アラジン2014さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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プロフィール
口コミ数 764
性別 男性
自己紹介 ソフト化されたタイミングでのレビューが中心です。2008年、子供の頃から夢だった自宅シアタールームがついに実現しました。(100~110インチ程度、音響2.1ch)できるだけネタバレせずに書いていますので文章がおかしい場合もあると思いますが、暖かい目で見守ってやってください。(2014初登録)

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1.  エル・スール
世間の評判から察するに批判的なことを書くのは少々勇気がいりますが・・ とても期待していましたがイマイチでした。喪失・異性・他者との距離感など普遍的なテーマが沢山あることは理解できますが、それでも本作を見るにあたっては特別な前提条件が必要だったように感じました。  語弊を恐れずに書くとすれば、、「娘の親であること」だったり「自身が娘という立場であること」だったり、または性別関係なく「一度でも親になった経験があること」など、家庭を築く過程で得る喜びや悲しみ、また苦労などを知っていないとより深くは楽しめない作品だったように感じます。私は男でかつ結婚経験がありませんので、この映画の中で最も立場が近いのは父アグスティン(オメロ・アントヌッティ)が若いころにその父(祖父)と対立した部分くらいでしょうか。このシーンは言葉だけで終わってしまいますが、この会話の中にはスペイン内戦(市民戦争)の影響による家族内対立など、非常に深刻な問題があったことは理解できます。しかし戦後世代の日本人には市民が二分された内紛の本当の悲惨さまではちょっと理解が及びませんし、言葉だけのシーンを想像で補うには限界を感じました。 結婚生活を知らないと書きましたが、長い同棲生活やその相手との別れ、何度かの婚約失敗などは経験しましたので、そういった意味ではイレーネ・リオス(オーロール・クレマン)のパートは少しだけ理解できたかもしれません。しかしそれも南編(後半部)がごっそり抜け落ちてしまっているため、過去の恋愛に関する謎は謎のまま物語が終わってしまいます。後半パートが無かったことで情緒的な雰囲気を醸し出している一方、本作をより難解な作品にしてしまったような気もします。(長距離電話の相手もわからずじまい)  今まで映画内で主人公の性別を意識したことはあまりありませんが、本作においては圧倒的に主人公の立ち位置が狭く、”部外者お断り”的で感情移入を許さない敷居の高さを感じました。裏を返せば本作の状況にピタッとハマる人は最高の映画になり得たと思います。だだし、父アグスティンに感情移入してしまうと、どうも少し変になってしまうようです。理想論かもしれませんが、自分の家庭内に他者の存在(しかも異性)を匂わせてしまうような父親像は、、やはり親として失格だったと感じてしまいます。ここに感情移入できない時点でちょっと厳しいかなと思ってしまいました。  私など独身男性にとってはあまりにも対局にありすぎる作品だったように思います。折を見て何度か再鑑賞してみようと思っていますが、現時点では少し厳しめの点数といたします。(ただ、映画の雰囲気や風景、音楽、撮影手法等は本当に素晴らしい作品だったと思います)  2025/6 追記 私だけ理解できなかったのが悔しかったので原作本を読みました。しかし原作本は映画とは全くの別物で、ほぼ完全に終わっているダメ親父と絶望的な家庭崩壊、そしてその中で内向的に育ってしまった娘の独白がメインでした。その挙句の「南編」はほとんどがオマケみたいなもので、娘にとってはダメ押しされ半ば強制的に成長させられただけといった印象でした。ある意味、映画のように情緒的な描かれ方のほうが正解で、なおかつ「南編」が抜け落ちていたほうが余白が大きく、これはこれで正解だったのかもしれません。素敵な作品ですが、、やはりちょっと私には合わない作品です。
[DVD(字幕)] 6点(2025-06-03 23:16:03)★《更新》★
2.  アナイアレイション -全滅領域- ネタバレ 
映像=キレイ、設定=面白い、キャスト=素晴らしい、雰囲気=素敵、流れ=良い、脚本=ちょっと難しい。  エクス・マキナのアレックス・ガーランド監督の新作ということで期待しましたが、予想以上の難しさでした。原作を知っている方には意外と評判が良かったみたいですし世界的にも割と評判が良い本作ですが、、日本で映画だけを見た人には「???」が多い脚本だったと感じます。正直ちょっと不親切でした。ぶっちゃけ、脚本以外の部分はかなり良い感じなので、脚本(特に謎解きの部分)もう少し何とかならなかったのかと少々残念。(謎が残ること自体はOKですが、本当に何一つ解決しないままシマーが消滅しちゃうんですよねぇ)  旦那の別人感も最後まで生かされず(ラストのサプライズとして残したのでしょうが)、そもそも主人公が最初から最後まで「わからない」を連発していて、これでは観客には伝わらないよねっ、と。。まあしかし仮に主人公にストーリーテリングさせていたとしても結局は内容が難しすぎてついていけない感じが溢れていますので、どちらにせよこの本の映画化を選んだ時点で微妙になるのは想定内でしょうか。  しかしながら切り捨てるほど悪くもなくて、かなり魅力的な作品であるのもまた事実です。