1. プレデターズ(2010)
ネタバレ プレデターシリーズには定型がある。狩場に放り込まれた毎度異なる面子がいかに捕食者を斃し、マンハントを生き延びるか 今回そのフォーマットをよりわかりやすく、直接的に提示してきた 地球人や、別の天体からも人を攫い、どこぞの惑星に放り込んで自前の狩場を作っているのだ 導入の人物相関など面倒だし、お客はそんなもの求めてない。サバイバルを観たいんだろう?だったらそれしかない惑星を用意するよ!・・・とでも言わんばかりだ これって、CUBEを思い出すなあ。 サバイバル自体がいい加減飽きつつある展開ではあるのだが、そこを逸脱するメリットが無いのだろう。ジャンル映画らしくありたいようだ シュワちゃんやダニー・グローバーに反撃されて狩りの面白さが倍増したからなのか、捕食者が攫ったのはいずれも腕に覚えのある殺しの専門家たちである。どの人物も攫われた時の記憶がない いやあ、この設定なかなかご都合がよろしいですなあ。地球外に人類が住める惑星が見つかってよかったじゃないか。そりゃインターステラーだわ で、またジャングルである。捕食者の種族の違いだとか、送り込まれたタイミングの違いで人類同士の反目とか、展開を大きく変えられそうな宇宙船奪取などもあったが 正直どれも見せただけで、不発に終わった感が否めない。結果いつもの展開に戻るのである。せめて、脱出した宇宙船から惑星の外観を観るシーンでもあればいいのになぁ 後半の主に戦闘シーンだが、画面が暗く、とても観づらい。夜なので暗いのは当然だが、度が過ぎている 描き込みが足りない白い漫画のネガポジ反転のようで、経費削減と受け止めるより他はない プレデターの不可視をさほど問題としていないのは、物足りない。スナイパーとして綺麗めな女性が出てくるのも、二人で生き残るのも無慈悲なシリーズに似合わない ヤクザが剣豪というニッポン解釈、ぶっ飛んでいるけれど、わざとなのでそこは大目に見てあげよう。これも文化なんで 戦闘は緊張感がかなり無くなってしまったけれど序盤でここは地球じゃないということが判明した時の絶望感がよかったので2作目よりはいいかな [ブルーレイ(吹替)] 5点(2025-05-05 20:30:14)(良:1票) |
2. ゼロ・ダーク・サーティ
ネタバレ イラク戦争での失敗の後、信憑性に疑問符のついたCIAのテロ情報。取るに足らぬ情報だ、もっと確実な証拠を見せろと上はリスクばかりを気にする チームを指揮する立場にありながら未だに会議ではマトモな席に座らせてもらえない女性になぞらえるように それらの、過小評価されてしまうことへの粘り強い抗いが描かれている。恫喝も辞さぬ構えの・・・。そうした先に、表面的な勝利は訪れるのだ 見下ろすマッチョな支局長に下から歯を剥いて抗議するマヤのシーンはあからさまだった 実行部隊には含まれない女性が主人公というだけでもメッセージ性が強そうだと思ったが、描かれている内容はまさにそれであった ノンフィクションと捉えると、そういったメッセージは時折鼻につく。手持ちカメラで室内でもグラグラ揺れるのも、映ってる内容が劇映画なので単に気持ちが良くない ゲートから時間をかけて近づいてくる無言の車やアラブ人は見分けがつきにくいなど、ハートロッカーと同じ展開をよりわかりやすく語り直している キャスリン・ビグロー作品は淡々とした絶望感があって嫌な気持ちになるんだけど、ビンラディン殺害の経緯を知りたいから最後まで辛抱して観た [インターネット(吹替)] 5点(2025-05-05 20:21:31) |
3. スター・ウォーズ/最後のジェダイ
ネタバレ 往年のファンには少々辛い内容かもしれない 前作のハン・ソロに比べても本作のルーク・スカイウォーカーの扱いは大胆な試みである ともすればキャラ改悪と騒がれかねない 時間経過に伴う自然な変化と受け取るのは、いかにこれが公式といえども製作陣が代わった関係もあって思い入れが強いほど難しいだろう 自分は、それほどにはルークの性格や立ち位置など理想が無いのでこのくらい時間経過を感じさせてくれる方が個人的には面白いし、 それをいうならむしろ帝国の逆襲時のポジション発覚のほうがよっぽど呆れるシロモノだった スターウォーズというのだから、スパイのような人探しなどは、あまり観たくはない 敵から攻撃を受けてる真っ最中に船を離れるなどというあり得ん展開をしてまで、そんなシーンを入れることは無いと思う 普通の神経なら、行って帰ってくるまでに味方艦隊は全滅してると考えるだろう レイの敵船への送り込み方も雑過ぎる。