巴里祭 の へちょちょ さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ハ行
 > 巴里祭
 > へちょちょさんのレビュー
巴里祭 の へちょちょ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 巴里祭
製作国
上映時間98分
ジャンルドラマ,コメディ,モノクロ映画,ロマンス
レビュー情報
「巴里祭」…嗚呼、何と甘美な響き、何と見事な邦題なんだろう!「望郷」と云い、当時の配給元の狂ったようにズバ抜けた邦題センスの的確さ・素晴らしさは筆舌に尽くし難い。もし仮に「七月十四日」で封切られていたとしたら日本人が斯くも”花の都・巴里”へと思いを馳せたであろうか??昨今の片仮名邦題の氾濫に憂いを隠せない身としては只々羨望の限り。そう、本作のMVPはクレールでもモーリス・ジョーベールでもアナベラでもなく、実はこの名邦題を考案した当時の配給元なのであーーる!!と言っても強ち不当なモノではあるまい、少なくとも日本では。とは言え、如何に見事な邦題を冠しようと内容がクズでは今日に伝わる傑作と成りうべくもないのも当然の摂理。その点でクレールの映画的センスも又ズバ抜けている。のっけから酔わされるジョーベールの主題曲、悪戯小僧たちの鳴らすクラクション、広場から聞こえてくる楽団の奏でる音楽、俄か雨と雷鳴、ワン公、自動ピアノetc‥”トーキー”の持てるポテンシャルを「巴里の屋根の下」をより洗練した形で余す所なく引き出して正に圧巻である。オールセットの巴里の下町を生き生きとした生活空間へと変貌させるに至っては正しく「天才」と評するより外にない。俳優アンサンブルも実にイイ。アナベラ、ジョルジュ・リゴーの主役カップルが醸し出す純情可憐さ、同業のタクシー運ちゃんに扮したレイモン・ゴルディと相棒のワン公の絶妙のコメディ・リリーフぶり、チャップリンを彷彿とさせる素っ頓狂なポール・オリヴィエの酔いどれ紳士、すっかりやさぐれたポーラ、極めつけは謹厳実直な大学教授一家の行列!!雨宿りのアンナとジャンの熱烈なキスを二度も目の当たりにし、子供に見せぬよう狼狽しつつ家に入る終幕の構図のユーモラスさは絶品である。要するに下宿のオバハンから近所の悪ガキに至るまで全てがクレールの描く”巴里の下町”という名のささやかなパズルのピースなのである。言うまでもなく10点満点しかありえない。
へちょちょさん 10点(2003-11-05 03:09:59)(良:3票)
へちょちょ さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2012-01-28100挺のライフル6レビュー6.00点
2010-02-21フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ8レビュー6.77点
2009-03-10クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦5レビュー7.93点
2008-03-17300 <スリーハンドレッド>4レビュー6.07点
2007-08-29惑星大怪獣ネガドン5レビュー5.77点
2007-07-27少林寺25レビュー5.85点
2007-07-25続・少林寺三十六房4レビュー5.37点
2007-06-26座頭市地獄旅7レビュー7.00点
2007-05-25ピカソ-天才の秘密10レビュー8.45点
2007-04-07県立地球防衛軍4レビュー5.50点
巴里祭のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS