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ポッシュさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 43
性別 女性
年齢 59歳

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【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  小さな恋のメロディ 《ネタバレ》 
ダニエル(マーク・レスター)とメロディ(トレイシー・ハイド)の恋心は幼い。「一緒にいたいから結婚する」って殆ど幼稚園児の発想。しかも全く迷いがない。・・・この“まっすぐさ”がとっても清々しい。 「若すぎる」と説得する両親に対しメロディは叫ぶ。「幸福になりたいだけなのに!」と。 そして有名な駆け落ちシーンへとなだれ込んでいく訳ですが、もう理屈もへったくれもないのだ。この物語には「今」しかない。主人公2人の「今」の気持ちオンリーで突っ走る。彼らを押し留めようとする大人たちと手作り爆弾で闘い、トロッコに乗って逃げ去る。いやもうムチャクチャだけど、これこそが映画じゃないかと思う。自分が映画を観る理由もこれしかないって気がする。幸福になりたいだけ。  とても地球上の生物とは思えないエンジェルっぷりが眩しいマーク・レスターも、もちろん良いのだけど、彼の親友役ジャック・ワイルドがとにかく素晴らしい!表情もしぐさも身体の動かし方もいちいちキマッてる。メロディに夢中になって自分から離れていくダニエルを引き留めようとするシーンなんかホント切ない。この時のジャック・ワイルドの茫然とした表情が悲しすぎて、おばさん泣いてしまいました。  全編に流れる音楽もイイ。ミュージック・クリップのような話法が奏効している。「メロディ・フェア」の調べに乗って通りを歩くメロディ。酒場にいるパパに会いに行く、このシークエンスが私は好きだ。昼間からお酒飲んでる父親なんて・・・と不安がよぎるんだけど、人の良さそうなオッサンが出てきてニコニコしながら彼女にお小遣いを渡すのでホッとしてしまう。そうそう、ここに出てくる大人たちは皆、基本的にイイ人。そういうのも好き。  ちょうどこの作品を再見した時に、「資本主義が終ろうとしている」なんて言ってる本を読んでいた。1970年代をピークに長い終焉の時代が続いており、今は旧いシステムが終わらんとする斜陽の時代なのだと。そんなどん詰まりの閉そく感の中に生きる自分にとって、本作はとびきり眩しかった。「とにかく逃げちゃえ、なんとかなるさ」って、ぶっちぎりのハッピーエンドで終わるこの作品には、「未来」に対する圧倒的な信頼と楽観が感じられる。トロッコの行く先には「幸せ」が待っている。 この作品のノスタルジーが格別に染みるのは、今が「信じられる未来」を失ってしまった時代だから、という理由もあるのだと思う。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-07-29 00:23:30)(良:1票)
2.  スケアクロウ 《ネタバレ》 
冒頭、マックス(G・ハックマン)とライオン(A・パチーノ)の出会いのシーンから、映画らしい息遣いに嬉しくなる。画面奥に長くのびる道路を大男のマックスがスタスタ歩いて行くと、後ろを背の低いライオンがちょこちょこ付いて行く。マンガみたいなでこぼこコンビの2人をカメラがロングショットで追う。風がビュービュー吹きすさぶ中、タンブルウィードが手前から奥にコロコロと転がる。奥行きのある画(え)と忍耐強いリズム。こういう画作りをする映画に最近はとんとお目にかからなくなった。ライターがつかないマックスにライオンが残り1本のマッチを惜しげもなく差し出し、2人の間に奇妙な友情の火が灯る。  2人は一緒に旅をすることになるが、粗暴なマックスは行く先々でトラブルを起こす。「寒いから」と言ってボロを何枚も重ね着しているのは、体ではなく心が冷え切っているのだ。他人を信じられない頑なな心を粗末な布切れで包み、必死で守っている。頑丈に覆われてはいない自我は脆く、些細なことで理性を失い攻撃の衝動を抑えられない。一方のライオンは、繊細な心を守るため「道化」を使う。「かかし(=スケアクロウ)は道化によって相手の信頼を得て危機を回避する」と言うのは彼らしい処世訓だ。そんな卑屈でひ弱なライオンの自我は、旅の途中で見舞われた不運、収容所での暴力によってバランスを崩し始める。  収容所では意地を張って友を守らなかった、その悔恨の思いがマックスを変える。喧嘩騒ぎを起こしかけた酒場で、寸でのところで拳を収めストリップでおどけて窮地を脱したマックス。他人に踏み込まれないよう、後生大事に守ってきた心を開かんと1枚1枚洋服を脱いでいく、不格好な大男の滑稽なダンスに涙が出た。彼はここで古い自分を脱ぎ捨てたのだ。ジーン・ハックマンの無骨な笑顔が眩しい。  マックスが人との繋がりを信じ始めていた時、ライオンは元妻との電話で人との繋がりを断たれてしまう。彼女に拒絶されウソをつかれるのだ。これは身重の身で捨てられた妻の復讐だったのか。不安定になっていた彼にはそれが決定打となってしまった。放心したように噴水の中に入っていくライオン。心理学で水は「無意識」を現わすが、意識の閾を越えて精神の闇に陥ってしまった比喩とも取れる。彼は心を閉ざし廃人のようになってしまう。診断した医師が「州立病院に移す」と言うのだが、当時のアメリカはベトナム帰還兵のPTSDが深刻で、精神病患者が増大し州立病院は軒並み精神病院に転換したというから、そのセリフの意味するところが推し量れる。そんなライオンを助けるためにマックスは開業資金として貯めていた金を、今度は自分の方が惜しげもなく友に捧げようとする。  ラストシーンは忘れられない。空港カウンターでのこの男のふるまいったら。こんなに無作法でカッコ悪い主人公がいるだろうか。「人は変われる」・・・そんなメッセージをこの映画から感じていたのに、最後にこんな姿を見せられたら、本当に彼は帰ってくるのか?と不安がよぎってしまう。人は変われる?そんな甘いものか?分からない。分からないけど信じたい。そんな、観客の祈るような思いを宙づりにして物語は幕を下ろす。ニューシネマは安心なんかさせてくれない(笑)。でも、このツンデレがたまらなく好きだ。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2017-07-24 11:05:23)
3.  カッコーの巣の上で 《ネタバレ》 
舞台となっている精神病院は私たちが生きている“社会”の一部を象徴している。社会の中で生きる事は、あらゆるルールに縛られること。でも、ルールは自分たちを守ってくれてもいる。そういう中で「自由に生きる」「自分らしく生きる」ってどういうことなんだろう、という普遍的な問いかけになっている。 「体制と自由」、「集団と個」の問題ですね。  主人公マクマーフィーを演じるジャック・ニコルソンの演技が圧巻。こんな人が身近にいたら、乙女座・A型のわたしゃ耐えられません。秩序を乱す人はノーサンキュー、あああ、そんな乱痴気騒ぎで、その汚れた壁、散らかった床は誰が掃除するのぉぉぉッ!きぃぃぃ~ッ!っとパニックを起してしまいそうです。 それに女の扱いもヒドイ。ちょっとアタマの足りなそうな女の子を、ものすごく都合よく利用しているのが、やや不快。  うん、書いてて思ったけど私は完全にラチェット婦長派の人間でした。マクマーフィーのような男は自分の半径100m以内に近寄ってほしくない。…だからこそ、彼が病院の仲間たちをあれほど魅了しイキイキと再生させていく様子が、妬ましくも許しがたかった婦長の気持ちが分かる。彼女だってちゃんと患者たちのことを考えていると思う。彼らが心穏やかに過ごしてくれるようケアをしていたと思う。ただ、彼女の経験値からは、あのルーティンワークが最善としか考えられなかった。あれが彼女の限界だったってだけ。  脱走するつもりだったマクマーフィーが、ビリーのためにほんの少しだけ出発を先延ばしにしたことが運命を狂わせる。開け放たれた窓のすぐ横で、椅子に座ってボンヤリと考えを巡らせている表情のJ・ニコルソンが素晴らしい。マクマーフィーがマクマーフィーでいられた最後の姿をカメラは不自然なほど長くとらえている。窓の外には自由が待っている。それはもうすぐそこ、目の前にある。彼はあのとき何を思っていたのだろうか。  そして、ラストのカタルシスは言葉では表わせない。心が解放される、というのを実存レベルで実感できる名シーンだ。婦長派の自分も「まいりました」の自由讃歌です。  多くの人に見てほしい名作。
[DVD(字幕)] 10点(2017-07-23 16:10:57)(良:2票)
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