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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  怪盗白頭巾 前篇 《ネタバレ》 
・「河内山宗俊」の特典として収録されていたものを見た。  何やら怪しい算段をしてそうなオッサンと老人。 そこに障子を開き刀を上にかざしながら突入する怪盗白頭巾の一味!!  刃が空を斬り、その直後に捕り手たちが群をなして迫り来る。  白頭巾は仲間を逃がして殿を買って出る。 障子に隠れ、敵が来た瞬間に浴びせる一撃。 複数の捕り手と切り結び、斬られた敵が障子とともに倒れたりして、フィルムは終わる。
[DVD(邦画)] 9点(2017-04-24 18:42:26)
2.  ザ・ウィメン 《ネタバレ》 
ジョージ・キューカー最高傑作。  とにかくこの映画、女性しか出ません。赤ん坊から婆さんまでみーんな女、女、女。幼い子供だって立派な“女”。宝塚みたいに誰かが男性役で出るとかもしません。   脚本も女性だし監督のキューカーだって筋金入りのゲイというより魂は乙女みたいなもんです。出てくる犬も全部メスだったかオスも1ッ匹くらいいたかな。  男の声すら出ないし、存在が確認できるのは受話器の向こう側だけ。劇中フィルムすら男は出てこない。  とにかく女達の怖さ、言葉による殴り合いや女の強さをこれでもかと堪能できる素晴らしい映画。  「イヴの総て」みたいに男の存在が女達を際立たせる事もあるが、これほど見えない男達の存在が女性を引き立てる映画もない。  メンツもジョーン・クロフォードをはじめノーマ・シアラーやロザリンド・ラッセル、ポーレット・ゴダード、端役にジョーン・フォンテインなど豪華だ。  超高級エステ・パーラーのマニキュリストが流した噂が、流れに流れてやがて一大スキャンダルに発展していく狂騒。   動物に例えられる女性陣のオープニング、犬の喧嘩がやがて女性陣のバトルに発展してく。 エステに励む女性たち、乗馬といったスポーツに精を出す親娘。あの馬もメスかしらん。 エステは女性の身体をかたどったボトルキャップも売る。  例の黒人女性は「風と共に去りぬ」にも出ていた。そういえば「風と共に去りぬ」も最初はキューカーが監督していたんだっけか。   悪態つきまくっていた女性がカーゴに躓いてまっ逆さまになるシーンは爆笑。アナウンスまでシュールだころ。   中盤のファッションショーは美しいパートカラーも楽しめる。当時の流行を覗く事ができる。 もっとも、ファッションショー後に黒服を脱ぐシーンが一番ドキドキしてエロティックなのだけれど。 ドアから出たらドアごとそのまま付き返すシーンもクスッとくる。  ミニスカでやるエクササイズはエロいが、女性としてはどんな心境なのだろうか。  今の時代は短パンやスパッツが普及しているけどさ。   後半に出てくるポーレット・ゴダードとクロフォードのキャットファイトも笑いが止まらなかった。  噛み付きまで繰り出すクロフォード。 つうかポーレットが可愛すぎて辛い。ショートパンツ姿が良い。  「モダン・タイムス」のポーレットもスンゲー可愛かったよ・・・。   泡風呂におけるクロフォードと女たちのやり取りも良い。  下の透明な水槽からクロフォードの脚がチラり。  香水の音ワロス。  クライマックスまで扉の中に閉じ込められたりと散々なクロフォード。  髪が乱れた感じもまた良いっす。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2016-11-19 01:44:10)
3.  東京の女 《ネタバレ》 
田中絹代は「非常線の女」の役よりもこの映画の役の方がしっくりくる。確かに今作は作品としての出来はあまり良いとは言えないが、細かい演出とかが気に入っている。  酒瓶、少しずつスライドして釜、食卓の朝の風景に。 靴下には穴が、足袋と靴下が干してある、煙、息子が出かけると母は割烹着を放り投げて化粧を始める。  着物の上にコートを羽織る出で立ちは「非常線の女」の水久保澄子を思い出す。  名簿、警察・聞き込み、タイプライター、突然現れる洋画のクレジット。どうやら映画館のようだ。劇中で映されるのはエルンスト・ルビッチ等が参加したオムニバス「百万円貰ったら」のオフィスでの仕事風景。 トーキーの映画をサイレントで流すというのも不思議な感じ。  そして唐突に「東京の女」の違う場面に切り替わる。壁にかけられた警察のサーベルと手袋。 よからぬ噂、疑惑、噂を聞いて「信じられないという」表情、「私だってこんなこと言いたかないわ」という表情、泣きそうになるのを堪え切れず出ていく。男も着物を投げ出し、涙を瞳にためる。  何処かの化粧室、ケバいメイクをする女性たち、電話、噂は真実となって観客の前に叩き付けられる。結ばれた髪はほどかれ、男を誘う女の表情。この変貌振りは岡田嘉子の流石の演技。 近寄る手を振り払い、最愛の姉を引っぱったかねばならない辛さ、頬にやる腕を何度も何度も、涙を流しつつ。   鏡を見て弟にぶたれた跡を悲しげに見つめる。打ちのめされて夜道をトボトボ歩いていくあしどり、傍らで静かに燃えるランプの灯は消えかかる。 「百万円貰ったら」のパンフレット、しかしゲイリー・クーパーはカッコ良いなあ。「晩春」でも名前が出るくらいだし、小津も好きだったんだろうな。 電話の知らせを入れる小僧、時計屋、凶事を告げる電話。 あの瞬間の髪を乱し気味、ショックを受けた田中絹代の表情がとても良い。顔を見た瞬間に突っ伏して泣き出す。 記者に質問責めされる姉、泣きっ面に蜂ならぬマスゴミ、薄気味悪い表情で素晴らしく殴りたくなる。 姉は「このくらいのことで死ぬなんて」と嘆き悲しむが、弟はそれほどまでに姉を信じ、愛し、心の支えにして生きてきたのだろう。冒頭の煙が再び映しだされる。 道を歩く記者は電柱の記事を読み、笑いながら去っていく。
[DVD(邦画)] 8点(2015-07-30 15:57:02)
4.  腰弁頑張れ 《ネタバレ》 
フィルムセンターで鑑賞。  「腰辨頑張れ(腰弁頑張れ)」。 風が吹きすさぶオープニング、子供をオブリながら靴を磨く男、食事の用意をする女性、靴には穴があいている。そこに泣きながら走って帰ってくる子供、父は穴をふさごうと紙をつめたりしている。 子供と一緒に怒鳴りつけに行こうとするが、本当に泣かされたのは相手の子供の方だった。さっきまで泣いていたのは嘘だった事を知り慌てて隠れる父親。状況理解早ええwwこの親にしてこの子あり。  壊された飛行機、割れる食器、ハタキに叩き落される結婚した時の写真、今度は箒でさっさっさ、おもちゃも手当たり次第、慌てて赤ん坊を抱える夫、夫婦揃って「あっつ」。  夫は逃げてばかり、逃亡先には真っ先に逃げた子供が、親子揃って逃げ足が速いこと。 おもちゃを買ってくれとせがんでいたら押入れを突き破って出てしまう。向こうの家は子供が五人でもっと大変、保険会社のライバルを見つけて口論、どっちもお断り、乳母車を押すのを手伝って口実つくり。  こっちも跳び箱になって子供から落そうとする、見られてしまったボロ靴の穴、子供に金を見せつけられる大人、心もorz状態、ライバルの保険会社のオッサンまで飛ぶww  空を飛ぶ飛行機の模型、それを追いかける子供たち、屋根に落ちた飛行機を取りに行く、不安定な足場、下駄を持って応戦、君が飛ばしてやるって言ったんだぞ! 土管を巧みに使ってボッコボコに、歪んで見えるさっきの大人たち、現金な父親だこと、子供の事よりも取引相手を優先、飛行機よりも父親の愛情が欲しかった子供。  自分の子供よりも他人の子供に愛想を振りまく父親に幻滅、我に返って子供が欲しがっていた飛行機を買って帰る、斬新なカットバック、電車の線路、後悔にさいなまれる。  病院、蛇口から漏れる水滴、飛行機、花火、青空のイメージ、フラッシュバック、泣き叫ぶ母親、室内を飛び交う飛行機のイメージ・・・。 
[映画館(邦画)] 8点(2015-07-28 17:00:16)
5.  淑女は何を忘れたか 《ネタバレ》 
小津のトーキー初期のほのぼのとしたコメディ映画。コメディと言ってもほんのちょっと「クスッ」としてしまう感覚。ルビッチ風味のやり取りを積み重ねていくのが面白い。 車、大きなタイヤを覆うカバー、車から降りてきた毛皮をまとう成金女。ボールで壁当てして遊んでいる子供と会話。  囲炉裏を囲んで主婦の談笑、「ちっ」、「ちぇっ」、「ほっほっほっほっ」。冒頭8分の軽快さが素晴らしい。  小腹がすいたからうなぎを頂戴、ご飯と別々にねって贅沢だなオイ。  大学の先生、講義 居眠り男への扱いが面白い、関西弁を喋る娘、嫁入り前でも吸いたい煙草、強制的に家庭教師を頼まれる。  「地球の面積」の話をしていたらデッカい地球儀を持ってくる子供にクスッとなる。大学の兄さんよりも子供の方が賢いのが面白い。ジェネレーションギャップ、子供たちなりの励ましソング、「こんがらがっちゃダメよ♪」。  歌を歌いながら地球儀を回して国の名前を当てっこ、北極は国じゃねえwwえ?国じゃなくて地名当て?   フェンシングの剣でのやり取り、ドクトル呼び、並べられたコーヒーカップ。 歌舞伎の見物は「麦秋」のように徹底的に見せないパターン。歌舞伎を見る客の表情や後姿のみが映される。  それを待つ女たち、芸者を見に行く人々の表情、芸者の舞いは映るのに歌舞伎は何故に映されないのだろうか。延々と舞いを映すのは「鏡獅子(菊五郎の鏡獅子)」を思い出す退屈さ。  観客「もういいよ」   芸者たちと酒を飲みかわす、財布の交換、頭痛い→額に手をやって「風邪かな?」、単に酔っぱらったとちゃうんか、姪のワガママに付き合う叔父さんが優しすぎて泣いた。  叔母さんもカンカン、後を追いかけて問い詰める、雨の降る朝食、酔ってて叔母さんの声も覚えていない。この後のやり取りが特に面白い。叔母さんが来たら説教のフリ、腹を小突く姪にワロタ。嫁に頭が上がらない夫が可愛い。  手紙でバレる嘘、説教を受ける叔父、叔父をたちを助ける姪の嘘、叔母さんも話友達との気晴らしの会話でストレス発散、叔母さんを騙して脱出する叔父さんたち。コイツら・・・w 叔父さん?ドクトル?オッサン?叔父公!姪に押されて叔父さんもアタック(物理)。叔母さんは「何でアタシがぶたれないけんの」という驚きの顔、「ちょっとやりすぎたかなー」という後悔の顔をする叔父さん。優しすぎるぜ叔父さん。 二人の女の間で板挟みの叔父さん、一応謝る姪、叔父さんも謝る、巻き込まれる岡田涙目。むしろ殴ってくれる方がが良いらしい、静かに笑うお父さんの姿、時計の音とともに夜が訪れ、コーヒーの支度をする妻の姿をロングショットで捉えて物語は終わる。
[DVD(邦画)] 9点(2015-07-28 16:58:47)
6.  菊五郎の鏡獅子 《ネタバレ》 
フィルムセンターで鑑賞。 「鏡獅子(菊五郎の鏡獅子)」。歌舞伎を記録したドキュメンタリー。 提灯、ナレーション、入口、舞台、客席、幕が上がり花道が。菊五郎の女形、静止画が続く。菊五郎の男役、様々な役、鬘(かつら)、着物、扇を映していく。 演技の前の台本を読み、鏡の埃を羽箒で払う。    幕が上がり演目が始まる、演奏と歌、ロングショットとクローズアップの切り替え、菊五郎の女形による舞踊を8分も延々と映していく。  やはり同じ画面で同じような事を続けるのはどうにも退屈だ。時折視点が斜めになるだけ(それも同じ角度で繰り返し)。 舞台で見たら臨場感があって面白いのだろうが、映画で見ると舞台の良さは伝わらない。事にドキュメンタリーに徹して舞台に上がらず被写体を追わないのなら尚更。   踊りの後はようやく別の演技に・・・と思ったらまた踊り始める!いや、菊五郎の激しいステップは見るものを引き付け始める。 舞台を駆け抜け消えていく姿をカメラが追う!そして同じ道から現れる鏡獅子!全身を震わせて激しく舞い続ける、ドカッと段に座り、そこに現れる二人の女形の舞い、二人に肩を叩かれて獅子は飛び上がり、再び激しい舞いを始める。 雄々しく振り回される長大な白髪、獅子が段上にそびえ地面を蹴り、睨みをきかせて幕は下りる。
[映画館(邦画)] 8点(2015-07-28 16:55:36)
7.  番場の忠太郎 瞼の母 《ネタバレ》 
フィルムセンターで鑑賞。  長谷川伸もの。「番場の忠太郎 瞼の母」。瞼(まぶた)の母。 宿場町、鶏、娘の髪を結ぶ母親、息子を思い出し泣き出す母親、夜、三度笠で男を担いで歩く男、障子を叩き去っていく。 水車→風車、転がる鞠を拾う追ってたち、手紙、手紙を持った瞬間に火花が散るような演出、男は手紙の内容を知っている、負傷した片腕。 刀を持って戦いに行こうとする男、それを必死に止める妹、男の勢いを止める母親の涙。  犬と戯れようとする男、半次の知り合いだという忠太郎の登場。 襖の影でじっと耐える半次の葛藤、脚の動きだけで距離感を感じさせる追跡、徐々に速度が速くなる。  抜刀直前、斬りかかり即座に逃げ去る回想、家族を振り払い切りかかる・・・その時に「こっちを向けい!」 16分して戦闘開始、土手を駆け、刀が宙を舞い、刃を投擲!背中に突き刺さる刃。 「ボケ茄子」「グレた」・・・昔からこういう言葉があったんだねえ。  忠太郎も母親を探し求めて放浪する。   字が分からないのでお母さんに手を握ってもらって書こうとする、ダチの親とはいえ母親のぬくもりで震える表情。  脚は道から道をかけ続ける、街中の賑わいを映すショット。  三味線を弾く眼の見えない老婆、料亭にたむろするヤクザたち、駆けだす女性にちょっかいを出す、逃げた先での出会い、切れる鼻緒。  しかし活弁トーキー版のオッサンのナレーションが面白い。山田五十鈴は役者の名前だwww  夜鷹のおばさん、小さな墓の前で夜鷹の事情を目撃する、墓参り、節分、料亭、何処の誰だろうが一度は面と向かって話し合う心意気、取り敢えずその刀をしまえ。  忠太郎という名前にキセルを落とす、母はわざと冷たくする、母のための大金、その裏で男を引っ捕まえようと準備にかかる男衆、長年求めた者から聞きたくなかった言葉ばかりで打ちのめされる。  息子ではなくヤクザ者として去っていく悲しき表情。男衆は慌てて身を引き、忠太郎は吹雪く闇夜を足早に去っていく。  道で待ち伏せる男二人、風が吹き荒れる中で対峙、それを必死に追う籠と提灯、仰々しい構えで一刀のもとに斬り捨てる、家族の呼び声をむしろの影で聞く辛さ。 抜き放った瞬間に男を斬り倒す、両の瞼を閉じる、思い出の中の母、現実の母、打ち捨てられた長ドス、抱き合う家族。
[映画館(邦画)] 8点(2015-07-14 13:18:12)
8.  彼奴(きやつ)は顔役だ! 《ネタバレ》 
「白熱」ほどの凄まじさとパワーは無いが、ラオール・ウォルシュ特有のスピーディーな展開とドラマで一気に引き込まれる。 中盤における倉庫襲撃シーンは豪快だし、レストランにおける流れるようなアクションも見事。 極悪人の筈のキャグニーが持つ銃はあくまで「脅し」であり、この頃冷酷な殺し屋だったボガートの持つ銃は「殺人の道具」だ。 この映画のキャグニーは正に「汚れた顔の天使」なんだよな。表向きは極悪人だけど、本当は誰よりも優しさを持っている。  そんな彼が倒れるラストシーンは、とても切なく哀しい。  マイケル・カーティス&ベン・ヘクトの「汚れた顔の天使」もメッチャ良いです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-21 21:48:40)
9.  鶴八鶴次郎(1938) 《ネタバレ》 
芸道に生きる男女を鋭く描いた成瀬巳喜男の作品。  歌い手の「鶴次郎」と三味線女房「鶴八」。 二人は喧嘩するほど仲の良い鴛鴦夫婦、本当の夫婦のように幸せそうだが、あくまで二人は「芸人」としてのコンビ。 幼い頃から兄弟のように過ごしてきた二人。 鈍い鶴次郎、女として答えを待ち望む鶴八。  冒頭からサイレント映画さながらに見せる映像。 幸せそうなふたりの姿から物語は始まるが、紆余曲折を経て二人は亀裂が入り別れてしまう。  結婚して本当に女房になった鶴八、一人やせ我慢して芸道に生きる鶴次郎。  二羽あっての「鶴八鶴次郎」、一羽欠ければ魅力も半減してしまう。 打ちひしがれる鶴次郎、いつも隣にいたからこそ気付けなかった「かけがえの無い存在」・・・。  そんな鶴次郎を見かねて鶴八は戻ってくる。 喧嘩別れした二人だが、お互いに謝りすぐ打ち解けられるふたりの仲睦まじさを物語る。  だが鶴次郎も男だ。 本当の女房になって幸せそうにしている鶴八を観て、鶴次郎は辛い決意をする。  家庭での幸せを願った鶴次郎だが、果たして鶴八も同じ気持ちだったのだろうか?  何も語らない鶴八、涙を酒とともに飲み干す鶴次郎・・・切ない幕切れだが、とても良い映画だったと思う。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-20 21:19:35)
10.  キング・コング(1933) 《ネタバレ》 
世界恐慌直後のアメリカ。 職にあぶれた人間でごった返す当時の情勢は、その後の第二次大戦の暗い影も見えてきそうだ。 冒頭こそ淡々としすぎる映像だが、島に入ってからその面白さは加速する。 怪しげな原住民の儀式、 巨大な砦、 そしてそこに君臨する巨獣キング・コング! ねんどや人形のコマ撮りで動かしているとは思えないほどの動きと迫力! コングに掴まれたり身ぐるみ剥がされたりで叫びまくる女優の演技もリアルで凄い。 子供の頃は「何でゴリラと恐竜が戦ってんだよ」と理解に苦しんでいたが、今見るとその細かい戦闘描写に見入ってしまう。 コングからヒロインを奪還すべく追う主人公たち、ヒロインを守るコング。 そして事もあろうに、何とコングは人間の手で島からニューヨークに連れていかれるのだ! 安易な思い込みが命取りとなる。 何と愚かな事だろう。 ヒロインを見つけて拘束具を安々と外し逃げ出すコング。 コングはヒロインに惚れてしまったのだ。 セルズニックの演出には常に「愛」が存在している。 後年の「レベッカ」、「風と共に去りぬ」、「白昼の決闘」、「第三の男」における三角関係・・・心が怪獣にはあった。 人間のような感情がコングにはあった。 人間と同じように、コングも赤い血の流れた生き物なのだ。 ただ、コングの純粋な恋心も、人間には恐ろしい化物が叫ぶようにしか見えないのだろう。 コングは戦った。たった一匹で勇敢に戦い、壮絶に散って行ったのだ。 コングの遺体の傍で、コングを捕らえた男が一言漏らす。 いつの時代も、一番の原因となった悪党が生き残るのが世の常だ。 本当に恐ろしいのは、こういう人間なのである。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 20:06:44)(良:2票)
11.  フランケンシュタイン(1931) 《ネタバレ》 
「フランケンシュタイン」以前にも活躍してきたカーロフだが、少なくとも「フランケンシュタイン」でトップスターの仲間入りをした事は決定的だ。 吸血鬼と言えばベラ・ルゴシ、そしてフランケンシュタイン博士のモンスターと言えばボリス・カーロフ。 そんなカーロフの凶暴さと哀愁を帯びた演技、フランケンシュタイン博士のモンスターのイメージを決定づけたジェイムズ・ホエールの傑作。 メアリー・シェリーの原作小説をベースに、ヴィクター・フランケンシュタインを大学生から完全な博士に変え、モンスターも原作には無かった「ツギハギの肉体」と「知能の低い化物」というイメージを作り上げた。 原作では知性を持ち、人間と同じように物を考えられるのに人間になれないという葛藤が主軸だった。 本作の「怪物」は言葉も知性も無い。いや本当は言葉を発せられないだけで知性があったのかも知れない。 冒頭の遺体と脳の収集。丁寧に組み立てていくストーリー、そして実験所における人造人間の「誕生」。電流をバチバチ鳴らし怪物を創造していく場面。 博士の「息子」そのものは29分してようやく登場するのだが、セリフもシーンも中々テンポが良いので飽きない。 だが誕生した人造人間は「息子」であり同時に「殺人兵器」となっていく。 息子の脳を支配するのは殺人鬼の記憶。 殺しの記憶と凶暴な肉体が結びつく時。息子は「化物」になってしまう。 そんな手の付けられなくなった息子を医者に押し付ける様子は育児放棄した父親にしか見えない。フランケンシュタインと妻の間に本当の子はまだいない。彼は実験の成果よりも子供が欲しかったのだろう。妻のため?自分のため?それは解らない。 そんな息子は少女と出会う。 少女は息子を「化物」ではなく同じ「人間」?として接しようとする。 少女の無垢な心、それに応えてしまった「息子」の純粋な「記憶」。「息子」に葛藤は無かった。それは心が無いからなのか。 「息子」は街を彷徨う、人々は「殺人鬼」を殺すために群れとなって殺人鬼を追う。 そこに父親の姿もあった。一応産みの親としての責任はあるようだ。 父親と「息子」の対面。二人は最後まで相容れない水と油として別れていった。 つうか頑丈すぎるだろフランケンシュタイン博士。 燃え盛る風車と息子・・・博士は何を思ったのだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-19 20:02:48)
12.  赤ちゃん教育 《ネタバレ》 
元祖?人類には早すぎる映画。 いつか誰かが言った。 「ホークスのコメディで笑える奴は、宇宙人だよ」と。  アメリカではホークスのコメディは大人気だそうだ。 何て事だ、我々にとっての宇宙人(アメリカ)はホークスの面白さを理解し、日本人は当時この作品の面白さを理解出来なかった人間以下とでも言いたげではないか!!  アメリカと日本は違う。  俺としても、ホークスのコメディは「教授と美女」や「ヒズ・ガール・フライデー」「コンドル」のような作品の方が好きだ・・・・・が・・・やはりこの作品も抱腹絶倒で呼吸困難を起こしてしまった。一体俺はどうすれば良いのだ。  インテリジェンスに溢れ教養豊かなキャサリン・ヘップバーンが、この作品では男勝りで男を頭から丸呑みしてしまいそうなほどパワフルな女性だ。やる事なす事すべて破壊に結びつく。ゴジラかおのれは。気品は相変わらずだが。 オマケに赤ん坊が猛獣だぜ?もうやだホークスのコメディ(褒めてる)。  ケイリー・グラントがネグリジェときやがる。  笑うしかねえだろ!!
