のセンスとは昔から相性が良く、このポップな世界観には充分浸れましたので満足度は高め。強引に政治的主張をブッ込んでくるどこぞのフェミニズムな女性監督よりよっぽどいい。世界的大スターの彼女になって自分も周りからチヤホヤされたい!何不自由ない完璧な家庭で大好きな人から一番大事にされたい!でもそんな羨ましい他力本願な女は最後にとことんしっぺ返しを喰らってほしい!と言う、世の多くの女性たちが夢見る世界をセンスあふれる映像で綴った、なかなかの佳品でございました。以下余談。最後の方に登場する長女のリサちゃん。まだ3歳くらいの小さな女の子でしたが、この子がのちにマイケル・ジャクソンやニコラス・ケイジの元嫁になるのかと思うと感慨深いものがありました。まぁ映画では子役が演じてるだけなんですけどね(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2025-05-30 09:05:10)
15.  探偵マーロウ ネタバレ 
「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」の名台詞で有名なハードボイルド名探偵の代名詞、フィリップ・マーロウ。今回彼が挑むのは、1939年のハリウッドを舞台に悪徳プロデューサーや麻薬ブローカーが蠢く闇のビジネス。果たして彼は無事に事件を解決できるのか?レイモンド・チャンドラーが創造した名探偵マーロウが現代に復活。と思ったら、正確にはチャンドラーの死後に別の作家が書きついだ続編が原作だそうです。今回マーロウを演じるのは、あの中年の域に達して突如アクション俳優として覚醒してしまったリーアム・ニーソンさん。自分、フィリップ・マーロウの映画はどれも未見でかろうじて昔、原作小説を1、2冊読んだ程度。そんな自分がいうのもなんですが、今回のニーソンさんのキャスティングはなかなか嵌まってたんじゃないでしょうか。常に冷静沈着、クールなようでいながら悪や不正は絶対に許さず、悪党には容赦がないが半面女性には優しい。そんなまさにハードボイルドを地でゆく渋い男をいい感じに演じております。途中でバディを組む黒人ドライバーとの飄々とした掛け合いも見ていて楽しい。とは言え、お話としてはいたってフツー。遥か昔の小説を映画化しただけあって、良くも悪くもオーソドックス過ぎるんですよね~~。訳アリ女優から死んだはずの男を探してくれと言う依頼を受けたら、実は男が生きていてバックには裏社会の大物とハリウッドの成金たちが絡んでいたというお話。事前に予想した通りのお話を微塵も裏切ることなく最後までそこそこのクオリティで終わってゆきました。欲を言えば、もう少し現代的な視点や見せ方が欲しかったところかな。でもまぁ70近いというのにリーアム・ニーソンさんは相変わらず渋くてかっこいいし、クラシカルな雰囲気も味があったし、暇つぶしで観る分にはそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2025-05-28 08:14:20)
16.  君たちはどう生きるか(2023) ネタバレ 
言わずと知れた日本アニメ界の巨匠、宮崎駿監督の最新作。もちろん気にはなってましたが、世間のあまりの賛否両論ぶりといかにも説教臭そうなタイトルに気が引け、何となく今まで敬遠しておりました。それがこの度、地上波で初放送ということで無事鑑賞。うーん、どーなんですかね、これ。自分の超個人的な感想としては、なんか村上春樹の同じく問題作と言われている『ねじまき鳥クロニクル』を読み終えたときと同じような印象かな。どちらも鳥がモチーフだし、意味があるのかないのか分からないエピソードがひたすら繰り返されるところも舞台転換が唐突過ぎて全くついていけないところも同じ。村上春樹は基本的に好きなのに『ねじまき鳥~』だけは個人的に嫌いな本。同じく宮崎駿も充分リスペクトしてるんだけど、本作は全編に独り善がりなナルシズムを感じて自分はいまいち好きになれませんでした。登場人物誰にも魅力を感じなかったし、特にあのアオサギの中に入ってるハゲジジイのビジュアルはだいぶ気持ち悪かった……。それでもイマジネーションの極北をゆくような独創的な映像はさすが宮崎駿!って感じで、そこだけは見応えありました。
[地上波(邦画)] 5点(2025-05-17 10:35:51)
17.  キリエのうた ネタバレ 
彼女の名は、キリエ。何処からやってきたのか、誰も知らない。普段はほとんど喋ることは出来ず、人とコミュニケーションはもっぱら筆談。常に何かに怯えたような彼女は、現在住む家もなく、路上やビジネスホテルを渡り歩いている。だが、ひとたびギターを手に歌いだすと、その魂から絞りだしたかのような歌声は聴く者を圧倒し、そして深い感動を生み出すのだった――。2011年、大阪。まだ幼い少女だったキリエは、学校にも行かず、公園で寝泊まりしながら教会が提供してくれる食事だけを頼りに生活している。そんな彼女の存在を知った一人の女教師は、キリエを助けようとするのだが。2018年、帯広。17歳になったキリエは、高校生として普通に学校に通っていた。その声と内向的な性格のせいで友達もおらずずっと一人で過ごしていた彼女のことを知った同級生の真緒里。謎に満ちた彼女に何故か惹かれるものを感じた真緒里は、ある日図書館で声を掛ける。キリエの兄だという青年とともに次第に仲良くなってゆく2人。だが、キリエは心に深い秘密を抱えていて。2023年、東京。何もかもを捨て、あてもなく路上を彷徨っていたキリエ。そんな彼女が出逢ったのは、高校卒業以来、まったく連絡を取っていなかった今はイッコと名乗る真緒里だった。キリエの歌声に心を鷲掴みにされたイッコは、自分がマネージャーとなってあなたを有名にしてあげると約束する……。日本映画界の中で僕がその新作を心待ちにする天才映像作家、岩井俊二。待ちに待った彼の最新作を今回鑑賞してみました。美しい映像と気品に満ちた音楽、3つの時代を頻繁に行き来し様々な登場人物が幾重にも交錯する複雑なお話なのにそれをまったく感じさせない卓越した編集力、なによりキリエをはじめとする個性豊かな少女たちのいまにも壊れてしまいそうな儚さなど、岩井俊二らしい美質はもはや匠の技。特に、真っ白な雪の中で横たわる2人の少女がともに小田和正の名曲を口ずさむシーンは、鳥肌立つほど美しかったです。ただ、それらの美点は認めながらも一つの映画として、僕はそこまで評価できませんでした。理由は、後半の展開。それまで謎だらけだったキリエの過去が徐々に明らかとなるのですが、それがかなり強引過ぎるうえに少々詰め込み過ぎな感が否めず。キリエのお姉さんの悲劇、親友であるイッコの正体、少女時代のキリエを保護した女性教師、彼女をデビューさせようと奔走する仲間たち、そしてキリエと浅からぬ関係にある夏彦、彼らの物語が最後まで一向に纏まっていきません。なんなら破綻しているようにすら感じてしまいました。イッコが辿る悲劇的な結末は取ってつけたような印象だし、特にキリエがイッコのせいでレイプされそうになるシーンはあまりに執拗で自分は嫌悪感の方が上回ってしまいます。そして、東日本大震災の描写もあまりに浅すぎて自分は首をひねらざるを得なせん。震災が襲ってきたシーン、何故、キリエはずっと下着姿でなければならなかったのか?まったく必然性を感じられず、なんならある種の下品さすら感じてしまいました。岩井俊二、日本映画界のなかでも数少ない大好きな監督さんだけになんとも残念。次作に期待したいと思います。
[DVD(邦画)] 5点(2025-04-14 12:12:57)
18.  クライムズ・オブ・ザ・フューチャー ネタバレ 
舞台は近未来。体内で新たな臓器が生成されるという謎の奇病を患った男がそれを逆手に取り、自らの体内からそんな新たな臓器を摘出する手術を公開するショーを開催していた。刺激を求める観客たちに次第に熱狂的に受け入れられてゆく男。事態を重くみた政府は、秘密捜査官を彼の元へと派遣する。そんな彼らの元に、生まれつきプラスティックを消化できる器官を備えた少年の遺体が持ち込まれ……。監督は、グロ映画界の巨匠デビッド・クローネンバーグ。もはや80近いのに虚心坦懐、実直に我が道をゆく彼のグロテスクワールドは相変わらず健在。内臓ぶちまけたり男女2人で血だらけになってエッチしたり少年の遺体を解剖するとこをショーにして見せたりと、昨今幅を利かすポリコレなど爽快に無視しちゃってる彼独自の世界観には素直に賛辞を送りたいところ。グチャグチャどろどろ、変なところに変な突起のある機械の中でエッチしちゃうヴィゴ・モーテンセンとレア・セドゥとか、日本の某触手系アニメを髣髴させて大変グッド!!ただ、それに対してお話の方は何ともビミョー。え、この主人公は結局何がしたいの?彼を熱狂的に支持する人たちは単なる変態集団ってだけ?それにプラスティックを食べていた少年はいったい何の意味があったの?そこら辺、分かったような分からないようなで僕は途中から、もうどーでもいいわ!となっちゃいました。こーゆーグロい画を撮りたいという熱い想いが先行するあまり、肝心のお話の方がおろそかになっちゃったパターンなんじゃないですかね?他の追随を許さないグロテスク世界観は相変わらず良かっただけに、もう少しストーリーの方でも魅せてほしかった。残念!