映像も綺麗だしシマ―内の事件の数々、登場人物のバックボーンも面白く、あれもこれもいちいち意味深で興味深いです。個人的には人型になる植物の件はもう少し掘り下げて欲しかったです。。また、目的意識のシッカリした人間が多数シマ―内に入った場合どうなるかも興味が湧きました。JJリーの最期がイミフでしたが、ラストの得体の知れない恐怖のドッペルゲンガーは秀逸でした。そもそも「宇宙」というものは人間の考えなど遠く及ばない未知の世界ですので、「わからない」というのはある意味正解でもある訳ですよね・・  個人的にはドゥニ・ヴィルヌーヴなんかより断然アレックス・ガーランド派なので今後も頑張っていただきたいです。  2025/5再鑑賞 どうしてもまた見たくなって再鑑賞しましたら、やはり全体的には非常によくできた作品でした。初見時は「わからない」を強調しているのが不満でしたが、ガーランド監督作品「エクス・マキナ」同様に余白部分を大きくとって、あえて答えを出さないようにしてあるのだと理解できました。頭で理解せずビジュアルで感じ、そして意味不明で異質な存在を目と耳で感じる作品でした。1点加点しました。
[インターネット(字幕)] 8点(2025-05-27 18:16:03)
3.  華岡青洲の妻
録画されていたので何の気も無しに鑑賞しましたが、、非常に良かった。まず200年も前に全身麻酔という概念があったこと自体に驚きます。この事実に華岡青洲(市川雷蔵)を取り巻く女たちの壮絶な人生が絡む訳ですから面白くないはずがありません。  妻・加恵(若尾文子)の心境は一般的に想像した通りなのですが、面白いのは母・於継(高峰秀子)の立ち位置。昔はみんなこうだったのかもしれませんが、嫁いできた他人様の家で男児の母となり、そしてその家中で最も力がある者に成った母親という人物を高峰秀子が非常に上手く演じています。表向きの和やかな風情と内面とのギャップが素晴らしいですが、これが息子が帰ってきた途端にあからさまになります。しかし終盤にはただの意地悪ばあさんではないことも判ってきてなかなか奥深いです。やはり題名の通り、全体的に女の戦いややり取りが非常に面白いです。  青洲のほうも「医者として何もできず妹を見殺しにするのは私の技能が足らないせいだ」ときっぱり言いきる性根の良さも見せるものの、母と妻が実験台に名乗りを上げると「そうか、やってくれるか!」とアッサリ甘んじる精神的な弱さ(幼さか?)もあって、、こちらもなかなか面白い人物に仕上がっています。  とにかく原作小説がよく出来ているおかげか脚本も全体的に無駄がなく面白い映画に仕上がっています。これは原作小説も読むべきかもしれませんね、いや必読かもしれません。
[地上波(邦画)] 8点(2025-05-25 21:26:25)
4.  バービー(2023)
話題作ということで今更ながら鑑賞しました。正直どこが面白いのか、どこに感動すべきなのかほとんど理解できませんでした。まあもちろん随所にちりばめられているパロディネタや面白セリフ、演者の仕草(や、衣装など)にはクスっとさせられますが、オープニングの2001年宇宙のネタが面白いだとか、ケンが天下を取った時のシーンが面白いだとか、まあその程度の面白さでした。ラスト、遊んでくれた家族の元で娘に転生するシーンもちょっと綺麗にまとまり過ぎていて微妙すぎます。  個人的にはバービーのMy Dream House!に対してケンの Mojo Dojo Casa House!(魔術の道場カーサ・ハウス)はかなりウケますが、吹替版(ムンムンのムキムキハウス)は全く面白くなっていませんでした。モージョー・ドウジョウで韻を踏んでいますしエロ魔術も掛けているようです。またカーサ(家)・ハウス(家)も同意語だったりして、なかなかに結構よく考えられています。対する日本語吹き替え版の”むんむんムキムキ・・”はちょっとレベルが数段低い感じで雑です。  余談ですが、確かにマーゴット・ロビーのバービー&ライアン・ゴズリングのケンはとてもよくマッチしていましたが、しかしちょっと年齢が行き過ぎているように感じたのは私だけでしょうか?もう少し吟味して何とかあと10歳くらい若いキャストを探すことはできなかったのでしょうか、、どうしても年齢問題がちょっと気になっちゃっていまいち集中力が削がれました。あとグロリア役のアメリカ・フェレーラはアグリーベティーの時の方が10倍素敵でした。お歳を召してイマイチ魅力が無くなってしまったような感じでちょっと残念でした。色々酷評している割になぜかちょっと甘めの採点になっていますが、個人の感想ということでお許しください。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2025-05-18 15:42:48)(良:1票)
5.  ジャッカル ネタバレ 
元ネタ「ジャッカルの日」の原作本とも1973年の映画版とも異なる本作、暗殺者がジャッカルという名前と、試し撃ちをする以外には特に類似点は無いような気すらします。作品の出来映えは1973年版と比較するとあまりにもご都合主義が多くて散漫な仕上がりだったように思います。ダメな点をいちいち箇条書きにすることはしませんが、とにかく脚本自体がダメだったような気がします。 しかしジャッカル(ブルース・ウィリス)を筆頭に出演陣は結構頑張っていて、決してつまらない作品とは言い切れません。ロマンス要素、謎解き要素、宿敵同士の対決など見どころは多く、特にブルース・ウィリスの七変化はかなりの見ものでした。出来映えの悪さは決して出演陣のせいではなく、むしろ演者は豪華すぎるくらいだしかなり頑張っていたと思います。  余談ですが、、オリジナル「ジャッカルの日」はよく出来た作品でしたが、しかし古い作品&地味&ドキュメンタリー風でちょっと退屈してしまうような作品でもありました(個人の感想)。エンタメとして考えた場合、むしろ本作のほうがより観客を楽しませようという気概すら感じられて非常に好感が持てます。ヴァレンティーナ・コスロヴァ(ダイアン・ヴェノーラ)もかなり贅沢な使われ方をしていて素晴らしい最期を見せてくれますし、映画自体のラスト、電話一本で唐突に駆け付けるイザベラ(マチルダ・メイ)も全然悪くありません。いや映画としてはコレが正しい演出なのです。  そもそも論、題材が素晴らしいだけに、原作の呪縛から離れてもう少し脚本を煮詰めたほうが良さそうな作品なのかもしれません。そういった意味では本作の路線のほうが正解なのかもしれません。。演者に免じて少し甘めの点数です。
[インターネット(吹替)] 7点(2025-05-18 15:40:23)
6.  悪の法則 ネタバレ 
評価が低いので驚きました。絶妙なバランスの大人向けクライムサスペンスアクション。妙なこじつけや予定調和もなし、CGアクションもほぼ無いのに予想外によくまとまったストーリー展開は素晴らしいの一言。まさに監督リドリー・スコット、脚本コーマック・マッカーシー、主役級キャスト5名が高次元できちんと融合している作品です。  「あなたは今岐路に立っていると思っているかもしれないが、あなたの決断はずっと前にすでに終わっているのだ」  この作品を一言で表現するならば「不条理」でしょうか。淡々と静かに、、野うさぎであるカウンセラーが捕食(破滅)させられてゆきますが、描かれていない部分をあれこれ詮索して「意味がわからない」というのはナンセンス。あえて詮索しないのが正解であり、見せられた一つのシーンから前後を想像するのがこの映画の正しい見方です。映像特典でも監督自身が人物像の背景や人間形成上何があったのかは知らないと発言していますし、一般人にはおよそ想像もつかない”悪の法則(恐ろしい世界)”があるというおとぎ話でもあります。  そもそもカウンセラーは一流なので自分の考え方や行動に絶対的な自信があり、何度も遭遇する説教じみた会話も軽くスルーする描写は反面教師そのもの。また、過去の商売相手からは恨まれ、現在進行中のメキシコの女死刑囚は見下して軽く扱う。カウンセラーの人と成りがよく表れていて結末は十分予見できます。そして案の定、気付いた時には「時すでに遅し(因果応報)」という非常にシンプルな流れがリアル過ぎて本当に素晴らしかったです。あと、随所で見られる無駄話や与太話は一見無駄なようですが、相手の価値観を知るための腹の探り合いという意味で非常に重要でした。根本的にタランティーノのそれとは異なり、ブラピとの緊張感あるやり取りなどは生々しく色んな意味でゾクゾクさせられます。  これほど贅沢な配役と救いのないマジ結末な映画も珍しいです。ある程度自分でイメージを膨らませ、様々な状況を脳内で想像できる方でしたら高評価ではないかと思います。強いてマイナス点を書くならば、ほぼ全ての演者が哲学を長々しゃべるのには少々違和感を覚えました。何名かサッパリした人物を混ぜておけばよりリアルだったと思うのでその点は少し残念でした。 あと、拡大版と劇場版を比較しましたが、追加された人体欠損表現やバイカーのしゃべりなんかはなくても良かったと思います。しかしトラックのドアを直すシーンだけは拡大版のほうがずっと判り易かったです。  一見さんお断りの雰囲気も含め、リドリー・スコットの切れまくった演出、コーマック・マッカーシーの多くを語らない脚本が最高にマッチした大人向けの素晴らしい作品です。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2025-05-17 22:44:04)(良:2票)
7.  ドリームハウス
パッケージの雰囲気から子供向け映画かな?と勝手に想像していて鑑賞が遅くなってしまいました。改めてパッケージ裏をよく確認してみると出演陣がやたらと大物揃いなのに驚きます。本作は家族ドラマの仮面をかぶったサスペンスで、予想していたよりずっと素晴らしい映画でした。(後に夫婦役の二人が実際に結婚したことを考えると、コテコテのラブストーリーともいえます)  今や当たり前の凝った脚本で、オチが二段落としになっています。ネタバレするので色々書けませんが、やはり小さい子供の親御さんでしたらかなり感情移入できると思います。(独身の方でも綺麗な奥さん(レイチェル・ワイズ)とかわいい子供たち(本当の姉妹)のおかげで十分に感情移入できますが)  幽霊モノかと思えば犯罪の匂いがするし、犯罪モノかと思えば違うかもしれないというストーリーの曖昧さが秀逸で、ご近所さんの主婦アン・パターソン(ナオミ・ワッツ)が出てきてますます話がミスリードさせられます。結果的には二段目のネタが少し陳腐でしたが、全体的には怖さの中にラブリーな雰囲気がプンプンしていてなかなか素敵な香りが漂っている良作でした。 考えようによっては誰の身にも起こりうる非常に恐ろしい事件ともいえます。男としてウィル・エイテンテン(ダニエル・クレイグ)のように行動できるのか?と妙に考え込んでしまいました。とにかく絶対にネタバレせずに見ていただきたい映画です。個人的には久々のヒットでした!
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2025-05-17 22:38:21)(良:2票)
8.  モンキー・キング 西遊記<TVM> ネタバレ 
1999年頃、アメリカの制作会社が作ったTVドラマ映画がNHKでまとめて放送されたことがあります。本作「モンキーキング」はそのシリーズの中の一つだったと思います。日本では日活が代理店としてDVDで広く展開されていて、レンタルビデオ店などで見かけた方も多いでしょうか。このシリーズは確か10作品ほどあったと思いますが、特に出色の出来映えだった「アラビアンナイト」や「ビーンストーク」と比較すると、本作「モンキーキング」はかなり稚拙で退屈であったといわざるを得ません。  第一にストーリーが面白くない。定番の西遊記ですのでもうちょっとウマいやり方もあったと思いますが、話があまりにも取っ散らかっていてロードムービーの体を成していません。あと、菩薩様(バイ・リン)がヒューチャーされ過ぎていて、西遊記の面々がほとんど彼女の恋愛物語の背景になってしまっているように感じました。脱線しますが、光の教授こと(トーマス・ギブソン)がダーマ&グレッグのグレッグにしか見えない、またかなりの大根役者であったことも大きなマイナス要素でした。。そもそも論、最新のSFXを強調しまくっている作品ですが、SFX部分がかなりショボいのが痛すぎます。  しかしチョイチョイ素晴らしいセリフもあって、主人公が修練中に自分に打ち勝つよう「己自身の師匠となれ」だとか「世の中で書物が最も強大な力がある」だとか・・ あちこちに中国っぽい素敵な言葉も沢山ありました。ラストがキレイな終わり方だったのだけが救いでしょうか。まあ可もなく不可もなくといった凡唐な作品ですが、、それでも見て損したというほど悪くはなかったような気はします。愛嬌があった猪八戒に免じて少し甘めの点数です。(本当ならせいぜい4点がいいところ)
[DVD(吹替)] 5点(2025-05-16 14:11:32)
9.  レジェンド・オブ・エジプト
非常に良かった。これほどの大作をたったの140分程度で過不足なく綺麗に終わらせたのは本当に素晴らしいです。先日見た同シリーズ「モンキー・キング」とは雲泥の差でした。  本作「レジェンド・オブ・エジプト」は原題では「Cleopatra」となっており、確かにクレオパトラ=エジプトの伝説で間違いではないのですが、やはり鑑賞した印象ではクレオパトラの物語でしたので原題のほうがシックリきそうです。特に本作で素晴らしいのが新人レオノア・ヴァレラ=クレオパトラです。メイクが上手いというのもありますが、目つきが一般的にイメージされるクレオパトラ像そのものでした。もちろん脇を固める男性陣も名優ぞろいでシーザーにティモシー・ダルトン、アントニウスにビリー・ゼーンがメインを固め、その他もかなり落ち着いた演技ができる性格俳優が起用されていて抜け目がありません。おまけにこの女優さんは後にビリー・ゼーンと結婚しています。 クレオパトラに関しては娼婦みたいだという辛辣なご意見も見られますが、本能的に若くて美しいというだけでそれは立派な武器になりうる訳ですので、ある程度は仕方がないかなと思います。特にシーザーとの顛末はそういった側面があったかもしれませんが、シェイクスピアではアントニウスとクレオパトラは真実の愛を貫いた物語になっています。そういった意味ではシーザー編をもう少し短くしてアントニウス編に時間を割いても良かったかもしれません。  やはり本作最大の問題点かつ泣き所が、”あまりにも有名な物語であるが故に結末が判っている”ということです。演技・構成・演出・美術・セットに至るまでほぼ全ての部分が完璧な作品でしたが、いかんせん観客のほとんどの人が結末を知っています。「タイタニック号の悲劇」「ロミオとジュリエット」と同じくらい有名な話なので、史実に近い状態でエンディングを迎えてしまったことが最大の泣き所でした。そういった意味ではキャメロン版のタイタニックは心底上手かったといわざるを得ません。  そうはいっても劇場公開されないTV映画でこの完成度は素晴らしすぎます。少々辛口でしたが、まあ文句なしの作品だと思います!