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 17:54:55)
13.  浪華悲歌 《ネタバレ》 
確かに溝口らしくない部分もあったけど、女が好き勝手やって自滅するという図式は溝口作品屈指の出来だと思うんだ。 ネオンが光る夜、朝には光が消えて静まり返るファースト・シーン、家族の食卓で始まるところ。漬物をポリポリ噛む音を楽しめるのはトーキーだからこそできるね。 時折ギラリと輝く父ちゃんのメガネで吹くわ。 ヒロインの綾子が夜遊びに進む過程。 良い歳した中年おやじが若い娘の胸元に名刺を差し込む辺り・・・溝口はこういうのが本当上手い。 ガラス越しの電信での会話、綾子の手紙の文字、戸をガラッ開けて“男”を見せつける場面と。 クローズアップも結構多く、要所要所の挿入は印象に残る。 山田五十鈴が若くてキレイだなー。 暗闇で家に入る人影、妹さんそんなところに「ぬうっ」といたらホラーだよ(演出が完全に怪談じみてた)。 遊び好きの活発な女性が男二人引っ掛けて、どちらとも「おまえはそんな女だったのか!」と失望されて家に帰ったら「そなアホな女家族や無い!出て行けや」と勘当。 あんなに笑った溝口映画は初めてだ。兄貴、妹の素っ気ない返事のワンツー・パンチがまたツボ。この殺伐とした空気が最高だぜ。オマケにあれだけ高慢なヒロインも流石に落ち込むだろ・・・と思ったらまったくヘコたれてない(爆)もう何なんだよこの女wwwwwwww「不良少女」どころじゃないよもう。 山田五十鈴の演技が最高すぎる。 梅村蓉子夫人とのやり取りも最高だった。人形浄瑠璃の劇場に不倫相手の男と一緒。 そこに嗅ぎつけた奥さんがズンズン乗り込んできて「何してんやアンタ!」と問い詰める。奥さんの剣幕に逃げ出す男どもがまた面白い。 そして地味に志村喬が出ていたり。この頃から刑事やってたんだなー志村さん。後ろ姿だけでもカッコ良いのは何故だ。  またラストシーンが良いねー。 例の名刺を川面に向って投げ捨てる。暗闇ながら水面の美しいこと。 過去との決別だね、ハッキリした女だ。 それで通りかかった男に「あたい“不良”ちゅうビョーキなんや。ねえ“お医者さん”、どないしたら治るやろか?」と聞く場面。 ただの通りがかりの男を医者と呼ぶこのセリフの面白さ、解ったもん勝ちだね。  「祇園の姉妹」は丁寧だったけど、パンチが足りなかった。この作品は少々荒いけど、パンチが効いてるからコッチの方が好み。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-17 07:34:43)
14.  麦秋(むぎのあき) 《ネタバレ》 
地味な題材をダイナミックに描いたら右に出る者はいないキング・ヴィダーの力作。  畑を耕す事に全てを賭けた男たちの生き様をひたすら描く。 大事な楽器よりも一時のターキーチキン、三度の飯より地面を掘って掘って掘りまくる開拓。  ラストの畑に水を引く場面の盛り上がりようは何なのだろうか。 こんなに胸が踊った伝水シーンは見たことがない。まるでダム一つ作る勢いだ。  ヴィダーの「麦秋」に対抗して内田吐夢も「土」という最強に地味な映画を撮っている。 内田吐夢は日本のキング・ヴィダーです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-16 21:48:53)
15.  河内山宗俊 《ネタバレ》 
実在の茶坊主、河内山宗春を扱った時代劇。 実在の宗春の死はハッキリしない部分も多く、逆に言えばそのミステリアスな最期が後年の多様な脚色を生んだのだろう。 「丹下左膳」や「人情紙風船」に比べると余り演出の冴えを感じられない。 それでも無関係だった河内山と用心棒が徐々に関係を深めていく様子や、丁寧な掘り下げ、一触即発な抜刀の場面、数分ながらラストの殺陣など流石の演出だ。 でも雪を背にしたカットはちょっと懲りすぎな気が・・・と思ったら、雪夜を背に哀しげな表情を見せる原節子の美しさは何ともいえない。  それに、本作の最大の見所はやはり人間ドラマだろう。 油断できないキャラの河内山、ユニークな用心棒の先生、河内山を気遣う女房代わりの女性、「丹下左膳 百萬両の壺」に出ていた例のコンビも忘れがたい。この作品のキーパーソンだ。 加藤清正は違うだろうけど。  それに超初々しかった節子。 喧嘩が止まるほどカワイイ節子。かわゆいっす。こんな初々しかったのか・・・。  クライマックスとなる路地裏での斬り合いは見づらい部分もあるが、閉所における息詰まる攻防が見所。 ストーリーは「人情紙風船」ほど暗い部分も覗かせたが、ラストの希望を抱かせる走りっ振り。  姉の愛情に気づいた弟は、光の中に向って走り続けるだろう。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-15 23:25:41)
16.  祇園の姉妹(1936) 《ネタバレ》 
溝口健二にしてはちょっと押しが弱いかなと思った。 ちょっと押しが弱い気がする。 他の作品に比べると(同時期なら「浪華悲歌」とか)キャラの印象を薄く感じる。 ただ、溝口健二の最盛期だった1920年代~1930年代(淀川長治いわく)の名に恥じない作品であるのは確か。 登場人物もそんな感じに抑圧されている印象が良かった。 人物のクローズアップが滅多に無いので、ロングショットの迫力と美しさはスクリーンで楽しみたいものだ。 特に本作は「唐人お吉」の梅村蓉子、山田五十鈴の若く美しい事だけでも楽しめるし、クローズアップされた山田五十鈴の笑みが良い。 若い二人の姉妹は芸妓と一見すると性を自由に謳歌するようなイメージがあるが、実情は幼い頃から芸妓として生きてきた抑圧された面を覗かせる。 普段は着物で“縛られ”、時折の洋服姿は解放された女性像を感じさせる。 この和服/洋服が最も共存し、女性が自由になろうと背伸びしていた戦前の日本。 貧しく辛い身の上、更には女性軽視(嫁が男を尻に敷いている家庭も結構あったけど)が当たり前の時代。女性は慎ましくも自由になろうと抗う強さと美しさを持っていた。 和服と洋服が共存するという映画は、日本じゃなきゃ撮れない独特の美意識を感じさせる。 そんな抑圧された女性ほど魅力的で怖い者は無い・・・! 本作は姉妹でそれぞれの男を取り合い決裂、男を振り回した女は仕返しを受けるし、男の方も手を出してタダでは済まない。 時代に押さえつけられた女の主張、男として何でも強く生きなきゃならない男の主張、どちらも意地の張り合い。 気持ちは解るがどっちもどっち、男も女も勝手だよと、そんな感じがよく出ている映画だねえ。本当溝口はこういうの描くのが上手い。 溝口独特の飽きそうで飽きさせない絶妙な“間”、 映像の切り替えが結構あるし、印象的な長屋のロングショット、美人二人に酌を受ける先生の満更でもない表情、酒に酔った先生が今で言う“逆ナン”的に誘拐されたり、終盤の車の窓越しの夜街のロケーション、直接的な描写を見せずとも伝わる袋叩きにされた娘の悲痛。 悲惨でもあるけど、「そうなってもしゃあないわ」と何処かユーモアすら感じてしまう。  仲違いしていた姉妹が結局仲直りする様子は微笑ましくもあり、「負けてたまるか」と叫ぶ妹の姿は痛々しくもあるし力強さも感じられる。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-15 23:07:11)
17.  朗かに歩め 《ネタバレ》 
小津の暗黒街物の初めとされる作品。 ジョセフ・フォン・スタンバーグとかの「暗黒街」系列の影響が強く、「その夜の妻」ほど洗練された感じはしない。 それでも冒頭の「スリ」のやり取りや車の移動場面など晩年の小津には無い凝った演出が見られる。 この頃はまだ実験的な演出の域だろうか。 ストーリーそのものは与太者が犯罪を犯して徐々に改心に向かうというストーリー。 モダニズムの逸品として評価されているが、個人的には「その夜の妻」の方に強く惹かれる。 それでもよくまとまった小品。 「大学は出たけれど」にも出演した高田稔は中々様になっていたと思うんだけど(みんな学生のコスプレにしか見えんけど)。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-13 19:03:25)
18.  虞美人草 《ネタバレ》 
脚本に伊藤大輔!まずファーストシーンが良いね。 壁に書かれた「お嬢さんを下さい」という落書きを黙々と消すお父さん。 消しまくっている内に諦めニッコリ笑うお父さんの表情が良い。 最初サイレント映画かと思いきや、バックに流れるBGMは実はこの父親の娘が奏でる琴の音色であった。 公開は1935年。この作品を撮る直前までサイレントだったんだよな(トーキーとサイレント混じりの「藤原義江のふるさとの歌」)。その名残を感じさせるシーンだった。 話も序盤はやや退屈だが、その後のゆっくりと盛り上げていく展開が面白い。 5年も付き合い結婚したも同然だったと小夜子と平蔵。そこに縁談の話が舞い込み、藤尾という女が小野の前に現れる。声がエロい。 それと短いシーンだが、藤尾の母親を演じる梅村蓉子の母親ぶりも中々。 藤尾と偶然居合わせる小野。 小野と藤尾の表情を交互にカットバックさせる演出。呆気にとられた小野の表情がより彼の心境を表す。 小野は縁談の話を思い出し動揺する。 しかし5年も暮らしを共にした小夜子は結婚を夢見て写真館に飾られた夫婦の写真を眺めていた。オマケに小夜子の恩師である井上には世話になった恩義があった。 しかし縁談も断るに断れない。二人の女の間で揺れる小野の表情が何とも言えない。脳裏によぎる二人の女性の声。 藤尾も徹底的に揺さぶること揺さぶること。金時計を“エンゲージ(指輪)”替わりに小野にプレゼントする藤尾。絵で魅せる場面が豊富だ。 会話する夫婦と障子越しに話を聞くひとりの女、「狂恋の女師匠」を思い出す花火、打ち上がる花火を見つめる二人の異性。 玄関先から家の中を覗くようなショットなど。 「父は死んだが生きている母よりも確かだ(信用ならないのか?それとも単にボケてる?)」 井上先生、そしてもう一人の熱血漢、宗近! ハッキリせず情けない小野に喝を入れる男らしさ。終盤数分の見せ場でこれほど印象を残すとは。 出て行く列車。 間一髪列車に乗り込む場面は中々緊張感がある。 ラストがまた良いのよ。 まるで今のサスペンスドラマさながらの展開。海をバックにした演出。 “代理”を買って出た宗親の男気。 殴らず、言葉でなだめ喝を入れるその精神が良い。 とにかく海がキレイです。 例の金時計が波にさらわれていく場面、ラストの船。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-13 18:54:27)
19.  折鶴お千 《ネタバレ》 
溝口健二はこの作品の前に「瀧の白糸」という傑作を既に完成させていたが、本作はそれの焼き直し。 ただこれほど「死んだほうがマシじゃないか」と思えるラストはなかった。生き地獄とも言える。 まずファースト・シーン。 機関車がトラブルを起こして駅に立ち往生。 その駅から神社を見つめる一人の男。 一方カメラは横にスライドし、もう一人女性を映す。 その女性もじーっと同じ神社を眺めている。 実はこの二人は昔あの神社で出会った腐れ縁だった。 そこから主人公の目を通して過去が語られていく。 山田五十鈴が凄い若いし綺麗だ。 男は田舎から出て偉くなろうと頑張るが中々芽が出ず落ち込んでいた。 そこに走り込んできた一人の女。 これがこの二人の出会いだ。 女に拾われた男だが、そこの雇い主にこっぴどい扱いを受ける。 男は黙って耐え凌ぐが、やはり飢えには勝てない。 エスカレートする嫌がらせ、それを見て女は我慢に限界が来て雇い主にけしかける。 その時の山田五十鈴のカッコ良さと色っぽさ。 口に刃物を添えるところは色っぽいね。 まるで勧善懲悪ものの一場面を見るかのような胸のすくシーンだった。 ただそこは溝口。 簡単に女を幸せにする気はサラサラない、ある種性根が腐ってんじゃないかという展開にかならずする男だ。 いや、真面目だからこそあえて女性を与えるのが溝口。 小津とは違うパターンの天才。 女性を徹底的に描こうとする男の厳しさがそこにある。 ヒロインを追い詰める男どもは、ある意味溝口の分身なのかもな。 その山田五十鈴が良いねえ。 折り鶴を折って「いつか自分も自由に羽ばたきたい」と思いを込める。 ただ運命は彼女を追い詰める。 そんな時に愛した男に向って「魂をあげます」とその折り鶴をひと吹きやって思いを届けようとする儚さ。 いい女だなぁ・・・。 それがあんな事になるなんて・・・ひどい運命もあったもんじゃない。 我を失うほど狂い、幻を切り刻むお千。 まるで亡霊に刃を向け空を斬る様子は、伝説と化した傑作「狂恋の女師匠」や後の「雨月物語」に通じるものがある。 まあ、こういう幽霊描写よりも女の情念の方が遥かに怖いけどな。 そう正に「雨月」の京マチ子(亡霊な上に執念深いとか勘弁)! 溝口は本当に女に厳しい。男もほったらかしである意味一番厳しいかも。 溝口あんさんは鬼や(そんな事は原作者に言え)。 泉鏡花あああっ
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-11 05:48:18)
20.  マリヤのお雪 《ネタバレ》 
邦画がサイレントからトーキーに以降した時期に制作された作品。  一応は官軍と薩摩?の戦争を描いた作品らしいが、背後関係が説明不足な上、冒頭の出だしも脈絡が無さすぎる。  馬車に乗り込む人々、15分目の爆発の中を疾走する様子はジョン・フォードの「駅馬車」に先駆けた物を感じる(残念な事に本作は少しショボイ)!  30分目の銃撃戦も何処かしっくり来ない。  これ本当に溝口映画? 職業監督としてもいくつか作品を撮った溝口だが、ここまで溝口色の無い話があっただろうか。 取り敢えずあのメガネババアだけく●ばれ。 あれが梅村蓉子ちゃんだなんて信じねーぞ俺は(頼むから誤認であってくれ)。  オールドミスの美しい梅村蓉子は是非とも「祇園の姉妹」を御覧あれ。  しかしラスト25分は溝口テイストに溢れた意気込みがあり、山田五十鈴の名演もあってそれなりに観れるので御安心を。  銃を担う五十鈴、 「ざまあないね」→「逃がしてやる」の見事なツンデレ振り。 ただ終盤の演出はまるで怪談映画じゃねえか怖ーよ。  刀持って暗闇に仁王立ちする様はどう見ても殺人鬼にしか見えません。  間違っても「雪おのヤリマ●」とだけは読むなよ! 絶対に!!
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-03 23:29:10)
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