マルタの鷹(1941) の 鱗歌 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > マ行
 > マルタの鷹(1941)
 > 鱗歌さんのレビュー
マルタの鷹(1941) の 鱗歌 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 マルタの鷹(1941)
製作国
上映時間101分
劇場公開日 1951-01-26
ジャンルサスペンス,モノクロ映画,犯罪もの,ミステリー,ハードボイルド,小説の映画化
レビュー情報
ハメットの「マルタの鷹」、私もその昔、推理小説をあさり出した頃に手にした時には、あまりに突き放したような愛想の無さ過ぎる描写(読者についてこさせる気があるとは思えない。読者が頑張ってついていくしかない)に閉口したクチなんですけれども。この映画、そういうとっつきにくいところのある原作を、なるべく状況を整理し伝わりにくいところは伝わり易く誰もが楽しめる作品に…なんてことはまるでしておりません。何がホントで何がウソやら、虚々実々、しかも得体の知れぬ人物が得体の知れぬまま断片的に物語に加わってくる。しかしやはりこちらは生身の人間が演じる“映画”ですから、無愛想でストイックな語り口ではあってもそこには独特のカラーが生じて、いくぶん親しみやすくなっています。H・ボガートの演じるサム・スペードは、冷酷非情な私立探偵というよりは、いくぶん人間臭い小悪党のような存在。物語の断片が最後には組み合わさり、ミステリとしてのある種の解決に導かれるとともに、それはさらに非情なる結末をも導くというところが、ハードボイルドたる所以でしょうけれども、ただ非情なだけではなくそこには“情”も浮かび上がり、スペードも含めてみんなが傷ついたのだな、と。これが原作に対する唯一のアプローチではないにしても、あるひとつの理想形と言える映画化作品ではないでしょうか。
<2017/7/30追記>冒頭から奇妙なほどサクサクと物語が進み、夜中に同僚の死の連絡を受けるスペード。彼の横顔があり、深夜を示す時計があり、そして背景には、風に揺れるカーテンが、どこか不穏な感じを表しています。そんでもってラストでスペードが真相を語る場面では、窓の外は明るく、どこかけだるく、やっぱりそこにはスペードの横顔と揺れるカーテンがある。まあ、見え透いた演出なのかも知れないけれど、でも何だかいいなあと思っちゃうのよね。
鱗歌さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-05-02 01:14:26)(良:1票)
鱗歌 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-03-24透明人間現わる8レビュー4.33点
2024-03-17宇宙人東京に現わる6レビュー4.70点
2024-03-16復讐の荒野(1950)7レビュー7.00点
2024-03-16クライ・マッチョ8レビュー6.33点
2024-03-09必殺! ブラウン館の怪物たち2レビュー1.33点
2024-02-12プリズナーズ・オブ・ゴーストランド6レビュー4.50点
2024-02-04マッハ無限大6レビュー4.66点
2024-02-04燃えよデブゴン6レビュー5.11点
2024-01-21セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ5レビュー7.03点
2024-01-13クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち7レビュー3.51点
マルタの鷹(1941)のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS