知りすぎていた男 の おっさんさんさん さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > シ行
 > 知りすぎていた男
 > おっさんさんさんさんのレビュー
知りすぎていた男 の おっさんさんさん さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 知りすぎていた男
製作国
上映時間120分
劇場公開日 1956-07-26
ジャンルサスペンス,ミステリー,リメイク
レビュー情報
《ネタバレ》 ヒッチコックの世界、「映画術」を堪能できる1本である。特にコンサートのシーンは圧巻である。このシーンについて書く前に、その前のシーンについても言及せねばなるまい。まず、殺し屋とその親分が、首相暗殺の打ち合わせをするシーンが出てくる。そこで殺し屋は、「この音楽が流れているときに首相を撃て」と指示される。しかし、その音楽はわずか数十秒の長さなのだ。これがひとつの伏線になっているのだ。というのも、実際の音楽はものすごく長く、ここでそれをバラしてしまいたくないからである。で、実際のコンサートシーンでは、さっき一瞬で終わった音楽が実はものすごい長い曲であることがわかる。そのあいだカメラは何を追っているか?というと、コンサートシーン、ジョー、殺し屋、遅れて会場入りしたベンを交互に撮っているのだ。それを音楽の尺に合わせて細かくつないでいる。そうすることでどうなるか?というと、音楽がクライマックス(=暗殺の合図)に刻一刻と近づいていくのに、どうすることもできないジョー、必死で殺し屋のいる場所を探すベンという、絶望的な状況が鮮明になるのだ。だから、観ている我々も「間に合うのだろうか?」とハラハラしてしまう、というわけである。見事な「映画術」だ。しかし、ヒッチコック映画のいいところはそういう点だけではない。オチもきちんとつけてくれるのもヒッチコック映画のいいところである。来客中に家を出て行ってしまった2人が帰ってきたときには、お客はみんな寝てしまっていた。そこへ2人は何食わぬ顔をして帰り、こう言ってのける。「息子を迎えに行って遅くなっちゃった」と。お前はどこまで迎えに行っていたんだ?と観客が総ツッコミを入れたくなるラストなのだが、こういうユーモラスなオチも、前にハラハラがあるから余計に笑えるのだ。これだからヒッチコック映画は止められない。
おっさんさんさんさん 9点(2003-07-10 21:06:35)(良:2票)
おっさんさんさん さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2005-06-06グッバイ、レーニン!6レビュー7.35点
2005-01-11ターミナル7レビュー6.17点
2004-12-24バスター・キートンの華麗なる一族(キートン半殺し)8レビュー6.40点
2004-04-18キートンのマイホーム(文化生活一週間)10レビュー8.31点
2004-02-22キートンの警官騒動7レビュー7.00点
2004-01-06街の灯(1931)10レビュー8.42点
2003-12-06シェルブールの雨傘9レビュー7.57点
2003-10-29キートンの恋愛三代記7レビュー6.75点
2003-09-14裏窓(1954)10レビュー7.17点
2003-07-10知りすぎていた男9レビュー6.42点
知りすぎていた男のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS