映画『故郷(1972)』の口コミ・レビュー

故郷(1972)

[コキョウ]
1972年上映時間:96分
平均点:7.56 / 10(Review 25人) (点数分布表示)
公開開始日(1972-10-28)
ドラマ
新規登録(2004-08-05)【キリコ】さん
タイトル情報更新(2024-11-28)【イニシャルK】さん
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監督山田洋次
キャスト倍賞千恵子(女優)石崎民子
井川比佐志(男優)石崎精一
笠智衆(男優)石崎仙造
渥美清(男優)松下
前田吟(男優)石崎健次
田島令子(女優)石崎保子
矢野宣(男優)石田耕司
谷よしの(女優)
原作山田洋次
脚本山田洋次
宮崎晃
音楽佐藤勝
作詞加藤登紀子「風の舟唄」
作曲佐藤勝「風の舟唄」
主題歌加藤登紀子「風の舟唄」
撮影高羽哲夫
製作島津清
配給松竹
美術佐藤公信
編集石井巌
録音松本隆司(調音)
中村寛
照明飯島博
その他IMAGICA(現像)
あらすじ
瀬戸内海に浮かぶ倉橋島、小さな船で石を運んで暮している夫婦と幼い子供二人、老いた父との家族5人はささやかだが平和に暮している。しかし老朽化した船を買い換えることもできず、仕事も立ち行かなくなってしまい一家は老人を残して尾道へ引っ越していくことになる。
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💬口コミ一覧

25.ネタバレ 民子三部作とのことですが、最後に観たのがこちら。新天地への移動を扱った『家族』に対し、“住み慣れた故郷を出たキッカケ、理由”に焦点を当て、丁寧に描写した作品です。
三部作の一つとして観てしまったから、忙しいロードムービーとして変化と見どころの多かった『家族』、謎の男との生活というミステリ要素のあった『遥かなる~』と比べると、とっても地味でした。だけど地域に根付いた家族の“変わらない日常”と、高度経済成長期。望まざる者にも圧し掛かる“時代の波”が良く描けてます。

“石船”って仕事が面白いですね。積んできた石を重りにして船を傾け、ガラガラと海に流す。何ともダイナミックです。山田監督が「この仕事を映像化したい」と思ったのも頷けます。浅瀬の埋め立てが目的の石船だから、恐らく、半世紀以上とかの長い歴史がある仕事ではなく、経済成長の初期に産まれた、隙間産業的な仕事だったんでしょう。その仕事も大手企業が巨大な船と重機で大規模に引き受けることで、個人の石船は徐々に廃業に追い込まれる。

子供の頃はあったけど、今は減った仕事ってありますよね。チンドン屋や靴磨きは特殊としても、魚屋や八百屋、本屋、文房具屋もかなり減ってます。個人商店はスーパーマーケットに飲み込まれ、スーパーは郊外型ショッピングモールに飲み込まれる構図。時代と共に必要とされる仕事やお店は形を変えて、そこで働く人にも変化を求められる。でもその“働く人”には生活があり、家族がある。そんなことを改めて考えさせられました。

この映画じゃないんですが、小学校の道徳の時間?とか、町内会の子ども映画上映会とかで、こんな感じの映画を何度か観たような気がします。子供の目当てのマンガ映画(まんが日本昔ばなしみたいなの)と併せて上映される、真面目な内容の実写映画。幾つか観た中で覚えているのは、確か病気で死んじゃう女の子の映画(『父ちゃんのポーが聞こえる』かなぁ?)くらいですが。娯楽性に乏しい、人情に主眼を置いたこの映画を観て、なんかそんな事を思い出しながら観ていました。
仕事で、生活で、人としても追い込まれた精一が(言い過ぎ?)、体調を崩した松下を見舞いに行く場面がとっても人間臭くて良かったです。
…民子三部作と呼ぶには、民子の活躍が少なかったような?
K&Kさん [DVD(邦画)] 6点(2025-06-21 08:43:34)《新規》
24.約50年も昔の映画でありながら、けっこう今日の社会環境と似ているなと。まずインフレが進行中とのこと、それから大資本が登場して合理的に事業を展開しているとのこと。いずれも昔ながらの零細事業には大打撃で、廃業・転職に追い込まれるのもやむなしかなと。これって今のインフレやAIだのDXだのと同じでしょう。それからサラリーマンでも転勤で転居なんてのは茶飯事。つまらないことを言えば、個々人の小さな別れや悲しみの集合体として、社会の大きな進歩があるということで。
しかし個人の感情として、そう合理的に割り切れないのも事実。起伏の少ない作品ではありますが、最終版に岸辺でひっそり廃船が燃やされているシーンはけっこうショッキングでした。それを遠くから見つめる主人公夫妻の心中たるや、察するにあまりあります。
ついでながら面白かった点が2つ。おそらく地元住民がエキストラ等で多数参加しているようでしたが、そういう人に混じると、いかにも田舎の肉体労働者風の井川比佐志でさえ都会のひよっ子に見えてしまう不思議。顔に刻まれたシワの数が違うというか、土着パワーのようなものを感じました。
それからもう1つ、当時は「寅さん」全盛期だったはず。その主要メンバーが役割や関係性を変えてごっそり出演していることに、観客は違和感を覚えなったんだろうか。まあ劇団が演目を変えたようなもの、と思えばいいのかな。
眉山さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2025-06-20 03:09:49)《新規》
23.この作品、ずっと探してようやく観ることが出来た!民子三部作と言われるが、三作とも全然違う様相だがどれも良いし、最後はしんみり出来る。流石は山田洋次監督といったところか。井川さんと渥美さんがこの作品は秀逸です!最後は泣かせます!
SUPISUTAさん [DVD(字幕)] 8点(2019-04-27 10:41:51)
22.ネタバレ 生業の船のエンジンが調子悪くなってきた。このままでは生活できんので島を出ることになりました、という、
一言で言えばただそれだけの話なので、ストーリーだけ追ったら5分で終わっちゃいそうなものなんですけど、
その行間をたっぷり見せていって人情映画に仕上げてるわけですね。
日々のお仕事とか、普段の暮らしとか、そういうのをリアルに描いていく。
こういうタイプの作品は、今となっては稀有だなと感じました。
本作では砕石運搬船というものが出てくるのですが、これがまた実に危ないなぁと。
木造で、転覆寸前ぐらいまで傾げて石を海に落としていく。昔は危険なことしてたんだなぁと痛感しました。
あろえりーなさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-12-04 19:47:57)
21.日本の原風景、という言葉が浮かぶ時代を象徴する映画。
ドラマチックな展開は無いが、こいうった作品を感じるのがつまり、どうにも日本人、だろうか。
simpleさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2018-11-30 21:50:35)
20.ネタバレ あえて最後の船の仕事をたっぷり見せてくれたのが良かった。彼ら夫婦の仕事を見ながら、その気持ちを思い切なくなる。
本当に大変で危険な仕事で、船を傾けて石を降ろす絵は見ごたえがあるほどだ。そんな仕事だからこそ男の葛藤は理解できる。
女の資格取得の回想シーンも良い。あのベタさが良いんです。
高度成長、時代の変化を背景にしていますが、これはいつの時代にも通ずるもの。普遍的な郷愁や寂寥感を味あわせてくれる映画に感謝したくなります。
さわきさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2018-04-17 17:28:25)
19.あえて抑揚がなく作ってあるところが成功していると言いたいが、この一家が何ひとつ前向きになることなく時代に流されていく過程を見るようであまり楽しめなかった。
その点、この映画では端役ともいえる渥美清が妙に生き生きとしているのが寅さんぽくて良かった。
あ、出演者の広島弁はかなりこなれてて良かった。でも哀しい映画だな。
mhiroさん [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-03-30 22:27:37)
18.ネタバレ あえて起伏を少なくしようとしたであろう作り方は分かるが、それにしても主人公の内面はどこまでも表出されておらず、結局は「舟を廃業して出ていっただけ」に見えてしまう。この辺は、日本各地の風景や出会いを媒介として巧妙かつ周到に主人公のステップを追っていった前作とは逆の結果になってしまった。一方で、道化役のはずの松下さん(渥美清)は異様に生き生きしており、むしろこっちの方にドラマが感じられる状態になっている。そのバランスが今ひとつかみ合っていない。
Oliasさん [CS・衛星(邦画)] 5点(2018-03-29 01:14:47)
17.ネタバレ 淡々と辛い労働の日常を描いた前半。その景色の素晴らしさは、「こんな良いところはない」という松下さん(渥美清)の言葉通り。

なのに生活は苦しくなる家族。とりわけ終盤、燃やされる廃船を眺めながら「“大きなもん”とは、何のことかいの…」という
夫の呟き、そして子供が祖父にしがみつくシーンは胸を打つ。名作。
丹羽飄逸さん [ビデオ(邦画)] 8点(2016-09-21 15:29:19)
16.ネタバレ  渥美清の演じる魚屋が「船長」と「労働者」の違いについて語る件が印象深いですね。
 労働者よりも仕事がキツく、給料も安いと言われてしまうような、石船の船長という仕事。
 それでもなお「叶うならば、ずっと船長のままでいたい」と願い続けていた主人公の姿に、切ない気持ちにさせられました。