[DVD(字幕)] 5点(2025-04-08 12:33:51)
19.  私がやりました ネタバレ 
有名映画プロデューサーが殺された――。豪華な自宅で無残な射殺体となって発見された男。容疑者として逮捕されたのは、売れない若手女優マドレーヌだった。同居人で駆け出しの弁護士であるポーリーヌとともに裁判闘争を開始した彼女は、自分は正当防衛であるという主張を打ち出すのだった。役者志望である自分に大きな役を与えるという餌をちらつかせ、肉体関係を迫ってきた彼を誤って射殺したのがことの真相だというのだ。目撃証言も決定的な証拠もほとんどなかったが、世論を味方につけたマドレーヌたちは瞬く間に無罪を勝ち取ってしまう。そればかりかこの裁判をきっかけに、マドレーヌは一躍人気女優に、ポーリーヌは新進気鋭の若手弁護士としての地位まで手に入れるのだった――。途端に有頂天となる2人。だが、そんな彼女たちの前に真犯人を名乗る旬を過ぎた大物女優が現れる。プロデューサーを殺したのは自分で、無罪を勝ち取り本来有名になるはずだったのは自分だと。地位と名声のために自分が真犯人だと主張する彼女たちのどろどろの戦いが幕をあげる。果たして事件の真相とは?という、ミュージカル映画の名作『シカゴ』をフランスでリメイクしたかのような内容の本作、これがいかにもおフランスって感じのウィットとエスプリに富んだオッシャレ~な内容に仕上がってましたね。ここら辺がアメリカとフランスの文化の違いって感じなんでしょうか。パステル調の色調も何処か舞台のような画作りも飄々と進むスラップスティックなストーリーも、とにかくおしゃれ!何処か百合っぽい主人公女性2人の関係性も見ていて微笑ましい限り(2人でお風呂に入ってるシーンなんてなんともキュートで大変グッド!)。ただ可愛いだけのそんな2人の前に現れる、酸いも甘いも嚙み分けたベテラン女優イザベル・ユペールもさすがの貫禄で見応え充分(てかこれって演技じゃなくて地だったり?笑)。とは言えストーリーに特段驚きのようなものもなく、最後まであまりに軽すぎるしで個人的にそこまで嵌まらなかったですが、なかなか楽しいお話でございました。
[DVD(字幕)] 6点(2025-04-08 11:21:56)
20.  シミュラント 反乱者たち ネタバレ 
科学技術が高度に発達した近未来。人類は高性能AIを搭載した人型アンドロイド「シミュラント」に頼り切った生活を送っていた。主人である人間の命令には絶対服従、一言も文句を言わず、家事や育児、その他さまざまな仕事をこなす彼らはまさに人間の叡智の結晶のような存在だった。だが最近、そんなシミュラントの中に何故か独自に行動し持ち場から逃走する事例が多発する。彼らを追い捕獲する任務を担うケスラー捜査官は、ある一人のシミュラントを追う過程の中で驚くべき事実に気づくのだった。何者かがそんなシミュラントの安全プログラムを破り、人間に反乱するよう仕向けている――。ケスラー捜査官は事件の重要な鍵となるエバンという名のシミュラントを執拗に追い始めるのだが……。と言う、これまで何度も何度も制作されてきた、よくある近未来SF作品。こーゆーのってやはり決め手となるのは、このハードSFな世界観に如何に観客を惹き込ませるかだと思うんですけど、本作はそこら辺の設定の詰めが非常に甘く、正直ちっとも面白くありませんでした。このアンドロイドたちがどのように生み出されどんな工場で大量生産されているのか、また一民間企業がその製造とメンテナンスを一手に引き受けてるらしいんですけどこの大企業がどのような存在なのか、また政府との関係は?等々、観客がもっとも知りたいそれらの情報を一切スルーしたままどんどんとお話だけが進行してゆくので観客は途中から置いてけぼりを喰らったような感じになっちゃうんですよね。また、そのストーリーの方もよくあるお話なのに、無駄に哲学的要素をぶっこんでくるものだから極端にテンポが悪く、僕はもう序盤からあくびが止まんなかったんですけど!監督は、きっと押井守の実写版みたいなことをやりたかったんでしょう。けど、基本となる世界観の創り込みが甘すぎてもはや見られたもんじゃありませんでした。正直、凡作と言わざるをえません。
[DVD(字幕)] 3点(2025-04-08 10:36:24)
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