[DVD(吹替)] 8点(2025-05-16 14:10:10)
10.  新・座頭市物語 ネタバレ 
20年以上前に10作品以上見た記憶だけは残っていて、私のイメージでは「関所破り」が最高だと思っていましたが、最近見返してみると一作目と初カラー作品である本作3作目がやたらと素敵でした。続けて見た4作目(座頭市兇状旅)もなかなか良かったのですが、本作「新・座頭市物語」のほうが頭一つ抜き出ていたと思いました。(2作目は超絶に駄作だったと思いますが、それでも座頭市を押さえておきたいなら1~4作目だけ見ておけば完璧だと思います。5作目以降は惰性で進んでいる感じがあって、まあオマケみたいなものでしょうか)  深い感銘を受けたのはきっと私自身が年齢を重ねて感受性が変わったためだと思われますが、しかし大人になって冷静に見返してみると、本作や次作(座頭市兇状旅)ではやたらと市の心情を表現したシーンが多いことに気づきます。勝新が監督した89年版のメイキングでも女の子にしきりに感情指導していましたので、おそらく勝自身が”哀しき孤高の盲目ヤクザ”の内面を演じたかったのでしょうか。とにかくこの心情表現が素晴らしい。  ベタな展開ながら師弟関係(河津清三郎)と天狗党の一件も非常に面白いし、師の妹(坪内ミキ子)に惚れられる展開もシンプルで良いです。なんだかんだと市はよくモテます。因果応報で安彦の島吉(須賀不二男)に執拗に追われる展開も綺麗な結末を見せるし、その後の市の心情を揺さぶる流れもよく出来た展開でした。兄の本当の姿を目撃して見せる弥生の表情も素晴らしかったのですが、極悪人である兄が死に、その兄を斬った市も去って行く流れは少し可哀そうではありましたね。  さりげないシーンですが、幼馴染みに「イチタさん」と呼び止められます。おそらく座頭市の本名が判明する唯一の回ではないでしょうか。
[地上波(邦画)] 9点(2025-05-12 23:47:26)
11.  座頭市物語 ネタバレ 
座頭市の記念すべき第一作目。久しぶりに再鑑賞しましたがやはり素晴らしかった。とにかく説明しすぎず・押し付けすぎず・見せすぎずの三拍子そろった日本古来の奥ゆかしさ。二作目以降は妙に見せすぎるところがあって、座頭市という切り札が少々軽くなってしまっていますが、本作はなかなか見せてくれません(笑)  皆さん同様、おたね(万里昌代)の艶っぽさ、平手造酒(天知茂)の人間臭さ、座頭市(勝新太郎)の苦悩がよく描かれた作品です。また、目クラ(今では禁止用語)の座頭市の人間離れした凄い感覚が判る唯一の回といってもいいかもしれません。とにかく見せ方がいちいちうまいです。更には美しいおたねさんが積極的で驚きます。あの時代でもあれくらい積極的な女性が居たのでしょうか?私自身の偏見もありますが、この点は妙に気になってしまいました。  座頭市シリーズではやはり文句なしの最高傑作ですので、これから見る方にはぜひ本作から4作目までは頑張って順を追って連続鑑賞してみてください。(二作目は微妙ですが1~4の流れ上はやはり本家座頭市としては絶対に外せない流れです) 個人的には3、1、4、2の順番で大好きです。2はかなりの駄作だと思いますが、どうしても1とのつながりがあるので外すわけにいきませんもの。。
[地上波(邦画)] 8点(2025-05-12 23:41:45)
12.  アパートの鍵貸します ネタバレ 
1989年の「晩秋」を見てジャック・レモンのファンになりましたが、若い時の彼はまた違う良さがあってイイですね。個人的には「お熱いのがお好き」の彼の人の好さが魅力的でしたが、本作の彼はもう少し生々しくリアルな男性像みたいなものが上手く表現されていたと感じます。  「アパートの鍵貸します」というタイトルからは少々エロい雰囲気が漂っています。実際、アパートの部屋やその部屋の鍵はエロい用途でしか使われていない訳ですが、内容からはエロ要素はあまり感じ取れません。そういった意味では上品な仕上がりになっていて、この時代の知性を感じます。しかしエロを包み隠して爽やか&良さげな映画に仕上げてあっても、その実中身はかなりのエロ&駆け引きがメインのダークな作品だったりもします。  上司たちの裏の面倒を見ることで恩を売りたい主人公バクスター(ジャック・レモン)が、無知なお坊ちゃん風な外見の割にかなりしたたかだなといった印象。またヒロインのフラン(シャーリー・マクレーン)も同様、清楚な雰囲気を醸し出している割にやっていることはドロドロしていて、まあ、しっかりヤッてる訳です(笑)いっちゃえばまあ「大人の映画」ですが、その大人の事情を上手く包み隠してあって、この辺は本当にウマい脚本&演出だなあと感じ入りました。不覚にもフランを守って義兄に殴られるシーンでこみ上げてしまいましたよw ラスト、フランの心変わりも・・ やっぱり明らかに男女のドロドロや駆け引きを知っている女の振る舞いで、なんだかんだいっても制作サイドも確信犯的に大人の事情を組み込んであるんだよなあ、といったダークな作品とみることもできます。そういった意味でもかなり深い仕上がりです。とても面白い映画でした。
[インターネット(字幕)] 8点(2025-05-12 18:24:15)
13.  ミツバチのささやき ネタバレ 
