1. バービー(2023)
話題作ということで今更ながら鑑賞しました。正直どこが面白いのか、どこで感動すべきなのかほとんど理解できませんでした。まあもちろん随所にちりばめられているパロディネタや面白セリフ、演者の仕草(や、衣装など)にはクスっとさせられますが、オープニングの2001年ネタが面白いとか、ケンが天下を取った時のシーンが面白いとか、まあその程度でした。ラスト、遊んでくれた家族の元で娘に転生するシーンもちょっと綺麗にまとまり過ぎていて微妙。 個人的にはバービーのMy Dream House!に対してケンの Mojo Dojo Casa House!(魔術の道場カーサ・ハウス)はかなりウケますが、吹替版(ムンムンのムキムキハウス)は全く面白くなっていませんでした。モージョー・ドウジョウで韻を踏んでいますしエロ魔術も掛けているようです。またカーサ(家)・ハウス(家)も同意語だったりして、なかなか結構よく考えられています。対する日本語吹き替え版の”むんむんムキムキ・・”はちょっとレベルが数段低い感じです。 余談ですが、確かにマーゴット・ロビーのバービー&ライアン・ゴズリングのケンはとてもよくマッチしていましたが、しかしちょっと年齢が行き過ぎているように感じたのは私だけでしょうか?もう少し吟味して何とかあと10歳くらい若いキャストを探すことはできなかったのでしょうか、、どうしても年齢問題がちょっと気になっちゃいます。あとグロリア役のアメリカ・フェレーラはアグリーベティーの時の方が10倍素敵でした。お歳を召してイマイチ魅力が無くなってしまったような感じでちょっと残念です。酷評している割になぜかちょっと甘めの採点になっていますがお許しください。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2025-05-02 18:14:49)《新規》 |
2. モービウス
マーベル作品が大嫌いな私ですが、うっかり間違って鑑賞してしまいました。やっぱり予想通り大して面白く無かったです。物語も理論も見栄えも全てが失笑もんでしたが、そもそも論、子供向けの作品を見る年齢じゃないのに見てしまった自分自身の責任ですよねやはり。 ジャレッド・レトは大好きな俳優ですので、もう少し大人向けのシックでクールな作品を選んでいただきたいです。あと、個人的にはマーベル作品はCGの使い方がいろいろ間違っているような気がします。これ以上自分勝手な御託を並べても仕方ないのでここらへんで止めておきます。「色々金かかってそうだな」という部分に5点全振りな映画でした。ファンの皆さん酷評してごめんなさい。私には合わない作品です。 [ブルーレイ(吹替)] 5点(2025-05-02 18:07:34)《新規》 |
3. ソウX
ネタバレ 無難に仕上がっていますがちょっと都合良過ぎ感強め。そもそも論、これほど複雑かつ巧妙なカラクリ&殺人方法を生み出して、なおかつそれらを水面下で実行することが可能なほどの天才的頭脳の持ち主ジグソウ(ジョン・クレイマー=トビン・ベル)でしたら、この程度の低レベルな医療詐欺を見抜くくらい楽勝だったはず。まずそこからして矛盾してしまってイマイチ楽しめませんでした。 ネタバレになりますが、ラストの「ジグソウさんご一行が騙されたフリ作戦」と、それに続く毒ガス作戦はかなり失笑もんです。中盤でアマンダ(ショウニー・スミス)が気にしていた通り、予定通り上手く進む気が全くしません。。子供が時間通りサッカーを始めなかったり、、悪のカップルが予定通りジグソウお手製の罠を使ってくれるとは到底思えず、むしろ全くうまく進まないほうに全財産を懸けたくなるほど酷いプランでした。ぶっちゃけ、かなり無理があります。 あと、本作で特に気になったのが、いくら生死がかかってるとはいえ数秒の思考だけで自分の足を自分自身で切断したり、モニターを見ながら自分で頭蓋骨を切り開く決断ができるとは到底思えず、やはり3分で勝てるゲームではなく最初からゲームオーバーを狙ったカラクリはズルいと思いました。そういった意味ではガブリエラ(レナータ・バカ)のゲーム(手足の骨を自分で砕いて脱出)は明らかに楽勝すぎておかしいくらいでした。(一応、ストーリー内で彼女のバツが軽い理由は説明されていましたが) 酷評しましたが見て損したとは全く思わず、いつも通りの本シリーズの雰囲気はきちんと出ています。シリーズファンには安心してお勧めできる作品、素人さんはぜひパート1から見始めてください。(個人的には目玉が飛び出る装置は必見でした) 余談ですが、何気に驚くのがセシリア(シヌーヴ・マコディ・ルンド)が映画制作時に約48歳というのにこの若見え感。ガチ美魔女で驚きます。また、同じくらい驚いたのがアマンダとホフマンが「歳くったな~」ってところでしょうか。 [ブルーレイ(吹替)] 7点(2025-05-02 17:57:19)《更新》 |
4. イコライザー THE FINAL