 途中、上述の魚屋が風邪を引いてしまい、ゴホゴホと咳込んでいる姿を目にした際には「もしや、彼が入院なり病死なりしてしまう展開じゃなかろうな……」と身構えてしまいましたが、そんな事も無く、最後まで明るく人懐っこい姿で映画に彩を添えてくれて、一安心。

 主人公である夫は「船長」その妻は「機関長」という呼称も、何やら子供時代の遊びのような、不思議な楽しさがあり、彼らが石船の仕事に愛着を持っている理由も、分かるような気がしましたね。
 冒頭の、船で大量の石を運び、それを海中に流し込むという一連の作業も、何だかアトラクションめいた趣きがあり、視覚的にも満足。
 家族で力を合わせる姿を見ていると、それが単なる「仕事」の一言では片付けられない、互いの絆を強める為の儀式であるようにも思えてきました。

 結局、この映画の一家は「都会の造船所で働く為」「大好きな船を捨てて、大好きな島からも去らなければいけない」という、辛い決断を下す事になります。
 それでも、必要以上に陰鬱にはならず、どこか明るい空気すら漂っているのは「家族が生きていく為」という目的意識が、しっかりと描かれているからなのでしょうね。

 ちょっと「田舎」や「船仕事」を美化し過ぎているというか、ともすれば「都会」や「工場作業」に否定的な印象を与えてしまう作りなのは気になるところですが、本作の場合は、そういった視点で描くのが正解だったのだろうな、と思えました。
ゆきさん [DVD(邦画)] 6点(2016-08-04 16:05:28)
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15.ネタバレ 始まりは、NHKの瀬戸内海紹介番組かと不安になるほど淡々としています。
アクシデント的なものは健次の怪我と、魚屋さんが風邪を引いた事ぐらいです。
合理化・効率化が至上命題の高度成長期に翻弄される家族の移り変わりをゆっくりと静かに描いています。

役者さんの自然な演技は勿論ですが、山田監督の目立たないが基本的映画手法の高度な技術や、派手ではないが適切な演出や脚本が際立った作品だと思います。
必要な画を撮り、適切なカット割りを的確なタイミングの編集で繋いでいる事で、作品を通して映像的なストレスが無いので物語に集中出来ます。
ほぼ台詞を排除した石舟でのウインチを使った夫婦の作業などは、危険な重労働だという事が臨場感と共に伝わってきますが、決して一人称にはならずに作品の世界観を踏襲してあくまで情景として写している表現は俊逸です。

魚屋さんが労働者と船長は全然違うと精一に説きます。「給料が違う。船長さんはずっと安い。労働が違う。船長さんはずっと辛い。でも、船長さんは船長さんだ。」という台詞は大袈裟に解釈すれば、高度に産業化された社会の恩恵を受ける事と、人間としての尊厳を比較した時の目指したい理想的回答の様に聞こえました。
また、精一は家族の暮らしの為に島から出る決断をしますが、いざ船に乗る時に娘の千秋は島に残るおじいちゃんから離れません。
おじいちゃんのいる島に残る事を幸せと感じる幼い千秋の純粋な行動は胸を打ちますが、島を出る決断も家族の幸せの為なので大人達は子供以上に辛いと思います。

予想外の展開などが無い分返って、時代の流れに抗えない人達が気の毒にさえ映ります。
作品に対しては結局、「家族を養って生きて行く為だから、仕方が無いよね…。」という結論しか出せない自分にやるせなくなってしまいます。
刻みネギしか乗ってない名代の素うどんのような作品だと感じました。
天麩羅などは乗って無く極めてシンプルですが、味は確かです。
完食して最後の一滴まで汁も啜りましたが、そんな結論しか出せない自分には、切な過ぎて「おかわり」とは言えません。
しってるねこのちさん [CS・衛星(邦画)] 9点(2015-04-26 02:52:39)
14.ネタバレ 石を積んで運んで海に棄て
石を積んで運んで海に棄ててそれを繰り返し、
海のダンプカー
そんな稼業があったとは。
でも二人の船が運ぶ重量:13トンに対して、一回で300トンもの石が運べる船の存在があるならば、そりゃとても敵いませんよね 船の維持費や苦労も含めて廃業もやむ無かろう。ただしそれは家計を直撃。このままでは家族食べて生きてはゆけまい石崎家。さてとどうするんだ船長:石崎精一と機関長の石崎民子。そんな家族の大黒柱とその嫁の奔走を等身大の話として進んでゆく展開に胸さわぐ。
思い返せば、海が見える丘に登って孫を横に座らせ、「時代の流れとか大きなもんには勝てんとか、それは何のことかいのう」 と呟いた老人:仙造の台詞がずっと耳に残ってしまう寂しくも悲しい成り行きへの疑問。そして島で暮らしてきた一家族の形態が崩れてゆく瞬間を見せつけられるやるせなさたるや これが時代の流れというものなのですよね  非情にせつなく終わる。
3737さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-03-30 23:52:33)
13.ネタバレ いわゆる民子三部作の鑑賞終了。この頃の倍賞さんはとてもいい。石船の機関士として舵をとる姿はりりしく美しい。渥美さんも脇役と思いきやかなり物語に絡んできてこれまたいい。とてもいい映画でゴザイマシタ
Kanameさん [DVD(邦画)] 7点(2015-03-21 07:09:49)
👍 1
12.言ってしまえば転職に至るまでの家族の話なんだけど、高度成長期での「大きな」変化に翻弄される様子が心に響いてきた。夫婦の2人がとにかくよく、特に船の上で働く倍賞千恵子には色気を感じた。この映画、若い世代はまた感じるものが違うんだろうな。
nojiさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-03-14 21:59:46)
11.経済構造が変わっていき人々も好きな仕事を離れないといけない。かつ故郷を離れないといけない。現代社会の豊かさの裏にある、悲しさや辛さが伝わってきた。
ホットチョコレートさん [地上波(邦画)] 8点(2015-03-04 07:04:43)
10.あわただしさが印象的だった「家族」よりはじっくり観賞できました。愚直な船長にはじめはイラつきますが観終わってみると好感度が上がってました。いい映画でした。
ProPaceさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-03-02 23:37:23)
9.ネタバレ 素晴らしい映画でした。最後の石船の航海で一瞬みせる井川さんのさみしそうな表情が心にしみました。おじいさんの今後は大丈夫だと思います。松下さんがおじいさんを粗略にする訳が無いし...
yanasanさん [インターネット(字幕)] 10点(2015-03-01 22:57:03)
8.こういった映画、好きだなあ、実にいい。派手な所は一つもなく、淡々と進む物語。描かれているのは古くなった石船とそこで生活している船長の夫と機関長である妻、そしてそれを取り巻く人々。そして、故郷を離れなければならなくなった家族のさびしい想い、それらがひしひしと伝わってくる。「時代の流れとか大きなもんには勝てんとか、それは何のことかいのう」と。そしてまたおなじみの寅さんとはまったく違う役柄の渥美清、よそ者でありながら、奥さんの墓を守って島に住み着く姿もまた美しい。
「家族」という映画に深い感銘を覚え、また「故郷」という映画でさらに感動は大きくなった。山田監督以下のスタッフ・キャストのメンバーのすばらしさ、私の「倍賞千恵子・山田洋次」のラインが確立された映画であった。
ESPERANZAさん [映画館(邦画)] 9点(2011-06-08 16:06:44)
👍 2
7.山田洋次監督作品ではお馴染みの常連たちが活躍し、それを観ているだけでも楽しめてしまう。

高度成長期を生き、良くも悪くも時代の波に飲み込まれた家族の生活を、丁寧に描いており、好感が持てる。
そして、渥美清がかなり活躍していて、完全に主役を食う勢い!

それにしても、井川比佐志はやっぱり主演を張るには地味すぎる。
もちろん、その地味なキャラがはまっている役柄ではあるのだが、穏やか過ぎる物語の進行と相乗効果をなし、正直、少し退屈する内容ではあった。

山田洋次監督作品の中では、突出した作品ではない。
しかしながら、山田洋次ワールドをじっくりと楽しめる作品ではある。
にじばぶさん [ビデオ(邦画)] 6点(2009-11-07 20:45:17)
6.悪いところが見当たりません。このジャンルにおいては10点映画だと思います。
ただ、このジャンルを観たいと思っている時に観た映画ではなく、少しテンション上げたい気分の時に観てしまったので-2点。やはり、もう少しドラマ性が欲しいです。
アキラさん [DVD(邦画)] 8点(2008-08-25 22:50:09)
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マーク説明
★《新規》★:2日以内に新規投稿
《新規》:7日以内に新規投稿
★《更新》★:2日以内に更新
《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 25人
平均点数 7.56点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
514.00%
6624.00%
7416.00%
8832.00%
9416.00%
1028.00%

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