録画されていたのでスクリーンにて再見、やはりこの映画はよく出来ています。博識な人、そうでない人、またストレートな見方をする人も、、いかようにも解釈可能な映画に仕上がっているのはまさに奇跡の映画といって差し支えないと思います。この作風はフランコ独裁下での検閲回避の妙案だったと思うのですが、結果的にこの回りくどい作風のおかげで50年が過ぎた今見ても色褪せていません。ミニシアター系の先駆けとしてもこの映画は高く評価されていますが、実際、音と字幕を消して映像だけ流してもイケますし、幼い姉妹二人を見ているだけでも99分持ちます。 この映画ではどのシーンも肌寒く寂しいですが、これはやはり市民戦争で国が二分した後に発足したフランコ独裁体制の歪さを表しているのでしょうか。時代設定は1940年と丁度第二次世界大戦真っ只中のヨーロッパ。フランコ政権といえば悪名高きドイツのファシズムに近いものがあったとされており、その恐怖感たるや凄まじいものだったと推察します。  この映画が上手いのはアナ(アナ・トレント)と、姉イサベル(イサベル・テリェリア)らの純粋な表情を正しく記録している点です。例えばアナが映画「フランケンシュタイン」を真剣に見ている表情だったり、キノコの話などを真剣に聞いている表情など心底素晴らしいです。また、アナの精神的な成長と死への葛藤に、映画「フランケンシュタイン」を絡ませた点も素晴らしく、もの心がつくギリギリの頃の幼少期のピュアな感情が上手く表現されています。精霊だと信じたアナが姉の嘘を真に受けて小屋に通い、そして本当に出会うのです。この映画が唯一無二な点がここにあります。畳みかけるようなその後の展開がドラマチックで、毒キノコとフランケンシュタインのエピソードが上手く重なり合い綺麗に伏線回収されます。 子供らのシーンは本当に素晴らしく、ここに書ききれないほど。列車のシーン、猫のシーン、火のシーン、アナが井戸の周りで行う儀式めいたシーン、石鹸のシーン、ミルクを飲むシーン、もちろん小屋でアナが隙間から精霊をのぞいているシーンの愛らしさったら!  子供への演出もさることながら、大人のほうもフランコ独裁を声高に否定せずとも静かにかつ情緒的な演出が上手く使われています。序盤、母テレサ(テレサ・ヒンペラ)が手紙を書いて自転車で駅へ向かうシーンはとても印象深いです。手紙の内容は明らかに負けた側の視点で、逃げ延びた友人か家族か同志に宛てた手紙であることが判ります。終盤返事が届いた手紙を読んで不自然に封筒へ戻したうえで燃やすシーンも、【K&K】さんご指摘の通り確かに切手が見えるように燃やしていますので何かの意図があるようです。また、父フェルナンド(フェルナンド・フェルナン・ゴメス)がミツバチの研究という体で詩的な録音を行っていますが、こちらもメーテルリンクの書物から慎重に言葉が選ばれていて意味深です。書いた文字を横線で無造作に消すシーンも、、まあ・・そういうことなのでしょう。 序盤は寝たふりをしていた妻が、終盤旦那を労わるシーンで前向きな印象を与えますし、同時にラストのアナの強いまなざしもまた未来への希望を抱かせつつ、この映画は幕を閉じます。本当に文句のつけようがない素晴らしい作品です。
[地上波(字幕)] 10点(2025-05-12 18:10:39)(良:1票)
14.  グランツーリスモ ネタバレ 
本作が実話ベースだというのだから驚きますが、本編のレースシーンもほとんどがCGを使わずに実写撮影されているという事実には本当に驚きました。レースは終始ゲーム画面のような構図で進みますが、まさかこれがほとんど実写であったとは・・ 私はほとんどがCGだと思い込んでいただけに余計に驚きました。  で、本編ストーリーの方は極めて無難かつトントン拍子に進みます。この辺りは2時間枠の映画の限界を感じますが、TVゲームを一切プレイしない層にはちょっと現実離れしすぎていて、よく理解できないままアカデミーのシーンに突入してしまいます。ぶっちゃけ、5歳の時からモータースポーツに憧れていたのであれば、普通の感覚ならゲームにのめり込むのは明らかに道を誤った行為で、違法な公道レースなりゴーカートに明け暮れるなりしているほうがよほど正常な思考回路といえます。この辺の描かれ方が浅いせいで、ゲームをプレイしない層にはチョットついていけないストーリーラインになってしまっています。(私は親友は映画とゲームだけですが) ただし、アカデミー以降はきちんと正常なレースドラマになっていて、無理がない流れは万人に受け入れられるストーリーとなっています。事故のシーンもリアルだし、その後の精神的な葛藤も綺麗に描かれています。FIAライセンスを取得するまではとても上手く描かれていますが、その後がちょっと突飛。シムレーサー(ゲームオタク)だけでルマン3位はあまりにも映画的過ぎます。個人的にはほろ苦いラストであっても十分ドラマチックなので、無理のないシナリオに仕上げたほうが良かったような気がしました。  個人的にはツンデレの鬼教官ジャック・ソルター(デヴィッド・ハーバー)の出来がすこぶる良くて、本作の陰の主役であったように感じます。彼の過去も素晴らしいし、現在の境遇も最高でした。それらを経て主人公と共に勝利を手にするなんて胸アツすぎます。映画自体は凡唐な作品でしたが、真実の物語であったこと、レースが実写撮影であったこと、(脚色)鬼教官が大活躍であったこと、これらのおかげでかなり面白い映画に昇華した珍しい作品です!
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2025-05-03 22:20:06)
15.  ソウX ネタバレ 
無難に仕上がっていますがちょっと都合良過ぎ感強め。そもそも論、これほど複雑かつ巧妙なカラクリ&殺人方法を生み出して、なおかつそれらを水面下で実行することが可能なほどの天才的頭脳の持ち主ジグソウ(ジョン・クレイマー=トビン・ベル)でしたら、この程度の低レベルな医療詐欺を見抜くくらい楽勝だったはず。まずそこからして矛盾してしまってイマイチ楽しめませんでした。  ネタバレになりますが、ラストの「ジグソウさんご一行が騙されたフリ作戦」と、それに続く毒ガス作戦はかなり失笑もんです。中盤でアマンダ(ショウニー・スミス)が気にしていた通り、予定通り上手く進む気が全くしません。。子供が時間通りサッカーを始めなかったり、、悪のカップルが予定通りジグソウお手製の罠を使ってくれるとは到底思えず、むしろ全くうまく進まないほうに全財産を懸けたくなるほど酷いプランでした。ぶっちゃけ、かなり無理があります。 あと、本作で特に気になったのが、いくら生死がかかってるとはいえ数秒の思考だけで自分の足を自分自身で切断したり、モニターを見ながら自分で頭蓋骨を切り開く決断ができるとは到底思えず、やはり3分で勝てるゲームではなく最初からゲームオーバーを狙ったカラクリはズルいと思いました。そういった意味ではガブリエラ(レナータ・バカ)のゲーム(手足の骨を自分で砕いて脱出)は明らかに楽勝すぎておかしいくらいでした。(一応、ストーリー内で彼女のバツが軽い理由は説明されていましたが)  酷評しましたが見て損したとは全く思わず、いつも通りの本シリーズの雰囲気はきちんと出ています。シリーズファンには安心してお勧めできる作品、素人さんはぜひパート1から見始めてください。(個人的には目玉が飛び出る装置は必見でした)  余談ですが、何気に驚くのがセシリア(シヌーヴ・マコディ・ルンド)が映画制作時に約48歳というのにこの若見え感。ガチ美魔女で驚きます。また、同じくらい驚いたのがアマンダとホフマンが「歳くったな~」ってところでしょうか。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2025-05-03 22:10:06)
16.  瞳をとじて(2023)
今自分の中では”エリセ週間”ということで本作「瞳をとじて」をレンタルしてみました。あとエリセ作品で未見なのは「マルメロの陽光」だけになりましたが、こちらはレンタルされておらず購入するかどうか悩みます。。 率直に申し上げて、本作に関しては時間の長さが気になってしまいました。あと、自分より年上になったアナ(アナ・トレント)は見たくなかったかもしれません。エリセ監督の今までの作風と比べると本作は圧倒的にセリフが多く、ほとんど字幕を読んでいただけという印象が残る残念な作品でした。  本作は明らかにエリセ監督自身の半生を振り返った物語で、画面のあちらこちらからその片鱗が見られます。”二作目で未完の作品”といえばエル・スールですし、主人公ミゲル・ガライ監督(マノロ・ソロ)が”22年間映画を撮っていない”のも明らかにエリセ本人のことでしょう。 考察サイトなどもたくさん読みましたが、確かに劇中で映写された映画の画面とドキュメンタリータッチの本編とで撮影方法が異なっているのは流石エリセ監督といったところです。ただ劇中映画も本編もどちらも大して面白くないのはかなり致命的だと感じましたし、そもそも観客に何を伝えたかったのかがよく判らない作品に仕上がっているように感じました。無償の愛が大切ってことでしょうか?親子の愛が大切ってことでしょうか?  Wikiによると海外批評家の点数はおおむね高く、総合的に85点程度の作品だそうです。これに関してはチョット信じられませんね。私の価値観や理解が浅いと罵られようが・・ 面白くないものは面白くないです。何度か再鑑賞を繰り返せば良さも見つかるのかもしれませんが、「ミツバチのささやき」のように一度見ただけで観客を虜にさせられない時点で、その作品は傑作ではないと思います。本作はセリフ量も時間も長いわりに大したことが伝わっていないように感じました、正直いってイマイチな作品です。
[DVD(字幕)] 5点(2025-05-03 01:14:13)
17.  夕陽のガンマン ネタバレ 
ストーリー・表現・音楽と三拍子揃っていてとにかくよく出来た映画です。モンコ(イーストウッド)も用心棒の時のような軽さは無く、モーティマー(リー・ヴァン・クリーフ)とも敵対しすぎず慣れ合わず、騙されるかもしれないという絶妙かつギリギリの関係性を上手く表現していました。ストーリーはシンプルで判りやすいですが奥深さも失っていません。  特筆すべきはラストに明かされるモーティマー大佐の秘密。教養がありそうで地位もあった男がなぜ賞金稼ぎに落ちたのか、少ないセリフと映像で理解できるシーンは素晴らしいです。若くてカッコいいイーストウッドが主人公かと思いきや、明らかに大佐のほうが一枚上手、魅力も立場も生き方も数段上でした。 惜しいのは終盤のインディオ(ジャン・マリア・ヴォロンテ)の小粒感。中盤までは切れまくっていた頭脳と貫禄が終盤の安っぽい小芝居で台無しなってしまいました。この辺はワイルド・ザ・ハンチバック(クラウス・キンスキー)を使って面白くできたと思うので非常に惜しい点でした。クラウス・キンスキーに関してはイーストウッドに射殺されるラストも捨てがたく、決して今回の演出は間違っていないのですが、序盤の大佐との一悶着の決着がついていないのが惜しいところでした。  総じてドル箱三部作の中では圧倒的な完成度と魅力を感じた本作。数十年ぶりに再鑑賞しましたが全く色褪せていませんでした。私の中ではマカロニといえば本作で、日本語吹替の競演も胸アツでした。(ここのレビュアーでしたら説明不要だと思いますが、この風景がメキシコではなくスペインだというのだから本当に素晴らしいです!)