あんな場所にハイパースペースを出たり入ったりできたら世話はない あと、準光速ミサイルのような攻撃方法を体当たりで見せるのも、バランスが壊れるのでよしたほうがいい。タブーとすべき だが、ほかの部分は前作より、だいぶ良くなっている ルークのギャグや、落ちも嫌いじゃない アイロンはカメラが切り替わったときイマジナリーラインが変わったのが自分のような素人に易しくないなと思った 長くなるが最後にこの、一見気でもおかしくなったかのようなシリーズの方向転換について私見を述べたい 初代スターウォーズとはテレビドラマの、それも次にどう転ぶかその時になるまで考えてもいないような、悪く言うと行き当たりばったりな連続ドラマをイメージしてルーカスが舟を漕ぎだしたようなシリーズだったことをまず思い出されたい。 それが一大ヒットを受けて世界に冠たるスペースオペラとなり、さも最初から壮大なサーガの1エピソードであるかのような扱いに拡張された その拡張路線で進んだエピソード1~3とは何らかの理由で異なる進路(さしずめ今回はエピソード4~6への原点回帰)に 今回の三部作では舵を切る必要があったのだろうと推察する そんな風に思えば初めにJ・Jエイブラムスの起用はまさに思いつく最短ルート。 次回のことなど何も考えない投げっぱなしエンドという劇薬(それも他人の手によって)を真ん中にぶち込み、あえて困難な状況に陥ることで 制作自体が混沌のなかから飛翔するミラクルをさながら無印「スターウォーズ」をなぞらえるように実現しようとするようなプランに酔って そのまま酔いつぶれて朝を迎えた、みたいな作品なんではないかと [ブルーレイ(吹替)] 5点(2025-04-02 06:17:56)(良:1票) |
4. バニー・レークは行方不明
ネタバレ 話のあらすじをほぼ全て把握した状態で鑑賞した 当然驚きはなかったが、面白い映画だった 導入で子供の姿を一切見せないのはシナリオ上絶対に必要な隠蔽で、 こういう手順を守れてない映画が昨今多い気がする 犯人の幼児化。関根勤の「あの」芸風はこれを参考にしたんじゃないか?怪しい演技で最高だ こんなあぶない兄弟がいるのになぜわざわざイギリスにやってきたのか アンさえ来なければ、スティーブンも狂わずに生きて行けたかもしれないじゃん やっぱりアンも少しおかしい部分はあったのかもしれないね [DVD(字幕)] 7点(2025-04-01 13:30:37) |
5. マイノリティ・リポート
ネタバレ 2054年という、さほど遠くない未来の科学技術に多大な発展を見込んだ世界観のSF。 舞台はまずまずの出来。現代の我々からみたらキテレツに見える数々の装置は、近未来SFのカルト、ブレードランナーを思い起こさせる 一番判りやすく進化を描写できると思われる未来の交通システムはちょっとトンデモだったが、独自の魅力もそれなりにある未来観だ。 さて犯罪予知システムという、かなりリアリティに欠ける材料を物語の中心に据えた本作ですが、 それにまつわる設定を未来の夢として受け止めることは本作の鑑賞姿勢として最低限、跳び越えなければ始まらないハードルだ。 だから、これについての疑問は挟まずスルーする。あれ?スルーしてない、かな。 予知システムのGUIを操作するポーズとか微笑ましい。できれば細かいカット割りはせずに、フィックスでしばらく見せて欲しかった。 こういった陥れられるタイプのミステリー作品は登場人物の行動理念に疑問が生まれることがままあるのだが 本作は結構複雑なようでいて大体のことの理由付けはちゃんとしてある感じなので案外と見易かった 例えば、ジョンはなんでそう予知の通りに罠に嵌っていこうとするのかは、無実を証明するために虎穴に入った、という簡単な理由がある。 局長は大事な手駒のジョンを犯罪者に仕立てる必要性があったのか?という部分も、一石二鳥の動機がしっかりある。 よくわからないところは、ウィットワーが局長に殺されにわざわざジョンの家で会合・説明した理由。 いきなり撃たれるとは思わなかったんだろうか。アガサを欠いた予知システムはダウンしているも同様とはわかっていたと思うが 殺人事件が6年間なかったから油断が生まれたか?よしんば実行犯と推測できなかったにしても、犯人は高官クラスと発言したし、 隠蔽の黒幕かもしれないのに、密室で手の内晒すかな? 極めつけは奥さんが目ん玉の保管場所を知っていたという事実。あの短時間でそんなことまでよく教わっていたな・・・ 結局息子のショーンはどうなってしまったの?という問いには本編中に結論は出ていないが、 アガサが死者の魂になぞらえて含みを持たせた語りがある。 ただし予知しているわけではないのでどれだけ意味があることなのかはよくわからない。 誘拐があったのか?犯人に該当するものがあるのか?やっぱり殺されたのか? 全てを明かさずに幕を引くやりかた、場合にもよるがこの映画ではアリかなと。スピルバーグらしいと云えばらしいね。 [インターネット(吹替)] 6点(2025-04-01 06:29:29) |
6. 鳥(1963)
ネタバレ 幼い頃にテレビで終盤の襲われるシーンだけを見ていて、鳥はおろか、映画というメディアそのものに戦慄しました。トラウマものです。 安易に幼児と一緒に観るのはやめましょう。さて、それ以来、というか頭から見たのは今回が初めてだったわけですが 最初のゴジラはなかなか怪獣の全貌が拝めずに、その兆しを順繰りに出していって不安と期待を煽る、ややじれったい話運びでありますが この映画には、それに近い長い待たせがあります。しかし待たされた挙句出てくるものはいつも我々が目にする、鳥そのものであります。 兆候は副次的に描かれ、各々が親愛を一部欠落した女達による、ミッチという男性への恋慕的な、あるいは恋慕そのものの在り様が主体として描かれています それら普通のラブコメドラマの合間に、直接的な異変として鳥の異常行動が不気味に挿入されます。 事態は突然大きく動き、主・副は逆転します。鳥が人を殺し始めます。原因は何か?わかりません。 劇中でも、コメディタッチでああでもないこうでもないと議論していますがいったい何が起きているのか要領を得ません。 ヒッチコック作品の常というべきかそういう部分は排して、ご想像に任せているようです。 著名人が、マスコミや大衆に攻撃される様を鳥の集団攻撃になぞらえて恐ろしく描いているとも取れます。テーマがあるとしたらそのくらいの映画です パニック物の定番ともいえる屋敷の内と外での防衛戦、パニックのあまりヒステリー化したオバサンからの誹謗中傷、愚かな行動による死、 苦難を共にして生まれる絆、投げっぱなしエンドと、歴史的にパニック物で踏襲されてきたフォーマットの原点ともいえるのではないでしょうか。 それだけ、後世に影響を与えた重要なタイトルです さあて、これが今面白いかどうか?答えは、否かも・・・。怖さは、十分だと思いますが。画も、評価できるというか凄いですけれど 話がそれほどでもなかったから・・。鳥に襲われるのも、ネズミに襲われるのも、それ自体はそこまで面白いわけではないからなあ・・・ [ブルーレイ(吹替)] 6点(2025-03-31 21:28:32) |
7. 天国の門
ネタバレ 無駄に長い。まず、プロローグとエピローグはいらない。本当に蛇足だ。これらは、ただでさえ長い映画に追加撮影されたそうである。 マイケル・チミノ監督、なにを考えていたんだ。付け足せば、面白くなるとでも思ったわけではないだろうが、監督はこの映画の撮影を心底愛してしまったんだろう。 だから、もっと撮り続けたかったし、不必要な人物描写の補完も楽しんでしまったように思える。とにかく全編、だらだらしていてテンポが悪い。 お話は、名作シェーンのバックストーリーともいわれるジョンソン郡の東欧系移民殺害事件を直接的に描くとして、期待の持てる内容だった。ところが、である。 超大作を作ろうとする監督の野心に見合うスケールを持った事件ではなかったのがまずかった。使った予算ほどの見せ場がない。だから監督が展開を膨らませなきゃいけなかった。 どうも長時間カメラを回して素材を蓄える行き当たりばったり撮影感が強くて、労力がかかっただけの退屈なシーンに時間を割きすぎている。 客を前のめりにさせるような展開を考えないためか予定されているクライマックスにうまく物語が進んでいかず、まどろっこしい。 事態が始まったと思ったらまた娼婦周りの面白みのないなんやかんやでテンションをリセットされる構成の悪さ。 映画の序盤でだいたい未来の展望を主役のジムは掴んでいるにも関わらず、娼婦とガンマンとの三角関係ばかりで 管轄区のみんなが死ぬまで何もできない役立たずなようにしか見えない。使えないベン・ハーといった感じだ。 編集の観点から、娯楽としては落第だと思う。実際の事件にはなかったとされる凄まじい銃撃戦を入れて娯楽性を提供してはいるが そこに至るまでの果てしない道のりが完全に観る側の鑑賞意欲を奪ってしまっている。 また、農民たちの武装蜂起がインディアンのような荒々しさであったり、牛泥棒をやむを得ないものとして肯定しているような発言があったりと 強者側の言い分も公平に扱おうという計算がノイズになっている。 画は美しかった。通りの人や馬車の群れなど、凄すぎて圧倒される。唯一といってもいい本作のオススメ要素だが 戦闘シーンで土埃が上がり過ぎて見えなくなってしまっているのはいかにリアルといっても考え物だ。 プレミア上映の翌日、新聞にて「自宅のリビングを4時間近く歩かされた気分」などと酷評されたが、確かにそういいたくなるのもわかる。 映画会社も倒産させた一作。なかなか手ごわいが、日本ではそれなりに評価されているという。娯楽に失敗しても、名画扱いはしてもらえるということ。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2025-03-31 21:13:40) |
8. マーニー
ネタバレ トラウマによって失われた記憶・・・という今となってはありふれた、サスペンスにとって便利で、かつ似たりよったりな展開を招きやすい要素が核になっている 幼少時の秘密を結末に据えたことでそれまでのマーニーの性への拒絶反応を理解・納得するのだ。このお話はそれでおしまい。が、それでいいのかという気もする 赤い色、睡眠中、雷、ノックを三回などのかすかな記憶がトラウマを呼び覚ます。これらはヒントのようなものだが 情報としてあまり価値がなく、謎解きの面白さに繋がらないのが残念なところ 精神カウンセリングなど劇中に触れてはいるが、失われた記憶さえ取り戻せば、万事が解決とはなかなかならないだろう。むしろこれからが大変だ 観客にとってはその後のことなどどうでもいいだろうということなのだ。この話は、マーニーがなぜあるのか、美人なのに盗みを働き、男を受け付けない その癖のような扱いの難しさがなぜなのかという人物像の分析が興味の全てであった。一般的には、楽しみ難い作品といえよう。 [ブルーレイ(吹替)] 4点(2025-03-24 10:41:14) |
9. ゴジラ×メガギラス G消滅作戦
ネタバレ シリーズものとしての一本で、仕事として課せられた一定の条件を無難にこなす中にプロの経験を生かして仕上げた娯楽作品というルック。 ゴジラとメガギラスの戦いはさながらヒーローの出ないウルトラ作品ことウルトラQの第1話ゴメスをたおせ!を見てるようだった ほとんど平成以降のウルトラマンのようなVFXなうえにGグラスパーという怪獣やっつけ隊がメインのドラマであり、エヴァの葛城ミサトを より実戦的にしたような女性が隊長という、過去の作品のオマージュにすることで創作を容易たらしめんとした設定。ゆえに、色々とアニメっぽい また、ゴジラの白熱光も、まるで光の国からぼくらのためにきたぞわれらの…の光線技のようなエフェクト加減で フィニッシュ技にそれをもってくるのはウルトラすぎるやろと思わずにいられなかった 最初の個体のゴジラが生き残ったパラレルワールドということなら、オキシジェンデストロイヤーを使わないで芹沢博士は生き続けたのか? 悪魔の兵器たりうる発明者・芹沢の苦悩と同様のことを今回の主要兵器「ディメンション・タイド」(通称:ブラックホール砲)でやってしまうのは さすがに気が退けるのだろうがゴジラという作品の成り立ちである以上そこに全く触れないわけにはいかず、ほんの少し触れるに留めている 伊武雅刀演ずる特G対本部長の不義に対して「そのせいでどれだけ犠牲者が出たんですか!」とかいって殴った桐子なんだけれど たしかブラックホール砲試射実験で時空がゆがみ、過去の巨大昆虫メガニューラを招き それが結果的に死者を多数出し渋谷を水没させてしまったという問題があったはずなのだが、その点どう考えているのかな にもかかわらず実戦で二回も使ったよね。時空のゆがみからバケモンがまたぞろ出てきてさらに大混乱になる「ミスト」のようなエンディングを期待してしまったではないか 電話切られたらそこにチェス盤があったり工藤が怪我したら病室にその時お話に必要な(お見舞いにいかにも来なさそうな)面子が集まっていたりとかなり制作都合が目立つなぁ 着ぐるみのゴジラはカワイイ [インターネット(邦画)] 5点(2025-03-24 10:23:53) |
10. 暗くなるまで待って
ネタバレ とてもいい映画。あらすじだけきいて、いかにも面白そうだと思っていたがこの度実際に観てやはりそう思った だが不思議なことにテレビ放映で昭和の時代から自分は一度もこの作品を観たことが無かった たしかに生まれる前の映画だけど、テレビで放送するのに差し支えある内容じゃないしこの時期の他の映画ならいくらでもかかっていたはず 率直に、なんで観れてなかったんだ俺?オードリー・ヘップバーンの映画だし、日本人が好きそうなお話なんだけどなー 午後ローならかかってたのかな。あの時間あの枠で映画見たことなかったからよく知らないんだけれど とくにケチをつける要素はなく、面白かった。教科書的な作品だよ。 今の時代なら、さながら森林・密林内のランボーみたいに闇の中なら皆殺しにできるといわんばかりに残虐に立ち回るコメディ映画になりそうだ まあ、ヘップバーンなんで一口にコメディ路線といってもこれは全く上品な作品だったけど。刺激が足りない人もいるでしょうが。 ああ、そういえばランボーの上官のトラウトマン大佐が出ていたよ。鎖鎌のような謎の威嚇は最高にウケる。それ、弱いって。 [DVD(字幕)] 7点(2025-02-27 07:42:58) |
11. 裏窓(1954)
ネタバレ 窓から見える様子をミステリーの軸に据えるのは張込みジャンル映画に近い。しかしアパート住人丸ごととなるとなかなかユニークだ 野暮なことを言えばそこまで住人がネタを提供してくれるはずがなく 観測者の方でも、テレビが活躍し始めているご時勢ではこのような犯罪的娯楽の入り込む余地はないだろう あくまで作劇の面白さを優先として、リアリティは二の次としていることが映画が始まるやすぐにわかる ところがこの映画、その出オチ感が強い。この設定を採用したはいいが、目の前で起きることが、あまり面白くないのだ 見える情報と推測する事件のあらましが、それほど乖離していないというか、想像通りになっているのもちょっと捻りが足りない どことなくほのぼのとしているというか、それなりに緊張感はあるのだが、フラッシュで時間稼ぎができるくらいのヌルさであった つまるところ敵の小物臭さが緊張感を削いでいる。しかし、これはこれでそういう作風なのだといわれるとぐうの音も出ない感じはある 平和な出来事にはさまって起こる殺人事件だからこその塩梅なのかもしれない 概して、人形芝居を見ている男の外側から、その鑑賞してる姿を我々が観ていた。人形だと思っていたものが次元を一つ乗り越えた 男は襲われたもののそこで人形は撃退され、幸か不幸か、我々のところまでは到達できなかった [ブルーレイ(吹替)] 5点(2025-02-27 07:31:16) |
12. カンゾー先生
ネタバレ 肝臓病としか診断しない医者がヤブではなかった 終戦間近、食糧事情の悪化に伴う肝ウイルスの蔓延による国民病によって、日本の敗戦を危惧するアカギフウウの 患者への献身と医学への奉仕と身内の死と、軍部の無理解へのいら立ちと、やがて敗戦を確信するに至り、挫折して原点回帰するドラマ。 昭和は遠くなりにけり。二十世紀末にもなると、なかなか終戦前の画作りも苦労したことだろう。観た感じ、復讐するは我にありよりも美しい絵が少なく感じたのはいた仕方なしか カラッとしたコメディ調で終戦の凄惨さは控え目であったが、監督が大正生まれの方なので、その時代を生きた人の物の見方が反映されていると考えたい [DVD(邦画)] 4点(2025-02-27 00:33:58) |
13. スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
ネタバレ 私のようにこの三部作を最初から諦めの目で見ていたものには、まあ、最悪ではなかったかな、という感想だ 新キャラ3人。便宜的な主人公であって、必要なピースではなかった。徹頭徹尾、主役に見えなかった 出自や能力は極めて特殊なのに思考は凡庸に思えた。フィンの設定も、活きたとは思えない。これで最後まで生き残れたのが不思議なくらいのキャラだ カイロ・レンは最もシリーズらしいキャラだが、少し利口なアナキンという印象だった(ちなみに私はアナキンの人物造形を全く評価していない) 「結局レイアやハン・ソロそしてルーク・スカイウォーカーがいればいいのだ~彼らが出なければ、もうそれは面倒なフリークたちにウケない」、と 我々ではなく、制作サイドが考えていたようだ。ストーリーがそれらに引きずり回されているところからも、それは明白 皆が感じていることだろう、「旧作ファンに向けての接待」という表現で揶揄されていたが、話の流れの端っこを常に握られているのはいけない キャリー・フィッシャーの訃報から、未使用シーンをつなぎ合わせてねじ込んできたね。でも結局劇中で死なせちゃうのは哀しい。どうせ最後なのだし生きたままにできなかったろうか 前作までの主要人物を掃除したのは年老いたり鬼籍に入ってしまった都合が垣間見えて、物語として描く必要があったとは思えなかった 彼らの最期「だけ」を観たいとは思わない。ちゃんと活躍しないのならそっとしておいてあげて欲しかった 老兵は去り、時代は若者が引き継ぐ自然界の摂理を謳うのなら、若者側の視点から始めずに、ルークやソロたちの視点から始めるべきだ 現状はウルトラマンシリーズと同じで、先輩たちを目玉に持ってきたためにかえって出オチに沈んでしまっている そのためなんだろう、ルークの出番が多めな8作目を私はやや好意的に受け止めている もしかすると、旧作の威光に徹底して頼らない姿勢を見せてくれていたらもう少しレイ・フィン・ポーを真剣に観られたかもしれない そうなると今三部作を全く見向きもしない恐れもあるのだが 7.8.9作。同じキャストでもう一回作り直したらどうか。無論、旧作のレジェンドたちを排して。切望しているわけではない 期間も長く空いてしまって、製作スタッフも変わり、とてもじゃないが連続性のある作品世界として観ることができなかった だから、サーガ全体を破壊されたとか、整合性の取り方に疑問を感じるまでもない。たとえどんなに巧く作っても、けして埋めることはできない 過去6作で宇宙世界はどういうものだったのか。歴史から学んだものはなにか。フォースとはなんだ 収束し答えが出ていても良い頃なのに、なぜ工夫も一切なくいたずらに力を拡張させて収拾のつかないインフレワールドにしてしまうのか 偉大な先輩に配慮しつつ話を終わらせたいならば、ちばあきおの名作野球漫画キャプテンの4代目・近藤篇を一読するといいよ 拡大・膨張が必ずしも良きことではない。収縮を恐れることなかれ [ブルーレイ(字幕)] 4点(2025-02-27 00:28:01) |
14. オーロラの彼方へ
ネタバレ あったかもしれないもう一つの人生。パラレルワールドSFファンタジー。 ハッピーエンドを迎えるそれ自体は一見すると安っぽいものかもしれないが、本作のストーリーに込められているものは、重く苦しい たった一人の凶行さえなかったら今頃は・・・。自分たちは何も悪くないのになぜ今幸せになってない? あまりにも切実すぎるイフストーリーだ。数多の被害者遺族が心の底から願うエンディングだろう 犯人の人物像が全く容赦のない・・・母親殺しの警察官という、少しの同情の余地も残したくない、ややこしいことには一切しませんという割り切りが見られる イフストーリーを想像するならせめてこれくらいは良くならんとなぁという感じは遺族感情を抜きにしたらやや子供っぽい内容ではある メジャーリーグの試合展開がキーになるのが面白い。伝説の試合ともなればその展開すべてをスラスラ説明できても不思議ではないということにしておこう [DVD(吹替)] 6点(2025-02-26 14:39:45) |
15. オール・ユー・ニード・イズ・キル
ネタバレ 宇宙の果てから襲来した敵XX星の攻撃により人類滅亡の時が迫っていた。主人公は人類最後の希望。最新鋭の戦闘機でただ独り反撃に飛び立つ ・・・そんなシューティングゲームをプレイしていたときのこと。傍で興味なさそうに見ていた兄弟が「最後の希望なのに、三機も代わりがいるんだね」 などといたってシンプル、かつ無粋なことをいってくる 咄嗟に「三機いるわけじゃない。時間が戻ってやり直しているだけだよ」と返答した。つまらない指摘にはつまらない返しがふさわしいのでは?と思った タイムループと作戦のコラボレーションはかねてよりアクション・シューティングゲームの常であった そういうゲームの「リトライ可能にさせる」仕様をストーリーに組み込んだものがタイムリープ映画だ 戦闘に限らず、タイムリープネタのほとんど全てが主人公に何らかのミッションを与えているからだ(歴史改変か、ループからの脱出が多い) 元は「人生やり直したい」というままならない人の悔恨が呼んだ娯楽だったと思うのだが 本作はそれとは少し異なり、僅かしかない良いエンドに向けて少しずつ歩を進めていく為に不本意ながら死に戻る必要があり、 やはりゲームに於けるリトライ感が強いのだ やり直していくごとに少しづつ自分のスキルがアップする気持ちよさも、ある それらを自分のことのように受け止められさえすれば、この映画は面白い オメガとアルファと自分と血液と タイムループする権利の移譲 とか設定は細部がよくわからないしラストも納得しづらかったけど、これも無粋な指摘になるかな。。 あと、パリのシーンとか暗すぎて不快だった [DVD(吹替)] 6点(2025-02-01 22:00:47) |
16. 氷の微笑