ネタバレ 結構良かったです。三作目もシリーズ原則に乗っ取って勧善懲悪に徹したシンプルなスタイルは花マルでした。映画は判り易いというのが一つの正しいスタイルでもありますし、シンプルな本作スタイルに主人公のインテリジェンスな雰囲気や世界一美しい風景もマッチしていて”見たら忘れる系”の他作品とは一線を画しています。 しかし丁寧に描かれている主人公側のドラマに対して悪人側のドラマはかなり浅く、全体的にお手軽感が強めに感じてしまったのは少々マイナスでした。シンプルといえば聞こえは良いのですが、オープニングのシチリア系の大親分はサクッと9秒で終わりますし、メインストーリーの悪人側の兄弟(これは契りを交わした義兄弟?)の関係性の説明もお手軽。ラストも「10分くらいで終わったんちゃうか?」というくらいお手軽に兄貴が粛清されてしまいます。まあこれに関しては映画という2時間枠の企画の限界を感じますが、もうちょっと意味づけしてくれないとあまりにもお手軽すぎました。 今回は謎の女エマ・コリンズ(ダコタ・ファニング)が割とフューチャーされていますが、ラストの種明かしをされても全く判らず。で、Webで検索して事情を理解してもなお全くもって思い出せません。Webでは一作目に主人公を助けてくれた元同僚の娘とのことですが、それを確認するために一作目を再鑑賞する気も起きず・・ あと、少しだけ粗を指摘しておくと、中盤ロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)が手を上げて出てきた時に、悪人側はすぐ射殺するか両足でも撃っておくべきでした。序盤の悪人側の鬼の所業を考えると、一斉にライブ中継されていたとしてもそのまま尻尾を巻いて逃げ帰るのはあまりにも予定調和的すぎました。 色々と文句も書きましたが、シンプルかつスマートで良い映画でした。シリーズ初見の方でも見て損のない作品です。 [インターネット(吹替)] 7点(2025-05-02 17:31:59)《新規》 |
5. フェラーリ
個人的に期待していた作品でしたがイマイチでした。いえ決して悪くはないのですが、近年見た「ハウス・オブ・グッチ」などと同様、よく出来た凡作といった感想が一番しっくりきそうな映画でした。 評判が良いラウラ(ペネロペ・クルス)がちょっとウザ目立ちし過ぎているように感じました。エンツォ・フェラーリ(アダム・ドライバー)のシックな立ち居振る舞いと並べてしまうと一人浮いていたように感じます。ここは無名俳優のほうが本作のドラマ部分にもっと集中できたような気がします。ただ、本作のメインプロットとしてはエンツォ自身のキャリアで最も試練が多かった1957年を描きたいという流れで、そうなると正妻ラウラとの関係も密接に描かざるを得ず、ペネロペ・クルスを高く評価している批評家の意見も判らなくもないところでしょうか。 本作の車に関しては一貫して硬派で泥臭く描かれていて見ごたえは十分でした。事故の惨劇もかなりリアルに描かれていますが、これが現実でしょうからシッカリ描いているは正解だと思いました。車といえば個人的には1957年でしたら250カリフォルニア(スパイダー)が見たかったところですが、時系列的にはこの映画の後に発売されたモデルでしょうし、レースとは基本的に関係ないモデルですよね(笑) 映画の題材が史実を元にしている以上、全ての物事がミッレミリアの事故に向かって突き進んで行くドラマは少々重たく、時限爆弾的かつ予定調和的でもありました。ここをどう評価するかで意見も分かれそうですが、少なくともマイケル・マンが監督する作品ではなかったのかもしれません。決して悪くはないのですが、、よく出来た凡作の域を出ない仕上がりになってしまったような気がします。期待していただけに少々残念でした。 [ブルーレイ(吹替)] 6点(2025-04-29 18:01:58)《更新》 |
6. グランツーリスモ
ネタバレ 本作が実話ベースだというのだから驚きますが、本編のレースシーンもほとんどがCGを使わずに実写撮影されているという事実には本当に驚きました。レースは終始ゲーム画面のような構図で進みますが、まさかこれがほとんど実写であったとは・・ 私はほとんどがCGだと思い込んでいただけに余計に驚きました。 で、本編ストーリーの方は極めて無難かつトントン拍子に進みます。この辺りは2時間枠の映画の限界を感じますが、TVゲームを一切プレイしない層にはちょっと現実離れしすぎていて、よく理解できないままアカデミーのシーンに突入してしまいます。ぶっちゃけ、5歳の時からモータースポーツに憧れていたのであれば、普通の感覚ならゲームにのめり込むのは明らかに道を誤った行為で、違法な公道レースなりゴーカートに明け暮れるなりしているほうがよほど正常な思考回路といえます。この辺の描かれ方が浅いせいで、ゲームをプレイしない層にはチョットついていけないストーリーラインになってしまっています。(私は親友は映画とゲームだけですが) ただし、アカデミー以降はきちんと正常なレースドラマになっていて、無理がない流れは万人に受け入れられるストーリーとなっています。事故のシーンもリアルだし、その後の精神的な葛藤も綺麗に描かれています。FIAライセンスを取得するまではとても上手く描かれていますが、その後がちょっと突飛。シムレーサー(ゲームオタク)だけでルマン3位はあまりにも映画的過ぎます。個人的にはほろ苦いラストであっても十分ドラマチックなので、無理のないシナリオに仕上げたほうが良かったような気がしました。 個人的にはツンデレの鬼教官ジャック・ソルター(デヴィッド・ハーバー)の出来がすこぶる良くて、本作の陰の主役であったように感じます。彼の過去も素晴らしいし、現在の境遇も最高でした。それらを経て主人公と共に勝利を手にするなんて胸アツすぎます。映画自体は凡唐な作品でしたが、真実の物語であったこと、レースが実写撮影であったこと、(脚色)鬼教官が大活躍であったこと、これらのおかげでかなり面白い映画に昇華した珍しい作品です! [ブルーレイ(吹替)] 7点(2025-04-29 17:58:27)《更新》 |
7. DUNE デューン/砂の惑星 PART2
パート1に続き、本作もまあとにかく面白くなかった。私自身、心底ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が嫌いなことを確信しました。。しかし監督が嫌なだけではなく、本作のバックボーン自体も難し過ぎるところがあり、にわかファンやただのSF好き程度では全く話についていけません。まあ100歩譲って「砂の惑星」は良しとしても、旗の振り方や服装、宗教色、フレメンの価値観などなど、、なんとなく某○○国みたいで嫌でした。結局この映画の骨組みはあの地域の世界観なんだろうなというところが垣間見えてしまいます。(勘違いがあったらごめんなさい) 個人的にはやはりスパイスよりはフォースのほうがまだ分かり易くて良かったです。まあしかしデューンもスターウォーズもあまり好きな作風ではないのでどっちでもイイ訳で・・ 原作本にハマっているファン限定の作品かなといった印象が強い作品でした。壮大な映像美に免じて少々甘めの点数といたします。 [ブルーレイ(吹替)] 5点(2025-04-29 17:53:55)《更新》 |
8. マッドマックス:フュリオサ
同時に見たミッションインポッシブルレッドレコニングに迫る収録時間ですが、本作は時間の長さを気にすることなく楽しめました。むしろ本作は2時間28分でベスト、捨てシーン一切無しといったところです。とにかく、、ジョージ・ミラー監督はヤバイ。80歳にもなって前作よりずっと面白い作品を生み出すとは本当に驚きです。正直、イーストウッドより全然偉大な監督さんとして認定したいくらいです。(個人の感想です) 前作怒りのデスロードではキャラの生い立ちがよく判らず「そういうものですよ」といった押し付け前提でしたが、本作ではフュリオサ(シャーリーズ・セロン)の背景が全て判明します。また、本作初出のディメンタス将軍(クリス・ヘムズワース)もキャラの描き方が丁寧で分かりやすかったです。若きフュリオサ(アニヤ・テイラー=ジョイ)が、前作のフュリオサ大隊長にあまり似ていませんでしたが、しかしながらこの眼力を見せつけられちゃうと全然許せちゃいますね。むしろアニャ版のフェリオサは素晴らしかったです。 物語の構成的にも本作は良く練られていて、子供時代からバランスよく丁寧に描かれています。他の方もおっしゃっているように、本作のおかげで前作怒りのデスロードがより面白く感じられるくらいウマい物語を描いています。宿敵ディメンタス将軍のラストもこれはこれで正解だったと思います、嫌いじゃない。次作はぜひイモータン・ジョーと人食い男爵の生い立ちと成り染を見せていただきたいところです。 本作にはマックスは出てきませんが、パート2に並ぶ面白さだったと思います!(厳密にはマックスらしい人がワンカットだけ映りますが) 最後になりましたが、やはりジョージ・ミラーが撮る映画はとにかくカメラワークが最高!ということだけ付け加えたいです!文句なしに面白かった! [ブルーレイ(吹替)] 8点(2025-04-29 17:50:16)《新規》 |
9. ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE
ネタバレ 「普通だった」そんなありきたりな感想が一番に出ました。最近流行りの上映時間が長い作風で、本作は二部構成のうちのパート1に当たり、本作だけでも収録時間が2時間43分もありました。正直、長くて込み入っている割にストーリーは面白くありません。MIシリーズも主人公イーサン・ハント(トム・クルーズ)の年齢を考えるとさすがに限界なのかもしれません。 長い割りには特筆すべき点は少なく、何となくダラダラと最後まで見てしまいました。イルサ(レベッカ・ファーガソ)から入れ替わりのグレース(ヘイリー・アトウェル)はベテランクラスの女優さんですが、イマイチ華が無いてインパクト弱めでした。ヨーロッパ系美女を集めるのがトムの趣味なのか映画のステージ上のリアリティなのかは謎ですが、色んな意味でさすがのトム・クルーズもしんどそうな印象です。(なんだかんだいっても60歳のオッサンですし) いつものお決まりで、IMFやCIA各陣営その他TOP連中のゲスさは100%健在でしたが、それもさすがに飽きます。今回の敵はAIな訳ですが、これも手垢が付きまくったネタで、次作でどう決着をつけてくれるのか気になるところです。今回出色だったのは二人の美女で、ホワイト・ウィドウ(ヴァネッサ・カービー)とパリス(ポム・クレメンティエフ)らのシーンは目を引くシーンが多かったです。彼女らのラストも二人ともにそれぞれがイケてたと思います。 個人的な意見ですが、トム・クルーズといえば「レインマン」や「7月4日に生まれて」など、若い時から性格俳優もきちんとこなせる俳優でした。無理にアクションに振らなくても年齢相応の落ち着いた作品もチョイスして欲しいです。続き物ですので次作も見ないと終わりませんので一応は見ますが、、まあでもそれだけの映画かもしれません。余談ですが、グレースはなぜ仮想通過を受け取らなかったのでしょうか?ここちょっと謎ですね。。 [ブルーレイ(吹替)] 6点(2025-04-29 17:46:17)《新規》 |
10. 瞳をとじて(2023)
今自分の中では”エリセ週間”ということで本作「瞳をとじて」をレンタルしてみました。あとエリセ作品で未見なのは「マルメロの陽光」だけになりましたが、こちらはレンタルされておらず購入するかどうか悩みます。。 率直に申し上げて、本作に関しては時間の長さが気になってしまいました。あと、自分より年上になったアナ(アナ・トレント)は見たくなかったかもしれません。エリセ監督の今までの作風と比べると本作は圧倒的にセリフが多く、ほとんど字幕を読んでいただけという印象が残る残念な作品でした。 本作は明らかにエリセ監督自身の半生を振り返った物語で、画面のあちらこちらからその片鱗が見られます。”二作目で未完の作品”といえばエル・スールですし、主人公ミゲル・ガライ監督(マノロ・ソロ)が”22年間映画を撮っていない”のも明らかにエリセ本人のことでしょう。 考察サイトなどもたくさん読みましたが、確かに劇中で映写された映画の画面とドキュメンタリータッチの本編とで撮影方法が異なっているのは流石エリセ監督といったところです。ただ劇中映画も本編もどちらも大して面白くないのはかなり致命的だと感じましたし、そもそも観客に何を伝えたかったのかがよく判らない作品に仕上がっているように感じました。無償の愛が大切ってことでしょうか?親子の愛が大切ってことでしょうか? Wikiによると海外批評家の点数はおおむね高く、総合的に85点程度の作品だそうです。これに関してはチョット信じられませんね。私の価値観や理解が浅いと罵られようが・・ 面白くないものは面白くないです。何度か再鑑賞を繰り返せば良さも見つかるのかもしれませんが、「ミツバチのささやき」のように一度見ただけで観客を虜にさせられない時点で、その作品は傑作ではないと思います。本作はセリフ量も時間も長いわりに大したことが伝わっていないように感じました、正直いってイマイチな作品です。 [DVD(字幕)] 5点(2025-04-21 17:48:09)《更新》 |
11. ザ・クリエイター/創造者
ネタバレ 映像は素晴らしいものの既視感アリアリでした。ハッキリいってローグワンに似てますよね。。上映時間もローグワンと同じでしたが、本作は時間の長さを感じませんでしたので熱中指数は本作のほうが上みたいです。 率直な感想としては「可哀そうなAIと無慈悲な人間」程度の構図しか読み取れませんでした。高度なAIといえば、見た目に反して難しいことをやらかすべきアイコンの典型ですが、本作では超兵器(アルフィー)が可愛い子供の見た目以上の行動をしません。 今後アルフィーが育っていくのかもしれませんが、高度AIは数日で人知を超えるとも言われていますので、やはり高度なAIが手を合わせて電源をON/OFFするだけという「バカなの?死ぬの?」程度の機能しか持たせなかったのはシュールすぎました。これでしたらAIびいきの人間スパイにON/OFFボタンをもたせてノマドに潜入させた方がよっぽど早いです。 ただし、セリフでは「ネアンデルタール人より極悪な人類が彼らを絶滅させた」とか「AIに愛してるといわれ、騙された息子(ハウエルの)は殺された」とか・・ かなり意味深な話が多く、ギャレス監督(兼脚本)やクリス・ワイツ(脚本)は、裏では何か深い意図をもってこの作品を作っていることが伺えます。(ただ、その意図が何なのか私にはよく理解できない) 最初にミサイルのボタンを押したのが実は人間のミスだった事実、その上でなおAIは「戦争せず平和に暮らしたい」と表明している以上、既に人間側が優位に立っているのは明らかです。このような世界観で、人間は頭に穴が開いたロボットを簡単に見分けることができるし、人間が人相手と同様にAIに愛情を注ぐかどうかは各自個人の趣向(や判断)になってきます。それなのにやたらと軍人が気張って全面戦争したり、ノマドという超兵器を作ってまでロボットを排除しようとする行動原理自体が全く理解できないものになっています。 また、主人公にマザーの延命治療をストップさせた意味もよく理解できませんでした。結局、AIを生み出した元の人間と、そこから生まれたAI、そしてそれらの間で揺れ動くパパさん家族の中だけの話に集約してしまっていて・・ この世界の人々の行動原理自体が全くよく理解できないものとなってしまっています。 とにかく、本作はとても綺麗にまとまっているように見えて、実は全くとっ散らかった作品だったように感じました。壮大な映像美、素敵な自爆型ロボットなどに免じてかなり甘めの評価です。 [インターネット(字幕)] 7点(2025-01-17 16:35:21) |
12. オッペンハイマー
個人的にアカデミー受賞作品はハズレという持論をもっていてなかなか気乗りせずアマプラ入りしてようやく鑑賞しましたが、やはり自分の勘は当てになるようです。ちなみに自宅アマプラではありましたが、100インチ2.1ch環境と十分大画面で鑑賞できたと思います。音楽がやたらと過剰でやかましく、できればもっと落ち着いて静かに鑑賞したかった印象です。 個人的には、、意欲的だったインセプションの成功に裏打ちされたインターステラーまでがノーランの最高傑作だったと思っています。まあ確かにインセプションの成功の陰にはメメントやバットマンシリーズがある訳ですが、思い起こせばメメントやバットマンシリーズもちょっと小難しくて見るのがしんどい映画でした。この”ややこしい”感覚が最近では益々行き過ぎてしまって、テネットではまさに観客を無視して独走状態といったところまで加熱してしまいました。 上記の通りダンケルク、テネットと益々判り辛くなっていたところでしたが、本作オッペンハイマーは割とシンプルな作品でした。ただしそもそも論として題材は極めて退屈なもので、、NHKで放送されるドキュメンタリー番組に原爆の悲劇的な写真が挟み込まれてようやく見る気になるような暗い題材であったのは事実です。これをエンターテイメントとして見せ切った勢いには感服しますが、日本人=原爆を投下された側の国民なので作品が意図していない方向に感情が動きそうになるのを抑えるのに必死になりがちです。ノーランお得意の時系列を細切れにした演出ですが、本作ではさほど複雑にはなっていません。むしろ別の意味で効果的に機能しており、悪意を持って鑑賞する一部の層や、日本人の感情を上手く退ける効果はあったと感じます。 (当時の政治的思想や物理学者などのことをある程度知っているという前提ですが、)本作はあくまでオッペンハイマーの心の内を表現した作品で、きちんとそういう見方が出来た人には評価は高いと思います。ノーランお得意の時系列バラバラ作戦をもって、なんとか原爆を投下された側の気持ちをうやむやにさせる仕組みは機能していたものの、実際問題「原爆を投下された側の人間が世の中には確実に存在している」以上、事実は事実としてきちんと言及していただきたかったような気もしました。 そういった意味では少々ずる賢さすら感じてしまいましたし、原爆を投下した側のアメリカが自国で主催するアカデミー賞を自国で受賞してしまうのは・・ 「やはりあの国ってそういう国なんだろうな」とも感じてしまいました。そもそも、冒頭にオッペンハイマーを「プロメテウス」として表現してしまったのは大きな間違い・奢りではないのか?色んな意味でちょっと難しい映画でした。 [インターネット(吹替)] 6点(2025-01-07 15:39:43)(良:1票) |
13. FALL/フォール
ネタバレ 撮影方法やストーリーの流れは本当に素晴らしい映画ですが、しかしながら一般常識をもった観客にはこの物語の根幹部分が全く理解できないため、、まともな人にとっては共感を呼ばない駄作に成り下がってしまいました。 今時と言ってしまえば確かにそうなのですが、この映画を端的に表すとすれば「迷惑系ユーチューバーの末路」という程度のドラマ性しか表現できていません。主人公たちの生き方や理念(理念=根本的な考え方)に全く共感できない、むしろ嫌悪感すら抱いてしまうドラマ性のおかげで、一般的な大人にとってはこの映画は残念なものになってしまいました。 ダンとベッキー夫婦はフリークライミングという、命の危険が伴う趣味を自ら進んで行っています。自分から死ぬ可能性がある行動をしておきながら、パートナーが死んでしまったら一年以上も酒に逃げる生活をするような人間性には共感できないし、立ち直る切っ掛けが600mの建造物に違法に登ることだなんて・・ 大人が見たら開いた口がふさがらないとしか言いようがありません。挙句はハンターの激白で”あんたの旦那と浮気してました”。。まあ似たもの同士なのでしょうあなたたちは。(これに関しては、遠巻きながらパパから意味深なセリフが用意されています) ただ、後半判明する実はアレだったというカラクリは心底素晴らしかったし、ピザサイズしかない頂上でのワンシチュエーションで60分もたせたストーリーの組み立て方は本当に上手かったです。皆さん同様、下半身がヒュンヒュンしっぱなしな映像ラッシュは、、もう本当にお見事としかいいようがありませんでした。 何気に気になった点を書いておきます。あれほど不安定かつ小さな場所に二人でいる場合、普通なら真ん中の支点に何かを巻き付けておかないと手を離せないハズですが、普通にカメラ片手に上向いたり色んなポーズを取っていたのは気に入りませんでした。あと、トラックにドローンが衝突するシーンもご都合主義すぎるかなって思います、動いているものがあれば普通は気になるし注意するハズ。最後に、、予備のロープくらいは持っていけよって思います。15mが二本あれば二人とも助かったかもしれません。 辛口レビューでしたが、この映像表現は唯一無二のものだと思いますので、そういった意味では本作を手に取る価値は大いにあります。少しオマケしておきます。 [地上波(吹替)] 7点(2024-11-21 18:30:47) |
14. プロミシング・ヤング・ウーマン
かなりの衝撃作。全体的な流れは最初からある程度予想はできるものの、まさかここまでやり切るとは思いませんでした。一見するとリアル志向なのにライトでポップな要素もふんだんに使われていて退屈させません。学長との一件などもセリフだけで十分に怖さを演出しており、脚本と演出の上手さが光っています。この監督さん、全体的に直接的な描写をせず音・セリフ・印象だけで状況を理解させる術をよく知っていて、映画作品としては極めて洗練されています。(若手新人監督のエメラルド・フェネルという女性はまだ39歳というのだから驚き) 賛否あるようですが主人公は用意周到でことに臨んでいますので、刺し違える覚悟だったのは明らか。台詞でも「説明不能なほど考え抜いた結果」と言っていますので、自分が殺人犯になるか殺されるかの二択しか想定していなかったハズです。 動機として弱いという側面も確かにありますが、医大生というIQの高さゆえリスペクトしまくっていた大親友があのような悲惨な事件に巻き込まれ、親友の為に大学を中退までしたのに自殺されてしまったという衝撃的な経緯を知れば、動機としては十分あり得たと考えられます。 これが適度におバカさんであれば頭脳で消化しきれず、”理解不能案件”として徐々に風化するか心が壊れるかのどちらかだったのですが、彼女は頭が良すぎてそれを忘れることなく論理的に処理、徐々に考えが膨らんでいきます。その妄想に支配され、7年の時を経て妄想が実行可能なリアル案件へと変貌を遂げます。序盤のヤサ男風クズ男を懲らしめる描写はほとんどが前振り&予行練習だったということが理解できます。 きちんと前向きに生きる努力も描かれていますし、弁護士男性の心理を理解し歯止めをかける描写も描かれていますので、本人としてはできれば忘れたかったのでしょう。しかし前述のように高IQがそれを邪魔してしまい、哀れとしかいいようがない結末を迎えてしまいます。 この映画の凄い所は徹底的にセリフや情景だけで見せるイメージ戦略を貫いておいて、最後の最後、ラストの殺人描写は一部始終をハッキリ見せ切る潔さです。”4”が記させる佳境のシーンは「これリアルなんじゃないの?」というくらい生々しくて恐ろしく、そして”5”が記されるエピローグで彼女の想いは遂げられます。悲しくも素晴らしい映画でした。 [インターネット(字幕)] 9点(2024-10-21 11:52:19) |
15. かがみの孤城
興味のない作品でしたが録画されていたので見ることにしました。色々言いたい部分はあるものの概ね素晴らしく、最後まで飽きることなく見ることができました。(感動するほどのことはありませんでしたが及第点以上は十分に評価できる素晴らしい作品だったと思います) 序盤の物語の流れが日本的で暗くイマイチと感じました。このあたりのシーケンスはやはり小説版で読みたかったかもしれません。そもそも、中学一年生くらいだったら内気な子はどこの家庭でも似たような悩みを持っているもの。これをポジティブ路線で打開していくためにはやはり他人と関わることがとても大切で、この城でそれを実践していくことになるのは大変に興味深い流れでした。というか、日本的で優し過ぎる感じすらありました。 鏡が光ってからはがぜん面白くなります。城の中でのみ発動するというルールの数々も面白いし、連帯責任で城に居た全員が食べられるという設定も何となく日本風で上手く、巧みに抜け道があるような含みがあってワクワクさせられます。とにかくこの”謎が謎を呼ぶ展開”は素晴らしかったです。ネタバレしないために詳細は省きますが、結末のつけ方も意外性よりも異世界と時間のトリックを上手く融合させてあって素晴らしかったです。こころちゃんの願いも日本的で優しく、アキの今後の心情変化につながる説明にもなっていてスマートな流れだったと思います。 少々的外れにはなってしまいますがこのアニメを見て、、根本的に「自分自身は自分が助ける」「自分自身の理解者は自分以外には居ない」という鉄則(というか強い心)、これを育む教育をしていくことが日本には急務なんじゃないかなあと、漠然と感じてしまいました。 [地上波(邦画)] 7点(2024-07-30 17:17:18) |
16. Dr.コトー診療所
ネタバレ これは酷かった。大好きなドラマシリーズなのでかなり甘めに評価してもこの点数が精一杯でした。失礼ですが、監督の中江功と脚本の吉田紀子は2004年のスペシャル版からの続投とのことですが、あれから20年、明らかにキャリアや肩書に胡坐をかいていたかのような悲惨な状況には、、つい目を背けてしまいました。キャスティングやキャストの演技力は最高でした。天皇家が見に行きたいと感じるドラマシリーズなのも事実です。でも心底、演出や脚本が悪すぎて本当に残念な出来映えでした。国民を代表して私が天皇家にお詫びしたいくらい。 皆さんご指摘の通り、明らかに話を詰め込み過ぎです。シンプルに「コト―の病気」「コト―の子供」「剛洋の落第」「みどりおばあちゃん(藤田弓子)の顛末」「中丸新将演じる心臓止まったじいさん(役名誰だっけ?)の顛末」を新キャストを絡めてじっくり見せるだけで十分ドラマチックでした。 時任三郎の足の件、剛洋の東京での事件、台風&土砂災害、僻地医療の現実、これらがドラマに花を添えず観客の集中力を削ぐ結果になってしまっています。ファンが見たかったのは島民やコト―先生の今(2022年)。見たいのは決してパニック映画ではない。ラストもあざとすぎて苦笑いしかでませんでした。(パニック映画だったとしても演出が稚拙すぎて見るのが嫌になるレベルだったし、ラストもコト―がどうなったのかよく判らない) 監督と脚本家はもう少し勉強したほうがいい。できればアメリカのERでも見返してみるべきかと。これ以上続編は作らないほうが良さそうです。そっとしておくべき。かなり辛口ですが好きな作品だっただけに落胆も大きいです。心底、色んな意味でかなり残念な作品でした。 [地上波(邦画)] 4点(2024-01-05 12:33:46) |
17. クライ・マッチョ
イーストウッドが主演した作品は割と好きですが、彼が監督したほうの作品はあまり好きになれません。彼の監督作で好きな作品といえば、、せいぜい初期の「パーフェクト・ワールド」くらいで、その他の作品は正直いって嫌いです。その理由として彼が監督した作品は妙に説教臭く、世間一般的な正義的倫理観を押し付けてくる感じがどうも馴染めないからです。 本作「クライ・マッチョ」も今までの流れ同様、お説教話のようによく出来たストーリーを上手く映画化してありますが、本作では今まで感じた妙な押し付けは無く、雑味・嫌味を感じませんでした。あるがままといった雰囲気で、なんといいますかイーストウッドのこの年齢(90歳)を映画に落とし込むことによって、何ともいえない独特な優しい雰囲気と深い味わいがハマった作品に仕上がっています。 物語としてはいわゆる「ぬるい」展開ですが、それでいいんです。実際問題、現実の世の中は「ぬるい展開」の連続で、それが日々毎日積み重なったものが人生になります。そういう見方をすればこの映画も優しいまなざしで見守ることができます。ただし、最後のマッチョの活躍は少々安易で微妙。 おそらく俳優としては本作がイーストウッドの遺作になると思われますが、ダンスシーンも素敵でなんとも味わい深い作品に仕上がっています。高評価とまではいえませんが今までの流れと比べると少し毛色の異なる作品、全く悪くない作品でした。夕闇に映えるカウボーイハット、西部やメキシコの風景も素晴らしかったです。イーストウッドに敬意を込めて!well done! [地上波(字幕)] 7点(2023-10-23 11:08:02) |
18. ブレット・トレイン
”ネタ映画”としてはかなり面白いほうだと思います。個人的には往年の「ワイルド・スピードX3/TOKYO DRIFT」に匹敵する面白さでした。主役ブラピ、準主役のタンジェリンに(アーロン・テイラー=ジョンソン)、サンドラ・ブロック(友情出演)など大物も多く、大真面目に遊んでみました的な作品です。(アーロン・テイラー=ジョンソンといえばキックアスのデイヴ役の彼ですが、彼がビックリするほどカッコよくなっていて驚きました!!) 2022年作品なのに今だに”コレジャナイ感”満載の日本描写がお寒い訳ですが、多分お寒いと思っているのは日本人だけで、日本を知らないエセ日本ファンの外国人には、日本=”コレだよ!感”満載だと思われます。新幹線、仕込み刀、真田広之、京都、東京、マシ・オカ・・(まあたぶんブラピとかは日本をよく知っているハズなので確信犯的にやってますよねコレ) 高速走行中の新幹線に掴まったり、車内で乱闘・殺人・破壊行為が行われていても普通に走っている新幹線に激しく違和感を感じましたが、まあそこは映画として割り切りが必要でしょうか。駅で待ち構えているヤクザも失笑もんですが、クローズとかの邦画をありがたがる国民性なのでこんな風に描かれていてもまあ文句は言えないでしょうね。 脚本はかなり複雑ですがしっかり作りこんであるのか、目立った破綻もなく結構分かりやすいのは流石です。途中途中でかなりゴリ押し部分もありますが、それでもラストの種明かしはむしろ良くできてるなといった印象を受けました。