[地上波(吹替)] 8点(2025-05-02 21:07:58)
18.  見知らぬ乗客
名作を知らずに死ぬのは勿体無いということで、ヒッチコックを見ることにしました。手始めに有名だけど見ていなかった作品から始めます。  本作「見知らぬ乗客」は非常に面白い作品で、なおかつ普遍的な怖さを備えた名作です。極めてシンプルな図式ながらその仕掛けは非常に巧妙で、現代でも十分に通用する映画だと思います。誰しも旅の途中で知らない人に話しかけられた経験があるはず。たまたま仲良くなったその見知らぬ相手と一時の話し相手になるのは普通の話です。もしかしたら旅慣れた方でしたらそのまま食事くらいは一緒に取る仲になるかもしれません。しかし本作では電車内で親しくなった相手から交換殺人を持ちかけられ、冗談だと思って軽くあしらっていたら相手は犯行を実行してしまうというとても恐ろしい話です。「さあ、次は君の番だよ!恩恵を受けたんだから君もきちんと返せよ」と殺人を迫られる恐怖はすさまじいもので、脅しの理由付けも”共犯関係””動機””嘘の自供”と、無理がありません。  本作ではヒッチコック・タッチが存分に発揮されていて、メガネに犯行が映っていたり、階段の上にたたずむ男だったり、テニスの観客で一人だけ首が動かない、テニスの試合とライターを拾う流れをシンクロさせたりと、ハラハラドキドキの連続です。ラストの騒動には賛否あるようですが、私はこれでいいと思います。いや、これじゃないといけないと思います。  本作の監督カメオ出演も比較的優しくて誰でもすぐに見つかると思います。文句なしの名作認定です!
[インターネット(字幕)] 9点(2025-05-02 21:03:10)
19.  モービウス
マーベル作品が大嫌いな私ですが、うっかり間違って鑑賞してしまいました。やっぱり予想通り大して面白く無かったです。物語も理論も見栄えも全てが失笑もんでしたが、そもそも論、子供向けの作品を見る年齢じゃないのに見てしまった自分自身の責任ですよねやはり。  ジャレッド・レトは大好きな俳優ですので、もう少し大人向けのシックでクールな作品を選んでいただきたいです。あと、個人的にはマーベル作品はCGの使い方がいろいろ間違っているような気がします。これ以上自分勝手な御託を並べても仕方ないのでここらへんで止めておきます。「色々金かかってそうだな」という部分に5点全振りな映画でした。ファンの皆さん酷評してごめんなさい。私には合わない作品です。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2025-05-02 18:09:53)
20.  イコライザー THE FINAL ネタバレ 
結構良かったです。三作目もシリーズ原則に乗っ取って勧善懲悪に徹したシンプルなスタイルは花マルでした。映画は判り易いというのが一つの正しいスタイルでもありますし、シンプルな本作スタイルに主人公のインテリジェンスな雰囲気や世界一美しい風景もマッチしていて”見たら忘れる系”の他作品とは一線を画しています。 しかし丁寧に描かれている主人公側のドラマに対して悪人側のドラマはかなり浅く、全体的にお手軽感が強めに感じてしまったのは少々マイナスでした。シンプルといえば聞こえは良いのですが、オープニングのシチリア系の大親分はサクッと9秒で終わりますし、メインストーリーの悪人側の兄弟(これは契りを交わした義兄弟?)の関係性の説明もお手軽。ラストも「10分くらいで終わったんちゃうか?」というくらいお手軽に兄貴が粛清されてしまいます。まあこれに関しては映画という2時間枠の企画の限界を感じますが、もうちょっと意味づけしてくれないとあまりにもお手軽すぎました。  今回は謎の女エマ・コリンズ(ダコタ・ファニング)が割とフューチャーされていますが、ラストの種明かしをされても全く判らず。で、Webで検索して事情を理解してもなお全くもって思い出せません。Webでは一作目に主人公を助けてくれた元同僚の娘とのことですが、それを確認するために一作目を再鑑賞する気も起きず・・ あと、少しだけ粗を指摘しておくと、中盤ロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)が手を上げて出てきた時に、悪人側はすぐ射殺するか両足でも撃っておくべきでした。序盤の悪人側の鬼の所業を考えると、一斉にライブ中継されていたとしてもそのまま尻尾を巻いて逃げ帰るのはあまりにも予定調和的すぎました。  色々と文句も書きましたが、シンプルかつスマートで良い映画でした。シリーズ初見の方でも見て損のない作品です。
[インターネット(吹替)] 7点(2025-05-02 17:44:27)
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2222.88%
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512616.49%
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