ネタバレ 大きな枠としてはミステリーであるが、推理マニアが楽しめるような内容にはなってない というのも犯人は最初からシャロン・ストーン演ずるキャサリン・トラメルであることを映画が隠そうともしていないからである キャサリン以外の人物が次々犯人かのように疑われているが、それはマイケル・ダグラス演ずるニック・カラン刑事の願望に過ぎない 最終的に愛人のエリザベスを犯人として射殺したのは、カランが潜在的にそうしたくなっていたからだ すなわち、キャサリンを犯人にしなくてすむ方法が欲しかったところに、得意の<早撃ち>で解決できるチャンスが向こうからやってきたのだ 自らの手で愛人を射殺した後、すべての証拠がガッチリと固められてキャサリンが無罪放免になったとき、彼はすべてを悟ったはずだ ところでエリザベスが、銃を構えて警告している<早撃ち>の刑事を前にポケットに自ら手を突っ込んで、握っていたのはキーホルダーというのはしょうもなくて笑う [DVD(吹替)] 5点(2025-01-28 16:26:52) |
17. ミッドサマー
ネタバレ 自然は本能的に調和を保つ方法を知っている 全ては機械的に役割を果たす ダニーがトリップしながら木を見上げるシーンでペレにより語られたこの理念 祭りのイベント一つとっても自然と体力のある優秀なものを選別してより良いポジションに据え、大事に残そうとする 日の当たる部分ではそうだ。これらを見ると牧歌的だが理にかなっている、めったなことにはなりますまいという安心感を覚えるのだろう 「ホルガ村ヘルシングランド」という"なんでもみんな一緒にやる"テーマパークが一見大事にしているこの理念に来訪者は油断してしまった 村のチープさにはかなりやられた。なるほどこの即席感なら旅行前にペレの言ったようにみんなが演劇してるとしか思えない 祭りはイベントのごっこ遊びと大差ない、などと訪問客は油断してしまうだろう。ところが…、なんですけれども しかしロケ地に村を一個作ってそこを舞台にするこの感じ、七人の侍か!なんて思ったりして。ペレが菊千代(=侍ではない)でコニーとサイモンも合わせたら丁度七人になるし… ここで起こることの一部は絶句するくらいショッキングであり、ほとんどすべてが笑わずにいられない 全て冗談みたいなものだ。深く考えずにジャンルものとして楽しむのが一番良い気がした コミューン 法治国家 しきたり 掟 相互理解 残虐行為 没個性 多様性 従順 全体主義 冷戦時など、かつて幾度も批判をこめてこれらがキーとなるフォーマットの映画は描かれてきたと思うが、 より映画を面白くするための普遍的テーマであって、イデオロギーの対立を見せたくてこれらが今さら用いられているわけではないのだろう こちら側とあちら側どちらの側に属していても人間のヤバさはつきつめれば同じだという描き方をしている 同調圧力が一つの例になる 同調圧力ほどおそろしいものはない。曲がったことも押し通す。協同で物事をなしうる生き物である人間の弱点のひとつだろう なにかおかしいとわかっているのに他者の見解と比較・検証して落としどころを探してしまう。そうしているうちに時間が経過し、次第に何事もなかったかのような錯覚に陥っていく 正しく反発したサイモンはいずれ殺される運命であったにせよ、支援を得られなかった 目の前で恐ろしい惨劇が起こっているにもかかわらず、価値観が違うのだからとか郷に入れば…などと無理やり理解を示そうとまでする 別の場面では、ダニー独りが薬物に及び腰な動きを見せる。その際の仲間の白けたムードはまさしく同調圧力以外の何物でもない ここでやや間があってから渋々理解を示すそぶりをするクリスが結構な問題児。明らかに面倒くさがっている彼氏。ヒーローに成れない男 忘れていた恋人の誕生日パフォーマンスもあまりにもお粗末。こりゃ面倒くさがっている。そしてあろうことか彼女がろうそくの火を吹き消す瞬間すらよそを向いて見ていない 論文トラブルは仲間割れから殺人に発展する一つの例だがまさかこの映画で見ようとは。クリスくんの外道っぷりがいかんなく発揮されていて笑う その論文を全うするにはマヤの誘いに乗るしかない。しかもダニーにばれないように一夜限りのというなんとも都合の良い・・ 聖人君子とは程遠いクリスが例の同調圧力も相まってスルスルと罠に嵌っていく様はかなりカッコワルイ 個人的には結構満足いく映画だった [インターネット(字幕)] 7点(2024-09-17 08:29:09) |
18. ゴジラ×メカゴジラ
ネタバレ 男やもめにしっかり娘。今度はホームドラマベースで進めていくのかとみせてやはり怪獣やっつけ隊がメインな本作 同監督の前作に続きまたしても戦う女性が主人公。思えば前作がウルトラマンの例えば恐怖の宇宙線やウルトラセブンの闇に光る目のような、 子供が主人公の一エピソードを多少取り入れたのみにとどめてホームドラマ感は薄かったのに対し 今回は明確にホームドラマパートを用意して、精神のすり減るような日々を送る主人公をサポートさせている。 ほとんど終盤までゴジラにこんなドラマいるかぁー?などと正直全然乗れていなかったのだが最後のカットで遅ればせながら本作の正体が掴めたと思った これはゴジラ映画じゃないんだ。途中で釈由美子演じるヤシロがまるで子供に語り掛けるように機龍に呼びかけるシーンがあって ??なぜ突然そんな看護師っぽい語りかけを?無骨なハードウェア相手に?と違和感があったが、生まれる前に母もろとも死んでしまった サラの弟ないし妹の魂を機龍に投影させてそういう流れになったわけか。こうなるとやっぱり比重はホームドラマよなあ ゴジラはやられ役でしたね。完全に機龍の映画。最終的にゴジラは倒せず逃がしたのに勝利宣言する面々。まだ話の途中だとはいえ楽観的に過ぎる スポーツじゃないんだから・・・お上ってこうだよねーという皮肉なんだろうなさすがに 譲歩して機龍の第一話と考えるんなら、現時点でそんなに話が盛り上がらなくても次に期待、という運びにはなるかな。でも次も心配だなあ 随分戦った後に機龍の性能を見せてやる!とか今更言い始めたり、機龍投入への総理の決断の中途半端な引っ張りシーンなど流れが今一しっくりこず、気持ちが悪かった 着ぐるみのゴジラは可愛いし、メカゴジラもアイボみたいで可愛かった [インターネット(邦画)] 5点(2024-05-22 07:13:10) |
19. ゴジラ-1.0
ネタバレ 1954年のゴジラが戦争被害(具体的には東京大空襲・けして獣害や天変地異の類ではない)の再来を描くことで その記憶もまだ生々しい観客(怪獣というこの世に存在しないものに対する感情をどうとればいいかまだわからなそうな)に 恐怖を否が応でも植え付ける試みをしているのに呼応するように 今回は焦点を主に「死ぬことができなかった復員兵の戦後」に絞ることでまた違った戦争の暗い側面をゴジラに表象させてきた。 といっても行われている厄災描写はこれまでのシリーズと大差はなく、東京を暴れまわるのもなんら新しい試みは感じられず実はもう結構飽き飽きしているのだが、 海戦のVFXは巡洋艦の砲撃の描写が男心をくすぐり、かっこいい。それだけでも一見の価値あり。 ただしオブジェクトが破壊されるたびに異様に煙ってよく見えなくなるのは予算の都合か、見た目が派手になるからそうしたか 他がいいだけに気にはなった。 ゴジラがやはり象徴的過ぎてほとんど神か悪魔かといった風で生物に思えないのは仕方ないのだろうか。 逆に大戸島でのゴジラはほぼジュラシックワールドで、ぐっと恐竜に寄せてきているためか、映像的にはよくできているがこれまた新鮮味はなかった。 それでもVFXはこれまでのゴジラでは抜きんでて良い出来に見える。 もっともよかった点は監督が己のできることをよく理解していて、その土俵に立って映画を撮ったというところか。 最後の脱出オチ。いくらなんでも脱出装置があることを説明しない理由がないだろと突っ込むより先に、 説明受けてないのは我々観客だけだったことを知らされ、ニヤリとさせられた。うまく感情をコントロールされた感があって、すいやせんといったところだ。 だからか、彼女が最後に生きていたことが判明しても、それはそれでファンタジーだし、ということで気持ちをコントロールされたように思える。 でも生きていた典子はゴジラの再生細胞の力によるものだとしたら、ゾンビみたいな感じかな? 好みでいえば、その救いは不要かなとは思うが。希望に満ちることが戦争の終結ということなら、監督の好きに作っていい作品だから。ということである。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-05-17 06:44:32) |
20. ヘレディタリー 継承
ネタバレ 映画とは、過去の産物を組み替え再結合させて作るものなのだと改めて感じた。それで100分くらい観客をつなぎ留めておくことができるか否かが問われるところ さほど映画を見ていない自分でもオーメンやローズマリーの赤ちゃんくらいなら見たことがある エクソシストを未見なため、あっけなく死を迎える少女キャリーのいわゆるミスリードには残念ながらひっかからなかった、、というより最初からああいう死に方をするというネタバレありで観ていた それと知らずに見ていたらまた違った印象を抱いていたかもしれないし、特段変わらないかもしれない。なぜなら良くも悪くも作り話であるから。 家族の関係性がめちゃくちゃ悪いのになぜか最後まで離散しない設定に若干白々しさはあるもののそれでも一緒に暮らさねばならないとしたらそれはもう地獄だろう。 怖い映画というより、嫌な映画という感想が多い印象なのもそのあたり、誰しも身近な家族がこんな状態だったらいい気分ではいられないもんね [インターネット(吹替)] 6点(2024-04-28 07:37:57) |