あといつも感じますが、日本を舞台にした邦画でも洋画でも銃が沢山出過ぎです。日本の一般社会に銃はそんなに蔓延してないはずですが?え?してるの? 見て損したということは全然なくて、普通に楽しめました。でも意味がある作品なの?と問われると全然違うと思います。一生見なくても困らない作品です。アーロン・テイラー=ジョンソンに免じて点数はオマケしておきます。※余談ですが弾丸を意味する「bullet」はブリットとかブレットと読みますね。Bullet Trainという歌もありますが、歌を聞く限りブゥリィットと聞こえます。(ちなみに歌繋がりで、本作の主題歌は女王蜂のアヴちゃんが日本語でサタデー・ナイト・フィーバーを熱唱していて、これが日本語に聞こえなくてとてもクールです) [インターネット(吹替)] 7点(2023-10-10 11:04:40) |
19. ドクター・ドリトル(2020)
ネタバレ 正直に告白すると、私はロバート・ダウニーJrが嫌いです。売れる前から嫌いでしたが今見てもやっぱり嫌いです。物語として原作の説明をする必要がないくらい有名な元ネタですが、本作は動物と話せること以外は原作に忠実じゃなかったりします。動物、恋、姫、新しい仲間、航海、侵入、戦い、和解、謎解き・・ およそディズニーの全てが詰まっていますがまさかのユニバーサルが作っています。 有名な原作本由来で全ての要素が詰まった映画を100分にまとめてあるのは大いに大したものですが、裏を返せば全てが予定調和的でお手軽過ぎました。まあ100分で終わらせるのですから致し方ないにせよ、もう少し文学的で重厚な雰囲気、もしくはパイレーツ並のとんがった演出を期待していましたがそのどちらもありませんでした。 スティーヴン・ギャガン監督は「トラフィック」「シリアナ」「英雄の条件」などシリアスな脚本を書いた実績があって、土台はシッカリしているはずですがコメディとしては大して面白くもなく、何となく王道の流れで当たり障りがありません。出演陣が無駄に豪華だったこともありますが非常にもったいないと感じてしまいました。このメンツならもう少しやりようがあったのではないでしょうかね。。。 あれほど家を出るのを嫌がっていたドリトルが宮殿に着いたとたんにノリノリで冒険に行こうといい出すのは違和感しかありませんでしたが、動物たちのやり取りがほのぼのしていて何とか見ていられました。こき下ろすほどつまらなかった訳ではなく案外楽しめますが、何となく面白いけど何となく物足りなくて、何となく楽しいけど何となく退屈な作品といった印象の映画です。かなり甘めの6点で。 [地上波(吹替)] 6点(2023-09-23 13:56:27) |
20. コーダ あいのうた
TV放送で見ました。今に始まったことではありませんが、こういう作品がアカデミー賞を三つも受賞してしまうあたり、アカデミー賞の安易さというか、忖度、世間体、闇を感じますね。 物語は極めてありきたりで簡素。予定調和的だし話もシンプルすぎてあまりにも子供向けな作りです。もちろんシンプルなのが悪い訳ではありませんが、もう少し主人公の深い葛藤や特異性を描いてほしかったです。これではまるで某24時間系番組の偽善ドラマか再現ドラマ程度にしかなっていません。話自体(内容)は絵に描いたように素敵だっただけに非常に勿体無いと感じました。 助演男優賞受賞のお父さん(トロイ・コッツァー)は確かに惹きつけられる演技でした。他に目立った出演作も少なく、調べてみるとご本人さんは本当のろうあ者だそうで。演技じゃなくて本物だったわけね。ルビー役のエミリアも本物の歌手・俳優だそうで、確かに歌は惹きつけられるものがありましたが演技のほうは、、まあ普通に上手い程度でした。兄や恋人候補の演技もとても良かったと感じましたが ”その他 略” 的な扱いになってしまっていて残念でした。結局、詰め込み過ぎの弊害が出ちゃってますよねこれ。 こき下ろすだけじゃなくて良かった点も書いておきます。娘の発表会に耳の聞こえない家族がきちんと出席した点は素晴らしい。またその際の彼ら耳の聞こえない家族の視点からコンサートが表現されていた点も素晴らしかったです。耳が聞こえない事の異常性にハッとさせられますし、これの伏線回収として試験の時の手話付きの歌は非常に感動的でした。(先生がわざと間違えるのも胸アツでしたが、濃いキャラでラストに出てきたわりには印象が弱くて非常に残念な先生でした) 結果的に演者はとても良い演技をしているのに一体何がイマイチポイントだったのか?やはり脚本と演出の安易さでしょうか。デュエット=恋人役の彼も完全にモブキャラ化してた割に水泳のシーンは妙に長いし、反面、先にも書きましたが兄とその彼女の関係はもう少し見たかったのに完全スルーでした。まあ確かに主人公の少女に焦点が当たるべきなので兄の件などは仕方ないと思いますが、それでもイマイチ焦点が定まらなかったように感じました。まあでもこれ脚色賞を取っているんですよねぇ・・ うーん、やっぱ、、アカデミー賞の謎ですよねぇ。 [地上波(吹替)] 4点(2023-06-26 16:41:36)(良:1票) |